2015 年度 SFC 研究所プロジェクト補助 和食に特徴的な植物性 動物性蛋白質の健康予防効果 研究成果報告書 平成 28 年 2 月 29 日 研究代表者 : 渡辺光博 ( 政策 メディア研究科教授 ) 1

Similar documents
られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

1. はじめに C57BL/6J マウスは食餌性肥満 (Diet-Induced Obesity) モデルで最も一般的に使用される系統です このモデルは, 肥満に関する表現型の多くを発現し, ヒトに類似した代謝疾患, 高脂血症, 高インスリン血症, 高レプチン血症を発症します 本モデルは, 主に肥満

PowerPoint プレゼンテーション

14栄養・食事アセスメント(2)

H24_大和証券_研究業績_p indd

Microsoft Word - Ⅲ-11. VE-1 修正後 3.14.doc

スライド 1

32 小野啓, 他 は変化を認めなかった (LacZ: 5.1 ± 0.1% vs. LKB1: 5.1 ± 0.1)( 図 6). また, 糖新生の律速酵素である PEPCK, G6Pase, PGC1 α の mrna 量が LKB1 群で有意に減少しており ( それぞれ 0.5 倍,0.8 倍

hyoushi

2006 PKDFCJ

PowerPoint プレゼンテーション

スライド 1

スライド 1

日本スポーツ栄養研究誌 vol 目次 総説 原著 11 短報 19 実践報告 資料 45 抄録

状況を全国平均と比較すると 総エネルギー摂取量には差はないが 脂肪エネルギー比率が 25% 以上の者の割合は男女ともに 60% を越えており 全国平均の 40~50% をはるかに上回っている ( 2 ) この間の交通手段の発達などによる身体活動の低下に加えて このような脂質栄養の過剰摂取が日本人にお

(5) 食事指導食事指導は 高血圧の改善 耐糖能障害の改善 代謝異常の改善について 各自の栄養状況 意欲などに応じて目標をたて これを達成できるよう支援する形で行った 開始時点で 食事分析を行い 3ヶ月ごとに 2 回進捗状況を確認する面接を行った 1 年後に終了時点の食事分析を行った 各項目の値の増

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

血糖値 (mg/dl) 血中インスリン濃度 (μu/ml) パラチノースガイドブック Ver.4. また 2 型糖尿病のボランティア 1 名を対象として 健康なボランティアの場合と同様の試験が行われています その結果 図 5 に示すように 摂取後 6 分までの血糖値および摂取後 9 分までのインスリ

シトリン欠損症説明簡単患者用

上原記念生命科学財団研究報告集, 27 (2013)

次世代ヘルスケア産業協議会第 17 回健康投資 WG 資料 6 職場における食生活改善の質の向上に向けて 武見ゆかり第 6 期食育推進評価専門委員会委員 ( 女子栄養大学教授, 日本栄養改善学会理事長 )

PowerPoint プレゼンテーション

保健機能食品制度 特定保健用食品 には その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をすることができる 栄養機能食品 には 栄養成分の機能の表示をすることができる 食品 医薬品 健康食品 栄養機能食品 栄養成分の機能の表示ができる ( 例 ) カルシウムは骨や歯の形成に 特別用途食品 特定保健用

<4D F736F F D20824F B678DE897B294565F95F18D908F912E646F6378>

平成23年度新潟薬科大学薬学部卒業研究Ⅱ

豚.indd

糸球体で濾過されたブドウ糖の約 90% を再吸収するトランスポータである SGLT2 阻害薬は 尿糖排泄を促進し インスリン作用とは独立した血糖降下及び体重減少作用を有する これまでに ストレプトゾトシンによりインスリン分泌能を低下させた糖尿病モデルマウスで SGLT2 阻害薬の脂肪肝改善効果が報告

<4D F736F F D D3591E597A A8D9182C982A882AF82E98E A882E682D BB95A882CC90DB8EE697CA82C6905

肥満者の多くが複数の危険因子を持っている 肥満のみ約 20% いずれか 1 疾患有病約 47% 肥満のみ 糖尿病 いずれか 2 疾患有病約 28% 3 疾患すべて有病約 5% 高脂血症 高血圧症 厚生労働省保健指導における学習教材集 (H14 糖尿病実態調査の再集計 ) より

Microsoft PowerPoint - 100826上西説明PPT.ppt

ルグリセロールと脂肪酸に分解され吸収される それらは腸上皮細胞に吸収されたのちに再び中性脂肪へと生合成されカイロミクロンとなる DGAT1 は腸管で脂質の再合成 吸収に関与していることから DGAT1 KO マウスで認められているフェノタイプが腸 DGAT1 欠如に由来していることが考えられる 実際

GJG160842_O.QXD

Microsoft Word - 3高松.doc

<4D F736F F D CB48D655F94928D95445F90488E9690DB8EE68AEE8F802E646F63>

(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

H27_大和証券_研究業績_C本文_p indd

Microsoft Word - 3.No._別紙.docx

日本の糖尿病患者数は増え続けています (%) 糖 尿 25 病 倍 890 万人 患者数増加率 万人 690 万人 1620 万人 880 万人 2050 万人 1100 万人 糖尿病の 可能性が 否定できない人 680 万人 740 万人

( 様式甲 5) 氏 名 忌部 尚 ( ふりがな ) ( いんべひさし ) 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学位授与番号 甲第 号 学位審査年月日 平成 29 年 1 月 11 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 Benifuuki green tea, containin

医療法人将優会 将優会 クリニックうしたに

0724

PowerPoint プレゼンテーション

生活習慣病の増加が懸念される日本において 疾病の一次予防はますます重要性を増し 生理機能調節作用を有する食品への期待や関心が高まっている 日常の食生活を通して 健康の維持および生活習慣病予防に努めることは 医療費抑制の観点からも重要である 種々の食品機能成分の効果について数多くの先行研究がおこなわれ

栄養表示に関する調査会参考資料①

動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2012 年版 ( 日本動脈硬化学会 ) ガイドラインの策定経緯 高脂血症診療ガイドライン :1997 年 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002 年版 :2002 年 動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007 年版 :2007 年 動脈硬化性疾患予防ガイドライン

新規遺伝子ARIAによる血管新生調節機構の解明

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

untitled

Microsoft Word Webup用.docx

02-08p

H26_大和証券_研究業績_C本文_p indd

(Microsoft Word \203v\203\214\203X\203\212\203\212\201[\203X\216\221\227\2772.doc)

:: w 60 Plasma FFA % $ 40 5 ii 20 s B loo t Time Fig. 9. Relative contribution of blood-borne an

スライド 1

五訂増補日本食品標準成分表(本表) 魚介類

Microsoft Word - 【最終】Sirt7 プレス原稿

美人薄命は昔のこと 現代は肥満薄命 糖尿病 膵臓機能の衰弱 動脈硬化 血管 すい臓 高血圧 短命 心臓に負担 多くの生活習慣病は 脂肪細胞由来の生理活性物質 ( アディポサイトカイン ) によって引き起こされる

別紙様式 (Ⅵ)-2 商品名 : エクササイズダイエット 届出食品に関する表示の内容 科学的根拠を有する機能性関与成分名及び当該成分又は当該成分を含有する食品が有する機能性一日当たりの摂取目安量 本品には 3% グラブリジン含有甘草抽出物が含まれます 3% グラブリジン含有甘草抽出物は 肥満気味の方

<4D F736F F D EC969E82C582E0939C C982C882E882C982AD82A295FB964082F094AD8CA A2E646F63>

Microsoft Word - 01.doc

1 栄養成分表示を活用してみませんか? 媒体の内容 1 ページ 導入 ねらい : 栄養成分表示 とは 食品に含まれているエネルギー及びたんぱく質 脂質 炭水化物 食塩相当量などを表示したものであることを理解する 栄養成分表示を見たことがありますか? と問いかけ 普段から栄養成分表示を見ているか 見て

2) エネルギー 栄養素の各食事からの摂取割合 (%) 学年 性別ごとに 平日 休日の各食事からのエネルギー 栄養素の摂取割合を記述した 休日は 平日よりも昼食からのエネルギー摂取割合が下がり (28~31% 程度 ) 朝食 夕食 間食からのエネルギー摂取割合が上昇した 特に間食からのエネルギー摂取

結果の概要

五訂増補日本食品標準成分表(本表) 野菜類

Untitled

Untitled


<8CBA95C4985F95B62E786477>

,995,972 6,992,875 1,158 4,383,372 4,380,511 2,612,600 2,612, ,433,188 3,330, ,880,573 2,779, , ,

470_1

上原記念生命科学財団研究報告集, 28 (2014)

脂肪滴周囲蛋白Perilipin 1の機能解析 [全文の要約]

2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

別紙 < 研究の背景と経緯 > 自閉症は 全人口の約 2% が罹患する非常に頻度の高い神経発達障害です 近年 クロマチンリモデ リング因子 ( 5) である CHD8 が自閉症の原因遺伝子として同定され 大変注目を集めています ( 図 1) 本研究グループは これまでに CHD8 遺伝子変異を持つ

先端医療・創薬に関連する基盤研究

宗像市国保医療課 御中

HAK2906.mcd

Microsoft Word - ç€fl究拒果倱å‚−æł¸ã…»æœłæœ‹å™„æ¨¹(ã‡µã……ã…šã…Ł)

Q2 はどのような構造ですか? A2 LDL の主要構造蛋白はアポ B であり LDL1 粒子につき1 分子存在します 一方 (sd LDL) の構造上の特徴はコレステロール含有量の減少です 粒子径を規定する脂質のコレステロールが少ないため小さく また1 分子のアポ B に対してコレステロールが相対

エネルギー代謝に関する調査研究

PowerPoint プレゼンテーション

長期高脂肪食は日常運動量を抑制するか

「中小企業・ベンチャー挑戦事業の内実用化研究開発事業」の進め方について

Microsoft Word - (最終版)170428松坂_脂肪酸バランス.docx

-3- Ⅰ 市町村国保の状況 1 特定健康診査受診者の状況 平成 23 年度は 市町村国保 (41 保険者 )98,439 人の特定健康診査データの集計を行った 市町村国保の診者数は男性 女性ともに 歳の割合が多く 次いで 歳 歳の順となっている 男性 女性 総数

3„”“ƒ-‚“’à-‰´Œ{’æ’¶.ec9

Microsoft Word 都築.docx

女性健康科学研究会誌 (J Soc Wom Health Sci Res) 第 2 巻第 1 号 213 年 5 月 regression analysis using age, BMI, Body-fat, WC/BMI, WC/Body-fat, LDL-cholesterol (LDL-C),

四国大学紀要 Ser.A No.42,Ser.B No.39.pdf

相模女子大学 2017( 平成 29) 年度第 3 年次編入学試験 学力試験問題 ( 食品学分野 栄養学分野 ) 栄養科学部健康栄養学科 2016 年 7 月 2 日 ( 土 )11 時 30 分 ~13 時 00 分 注意事項 1. 監督の指示があるまで 問題用紙を開いてはいけません 2. 開始の

カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1

Microsoft Word - プレスリリース最終版

[ 原著論文 ] メタボリックシンドローム該当者の年齢別要因比較 5 年間の健康診断結果より A cross primary factors comparative study of metabolic syndrome among the age. from health checkup resu

untitled

平成14年度研究報告

Shokei College Investigation into the Physical Condition, Lifestyle and Dietary Habits of the Members of a Boy s Soccer Team and their Families (1) Ph

上原記念生命科学財団研究報告集, 30 (2016)

Microsoft Word _nakata_prev_med.doc

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

Transcription:

2015 年度 SFC 研究所プロジェクト補助 和食に特徴的な植物性 動物性蛋白質の健康予防効果 研究成果報告書 平成 28 年 2 月 29 日 研究代表者 : 渡辺光博 ( 政策 メディア研究科教授 ) 1

1. 研究概要ユネスコ無形文化遺産に登録された 和食 に特徴的な植物性蛋白質と動物性蛋白質のメタボリックシンドローム予防効果を検討し mrna 解析により分子レベルのメカニズムを明らかにする 蛋白質の動物性 植物性の違いは食選択の考慮すべき点として浸透していないが 本研究により食生活にインパクトを与える結果を得られる可能性がある 本研究結果より次年度のアミノ酸レベルでの研究計画の基礎資料とする 2. 研究背景 2014 年 Cell Metabolism 誌は栄養素バランス ( 炭水化物 蛋白質 脂質 ) の違いは 寿命や健康アウトカムに影響すると発表した 1 この研究では 3 週齢のマウスに炭水化物 (16-75%) 蛋白質(5-60%) 脂質(16-75%) エネルギー(8, 13, 17 kj/g of food) を変えた 25 種類の餌を 150 週介入し 寿命 メタボリックシンドローム ( 体重 血圧 HDL LDL TG Cholesterol) との関連を検討した結果 最も寿命が長かったのは低蛋白質 高炭水化物を摂取したマウスであった この群では 餌の摂取量は比較的多かったにもかかわらず メタボリックシンドローム関連のアウトカムも良好であった 分子レベルの検討では 肝臓での mtor 活性やミトコンドリア機能 分岐鎖アミノ酸とグルコースの循環が関連していた この結果は 動物実験により遺伝的 環境要因を厳密にコントロールした条件下で得られたものであり 栄養素バランス自体が栄養関連の要因として重要な意義を持つことが示唆される しかし 本研究の食事パターンとは逆の低炭水化物食にも一定のエビデンスがあり 食事パターン 食品のエビデンスはまだ確立されていない段階である なお この研究ではカゼイン蛋白を用いており 蛋白質の質が与える影響は考慮されていない 3. 研究目的本研究では 和食 に特徴的な植物性蛋白質と 動物性蛋白質の メタボリック症候群予防への効果を明らかにするための基礎資料を得る目的で 食塩摂取量の多い日本人のモデルにおいて 標準食負荷マウスと高脂肪食負荷肥満モデルマウスが 高蛋白質食に変更した場合にどのような代謝への影響がみられるかを検討することとする ( 図 1) 2

図 1. 研究の全体像 4. 研究成果栄養バランスと代謝との関連について系統的レビューを実施した 蛋白質の占める割合を変化させ High Protein 食と Low Protein 食で比較した介入研究のメタアナリシスの結果 High Protein 食は Low Protein 食と比較して体重 血中脂質を低下させていた このことから 蛋白質の種類 ( 動物 植物 昆虫 ) と代謝疾患との関連を検討するには蛋白質の餌に占める割合を検討する必要性が示唆された そこで 蛋白質のエネルギーに占める割合を 15% 増加させた場合に代謝にどのような影響があるかを検討するため 雄 C57BL/6J マウスに標準食 ( カゼイン蛋白質 20% 脂肪 10% 炭水化物 70%) と高脂肪食 ( カゼイン蛋白質 20% 脂肪 60% 炭水化物 20%) に食塩 8% を加えた餌を 5 週齢より 66 週間投与したマウスの餌を 高蛋白質食 ( カゼイン蛋白質 35% 脂肪 21% 炭水化物 44%) の餌に変更した ( 餌の組成を表 1 および図 1 に示す ) 研究デザインはクロスオーバー試験とした 介入前 8 週間の体重の平均値は 28.72g~ 30.44g 高脂肪食負荷肥満モデルマウスで 45.2 g~45.6 g と体重は安定期に入っていた ( 図 2) 一匹あたりの平均摂餌量は標準食群で 3.2 g/ 日 高脂肪食群で 3.1 g/ 日であった 餌の配合は High vs. Low Protein Animal vs. Plant vs. Mixed Protein を比較検討した論文 3

を参考にした 2 実験動物用の餌で最も頻繁に用いられている動物性蛋白質であるカゼイン蛋白を用いて 蛋白質のエネルギーに占める割合を 15 % 増加させた 平均摂餌量は標準体重マウスで 3.6 g/ 日 高脂肪食負荷肥満モデルマウスで 1.8 g/ 日であり高脂肪食負荷肥満モデルマウスでは摂餌量が減少した これは餌に含まれる脂質の量がエネルギー比で 40% 減少したことによる嗜好性が影響した可能性がある また 高たんぱく質食の介入により標準体重マウスで 1.1±0.33 g の体重増加がみられた一方 高脂肪食負荷肥満モデルマウスでは逆に 5.1±1.1 g の体重減少がみられた なお 介入後 9 日間の間に高脂肪食負荷肥満モデルマウス 2 匹が死亡した また介入前後の飽食時血糖値は 標準体重マウスで 24±10.7mg/dL 高脂肪食負荷肥満モデルマウスで 39±9.5mg/dL の低下がみられた 表 1. 餌の組成 Control Diet High Fat Diet High Protein Diet gm % kcal % gm % kcal % gm % kcal % Protein* 19.2 20 26 20 40 35 Carbohydrate 67.3 70 26 20 46 44 Fat 4.3 10 35 60 10 21 Energy 3.85 5.24 3.84 (kcal/gm) *Casein 図 2. 餌の組成 4

図 3. 介入前までの体重変化 表 2. 介入後の体重変化 Body Weight Food Intake Water Intake (per day) (per day) Control Δ + 1.1 ± 0.33 g + 0.4 g - 8.4 ml baseline 30.9 ± 0.9 g 3.2 g 14.1 ml 9 days 32.0 ± 1.1 g 3.6 g 5.6 ml HF Δ - 5.1 ± 1.1 g - 1.3 g -1.9 ml baseline 43.5 ± 1.9 g 3.1 g 4.9 ml 9 days 38.4 ± 1.6 g 1.8 g 3 ml 5. 現状の課題本年度 蛋白質の量に関する検討を行い カゼイン蛋白質に蛋白質の質を固定した場合の代謝に変動を与える蛋白質量を明らかにした この基礎資料を基に 来年度以降は蛋白質の質が異なる 3 種類 ( カゼイン 大豆 昆虫 ) の餌を作成し 代謝疾患との関連を検討する 検討する指標としては 今回変化がみられた体重 血糖値に加え 代謝に重要な臓器である肝臓の mrna 発現量の計測も行う 本研究資金での研究成果を基礎データとし 競争的資金の獲得や企業との共同研究等の外部資金による研究を推進する予定である 5

参考文献 1. Solon-Biet SM, McMahon AC, Ballard JW, et al. The ratio of macronutrients, not caloric intake, dictates cardiometabolic health, aging, and longevity in ad libitum-fed mice. Cell Metab. 2014;19(3):418-430. 2. Wojcik JL, Devassy JG, Wu Y, Zahradka P, Taylor CG, Aukema HM. Protein source in a high-protein diet modulates reductions in insulin resistance and hepatic steatosis in fa/fa Zucker rats. Obesity (Silver Spring). 2016;24(1):123-131. 6