2. 安全基準 (1) 日米合意による普天間飛行場の安全基準 1 1996 年 3 月日米合同委員会合意 普天間飛行場における航空機騒音規制措置 日米両政府は 1996 年 3 月 普天間飛行場における航空機騒音規制措置 を日米合意したが 実際の普天間飛行場の運用において以下の通り全く遵守さ れていない実態がある 3. 措置 a 進入及び出発経路を含む飛行場の場周経路は できる限り学校 病院を含む人口稠密地域上空を避けるよう設定する としているが 普天間飛行場は住宅地に囲まれた飛行場であるとともに 121 箇所以上の公共施設が存在していることからそれらを避けて飛行することは不可能である g 22:00~06:00の間の飛行及び地上での活動は 米国の運用上の所要のために必要と考えられるものに制限される と規定しているが 市が設置している基地被害 110 番には22:00 以降の米軍機騒音による苦情が度々寄せられており また航空機騒音測定結果においても 22:00 から06: 00の間において新城地区で400 回 上大謝名地区においては515 回の騒音が確認されていることから米軍が規定を沿った飛行制限を守っていない現状がある 5. 対外関係 a 普天間飛行場司令官 その部下及び普天間飛行場を使用する飛行部隊司令官は 騒音問題及び規制措置について厳重な注意を払うものとする この意味で 住民の理解と相互協力の促進を図るため 地方公共団体及び国の行政機関の地方支分部局と緊密な連絡をとる b 普天間飛行場司令官は 地元公共団体又は地域住民に対する現地の騒音問題に係るいかなる連絡事項も那覇防衛施設局に前もって通知するよう最大限努力する と規定されているが 騒音問題に関する普天間飛行場司令官や米軍からの本市への連絡 通知は一切なく 市からの騒音に対する抗議を無視した状態であり 最大限努力しているとは決して言えないものである 5
2 2007 年 8 月 10 日日米合同委員会合意 普天間飛行場に係る場周経路の再検討及び更なる可能な安全対策に関する報告書 場周経路について 昨年 8 月 10 日に日米合同委員会で合意された 普天間飛行場に係る場周経路の再検討及び更なる安全対策に関する報告書 が発表された 示されたヘリ飛行訓練の場周経路は 東側旋回コースは多くが基地内に収まっているのに対し 西側旋回コースは市立普天間中学校を含め 多くの住宅地上空が飛行ルートに示されている この西側旋回コースは1996 年の返還合意後に市の反対を無視して 米海兵隊の一方的な通知により開始され今日に至っており 本市としては学校や公共施設と多くの住宅地上空を飛行する旋回コースを認めることはできない 普天間飛行場の危険性除去に向けた取り組み 2007 年 8 月防衛省発表 6
実際の米軍機飛行形態 ( はみだし飛行 ) について 実態として 普天間飛行場を離着陸する米軍機が日米で合意された場周経路 が守らずに基地施設外に大きくはみ出し 住宅地上空や市役所 商業施設上空 を頻繁に飛行している状況がある 市では平成 20 年 8 月 28 日 ~9 月 3 日のうち4 日間 普天間飛行場を離着陸する米軍機の航跡調査を実施し 調査期間中において市民への騒音被害が大きいヘリの タッチアンドゴー 訓練が行われず 比較的飛行が少なかったものの 場周経路や離着陸経路に違反したはみだし飛行を35 回確認した 市は学校や公共施設と多くの住宅地上空を飛行する旋回コースの設定は決して容認するものではないが 日米間の合意であるならば 海兵隊航空基地の回転翼機は 厳格に基地内の飛行ルートを守るべきであり 民間地域にはみ出して飛行すべきではない 国は合意された飛行ルートが守られているか確認する責任があり 実態に即した長期間の調査を実施 把握し 改善するよう米軍に強く求めるべきである [2008 年 8 月 28 日航跡調査結果 ] [2008 年 8 月 29 日航跡調査結果 ] [2008 年 9 月 2 日航跡調査結果 ] [2008 年 9 月 3 日航跡調査結果 ] 7
(2) 日米合意による在日米軍の安全基準 11999 年 1 月日米合同委員会合意 在日米軍による低空飛行訓練 政府は 平成 10 年 5 月から 低空飛行訓練の安全性確保と地元住民への影響軽減のため具体的措置について米側と協議を行い 平成 11 年 1 月 14 日 高村外相 コーエン国防長官会談で意見の一致が得られたのを受け 同日日米合同委員会を経て 在日米軍による低空飛行訓練について と題する確認文書を公表した 主な合意事項平成 11 年 1 月 14 日 日米合同委員会は 在日米軍による低空飛行訓練について公表することに合意した なお 日米両国政府は 今後 必要に応じ 低空飛行訓練について協議していくこととなっている 1. 最大限の安全性を確保するため 在日米軍は 低空飛行訓練を実施する区域を継続的に見直す 低空飛行の間 在日米軍の航空機は 原子力エネルギー施設や民間空港などの場所を 安全かつ実際的な形で回避し 人口密集地域や公共の安全に係る他の建造物 ( 学校 病院等 ) に妥当な考慮を払う 2. 在日米軍は 国際民間航空機関 (ICAO) や日本の航空法により規定 される最低高度基準を用いており 低空飛行訓練を実施する際 同一の 米軍飛行高度規制を現在適用している 3. 低空飛行訓練の実施に先立ち 在日米軍は 訓練区域における障害物な いし危険物について 定期的に安全性評価の点検を行なう 5. 在日米軍は 日本国民の騒音に対する懸念に敏感であり 週末及び日本 祭日における低空飛行訓練を 米軍の運用即応態勢上の必要性から不可 欠と認められるものに限定する 以上の日米合意からすると人口密集地域や公共の安全に係る他の建造 ( 学校 病院等 ) に妥当な考慮を払うとされているが 普天間飛行場周辺には121 箇所以上の公共施設があり それを回避し飛行訓練を行なうことは不可能なことと言わざるを得ない 8
22000 年 9 月日米合同委員会合意 環境原則に関する共同発表 日米両政府は 2000 年 9 月 11 日に 環境原則に関する共同発表において 日米両政府の共通の目的は 施設及び区域に隣接する地域住民並びに在日米軍関係者及びその家族の健康及び安全を確保することである と宣言し その上で 環境管理基準について 日米の関係法令のうち より厳しい基準を選択するとの基本的考え方の下で作成される日本環境管理基準 (JEGS) に従って行われる としている その日本環境管理基準においては10 章 騒音 が削除され 削除の根拠としては 委員会は 人体の健康と環境を確実に守るのに 海外の国防総省施設の騒音に関する軍規則とプログラム指針が適切であると考えた と記述されている しかしながら 海外の国防総省施設の騒音プログラム ガイダンスである海軍作戦本部長指針 11010.36B(OPNAVINST11010.36B) の航空施設整合利用ゾーンプログラム (Air Installallation Compatible Use Zone Program) を普天間飛行場に適用すると明らかに違反していることが明白であり 日米共同発表における日米両政府共通の目的である 施設及び区域に隣接する地域住民並びに在日米軍関係者及びその家族の健康及び安全を確保すること に反した実態がある 9
(3) 米国海兵隊による安全基準 米国内海軍及び海兵隊航空施設整合利用ゾーンプログラム [AICUZ] 米国内において海軍及び海兵隊の航空基地を対象に適用されているA ICUZ 海軍作戦本部長インストラクション (OPNAVINST11 0.36B) によると 滑走路の両端の延長線上 4,500Mにおいては住宅や学校 病院 集会場などがあってはならないことになっている しかし このインストラクションを普天間飛行場に適合した場合 滑走路北側は普天間第二小学校 普天間小学校 普天間高校等の教育施設が CLEARZONE 若しくはAPZに含まれ 北中城村の一部まで続いている 滑走路南側においては 上大謝名地区 嘉数地区の住宅地域 浦添総合病院 浦添市陸上競技場等 浦添市広域までも含んでいることになる 以上のことから普天間飛行場は米国内においては 米国の基準に照らし合わせて 成り立たない安全上不適格な飛行場であり 欠陥飛行場であると言える [AICUZ による固定翼機事故危険ゾーン ] 10
(4) 普天間飛行場マスタープランによる安全基準 クリアゾーン設定問題 2007 年に本市が入手した海兵隊航空基地普天間マスタープランによると ( 軍事航空施設の ) 運用上の制約について1 航空施設整合利用ゾーン (AICUZ) 2 航空機事故可能性ゾーン (APZ) 3 航空施設安全クリアランス ( クリアゾーン ) の3つの基準を記述している 1について海外基地における航空運用のために行うことができるかもしれないが 必要条件ではない 2について米国内の航空基地では設定されるが 国外の軍用施設には適用されない 3については普天間飛行場のクリアゾーンは滑走路中心線の両側と 滑走路両端から伸びる部分に設定されており 障害物を排除し 離着陸の際の安全を確保するエリアとして開発が制限しており クリアランス表面にかかる建物が過去に存在したが結果的に買い取られ倒壊されたとの記述がある 以上 普天間飛行場マスタープランでは 普天間飛行場のクリアゾーンが確保され傾斜のある空間にも問題なく 米海軍の運用基準を満たしているかのように記述されているが 実態は全く異なり クリアゾーン内に市立普天間第二小学校 新城児童センター等の公共施設や保育所 病院等が18 施設 住宅が約 800 棟 3,000 人余りの住民が居住している状況がある クリアゾーン内には公共施設 保育所 病院が18 箇所 住宅約 800 戸約 3,600 人余の住民が居住している 11
5 航空法による安全基準 航空法においては航空機が安全に離着陸するために 空港周辺の建物等設置 の制限を定め 飛行場周辺の一定の空間を障害物が無い状態にしておくよう制 限表面を設定することになっている 下記制限表面図 航空法第49条 第5 6条の3 しかしながら 米軍基地においては国内法が適用されないことから 普天間 飛行場周辺においては滑走路延長線上においても障害物が設置され 基地が運 用されることによって米軍機及び周辺住民が非常に危険な状況に置かれている 図面引用 大阪航空局ホームページ 空港周辺における建築物設置の制限 普天間飛行場南側 民間鉄塔 位置図 普天間飛行場南側 民間鉄塔 写真 12