STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 1 電子情報技術産業協会 (JEITA) 半導体技術ロードマップ専門委員会 (STRJ) ワークショップ 2010 年 3 月 5 日コクヨホール スピン流とスピントロニクス 高梨弘毅 東北大学 金属材料研究所 Research
発表構成 1. イントロダクションスピン流とは何かスピントロニクスとスピン流の関係 2. 歴史的経緯 GMR/TMR と磁気ヘッド 3. スピントロニクスデバイスの現状磁気ヘッド MRAM スピントランジスタ 4. スピン流研究の最近の進展と応用 5. まとめ STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 2
スピン流とは (1) 自転の角運動量 e - S スピン 磁気の根源 スピン流 最近注目されるようになった新概念 J s = J - J 電子 電 荷 電気の根源 電 流 200 年以上にわたる研究日常生活に不可欠 J e = J + J STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 3
スピン流とは (2) 生成 スピン緩和 拡散 物理信号 ( 磁気 電気 光 熱 etc.) スピン流 消滅 変換 物理信号 ( 磁気 電気 光 熱 etc.) STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 4
電流を伴う場合 スピン流の例 (1) 強磁性体から非磁性体への電気的スピン注入. 強磁性体 非磁性体 スピン流 スピン流 J s = J - J スピン拡散長 100 nm ~ 1 μm J J Js STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 5
電流を伴わない場合 スピン流の例 (2) 電子の動きあり 電子の動きなし J s J e = J + J = 0 J s 非局所スピン注入スピンホール効果 磁壁の移動スピン波, など STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 6
スピン流の特徴 電流にとっての スピン流にとっての 伝導体 ( 金属 半導体 ) = 伝導体 絶縁体 絶縁体 STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 7
エレクトロニクス電気伝導と光学特性を制御 (s, p 電子 ) スピントロニクスとは 電子電荷 + スピン ナノテクノロジー マグネティクス磁化を制御 (d, f 電子 ) 電流や光で磁化を制御する 磁気 スピン流伝導 光 磁化で電流や光を制御する 現象巨大磁気抵抗 (GMR) 効果トンネル磁気抵抗 (TMR) 効果スピン注入 / スピン蓄積電流誘起磁化反転キャリア / 光誘起強磁性 デバイス GMR / TMR ヘッド磁場センサー磁気ランダムアクセスメモリ (MRAM) スピンスイッチ / トランジスタスピンロジック STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 8
ハードディスク面記録密度の変遷 垂直磁気記録 TMR ヘッド (MgO) 面記録密度 (Gbit/inch 2 ) 高配向メディア TMRヘッド (Ti-O, Al-O) スピンバルブGMRヘッド 100%/year メディア材料の改良 MRヘッド 60%/year 薄膜ヘッド 30%/year 30%/year 金属人工格子 GMR の発見 TMR ブレイクスルー 年 STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 9
2007 年ノーベル物理学賞 Albert Fert (France) Peter Grünberg (Germany) Fe Cr Fe 巨大磁気抵抗効果 (GMR) の発見 Fe Cr Fe M. N. Baibich et al., Phys. Rev. Lett., 61 (1988) 2472. HDD 記録密度の飛躍的向上 The first major application of nanotechnology スピントロニクスの発展 Giant Magnetoresistance (GMR) 磁化が平行状態と反平行状態とで電気抵抗が大きく変化する. ( スピン依存伝導 ) スピンバルブGMRヘッドの原理 STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 10
Nobel week in Stockholm, December 2007 授賞式にて 12 月 10 日 ノーベル賞講演にて 12 月 8 日 スウェーデンロイヤルアカデミーによるレセプションにて 12 月 7 日晩餐会にて12 月 10 日 STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 11
基本的なデバイス構造 1. CPP (Current-Perpendicular-to-Plane: 膜面垂直通電 ) 型 絶縁体 sub μm ~ μm 上部電極 I 応用例 :MRAM セル再生ヘッド M A or 強磁性金属 A 下部電極 M B 中間層 強磁性金属 B 中間層 = 絶縁体 : トンネル磁気抵抗効果 (TMR) 金 属 : 巨大磁気抵抗効果 (CPP-GMR) 磁気抵抗効果 (MR) の大きさ : ΔR R P A P B P A(B) : スピン偏極率 STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 12
基本的なデバイス構造 2. Lateral structure( 面内構造 ) 型 応用例 : スピントランジスタ 非局所配置 Non-local geometry 強磁性金属 sub μm ~ μm V G I 強磁性金属 純粋なスピン流 スピン偏極電流 非磁性体 スピン注入 J e = J + J = 0 J s = J - J 0 スピン緩和 ( 拡散 ) STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 13
スピントロニクスデバイスの現状 磁気ヘッド (HDD 用再生ヘッド ) 高 MR と低抵抗化の両立が鍵 磁気メモリ MRAM からスピン RAM( スピン注入型 ) へ スピントランジスタ 半導体へのスピン注入が鍵 STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 14
磁気ヘッド : 高 MR と低抵抗化 MR ratio (%) 120 100 80 60 40 20 0 0.01 Reported MR ratio in small RA region Over 1Tbit/inch 2 Co 2 FeAl/Cu (HGST) 2 3 4 5 6 7 0.1 2 3 4 5 6 7 RA (Ω μm 2 ) 単位面積当たりの抵抗値 (RA) と抵抗変化率 (MR ratio) の関係 MgO-MTJ (ANELVA&AIST) Co 2 MnSi/Ag (Tohoku Univ.) Co 2 MnSi/Cu (TDK) Co 2 MnSi/Cr (Tohoku Univ.) Co 2 FeAlSi/Ag (NIMS) CoFe/Cu (Toshiba) 1 2 3 4 5 低抵抗化に伴う TMR の減少スピン注入効率の減少 ( 本質的 ) ハーフメタル ( スピン偏極率 100 %) ホイスラー合金への期待 TMR CPP-GMR STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 15
磁気ランダムアクセスメモリ (MRAM) の原理 読み出し 低抵抗 0 高抵抗 1 高集積化に伴う書き込み電流の増大が最大課題 書き込み 磁化反転 0 1 メモリセル配列 STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 16
MRAM からスピン RAM へ 高集積化および低消費電力化のために書き込み電流の低減が不可欠 Advantage of current-induced magnetization reversal スピン注入磁化反転スピントランスファートルク (GMRの逆効果) スピン流と磁気モーメントの相互作用 スピン RAM MRAM STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 17
スピン RAM: 垂直磁化の利用 スピン注入磁化反転の臨海電流値低減が必要不可欠 垂直磁化膜の利用 CoCr 系合金膜 Ni/Co, Co/Pd 等, 人工格子膜 TbFeCo 等,RE-TM 系アモルファス合金膜 FePt, FePd, CoPt 等規則合金膜 垂直磁化 TMR 型高集積化対応 垂直磁化層 トンネル障壁 垂直磁化層 垂直磁化磁壁移動型高速化対応 磁壁 垂直磁化細線 STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 18
スピントランジスタ 磁性体の持つ記憶機能 半導体の持つ論理機能 融 合 スピントランジスタ 酸化物層 ソース ( 磁性体 ) ゲート ドレイン ( 磁性体 ) 平行磁化 g m 大反平行磁化 g m 小 Current I D Current I D V G シリコン ( 半導体 ) V DS V DS Spin MOSFET S. Sugawara et al., Appl. Phys. Lett., 84 (2004) 2307. J. Appl. Phys., 97 (2005) 10D503. 再構成可能な論理回路リコンフィギュラブルコンピューティング 強磁性金属から半導体へのスピン注入が鍵! STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 19
強磁性金属から半導体へのスピン注入 実験例 Fe/GaAs CoFe/Si X. Lou et al., Nature Physics, 3 (2007) 197. 近年急速に実験の進展がある. In-plane magnetic field (Oe) I. Appelbaum & D. J. Monsma., Nature, 447 (2007) 295. STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 20
純粋スピン流の創出 制御 そして応用 純粋なスピン流の創出 非局所配置 I 強磁性体 スピン流 ( 電流なし ) 純粋スピン流 スピン流 ( 電流あり ) スピン偏極電流 非磁性体 スピンホール効果 ( 電流 スピン流 ) スピンポンピング ( 電磁波 スピン流 ) スピンゼーベック効果 ( 熱 スピン流 ) STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 21
スピンホール効果 磁性体を使わない電流スピン流変換電流を伴わない純粋なスピン流の生成と検出 j q スピン軌道相互作用 スピン流 電流 電 流 スピン流 正スピンホール効果 電流を流すと垂直方向に スピン流が生じる = スピンホール効果 Spin Hall Effect (SHE) 逆スピンホール効果 スピン流を流すと垂直方向に 電流が生じる = 逆スピンホール効果 Inverse Spin Hall Effect (ISHE) STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 22
Au の巨大スピンホール効果 ( 東北大 高梨グループ : T. Seki et al., Nature Mater. 7 (2008) 125.) ΔR ISHE ~ 1.15 mω d = 70 nm ~ 400 nm 室温で巨大なスピンホール効果の観測に成功. スピンホール角 ~ 0.1 全体の 10 % に当たる電子のスピンが アップかダウンかに分別できる. STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 23
スピンゼーベック効果 (1) ( 慶大 / 東北大 齊藤グループ : K. Uchida et al., Nature 455 (2008) 778.) 電圧 熱電変換能が異なる 2 種の金属 スピン圧 スピン依存電気化学ポテンシャルの差熱電変換能が異なる2つのスピン伝導チャンネル - V + 強磁性金属 (NiFe) 熱によるスピン流生成 + V - 逆スピンホール効果によるスピン流の電気的検出 高効率熱電素子の可能性 STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 24
スピンゼーベック効果 (2) スピンゼーベック効果は磁性絶縁体でも生じる 局在スピンの集団励起 ( スピン波 ) が起源 空間分布測定 金属系と同様の振舞い スピン圧は両端で逆符号 + mm スケールに分布 起電力の温度差依存性 スピンゼーベック効果と絶縁体スピン流を用いることで スピン情報の長距離伝送が可能に! ( 東北大 齊藤グループ Work in Progress - Do ) not publish STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 25
スピン流の伝搬 STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 26
純粋スピン流による磁化反転 ( 東大 大谷グループ : T. Yang et al., Nature Phys. 4 (2008) 851.) Cu - V + Au NiFe Au NiFe I 磁化平行 ( 初期状態 ) NiFe NiFe 電流 I dc I spin スピン流 Cu 磁化反平行 NiFe NiFe 電流 I dc I spin I spin スピン流 Cu STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 27
スピン流回路 入力変換 スピン注入 スピン流の混合 スピン流の分流スピンシンク スピン流の光検出自然旋光性? スピンホール効果 スピンポンピング J e スピンゼーベック効果 J e スピン流 J s V スピン流の増幅? hν A % 磁気構造制御スピントルク 出力変換 スピン蓄積 逆スピンホール効果 省エネルギー? 低ノイズ? STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 28
科研費特定領域研究 スピン流の創出と制御 (2007~2010 年度 ) 創出物性機能制御 A01 スピン源の探索 創製 高梨 ( 東北大 ) 黒田 ( 筑波大 ) 白井 ( 東北大 ) 高橋 ( 物材機構 ) 藤森 ( 東大 ) 山本 ( 北大 ) A03 スピン流と光物性 大野 ( 東北大 ) 安藤 ( 東北大 ) 永長 ( 東大 ) 宗片 ( 東工大 ) 田中 ( 東大 ) A05 スピン流の機能と制御 清水 ( 農工大 ) 鈴木 ( 阪大 ) 仲谷 ( 電通大 ) 高スピン偏極材料構造 形態 M スピン流 A02 スピン流とナノヘテロ構造 大谷 ( 東大 ) 秋永 ( 産総研 ) 井上 ( 名大 ) 新田 ( 東北大 ) A04 スピン流と電子物性 小野 ( 京大 ) 勝本 ( 東大 ) 齊藤 ( 東北大 ) 多々良 ( 首都大 ) 前川 ( 東北大 ) STRJ WS: March5, 2010, 特別講演 29