FCH2JU は欧州全体の水素 燃料電池技術開発をリードしており 主に交通 エネルギーシステム 分野横断型のプログラムを実施している 定量目標 戦略名称 関連主体 期間 予算 定性目標 FCV 水素 ST 需給量 第 2 期燃料電池水素共同実施機構 (FCH2JU) 欧州委員会 Hudrogen Europe N.ERGH 2014~2020 年 N/A 2050 年の低炭素経済のため 2014~2020 年にかけて 燃料電池 水素技術を 欧州のエネルギー及び交通システムの主要手段の 1 つとすることを目指す 250 万台 (2020 年 )/2,500 万台 (2030 年 ) EU HyWays European Hydrogen Energy Roadmap(2008 年 ) の値 N/A N/A 予算配分 EU 目標値 (1990 年比 ) FCH2JU:2014-2020 年の予算配分 (2017 年 1 月時点 ) CO2 削減目標再エネ導入率エネルギー効率 2020 年 2030 年 2050 年 -20% +20% -40% +27% -80%~ -95% +20% +27% - - プロジェクト数 :36 標準化 安全性 普及啓発 エネルギー プロジェクト数 :114 水素製造 水素貯蔵 燃料電池等 49% 分野横断 5% 39million 43 億円 354million 392 億円 46% 337million 373 億円 運輸部門 プロジェクト数 :52 FCV 水素 ST 燃料電池鉄道等 1 出所 :FCHJU HCH2JU 2014-2020plan より作成
FCH JU の成果報告会 (2017 年 11 月 22 日 ) では 水素 燃料電池技術は中長期的な気候変動対策に重要な役割を果たすことが強調された FCH JU Stakeholder Forum(2018 年 ) のアジェンダと発表内容の一例 セッション テーマ 発表者 発表内容の一例 Ⅰ 水素に関するイノベーションについて 欧州委員会研究総局 出版局 エネルギー総局 / Air Liquide( フランス ) Siemens ( ドイツ ) 既存の技術 インフラを活用することで コストを抑えて水素需要 供給を増大させることを目指す (Air Liquide) 水素のエネルギー密度を活かした長距離輸送のアプリケーションの製品化を目指す (Siemens) Ⅱ 水素の経済性について Hydrogen Council / Ballard( カナダ ) / Hydrogenics( カナダ ) / NEL Hydrogen( ノルウェー ) / SOLIDpower( オーストラリア ) / Voestalpine( オーストリア ) / Tower Transit( シンガポール ) 水素の大量導入により CO2 排出量を約 60 億 t-co2/ 年を削減することができる (Hydrogen Council) 中国は大きな水素 燃料電池のマーケットになり得る (Ballard) Ⅲ グローバル視点での水素社会について 環境省 ( オランダ ) / DOE( 米国 ) / NEDO( 日本 ) / NOW( ドイツ ) / Energy and Industrial Strategy( イギリス ) /Wuhan University of Technology( 中国 ) オランダでは早期の ZEV 規制を想定しており FCV も選択肢になり得る ( 環境省オランダ ) エネルギーセキュリティーとしての水素の検討を進める (DOE 米国 ) 水素は再生可能エネルギー導入拡大のための貯蔵としての役割がある (NOW ドイツ ) Ⅳ イノベーションに向けた協業について Hydrogen Europe Research / VTT Technical Research Center Finland( フィンランド ) / ドイツ航空宇宙センター / フランス国立科学研究センター / ノルウェー産業科学技術研究所 水蒸気から水素を抽出するエネルギー源として 集光型太陽熱発電の鏡の仕組みを検討 ( ドイツ航空宇宙センター ) 水力由来の水素を輸出することを検討 ( ノルウェー産業科学技術研究所 ) Ⅴ 水素の将来展望について FCH JU 欧州委員会運輸総局 研究総局 エネルギー総局 水素 燃料電池技術は中長期的な気候変動対策に重要な役割を果たす (FCH JU) 今までの実証事業を振り返り 市場影響力が高い技術の商業化に注力する段階である ( 欧州委員会研究総局 ) 2
低炭素 非低炭素 < 参考 : グリーン水素に係る認証スキームの検討状況 (1/3)> 欧州では FCH2JU のプログラムの一つ CertifHy において 民間企業協力の下 Green H 2 の定義及びその認証スキームが議論されている FCH2JU における分野横断型プロジェクト例 : CertifHy プロジェクト名 ( 期間 ) プロジェクト概要 CertifHy (Phase1: 2014 年 11 月 ~2016 年 10 月 Phase2: 2017 年 10 月 ~2018 年 Phase3: 202X 年 ) Green H 2 の製造 活用を支援するため 欧州全体で活用可能な水素の GO *2 ( 水素発生源証明 ) スキームを開発 再生可能エネルギーの利用拡大 輸送業とエネルギー多消費型産業の脱炭素化の実現を図る Green H 2 の定義 GO スキーム活用例 GO (Guarantees of Origin) スキーム概要 ( 水素製造時 CO 2 排出量 ) 原料採掘から水素製造までの CO 2 排出量基準値 *1 : 91 g CO 2 eq /MJ H2 製造時 CO 2 排出量が基準に比べ 60% 以上低い水素を 低炭素と認証 閾値 : 36.4 g CO 2 eq /MJ H2 Green H 2 ( 再生可能エネルギーを活用して製造 ) Grey H 2 Low Carbon H 2 ( 原子力等 再生可能エネルギー以外を活用して製造 ) 認証 認証付与 Green H 2 製造者 認証 1 証書のみを取引き ( 環境価値が移転 ) 2 証書と組合わせることで Grey H2 を低炭素水素として取り扱い 3 直接調達せずとも環境価値の高い水素を取引可能となる Grey H 2 製造者 認証 Grey H 2 低炭素水素として取引 ユーザ *1: EU で一般的 (95% 以上 ) に販売されている水素として Best Available Technology による水素製造 ( 天然ガスの水蒸気メタン改質 ) 時に排出される CO 2 量を設定 *2: GO = Guarantees of Origin 出所 : CertifHy 公式ウェブサイト 3 2016 年 10 月 27 日 スキーム活用環境整備や実証運用プロジェクトの必要性を確認し Phase1 終了
< 参考 : グリーン水素に係る認証スキームの検討状況 (2/3)> 2017 年より Phase2 が開始され GO スキームの試行事業を開始 CertifHy プロジェクトの背景 概要 プロジェクト 背景 欧州の温室効果ガス排出削減目標達成のため エネルギー多消費産業の脱炭素化が求められており 水素を利用する石油精製業や化学産業における低炭素化が必要となっている 欧州では 水素は再生可能エネルギーの貯蔵が可能なエネルギーキャリアとして注目されており PtG が積極的に検討されている また 水素の燃料としての活用が運輸部門においても期待されている ( 燃料電池自動車 燃料電池バス等 ) 上記の取り組みを推進するため 低炭素な水素の環境価値の顕在化が求められている Phase1 2014-2016 水素発生源証明取引の短期的 長期的な市場規模の試算 グリーン水素の定義の検討 過去や既存の GO のプラットフォームの確認し 水素発生源証明取引の定義の調整 水素発生源証明取引の主な手法及び対象範囲の決定 検討概要 Phase2 2017-2018 水素発生源証明取引のステークホルダーの会合を設定 グリーン水素及び低炭素水素の発生源証明のスキームを決定 スキームを試行事業としてテスト 水素発生源証明取引の普及に向け 今後の取り組みを明確化 Phase3-202X 水素発生源証明取引の欧州への普及に向けた準備 水素発生源証明取引の規定 標準化の決定 最終化 出所 :CertifHy の Stakeholder Meeting より作成 4
< 参考 : グリーン水素に係る認証スキームの検討状況 (3/3)> Phase2 では 欧州での浸透を目的にスキームの標準化を検討 グリーン水素に係る認証スキームの標準化の検討状況 標準化の 目的 欧州でグリーン水素に係る認証スキームを展開 普及させていくためには 算定方法や手続き等の一貫性や整合性の確保が重要である そこで CertifHy プロジェクトでは 検討したグリーン水素に係る認証スキームを標準化を検討する 標準化の方向性 検討している標準 標準の概要 指摘されたメリット デメリット 規格の新規発行 CEN ( 欧州標準化委員会 ) 欧州を中心とした 34 か国のメンバーで構成される組織であり 欧州連合 (EU) と欧州自由貿易協会 (EFTA) により分野 (CENELEC) と通信分野 (ETST) 以外の分野における公式な標準化を保証する組織 水素の特性を規定できる 規格の発行まで 2~3 年要するため 迅速な対応が困難 既存規格への対応 EN 16325 ( エネルギーに係る発生源証明 (GO)- ) I-REC の発生源証明 (GO) に係る規格 Go の登録 発行 移転 取消に係る要件を規定 また GO のモニタリング方法や監査手順について規定している 再生可能エネルギー由来のの発生源証明 (GO) に係る国際的な規格 欧米では 民間企業や消費者に自発的に使用され ブラジル ロシア イスラエル等でも一部利用が検討 日本では 本規定を利用するか協業中 解釈や適応を整理すれば 迅速な対応が可能 水素の特性を規定できるかの検討が必要 解釈や適応を整理すれば 迅速な対応が可能 水素の特性を規定できるかの検討が必要 出所 : CertifHy の Stakeholder Meeting より作成 5
< 参考 : 再生可能エネルギー由来水素の製造に関する実証事業 (1/7)> 欧州では再生可能エネルギー由来水素の製造に関する実証事業に取り組んでおり 実施中の実証事業は 5 つ存在する FCH JU(Power to Gas) の主要プロジェクト ( 参考 )FCH JU の水電解プロジェクトへの投資額 2015 年 ~2020 年 2012 年 ~2017 年 2016 年 ~2019 年 アルカリ水電解 12% その他 7% 69 百万 EURO (8,161 百万円 ) 51% PEM 水電解 2017 年 ~2021 年 SOEC 水電解 29% 2017 年 ~2021 年 6
< 参考 : 再生可能エネルギー由来水素の製造に関する実証事業 (2/7)> FCH JU の Power to Gas の実証事業では 変動型再生可能エネルギーの余剰電力活用による系統安定化とグリーン電力活用による低炭素化を目的としている FCH JU サマリーページ 目的水素製造源水電解装置水素利用 1 Don Quichott 余剰電力の水素製造 貯蔵による系統の安定化 風力発電 太陽光発電 PEM 水電解 アルカリ水電解 燃料電池 FC フォークリフト 2 HyBalance 安価電力を活用した水素製造 貯蔵による系統安定化 風力発電 PEM 水電解 燃料電池 FCV/FC バス /FC トラック 3 4 GrInHy 可逆可能な SOEC/FC の実証及び効率の向上 水電解装置の大規模化等による設備コスト削減 再生可能エネルギー SOEC 水電解 製鉄製造 SOFC 燃料電池 H2Future 製鉄製造プロセスの低炭素化 再生可能エネルギー PEM 水電解 製鉄製造 5 Demo4grid 大規模水電解装置を活用した系統安定化 再生可能エネルギー アルカリ水電解 燃料電池 FCV/FC バス /FC トラック 7
1 < 参考 : 再生可能エネルギー由来水素の製造に関する実証事業 (3/7)> 再生可能エネルギーの余剰電力を活用し水素製造 貯蔵を行い系統安定化を目指す実証事業である Don Quichote 目的 再生可能エネルギーの余剰電力より水素製造 貯蔵を行い 系統安定化を行う 実証地 ベルギー ( ブリュセル ) ステークホルダー 期間 2012 年 ~2017 年 概要 予算 技術 概要 4.9 百万 EURO( 約 5.8 億円 ) 風力発電 :1.5MW/ 太陽光発電 :800kW PEM 水電解装置 :150kW/ アルカリ水電解の併用 :150kW 水素製造能力 :30Nm3/h 圧縮貯蔵タンク :450bar 130kg/ 日 Phase1 約 80kg/ 月 ( アルカリ水電解 :30Nm3/h) 稼働率 :4% 自営線を活用し余剰電力を水素製造 貯蔵 利用する ( オンサイト ) グリーン認証 (GO) を活用している 製造貯蔵 供給利用 電力系統 サプライチェーン イメージ図 風力 H2 燃料電池 8 太陽光 水電解装置水素貯蔵 FC フォークリフト
2 < 参考 : 再生可能エネルギー由来水素の製造に関する実証事業 (4/7)> 風力発電の安価電力を活用し水素製造 貯蔵を行い系統安定化を目指す実証事業である HyBalance 目的 風力発電の安価電力を活用し水素製造 貯蔵を行い 系統安定化を行う 実証地 期間 デンマーク 2015 年 ~2020 年 ステークホルダー 予算 15.2 百万 EURO( 約 18 億円 ) 概要 技術 概要 PEM 水電解装置 :1MW 水素製造能力 : 230Nm3/h 水素供給量 :500kg/ 日 1000 台のFCV 相当の水素供給を行う 再エネ電力の価格推移をモニタリングし 安価電力を自己託送し水素製造 貯蔵 利用する 製造貯蔵 供給利用 サプライチェーン イメージ図 電力系統 H2 水素発電 風力 水電解装置 水素 貯蔵 FCV/FCBus/FCTruck 9
3 < 参考 : 再生可能エネルギー由来水素の製造に関する実証事業 (5/7)> グリーン水素を活用し 製鉄製造プロセスの低炭素化及び系統安定化を目指す実証事業である GrInHy 目的 可逆可能な SOEC/FC の実証及び効率の向上 水電解装置の大規模化等による設備コスト削減 実証地 ドイツ ( ザルツギッター ) ステークホルダー 期間 2016 年 ~2019 年 予算 4.5 百万 EURO( 約 5.3 億円 ) 概要 技術概要 SOEC 水電解装置 :150kW 水素製造効率 : 40Nm3/h SOFC 燃料電池 :25kW( 天然ガス / メタン改質由来 ) 35kW( 純水素 ) 発電効率 :55% ( 天然ガス / メタン改質由来 ) 53% ( 純水素 ) 水素供給量 :4 百万 Nm3 系統電力を活用し水素製造 供給を行っている 稼働目標時間 : 7,000 h ( 約 80%) グリーン電力 : 6.88 セント /kwh 製造 供給 利用 サプライチェーンイメージ図 天然ガス 電力系統 水電解 (SOEC) 燃料電池 (SOFC) H2 製鉄製造 電力系統 10
4 < 参考 : 再生可能エネルギー由来水素の製造に関する実証事業 (6/7)> グリーン水素を活用し 製鉄製造プロセスの低炭素化を目指す実証事業である H2Future 目的 製鉄製造プロセスにおいて グリーン水素の活用により二酸化炭素排出量の削減 世界の二酸化排出量の内 製鉄産業による二酸化炭素排出量割合は 7% 実証地 オーストリア ( リンツ ) ステークホルダー 概要概要 期間予算技術概要 2017 年 ~2021 年 17 百万 EURO( 約 20 億円 ) PEM 水電解装置 :6MW(1.25MW 4) 水素製造能力 :225Nm3/h SILYZER 200(SIEMENS) 耐久性 :80,000 時間 系統電力を活用し水素製造を行う 電力由来の識別は 電力証書 (GO) に基づき実施する予定である 製造 供給 利用 サプライチェーンイメージ図 電力系統 H2 再エネ発電 水電解装置 水素 製鉄製造 11
5 < 参考 : 再生可能エネルギー由来水素の製造に関する実証事業 (7/7)> 大規模水電解装置を活用し 再生可能エネルギーによるグリーン水素製造及び系統安定化を目指す実証事業である Demo4grid 目的 大規模水電解装置 ( アルカリ水電解 ) を活用した系統安定化 実証地 期間 オーストリア 2017 年 ~2021 年 ステークホルダー 概要概要 予算 技術 概要 7.7 百万 EURO( 約 9.1 億円 ) アルカリ水電解装置 :4MW エネルギー変換効率 :52kWh/kg-H2 設備コスト :630EUEO/kW 圧縮貯蔵タンク :33bar 水素供給量 :1600-1800kg-H2/ 日 系統電力の余剰電力を活用し水素製造を行う 製造 貯蔵 供給 利用 サプライチェーンイメージ図 電力系統 H2 水素発電 水電解装置 水素 貯蔵 FCV/FCBus/FCTruck 12