採択日 :2003 年 12 月 1 日改訂発効日 :2006 年 1 月 1 日遡及適用 : なし公開コメント期間 :2002 年 10 月 ~2003 年 5 月 -1- プライベート エクイティに関する解釈ガイダンス序論および範囲プライベート エクイティは 洗練された投資家にとってますます主流の資産の一つになってきている プライベート エクイティは さまざまな発展段階にある未公開会社への投資を意味し ベンチャー投資 バイアウト投資 メザニン投資を含む 投資家は 一般に 個別ファンドまたはファンド オブ ファンズを通じてプライベート エクイティ投資を行う 個別ファンドは 通常 投資ステージおよび地域を特定したリミテッド パートナーシップである また 投資家は ファンド オブ ファンズを通じて複数の原ファンドに出資を行うことになる 投資家によっては しばしば個別ファンドとの共同投資に基づき 非上場会社に直接投資する場合もある 二次投資 プライベート エクイティ ファンドの存続期限が終了する前に元の投資家からファンドに対する持分を取得すること は 広義のプライベート エクイティに含まれる 個別ファンドまたはファンズ オブ ファンズを通じてプライベート エクイティに投資を行う場合には 投資家はまず出資の約束 ( コミットメント ) を行い その後 原ファンドの運用者が投資機会を見つけるたびに資金が コール すなわち引き出される 資金は 主に 原ファンドによる非上場会社の売却または資本再構成に基づく分配を通じて投資家に戻される 場合によって投資家は会社の収益を源泉とする分配を受け取ることもある プライベート エクイティの投資形態 (vehicles) は 通常 存続期間が限定されており ( すなわちオープンエンドではない ) 一般的に流動性が低い 最終的な投資リターンは ファンドもしくはパートナーシップが解散するまでは不確定である こうしたユニークな特性を有しているため このアセットクラスにはパフォーマンス報告に関する追加的な必須基準が必要である GIPS 基準は 公正な表示と完全な開示という原則に基づいており 見込顧客に対して 運用会社のパフォーマンスを評価するために必要な重要な情報を提供することを目的としている GIPS のプライベート エクイティ基準で使用されている公正価値という概念は 国際会計基準で使用される公正価値原則を反映している パフォーマンス報告に関する必須事項が生かされるためには リターンの計算は原証券の公正価値に基づかなければならない 明確な価格が存在する公に取引される証券への投資とは異なり プライベート エクイティ投資の客観的な評価を行うことは難しい こうした難しさがあるために これら資産の評価方法の標準化を目的として ( 英国ベンチャー キャピタル協会 (BVCA) 欧州ベンチャー キャピタル協会(EVCA) US プライベート エクイティ業界ガイドライン グループ (PEIGG) による ) 共同ガイドラインが策定された GIPS プライベート エクイティ評価原則は高次元の評価ガイドラインを示したものであり これに対して さまざまな国 地域のガイドラインはそれを支える方法論を規定する 会社は 過去 5 年分のパフォーマンス記録を策定するためにプライベート エクイティ資産の過去の評価および取引記録を集めることができないかもしれない このため 会社は 2006 年 1 月 1 日より以前の期間におけるこれら資産の非準拠記録を 準拠パフォーマンスにリンクしてもよい ただし 当該パフォーマンスが GIPS 基準に非準拠である理由について適切な開示を行うことが必要である 投資ストラクチャーリミテッド パートナーシップ (GIPS プライベート エクイティ基準が適用される ) 世界のプライベート エクイティ業界で 最も一般的な投資形態 (vehicle) は 独立した 私募の 期限付きクローズド エンド ファンドであり 通常はリミテッド パートナーシップとして組成される これらのファンドは 本資料は GIPS Executive Committee ( 前身は IPC) が採択した GIPS の プライベート エクイティに関する解釈ガイダンス (Interpretive Guidance for Private Equity) 全文 ( 英語 ) の日本語訳である 翻訳は 日本における GIPS カントリー スポンサーである ( 社 ) 日本証券アナリスト協会が行った 本ガイダンス ステートメントの日本語訳と原文である英語版との間に矛盾があるときは 英語版を正本とする 本翻訳物の著作権は ( 社 ) 日本証券アナリスト協会に属する
-2- 一般的には 10 年間の存続期限を有しており 投資家の合意により予め設定された期間 ( 例えば 2 年間 ) の延長が可能である クローズド エンド ファンドと呼ばれるのは 当該ファンドの存続期間中 投資家数ないし口数が固定されており 新規投資家を受け付けないためである リミテッド パートナーシップは 外部投資家 ( リミテッド パートナー ) から資金 ( すなわち 出資約束金額もしくはコミットメント ) を集めるジェネラル パートナーにより管理される共同持分 (pooled interests) のファンドである ジェネラル パートナーは 出資約束金総額に対し 一般的に年率 1~3% の運用報酬を課す ほとんどのファンドは ジェネラル パートナーが少なくとも1% の名目的な投資を行うことを必要としている さらに ジェネラル パートナーは 通常 利益の 20% を分け前 ( 成功報酬 <carried interest>もしくは単に キャリー と呼ばれる ) として取る ジェネラル パートナーは 会社に投資するのに必要な資金を投資家から何回かに分けてコール (call) する これらの資金のコールは ドローダウン とも呼ばれる このタイプの投資形態 (vehicles) のもう一つのユニークな特徴は 投資による収入はすべて投資家に分配されなければならないということである 再投資は ジェネラル パートナーとリミテッド パートナー間の契約書に予め定められた条件を満たした場合にのみ認められる このタイプのストラクチャーにおいては パフォーマンスは リミテッド パートナーとパートナーシップ間のキャッシュフローをベースに計算され キャッシュフローは比較的簡単に数値化できる 運用報酬は 一般に ポートフォリオの投資金額に対してではなく ファンドへの出資約束金総額に対して課される 直接投資 (GIPS プライベート エクイティ基準が適用される ) プライベート エクイティ資産への投資は ファンドやパートナーシップを経由しないで直接行うことが可能である 直接投資は 機関投資家および個人富裕層によって行われている 非上場会社に直接投資する機関投資家の多くは 正式な事前の共同投資契約に従い 自分たちがリミテッド パートナーとなっているプライベート エクイティ ファンドとの共同投資により直接投資を行う キャプティブおよびセミキャプティブ ファンド (GIPS プライベート エクイティ基準は適用されない ) 私募のリミテッド パートナーシップは プライベート エクイティ投資のための唯一の手段 (vehicle) ではない キャプティブ ヴィークルまたはセミキャプティブ ヴィークルとして組成されるものもある キャプティブは その所有組織の利益のためだけに投資を行うファンドのことをいう この親組織は 通常の企業 金融会社 保険会社 大学等である 顕著な特色は ファンドがその親組織の資金のみを投資し 他の外部投資家は存在しないことである テクノロジー企業のコーポレート ベンチャー グループはこのタイプのヴィークルの一例であり 保険会社や投資銀行も同様のヴィークルを持っていることがある このタイプのヴィークルの特徴的な点は 一般的にヴィークルが期限付きの投資プールではなく 永続的 (evergreen) であることである( 例えば 親組織がいつでも資金をヴィークルに追加またはヴィークルから引き出すことができるため 固定的なコスト ベースを持たないファンドである ) このように固定的なコスト ベースがないことにより 運用資金が増減するに伴いいコスト ベースが変動するため キャッシュフロー計算が複雑なものとなる もう一つの問題は このタイプのファンドは その所有組織に対して運用報酬を課さないことであり また 実質的に 成功報酬 制もないことである ただし いくつかの創造的なグループは インベストメント オフィサーに対して成功報酬と同様の効果がある報酬スキームを持っている この他に 外部投資家と親組織の資金を混合する セミキャプティブと呼ばれる複合型のヴィークルが存在する これらのファンドは 一般的には 外部の投資家に対して運用報酬と成功報酬を課し 投資家数が固定されているため 通常はクローズドエンドであるが エバグリーン ( 永続的 ) なセミキャプティブも存在する このように キャプティブおよびセミキャプティブ ストラクチャーは フィー控除後ベースでは 私募の期限付きリミテッド パートナーシップとの比較可能性がない したがって GIPS プライベート エクイティ基準は この業界におけるキャプティブまたはエバグリーン ファンドには適用されない オープンエンド ファンド (GIPS プライベート エクイティ基準は適用されない ) もう一つの投資ストラクチャーは 上場されたミューチュアル ファンドと同じようなオープンエンドの公募主体である このファンドは 取引所に上場され 毎日値がつく公募投資ヴィークルである これらのヴィークルは 典
型的には ミューチュアル ファンドまたは公に取引される会社と同様に運営され GIPS プライベート エクイティ基準 ( 訳注 : 第 7 節 ) に従う必要はないが GIPS 基準の一般規定 ( 訳注 : 第 0 節 ~5 節 ) に従わなければならない ファンド / パートナーシップ対コンポジットほとんどのプライベート エクイティ投資のヴィークルは リミテッド パートナーシップもしくはクローズドエンドのプールド ファンドとして組成されるが GIPS 基準はコンポジットという概念に基づき策定されている コンポジットとは 類似の投資スタイルまたは投資戦略を有するポートフォリオを1つに集めたものである プライベート エクイティに関していえば コンポジットは 同じ戦略と 組成年 (vintage year) ( 最初に資金をドローダウンした年 ) を有するファンド / パートナーシップを1つに集めたものである ほとんどの場合 1つのコンポジットに 1つのファンド / パートナーシップのみを組み入れることになろう 会社は 同じ組成年と戦略を有する複数のファンド / パートナーシップがある場合には これらを1つのコンポジットに組み入れなければならない 共同投資ファンドは そのリンク ファンドとは別個のコンポジットに組み入れるのが通常である したがって 会社は コンポジットに関するすべての基準とガイダンスが ファンドおよびパートナーシップに適用されることを認識すべきである 例えば GIPS 基準がコンポジットについて累積的な年率換算した SI-IRR( 設定来内部収益率 ) の提示を必須としているときに 一般的には 各コンポジットには1つのファンドまたはパートナーシップのみが含まれるため 結局は そのファンドまたはパートナーシップの年率換算した SI-IRR と同じことである GIPS 基準は 既存顧客に対するパフォーマンス報告よりも 見込顧客に対するパフォーマンス提示を主眼として策定されている点に留意することが重要である また 会社は GIPS 基準 3.A.1 が 運用実績のあるフィー ( 運用報酬 ) を課す投資一任ポートフォリオはすべて 少なくとも1つのコンポジットに組み入れなければならない と規定していることを認識することが重要である 会社は GIPS 基準が 一部の選ばれたコンポジット / ファンドだけの準拠ではなく会社全体としての準拠を目的としていることを理解しなければならない プライベート エクイティの資産クラスにおいては GIPS 基準の カーブアウト という概念は適用できない カーブアウトは より広いマンデートで運用されるポートフォリオから より狭いセグメントのトラックレコードを構築するために使用されるポートフォリオ資産の一部である 特に ファンド オブ ファンズで構成されるコンポジットは 多くの戦略に投資しているといえるが 見込顧客は個々の戦略に単独で投資することはできないため サブ戦略に分解してそれらを単独のコンポジットとして示すことは 誤解を招くおそれがある さらに ファンド オブ ファンズ マネジャーの付加価値は さまざまな戦略のファンドを集めることにある ファンド オブ ファンズのマネジャーが比較目的のためにサブ戦略を別途開示したい場合には この情報は補足情報として提示しなければならない ( 補足情報の使用に関するガイダンス ステートメント参照 ) 入力データ上述のように パフォーマンス報告は その元になる評価が健全な評価原則に基づくものでなければ価値がない GIPS のプライベート エクイティ評価原則は プライベート エクイティ資産評価のための一般的な基礎を定めたものである この一般的な原則は 欧州の共同ガイドラインのような より詳細な評価原則によって補足される GIPS 基準の目的の1つは 会社間の比較可能性を向上させることである GIPS のプライベート エクイティ評価原則は 会社が同一の基本原則をその評価方法のコアとして使用することを必須化することにより 基準の目的達成を助けることになる GIPS プライベート エクイティ評価原則で使用される公正価値とは 十分な知識と思慮に基づき また強制されない状況下で行動する自発的な当事者間の現在の取引において ある資産が取得または売却されるであろう価額をいう 公正価値は 評価日に売却する意思または能力を想定しておらず 主観的な判断による取引価格の推定額であり 会社の現在および将来の業績の合理的な推定に基づいていなければならない GIPS 基準は 2001 年 1 月 1 日以降 ポートフォリオは月次評価することを必須としており 2010 年 1 月 1 日以降は 大きな外部キャッシュフローの発生時ごとに評価することが必須となる しかしながら 本基準では プライベート エクイティ資産には SI-IRR が必須とされるので 評価頻度が増加してもリターン計算がより正確になるわけではない 本基準は 年次リターンの提示のみを必須としており したがって 評価が必要となるのは年度末のみである 顧客報告では 一般に より頻繁な評価が必要とされており そのことは良好なビジネス慣行と考えられる GIPS のプライベート エクイティ基準は 四半期ごとの評価を勧奨しているが これは会社がより頻繁にパフォーマンス報告を行うことができるようになるからである 少なくとも四半期ベースでの評価を行わない会社は 前年度末までのパフォーマンスしか提示できない -3-
計算方法 内部収益率 (IRR) は ポートフォリオ中での キャッシュフローのタイミングの効果を反映する プライベート エクティ資産においては 会社がポートフォリオへのキャッシュフローの出入りをコントロールするため IRR が必須である 時間加重収益率 (TWRR) は プライベート エクイティ マネジャーの管理下にあるキャッシュフローの重要な効果を捕捉することはできないので 投資家がプライベート エクイティ ファンド間のリターンを比較するための最善の方法ではない GIPS のプライベート エクイティ基準では IRR が 個々のプライベート エクイティ マネジャーにとって最も正確なパフォーマンス測定手段であるとしているが より高いレベルでの集合では そうではない可能性もある 投資家 ( 例えばリミテッド パートナー ) が いくつかのプライベート エクティ ファンドを含む より広いポートフォリオ レベルでリターンを計算しようとする場合に 当該投資家はキャッシュフローのタイミングをコントロールすることはできない このようなより広いポートフォリオの場合には TWRR がより適切であり 他のプライベート エクイティ ポートフォリオおよび他の資産クラスと ポートフォリオ レベルで比較可能な測定法となる IRR と TWRR を直接比較することは 適当ではない GIPS のプライベート エクティ基準の主目的は プライベート エクイティ運用会社間の比較可能性を提供することにあり 必ずしも投資家のパフォーマンス提示の標準化を目指すものではない IRR は 投資に関するすべての適切な流入キャッシュフロー ( 純投資のためのドローダウンのような払込出資金 ) の現在価値と 投資から生じるすべての適切な流出キャッシュフロー ( 例えば分配 ) および未実現ポートフォリオ残余価値 ( 未処分資産 ) の各現在価値の合計額とを等しくする年率化された割引率 ( 実効複利利回り ) である 投資終了以前の期間に係る累積リターンの計測では どのような IRR 計算も残余資産の評価に依存する 部分期間の IRR である r は次のように計算される 0 = n i= 0 CFi 1 + r c ( ic) ここで CF は期間 i のキャッシュフローであり n はキャッシュフローの発生総数 i はキャッシュフロー期間 c は年間の部分キャッシュフロー期間の数 ( 例えば日次キャッシュフローの場合には c =365 となる ) r は部分期間 の IRR である 部分期間の IRR は 次の計算式により年率 IRR である R に変換される R = c ( 1+ r) 1 投資ストラクチャーのセクションで述べたように プライベート エクイティの投資形態 (vehicle) の大半は 独立した私募の期限付きファンドである ファンドは固定の投資コスト ベースを持つので キャッシュフローは容易に認識され数値化できる このタイプのファンドは固定期限を持つことから 投資リターンは比較的容易に計算されると合理的に仮定できる キャッシュフロー構造の単純さおよびファンドがクローズドエンドであることから キャシュ フローの複雑な流れからしばしば発生する複数の IRR や無限の解といった 手におえないような もしくは数学的な問題があることはまれである IRR が望ましい理由の 1 つは このタイプのパートナーシップは 一般に投資家の数が不変で固定のコミットメント ( 出資約束金 ) を持ち 収入は再投資されないため 投資原価がエバーグリーンまたはオープンエンド ファンドのように増減しないことである オープンエンド ファンドは 投資家の資金追加 ( 資金引き出し ) または投資家数の追加 ( 投資家の撤退 ) により その投資プールが増加 ( 減少 ) する パフォーマンス要因分析の基本的原則の 1 つは マネジャーが 自身のコントロール不可能な決定によって評価されたりしないということである 上述のように オープエンド ファンドでは キャッシュフローの流入 流出のタイミングはすべて投資家の裁量による 時間加重収益率は ( 逆説的ではあるが ) パフォーマンス計算からキャッシュフローのタイミングを取り除くので オープンエンド ファンドは GIPS の一般基準 ( 訳注 : 第 0~5 節 ) に従い 時間収益率を報告しなければならない 独立した期限付きのプライベート エクイティ ファンドでは 資金の募集 キャピタル コールという形での資金の取り入れ そして収益の分配に関する決定は すべてプライベート エクイティ ファンド マネジャーの裁量 -4-
による したがって タイミングも投資決定プロセスの一部であるため マネジャーはこれらタイミングの決定によって評価されるべきであり IRR のような金銭の時間価値 (time value) 測定が必要となる 会社は フィー控除後リターンを計算する場合には 成功報酬 運用報酬 取引費用を控除しなければならない 上述のように 成功報酬は しばしば実際の運用報酬よりも大きなインパクトを持つ 顧客のために ベンチャー キャピタル プライベート エクイティ ファンドまたはパートナーシップの選定に裁量権を有する投資アドバイザーは ファンドまたはパートナーシップのすべての運用報酬と成功報酬控除後でリターンを計算しなければならない さらに 投資アドバイザーのフィー控除後リターンは 投資アドバイザーのフィー 費用および成功報酬のすべてを控除したものでなければならない コンポジットの構築特定の投資戦略に関する会社の能力または過去のパフォーマンスを表すコンポジットを構築することが適切である 会社は 組成年の異なるファンドは別個のコンポジットに組み入れなければならない 次の階層例は 会社がプライベート エクイティ コンポジットをどのように定義するかを検討する際に参考となろう 組成年戦略 ( ベンチャー バイアウト ゼネラリスト メザニン ファンド オブ ファンズ 他のプライベート エクイティ ) サブ戦略 ( ファンドのサイズ ステージ等 ) 地域会社は GIPS 基準の第 3 節にコンポジットの構築に関する必須基準が規定されていることに留意しなければならない ( コンポジットの構築について十分に理解するために コンポジットの定義に関するガイダンス ステートメンツも参照すべきである ) 最も重要なのは 会社は 運用実績のあるフィーを課す投資一任ポートフォリオ ( ファンド / パートナーシップ ) はすべて 特定の戦略またはスタイルに従って 少なくとも1つのコンポジットに組み入れなければならない ことである 意味のあるコンポジットの構築は 公正な表示 一貫性 そして時系列および会社間におけるパフォーマンスの比較可能性にとって不可欠である ディスクロージャー ( 開示 ) 会社は 各コンポジットの組成年を開示しなければならない 組成年とは プライベート エクイティ ファンドまたはパートナーシップが 投資家から最初に資金をドローダウンまたはコールした年をいう 組成年の開示によって 見込顧客はファンドがいつ開始したのか理解することができるため 比較可能性が向上する さらに 会社は 終了 ( 廃止 ) したプライベート エクイティ コンポジットのすべてについて 当該コンポジットの最終実現日を開示しなければならない 組成年と同様に 最終実現日は プライベート エクイティ投資間の適切な比較可能性を確保するために パートナーシップが存在していた期間を確認するうえで有用である 会社は また コンポジットの投資戦略を開示しなければならない 会社は コンポジットの未実現損益を開示しなければならない この開示により 見込顧客は コンポジット中の潜在的な投資評価額の変動に基づき 将来リターンが変動する可能性を判断することができる また 会社は 出資約束金 (committed capital or capitalization) 総額を開示しなければならない 出資約束金総額とは 投資家が投資することに合意した資金の総額をいう GIPS のプライベート エクイティ評価原則の使用を必須としていることに加えて 本基準は 会社がその他の評価ガイドライン ( 例えば BVCA EVCA) に準拠しているときは その旨を開示しなければならないとしている 評価方法の開示は さまざまなリターンその他の重要な情報の比較可能性を判断するうえで重要である 評価方法が相当程度異なっている場合には 精密かつ適切な評価調整を行うことなしに 投資を相互比較することはできないだろう 会社は 社内の評価レビュー手続を文書化し 当該手続が請求に応じて提供可能であることを開示しなければならない 提示および報告会社は プライベート エクイティ コンポジットの年率換算した設定来内部収益率 (Since Inception IRR, SI-IRR) -5-
を提示しなければならない 会社は 組成年以降の各年度について 年率換算した SI-IRR を提示しなければならない 年度末日について得に開示がない場合は 暦年末であるとみなされる 例えば あるコンポジットの組成年が 1999 年 1 月 1 日であると仮定する 以下の表に示されるように 会社は 1999 年の SI-IRR 2000 年の年率 SI-IRR (1999 年と2000 年をカバー ) 2001 年の年率 SI-IRR(1999 年 -2001 年をカバー ) そして 2002 年の年率 SI-IRR (1999 年 -2002 年をカバー ) を提示することになる 1 年に満たない期間は年率化してはならない 年度 年率 SI-IRR フィー控除前 (%) 年率 SI-IRR フィー控除後 (%) 1999-5.2-8.2 2000 10.3 7.3 2001 29.6 25.6 2002 22.4 18.3 プライベート エクイティのパフォーマンスを提示する際には 会社は フィー控除前およびフィー控除後の両方のリターンを提示しなければならない フィー控除後リターンは 運用報酬 成功報酬 ( 実現した利益のうち運用会社に配分される部分 およびポートフォリオ中の未実現益の成功報酬部分 ) 取引費用 その他のフィーの控除後でなければならない 一般的に 投資家が運用報酬ないし管理報酬を交渉できない場合には 交渉不可能であるフィーの控除後でパフォーマンスを提示することが最も適切であると考えられる さらに ファンド ヴィークルの外で何らかのフィーが支払われる場合には それらもフィー控除後リターンに反映しなければならない 会社は フィーがいつファンド ヴィークルの外で支払われるかを開示しなければならない 会社は 各年度について 当期末の払込出資金残高 ( 累積ドローダウン ) 当期末現在の投資金総額 および累積分配金額を報告しなければならない 当期末の払込出資金残高は 出資約束金総額のうち 会社が当期末までに投資家からドローダウン ( コール ) した金額である 当期末の投資金総額は 払込出資金のうち 実際にプライベート エクイティ資産に投資された金額である 分配金総額は 投資家に返還された資金または収入の総額である この指標により 見込顧客は 同様の組成年および戦略を有するその他のコンポジットとの比較で 投資金額のうち投資家に戻された金額がどの程度であるかを理解することができる 内部収益率 (IRR) は パフォーマンス測定に使用される唯一の有用な計測手段ではない 例えば コンポジットの残余価値は完全に流動的であると仮定しているが 現実には 残余価値はコンポジットにおける未実現 ( そしてしばしば非流動的な ) 部分である パフォーマンス計算においては 1つの非キャッシュフロー項目 残余価値 ( 運用報酬と成功報酬の控除後 ) と2つのキャッシュフロー項目 すなわち リミテッド パートナーからのドローダウン ( キャピタル コールまたは払込出資金ともいう ) とリミテッド パートナーに対する分配 ( 現金または株式 ) がある これら3つの項目を使って内部収益率を計算することができるのは 残余価値が最終キャッシュフロー価値であると仮定しているからである しかしながら 実際に実現しているのはリターンの一部分 ( すなわち 分配 ) のみである したがって ( 累積分配金 / 払込出資金倍率 DPI のような ) 実現倍率は リターンのうち実際に実現したのはどれだけか また 未実現なのはどれだけかについて 追加的な情報を提供する 本基準では 会社は 各年度について 投資倍率 ( 評価総額 / 払込出資金倍率 TVPI) および実現倍率 (DPI) を報告しなければならないとしている 投資倍率は 残余価値と累積分配金の合計額を払込出資金で割って計算される 投資倍率は 見込顧客に対し そのコスト ベースと比較したコンポジットの価値に関する情報を提供する 実現倍率 (DPI) は 累積分配金を込出資金で割って計算される DPI は リターンのうち実際に投資家に返還されたのはどれだけかを示す尺度である 独立の期限付きファンドの初期段階では DPI は分配が行われるまではゼロである そして ファンドの期間が経過するに従い DIP は増加する DIP がいったん1を超えると ファンドはブレーク イーブンとなる 1より大きな DPI は ファンドがキャピタル ゲインを生み出していることを意 -6-
味する さらに 会社は払込出資金 / 出資約束金倍率 (PIC 倍率 ) を提示しなければならない この比率は 見込顧客に対して 出資約束金総額のうちドローダウンされたのはどれだけかに関する情報を提供する プライベート エクイティ基準では また 残余価値 / 払込出資金倍率 (RVPI) を提示することを必須としている RVPI は 残余価値を払込出資金で割って計算される RVPI は リターンのうち未実現なのはどれだけかを示す尺度である ファンドの期間が経過するに従い RVPI は上昇してピークに達した後 減少に転じ 最終的に清算されることで 残余市場価値はゼロとなる その時点で ファンドのすべてのリターンが分配されたことになる ベンチマークが使用されている場合には プライベート エクイティ基準では コンポジットと同じ戦略と組成年を反映するベンチマークの累積年率換算した SI-IRR の提示を必須としている 会社は ベンチマークの計算方法 ( 例えば月次キャッシュフロー ) を開示しなければならない カスタム ベンチマークが使用されている場合には ベンチマークがどのように構築されているかを開示しなければならない ベンチマークを提示しないときは 会社は その理由を開示しなければならない カスタム ベンチマークが使用されている場合は 会社は ベンチマークの組成とリバランシング プロセスを説明しなければならない 適用事例 : 1. GIPS プライベート エクイティ基準が策定されたプロセスはどのようなものであったか また 誰に意見を求めたのか GIPS プライベート エクイティ小委員会は プライベート エクイティ業界における経験を有するプロフェッショナルを世界中から集めて設置されたものである 基準は パブリック コメントを得るため 投資家 プライベート エクイティ会社および組織 プライベート エクイティに関心のあるその他のプロフェッショナルに配布された 2. GIPS のプライベート エクイティ評価に関する基準は EVCA BVCA PEIGG 等のような各地域のプライベート エクイティ組織とどう関係しているのか GIPS 基準は パフォーマンス基準がグローバル ベースで収れんすることを奨励しており プライベート エクイティ評価という困難かつ主観的な分野に共通する基本的要素を見出そうとしている GIPS プライベート エクイティ基準は 公正価値アプローチにコミットしており いくつかの問題点についてガイダンスを提供しているが 独自に評価手法に関するガイドラインを体系的に策定することを意図したものではない 3. 会社がプライベート エクイティのみを運用している場合 準拠表明するためには GIPS 基準のすべてに準拠しなければならないか GIPS 基準への準拠表明は任意である しかしながら 準拠表明するためには 基準のすべてに従わなければならない プライベート エクイティ資産を運用する会社は GIPS 基準第 0 節 準拠の基本条件 に規定される基準に特に注意を払いたいと考えるだろう 4. GIPS プライベート エクイティ基準は ファンド間の比較可能性を保証するものか 基準は 最も重要なパフォーマンス指標の提示における一貫性を確保すべきである 中間的な報告には主観が入り 正確な比較可能性は確保できない しかしながら 公正価値による評価は より一貫した評価アプローチを提供するものであり 比較可能性を高めることになる 5. GIPS プライベート エクイティ基準は 取引協会 (trade associations) による認証を得る予定か 取引協会 (trade associations) には プライベート エクイティ基準の策定中に意見を求めており 彼らの新基準への支持が得られるものと期待される 6. GIPS プライベート エクイティ基準は 会計上の必須事項および会計基準に優先するのか -7-
GIPS プライベート エクイティ基準は 投資家に対する最低限の報告に関するものであり 国 地域におけるいかなる法的義務または会計基準にも優先するものではない 7. 未払税はどのように扱うべきか 一般に 投資家の未払税は フィー控除後およびフィー控除前のリターン計算において無視されるべきである ファンドによる受領の前に控除され あるいはファンドにより支払われる予定の小額の源泉税または所得税が生じることがあるが これらはフィー控除後およびフィー控除前のキャッシュフローにおいて減額されるべきである 8. 公正価値はどのように定義され 会計基準とどのように比較されるのか GIPS のプライベート エクイティ基準で使用されている公正価値という概念は 国際会計基準で使用される公正価値原則を反映している 公正価値とは 十分な知識と思慮に基づき また強制されない状況下で行動する自発的な当事者間の現在の取引において ある資産が取得または売却されるであろう価額をいう 公正価値は 評価日に売却する意思または能力を想定しておらず 主観的な判断による取引価格の推定額であり 会社の現在および将来の業績の合理的な推定に基づいていなければならない 未公開会社の株式売却では 買い手は その後の再売却の際に流動性がどの程度確保できるのかという点を含めて 資産に課される制約を価格に反映させるであろう 9. 運用者が投資をコスト ベースで評価している場合 公正価値アプローチに準拠しているといえるか 投資をコスト ベースで保有するという一般方針は GIPS 基準に準拠しているとはいえない しかしながら 例えば コスト ベースの評価が 独立した ( いわゆるアームズ レングスである ) 当事者間の最近の取引を反映しており その後の出来事や情報がその妥当性に影響を与えていない場合には コストは公正価値の最良の推定値といえる また 公正価値の推定が合理的に確かなものとはいえない場合もあり得る そのような場合には コストから減損分を控除することが唯一の実務的な選択肢である 10. アーリー ステージのベンチャー投資は より成熟した投資とは別に扱うべきか 確立した利益 成長 およびキャッシュフローの特徴を有する より成熟した投資は アーリー ステージの投資よりも 評価のうえで上場市場の指標と対比し易い アーリー ステージの投資についても 合理的な正確さをもって公正価値を評価することができない場合があることは認識されているものの 原則として公正価値で評価されるべきである 正確な公正価値の推定が難しい場合には コストから推定減損分を控除する方法が使用される必要がある アーリー ステージの投資が アームズ レングスに基づく相当程度の追加的な資金調達を行った場合には これが市場価値評価を提供することになる 11. 運用報酬および成功報酬の発生ベースでの認識について説明されたい パフォーマンス計算上のキャッシュフローの構築において 運用報酬は その支払いが発生したときに 四半期 年次 またはその他の定期的な期間ベースで キャッシュフローとして発生主義で認識されるべきである この方法は 時折みられる実務慣行または取扱い すなわち パフォーマンス計算で使用される期末純資産額から単純に運用報酬を控除する方法と対比される 後者の方法は 運用報酬の認識が遅れるため IRR 計算によって得られる収益率を人工的に押し上げることになる 成功報酬を発生主義で認識することには 取扱い上別の問題がある パフォーマンス計算で使用される期末純資産額は 主として未実現投資とこれから分配される実現投資から成る 純資産額は まだ分配されていない実現投資については実際の成功報酬を控除し 未実現の投資については発生ベースで認識される公正価値で推定された成功報酬を控除すべきである ここでの目的は パフォーマンス計算の日に未実現ポートフォリオが清算 ( 流動化 ) され 分配されたと仮定した場合に リミテッド パートナーが受け取る額の推定を行うことである -8-
-9-12. プライベート エクイティ ファンドはすべて 少なくとも 1 つのコンポジットに組み入れなければならないか はい 会社は フィーを課す投資一任ポートフォリオ ( ファンド / パートナーシップ ) はすべて 特定の戦略またはスタイルに従って運用される 少なくとも 1 つのコンポジットに組み入れなければならない 会社は また 組成年の異なるファンドは それぞれ別個のコンポジットに組み入れなければならない 13. コンポジットとは何か また コンポジットはプライベート エクイティとどう関係しているのか GIPS プライベート エクイティ基準は コンポジットという概念について GIPS 全体の基準で使用される用語の定義に従っている 実際上 多くのプライベート エクイティ投資会社 二次投資会社 ファンド オブ ファンズにとって 個別ファンドは 特定の投資戦略と組成年 ( 最初に資金をドローダウンした日 ) をもって その時々に組成される したがって 各ファンドそのものがコンポジットであり ファンドとコンポジットという用語は互換的に使用できる 複数の管理口座が存在する場合にはより複雑な状況が生じるかもしれないが それら口座が同じマンデートおよび組成年である場合には それらは合算されるべきである 14. サイド バイ サイドファンドはどのように扱うべきか 補助的に並存するファンド または サイド バイ サイド ファンドを有するファンドについては そのような並存するヴィークルは 全体ファンドのパフォーマンス計算に含めるべきである そのようなヴィークルをパフォーマンス計算に含めるべきかどうか判断するための厳密な基準は 次のとおりである 並存するまたは サイド バイ サイド ヴィークルの資本がファンド全体の資本 ( いわゆる 運用資本 ) の確定上含まれている場合には 当該 サイド バイ サイド ヴィークルは 親ファンド全体のパフォーマンス計算に含めるべきである 当該 サイド バイ サイド ヴィークルのパフォーマンスは 追加的な情報として 別途計算することが可能であるが 親ファンドのパフォーマンス計算に含めなければならない 15. GIPS プライベート エクイティ基準では 資産レベルでどのようなディスクロージャーが必須とされているか ない 16. フィー控除前リターンおよびフィー控除後リターンの両方を提示するのはなぜか フィー控除前リターンは 投資金額がどれだけ良好に運用されたかを示すものであり フィー控除後リターンは 運用報酬 成功報酬 その他コストの影響を反映したものである 投資家は 当該資産クラスの動きを理解するために 両方のリターンが必要である 17. 適切なベンチマークは何かプライベート エクイティの投資家は 一般に 比較可能な指標をアウトパフォームすることを期待している 関連するベンチマークの例として 同等の規模の会社に投資するファンドについては小型資本インデックス ( ファンドとして同じ国をカバー ) があり あるいはベンチャー ファンドに投資するファンドについては上場テクノロジー インデックス (quoted technolgy index) がある 選定したインデックスは トータル リターン インデックス ( 例えば 再投資された配当を含む ) である必要があろう 望ましい計算方法は 仮想的にファンドのキャッシュフローを適切なインデックスに流出入させ IRR 計算のためにインデックスのキャッシュフローを使用することである さらに 多くのプライベート エクイティ協会 およびいくつかの特別なパフォーマンス測定会社は プライベート エクイティのさまざまなクラスについて パフォーマンスの中央値および第 1 四分位のパフォーマンスに関するデータを提供している 同じ組成年に関するこれらリターンは 有用なインデックスになり得る ベンチマークはかなり個別的なものとなるが コンポジットにとっての最良のベンチマークは コンポジット全体の戦略を反映すべきであり 必ずしも顧客のベンチマーク志向に基づく必要はない 18. フィー控除前リターンおよびフィー控除後リターンから控除されないフィーは何か
資産の組成 管理 清算に係るフィー (GIPS 用語集で取引費用として定義される ) はすべて フィー控除前リターンの計算で控除されなければならない 運用報酬 成功報酬 および取引費用は フィー控除後リターンの計算で控除されなければならない GIPS の一般基準に従って ファンドそのものの管理上発生する費用に関するフィー ( カストディ フィーおよびファンドの法務 会計事務報酬を含む 管理報酬として定義される ) は フィー控除前リターンまたはフィー控除後リターンの計算において控除する必要はない -10-