プライマリケア外来レクチャー 2019. 05. 08. COPD 喘息のはなし ~ 私はこうやって乗り切ってます ~ 高野町立高野山総合診療所総合診療科日本赤十字社和歌山医療センター呼吸器内科田中瑛一朗
COI 開示 本日の発表に関連し 開示すべき COI 関係にある企業などはありません
学んで欲しいこと COPD/ 喘息のコントロールの状態を評価できる ややこしい 吸入療法に少し慣れる ( ロジカルにデバイス選択できる ) うまくいかないときの次の一手を知る
COPD
日本における COPD 有病者数 COPD と診断されているのは 26.1 万人 (2014 年 厚生労働省患者調査より ) 40 歳以上の COPD 有病率は 8.6% (2001 年 NICE study より ) 実際の COPD 患者は約 530 万人 受診していない 診断されていない COPD 患者は 500 万人以上!
COPDの診断率は低い 26万人 530万人 2017年 男性の死亡原因の第8位 1 患者側 症状がゆっくり進行するため慣れてしまう 2 医療者側 呼吸機能検査の普及度が低い 不可逆的な部分が多く治療に積極的に取り組まない治療へのニヒリズム
日本における COPD 死亡者数 近年 COPD による死亡者数は頭打ちだったが 2017 年には 18,523 人と過去最高に http://www.gold-jac.jp/copd_facts_in_japan/
COPD ココがポイント! 症状を加齢性の変化と考え 訴えないことが多い 40 歳以上で喫煙歴があれば COPD を疑って積極的に呼吸機能検査を行う 主症状の労作時呼吸苦は 長時間作用型気管支拡張薬で 大多数の人が改善を示す 喘息合併例が 20% 含まれ 吸入ステロイドの追加を!
COPDの管理目標 Ⅰ. 現状の改善 ①症状およびQOLの改善 ②運動耐容能と身体活動性の向上および維持 Ⅱ. 将来のリスクの低減 ③増悪の予防 ④全身合併症および肺合併症の予防 診断 治療 これらの達成が 疾患の進行抑制や生命予後の改善に繋がる
COPDの管理目標 Ⅰ. 現状の改善 ①症状およびQOLの改善 ②運動耐容能と身体活動性の向上および維持 症状を軽くする 将来のリスクを低くする Ⅱ. 将来のリスクの低減 ③増悪の予防 ④全身合併症および肺合併症の予防 診断 治療 これらの達成が 疾患の進行抑制や生命予後の改善に繋がる
症例
81 歳女性 主訴 労作時呼吸困難 現病歴 X 年 1 月頃から労作時呼吸困難 (DOE) を自覚され 歩行時に喘鳴が出現することもあった X 年 7 月に前医を受診し COPD が疑われ 吸入薬 (LAMA/LABA) を開始されたが 症状の改善はさほど得られず 中止された DOE に対する精査 加療を目的に 同年 8 月 当科外来を受診された 上り坂や入浴後に呼吸困難感を自覚し 平坦な道でも 50m 程度歩くと息切れがある (mmrc Grade3)
既往歴 高血圧症 陳旧性脳梗塞 高尿酸血症 内服薬 アノーロ エリプタ 1 日 1 回 1 回 1 吸入 ( 効果乏しく中止に ) テオフィリン 200mg/ 日 アテノロール 25mg/ 日 アジルサルタン 20mg+ アムロジピン 5mg/ 日 クロピドグレル 50mg/ 日 シロスタゾール 200mg/ 日 プレガバリン 50mg/ 日 フェブキソスタット 20mg/ 日 生活歴 喫煙 ex-smoker 25 pack/year(10 本 / 日 50 年 ) 飲酒 焼酎 1 合 週に 3-4 回程度 アレルギー なし 職歴 スナック 喫茶店 住居 木造 築 45 年 ペット なし
初診時現症 BMI 21.0( 身長 148.0cm 体重 45.9kg) BT 36.6 BP 152/76mmHg HR 69bpm SpO2 96%(room air) 心音 :Ⅰ( )Ⅱ( )Ⅲ(-)Ⅳ(-) 整 雑音(-) 呼吸音 : ラ音 (-) 四肢 : チアノーゼ (-) ばち指(-) その他 : 気管短縮 胸鎖乳突筋の発達 吸気時の鎖骨上窩の陥凹吸気時に頸静脈が虚脱 CAT(COPD Assessment Test) 質問票 :1-1-3-5-2-3-0 19/40
COPD 患者の診察ポイント 1 気管短縮 ( 胸骨上縁のくぼみ <2 横指 ) 2 胸鎖乳突筋の発達 3 吸気時の鎖骨上窩の陥凹 4 頸静脈が吸気時につぶれる 2つあればFEV1.0:700~1000ml 4 つあれば FEV1.0:700ml 以下 宮城征四郎先生 ( 元沖縄県立中部病院院長 ) 3 2 1 提供 : 山口大学大石景士先生
COPDの管理目標 Ⅰ. 現状の改善 ①症状およびQOLの改善 ②運動耐容能と身体活動性の向上および維持 Ⅱ. 将来のリスクの低減 ③増悪の予防 ④全身合併症および肺合併症の予防 診断 治療
現状の評価は?
COPDの症状 COPDの症状 呼吸困難 咳 痰 や日常生活 健康状態の評価は 患者の主観的な訴えに左右されてしまう COPDの日常生活に対する影響を ある程度 客観的に評価する ために 以下のような質問票を用いる 修正MRC mmrc 質問票 呼吸困難 息切れ を評価 CAT COPD Assessment Test 質問票 症状やQOLを評価 8項目
修正MRC mmrc 質問票 グレード分類 0 1 2 激しい運動をした時だけ息切れがある 平坦な道を早足で歩く あるいは緩やかな上り 坂を歩く時に息切れがある 息切れがあるので 同年代の人よりも平坦な道 を歩くのが遅い あるいは平坦な道を自分の ペースで歩いている時 息切れのために立ち止 まる 3 平坦な道を約100m あるいは数分歩くと息切 れのために立ち止まる 4 息切れがひどく家から出られない あるいは衣 服の着替えをする時にも息切れがある
CAT(COPD Assessment Test) 質問表
CAT COPD Assessment Test 質問表 症状やQOLに関する8項目を0 40点で評価 重症度が高いほど 点数も高くなる QOLを測定する代表的な質問票であるSGRGとよく相関 SGRGはCOPD関連の論文では多用されるが 非常に煩雑 3 6ヵ月の間隔で再評価 当院の病診連携(和CON)では 約6ヵ月毎の外来受診時に毎回評価
症例では 1 1 3 5 2 3 0 4 19
COPDの管理目標 現状 mmrc 3 CAT 19 症状は まぁまぁ強い
COPDの管理目標 Ⅰ. 現状の改善 ①症状およびQOLの改善 ②運動耐容能と身体活動性の向上および維持 Ⅱ. 将来のリスクの低減 ③増悪の予防 ④全身合併症および肺合併症の予防 診断 治療
将来のリスクは?
COPDの重症度分類 or入院を要 する増悪1回 以上 C D リスク 症状 リスク 症状 1回以下 A B リスク 症状 リスク 症状 CAT 10 mmrc 0 1 CAT 10 mmrc 2 2回以上 増 悪 回 数 症状 QOL
症例では 増悪回数 2 回以上 (or 入院を要する増悪 1 回以上 ) C D リスク 症状 リスク 症状 1 回以下 A B リスク 症状 リスク 症状 CAT<10 mmrc 0~1 CAT 10 mmrc 2 症状 QOL
症例では 増悪回数 2 回以上 (or 入院を要する増悪 1 回以上 ) C D リスク 症状 リスク 症状 1 回以下 A B リスク 症状 リスク 症状 CAT<10 mmrc 0~1 CAT 10 mmrc 2 症状 QOL
COPDの管理目標 将来のリスク 重症度分類 B リスクはそこまで
この 2 Step で治療が決まる!
COPD における吸入薬の選択 LAMA LABA LAMA/LABA ICS ICS/LABA 吸入デバイス
COPD における吸入薬の選択 LAMA LABA LAMA/LABA ICS ICS/LABA 吸入デバイス
重症度分類によるCOPD治療指針 GOLD Guideline 2018 C D LAMA+LABA 増悪 A 症状持続 LABA+ICS LAMA LAMA+LABA+ICS LAMA+LABA LAMA 継続 or 中止 or変更 評価 気管支拡張薬 B LABA+ICS LAMA+LABA 症状持続 LABA or LAMA
重症度分類によるCOPD治療指針 GOLD Guideline 2019 -初期治療- C D LAMA LAMA+LABA* LAMA ICS+LABA** *症状が強い場 CAT>20 **血中好酸球数 300/µL A B 気管支拡張薬 LABA or LAMA
COPDの治療の実際 Ⅰ. 治療 薬剤 の決定 ①問診 症状の程度 QOL ②増悪の回数 Ⅱ. デバイスの検討 ③手技 手指筋力 吸気速度etc. ④アドヒアランス 吸入回数
COPDの治療の実際 Ⅰ. 治療 薬剤 の決定 ①問診 症状の程度 QOL ②増悪の回数 Ⅱ. デバイスの検討 ③手技 手指筋力 吸気速度etc. ④アドヒアランス 吸入回数
COPD における吸入薬の選択 LAMA LABA LAMA/LABA ICS ICS/LABA 吸入デバイス
本当にその吸入薬 吸えてますか アドヒアランス不良 正しく操作できているか 息止めはできているか 正しい回数を吸入できているか 吸気流速不足 吸おうとしてはいても 薬剤が肺内に到達しているか 患者の 吸っている 吸えている を 安易に信用しない
吸入デバイスの種類
吸入デバイスの種類 pmdi pressurized metered dose inhaler 加圧式定量噴霧式吸入器 SMI soft mist inhaler ソフトミスト吸入器 DPI dry powder inhaler ドライパウダー吸入器
吸入デバイスの決め方 利点 吸入力が弱くても使用可能 20L/分で十分 pmdi 小型軽量 携帯性 欠点 吸入同調が難しい 押しながら吸う必要あり +スペーサーなら〇 ICS or ICS/LABAのみ コールドフレオン現象 冷却刺激による咳嗽 SMI 吸入力が弱くても使用可能 薬剤の肺への沈着率が高い 吸入前に準備が必要 カートリッジ挿入 テスト噴霧 DPI 吸入同調が不要 デバイスの選択肢が多い 残量把握が容易なものも 吸入力が必要 30L/分は必要 デバイスによりまちまち
吸入デバイスの決め方 吸入同調が良好な患者 pmdi 吸気流速 >30L/min 吸気流速 <30L/min 〇 〇 pmdi +スペーサー SMI 〇 DPI 〇 〇 吸入同調がうまくできない 患者 吸気流速 >30L/min 吸気流速 <30L/min 〇 〇 〇 〇 〇 Chapman KR, et al. Eur Respir Rev 2005; 14(96): 117-122 アドヒアランスが悪くなりやすい患者では 1日1回製剤の方が良い 高齢者では 視力や認知機能 手先の器用さが どれほど低下しているかも考慮する必要がある
臨床経過① 08/03 初診 エリプタ トレーナーで吸気流速を確認 音は鳴らず 吸気流速不足 スピオルト レスピマット を処方 剤型をDPIからSMIに変更 LAMA/LABAのまま 08/29 再診 DOE改善 CAT 19 12 X/08/0 3 X/08/2 9 0.98 1.49 0.56 0.85 57.1 57.0 FVC 努力性肺活量 (L) FEV₁ 1秒量 (L) FEV₁% 1秒率
FVC 努力性肺活量 (L) FEV₁ 1 秒量 (L) FEV₁% 1 秒率 臨床経過 2 X/08/03 X/08/29 X+1/04/24 X+1/10/23 0.98 1.49 1.33 1.32 0.56 0.85 0.89 0.84 57.1 57.0 66.9 63.6 23 CAT Score 18 13 8 呼吸機能も症状 QOL も改善傾向 FEV1 0.56 0.84 / CAT 19 10
吸入手技のポイント ① pmdi吸入前には容器を振る ② pmdi SMIでは ゆっくり深く DPIでは 速く深く 吸入する ③ pmdi SMI DPIの全てで 吸入後に息止めを5秒間行う タービュヘイラーは例外的に不要だが しても問題なし ④ pmdi使用時は吸入補助器具の使用も考慮する スペーサー チャンバー等を使用してみる ⑤ pmdi SMI DPIの全てで 吸入後はうがいをする 特に吸入ステロイド薬 ICS の場合は必要 倉原優. 寄り道 呼吸器診療.
デバイスの選択 pmdi(± スペーサー ) DPI SMI 粒子径手指筋力 ( セッティングできるか ) 吸気速度吸入回数 単剤か?2つか? 患者の好み
吸入手技の指導 ( 点検 再指導による修正 ) ( 病薬連携 ; 指導箋による医師 - 薬剤師の連携 ) 看護師さんの知識の標準化チェックリストを用いた操作の点検実技指導 ( 口頭指示のみはダメ ) DVDなど活用
吸入器の使い方チェックシートシムビコートタービュヘイラー 60 30 パルミコートタービュヘイラー 200 100 の薬の量は 1 日回 1 回吸入です 効果 : ぜんそく発作を予防します 副作用 : 声かれ 口腔内カンジタ ( かび ) 開封後初めて使用するとき クルッ カチッ の操作を 3 回行っていますか? 残量確認 : 吸入器の小窓を確認していますか? シムビコートパルミコート残量 20 回 吸入器をまっすぐに立てて回転グリップを クルッ と回していますか? 回転グリップを戻す際 カチッ という音がしていますか? 薬剤を吸入する前に息を吐いていますか? 吸入する際 スーッ と力強く息を吸い込んでいますか? 吸入する際本体を握っていませんか? ( 吸入の際は回転グリップを片手でお持ちください ) 吸入後うがいをしていますか? 汚れたときは 水洗いしないで乾いた布で拭いてください このお薬は吸入量がわずかなので吸った感じはしませんが ちゃんと吸入できているのでご安心ください 吸入療法を広める会 HP より転載
不良手技 pmdi: 同調やゆっくり深く吸って 息止めができていない DPI: 薬剤のセット 吸入後の息止めができていない 舌を吸入器の下に入れ なるべく下げるように指導 短時間の吸入指導が喘息コントロールの改善につながる ( エビデンス A)
手技達成率 タービュヘラー pmdi 100% 100% 80% 80% 60% 60% 40% 40% 20% 20% 0% 0% 初回処方時 初回処方時 指導後 レスピマット エリプタ 100% 100% 80% 80% 60% 60% 40% 40% 20% 20% 0% 0% 初回処方時 指導後 指導後 初回処方時 指導後 西村ら.
気管支喘息
第 111 回医師国家試験 I73 26 歳の女性. 呼吸困難を主訴に来院した.1 週間前に咽頭痛, 鼻汁および微熱が出現した. その後解熱したが本日の午前 2 時ごろから呼吸困難が著明となったため午前 4 時に救急外来を受診した. 小児期に気管支喘息と診断されたが中学生時に寛解している. 呼吸困難はみられるが会話はかろうじて可能である.SpO2 89% (room air). 両側の胸部全体にwheezesを聴取する. 酸素投与を開始し, 末梢静脈路を確保した. 直ちに行うべき治療はどれか.2つ選べ. a b c d e 抗菌薬点滴静注副腎皮質ステロイド吸入アミノフィリン点滴静注短時間作用性 β2 刺激薬吸入ロイコトリエン受容体拮抗薬内服 答え :c d
喘息ココがポイント! 喘息の主病態は慢性気道炎症で その大部分は type2 炎症 ( 好酸球性 ) とされ 第一選択は吸入ステロイドである 健常人と同じように生活させる ( コントロールする ) 治療を! 治療のアセスメントができる うまくいかない時の 次の一手 を身に着ける
喘息の管理目標 Ⅰ. 症状のコントロール ① 気道炎症をコントロール ② 正常な呼吸機能を保つ PEFが予測値の80 以上かつ日内変動が10 未満 症状を出さない 将来のリスクを低くする Ⅱ. 将来のリスク回避 ① 呼吸機能の経年低下を防ぐ ② 喘息死を回避する ③ 治療薬の副作用発現を回避する JGL 2018
喘息の病態
喘息の診断の目安 Ⅰ. 目安 ①発作性の呼吸困難 喘鳴 胸苦しさ 咳の反復 ②可逆性の気流制限 ③気道過敏性の亢進 ④気道炎症の存在 ⑤アトピー素因 ⑥他疾患の除外 <limitation> low resources な施設ではどうする JGL 2018
喘息診断に関わる検査 1 可逆性の気流制限 2 気道過敏性の亢進 3 気道炎症の存在
喘息診断に関わる検査 1 可逆性の気流制限 2 気道過敏性の亢進 3 気道炎症の存在
喘息の診断の目安 ②可逆性の気流制限 SABA吸入前後でFEV1の改善率と改善量から判定 すでに治療中の方は1 2日の休薬が必要 呼吸機能検査① SABA吸入 して 15 30分後 呼吸機能検査② 改善率が12 以上 かつ改善量が200 ml以上で可逆性あり ネブライザーでメプチン0.3 0.5 ml 30 50μg 吸入 メプチンエアーを2 4吸入でも良い
喘息診断に関わる検査 ①可逆性の気流制限 ②気道過敏性の亢進 ③気道炎症の存在 <limitation> アストグラフ法など小児においても検査でき非常に有用だが 施行できる施設が限られる
喘息診断に関わる検査 1 可逆性の気流制限 2 気道過敏性の亢進 3 気道炎症の存在
FeNO 呼気一酸化窒素 http://www.chest-mi.co.jp/product/categories_005/niox-vero.html 喘息未診断時におけるFeNOの解釈 FeNO<25ppb 好酸球性気道炎症の 可能性は低い 喘息以外の疾患を考慮 ICSの有効性は乏しい FeNO 25 50ppb 要注意 臨床経過や FeNOの推移を確認 FeNO>50ppb 好酸球性気道炎症が存在 ICSが有効 Dweik RA, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2011; 184: 602-15. 呼吸器科のない病院 診療所ではなかなか置けない
喘息診断に関わる検査 1 可逆性の気流制限 2 気道過敏性の亢進 3 気道炎症の存在 好酸球性の場合は診断的価値が高い 誘発喀痰での好酸球比率 3% 以上が一定の見解 また FeNO では 35ppb 以上を目安としている いずれも施行できる施設は限られる
喘息の診断の目安 Ⅰ. 目安 ①発作性の呼吸困難 喘鳴 胸苦しさ 咳の反復 ②可逆性の気流制限 ③気道過敏性の亢進 血中好酸球数 220 320 /μlが喀痰好酸球比率3 に対応するとされる ④気道炎症の存在 ⑤アトピー素因 但し 感度 特異度は低い Korevaar DA. Lancet 2015;3:290-300 ⑥他疾患の除外 <limitation> ③アストグラフ法など小児においても検査でき非常に有用だが 施行 できる施設が限られる ④好酸球性の場合は診断的価値が高い 誘発喀痰での好酸球比率3 以上が一定の見解 またFeNOでは 35ppb以上を目安としている いずれも施行できる施設は限られる JGL 2018
喘息の診断の目安 ⑥喘息と鑑別すべき他疾患 1. 喉頭炎 喉頭蓋炎 vocal cord dysfunction 2. 気管内腫瘍 気道異物 気管軟化症 気管支結核 サルコイドーシス 3. COPD DPB 肺線維症 過敏性肺炎 4. うっ血性心不全 肺血栓塞栓症 5. ACE阻害薬など薬剤性の咳 6. 自然気胸 過換気症候群 心因性咳嗽 JGL 2018
GP の先生に求められるもの とにかく問診! 非特異的だが 喘鳴を伴った息苦しさ は特徴的 Respir Med 2006;100:2107-11 咳が唯一ということも 変動性について聴取 ( 特に日内変動 ) 誘発因子の聴取 ( 感冒 アレルゲン曝露 運動 天候 煙 強い臭気 ) 感染症や心不全など 呼吸器疾患以外の可能性も考える 既往歴 : アレルギー性鼻炎 アレルギー歴 生活歴 : 喫煙 住環境 ( ペット飼育 ) 常用薬 家族歴 : アトピー素因 喘息
治 療
治療ステップ1 対 象 症 状 軽症間欠型 症状が週1回未満 症状は軽度で短い 夜間症状は月に 2回未満 ICS 低用量 ICSが使用できない時 基 本 LTRA 治 テオフィリン徐放 療 治療ステップ2 治療ステップ3 軽症持続型 症状が週1回以上 しかし毎日ではない 月1回以上日常生活 や睡眠が妨げられる 夜間症状は月に 2回以上 中等症持続型 症状が毎日 SABAがほぼ毎日 週1回以上日常生活 や睡眠が妨げられる 夜間症状が週に 1回以上 ICS 低 中用量 ICS 中 高用量 治療ステップ4 重症持続型 治療下でも しばしば増悪 症状が毎日ある 日常生活が制限される 夜間症状がしばしば ICS 高用量 ICSで不十分な時 以下か 上記に下記のいずれか ら1個を併用 1剤 or 2剤以上を併用 上記に下記の2剤以上 を併用 LABA LAMA LTRA テオフィリン徐放 LABA LAMA LTRA テオフィリン徐放 LABA LAMA LTRA テオフィリン徐放 専門医へ 抗IgE抗体 抗IL-5抗体 Rα抗体 抗IL-4抗体 経口ステロイド JGL 2018 改変
吸入ステロイドの投与用量の目安 薬品名 低用量 中用量 高用量 キュバール 100 200 μg/日 400 μg/日 800 μg/日 フルタイド 100 200 μg/日 400 μg/日 800 μg/日 オルベスコ 100 200 μg/日 400 μg/日 800 μg/日 アズマネックス 100 200 μg/日 400 μg/日 800 μg/日 パルミコート/シムビコート 200 400 μg/日 800 μg/日 1600 μg/日 アニュイティ/レルベア 100 μg/日 200 μg/日 シムビコートは1吸入160 μg それ以外は製品に記載された数字が1吸入分の量 JGL 2018 改変
39 歳女性 主訴 夜間喘鳴 現病歴 数カ月前から夜間を中心に喘鳴と咳嗽のため不眠となることがしばしばあった しかし 日中は症状が落ち着いている 小児喘息の既往があり 治療歴もあるが 成人してからは定期治療は受けていない 喫煙者 当科外来を受診された 併存症 アトピー性皮膚炎 ( 近医皮膚科で治療中 ) アレルギー スギ花粉 生活歴 喫煙 :20 pack/year 室内でネコを飼育
まとめ 39歳 女性 諸検査の結果 喘息と診断 追加の問診で 症状はほぼ毎日ある 週に何回かは眠れない アレルギーのスクリーニングでダニ 3+ 環境調整 禁煙 治療はどうする
ここまでのまとめ 39歳 女性 諸検査の結果 喘息と診断 追加の問診で 症状はほぼ毎日ある 週に何回かは眠れない 治療ステップ1 対 象 症 状 治療ステップ2 治療ステップ3 アレルギーのスクリーニングでダニ 3+ 軽症間欠型 軽症持続型 中等症持続型 症状が週1回未満 環境調整 症状が週1回以上 症状が毎日 症状は軽度で短い しかし毎日ではない SABAがほぼ毎日 禁煙 夜間症状は月に 月1回以上日常生活 週1回以上日常生活 2回未満 や睡眠が妨げられる や睡眠が妨げられる 夜間症状は月に 夜間症状が週に 2回以上 治療はどうする 1回以上 治療ステップ4 重症持続型 治療下でも しばしば増悪 症状が毎日ある 日常生活が制限される 夜間症状がしばしば
対象症状 治療ステップ 1 治療ステップ 2 治療ステップ 3 治療ステップ 4 ( 軽症間欠型 ) 症状が週 1 回未満 症状は軽度で短い 夜間症状は月に 2 回未満 ( 軽症持続型 ) 症状が週 1 回以上 しかし毎日ではない 月 1 回以上日常生活や睡眠が妨げられる 夜間症状は月に 2 回以上 ( 中等症持続型 ) 症状が毎日 SABA がほぼ毎日 週 1 回以上日常生活や睡眠が妨げられる 夜間症状が週に 1 回以上 ( 重症持続型 ) 治療下でもしばしば増悪 症状が毎日ある 日常生活が制限される 夜間症状がしばしば ICS( 低用量 ) ICS( 低 ~ 中用量 ) ICS( 中 ~ 高用量 ) ICS( 高用量 ) 基本治療 ICS が使用できない時 LTRA テオフィリン徐放 ICS で不十分な時 以下から 1 個を併用 LABA LAMA LTRA テオフィリン徐放 上記に下記のいずれか 1 剤 or 2 剤以上を併用 LABA LAMA LTRA テオフィリン徐放 上記に下記の 2 剤以上を併用 LABA LAMA LTRA テオフィリン徐放 抗 IgE 抗体抗 IL-5 抗体 (Rα 抗体 ) 抗 IL-4 抗体経口ステロイド JGL 2018 改変
コントロールできてる できてない 1か月以内に評価 コントロール不十分 いずれかの項目が該当 症状 日中 夜間 週1回以上 発作治療薬の使用 週1回以上 運動を含む活動制限 コントロール不十分の項目が 3つ以上当てはまる あり FEV1およびPEF 予測値あるいは自己最良値の80 未満 PEFの日内変動 20 以上 増悪 予約外受診 救急受診 コントロール不良 年1回以上 月1回以上 の前に ステップアップ... JGL 2018 改変
3 Step 1 診断は本当に正しい? 2 アドヒアランスは? 3 増悪因子や合併症の治療はできてる?
①喘息の診断は正しい 喘息と鑑別すべき他疾患 1. 喉頭炎 喉頭蓋炎 vocal cord dysfunction 2. 気管内腫瘍 気道異物 気管軟化症 気管支結核 サルコイドーシス 3. COPD DPB 肺線維症 過敏性肺炎 4. うっ血性心不全 肺血栓塞栓症 5. ACE阻害薬など薬剤性の咳 6. 自然気胸 過換気症候群 心因性咳嗽 clinical pearls 難治性と思った場合 気管支結核と気管軟化症を考慮 JGL 2018
自験例 難治性の喘息として紹介された70歳 女性 吸気性にwheezeを聴取 吸入薬(シムビコート )が入っているのにコントロールが 悪い(アドヒアランスの問題ではなさそう) 症状に日内変動がない 以上の3点は喘息としては違和感 (間接喉頭鏡で粘膜の不整 結核を疑う ) 気管結核 抗酸菌塗抹(2+) Tb-PCR(+) 典型像ではもう少し白苔があります
気管 気管支軟化症 喉頭 右主気管支 内腔の50 以上 左主気管支 内腔の50 以下 呼気時 咳嗽時
②服薬アドヒアランスは良いか 吸入手技は正しいか アドヒアランス不良 サボってないか 正しい回数を吸入できているか 吸入手技の問題 正しく操作できているか 息止めはできているか 気流速不足で 薬剤が肺内に到達していないか 患者の 吸っている 吸えている を 安易に信用しない
③増悪因子 合併症の管理 増悪因子の確認と排除 1. 薬剤 NSAIDs β遮断薬 2. 環境 喫煙 副流煙も含む ダニ カビ ペットなどの感作アレルゲン 合併症の管理 鼻炎 副鼻腔炎 EGPA ABPA COPD GERD SAS 肥満 うつ病 不安症 JGL 2018 改変
風邪は喘息症状が発現する要因花粉は第 6 位 第 1 位
舌下免疫療法 鳥居薬品株式会社 HP より転載
コントロールが達成 維持できた! 3~6 か月後にステップダウンを考慮
治療ステップ1 対 象 症 状 軽症間欠型 症状が週1回未満 症状は軽度で短い 夜間症状は月に 2回未満 ICS 低用量 基 本 治 療 治療ステップ2 治療ステップ3 軽症持続型 症状が週1回以上 しかし毎日ではない 月1回以上日常生活 や睡眠が妨げられる 夜間症状は月に 2回以上 中等症持続型 症状が毎日 SABAがほぼ毎日 週1回以上日常生活 や睡眠が妨げられる 夜間症状が週に 1回以上 ICS 低 中用量 ICS 中 高用量 治療ステップ4 重症持続型 治療下でも しばしば増悪 症状が毎日ある 日常生活が制限される 夜間症状がしばしば ICS 高用量 ICSが使用できない時 ICSで不十分な時 以下か 上記に下記のいずれか 上記に下記の2剤以上 治療ステップ3でダメなら 専門医 ら1個を併用 1剤 or 2剤以上を併用 を併用 LTRA テオフィリン徐放 LABA LABA LABA LAMA LAMA LAMA LTRA LTRA LTRA テオフィリン徐放 テオフィリン徐放 テオフィリン徐放 抗IgE抗体 抗IL-5抗体 Rα抗体 抗IL-4抗体 経口ステロイド JGL 2018 改変
Take Home Message 喘息の主病態は慢性気道炎症で その大部分は type2 炎症 ( 好酸球性 ) とされ 第一選択は吸入ステロイドである 健常人と同じように生活させる( コントロールする ) 治療を! アトピー喘息 高齢者喘息 運動誘発型喘息 NSAIDs 過敏喘息 ( アスピリン喘息 ) などのフェノタイプがある また喘息類似疾患 (EGPA, ABPA etc.) も多く それらを意識した診断を求められる 治療がうまくいかない時の対応の復習を!!