Microsoft Word - ●「子宮収縮剤による陣痛誘発・陣痛促進の際の留意点

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Transcription:

2010 年 12 月 15 日 社団法人日本産科婦人科学会理事長吉村泰典殿社団法人日本産婦人科医会会長寺尾俊彦殿ガイドライン産科編委員会委員長水上尚典殿 陣痛促進剤による被害を考える会代表出元明美 794-0825 愛媛県今治市郷六ヶ内町 2-3-24 電話 &FAX 0898(34)3140 e-mail a-demoto@amber.plala.or.jp URL http://homepage1.nifty.com/hkr/higai/ 子宮収縮剤による陣痛誘発 陣痛促進の際の留意点 : 改訂 2011 年版 ( 案 ) の要望書 日頃から 日本産科婦人科学会 日本産婦人科医会及びガイドライン産科編委員会の皆さまには ガイドラインの作成等 産科医療の質の向上のためにご尽力頂き 感謝申し上げます 私たち 陣痛促進剤による被害を考える会 は 子宮収縮剤の過剰 過量投与や不十分な監視などによる悲惨な事故をなくし 安全なお産の実現を目指す事を目的として活動している市民団体です 陣痛促進剤使用による重篤な事故の当時の被害者を中心に 医師ら医療関係者や弁護士 ジャーナリストなどが集まり 1988 年 2 月に結成され 防げたはずの被害の再発防止を願って活動してきました 当会は 陣痛促進剤の添付文書の内容の改訂も求め続けてきましたが その結果 1992 年 10 月と 1993 年 3 月に 使用基準が厳しくなる方向に大きく改訂されるに至りました しかし その後だけでも (1992 年以降だけでも ) 当会への重篤な被害者の報告事例は 256 件にのぼっています その主な内訳は 母体死亡 34 人 母体の植物状態 4 人 母体の後遺障害 2 人 子宮破裂 46 人 死産 28 人 児の死亡 95 人 児の脳性麻痺 79 人 てんかん1 人となっています 貴会の再三のご尽力にもかかわらず 2009 年 1 月から始まった産科医療補償制度の原因分析委員会がまとめた報告書によれば 陣痛促進剤を最初から大量に使ったり 急激に増量したりした事例が 11 件中 4 件あったとのことはとても残念です 今後 貴会が作成するガイドラインや留意点が 現場でより強く遵守されるようになることを願う共に ガイドラインの内容が よりよいものとなりますことを願って 被害事例をたくさん把握している立場から下記の通り要望させて頂きますので ご回答頂ければ幸いです - 1 -

1 陣痛促進剤の用法 用量は添付文書に沿った内容にして下さい PGF2α( ジノプロスト ) の使用についてガイドライン及び 留意点 のPGF2α の使用について 既に製造販売が中止になってることを承知の上で 成分が異なるファイザーのプロナルゴンF( ジノプロストトロメタミン ) の添付文書に記載されていた 用法 用量 を記載していることは あらゆる点で大きな問題であると言わざるを得ません ( 案 ) では PGF2α の使用について 3,000μg を 5% 糖液あるいは生理食塩水 500mL/ に溶解 (6μg/mL) し 開始時投与量 1.5~3.0μg/ 分 (15~30mL/ 時間 ) 維持量 6~15μg/ 分 (60~150mL / 時間 ) 安全限界 25μg/ 分 (250mL / 時間 ) と記載していますが 現在 承認されているPGF2α の添付文書の 用法 用量 には 妊娠末期における陣痛誘発 陣痛促進 分娩促進には通常 1~2mL を静脈内に点滴または持続注入する という前書きの下に 1 ) 点滴静注本剤 1mL に 5% ブドウ糖注射液または糖液を加えて 500mL に希釈し 通常ジノプロストとして 0.1μg/kg/ 分の割合で点滴静注する 2 ) インフュージョン ポンプによる静注 ( 持続注入 ) 本剤 1mL に生理食塩液を加えて 50mL に希釈し 通常ジノプロストとして 0.1μg/kg/ 分 (0.05 ~0.15μg/kg/ 分 ) の割合で静注する 3 ) 症状により適宜増減する と記載されており インタビューフォームにも使用範囲が非常に狭い薬剤である旨の記載も あります 2006 年 7 月発行の 留意点 には PGF2α については 2000~3000μgを混入し 0.1μg/kg/ 分で開始し 15~30 分ごとに 1.5μg/ 分増量し 維持量は 6~15μg/ 分 安全限界は 25μg/ 分と記載していましたが 2011 年度用は 体重 1kg 当り というのを割愛しており 体重に関係なく誰でも同じ使用量としています 添付文書の 本剤 1mL に 5% ブドウ糖注射液または糖液を加えて 500mL に希釈し0.1 μg/kg/ 分 を使用する場合を分かりやすく説明しますと 例えば 体重が 60Kgの妊婦の場合 1 分間当り 6μg で行うことになり 増減の記載はありませんので これが維持量であり また安全限界ということにもなります 50mL に希釈する場合は.0.05~0.15μg/kg/ 分 となっていて この場合は 1 分間当り 3~9μg で行うことになり その範囲内で使用量の増減を行うので あえて安全限界をいうならば 9μg/ 分となります 留意点 は 開始量は良いものの 維持量は 6~15μg/ 分と多く 安全限界に至っては - 2 -

25μg/ 分ですから 妊産婦の体重が 60Kg の場合の使用量は 9μg/ 分になり 3 倍も近い 量になってしまいます 添付文書に記載している内容を確認するために 7 月 小野薬品工業医薬情報部の松本典 丈氏に質問状を出し 本年 7 月 29 日に回答をいただきましたので 添付致します 質問 1 貴社のプロスタルモンFの添付文書の前書きとして 妊娠末期における陣痛誘発 陣痛促進 分娩促進には通常 1~2mL を静脈内に点滴または持続注入する と 記載があり (1) 点滴静注として 本剤 1mL に 5% ブドウ糖注射液または糖液を加えて 500mL に希釈し 通常ジノプロストとして 0.1μg/kg/ 分の割合で点滴静注する との趣旨は 5% ブドウ糖注射液 500mL にプロスタルモンFを 1mL 混入し使用し 分娩に至らない場合は さらに 同じ量を追加使用し 合計で 2mL とするという趣旨と解するが 貴社の意見をお伺いしたい 回答 1 プロスタルモン F の 妊娠末期における陣痛誘発 陣痛促進 分娩促進 での使用量については承認時までの臨床試験の結果から通常 1~2mL(1000~2000μg) としており 弊社としてはその用量の範囲内での使用をお願いしています 従いまして 最初に 1mL(1000μg) を使用して 分娩に至らない場合は 1mL(1000μg) を追加する使用方法は間違っていませんが 必ずしもこの方法だけをお勧めしている訳ではありません 質問 2 希釈する輸液の量及び種類は患者の状態に応じて適切に選択する という記載の趣旨は 例えば 輸液 250mL のボトルを使用することもあるだろうし ブドウ糖でない他の種類の輸液の選択もあるという趣旨なのか 貴社の意見をお伺いしたい 回答 2 今回の改訂で新たに用法用量に記載しました 希釈する輸液の量及び種類は患者の状態に応じて適切に選択する は 患者さんの状態に応じて本剤を 250mL の輸液で使用することやブドウ糖や糖類以外の種類の輸液を選択してもよいとの趣旨です 質問 3 シリンジポンプによる静注 ( 持続注入 ) については 0.1μg/kg/ 分 (0.05~0.15μg/kg/ 分 ) の割合で静注する との記載があるので (3) 症状により適宜増減する ということが 0.05~0.15μg/kg/ 分の枠内で増減すると理解できるが 点滴静注の記載には 0.1μg/kg/ 分 とあるので この量が開始量であり ( 症状によって減量することはあると理解できる - 3 -

が ) 維持量であり 安全限界であると読めるが その趣旨なのか 貴社の意見をお伺いした い 回答 3 プロスタルモン F の投与速度について 弊社では開始速度 維持速度ともに 0.05~0.15μ g/kg/ 分と考えています この投与速度を超えて使用することはお勧めしておりません 質問 4 子宮収縮薬による陣痛誘発 陣痛促進に際しての留意点 のプロスタグランディン F2α の投与方法 (PGF2α2000μg/ 輸液 500mL とPGF2α3000μg/ 輸液 500mL) は かつてファイザーがプロナルゴン F(2009 年製造販売中止 ) の添付文書に記載していた内容 ( プロナルゴンの治験データに基づく記載 ) であり 貴社は これらの用法 用量の根拠となるデータを持ち合わせていないし プロスタルモンF についてはこのような投与方法は困る と伺っている 留意点 記載の投与方法は 貴社のプロスタルモン F( 科研製薬も同様 ) の添付文書の記載と大きくかけ離れているので 不適切な使用方法であると理解しているが 貴社の意見をお伺いしたい 回答 4 プロスタルモン F は弊社での臨床試験の結果を踏まえて用法用量を設定しており 添付文書に記載されている用法用量での使用をお願いしています ただし 子宮収縮薬による陣痛誘発 陣痛促進に際しての留意点 は 本剤と同じ有効成分 ( ジノプロスト ) を有したプロナルゴン F の添付文書に記載していた内容 ( プロナルゴンの治験データに基づく記載 ) をもとに関係団体等が関わって作成し 厚生労働省が公表していることから この文書に記載されている情報も医療現場の先生にとって本剤を使用する際の重要な情報となっていることについては弊社も理解しています 2 陣痛と至適濃度との関係の記載をして下さい 至適濃度とするための陣痛の記載は 陣痛促進剤が過量投与にならないために 必要と考えております 平成 2 年 1 月発行の日本産婦人科医会編 産婦人科医療事故防止のために陣痛誘発 促進分娩麻痺 に記述されているのは ジノプロストやオキシトシンについても 同じ考え方で 陣痛周期が分娩第 1 期は 4~5 分毎 分娩第 2 期は 2~3 分毎になった時を至適濃度とする旨の記載がありますので ご検討いただき記載することを要望致します また PGE2 錠の添付文書に 陣痛誘発効果 分娩進行効果を認めた時 本剤の投与を中 - 4 -

止する と記載されていますが それが何を示すのか ( 例えば 陣痛が何分間隔になった時を分娩進行効果と言うのか等 ) を明確に記載し 安全な出産のために過量投与にならないために知識統一をする必要があると考えます また 錠剤の使用時のみでなく 点滴による使用時の場合も 基準となる陣痛と薬液との関係を示すことが出来れば 過強陣痛は随分少なくなり 事故も減るものと思います よって 陣痛促進剤の使用量と陣痛とのバランスを考えた至適濃度を是非記載いただきたくお願い致します 3 分娩監視について 一時的に の意味を 留意点 にも記載して下さい 留意点 の子宮収縮薬の使用中に行うことに記載の 子宮収縮ならびに胎児心拍パターンに異常が認められない場合 医師の裁量により一時的にモニターを中断することは差し支えない という記述について この文章を読む限りでは 一時的 というこの時間が何分を指すのかの記述がないので不明確であり それぞれが自由な考えとなってしまい 場合によっては 再装着した時には 胎児心拍が危険な状態だったとうことにもなりかねません 産婦人科診療ガイドラインー産科編 2011 案中 CQ410 案と CQ404 案の 2 案に関して http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20101019_guideline.pdf のP7 CQ410 分娩監視の方法は? のところ P11 に 本 CQ の Answer 5. において 原則 連続的モニタリングを行う とあるが これはトイレ歩行時等を想定しての短時間の連続的モニタリング一時中断を認めるものであり 長時間の連続的モニタリング中断は行わない と記載しています 十分に理解するため 誤解を招かないためにも 留意点 にも トイレ歩行時等は と 追加明記することが必要であると思いますので 要望致します 厚労省も この文言が 添付文書記載の 十分な監視をする ということと意味を異にする事を確認しましたが 一時的 という意味が トイレに行くとか部屋の移動の時等のやむを得ない時のことを指すのであれば それは理解出来るので その旨記述すれば良いのですが 記載しないのであれば 事故に繋がる紛らわしい言葉なので 削除すべきだろうと思います 4. 子宮収縮薬使用のための条件について 他の子宮収縮薬最終投与時点から 2 時間以上経ていれば 使用が出来る と記載されていることにより 2 時間経過すれば 一律に引き続いて使用しても良いと考える医師がおられるかも知れず 大きな危惧を抱いています 例えば PGE2 錠について 1 日総量は 6 錠で それでも分娩に至らない場合は 一旦中止して翌日に再開することになっていますので 既に 6 錠を内服している場合には いくら 2 時間経過したとしても総量として過量となるので PGE2 錠を何錠内服しているのかを考慮 - 5 -

した上で 陣痛の状態を慎重に判断し さらに陣痛を増強させる必要があるかを考えなければならないと思いますが 総量の判断が必要であるとの記述が一切ないのは 過量投与になる可能性が大きいと思いますので 総量についての検討を行い 過量とならないようお願い致します 5. プラステロン硫酸エステルナトリウムについて かつて 3 社が販売していましたが 現在は イセイのレボスパのみとなっていますが 留意点 ( 案 ) には 何箇所もマイリスとアイリストーマーという商品名の記載があります 既に製造販売が中止になっている薬品名は 削除が必要だと思います また レボスパ ( プラステロン硫酸エステルナトリウム ) は 胎児徐脈 胎児仮死 胎児死亡が報告されている薬剤であり 本剤の投与に際しては妊娠及び胎児の状態を分娩監視装置等により十分に観察するとともに 投与後も同様に十分観察すること との記載があります プラステロン硫酸エステルナトリウムの 使用中 使用後の分娩監視 について 適切な時間を記載する必要があると思いますし 引き続き陣痛促進剤を使用する場合の間隔時間の共通認識が必要だと考えます 6 副作用の欄に脳出血 クモ膜下出血 常位胎盤早期剥離の記載を要望します 陣痛促進剤の使用で 脳出血 クモ膜下出血 常位胎盤早期剥離の事例が散見されますので 貴委員会として 海外の添付文書の内容を紹介するような形などで注意喚起していただくように要望します アメリカのFDAの添付文書には オキシトシン注射剤を使用することに関連した母体の死亡および胎児の死亡が報告されている 本製剤使用関連した母体の死亡の原因としては 高血圧性合併症 くも膜下出血, 子宮破裂などがある という記載がありますので 注意喚起の意味でも アメリカの FDAの添付文書に記載がある 旨の記載の検討をお願い致します また イギリスのものには 常位胎盤早期剥離 が記載されており 日本では 書籍 妊産婦と新生児の薬の使い方 ( 日本母性保護医協会 / 編 ) にも記述されているので 検討をお願い致します 私たちは PMDAにも 当会会員の被害の実例を提供するとともに 下記判決の記事も紹介して添付文書にオキシトシン PGF2αの副作用として記載することを要望しています 脳出血やクモ膜下出血は 一般的に 脳動静脈奇形やモヤモヤ病の人に起こることが多く 妊娠中 分娩中とは関係なく起こることであるのは常識であるが 当会が提供した事例の重要 な着目点は 妊娠中の健診で血圧が正常で 妊娠高血圧症もなく 脳血管の異常もなかった ( 脳 - 6 -

手術や死後の解剖で確定 ) 産婦が陣痛促進剤を大量 (PGF2αを 6000μg) に使用され異常な血圧上昇 (200mmHg) となり 脳出血 クモ膜下出血で死亡したり アトニン Oによる誘発中 意識消失したが脳出血との思いに至らず 脳出血に至った後も しばらく気付かなかったことで 手遅れになり死亡したりという事例でした 2001 年 1 月 31 日共同通信の記事 < 後遺症は陣痛促進剤が原因病院側に賠償命じる東京高裁 > 出産時に脳出血を起こし後遺症が残ったのは診療ミスが原因として 埼玉県桶川市の女性と家族が病院を経営する 社団法人東京都教職員互助会 ( 東京都千代田区 ) などに損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で 東京高裁は 31 日 女性側の請求を棄却した一審東京地裁判決を取り消し 病院側に総額約 8400 万円の支払いを命じた 陣痛促進剤の副作用による血圧上昇が脳出血の一因になった 医療事故調査会のHPから http://www.reference.co.jp/jikocho/demand_4.html 判決は 子宮収縮剤アトニンの投与と血圧上昇作用 脳出血の関係について の項目で 陣痛促進剤であるアトニンの投与及びその増量並びに出産の接近に伴って血圧が上昇し 脳出血に至ったものと認める 7. オキシトシンも 骨盤位や帝王切開既往者に禁忌にして下さい 骨盤位等の胎位異常の際に PGE2 錠 PGF2α の使用が禁忌になっていますが オキシトシンも同様に事故防止の観点から禁忌にすべきです また 帝王切開既往者についても PGE2 錠 PGF2α は禁忌なのに オキシトシンは 禁忌になっていませんが その理由がわかりません 禁忌とするよう要望します 以上 7 点について要望いたしますので ご回答をいただきますようお願い致します - 7 -