序章近代世界の成立とグローバリゼーションの諸段階 世界 商品交換 全地球 結合 500 年ほど前に始まった 近代化 それ以前の広大な地域の商品交換ネットワークは? モンゴル帝国の 世界 商品の生産は? Ⅰ グローバリゼーション とは グローバリゼーションと近代 グローバリゼーション 最近( 現代 ) の現象は? 規制なしの自由競争第 3 世界の貧困 累積債環境破壊 第二次世界大戦後のグローバリゼーションの進展アメリカ主導 自由貿易 体制 ( ブレトン ウッズ体制 ) ソ連など社会主義圏を除き 浸透市場原理 競争原理商品と資本の国境を越える自由な流通 1970 年代以降 とくに 多国籍企業地球的規模での分業と相互依存関係 20 世紀末の社会主義体制の崩壊 全世界が自由市場体制へ 1
インターネット 情報 コミュニケーションシステム技術の劇的な発展 は航空機ネットワークの飛躍的充実 世界各国の それぞれの国民経済の中で保護されていた伝統産業 国際的 な自由競争の荒波 競争力のない産業が衰退 世界商品市場経済の形成は 16 世紀 地理上の発見以降 時間とともに広がり 深化 近代資本主義的生産様式 近代 には何が起きたか 近代化の端緒 大航海時代 人口の激増 それを支える生産力の飛躍的増大 西暦 0 年から 1500 年 ほとんど人口増加は見られなかった 1500 約 5 億人 1800 年 約 2 倍の 9 億人 1900 年 約 16 億人 1950 年 25 億人 2000 60 億人 2010 12 年 70 億人 ( テキスト 表 1) 2
地球上の総人口 100 万人 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 1650 1700 1750 1800 1850 1900 1950 2000 年代 表 1 地球上の人口増加推定 500 年の間に 商品と貨幣 人の移動が徐々に速度を速め この数十年間の移動の量の増加 飛躍的増大 その過程で 地球上の異なった文化や外見をもった大量の人々が相互に接触 交流し 支配や従属 対立 共存などの関係 世界の変化を引き起こした原動力 資本主義的な商品の生産 資本主義的な生産関 係 生産力発展 抑制なき生産力の拡大 自然破壊 環境破壊 地球の温暖化 資本主義的生産関係 自由な商品交換 自由な競争 市場の登場者 商品の売買をする人々 市民 法的平等 封建的な身分秩序を根本から改める市民革命 市民階級が国家の権力を掌握 国民国家 英 米 仏 独 日本 3
国民国家 原料や市場を求めて国外に勢力圏を拡張 相互にしばしば衝突 戦争 20 世紀後半 平和運動や国際紛争解決のための国際機関創設 その世界各国 人々の努力が徐々に成果を上げる 植民地 20 世紀後半に入り 民族自決 政治的独立を実現 発展の原動力としての資本主義資本主義的生産様式とは? 商品生産が経済生活に置いて圧倒的で支配的 労働者 労働力も商品化 商品生産とその交換 古く古代 近代資本主義の生産様式のもとでは 商品生産とその交換が全経済活動の中核人々の生活は深く市場に依存 分業に基づく協業 その発達の上で 機械体系の発明と導入 普及安価な商品 良質の商品 大量生産 強い競争力 伝統的生産様式を駆逐市場における競争が技術革新を促す 一方では 生産手段とそれを運用する資本を少数者に集積 他方では 多くの住民から生産手段を奪う過程 資本の原初的蓄積過程 その典型は 農民を土地から追い立てる 土地囲い込み 伝統的産業の解体やアフリカ人の奴隷を新大陸で働かせる黒人奴隷制 4
資本主義的生産関係の発展を促進する 国民国家 イギリス 政府の保護育成策 ( 重商主義政策 ) 世界に先駆けて産業革命 世界市場での覇権争いに勝利 長期にわたる世界の覇者フランス ドイツ アメリカ 日本 ロシア イギリスの産業革命に対抗しつつ 資本主義を保護 育成資源や市場を求めて植民地確保や領地拡大に乗り出すそのための 国民国家 の形成 国民国家 自国の領域内で自由な競争を可能にする統一的な国内市場( 統一通貨 域内の関税撤廃や統一的法制度の確立 ) を形成し 国内産業を保護 育成するために外国商品に関税をかけ 鉄道や道路 港湾建設のために税金を投下した 国民教育制度を確立し 地方権力者の武装を解除し 統一的国民軍の建設 強化身分制度廃止 共通の建国神話 共通の歴史的経験 共通の言語や宗教に基づく 想像上の共同体 の積極的創造 愛国心を持つ 国民 を創出 国民 有産者 男性 女性 21 世紀の今日 国際的相互依存関係 国民国家の独自の主権の制限 ボーダーレス ( 国境なき ) 状態の増加 Ⅱ グローバリゼーションの諸段階 ( 1) 大航海時代 から世界市場の形成へ(1492-1789 年 ) 西欧諸国 国際的な市場ネットワークの辺境 1492 年 コロンブスのアメリカ大陸到達で幕を開ける 大航海時代 以後 そのネットワークの中心に 5
( 2) パクス ブリタニカの時代 (1760-1873 年 ) 第 2 段階のグローバリゼーションの推進力 イギリスの産業革命 自由貿易政策 アジアの国々に開国を迫り 影響力を拡大 植民地を拡大 諸列強はイギリスの力による平和 ( パクス ブリタニカ ) に従いながら それぞれの国 の資本主義的自立 ( 3) 帝国主義 の時代(1873-1945 年 ) イギリスの圧倒的優位が崩壊 自立化を達成した資本主義列強が 連合 敵対しつつ 勢力圏拡大 勢力圏再分割 19 世紀末 鉄鋼業や電機産業を中心とする重工業が飛躍的巨大独占企業が登場 金融資本植民地の鉱山や鉄道業など経済開発のための資本輸出各国が積極的な対外膨張政策 列強同士が対決する 帝国主義戦争 1898 年の米西戦争 1904 年日露戦争第一次世界大戦 総力戦 ロシアの社会主義革命戦後の経済危機の中でファシズム 1929 年アメリカ発 世界的大恐慌第二次世界大戦 ( 4) パクス アメリカーナの時代 (1945-1989 年 ) 第 2 次世界大戦終戦直後 ソ連占領下の東ヨーロッパで社会主義国 多数 6
中国でも社会主義政権が発足 社会主義世界体制 ( 東側陣営 ) と資本主義世界体制 ( 西側陣営 ) の対抗 冷戦体制 (1989 年まで ) 二つの世界大戦を通じて イギリスは世界覇権の喪失アメリカが台頭アメリカの力による平和 ( パクス アメリカーナ ) ヨーロッパ諸国の統合や 軍事同盟 国際協定 第二次大戦後 植民地 次々と政治的独立を実現 国連などを通じて 第 3 世界 として国際政治の舞台に登場 冷戦の時代 双方が軍事力増強 特に核兵器の開発競争 人類は絶滅の危機 両陣営 それぞれの陣営の経済開発にもまい進西側諸国 著しい経済成長 豊かな社会 を実現社会主義陣営 初期 目覚ましい経済成長 1970 年代までにはその停滞が顕著 1980 年代末には 社会主義を放棄し 市場経済化 (5) 正真正銘のグローバリゼーションの時代東欧諸国や旧ソ連邦地域 市場経済の荒波 経済的な混乱民族間対立を伴う 民族自決 運動 次々と小国が独立民族紛争 国境を越えた競争が激化 冷戦期の福祉国家 社会保障 大きな政府 政策世界的競争の激化 労働コストや税金が安く 環境規制などの経営環境がより有利な国外に大量に流出 7
政策 弱者保護のための様々な規制を緩和 自己責任 を強調する 小さな政府 8