学術委員会学術第 6 小委員会 経管投与患者への安全で適正な薬物療法に関する調査 研究 委員長昭和大学薬学部社会健康薬学講座地域医療薬学部門倉田なおみ Naomi KURATA 委員医療法人渡辺会大洗海岸病院薬剤部新井克明 Katsuaki ARAI 霧島市立医師会医療センター薬剤部岸本真 Makoto KISHIMOTO 社会福祉法人東京有隣会有隣病院薬剤科近藤幸男 Yukio KONDO 特別委員徳島文理大学薬学部医療薬学講座石田志朗 Shiro ISHIDA 医療法人徳洲会岸和田徳洲会病院薬剤部藤原琴 Koto FUJIWARA 上越地域医療センター病院薬剤科宮川哲也 Tetsuya MIYAGAWA 本小委員会設立から今までの経緯 近年 内服薬の経管投与患者が急増し それに対応する処方箋に基づく調剤も増加している 演者らは平成 24 年度学術第 8 小員会を設立し 経管投与の実態調査 研究のためのアンケートを作成した 1) 平成 25 年度は学術第 6 小委員会となり 全国 753 病院 ( 厚生連病院 済生会病院 徳洲会病院 赤十字病院 医師会病院 日本慢性期医療協会から抽出した病院 社会保険病院 国公私立大学病院 および各都道府県病院薬剤師会の一般病院からランダムに抽出した 3 病院 ) に対してそのアンケートを実施した 2) その結果 98% の病院で経管投与が実施されていたにもかかわらず 病院薬剤師の経管投与患者へのかかわりは少ないことが明確になった 今年度の目標 昨年のアンケートでは 病棟薬剤業務実施加算を算定する病院は 22%( 全 526 病院 ) と多くはなかったが 薬剤師が毎日病棟に行っている病院は 79% と多く うち 54% は週に 20 時間以上であった 毎日病棟にいかない 21% の病院のうち 8% は週に 20 時間以上病棟にいることが分かった 今後 薬剤師が病棟にいる時間は延びる傾向にある その際 従来介入していなかった患者への関与が重要であるが 昨年アンケートにより 経管投与の患者への関与が少ないことが明確になった そこで 病棟で薬剤師が経管投与の患者に関与しやすくなるような チェックシートを作成する 経管投与の薬学的管理チェックシートの作成 2) アンケート結果から抽出された問題点およびその解決策は以下の 9 項目となった 現在 その問題点を解決するチェック項目を盛り込んだ 経管投与の薬学的管理チェックシート案 ( スライド参照 ) を作成している 問題点 1: 患者入院時における嚥下障害の有無の確認は 看護記録や疑義紹介 病棟からの連絡によって行う病院が多く 入院面談時に患者に確認する病院は少なかった 更に嚥下障害の有無を確認しない病院は 21% あった (Q1-1) チェックシート記載項目 患者入院時に嚥下障害の有無の本人または家族に確認する 問題点 2: 嚥下障害患者の内服方法の把握についても 看護師や診療記録から情報を得ることが多く 嚥下障害患者の内服方法を確認しない病院は 25% あった (Q1-2) 薬剤師が関与していた病院は 53% に留まり (Q1-3) 活動基準などはほとんどの病院が定めていなかった (Q1-4) チェックシート記載項目 嚥下障害患者入院時に本人または家族に内服方法を確認する 問題点 3: 経管投与はほとんどの病院 ( 調査病院の 98%) で行われていたが 経管チューブの種類を 59% の病院
は把握しておらず (Q2-1) 71% の病院が経管チューブの先端がどの場所に留置されているかを知らずに調剤していた (Q2-2) チェックシート記載項目 経管投与チューブの種類および先端の留置部位の確認 問題点 4: 経管投与患者への薬剤の投与手技やルールは 病院により違いがみられた (Q3-1 Q3-2) 必要なマニュアル 経管投与患者への適正な薬剤投与手技マニュアル 問題点 5: 薬剤の経管投与は医療関係者でない家族が行うには難しい作業で 患者や家族への薬剤師からの積極的な情報提供が必要であるにも係らず 経管投与患者の退院時にその投与方法を説明していない病院が 37%(Q4) 説明しているが文書を提供しない病院が 34% あった 必要なマニュアル 経管投与患者への適正な薬剤投与手技説明書 ( 患者家族用 ) 問題点 6: 粉砕法で投与している施設の多くは 粉砕時に不安定な薬剤かどうかはほとんどの施設で確認していた (97%) が 経管投与時のチューブの閉塞の危険性や配合変化 懸濁後の安定性まで確認できている施設は少なかった (Q5) 必要なマニュアル 粉砕法の適正な手技マニュアル問題点 7: 簡易懸濁法を実施している病院が 78% と急増しているにもかかわらず その方法は病院によって異なっていた 必要なマニュアル 簡易懸濁法の適正な手技マニュアル問題点 8: 経管投与が可能な薬剤を判断する情報源が少なく 公的情報源である添付文書では十分な情報が得られないことが明確となった 製造物に責任を持つ企業からの情報入手も困難で 経管投与のために必要な情報が不足していることが分かった (Q6-1 Q6-2) 対応策 企業の DI から情報を頂けるように働きかけていく また 添付文書あるいはインタビューフォームから懸濁液のpH や安定性などの情報が得られるように働きかけていく 問題点 9: 経管投与患者への処方提案は 69% ほどの施設しかされていない (Q7) 解決策 処方提案の事例を収集し チェックシートに掲載する 経管投与患者に対する薬学的管理チェックシート ( 案 ) は別紙参照 期待される効果 1 直接的な成果 何より薬剤師が経管投与患者に関わり 薬の専門家として投薬を管理することにより 患者にとってより安全で確実な薬の投与を実施することができるようになる 薬学的管理チェックシートの活用より 薬剤師の経管投与患者への介入を容易にし しかも施設や個人間のばらつきのない標準的な介入を可能にする 病棟薬剤業務においても関与できなかった経管投与患者に積極的にかかわれるようになり 処方設計やより適した剤形への変更等の提案により チーム医療の一員としての役割を発揮できるようになる 2 間接的に期待される社会的成果 薬剤師の介入により 薬の知識不足 ( 徐放錠の粉砕など ) により生じる問題が防止できるようになり 患者の QOL を向上させると同時に医療従事者の手間を軽減できる 本チェックシートの活用により 経管投与患者の必要情報が洩れなく収集できるようになり 病棟薬剤業務に新たな展開がもたらされる 病棟にいるすべての患者に薬剤師が関与すれば 医師 看護師と同じ土俵でのチーム医療が実施できるようになり 病棟において薬剤師がいなければならない存在となり得る 引用文献 1) 平成 24 年度学術委員会学術第 8 小委員会報告 日病薬誌,49,812-814(2013). 2) 平成 25 年度学術委員会学術第 6 小委員会報告 日病薬誌,50,1060-1064 (2014).
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ph 100mg 11.0 10% 10.8 50mg 10.6 330mg 10.6 25mg50mg25 50 10.5 10.4 300mg 10.1 5 9.8 5mg 9.5 ph T100 22 2.2 75mg 2.3 1.25 2.5 T200 2.6 2.8 250mg L- 2.8 50mg 3.0 10 31 3.1 100mg 3.2 15 3.5