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目次 1. 原価計算シートの目的 対象となる利用者 原価計算シートの構成 原価計算シートの利用方法... 1 (1) 車両別の原価計算シート... 1 (2) 取引先別の原価計算シート... 4 (3) 運行ルート別の原価計算シート 原

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資料 6 平成 29 年度 荷主実態調査 報告書 ( 速報版 ) 平成 30 年 2 月 国土交通省東北運輸局

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工事費構成内訳書の提出について ~ 法定福利費の明示が必要になります ~ 平成 29 年 12 月 6 日 中日本高速道路株式会社

トラック運送事業の経営実態 全日本トラック協会は全国のトラック運送事業者 2,188 社 ( 有効数 ) の平成 25 年度事業報告書に基づき集計 分析した 経営分析報告書 ( 平成 25 年度決算版 ) をまとめた 全日本トラック協会が平成 4 年度から発行しているこの報告書は 会員事業者が自社の


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標準見積書に計上する 法定福利費 の算出は次の2つの方法とし 手順は以下の通り 1 施工見積の取付費総額から労務費を算出し それに法定福利費の保険料率を乗じる 2 これまでの施工実績をもとに施工従事者に支払った正味労務費から各商品の単位当りの法定福利費をあらかじめ算出した上で 法定福利費を簡便に算出

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目 次 Ⅰ. 調査概要 2 Ⅱ. 回答事業者の概要 3 Ⅲ. 取引状況 ( 実運送の売上高が一番高い輸送品目 ) 8 Ⅳ. 料金 運賃収受 全般 24 Ⅴ. 適正取引推進に係る 各ガイドライン 31 1

荷主及び運送業の元請の事業者の皆さまへ 過労運転 過重労働の防止及び安全運行の確保等のために 宮城では 約 1,300 の貨物自動車運送事業場において 約 32,000 人の労働者 ( 出所 : 平成 18 年事業所 企業統計調査 ( 総務省 )) が働いており 貨物自動車運送事業者 ( 以下 運送

法定福利費の明示について 1 社会保険等未加入対策 建設業者の社会保険等未加入対策として 社会保険等への加入を一層推進していくためには 必要な法定福利費が契約段階でも確保されていることが重要です 建設工事における元請 下請間では 各専門工事業団体が法定福利費を内訳明示した 標準見積書 を作成しており

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Microsoft PowerPoint - (参考資料1)介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について

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社会保険等加入及び法定福利費を内訳明示した見積書に関する実態調査について 1. 調査の目的 これまでに実施してきた各施策に関する各建設企業における取組状況および施策の現場への浸透状況等を総合的に把握し 社会保険等未加入対策の目標達成を見据えた加入徹底方策を検討することを目的とする 2. 調査の概要

~ 事業計画サンプル ~ (1) 全体構想 1 創業動機 2 事業の目的 ( たとえば 資金計画等に関して ) 3 事業経験 (2) 事業内容 1 事業内容 2 事業の特色 ( 強み 課題 脅威 機会 ) 1. 強み 2. 課題 3. 脅威 4. 機会 (3) 市場規模 1 市場規模の推定 2 当社

Ⅱ 取組み強化のためのアンケート調査等の実施 (1) 建設技能労働者の賃金水準の実態調査国土交通省から依頼を受けて都道府県建設業協会 ( 被災 3 県及びその周辺の7 県を除く ) に対し調査を四半期ごとに実施 (2) 適切な賃金水準の確保等の取組み状況のアンケート調査国は 平成 25 年度公共工事

沿革施行 : 平成 19 年 8 月 1 日 改正 : 平成 22 年 4 月 1 日 私有車輌業務使用規程 株式会社宮城登米広域介護サービス

経営分析報告書について 1. 実施概要公益社団法人全日本トラック協会では 経営戦略化型構造改善事業 ( 昭和 62 年度 ~ 平成 4 年度 ) の一環として 中小トラック運送事業者の経営活動の実態を計数的に把握し 経営管理の改善等に役立てていただくために 平成 4 年度から 経営分析報告書 を毎年

(2) 予想経費項目予想経費項目として 売上原価 販売費 一般管理費等を計上していく なお 人件費に関しては 各施設への人員配置人数や年間給与等から算出される 表予想経費算出における項目の設定費用項目概要売上原価売上に要する費用 ( 直売の商品仕入代金 加工施設の材料費等 ) 販売費及び一般管理費道

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発地着地はい作出庫仕分け入庫仕分けラベル貼り等附帯業務料 検収 検品検収 検品はい作業荷待ち棚入れ造り正附帯業務の内容 ( 種類 ) を明確化改待機時間間料トラック運送の運賃 料金の新しいルールについて ( 平成 29 年 11 月 4 日から実施 ) 〇 運賃 と 料金 の区別を明確化 運送の対価

作業時間の短縮等による拘束時間の削減 鳥取県 1. 実施者の概要 発着荷主企業 : 荷主組合 A 社酪農家で組織した専門農協 乳製品の製造販売等を実施 実運送事業者 A 社 B 社 C 社 D 社実運送事業者 A 社 : 鳥取県が本社 荷主組合 A の製品輸送を担当実運送事業者 B 社 : 鳥取県が

Microsoft Word 自主行動計画.docx

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I XIIII 1. 機械装置等費の中項目区分 (1) 機械装置等費の中項目 < 基本的な考え方 > 1. 土木 建築工事費 1 プラント等の建設に必要な土木工事及び運転管理棟等の建築工事費 2 付帯する電気工事等を行うのに要した労務費 材料費 旅費 消耗品費 光熱水費 仮設備費及びその他の経費 3

精算表 精算表とは 決算日に 総勘定元帳から各勘定の残高を集計した上で それらに修正すべき処理 ( 決算整理仕訳 ) の内 容を記入し 確定した各勘定の金額を貸借対照表と損益計算書の欄に移していく一覧表です 期末商品棚卸高 20 円 現金 繰越商品 資本金 2

2-2 需要予測モデルの全体構造交通需要予測の方法としては,1950 年代より四段階推定法が開発され, 広く実務的に適用されてきた 四段階推定法とは, 以下の4つの手順によって交通需要を予測する方法である 四段階推定法将来人口を出発点に, 1 発生集中交通量 ( 交通が, どこで発生し, どこへ集中

2. 提出資料一覧表 落札予定者に求める提出資料は 要請書に示す調査区分 ( 基本調査または重点調査 ) に応じて下表に を付している内容とする なお 調査区分が 基本調査 の場合は 3 頁 ~4 頁に基づき作成すること 調査区分が 重点調査 の場合は 5 頁 ~7 頁に基づき作成すること 様式番号

(問)被用者保険の被扶養者に対する2年間の経過措置になる軽減額は、他の被保険者の保険料で補填すると考えてよいのか

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用地関係文書作成等業務費積算基準 第 1 適用範囲この積算基準は 用地関係文書作成等業務を委託する場合の業務費を積算する場合に適用する 第 2 業務費の構成この積算基準による業務費の構成は 原則として 次によるものとする 業務原価直接原価直接人件費 業務価格 直接経費 間接原価 その他原価 業務費

Microsoft Word - 第4回固定資産取引:問題

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Microsoft PowerPoint - ①総-1 税-1 251110課税経費率等の計算について

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新車販売台数のシェア 分析の前提条件 燃費 [km/l] 燃料種別新車販売台数のシェアは 自動車産業戦略 の平成 42 年度のシェアに向かって線形に変化し 技術開発等により乗用車販売平均燃費も改善すると仮定 2 この仮定を踏まえつつ 平成 27 年度燃費基準と平成 32 年度燃費基準の

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の経営改善に向けた取組が必要である 当該指標が 100% 以上の場合であっても 現金等の流動資産が減少傾向にある場合や一時借入 金等の流動負債が増加傾向にある場合には 将来の見込みも踏まえた分析が必要である 4 累積欠損金比率 (%) 当年度未処理欠損金 営業収益 事業の規模に対する累積欠損金 (

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3 流動比率 (%) 流動資産流動負債 短期的な債務に対する支払能力を表す指標である 平成 26 年度からは 会計制度の見直しに伴い 流動負債に 1 年以内に償還される企業債や賞与引当金等が計上されることとなったため それ以前と比べ 比率は下がっている 分析にあたっての一般的な考え方 当該指標は 1

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03-08_会計監査(収益認識に関するインダストリー別③)小売業-ポイント制度、商品券

資料6 標準見積書の活用グラフ道塗連全体

通期 連結の売上高 営業利益 経常利益としては 過去最高 のれん及び固定資産に係る減損損失を特別損失として 517 億円計上 当期純利益が 3 月 30 日付での予想数値より増加したのは 予想数値公表時の見込み額と比べ 最終決算数値により確定した減損損失額が 53 億円 減少したことによる 事業環境

(2) 法定福利費の基本的な算出方法 法定福利費 = 労務費総額 法定保険料率 法定福利費は 通常 年間の賃金総額に各保険の保険料率を乗じて計算します しかし 各工事の見積りでは 労働者の年間賃金を把握することは不可能です そのため 見積額に計上した 労務費 を賃金とみなして それに各保険の保険料率

トラックスター 活用例集

第2部

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1 はじめに

フェアレディ Z プレミアムリース料金表プラチナ 7M-ATx 005 5,406,480 5,006, km 70,200 65, , , , , km 70,200 65, , , ,

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目 次 第 1 章調査概要 1 1. 調査の目的 1 2. 調査の対象 2 第 2 章 集計結果 3 1. 会社別調査 3 (1) 保有車両台数 3 (2) 荷主の状況 4 (3) 実運送比率 5 (4) 下払い率 ( 自社が受けた運賃を 100 % とした場の下請に支払う運賃の割合 ) 6 (5)

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軽井沢スキーバス事故対策検討委員会について

橋梁定期点検業務積算基準書_平成30年4月_広島県

トラック輸送における取引環境 長時間労働改善に向けたロードマップ 平成 27 年度平成 28 年度平成 29 年度平成 30 年度 1 中央 各都道府県において協議会の設置 検討 ( 厚生労働省 国土交通省 荷主 事業者等による協議会 ) 2 長時間労働等の実態調査 対策の検討 3 パイロット事業

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ツールへのデータ入力前にすべきこと 一般廃棄物処理に係るフロー図を作成 < 収集 : 直営 > < 直接搬入 > 粗大ごみ **t <A 破砕施設 : 直営 > <D 最終処分場 > 粗大ごみ **t 粗大ごみ **t 粗大ごみ **t 燃やすごみ **t アルミ缶 **t スチール缶 **t びん

公益財団法人和歌山市文化スポーツ振興財団 ( 財団法人和歌山市都市整備公社から名称変更 ) 経営健全化 ( 自立化推進 ) 計画 ( 平成 22 年度 ~ 平成 25 年度 ) 取組結果報告 取組結果報告における各取組の最終進捗結果の説明区分基準 A ほぼ予定どおり 若しくは予定以上に進んだ B 取

第 1 回自動車運送事業のホワイト経営の 見える化 検討会 検討の目的 日時 : 平成 30 年 6 月 11 日 ( 月 ) 10:00~12:00 場所 : 合同庁舎 3 号館 8 階自動車局第一 第二会議室 運転者としての就職を希望する求職者が就職先を選ぶ際や 荷主 旅行業者等が取引先を選ぶ際

国土入企第 5 4 号 平成 31 年 2 月 22 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局長 技能労働者への適切な賃金水準の確保について 技能労働者の確保 育成のためには 適切な賃金水準の確保等による処遇改善が極めて重要です 国土交通省においては これまでの 6 度にわたる公共工事設計労

1. 病院経営の鍵となる指標 病床利用率の推移 1.1 病床稼働率は平均80 強 病院報告 病床稼働率と病床数の不思議な関係 は入院収益そのものに直結します人件費や設備投資などの固定費が多い病院 全病床 6 精神病床 5 は 病床稼働率が一定の水準を下回ると一気に赤字経営に陥りますそのた

議第  号

2.1 標準式 : 燃料法 ( 燃料使用量から二酸化炭素排出量を算定 ) 燃料の使用に伴う二酸化炭素の発生は 燃料に含有される炭素分が燃焼することで酸化され 大気中に二酸化炭素として放出されることによります このため 燃料が完全燃焼することを前提にすれば 燃料の使用量から二酸化炭素排出量を算定する方

貸借対照表 (2019 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目 金額 科目 金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 3,784,729 流動負債 244,841 現金及び預金 3,621,845 リース債務 94,106 前払費用 156,652 未払金 18,745

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第2部

IFRS基礎講座 IAS第11号/18号 収益

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1 これまでの社会保険加入状況 2 社会保険の加入及び賃金の状況等に 関する調査結果 3 入札契約適正化法に基づく実施状況 調査結果 4 建設業許可業者の加入率 ( 推計値 ) 1

PCA Dream21 Promotion Map ~Products Road Map & New Tool~

お知らせ

中央建設業審議会による提言について ( 平成 24 年 3 月 14 日 ) 建設産業における社会保険の徹底について ( 提言 ) 建設産業においては 下請企業を中心に 雇用 医療 年金保険について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など

日本基準基礎講座 有形固定資産

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費 複写費 現像 焼付費 通信費 ( 切手 電話等 ) 運搬費 研究実施場所借り上げ費 ( 研究機関の施設において補助事業の遂行が困難な場合に限る ) 会議費 ( 会場借料 食事 ( アルコール類を除く ) 費用等 ) リース レンタル費用 ( コンピュータ 自動車 実験機器 器具等 ) 機器修理費

公共建築改善プロジェクト(仮)

2 使用料について

経営指標の概要 ( 電気事業 ) 1. 経営の状況 ( 電気事業全体で算出 ) 算出式 ( 法適用事業 ) 算出式 ( 法非適用事業 ) 1 経常収支比率 (%) 1 収益的収支比率 (%) 指標の意味 経常収益 100 経常費用 総収益 100 総費用 + 地方債償還金 法適用企業に用いる経常収支

企画旅行の記入例 1 運送申込書 / 運送引受書 乗車券 手数料が個々の運送単位で決められている場合 申込者は 太線内をご記入願います 申込日 : 令和 1 年 7 月 25 日氏名 旅行サービス株式会社 ( 旅行業者等 ) 電話 : 名称 ( 担当者名 ) 山田一郎 F

評価項目 評価ポイント 所管部局コメント 評価 国際交流に関する情報の収集及び提供事業国際交流活動への住民の参加促進事業国際理解推進事業在住外国人に対する相談事業在住外国人に対する支援事業 安定 確実な施設運営管理 公正公平な施設使用許可や地域に出向いた活動に取り組むなど新たな利用者の増加に努め 利

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資料 2 トラック運送事業者の 燃料サーチャージ導入事例

参考資料 2 下請等中小企業の取引条件改善への取組について 平成 30 年 12 月中小企業庁

回答者のうち 68% がこの一年間にクラウドソーシングを利用したと回答しており クラウドソーシングがかなり普及していることがわかる ( 表 2) また 利用したと回答した人(34 人 ) のうち 59%(20 人 ) が前年に比べて発注件数を増やすとともに 利用したことのない人 (11 人 ) のう

報酬改定(処遇改善加算・処遇改善特別加算)

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働き方改革 魅力ある建設業の構築に向けて 特集 域によっても大きな差があり, 北陸地方や北海道 など一部の地方では平成 28 年 10 月調査の加入率が 80% を超えているのに対し, 大都市部のある関東 地方 (55%) や近畿地方 (60%) は低い加入率に 留まっている ( ) 建設マネジメン

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 30 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 30 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 30 年 1~3 月期 来期平成

PowerSteel 活用例集

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原価計算の活用に向けて

トラック運送の原価計算の活用に向けて < 目次 > 1. トラック運送における原価計算の必要性 効果 1 2. 原価計算の活用例 1 3. 原価計算の実施状況 2 4. 原価計算の活用事例 5 5. 原価計算の実施手順 13 5-1. 車両に直接割付けできる各費用 ( 運行費 ) 14 5-2. 車両に直接割付けできる各費用 ( 通行料等 ) 18 5-3. 車両に直接割付けできる各費用 ( 車両費 ) 19 5-4. 車両に直接割付けできる各費用 ( 車両の税金 ) 20 5-5. 車両に直接割付けできる各費用 ( 車両の保険費 ) 21 5-6. 車両に直接割付けできる各費用 ( 運転者の人件費 ) 22 5-7. 車両に直接割付けできない費用 ( 間接費 ) 23 5-8.1 時間あたり 1kmあたり費用 24 5-9. 実践的な原価計算 ( 運行ルート別 取引先別 ) 25 6. 原価計算に役立つツール セミナー 27

1. トラック運送における原価計算の必要性 効果 原価計算の必要性 賃金アップや燃料高騰等の費用の変化に対応した料金を収受するためには原価計算が必要 効果 適正な運賃 料金の収受 運行の効率化や赤字路線の抽出 黒字化のためには原価計算が必要 運行効率化による利益確保 2. 原価計算の活用例 原価データの根拠を理解してもらい 燃料費上昇分を運賃に転嫁することができた 原価管理の徹底により運行の効率化や赤字路線の抽出をし 条件の良い業務を選別でき利益を確保することができた 原価計算に基づく 運賃 原価計算に基づく 料金 1

3. 原価計算の実施状況 (1) 原価計算の実施の有無 (N=1,200) 64% アンケートでは約 6 割のトラック運送事業者が何らかの原価計算を実施 ( 左円グラフ ) 原価計算を実施している事業者ほど 荷主との契約条件の見直し交渉にあたっている ( 下横棒グラフ ) 原価計算は荷主との契約交渉に向けた第一歩 原価計算の実施の有無と契約条件見直し交渉の有無について (N=1,200) 契約条件見直し交渉の有無 原価計算の実施の有無 出所 ) トラック運送業における原価計算に関するアンケート国土交通省平成 28 年 11 月 2

3. 原価計算の実施状況 (2) 原価計算を実施している理由 原価計算の方法 出所 ) トラック運送業における原価計算に関するアンケート国土交通省平成 28 年 11 月 3

3. 原価計算の実施状況 (3) 原価計算を実施している範囲 採算状況 ( 赤字 黒字 ) の把握 4 出所 ) トラック運送業における原価計算に関するアンケート国土交通省平成 28 年 11 月

4. 原価計算の活用事例 < ケース 1> 原価データの推移を示すことで運賃 料金の 17% の引上げに成功 背景 1990 年代以降に受注した運送業務について 燃料や車両価格の上昇 などにより 2015 年 7 月時点で大幅な赤字であった その都度 交渉 はしたものの 運賃 料金の引上げには応じてもらえず 他の業務で 赤字をカバーしている状況であった しかし 深刻なドライバー不足に伴い この運賃水準では継続的な事 業が難しい状況であった 取組み内容 原価計算は 運賃 料金単価 運送ルート別 時間単位 取引先別の原価計算をはじめ 運行ルートの採算 契約単位の採算 取引先単位の採算を把握し 配車の効率化 積合せなど 採算向上に向けた取組みを実施している 運送原価に対して収受運賃が 6% であるという原価データを提示して10% の値上げを要請し 結果として8% の値上げを受け入れてもらうことができた例がある 本来であれば5% 値上げの要請を行う予定であったが 満額の回答を得ることは困難であると考え 予め上乗せすることで確実に利益が確保することができた また 荷主に対して1990 年から現在までの原価データを個別に示し 物流担当部長にコストアップの実態を理解してもらうことを促した 結果的に17% の引き上げ要請に対して満額の引上げとなった 荷主からは 数字を出して交渉してきたところは初めてだ というコメントをいただいた 5

4. 原価計算の活用事例 < ケース 2> 原価計算により赤字路線を抽出し利益確保に成功 背景 元請事業者とは 10 年以上の取引実績があるが 運送依頼の内容はそ の都度変化していたため 運送依頼の内容を踏まえ 所要時間 走行 距離 帰り荷の有無 他から荷物を確保できるか等を踏まえ 多面的 に受注を判断しており 原価計算を実施する前は 1 運行ごとの損益 を踏まえた判断ができなかった しかし 荷待ち時間が長時間化してきたことから原価管理を適切に行 い 業務の効率化を行う必要性に迫られた 6 取組み内容 原価計算を実施し 各車両の1 時間当たり固定費 1km 当たり変動費等の原価データを算出するようになった 原価計算から各車両の1 時間当たり固定費 1km 当たり変動費の標準原価データを算出しており 附帯作業 手待ち時間等に係る時間コストを元請事業者に提示し それらをカバーできる運賃水準でなければ受注しない方針を徹底している また 手待ち時間が長時間化する着荷主の仕事では 拘束時間が長時間化する傾向があるため 手待ち時間分を上乗せして見積もりを提示し 取引条件の見直しを前提とした上で発注する意向があるか確認している 現在では原価計算データを活用し 各運送原価を瞬時に計算できる表計算システムを開発し 1 運行ごとの損益を踏まえた対応ができるようになった

4. 原価計算の活用事例 < ケース 3> 仕事量ではなく利益率の確保を重視し ドライバー賃金を向上 背景 深刻なドライバー不足により ドライバー確保のために一定の賃金水準を確保する必要があった そのために赤字の取引先の特定 運賃 料金の見直しを要請する必要があり 原価計算を行うようになった 取組み内容 原価計算を踏まえ赤字の取引先を特定し 運賃 料金の見直しを要請した 引上げを容認しない取引先とは 取引の解消も辞さない 取引を解消しても 利益率の高い 他の運送業務を確保できているため 過去 3 年間でドライバーの賃金を平均 10% 引き上げることができ 営業利益率も5% 以上となっている 原価計算をしていない事業者は 人材不足時代となっても 仕事量 ( ボリューム ) を確保することに主眼を置いているため 利益が確保できる仕事か できない仕事かが特定できておらず 仕事ごと 取引先ごとの利益がブラックボックス化しているため 忙しい割に 利益が確保できていないようだ 例えば 高速道路利用による追加コストと長時間労働 ( 追加時間分 ) の追加コストのどちらがコスト効率化良いか検討すべきだが 発荷主の協力が全く得られず 苦慮している事業者も多い 7

4. 原価計算の活用事例 < ケース 4> 積合せ運送によりトータルでの利益確保が可能に 背景 多くの場合 荷主は他社との競合相見積もりをかけるため 当社から見れば原価割れの見積もりを出してくる事業者も多い 原価割れの運賃 料金の水準を要求され一方的に決めてくる場合があるが 利益が出るか否かの判断をするためにも原価計算は必要と考えた 8 取組み内容 競合時に見積もりベースで不採算と判断した場合は仕事を辞退することとしている 荷主担当者が運行ルートや運行時間を都合よく解釈して独自の判断で運送計画を立てることも多いが そういった場合には運輸事業の実態や運行三費をはじめとした経費内容 運行ルートの距離や運行時間等の詳細を丁寧に説明しており その場では即答してもらえなくとも 数日後に運賃値上げ承諾の連絡があり 成果を得ることができたケースがある 運賃の値上げが難しい場合でも 原価計算データを示し厳しい現状を理解してもらい 積合せ運送により積載率が向上するよう 出発時間や到着時間を柔軟に設定してもらうことで トータルで利益が確保できるよう要請することもある 最近では 労務管理に関する規制強化等に伴い荷主責任が追及される時代になっているため 法令遵守の徹底を荷主担当者に説明することで運賃を上げてもらい 運送条件を変えてくれるケースもあった

4. 原価計算の活用事例 < ケース 5> 詳細な原価計算データを用いた交渉により料金体系の改定に成功 背景 契約時には先方の指定した重量単価による料金体系であり また そ れに積み込み附帯作業が含まれていた また 従来は手積み 手卸しによる荷扱いで附帯作業に長時間を要し ていた しかし ドライバーの労働条件を改善するために 料金体系を変更す る必要があった 取組み内容 自社独自の表計算で原価計算システムを整備し 運賃 料金単価 車両単位 主要な運行ルート別 時間単位 取引先別 運行 倉庫荷役人件費を含めた原価計算を実施することとした 原価計算結果を踏まえ 多面的に取引先の業務内容 損益を分析し 原価管理に活用している 会社として重要視しているのはドライバーの拘束時間及び賃金であり 一方 費用として重要視しているのは人件費と燃料費である これらの費用を仔細に分析し 拘束時間及び賃金の改善に活用している 1 時間当たりの固定費単価 1km 当たりの変動費単価を算出するなど詳細な原価計算データを荷主と共有したところ 手積み 手卸しによる荷扱いをパレット活用に変更してもらえ 運賃についても個建て運賃から車単位での運賃に改定してもらうことができ 附帯作業料金を収受することもできるようになった 9

4. 原価計算の活用事例 < ケース 6> グラフや写真をあわせて見せることで効果的な交渉を行う 背景 遠隔地にある取引先でもできるかぎり訪問して対面で会話をすること で運賃交渉が可能な信頼関係を日々構築するよう努めており 現状 運賃引上げの申し入れのうち多くの場合は受け入れてもらっている 運賃交渉というより 運行ルート毎の赤字 黒字を判断し 効率的な 配車指示ができるよう原価計算を活用するようになった 取組み内容 交渉においては必ずしも原価計算データ全てが必要ではなく 燃料価格 燃費 ドライバーの労働時間などの原価計算の基礎となるデータを示すことで荷主の理解を得ている 特に労働規制が強化されている昨今では 労働時間 社会保険等の賃金関係のデータを提示することが有効であり 荷主側でも労働関係法令には敏感であるため ドライバーの労働時間データ 作業時間データ 附帯作業内容等を共有して話合いをしている 交渉時には 料金を上げてほしい とは言わず データを見せ納得してくれるまで丁寧に説明し 赤字運行となっているルートの説明 運行時 附帯作業時の写真も見せながら イメージが浮かぶような説明を心掛けている 原価計算データ全てを共有するのではなく データの種類 見せ方 ( 数字 グラフ化 図表化 ) を工夫して取り組むことが重要 10

4. 原価計算の活用事例 < ケース 7> 原価計算をすることにより 交渉成功率 100% を達成 背景 当社では従来から原価計算をしており 取引先との関係も安定的であ り価格交渉も上手くいっていた しかしながら 燃料が高騰した際の燃料サーチャージが必ずしも収受 できないという問題があった そこで原価計算データを交渉時に活用し価格交渉で活用した 取組み内容 当社では 原価計算により車両ごとに原単位を算出している 1km 当たりの原価 1km 当たりの運賃 稼働 1 時間当たりの原価 稼働 1 時間当たりの運賃 附帯作業 1 時間当たりの原価 待機時間 1 時間当たりの原価 燃料価格上昇額による1km 当たりのコスト増加分等詳細に把握している 原価データを活用した採算管理としては 運行ルートあたりの燃料価格 車両の行き先ごとの採算把握を中心に実施している こうしたデータは交渉用データに留まらず 見積もりの正当性 社内の採算管理 輸送効率化に向けた取り組みに利用されている 荷主とは日ごろからコミュニケーションを良好に保つことにしている 交渉時には 粗い原価データを出しているが 原価データだけではなく日頃の輸送品質 信頼関係を大切にしていることもあって 運賃交渉は100% 成功している 運賃交渉の結果 取引を解消した取引先も存在するが 赤字取引先との取引を解消して 新規開拓にシフトした結果 利益率は大幅に改善している 11

4. 原価計算の活用事例 < ケース 8> 原価計算の結果 交渉成功率が 20% 程度アップ 背景 近年においては燃料価格の上昇分のコスト転嫁には一定の理解が得ら れるようになってきた 他方 待機 滞留時間に関する割増料金 附帯作業料金については何 度申し入れても改善が進まない実態にあった また労働時間の制約が 厳しくなったにもかかわらず 運賃に反映できていなかった そこで原価計算を行うとともにコンプライアンス関連の情報を荷主に 共有することにより価格交渉の成功率を 20% 上げることができた 取組み内容 1km 当たり原価及び1 時間あたり原価を提示し 燃料費の占める割合に基づいて 燃料サーチャージと運行ルート別の運賃単価の見直しを荷主に求めた その際に 安全対策を行うためにコストを要することをあわせて説明した とりわけ 安全対策コストについても荷主責任があることについて 各種法令を丁寧に説明し理解を得ることに努めた また 労働法制 荷主責任等 コンプライアンス関連の事項をあわせて説明すると交渉に応じてもらえる確率が高くなった 特に 罰則規定が明確である法令や規制を説明した上で 原価計算データを提示すると 荷主もコストの必要性を理解してくれて価格交渉が効果的に出来るようになった 12

5. 原価計算の実施手順 決算書から 車両別原価 を算出し そのデータを加工して 取引先別 や 運行ルート別 等の平均原価を算出します ステップ 1 運送事業に関する損益計算書を作成します ( 運送事業のみの場合は会社の決算書が該当 ) ステップ 2 ステップ 3 ステップ 4 ステップ 5 実運送の売上 費用と傭車 ( 利用運送 ) の売上 費用等を区分します 傭車については受注先 発注先別に原価を計算します 車両に紐付く費用 ( 車両費 保険 運行三費 運転者人件費 ) を割付けます 紐付かない間接費は一定の基準により車両に配分します 燃料油脂費 修理費 タイヤ チューブ費 5-1~5-7. 参照 走行距離や運送時間を踏まえ 車両別に 1km あたりの変動費 と 1 時間あたりの固定費 を算出します 5-8. 参照 車両別の原価データを加工して 取引先別 運行ルート別の平均原価を算出します 必要に応じて契約別の計算も行います 5-9. 参照 13

5-1-1. 車両に直接割付けできる各費用 ( 運行費 ) 燃料費 14 運行費とは 運行費とは運行三費 ( 燃料 油脂費 修理費 タイヤチューブ費 ) であり 走行距離に比例して発生する費用です 主には下記の費用です 燃料費 油脂費 : 燃料 エンジンオイル ( ミッションオイル等は修理費に含みます ) 修理費 : 一般修理 車検整備 定期点検等 タイヤチューブ費 : タイヤチューブ 交換工賃 尿素水費 : ディーゼルエンジンに必要な尿素水費 原価計算のポイント 1km 当たりの燃料費を求める計算方法 原価計算において重要な項目であり 精度の高い計算結果が得られるようにします < 基本式 > 1 平均燃料単価 燃費 = 1km 当たりの燃料費 21km 当たりの燃料費 走行距離 = 燃料費 平均燃料単価は消費税抜きで処理します 燃費は運行条件等で変動するため年間の平均燃費を採用します 計算期間単位ごとに燃料単価を見直す 計算対象とする期間の平均燃料単価を算出して利用します 自社燃料単価の把握が難しい場合は公開されている燃料単価を利用します 燃料の種類ごとに燃料単価を見直す 利用している燃料種 ( 軽油 ガソリン CNG 等 ) ごとに計算期間における燃料単価を算出します

5-1-2. 車両に直接割付けできる各費用 ( 運行費 ) 油脂費 原価計算のポイント 1km 当たりの油脂費を求める計算方法 油脂費はエンジンオイル費のみでブレーキオイル ミッションオイル等は修理費に含めます < 基本式 > 11 回当たりのオイル必要量 オイル単価 + オイルフィルター + 交換工賃 = 1 回あたりの油脂費 21 回当たりの油脂費 交換走行距離 = 1km 当たりの油脂費 31km 当たりの油脂費 走行距離 = 油脂費 オイル単価は燃料費よりも変動は少ないものの 単価が変更になった場合は原価を把握します なお オイル単価は消費税抜きで処理します 尿素水費 原価計算のポイント 1km あたりの尿素水費用を求める計算方法 尿素水 (AdBlue 等 )1l あたりの走行距離は 50~200km 程度となる < 基本式 > 1( 尿素水の必要量 尿素水の単価 ) 交換走行距離 +( フィルター + 交換工賃 ) 交換走行距離 = 1km 当たり尿素水費 21km 当たり尿素水費 走行距離 = 尿素水費 15

5-1-3. 車両に直接割付けできる各費用 ( 運行費 ) タイヤチューブ費 原価計算のポイント 1km 当たりのタイヤチューブ費を求める計算方法 通常の経理ではタイヤチューブを交換した月にその費用を全額計上します しかし これでは交換した月のコストが大きく 交換しない月のコストが小さくなってしまいます そこでタイヤチューブ費は交換までの走行距離のうち 計算対象期間の走行距離分を費用として計上します ( 交換した月のみに費用を発生させることは不適切 ) < 基本式 > ( タイヤチューブ費 + 交換工賃等一式 ) 交換走行距離 = 1kmあたりタイヤチューブ費 タイヤローテーションの工賃 タイヤ交換等の工賃 タイヤチューブの交換費用を含めて費用を計算します 例えばタイヤチューブ長寿命化のためローテーションを外部委託する場合はその委託費用を含みます 夏タイヤと冬タイヤの両方を利用する場合の処理 夏タイヤと冬タイヤを利用する場合 双方の単価の違いを考慮するため 加重平均を算出する場合もあります 走行状態によるタイヤ磨耗の考慮 一般道を走行する場合のタイヤの磨耗の程度と 高速道路を走行する場合のタイヤの磨耗の程度は異なりますが 原価計算には反映しません 16

5-1-4. 車両に直接割付けできる各費用 ( 運行費 ) 車検整備費 一般修理費 原価計算のポイント 1km 当たりの修理費を求める計算方法 車検整備費は固定費とすることもありますが 正確には走行距離に応じて増減するため走行距離で割り 1km 当たりの修理費を算出します < 基本式 > ( 車検整備費 + 一般修理費の合計額 ) 走行距離 =1km 当たりの修理費 修理費は修理費の計上月により変動するため以下のどちらかを採用 1 過去 3 年の修理費の合計額 過去 3 年間の走行距離 2 今期の予想修理費 今期の予想走行距離 修理費がリース料金に含められている場合の処理方法 リース料金に含められている場合 修理費に該当する金額分を抜き出して処理します 車検整備費 一般修理費を定額料金で支払いしている場合の処理方法 走行距離実績を踏まえ 車検整備費 一般修理費を定額料金で支払いしている場合には 以下の式で 1km 当たりの修理費を算出します 定額払いの修理費 契約期間の走行距離実績 ( 見込み ) = 1km 当たりの修理費 17

5-2. 車両に直接割付けできる各費用 ( 通行料等 ) 通行料等とは 通行料等の費用とは高速道路利用料 フェリー利用料 駐車場の施設利用料です 車両ごとに直接割付けできる費用です 原価計算のポイント 高速道路利用料 フェリー利用料等が既に割引されている場合 当該料金を費用として計上します 高速道路利用料は 大口多頻度割引を利用している場合 当該割引適用後の料金とします 高速道路利用料は 事業者が支払いした金額を全て計上します 運転者が負担した料金については負担分を除外します 駐車場利用料は配送の際にコインパーキングを利用した際の費用であり 会社の駐車場に関する費用は一般管理費として処理します 18

5-3. 車両に直接割付けできる各費用 ( 車両費 ) 車両費とは 車両費はトラック車両に直接割付けできる費用であり トラック車両を調達した費用を法定耐用年数により費用計上 ( 減価償却 ) します トラック車両は新車 中古車の区分 現金調達 リース調達などの区分があるので それを踏まえて計算します 原価計算のポイント 減価償却の方法 車両の減価償却の方法は定額法と定率法がありますが 適正運賃収受のための原価計算では定額法により算出します < 基本式 > 減価償却の計算式 (1 ヶ月の車両費 ) =( 車両の調達価格 - 残存価格 ) 償却月数 ( 年数 ) 新車でトラック車両を購入した場合には償却月数 ( 年数 ) は法定耐用年数を利用します 中古でトラック車両を購入した場合で 特に既に法定耐用年数を超過している際は 車両取得時からの使用予定年数を設定して減価償却します 車両をリースにより調達している場合の処理方法 リースにより調達している場合には最初の契約内容にどのような事項があるかチェックします 一般修理費 タイヤチューブ費 オイル交換費等まで含んでいる場合もあれば 消耗品類は一切含んでいないケースもあります 修理費や消耗品費は除外するためリース総額から差し引いて車両費を算出します 19

5-4. 車両に直接割付けできる各費用 ( 車両の税金 ) 車両の税金とは 車両の税金はトラック車両に直接割付けできる費用であり トラック車両を取得 保有することで課税される税金です 車両の税金には以下の税金があります 自動車取得税 : トラックを取得する際の 1 回限りの支払い 自動車重量税 : 新規登録や自動車検査 ( 車検 ) の際の支払い 自動車税 : トラックを保有することで課税され年 1 回の支払い 原価計算のポイント 車両の税金は 車両ごとに実際の支払い ( 総勘定元帳 または領収書 ) を踏まえ 各車両に実際の支払い金額を割付けます その際 何ヶ月の金額になるかを確認します 自動車関連諸税は課税期間がそれぞれ異なるため 課税期間を踏まえて 1 ヶ月当たりの費用額を算出します 自動車取得税 : 取得時 1 回限りのため減価償却期間に一致させて償却 自動車重量税 : 車検時に支払いした月数で割り 1 ヶ月当たりの税額を算出 (1 年毎の車検であれば 12 で割る ) 自動車税 :12 ヶ月分支払いであれば 12 で割り 1 ヶ月当たりの税額を算出 20

5-5. 車両に直接割付けできる各費用 ( 車両保険費 ) 車両の保険費とは 保険費にはトラック車両に直接割付けられるもの 直接割付けられないものの 2 種類があります 1 直接割付けられる保険費 自賠責保険等でトラック車両に直接割付けられる保険費 2 トラック車両に直接割付けられない保険費 任意保険 運送保険 運送業者賠償責任保険 運送業総合保障保険等の運送事業に直結する保険費 火災保険 地震保険等施設関係の保険 運転者の労災保険の追加分 生命保険等で運送事業に直結しない保険費 原価計算のポイント 車両に直接割付けられる保険費 保険費のうち自賠責保険は各車両の支払実績額が明確であるため個別車両に直接割付けます 自賠責保険の金額 加入月数で費用を 1 ヶ月当たりの算出します 車両に直接割付けられない保険費 任意保険 運送保険 運送業者賠償責任保険 運送業総合保障保険等は会社単位で契約するケースが多く 車両ごとに直接割付けできない場合があります その際は間接費 ( 一般管理費等 ) に含めて 配分基準により各車両に配分します 21

5-6. 車両に直接割付けできる各費用 ( 運転者人件費 ) 運転者の人件費とは トラック車両の運転に従事する運転者の人件費及び法定福利 福利厚生費 ( 健康診断代 昼食代等 ) 退職金 ( 退職給与引当金 ) の全てを含みます 運行管理者 役員等の管理者の人件費は一般管理費に分類します 運送等原価報告書又は一般管理費における旅行交通費に運転者の通勤手当が計上されていれば運転者人件費に加えます 原価計算のポイント 運転者人件費を算出する方法は以下の 3 パターン 1 毎月の支払い実績 運転者 1 人が特定の車両 1 台に乗務する場合は 実際に運転者に支払っている人件費を計上します 運転者が複数の車両に乗務する場合は 毎月の支払実績額を車両ごとの乗務時間割合で按分します 21 時間あたりの運転者人件費 車両稼動時間 全体の運転者人件費総額 全体の車両稼働時間合計 =1 時間当たりの運転者人件費 1 時間当たりの運転者人件費 車両稼動時間 = 割付すべき人件費 3 平均月額 ( 年間人件費 12) 運転者の年間人件費を 12 ヶ月で割り 均等按分します 簡潔な方法ながら精度が高くない点に注意が必要です 22

5-7. 車両に直接割付けできない費用 ( 間接費 ) 間接費とは 間接費とは車両に直接割付けできないもので 管理業務などに関連する費用です 例えば 一般管理費は役員 運行管理者 整備管理者の人件費 事務所維持費用 各種消耗品費 事務用品費 通信費などが該当します 間接費には一般管理費のほかに 備品運搬費 インタンク設置 維持費用 車庫等の施設費などがあります 原価計算のポイント 間接費の把握 算出 トラック車両に直接割付けられない費用の年間合計額を算出し 12 ヶ月で割ることで 1 ヶ月当たりの間接費を算出します 項目ごとに消費税が課税されている費目 されていない費目があるので 消費税抜きの費用に統一して計算します 車両ごとへの配分方法は以下の 3 パターン 1 全体売上に占める各車両の収受運賃構成比をもとに配分 2 車両の稼動時間により配分 3 車両台数で割って配分 1 が最も妥当性が高い 3 は精度に問題があるため 収受運賃や稼動日数が同じ水準である場合のみ利用可能 23

5-8.1 時間あたり 1km あたり費用 原価計算のポイント 車両別の原価計算結果を踏まえ 1km 当たりの変動費 及び 1 時間当たりの固定費を算出します 1 時間あたりの固定費の計算式 1 時間当たり固定費を算出するため 駐車場を出てから戻ってくる時間 貨物の積み込み開始から取卸完了までの時間など 各社の実態を踏まえて検討する 1 時間当たりの固定費 車種カテゴリー別 = 固定費合計 稼働時間 ( 平均時間 ) 1km あたりの変動費の計算式 各車両の変動費となる費目を走行距離で割って算出する 1km 当たりの燃料費 = 燃料単価 ( 円 ) 燃費 (km/l) 1km 当たりの油脂費 = 1 回あたりの油脂費 交換距離 1km 当たりのタイヤチューフ 費 1km 当たりの修理費 1km 当たりの尿素水費 = タイヤチューブ費 = 一般修理 + 車検整備の各費用 = 尿素水費 交換距離 対応する走行距離 走行可能距離 24

5-9-1. 実践的な原価計算 ( 運行ルート別 ) 運行ルート別の原価計算 運行ルート別の原価計算とは 運行ルート別の原価計算は発着地点間の距離と稼動時間を基本に算出します 原価計算のポイント 距離 時間を基準にした運賃設定に対する原価計算では 平均走行距離及び稼動時間にそれぞれ原単位を乗じて算出します 適正な運賃水準の算出では 実車率 を考慮して妥当な原価計算を行う必要があります 例えば実車率 60% の場合 実車 6 割 空車 4 割となり 空車 4 割分は運賃収受できず 原価のみ要する運行となります この場合は空車分の原価も含めて利益計上する必要があるため 実車率の逆数をかけて適切運賃水準の基礎となる原価を算出します < 実車率 60% の場合 ルート別原価 (100 60)> 運行ルート別の原価計算の基本 1 時間当たり固定費 固定費 平均稼動時間 ( 時間 ) + 1km 当たり変動費 変動費 + 料金 実費等 高速道路利用料 フェリー利用料 駐車場利用料 宿泊費用 平均走行距離 (km) 燃料サーチャージ 附帯作業費 車両留置料 その他諸費用 25

5-9-2. 実践的な原価計算 ( 取引先別 ) 取引先別の原価計算 取引先別の原価計算とは 車両別の原価計算だけではなく 取引先別の原価を計算し損益を把握することで 適切に対処方策を講じていくことが可能となります 取引先が複数あった場合でも 取引先別の原価を計算すれば どの取引先が黒字に貢献し 赤字として会社の損益に悪影響を与えているかが分かります 原価計算のポイント 取引先別の原価計算では主に 2 つのパターンがあります パターン 1: 各車両がそれぞれ取引先に 100% 割り当てられているケース 車両別の原価を積算 10t トラック 2t トラック 100% 100% 荷主 A 荷主 B パターン 2:1 台の車両が複数の取引先の輸送に関与しているケース 各車両の稼動時間に基づき車両ごとの原価を配分 10t トラック 2t トラック 65% 75% 35% 25% 荷主 A 荷主 B 26

6. 原価計算に役立つツール セミナー 全日本トラック協会による原価計算シート 必要なデータを入力するだけで原価計算が可能会員企業はトラック協会ホームページ (http://www.jta.or.jp/) より入手可能 都道府県トラック協会などによる原価計算セミナー セミナーコンテンツ例原価計算の基礎 原価計算の基本演習 原価計算シートの利用方法原価計算の実践 運行ルート単位 取引先単位の原価計算 輸送特性 業態別の原価計算生産性の向上に向けた原価管理 取引先との運賃交渉力強化 生産性向上に向けた原価管理 取引先との運賃交渉力強化 セミナー開催風景 各都道府県トラック協会において随時開催中 トラック運送事業者のための価格交渉ノウハウ ハンドブック 原価計算の結果を利用して荷主と価格交渉の行うためのノウハウが掲載国土交通省ホームページ (http://www.mlit.go.jp/common/001 170940.pdf) より入手可能 27