資料 3-1 CREST 人工多能性幹細胞 (ips 細胞 ) 作製 制御等の医療基盤技術 平成 20 年度平成 21 年度平成 22 年度 10 件 7 件 6 件 進捗状況報告 9.28,2010 総括須田年生

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を行った 2.iPS 細胞の由来の探索 3.MEF および TTF 以外の細胞からの ips 細胞誘導 4.Fbx15 以外の遺伝子発現を指標とした ips 細胞の樹立 ips 細胞はこれまでのところレトロウイルスを用いた場合しか樹立できていない また 4 因子を導入した線維芽細胞の中で ips 細

1. 背景生殖細胞は 哺乳類の体を構成する細胞の中で 次世代へと受け継がれ 新たな個体をつくり出すことが可能な唯一の細胞です 生殖細胞系列の分化過程や 生殖細胞に特徴的なDNAのメチル化を含むエピゲノム情報 8 の再構成注メカニズムを解明することは 不妊の原因究明や世代を経たエピゲノム情報の伝達メカ

長期/島本1

平成18年3月17日

STAP現象の検証の実施について

2017 年 12 月 15 日 報道機関各位 国立大学法人東北大学大学院医学系研究科国立大学法人九州大学生体防御医学研究所国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ヒト胎盤幹細胞の樹立に世界で初めて成功 - 生殖医療 再生医療への貢献が期待 - 研究のポイント 注 胎盤幹細胞 (TS 細胞 ) 1 は

( 平成 22 年 12 月 17 日ヒト ES 委員会説明資料 ) 幹細胞から臓器を作成する 動物性集合胚作成の必要性について 中内啓光 東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター JST 戦略的創造研究推進事業 ERATO 型研究研究プロジェクト名 : 中内幹細胞制御プロジェクト 1

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スライド 1

ASC は 8 週齢 ICR メスマウスの皮下脂肪組織をコラゲナーゼ処理後 遠心分離で得たペレットとして単離し BMSC は同じマウスの大腿骨からフラッシュアウトにより獲得した 10%FBS 1% 抗生剤を含む DMEM にて それぞれ培養を行った FACS Passage 2 (P2) の ASC

資料3-1_本多准教授提出資料

STAP現象の検証結果

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解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

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60 秒でわかるプレスリリース 2008 年 7 月 12 日 独立行政法人理化学研究所 生殖細胞の誕生に必須な遺伝子 Prdm14 の発見 - Prdm14 の欠損は 精子 卵子がまったく形成しない成体に - 種の保存 をつかさどる生殖細胞には 幾世代にもわたり遺伝情報を理想な状態で維持し 個体を

資料 4 生命倫理専門調査会における主な議論 平成 25 年 12 月 20 日 1 海外における規制の状況 内閣府は平成 24 年度 ES 細胞 ips 細胞から作成した生殖細胞によるヒト胚作成に関する法規制の状況を確認するため 米国 英国 ドイツ フランス スペイン オーストラリア及び韓国を対象

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図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

細胞老化による発がん抑制作用を個体レベルで解明 ~ 細胞老化の仕組みを利用した新たながん治療法開発に向けて ~ 1. 発表者 : 山田泰広 ( 東京大学医科学研究所システム疾患モテ ル研究センター先進病態モテ ル研究分野教授 ) 河村真吾 ( 研究当時 : 京都大学 ips 細胞研究所 / 岐阜大学

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<1. 新手法のポイント > -2 -

Powered by TCPDF ( Title 造血器腫瘍のリプログラミング治療 Sub Title Reprogramming of hematological malignancies Author 松木, 絵里 (Matsuki, Eri) Publisher P

別紙 < 研究の背景と経緯 > 自閉症は 全人口の約 2% が罹患する非常に頻度の高い神経発達障害です 近年 クロマチンリモデ リング因子 ( 5) である CHD8 が自閉症の原因遺伝子として同定され 大変注目を集めています ( 図 1) 本研究グループは これまでに CHD8 遺伝子変異を持つ

細胞老化による発がん抑制作用を個体レベルで解明 ~ 細胞老化の仕組みを利用した新たながん治療法開発に向けて ~ 1. ポイント : 明細胞肉腫 (Clear Cell Sarcoma : CCS 注 1) の細胞株から ips 細胞 (CCS-iPSCs) を作製し がん細胞である CCS と同じ遺

体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

Establishment and Characterization of Cynomolgus Monkey ES Cell Lines

研究成果報告書

別紙 自閉症の発症メカニズムを解明 - 治療への応用を期待 < 研究の背景と経緯 > 近年 自閉症や注意欠陥 多動性障害 学習障害等の精神疾患である 発達障害 が大きな社会問題となっています 自閉症は他人の気持ちが理解できない等といった社会的相互作用 ( コミュニケーション ) の障害や 決まった手

報道発表資料 2002 年 10 月 10 日 独立行政法人理化学研究所 頭にだけ脳ができるように制御している遺伝子を世界で初めて発見 - 再生医療につながる重要な基礎研究成果として期待 - 理化学研究所 ( 小林俊一理事長 ) は プラナリアを用いて 全能性幹細胞 ( 万能細胞 ) が頭部以外で脳

背景 歯はエナメル質 象牙質 セメント質の3つの硬い組織から構成されます この中でエナメル質は 生体内で最も硬い組織であり 人が食生活を営む上できわめて重要な役割を持ちます これまでエナメル質は 一旦齲蝕 ( むし歯 ) などで破壊されると 再生させることは不可能であり 人工物による修復しかできませ

遺伝子の近傍に別の遺伝子の発現制御領域 ( エンハンサーなど ) が移動してくることによって その遺伝子の発現様式を変化させるものです ( 図 2) 融合タンパク質は比較的容易に検出できるので 前者のような二つの遺伝子組み換えの例はこれまで数多く発見されてきたのに対して 後者の場合は 広範囲のゲノム

論文題目  腸管分化に関わるmiRNAの探索とその発現制御解析

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur

第6号-2/8)最前線(大矢)

かし この技術に必要となる遺伝子改変技術は ヒトの組織細胞ではこれまで実現できず ヒトがん組織の細胞系譜解析は困難でした 正常の大腸上皮の組織には幹細胞が存在し 自分自身と同じ幹細胞を永続的に産み出す ( 自己複製 ) とともに 寿命が短く自己複製できない分化した細胞を次々と産み出すことで組織構造を

「ゲノムインプリント消去には能動的脱メチル化が必要である」【石野史敏教授】

のと期待されます 本研究成果は 2011 年 4 月 5 日 ( 英国時間 ) に英国オンライン科学雑誌 Nature Communications で公開されます また 本研究成果は JST 戦略的創造研究推進事業チーム型研究 (CREST) の研究領域 アレルギー疾患 自己免疫疾患などの発症機構

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れていない 遺伝子改変動物の作製が容易になるなどの面からキメラ形成できる多能性幹細胞 へのニーズは高く ヒトを含むげっ歯類以外の動物におけるナイーブ型多能性幹細胞の開発に 関して世界的に激しい競争が行われている 本共同研究チームは 着床後の多能性状態にある EpiSC を着床前胚に移植し 移植細胞が

今後の展開現在でも 自己免疫疾患の発症機構については不明な点が多くあります 今回の発見により 今後自己免疫疾患の発症機構の理解が大きく前進すると共に 今まで見過ごされてきたイントロン残存の重要性が 生体反応の様々な局面で明らかにされることが期待されます 図 1 Jmjd6 欠損型の胸腺をヌードマウス

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ランゲルハンス細胞の過去まず LC の過去についてお話しします LC は 1868 年に 当時ドイツのベルリン大学の医学生であった Paul Langerhans により発見されました しかしながら 当初は 細胞の形状から神経のように見えたため 神経細胞と勘違いされていました その後 約 100 年

ヒト脂肪組織由来幹細胞における外因性脂肪酸結合タンパク (FABP)4 FABP 5 の影響 糖尿病 肥満の病態解明と脂肪幹細胞再生治療への可能性 ポイント 脂肪幹細胞の脂肪分化誘導に伴い FABP4( 脂肪細胞型 ) FABP5( 表皮型 ) が発現亢進し 分泌されることを確認しました トランスク

の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産

く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM

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抑制することが知られている 今回はヒト子宮内膜におけるコレステロール硫酸のプロテ アーゼ活性に対する効果を検討することとした コレステロール硫酸の着床期特異的な発現の機序を解明するために 合成酵素であるコ レステロール硫酸基転移酵素 (SULT2B1b) に着目した ヒト子宮内膜は排卵後 脱落膜 化

小児の難治性白血病を引き起こす MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見 ポイント 小児がんのなかでも 最も頻度が高い急性リンパ性白血病を起こす新たな原因として MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見しました MEF2D-BCL9 融合遺伝子は 治療中に再発する難治性の白血病を引き起こしますが 新しい

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研究の詳細な説明 1. 背景細菌 ウイルス ワクチンなどの抗原が人の体内に入るとリンパ組織の中で胚中心が形成されます メモリー B 細胞は胚中心に存在する胚中心 B 細胞から誘導されてくること知られています しかし その誘導の仕組みについてはよくわかっておらず その仕組みの解明は重要な課題として残っ

報道発表資料 2006 年 8 月 7 日 独立行政法人理化学研究所 国立大学法人大阪大学 栄養素 亜鉛 は免疫のシグナル - 免疫系の活性化に細胞内亜鉛濃度が関与 - ポイント 亜鉛が免疫応答を制御 亜鉛がシグナル伝達分子として作用する 免疫の新領域を開拓独立行政法人理化学研究所 ( 野依良治理事

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icems ニュースリリース News Release 2009 年 12 月 11 日 京都大学物質 - 細胞統合システム拠点 ips 細胞研究を進めるための社会的課題と展望 - 国際幹細胞学会でのワークショップの議論を基に - 加藤和人京都大学物質 - 細胞統合システム拠点 (icems=アイセ

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本成果は 主に以下の事業 研究領域 研究課題によって得られました 日本医療研究開発機構 (AMED) 脳科学研究戦略推進プログラム ( 平成 27 年度より文部科学省より移管 ) 研究課題名 : 遺伝子改変マーモセットの汎用性拡大および作出技術の高度化とその脳科学への応用 研究代表者 : 佐々木えり

学報_台紙20まで

化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典

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研究の背景 ヒトは他の動物に比べて脳が発達していることが特徴であり, 脳の発達のおかげでヒトは特有の能力の獲得が可能になったと考えられています この脳の発達に大きく関わりがあると考えられているのが, 本研究で扱っている大脳皮質の表面に存在するシワ = 脳回 です 大脳皮質は脳の中でも高次脳機能に関わ

平成14年度研究報告

中山人間科学振興財団活動報告書 年度研究助成 骨格系組織のエピゲノム動態の解明 大庭伸介 東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻

研究目的 1. 電波ばく露による免疫細胞への影響に関する研究 我々の体には 恒常性を保つために 生体内に侵入した異物を生体外に排除する 免疫と呼ばれる防御システムが存在する 免疫力の低下は感染を引き起こしやすくなり 健康を損ないやすくなる そこで 2 10W/kgのSARで電波ばく露を行い 免疫細胞

メディカルスタッフのための白血病診療ハンドブック

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再生医療の可能性と倫理的限界 所属 : 医学 歯学 医療系 Ⅱ 2 年 7 組 39 番山中智裕 第 1 章はじめに 第 1 節主題設定の理由 2012 年に京都大学の山中伸弥教授が ips 細胞に関する論文によってノーベル医学 生理学賞を受賞したことを一つの契機に 現代の社会では世界規模で再生医学

急性骨髄性白血病の新しい転写因子調節メカニズムを解明 従来とは逆にがん抑制遺伝子をターゲットにした治療戦略を提唱 概要従来 <がん抑制因子 >と考えられてきた転写因子 :Runt-related transcription factor 1 (RUNX1) は RUNX ファミリー因子 (RUNX1

RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果

平成 28 年 2 月 1 日 膠芽腫に対する新たな治療法の開発 ポドプラニンに対するキメラ遺伝子改変 T 細胞受容体 T 細胞療法 名古屋大学大学院医学系研究科 ( 研究科長 髙橋雅英 ) 脳神経外科学の夏目敦至 ( なつめあつし ) 准教授 及び東北大学大学院医学系研究科 ( 研究科長 下瀬川徹

がん免疫療法モデルの概要 1. TGN1412 第 Ⅰ 相試験事件 2. がん免疫療法での動物モデルの有用性がんワクチン抗 CTLA-4 抗体抗 PD-1 抗体 2

能性を示した < 方法 > M-CSF RANKL VEGF-C Ds-Red それぞれの全長 cdnaを レトロウイルスを用いてHeLa 細胞に遺伝子導入した これによりM-CSFとDs-Redを発現するHeLa 細胞 (HeLa-M) RANKLと Ds-Redを発現するHeLa 細胞 (HeL

報道発表資料 2005 年 8 月 2 日 独立行政法人理化学研究所 国立大学法人京都大学 ES 細胞からの神経網膜前駆細胞と視細胞の分化誘導に世界で初めて成功 - 網膜疾患治療法開発への応用に大きな期待 - ポイント ES 細胞の細胞塊を浮遊培養し 16% の高効率で神経網膜前駆細胞に分化させる系

in vivo

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2. 研究の背景関節軟骨は 骨の端を覆い 腕や膝を曲げた時などにかかる衝撃を吸収する組織です 正常な関節軟骨は硝子軟骨と呼ばれます 私達の日常動作のひとつひとつを なめらかに行うためにも大切な組織ですが 加齢に伴ってすり減ったり スポーツや交通事故などの怪我により損傷をうけると 硝子軟骨が線維軟骨注

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統合失調症発症に強い影響を及ぼす遺伝子変異を,神経発達関連遺伝子のNDE1内に同定した

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法医学問題「想定問答」(記者会見後:平成15年  月  日)

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< 研究の背景 > 肉腫は骨や筋肉などの組織から発生するがんで 患者数が少ない稀少がんの代表格です その一方で 若い患者にしばしば発生すること 悪性度が高く難治性の症例が少なくないこと 早期発見が難しいことなど多くの問題を含んでいます ユーイング肉腫も小児や若年者に多く 発見が遅れると全身に転移する

報道関係者各位 平成 26 年 1 月 20 日 国立大学法人筑波大学 動脈硬化の進行を促進するたんぱく質を発見 研究成果のポイント 1. 日本人の死因の第 2 位と第 4 位である心疾患 脳血管疾患のほとんどの原因は動脈硬化である 2. 酸化されたコレステロールを取り込んだマクロファージが大量に血

( 樹立の用に供されるヒト胚に関する要件 ) 第 6 条第 1 種樹立の用に供されるヒト受精胚は 次に掲げる要件を満たすものとする 一生殖補助医療に用いる目的で作成されたヒト受精胚であって 当該目的に用いる予定がないもののうち 提供する者による当該ヒト受精胚を滅失させることについての意思が確認されて

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汎発性膿疱性乾癬のうちインターロイキン 36 受容体拮抗因子欠損症の病態の解明と治療法の開発について ポイント 厚生労働省の難治性疾患克服事業における臨床調査研究対象疾患 指定難病の 1 つである汎発性膿疱性乾癬のうち 尋常性乾癬を併発しないものはインターロイキン 36 1 受容体拮抗因子欠損症 (

九州大学病院の遺伝子治療臨床研究実施計画(慢性重症虚血肢(閉塞

研究成果報告書

< 研究内容 > (1) 細胞生存率の解析宇宙環境で保存したマウス ES 細胞を地上で培養し その増殖を調べます 宇宙放射線には陽子や鉄 炭素などがイオン化した重粒子線などが含まれています とくに重粒子線は細胞に対する傷害が大きいことが知られています 右の図は 地上で放射線医学総合研究所の重粒子線が

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界では年間約 2700 万人が敗血症を発症し その多くを発展途上国の乳幼児が占めています 抗菌薬などの発症早期の治療法の進歩が見られるものの 先進国でも高齢者が発症後数ヶ月の 間に新たな感染症にかかって亡くなる例が多いことが知られています 発症早期には 全身に広がった感染によって炎症反応が過剰になり

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資料 3-1 CREST 人工多能性幹細胞 (ips 細胞 ) 作製 制御等の医療基盤技術 平成 20 年度平成 21 年度平成 22 年度 10 件 7 件 6 件 進捗状況報告 9.28,2010 総括須田年生

報道関係者 CREST レクチャー会資料 (2009 年 12 月 4 日 ) からの抜粋 選考基準 1) ips 作成技術は センダイウイルス たんぱく質導入による方法など染色体組み込みを避ける方向で 飛躍的に進んでいる したがって 作成技術開発は 高い競争力が必要とされる 2) ips 作成技術が定まらない限り 性急な臨床応用は徒労に終わる可能性もあり 長期的な見極めが大切かと思われる 3) 細胞の由来 作成の方法により ips には異質性があり 疾患由来 ips 研究などにおいては その認識が重要である 4) 他領域研究において基盤のある研究者が ips 研究をどこまで取り込もうとしているのか 研究分担者を含め その準備状況を重視する ( すでに共同研究を始めていることが望ましい ) 2

リプログラミングの機構解析 Epigenetics 生殖系列 細胞分化誘導 NKT 細胞 Direct Reprogramming Naiive ips 3

造血幹細胞のエピジェネティクスとその制御法の創出 研究代表者 : 岩間厚志 ( 千葉大学大学院医学研究院教授 ) 研究期間 :2008.6~2014.3 Yolk sac AGM Fetal liver Bone marrow E7.5 E10.5 E12.5 E14.5 Birth 4w Hemangioblast Pre-HSC HSC 3 HoxB4? 2 分化細胞 ES/iPS 細胞 MLL MOZ-BRD1 HAT??? Polycomb (Bmi1..) 1 1 造血幹細胞のエピジェネティクス制御機構の解明 2 造血細胞の分化可塑性の検証と造血幹細胞へのリプログラミング 3 ips 細胞から造血幹細胞への分化誘導におけるエピジェネティクス制御 4

造血幹細胞の多能性を維持する仕組み発見 ~ES/iPS 細胞と同様の遺伝子抑制が重要な役割ー幹細胞を誘導 分化させる操作技術の改良に寄与する新知見ー Cell Stem Cell, Vol.6,279-286,2010 トライソラックスとポリコームによる遺伝子環境の制御 Bmi1 欠損による分化バランスの変化 分化に伴うアクセル ( 活性化 ) ブレーキ ( 抑制化 ) の変化 ES/iPS 細胞造血幹細胞血液細胞 Bmi1 による造血幹細胞増殖促進効果 5

ヒトiPS 細胞の分化能と腫瘍化傾向を反映するマーカー遺伝子群の探索研究代表者 : 古関明彦 (( 独 ) 理化学研究所免疫 アレルギー科学総合研究センターグループディレクター ) 研究期間 :2008.6~2013.3 (1) 体細胞からのiPS 細胞誘導 OCT3/4 SOX2 NANOG クローニング ips 細胞 clone 1 ヒトNKT 細胞 ips 細胞 clone 2 (2) 造血 免疫系への分化誘導 ヒト NKT 細胞誘導 (3) ヒト化マウスを用いた In vivo 検定 抗腫瘍活性腫瘍化傾向 ヒト B 細胞 ヒト繊維芽細胞 ips 細胞 ヒト ips 細胞の機能的な多様性 遺伝的多様性 リプログラム状況の相違 ウイルスを用いた場合には 挿入部位 etc. clone 3 造血幹細胞誘導 ヒト抗体産生腫瘍化傾向 骨髄再建能腫瘍化傾向 (4) ips 細胞における遺伝子発現 クロマチン状況のゲノムワイドな解析 相関関係の検定分化能分化細胞の機能分化細胞の腫瘍化傾向 vs エピゲノムプロファイル遺伝子発現プロファイル ips 細胞の分化能 分化誘導後の細胞機能 腫瘍化傾向は 各クロンごとに異なる可能性がある したがって 実際の治療に用いるクロンを選択するための基準が必要とされる 免疫細胞を用いる理由 細胞の起源を明確に示せる リプログラムの状況が把握可能 ips 技術を利用した免疫細胞治療技術開発の課題解決型基礎研究としても位置づけられる 有効性 安全性の高いiPS 細胞クロンを選別するためのパラメーターの抽出 B 細胞由来 ips 細胞を用いたクロマチン状況の解析から ポリコム群と呼ばれるエピゲノム因子のリプログラムが 完全に起こっていないことが判明した 6

多能性幹細胞 ips 細胞から免疫治療に 役に立つ リンパ球を作製 - 抗がん効果を発揮する NKT 細胞だけを作ることに世界で初めて成功 - J Clin Invest. Vol.120:2610-2618,2010 体細胞 Oct3/4,Sox2 c-myc,klf4 ( 山中因子 ) ips 細胞 分化誘導 多様な リンパ球 がん細胞 通常の体細胞から山中因子で誘導した ips 細胞を用いて分化誘導を行うと 多様な リンパ球へと分化する がん細胞を標的として攻撃できるのは ごく一部のリンパ球に限られる 成熟リンパ球 Oct3/4,Sox2 c-myc,klf4 ( 山中因子 ) ips 細胞 分化誘導 欲しい リンパ球 がん細胞 成熟リンパ球から 目的の リンパ球を取り出し ips 細胞を作って分化誘導を行うと 欲しい リンパ球だけに分化させることができる がん細胞を攻撃できるリンパ球から ips 細胞を作ると 分化誘導されたほぼ全てのリンパ球はがん細胞を攻撃する作用を持つ Oct3/4,Sox2 c-myc,klf4 NKT 細胞 Mature NKT Cell NKT-iPS 細胞 皮膚からつくった ips 細胞 SSEA1 DAPl Oct3/4 DAPl Nanog DAPl NKT 細胞由来 ips 細胞 NKT 細胞からつくった ips 細胞 NKT 細胞からつくった ips 細胞は 皮膚の細胞からつくった ips 細胞と見た目には同じ細胞である NKT 細胞から作ったiPS 細胞から リンパ球分化を行うと ほぼすべてNKT 細胞に分化できる NKT 細胞を欠損したマウスにiPS 細胞から分化させたNKT 細 7 胞を移入して α-galcerで活性化すると 移入したがん細胞を排除できた

精子幹細胞のリプログラミング機構の解明と医学応用の可能性の検討研究代表者 : 篠原隆司 ( 京都大学大学院医学研究科教授 ) 研究期間 :2008.6~2014.3 精巣由来の幹細胞 :GS 細胞と mgs 細胞 p53 ー /\ Germline stem (GS) cell 1. 安定な核型と DNA メチル化 2. ノックアウト作成 3. 精子形成能 4. マウス ラット ヒト etc 5. 潜在的多能性 multipotent GS (mgs) cell 1. 体細胞と生殖細胞に分化 2. ノックアウト作成 3. 胚発生能 4. マウス ヒトで樹立 5. ES 細胞と異なる DNA メチル化 8

Embryonic GS cells: リプログラミングできない細胞? 1. 胎児オス生殖細胞由来 2. 形態的には GS 細胞と区別できない (GDNF 依存性に増殖 ) 3. 異常なヒストン修飾を示す (H3K9, H3K27 etc) 4. 精巣に移植すると精子形成能を持つ ( まれに多能性獲得 ) 5. 次世代に異常な DNA メチル化 ヒストン修飾の伝達 Ras/cyclin D2 導入 GS 細胞によるヒト生殖細胞腫瘍モデル作成 外来性の自己複製因子なしでも自己複製 を誘導できる 移植後にはセミノーマ形成 (20-40 歳男性 で最も多い腫瘍 ) ヒトでも Ras の異常が精巣腫瘍を起こす 活性化 Ras 導入 GS 細胞 セミノーマ組織像 ことが確認 (Nat Genet 41, 1247, 2009) 9

生殖系列におけるゲノムリプログラミング機構の統合的解明とその応用研究代表者 : 斎藤通紀 ( 京都大学大学院医学研究科教授 ) 研究期間 :2009.10~2015.3 ips 細胞の医学的有用細胞への分化を達成するためには 多能性幹細胞からの様々な細胞系譜形成過程の詳細な理解 ips 細胞から誘導された細胞分化の正しい評価が必要となる 本領域を確実に発展させる基礎研究 : 生体における細胞系譜分化 機能維持機構の正確な理解それらの過程を規定するエピゲノム状態の測定技術の開発これらの目的を達成するため 生殖細胞系列をモデルシステムとし 1. 多能性幹細胞からの生殖系列細胞の誘導系の確立とその応用 2. 少数細胞 (~1000 細胞 ) のエピゲノム状態を測定する技術開発 10 の研究を平成 21 年 10 月より開始し 現在 着実に進展している

胚細胞ヒストンによるリプログラミング機構研究代表者 : 石井俊輔 (( 独 ) 理化学研究所基幹研究所主任研究員 ) 研究期間 :2008.6~2014.3 ~ これまでの CREST 研究の進展 ~ 胚細胞ヒストンを体細胞で発現させると Nanog-GFP を発現する ES 細胞様の形態を示す細胞が一過的に出現する 山中 4 因子の内 Oct3/4 と Klf4 だけでは ips 細胞は殆ど作製できないが そこに 2 種類の胚細胞ヒストン 或は 2 種類の胚細胞ヒストンとヒストンシャペロンのヌクレオプラスミン ( ヒストンをヌクレオソームに取り込ませるのに必要 ) を加えると ips 細胞の作製効率が上昇する 現在これらの ips 細胞の全能性を解析している 引き続き 胚細胞ヒストンだけ ( 山中 4 因子無し ) で ips 細胞を作製する条件を探索する 11

組織幹細胞 / 前駆細胞を誘導するディレクテッドリプログラミング技術の開発研究代表者 : 妻木範行 ( 大阪大学大学院医学系研究科独立准教授 ) 研究期間 :2009.10~2015.3 ディレクテッドリプログラミングによる 皮膚細胞培養から軟骨細胞様細胞を誘導する試み ips 細胞 多能性幹細胞 (ES 細胞 ) リプログラミング因子 Klf4, c-myc, Oct3/4, Sox2 部分リプログラミング + 軟骨因子 真皮線維芽細胞 胚 外胚葉 中胚葉 表皮 神経 間葉系細胞 MyoD Runx2 筋細胞 骨芽細胞 内胚葉 消化器 BMPs, Sox5/6/9, Nkx3.2, unknown, etc. Pparγ 軟骨前駆細胞 目的 : 軟骨因子およびリプログラミング因子を組み合 軟骨細胞 わせて皮膚線維芽細胞培養に導入することにより 軟 骨細胞様細胞を直接誘導できないか 検討する 脂肪細胞 12

(Ieda M et al, Cell, 2010) 13

ヒト ES 細胞 マウス型 と ヒト型 の ips 細胞 受精卵 胚盤胞 着床後 ES 細胞 マウス化 EpiSC キメラ形成なし生殖系列に入らない LIF に無反応 X 染色体不活化 MHC class I 陽性化増殖 クローニング能低下単一細胞培養困難 (ROCKi 依存 ) 線維芽細胞 マウス ips 細胞 ヒト ips 細胞 ( 自治医大花園豊 ) マウス以外 ( サル ブタ ウサギ ラット )ES/iPS 細胞 14