資料 3-1 CREST 人工多能性幹細胞 (ips 細胞 ) 作製 制御等の医療基盤技術 平成 20 年度平成 21 年度平成 22 年度 10 件 7 件 6 件 進捗状況報告 9.28,2010 総括須田年生
報道関係者 CREST レクチャー会資料 (2009 年 12 月 4 日 ) からの抜粋 選考基準 1) ips 作成技術は センダイウイルス たんぱく質導入による方法など染色体組み込みを避ける方向で 飛躍的に進んでいる したがって 作成技術開発は 高い競争力が必要とされる 2) ips 作成技術が定まらない限り 性急な臨床応用は徒労に終わる可能性もあり 長期的な見極めが大切かと思われる 3) 細胞の由来 作成の方法により ips には異質性があり 疾患由来 ips 研究などにおいては その認識が重要である 4) 他領域研究において基盤のある研究者が ips 研究をどこまで取り込もうとしているのか 研究分担者を含め その準備状況を重視する ( すでに共同研究を始めていることが望ましい ) 2
リプログラミングの機構解析 Epigenetics 生殖系列 細胞分化誘導 NKT 細胞 Direct Reprogramming Naiive ips 3
造血幹細胞のエピジェネティクスとその制御法の創出 研究代表者 : 岩間厚志 ( 千葉大学大学院医学研究院教授 ) 研究期間 :2008.6~2014.3 Yolk sac AGM Fetal liver Bone marrow E7.5 E10.5 E12.5 E14.5 Birth 4w Hemangioblast Pre-HSC HSC 3 HoxB4? 2 分化細胞 ES/iPS 細胞 MLL MOZ-BRD1 HAT??? Polycomb (Bmi1..) 1 1 造血幹細胞のエピジェネティクス制御機構の解明 2 造血細胞の分化可塑性の検証と造血幹細胞へのリプログラミング 3 ips 細胞から造血幹細胞への分化誘導におけるエピジェネティクス制御 4
造血幹細胞の多能性を維持する仕組み発見 ~ES/iPS 細胞と同様の遺伝子抑制が重要な役割ー幹細胞を誘導 分化させる操作技術の改良に寄与する新知見ー Cell Stem Cell, Vol.6,279-286,2010 トライソラックスとポリコームによる遺伝子環境の制御 Bmi1 欠損による分化バランスの変化 分化に伴うアクセル ( 活性化 ) ブレーキ ( 抑制化 ) の変化 ES/iPS 細胞造血幹細胞血液細胞 Bmi1 による造血幹細胞増殖促進効果 5
ヒトiPS 細胞の分化能と腫瘍化傾向を反映するマーカー遺伝子群の探索研究代表者 : 古関明彦 (( 独 ) 理化学研究所免疫 アレルギー科学総合研究センターグループディレクター ) 研究期間 :2008.6~2013.3 (1) 体細胞からのiPS 細胞誘導 OCT3/4 SOX2 NANOG クローニング ips 細胞 clone 1 ヒトNKT 細胞 ips 細胞 clone 2 (2) 造血 免疫系への分化誘導 ヒト NKT 細胞誘導 (3) ヒト化マウスを用いた In vivo 検定 抗腫瘍活性腫瘍化傾向 ヒト B 細胞 ヒト繊維芽細胞 ips 細胞 ヒト ips 細胞の機能的な多様性 遺伝的多様性 リプログラム状況の相違 ウイルスを用いた場合には 挿入部位 etc. clone 3 造血幹細胞誘導 ヒト抗体産生腫瘍化傾向 骨髄再建能腫瘍化傾向 (4) ips 細胞における遺伝子発現 クロマチン状況のゲノムワイドな解析 相関関係の検定分化能分化細胞の機能分化細胞の腫瘍化傾向 vs エピゲノムプロファイル遺伝子発現プロファイル ips 細胞の分化能 分化誘導後の細胞機能 腫瘍化傾向は 各クロンごとに異なる可能性がある したがって 実際の治療に用いるクロンを選択するための基準が必要とされる 免疫細胞を用いる理由 細胞の起源を明確に示せる リプログラムの状況が把握可能 ips 技術を利用した免疫細胞治療技術開発の課題解決型基礎研究としても位置づけられる 有効性 安全性の高いiPS 細胞クロンを選別するためのパラメーターの抽出 B 細胞由来 ips 細胞を用いたクロマチン状況の解析から ポリコム群と呼ばれるエピゲノム因子のリプログラムが 完全に起こっていないことが判明した 6
多能性幹細胞 ips 細胞から免疫治療に 役に立つ リンパ球を作製 - 抗がん効果を発揮する NKT 細胞だけを作ることに世界で初めて成功 - J Clin Invest. Vol.120:2610-2618,2010 体細胞 Oct3/4,Sox2 c-myc,klf4 ( 山中因子 ) ips 細胞 分化誘導 多様な リンパ球 がん細胞 通常の体細胞から山中因子で誘導した ips 細胞を用いて分化誘導を行うと 多様な リンパ球へと分化する がん細胞を標的として攻撃できるのは ごく一部のリンパ球に限られる 成熟リンパ球 Oct3/4,Sox2 c-myc,klf4 ( 山中因子 ) ips 細胞 分化誘導 欲しい リンパ球 がん細胞 成熟リンパ球から 目的の リンパ球を取り出し ips 細胞を作って分化誘導を行うと 欲しい リンパ球だけに分化させることができる がん細胞を攻撃できるリンパ球から ips 細胞を作ると 分化誘導されたほぼ全てのリンパ球はがん細胞を攻撃する作用を持つ Oct3/4,Sox2 c-myc,klf4 NKT 細胞 Mature NKT Cell NKT-iPS 細胞 皮膚からつくった ips 細胞 SSEA1 DAPl Oct3/4 DAPl Nanog DAPl NKT 細胞由来 ips 細胞 NKT 細胞からつくった ips 細胞 NKT 細胞からつくった ips 細胞は 皮膚の細胞からつくった ips 細胞と見た目には同じ細胞である NKT 細胞から作ったiPS 細胞から リンパ球分化を行うと ほぼすべてNKT 細胞に分化できる NKT 細胞を欠損したマウスにiPS 細胞から分化させたNKT 細 7 胞を移入して α-galcerで活性化すると 移入したがん細胞を排除できた
精子幹細胞のリプログラミング機構の解明と医学応用の可能性の検討研究代表者 : 篠原隆司 ( 京都大学大学院医学研究科教授 ) 研究期間 :2008.6~2014.3 精巣由来の幹細胞 :GS 細胞と mgs 細胞 p53 ー /\ Germline stem (GS) cell 1. 安定な核型と DNA メチル化 2. ノックアウト作成 3. 精子形成能 4. マウス ラット ヒト etc 5. 潜在的多能性 multipotent GS (mgs) cell 1. 体細胞と生殖細胞に分化 2. ノックアウト作成 3. 胚発生能 4. マウス ヒトで樹立 5. ES 細胞と異なる DNA メチル化 8
Embryonic GS cells: リプログラミングできない細胞? 1. 胎児オス生殖細胞由来 2. 形態的には GS 細胞と区別できない (GDNF 依存性に増殖 ) 3. 異常なヒストン修飾を示す (H3K9, H3K27 etc) 4. 精巣に移植すると精子形成能を持つ ( まれに多能性獲得 ) 5. 次世代に異常な DNA メチル化 ヒストン修飾の伝達 Ras/cyclin D2 導入 GS 細胞によるヒト生殖細胞腫瘍モデル作成 外来性の自己複製因子なしでも自己複製 を誘導できる 移植後にはセミノーマ形成 (20-40 歳男性 で最も多い腫瘍 ) ヒトでも Ras の異常が精巣腫瘍を起こす 活性化 Ras 導入 GS 細胞 セミノーマ組織像 ことが確認 (Nat Genet 41, 1247, 2009) 9
生殖系列におけるゲノムリプログラミング機構の統合的解明とその応用研究代表者 : 斎藤通紀 ( 京都大学大学院医学研究科教授 ) 研究期間 :2009.10~2015.3 ips 細胞の医学的有用細胞への分化を達成するためには 多能性幹細胞からの様々な細胞系譜形成過程の詳細な理解 ips 細胞から誘導された細胞分化の正しい評価が必要となる 本領域を確実に発展させる基礎研究 : 生体における細胞系譜分化 機能維持機構の正確な理解それらの過程を規定するエピゲノム状態の測定技術の開発これらの目的を達成するため 生殖細胞系列をモデルシステムとし 1. 多能性幹細胞からの生殖系列細胞の誘導系の確立とその応用 2. 少数細胞 (~1000 細胞 ) のエピゲノム状態を測定する技術開発 10 の研究を平成 21 年 10 月より開始し 現在 着実に進展している
胚細胞ヒストンによるリプログラミング機構研究代表者 : 石井俊輔 (( 独 ) 理化学研究所基幹研究所主任研究員 ) 研究期間 :2008.6~2014.3 ~ これまでの CREST 研究の進展 ~ 胚細胞ヒストンを体細胞で発現させると Nanog-GFP を発現する ES 細胞様の形態を示す細胞が一過的に出現する 山中 4 因子の内 Oct3/4 と Klf4 だけでは ips 細胞は殆ど作製できないが そこに 2 種類の胚細胞ヒストン 或は 2 種類の胚細胞ヒストンとヒストンシャペロンのヌクレオプラスミン ( ヒストンをヌクレオソームに取り込ませるのに必要 ) を加えると ips 細胞の作製効率が上昇する 現在これらの ips 細胞の全能性を解析している 引き続き 胚細胞ヒストンだけ ( 山中 4 因子無し ) で ips 細胞を作製する条件を探索する 11
組織幹細胞 / 前駆細胞を誘導するディレクテッドリプログラミング技術の開発研究代表者 : 妻木範行 ( 大阪大学大学院医学系研究科独立准教授 ) 研究期間 :2009.10~2015.3 ディレクテッドリプログラミングによる 皮膚細胞培養から軟骨細胞様細胞を誘導する試み ips 細胞 多能性幹細胞 (ES 細胞 ) リプログラミング因子 Klf4, c-myc, Oct3/4, Sox2 部分リプログラミング + 軟骨因子 真皮線維芽細胞 胚 外胚葉 中胚葉 表皮 神経 間葉系細胞 MyoD Runx2 筋細胞 骨芽細胞 内胚葉 消化器 BMPs, Sox5/6/9, Nkx3.2, unknown, etc. Pparγ 軟骨前駆細胞 目的 : 軟骨因子およびリプログラミング因子を組み合 軟骨細胞 わせて皮膚線維芽細胞培養に導入することにより 軟 骨細胞様細胞を直接誘導できないか 検討する 脂肪細胞 12
(Ieda M et al, Cell, 2010) 13
ヒト ES 細胞 マウス型 と ヒト型 の ips 細胞 受精卵 胚盤胞 着床後 ES 細胞 マウス化 EpiSC キメラ形成なし生殖系列に入らない LIF に無反応 X 染色体不活化 MHC class I 陽性化増殖 クローニング能低下単一細胞培養困難 (ROCKi 依存 ) 線維芽細胞 マウス ips 細胞 ヒト ips 細胞 ( 自治医大花園豊 ) マウス以外 ( サル ブタ ウサギ ラット )ES/iPS 細胞 14