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OECD 高等教育における学習成果の評価 (AHELO) フィージビリティ スタディの実施のあり方に関する調査研究第 3 回研究会 ( 平成 25 年 3 月 19 日 ) OECD AHELO FS データの分析にむけて 深堀聰子国立教育政策研究所 1 OECD AHELO のフィージビリティは検証されたか テスト問題の妥当性 信頼性 フェーズ 1(2011 年 5 月 10 大学 75 人 ) 検証済 フェーズ 2(2012 年 5 月 12 大学 504 人 ) 未検証 より広範な国 (9) 大学 (70) 学生 ( 約 6,000) を対象としたデータにもとづいて 新しい問題セットの妥当性 信頼性を検証する必要がある テストの実施可能性 フェーズ 2 をとおして 1 回限りの実施可能性は検証できた 大学にとって有益なフィードバックができたときに 初めて 2 回目以降の実施可能性を出張することができる 大学にとっていかなるフィードバックが有益かを明らかにし 適切にフィードバックする必要がある 2

OECD-AHELO FS データの制約 ( 確認 ) - 精度 ( 妥当性 信頼性 ) は確認されていない - - 各国の大学を代表するデータではない - 測定しようとする能力を 適切 ( 妥当性 ) かつ正確 ( 信頼性 ) に測定できたか 分析結果は注意深く解釈する必要がある データに代表性はない 大学母集団は特定していないし 大学母集団から無作為に大学を抽出したわけでもない ( 便宜サンプル ) 一方 学生は各大学 ( 土木工学プログラム ) を代表するサンプル ( 全数調査 ) 共通理解 国や大学の優劣の比較はできない 一位は A 国 ( 大学 ) 二位は B 国 ( 大学 ) 三位は C 国 ( 大学 ) 機関レベルの分析 : 大学へのフィードバック ( 非公開 ) ベンチマーキング ( 全体での位置づけ ) は求められる視点 3 Research Question 1 テスト問題の妥当性 信頼性は検証できるか 測定しようする能力を 適切かつ正確に測定できたか 4

測定しようとする能力テスト開発のための概念枠組 Processes Analysis: 既存の知識 方法を応用して 工学課題を見極め 解決する能力 Design: 工学課題を解決するために 知識を応用して 解決方法を考案する能力 Practice: 装置 道具 方法を選択する能力 技術者と社会 倫理 プロジェクト運営 5 Basic and Sciences Branch Specific:( 工学基礎 工学専門知識 ) 土木分野では 材料と建設 構造工学 地盤工学 水工水理学 都市計画 General( 数学 科学 ) Generic Skills 工学コミュニケーション能力 工学を取り巻く社会に対する理解 工学以外の分野 ENGINEERING ASSESSMENT FRAMEWORK(2011 年 11 月 18-19 日第 8 回 GNE 資料 )( 資料 3-4) (http://search.oecd.org/officialdocuments/displaydocumentpdf/?cote=edu/imhe/ahelo/gne(2011)19/ann5/final&doclangua ge=en) 43 Tertiary Capability Assessment (TECA): Concept Design Hamish Coates & Alexandra Radloff, Australian Council for Educational Research (ACER) (http://www.oecd.org/officialdocuments/displaydocumentpdf/?cote= EDU/IMHE/AHELO/GNE(2008)9&doclanguage=en) 能力クラスター別正答率の整合性 ( 仮想データ ) 能力クラスター問題 1 問題 2 問題 3 問題 4 問題 5 平均値 Basic Sciences(BES) Analysis (EA) Design (ED) Practice (EP) Generic Skills(EGS) CRT11 CRT21 CRT31 MCQ1 MCQ6 0.70 0.65 0.55 0.60 0.30 0.56 CRT12 CRT22 CRT32 MCQ2 MCQ7 0.30 0.50 0.45 0.55 0.40 0.44 CRT13 CRT23 CRT33 MCQ3 MCQ8 0.80 0.10 0.20 0.70 0.75 0.51 CRT14 CRT24 CRT34 MCQ4 MCQ9 0.30 0.40 0.35 0.20 0.45 0.34 CRT15 CRT25 CRT35 MCQ5 MCQ10 0.30 0.20 0.10 0.40 0.50 0.30 6

能力クラスターの相関関係 ( 仮想データ ) 能力クラスター BES EA ED EP EGS Basic Sciences(BES) 0.8 0.4 0.3 0.4 Analysis(EA) 0.8 0.4 0.4 0.3 Design(ED) 0.4 0.4 0.5 0.6 Practice(EP) 0.3 0.4 0.5 0.7 Generic Skills(EGS) 0.4 0.3 0.6 0.7 7 問題の識別力 ( 仮想データ ) 学力の高い学生ほど正答できているか 正答 誤答 計 最上位層 (Q1) 61(a) 39(b) 100(a+b) 最下位層 (Q4) 24(c) 76(d) 100(c+d) 計 85(a+c) 115(b+d) 200 識別値 φ(φ>0.3) φ= = =0.37 8

Research Question 2 大学にとっていかなるフィードバックが有益か どのような情報なら 大学は教育改善に活かすことができるか 9 学生の強み 弱みは何か ( 仮想データ ) Sciences 80 60 Generic Skills 40 20 0 Analysis Practice Design 大学 A 日本大学全体参加大学全体 10

大学の特徴と工学コンピテンスの関係 ( 仮想データ ) 620 600 580 560 540 520 500 480 460 講義時間数 ( 週 ) 20 時間未満 20 時間以上 大学 A 日本大学全体参加大学全体 11 OECD AHELO FS データの分析にむけて 今後の方向性 12

FS データの現状 多肢選択式問題と同変数との対応が不明 多肢選択式問題の変数の値が成否 (1, 0) ではなく 回答 (1=A,2=B,3=C,4=D) で示されている 今後 適切な情報が OECD から配信される 合成変数 ( 項目反応理論にもとづいて構築された問題から推定される生徒レベルの得点 ) についての説明等が与えられていない OECD よりマニュアルが提供される PC がフリーズしたことによって ID を 2 つもつ学生のデータは 正答率や平均点を計算する際には分析に含めない OECD 側の分析でも同様の扱いを要求し 同意を得た 2013 年 3 月 13 日 (13:30~14:30) データ分析に関するディスカッションより 13 FS データ分析のねらい データの制約と非代表性を踏まえたうえで 1FSデータにもとづいてテスト問題の妥当性 信頼性を検証するとともに 2 大学にとって有益なフィードバックのあり方を明らかにし 3 実際にできる限りそのモデルに即したフィードバックを大学に対して行う この作業をとおして フィージビリティ スタディを適切に終了させることをめざす 条件整備の方法を模索中 データ分析は 工学専門家の指導 助言を得ながら 国立教育政策研究所において実施する 14

工学分野における学習成果調査展望 本調査実施の可否の検討 @OECD ワシントン アコード加盟国あるいはキャンパス アジア圏内等で共有しうる : 工学コンピテンスの枠組みの構築 テスト問題および採点ルーブリックの作成 教育改善に資するフィードバックのあり方 ( 適切な報告書テンプレート ) の提案 構築した工学コンピテンスの育成に適合的な教育プログラムのデザイン 15 ご協力くださいまして 誠にありがとうございました 今後とも よろしくお願いいたします fukahori@nier.go.jp 16