販売名 再審査報告書 1 ゴナールエフ皮下注用 75 2 ゴナールエフ皮下注用 ゴナールエフ皮下注ペン ゴナールエフ皮下注ペン ゴナールエフ皮下注ペン 900 有 効 成 分 名 ホリトロピンアルファ ( 遺伝子組換え ) 申 請 者 名 メルクセローノ株式会社

Similar documents
審査結果 平成 23 年 4 月 5 日 [ 販 売 名 ] ゴナールエフ皮下注用 150 [ 一 般 名 ] ホリトロピンアルファ ( 遺伝子組換え ) [ 申請者名 ] メルクセローノ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 22 年 7 月 21 日 [ 審査結果 ] 提出された資料から 本剤の視床

重篤な副作用は 自然流産の 1 例 1 件であった 本症例は 本剤服用後も性交があり どの時点での妊娠か判断できず 本剤と自然流産との関連は評価できないと考えた 非重篤な副作用のうち 使用上の注意から予測できない副作用は 腹部膨満及び月経困難症各 2 件 腹部不快感 口内炎 ざ瘡 尿臭異常 月経障害

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

ゴナールエフ皮下注_再審査結果のお知らせ_04O.indd

葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

モビコール 配合内用剤に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 モビコール 配合内用剤 有効成分 マクロゴール4000 塩化ナトリウム 炭酸水素ナトリウム 塩化カリウム 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全

販売名 有効成分名 再審査報告書 1 レキップ CR 錠 2 mg 2 レキップ CR 錠 8 mg ロピニロール塩酸塩 平成 29 年 9 月 26 日医薬品医療機器総合機構 申請者名グラクソ スミスクライン株式会社 承認の効能 効果承認の用法 用量承認年月日再審査期間 パーキンソン病 通常 成人

モン (hcg) 製剤と併用されます この薬は 医療機関において 適切な在宅自己注射教育を受けた患者または家族の方は 自己注射できます 自己判断で使用を中止したり 量を加減せず 医師の指示に従ってください この薬を使う前に 確認すべきことは? 女性がこの薬を使用する場合 血栓塞栓症などを伴う重篤な卵

審査報告書 平成 21 年 5 月 12 日 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 承認申請のあった下記の医薬品にかかる医薬品医療機器総合機構での審査結果は 以下のとおりで ある 記 [ 販売名 ] 1ゴナールエフ皮下注用 75 2ゴナールエフ皮下注ペン 300 同皮下注ペン 450 及び同皮下注ペン

<4D F736F F D2082A8926D82E782B995B68F E834E838D838A E3132>

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

スライド 1

ヒアルロン酸ナトリウム架橋体製剤 特定使用成績調査

5_使用上の注意(37薬効)Web作業用.indd

Microsoft Word - LIA RMP_概要ver2.docx

スライド 1

(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

薬生安発 0302 第 1 号 平成 30 年 3 月 2 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬 生活衛生局医薬安全対策課長 ( 公印省略 ) 医薬品リスク管理計画の実施に基づく再審査期間終了後の評価報告について の一部改正について 再審査期間中の新医薬品以外の医薬品の医薬品リ

1)~ 2) 3) 近位筋脱力 CK(CPK) 高値 炎症を伴わない筋線維の壊死 抗 HMG-CoA 還元酵素 (HMGCR) 抗体陽性等を特徴とする免疫性壊死性ミオパチーがあらわれ 投与中止後も持続する例が報告されているので 患者の状態を十分に観察すること なお 免疫抑制剤投与により改善がみられた


体外受精についての同意書 ( 保管用 ) 卵管性 男性 免疫性 原因不明不妊のため 体外受精を施行します 体外受精の具体的な治療法については マニュアルをご参照ください 当施設での体外受精の妊娠率については別刷りの表をご参照ください 1) 現時点では体外受精により出生した児とそれ以外の児との先天異常

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

1.8 ?????

<4D F736F F D B A814089FC92F982CC82A8926D82E782B95F E31328C8E5F5F E646F63>

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

審査結果 平成 23 年 4 月 11 日 [ 販 売 名 ] ミオ MIBG-I123 注射液 [ 一 般 名 ] 3-ヨードベンジルグアニジン ( 123 I) 注射液 [ 申請者名 ] 富士フイルム RI ファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 22 年 11 月 11 日 [ 審査結果

目次 C O N T E N T S 1 下痢等の胃腸障害 下痢について 3 下痢の副作用発現状況 3 最高用量別の下痢の副作用発現状況 3 下痢の程度 4 下痢の発現時期 4 下痢の回復時期 5 下痢による投与中止時期 下痢以外の胃腸障害について 6 下痢以外の胃腸障害の副

2. 特定使用成績調査 2-1 安全性収集された 1,169 例から 46 例 ( 再来院なし 39 例 安全性未評価 5 例 本剤未投与 1 例及び本剤投与歴有り 1 例 ) を除いた 1,123 例が安全性解析対象とされた なお 安全性解析対象には未承認用法 用量で使用された 174 例 1)

添付文書情報 の検索方法 1. 検索条件を設定の上 検索実行 ボタンをクリックすると検索します 検索結果として 右フレームに該当する医療用医薬品の販売名の一覧が 販売名の昇順で表示されます 2. 右のフレームで参照したい販売名をクリックすると 新しいタブで該当する医療用医薬品の添付文書情報が表示され

医薬品の添付文書等を調べる場合 最後に 検索 をクリック ( 下部の 検索 ボタンでも可 ) 特定の文書 ( 添付文書以外の文書 ) の記載内容から調べる場合 検索 をクリック ( 下部の 検索 ボタンでも可 ) 最後に 調べたい医薬品の名称を入力 ( 名称の一部のみの入力でも検索可能

再審査報告書 販売名 平成 29 年 11 月 8 日 医薬品医療機器総合機構 1 ネスプ注射液 10µg/1mL プラシリンジ 同注射液 15µg/1mL プラシリンジ 同注射液 20µg/1mL プラシリンジ 同注射液 30µg/1mL プラシリンジ 同注射液 40µg/1mL プラシリンジ 同

301128_課_薬生薬審発1128第1号_ニボルマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドラインの一部改正について

系統看護学講座 クイックリファレンス 2012年 母性看護学

日本医薬品安全性学会 COI 開示 筆頭発表者 : 加藤祐太 演題発表に関連し 開示すべき COI 関連の企業などはありません

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

フォリスチム注300IU、600IU、900IUカートリッジ

第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案)

276_?????????

審査結果 平成 25 年 9 月 27 日 [ 販売名 ] アナフラニール錠 10 mg 同錠 25 mg [ 一般名 ] クロミプラミン塩酸塩 [ 申請者名 ] アルフレッサファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 25 年 5 月 17 日 [ 審査結果 ] 平成 25 年 4 月 26 日開

医薬品の基礎研究から承認審査 市販後までの主なプロセス 基礎研究 非臨床試験 動物試験等 品質の評価安全性の評価有効性の評価 候補物質の合成方法等を確立 最適な剤型の設計 一定の品質を確保するための規格及び試験方法などの確立 有効期間等の設定 ( 長期安定性試験など ) 医薬品候補物質のスクリーニン

フォリスチム注カートリッジ患者向医薬品ガイド

1. 医薬品リスク管理計画を策定の上 適切に実施すること 2. 国内での治験症例が極めて限られていることから 製造販売後 一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は 全 症例を対象に使用成績調査を実施することにより 本剤使用患者の背景情報を把握するとともに 本剤の安全性及び有効性に関するデータを

検査項目情報 トータルHCG-β ( インタクトHCG+ フリー HCG-βサブユニット ) ( 緊急検査室 ) chorionic gonadotropin 連絡先 : 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10)

平成14年度研究報告

審査報告 (1) 別紙 平成 29 年 4 月 3 日 本申請において 申請者が提出した資料及び医薬品医療機器総合機構における審査の概略等は 以下 のとおりである 申請品目 [ 販売名 ] ジャドニュ顆粒分包 90 mg 同顆粒分包 360 mg [ 一般名 ] デフェラシロクス [ 申請者 ] ノ

Microsoft Word - 茬çfl�宛玺0618第1å‘·_æŠ¥èŒ¬é•£å®łã†¦é•ıç�¥ï¼‹ã…¡ã…‹ã…łã…«ã…�ㅳ;.doc

オクノベル錠 150 mg オクノベル錠 300 mg オクノベル内用懸濁液 6% 2.1 第 2 部目次 ノーベルファーマ株式会社

(別添様式)

記載なし 重大な間質性肺疾患 肝機能障害 肝炎 大腸炎 重度の下痢 膵炎 1 型糖尿病 甲状腺機能障害 副腎機能障害 下垂体機能障害 脳炎 髄膜炎 神経障害 重症筋無力症 重度の皮膚障害 腎機能障害 筋炎 横紋筋融解症 Infusion reaction その他悪心 (8.7%) 食欲減退 (8.5

より詳細な情報を望まれる場合は 担当の医師または薬剤師におたずねください また 患者向医薬品ガイド 医療専門家向けの 添付文書情報 が医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載されています

記 第 1 再審査資料の構成及び作成上の注意事項再審査資料の構成及び作成上の注意事項は次のとおりとすること また 再審査申請書の写し及び平成 10 年 12 月 1 日付け医薬審第 1058 号厚生省医薬安全局審査管理課長通知 新医薬品等の申請資料の信頼性の基準の遵守について により添付することとし

緒言

Microsoft Word - 日薬連宛抗インフル薬通知(写).doc

審査結果 平成 26 年 2 月 7 日 [ 販売名 ] 1 ヘプタバックス-Ⅱ 2 ビームゲン 同注 0.25mL 同注 0.5mL [ 一般名 ] 組換え沈降 B 型肝炎ワクチン ( 酵母由来 ) [ 申請者名 ] 1 MSD 株式会社 2 一般財団法人化学及血清療法研究所 [ 申請年月日 ]

レクタブル 2 mg 注腸フォーム 14 回に係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 レクタブル 2 mg 注腸フ 有効成分 ブデソニド ォーム14 回 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 29 年 10 月 1.1. 安全性検討事項 重要な特

鑑-H リンゼス錠他 留意事項通知の一部改正等について

再審査報告書 販売名オゼックス細粒小児用 15% 有効成分名トスフロキサシントシル酸塩水和物申請者名富山化学工業株式会社 承認の効能 効果 承認の用法 用量 平成 29 年 2 月 16 日 医薬品医療機器総合機構 < 適応菌種 > トスフロキサシンに感性の肺炎球菌 ( ペニシリン耐性肺炎球菌を含む

301226更新 (薬局)平成29 年度に実施した個別指導指摘事項(溶け込み)

甲状腺機能が亢進して体内に甲状腺ホルモンが増えた状態になります TSH レセプター抗体は胎盤を通過して胎児の甲状腺にも影響します 母体の TSH レセプター抗体の量が多いと胎児に甲状腺機能亢進症を引き起こす可能性が高まります その場合 胎児の心拍数が上昇しひどい時には胎児が心不全となったり 胎児の成

別紙 1 成分名該当商品名承認取得者効能 効果更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う下記症状エストラーナテープ 0.72mg 血管運動神経症状 (Hot flush 及び発汗 ) 泌尿生殖器久光製薬株式会社他他の萎縮症状閉経後骨粗鬆症エストラジオー更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う下記症状ルジュリナ錠 0.

ケブザラ皮下注 150mg/200mg シリンジに係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 1 ケブザラ皮下注 150mg シリンジ 2 ケブザラ皮下注 200mg シリンジ 有効成分 サリルマブ ( 遺伝子組換え ) 製造販売業者 サノフィ株式会社 薬効分類 399 提出年月 平成

1 卵胞期ホルモン検査 ホルモン分泌に関して卵巣や脳が正常に機能しているかを知る目的で測定します FSH; 卵胞刺激ホルモン脳の下垂体から分泌されて 卵子を含む卵胞を成長させる作用を持ちます 低いと卵胞の成長がおきませんが 卵巣の予備能力が低下している時には反応性に高くなります LH; 黄体化ホルモ

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

現況解析2 [081027].indd

アビガン錠 200mg に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 アビガン錠 200mg 有効成分 ファビピラビル 製造販売業者 富士フイルム富山化学株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全性検討事項 重要な特定されたリスク 頁 重要な潜在

シダキュアスギ舌下錠 2,000JAU 5,000JAU に係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 シダキュアスギ舌下錠 2,000JAU,5,000JAU 有効成分 スギ花粉エキス原末 承認取得者名 鳥居薬品株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 8 月 1.1.

販売名 製造販売業者 ジャクスタピッドカプセル 5mg 10mg 20mg に係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 ジャクスタピッドカプセル 5mg 10mg 20mg AEGERION PHARMACEUTICALS 株式会社提出年月 有効成分 ロミタピドメシル酸塩 薬効分類 87218

ケブザラ皮下注 150mg/200mg シリンジ ケブザラ皮下注 150mg/200mg オートインジェクターに係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 製造販売業者 1 ケブザラ皮下注 150mg シリンジ 2 ケブザラ皮下注 200mg シリンジ 3 ケブザラ皮下注 150mg オ

減量・コース投与期間短縮の基準

検査項目情報 1171 一次サンプル採取マニュアル 4. 内分泌学的検査 >> 4F. 性腺 胎盤ホルモンおよび結合蛋白 >> 4F090. トータル HCG-β ( インタクト HCG+ フリー HCG-β サブユニット ) トータル HCG-β ( インタクト HCG+ フリー HCG-β サブ

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

Microsoft Word - 奈良県GQP-GVPガイドライン doc

【押印あり】日本医学会宛

<4D F736F F D2092E18F6F90B691CC8F648E998F6F90B682CC919D89C182CC94778C692E646F63>

児に対する母体の甲状腺機能低下症の影響を小さくするためにも 甲状腺機能低下症を甲状腺ホル モン薬の補充でしっかりとコントロールしておくのが無難と考えられます 3) 胎児 新生児の甲状腺機能低下症 胎児の甲状腺が生まれながらに ( 先天的に ) 欠損してしまう病気があります 通常 妊娠 8-10 週頃

clea

試験デザイン :n=152 試験開始前に第 VIII 因子製剤による出血時止血療法を受けていた患者群を 以下のい ずれかの群に 2:2:1 でランダム化 A 群 (n=36) (n=35) C 群 (n=18) ヘムライブラ 3 mg/kg を週 1 回 4 週間定期投与し その後 1.5 mg/k

‡BUNITE_Studyƒv?ƒgƒR??−iFinal_Ver_−j _docx

( 別添 ) 御意見 該当箇所 一般用医薬品のリスク区分 ( 案 ) のうち イブプロフェン ( 高用量 )(No.4) について 意見内容 <イブプロフェン ( 高用量 )> 本剤は 低用量製剤 ( 最大 400mg/ 日 ) と比べても製造販売後調査では重篤な副作用の報告等はない 一方で 今まで

た 18 歳以上の AD/HD 患者を対象に 日本人を含むアジア人によるプラセボ対照二重盲検比較試験及びその長期継続投与試験が現在実施されており 本剤の製造販売者によれば これらの試験成績に基づき 本剤の成人期 AD/HD 患者への追加適応に関する承認事項一部変更承認申請が行われる予定とされている

医薬品たるコンビネーション製品の不具合報告等に関する Q&A [ 用いた略語 ] 法 : 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 ( 昭和 35 年法律第 145 号 ) 施行規則 : 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則 ( 昭和 36 年

未承認の医薬品又は適応の承認要望に関する意見募集について

恩賜第 42 回社会福祉法人財団済生会中央治験審査委員会 会議の記録の概要 開催日時 平成 28 年 1 月 13 日 ( 水 )15:30~17:17 開催場所 出席委員名 東京都港区三田 三田国際ビル 21 階 社会福祉法人 恩賜財団済生会本部事務局中会議室 豊島

1. 重篤な不正出血の発現状況 ( 患者背景 ) (1) 患者背景 ( 子宮腺筋症 子宮筋腫合併例の割合 ) 重篤な不正出血発現例の多くは子宮腺筋症を合併する症例でした 重篤な不正出血を発現した 54 例中 48 例 (88.9%) は 子宮腺筋症を合併する症例でした また 子宮腺筋症 子宮筋腫のい

糖尿病経口薬 QOL 研究会研究 1 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12

また リハビリテーションの種類別では 理学療法はいずれの医療圏でも 60% 以上が実施したが 作業療法 言語療法は実施状況に医療圏による差があった 病型別では 脳梗塞の合計(59.9%) 脳内出血 (51.7%) が3 日以内にリハビリテーションを開始した (6) 発症時の合併症や生活習慣 高血圧を

一般内科

AID 4 6 AID ; 4 : ; 4 : ; 44 : ; 45 : ; 46 :

Microsoft Word - sa_niflec_ doc

Microsoft Word - オーソ_201302_Final.docx

ハイゼントラ20%皮下注1g/5mL・2g/10mL・4g/20mL


第2次JMARI報告書

系統看護学講座 クイックリファレンス 2013年7月作成

診療のガイドライン産科編2014(A4)/fujgs2014‐114(大扉)

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル


本日の内容 1. 医薬品の再審査に係る関連法規 2. 医薬品の再審査申請資料の適合性調査 2.1. GPSP 実地調査における調査の視点 2.2. 適合性書面調査における調査の視点 2.3. ( 参考 ) 医薬品再審査適合性調査相談の現況 3. 適合性調査の効率化に向けて 3.1. 安全性情報管理シ

cover

Transcription:

販売名 再審査報告書 1 ゴナールエフ皮下注用 75 2 ゴナールエフ皮下注用 150 3 ゴナールエフ皮下注ペン 300 4 ゴナールエフ皮下注ペン 450 5 ゴナールエフ皮下注ペン 900 有 効 成 分 名 ホリトロピンアルファ ( 遺伝子組換え ) 申 請 者 名 メルクセローノ株式会社 承 認 の 効 能 効 果 承 認 の 用 法 用 量 平成 29 年 2 月 17 日医薬品医療機器総合機構 1. 低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症における精子形成の誘導 2. 視床下部 - 下垂体機能障害又は多囊胞性卵巣症候群に伴う無排卵及び希発排卵における排卵誘発 1. 精子形成の誘導には 本剤は hcg( ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン ) 製剤と併用投与する hcg 製剤の投与により 血中テストステロン値が正常範囲内にあること及び無精子であることを確認した後に ホリトロピンアルファ ( 遺伝子組換え ) として 1 回 150 IU を 1 週 3 回皮下投与する 精子形成の誘導が認められない場合には 本剤の用量を 1 回に最大 300 IU 1 週 3 回を限度として適宜増量する 2. 排卵誘発には ホリトロピンアルファ ( 遺伝子組換え ) として通常 1 回 75 IU を連日皮下投与する 卵胞の発育の程度を観察しながら適宜用量を調節し 主席卵胞の十分な発育が確認された後 hcg( ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン ) 製剤を投与し排卵を誘起する 承認年月日承認事項一部変更承認年月日 1. 12 平成 18 年 1 月 23 日 1. 345 平成 20 年 10 月 24 日 2. 1345 平成 21 年 7 月 7 日 ( 効能 効果の追加 ) 2. 2 平成 23 年 5 月 20 日 再審査期間 1. 10 年 2. 5 年 10 カ月 下線部 : 今回の再審査対象 1. 製造販売後調査全般について使用成績調査は ゴナールエフ皮下注用 75 及び同 150 ゴナールエフ皮下注ペン 300 同 450 及び同 900( 以下 本剤 ) が視床下部 - 下垂体機能障害又は多囊胞性卵巣症候群に伴う無排卵及び希発排卵における排卵誘発のために使用された場合の安全性及び有効性を把握することを目的として 標準的な観察期間を本剤最終投与日の 1 カ月後まで ( 最長観察期間を 1 年間 ) とし 予定調査症例数 1,000 例 平成 21 年 9 月から平成 25 年 4 月までの調査期間で中央登録方式にて実施され 80 施設から 1,418 例が収集された 特定使用成績調査は 本剤の使用成績調査で妊娠に至った患者の妊娠 出産及び出生児に関する情報を収集し 妊産婦及び出生児に対する安全性を検討することを目的として 標準的な観察期間を妊産婦については妊娠確認から出産時まで 出生児については出生から 1.5 歳までとし 予定調査症例数は妊産婦 90 例 出生児 50 例として実施され 妊産婦は 8 施設から 71 例 出生児は 5 施設から 43 例が収集された なお 製造販売後臨床試験は実施されていない 2. 使用成績調査の概要 2-1 安全性 1

2-1-1 副作用発現状況収集された 1,418 例から 計 245 例 ( 登録違反 209 例 契約外医師による調査票記入 9 例 本剤未投与 16 例及び安全性評価不能 11 例 ) を除外した 1,173 例が安全性解析対象症例とされた 副作用発現症例率 ( 以下 副作用発現率 ) は 7.6%(89/1,173 例 ) であり 承認時までの臨床試験 ( 国内第 Ⅱ 相試験及び国内第 Ⅲ 相試験 ) における副作用発現率 39.3%(123/313 例 ) に比べて高くなかった 主な器官別大分類別の副作用発現率 ( 副作用発現症例数 主な副作用 ) は 生殖系および乳房障害 5.3%(62 例 卵巣過剰刺激症候群 ( 以下 OHSS )61 件等 ) 及び 妊娠 産褥および周産期の状態 2.2%(26 例 双胎妊娠 15 件等 ) であった なお 安全性解析対象除外症例 245 例のうち 15 例に副作用が認められた 発現した副作用は OHSS 10 件 双胎妊娠 3 件等であり 安全性解析対象症例と同様の傾向であった 本調査では OHSS 及びアナフィラキシー反応が注目すべき項目として検討され 申請者は以下のように説明した 安全性解析対象症例 1,173 例のうち OHSS は 61 例に認められ OHSS の随伴症状別では 腹部膨満 50 件 卵巣腫大 45 件 腹水 18 件 腹痛 14 件等が認められた OHSS に関しては 本剤の添付文書の 重大な副作用 の項において 軽度の卵巣過剰刺激症候群では一過性下腹部不快感 軽度悪心 嘔吐 下痢及び腹部膨満等がみられ 卵巣過剰刺激症候群の進行によって症状の持続や悪化が認められる 重度の卵巣過剰刺激症候群では 腹痛 腹部膨満 重度の卵巣腫大 体重増加 呼吸困難 乏尿 及び持続する悪心 嘔吐 下痢などの消化管症状等の症状がみられ 臨床的評価では血液量減少症 血液濃縮 電解質失調 腹水 腹膜腔出血 胸水 胸水症 呼吸困難 心嚢液貯留 血栓塞栓症が認められる場合がある 重度の卵巣過剰刺激症候群では 卵巣捻転 卵巣破裂による卵巣出血 肺塞栓症 虚血性脳卒中 心筋梗塞 成人呼吸窮迫症候群等の合併症により重篤化することがある 重度の卵巣過剰刺激症候群が認められた場合には直ちに投与を中止し 適切な処置を行うこと と注意喚起している 本調査における OHSS の発現率は 5.2%(61/1,173 例 ) であり 承認時までの臨床試験の 7.0%(22/313 例 ) と比べて発現状況や重症度に大きな差はないこと等から 現時点で新たな対応は不要と考える また アナフィラキシー反応に関しては 本剤の承認審査時にアナフィラキシー反応の発現症例における抗チャイニーズハムスター卵巣抗体の測定が求められたことから 国内第 Ⅲ 相試験で使用した測定方法と同様の方法にて測定する体制を整えた上で調査を実施した 本調査ではアナフィラキシー反応は発現せず 抗体測定を実施した症例もなかった アナフィラキシー反応に関しては 本剤の添付文書の 重大な副作用 の項において アナフィラキシー反応があらわれることがあるので 観察を十分に行い 異常が認められた場合には投与を中止し 適切な処置を行うこと と注意喚起しており 現時点で新たな対応は不要と考える 2-1-2 安全性に影響を及ぼす背景因子安全性に影響を及ぼす背景因子として 年齢 身長 体重 Body Mass Index(BMI) 喫煙歴 入院 外来 使用理由 妊娠歴の有無及び妊娠回数 分娩歴の有無及び分娩回数 不妊期間 不妊治療歴の有無及び各不妊治療歴 ( クロミフェン療法 ゴナドトロピン療法 クロミフェン療法 + ゴナドトロピン療法 アロマターゼインヒビター療法 アロマターゼインヒビター療法 + ゴナドトロピン療法 その他 ) の有無 既往歴の有無及び各既往歴 (OHSS 卵管疾患 血栓塞栓症 その他 ) の有無 家族歴の有無及び各家族歴 ( 血栓塞栓症 乳癌 その他 ) の有無 合併症の有無及び各合併症 ( 腎機能障害 肝機能障害 糖尿病 高脂血症 高血圧 心疾患 非活動性視床下部腫瘍 非活動性下垂体腫瘍 その他 ) の有無 アレルギー歴の有無 治療開始時の臨床所見 ( 婦人科学的診察所見及び子宮頸部細胞診 ) 平均投与量 投与サイクル数 総投 2

与量 平均投与回数 ( サイクル ) 平均開始投与量( サイクル ) 総投与量( サイクル ) 及び併用薬剤の有無及び各併用薬剤 ( ヒト絨毛性ゴナドトロピン ( 以下 hcg ) 製剤 ヒト閉経期ゴナドトロピン ( 以下 hmg ) 製剤 卵胞刺激ホルモン ( 以下 FSH ) 製剤 クロミフェン製剤 経口避妊剤 その他の黄体ホルモン製剤等 ) の有無が検討された その結果 年齢 身長 使用理由 既往歴の有無 OHSS の既往歴の有無 総投与量 平均投与回数 ( サイクル ) 総投与量 ( サイクル ) 及び hmg 製剤併用の有無により副作用発現率に有意差が認められた (Fisher 直接確率計算法 順序尺度の場合は Cochran-Armitage 検定 ) これらの要因について 申請者は以下のように説明した 年齢が 30 歳未満 30 歳以上 35 歳未満 35 歳以上 40 歳未満 及び 40 歳以上 の患者における副作用発現率はそれぞれ 11.7%(27/230 例 ) 9.3%(40/430 例 ) 4.2%(17/402 例 ) 及び 4.5%(5/111 例 ) であった 年齢区分別に発現した副作用を検討したところ 年齢が低い区分ほど OHSS の発現率が高い傾向が認められた 一般的に 卵巣機能が高く反応性が高い若い女性では OHSS のリスクが高いことが知られており 本調査でも同様の結果が示されたと考える 身長が 155 cm 未満 155 cm 以上 160 cm 未満 160 cm 以上 165 cm 未満 165 cm 以上 170 cm 未満 及び 170 cm 以上 の患者における副作用発現率はそれぞれ 9.3%(23/247 例 ) 9.5%(38/398 例 ) 5.5%(20/365 例 ) 3.8%(5/130 例 ) 及び 6.5%(2/31 例 ) であった 身長区分別に発現した副作用を検討したが 特徴的な傾向は認められなかった 使用理由が 第 1 度無月経 無排卵周期症 多囊胞性卵巣症候群 複数理由 及び 適応外 の患者における副作用発現率はそれぞれ 8.1%(5/62 例 ) 3.4%(10/296 例 ) 12.4%(48/388 例 ) 18.8%(3/16 例 ) 及び 5.8%(23/399 例 ) であった 使用理由が 多囊胞性卵巣症候群 の患者での OHSS の発現率 8.8%(34/388 例 ) は 他の使用理由別での発現率 ( 第 1 度無月経 : 4.8%(3/62 例 ) 無排卵周期症 :2.4%(7/296 例 ) 適応外 :4.0%(16/399 例 )) より高かったが これは多囊胞性卵巣症候群が OHSS のリスク因子であることから ( 重篤副作用疾患別対応マニュアル卵巣過剰刺激症候群 (OHSS): 平成 23 年 3 月厚生労働省 ) 使用理由である多囊胞性卵巣症候群による影響が考えられた 既往歴 有 の患者の副作用発現率は 12.3%(32/260 例 ) であり 無 の患者の 6.2%(56/899 例 ) より高かった いずれの患者においても 発現した主な副作用は OHSS 及び双胎妊娠であり 既往歴の有無により副作用に特徴的な傾向は認められなかった また 主な既往歴は OHSS (51 例 ) 及び卵巣疾患 (41 例 ) であり それぞれの有無別に発現した副作用を検討したところ 卵巣疾患の既往歴の有無では特徴的な傾向は認められなかったが OHSS の既往歴 有 の患者では 無 の患者より OHSS の発現率が高かった (OHSS の既往歴 有 :23.5%(12/51 例 ) 無 :4.4%(49/1,122 例 ) OHSS の既往歴は OHSS のリスク因子であることから ( 重篤副作用疾患別対応マニュアル卵巣過剰刺激症候群 (OHSS): 平成 23 年 3 月厚生労働省 ) 本調査でも同様の結果が示されたと考える 総投与量が 300 IU 未満 300 IU 以上 600 IU 未満 600 IU 以上 900 IU 未満 900 IU 以上 1,200 IU 未満 1,200 IU 以上 1,500 IU 未満 1,500 IU 以上 1,800 IU 未満 及び 1,800 IU 以上 の患者における副作用発現率はそれぞれ 5.6%(5/89 例 ) 6.8%(16/236 例 ) 4.2%(7/167 例 ) 9.5%(20/210 例 ) 4.6%(6/130 例 ) 8.8%(7/80 例 ) 及び 10.7%(28/261 例 ) であった 総投与量別に発現した副作用を検討したが 特徴的な傾向は認められなかった 平均投与回数 ( サイクル ) が 3 回未満 3 回以上 7 回未満 7 回以上 11 回未満 11 回以上 15 回未満 及び 15 回以上 の患者における副作用発現率はそれぞれ 4.3%(4/92 例 ) 6.8%(27/399 例 ) 7.4%(30/405 例 ) 6.0%(11/184 例 ) 及び 18.3%(17/93 例 ) であり 平均 3

投与回数 ( サイクル ) 15 回以上 の患者で特に高く 発現率が最も高かったのは OHSS(14.0% (13/93 例 )) であった 総投与量 ( サイクル ) が 300 IU 未満 300 IU 以上 450 IU 未満 450 IU 以上 600 IU 未満 600 IU 以上 750 IU 未満 750 IU 以上 900 IU 未満 900 IU 以上 1,150 IU 未満 及び 1,150 IU 以上 の患者における副作用発現率はそれぞれ 4.3%(7/163 例 ) 1.3%(2/154 例 ) 9.2%(19/206 例 ) 6.2%(9/145 例 ) 7.4%(7/95 例 ) 11.5%(22/192 例 ) 及び 10.6%(23/218 例 ) であった 総投与量 ( サイクル ) 別に発現した副作用を検討したところ 300 IU 未満 300 IU 以上 450 IU 未満 450 IU 以上 600 IU 未満 600 IU 以上 750 IU 未満 750 IU 以上 900 IU 未満 900 IU 以上 1,150 IU 未満 及び 1,150 IU 以上 の患者における OHSS の発現率はそれぞれ 0.6%(1/163 例 ) 0.6%(1/154 例 ) 6.3%(13/206 例 ) 4.1%(6/145 例 ) 6.3% (6/95 例 ) 7.8%(15/192 例 ) 及び 8.7%(19/218 例 ) であり 総投与量 ( サイクル ) の増加に伴って高くなる傾向が認められた hmg 製剤の併用 有 の患者の副作用発現率は 11.6%(24/207 例 ) であり 無 の患者の 6.7%(65/966 例 ) より高かった いずれの患者においても 発現した主な副作用は OHSS 及び双胎妊娠であり hmg 製剤の併用の有無により副作用に特徴的な傾向は認められなかったが hmg 製剤の併用 有 の患者では 無 の患者より OHSS の発現率が高かった (hmg 製剤の併用 有 :8.2%(17/207 例 ) 無 :4.6%(44/966 例 ) 平均投与回数 ( サイクル ) が 15 回以上 の患者 総投与量 ( サイクル ) が比較的多い区分の患者及び hmg 製剤の併用 有 の患者における OHSS の発現率が高い傾向が認められたことについては ゴナドトロピン製剤の投与量増加は OHSS のリスク因子であることから ( 重篤副作用疾患別対応マニュアル卵巣過剰刺激症候群 (OHSS): 平成 23 年 3 月厚生労働省 ) 本調査でも同様の結果が示されたと考える 以上より 申請者は 本剤の安全性について 現時点で新たな対応は必要ないと考えると説明し 医薬品医療機器総合機構 ( 以下 機構 ) はこれを了承した 2-2 有効性 2-2-1 有効性評価安全性解析対象症例 1,173 例から 適応外使用 ( 原因不明不妊 197 件 生殖補助療法 ( 以下 ART )195 件等 )411 例を除外した 762 例が有効性解析対象症例とされた 有効性の主要項目は排卵 副次的項目は妊娠 1) 臨床的妊娠 2) 多胎妊娠とされた 治療効果として排卵 有 と評価された症例 及び 治療効果として排卵は 無 又は 不明 と評価されたが 排卵日以降 (hcg 製剤投与後若しくは該当サイクルの本剤投与後 ) の血清中プロゲステロン値が 5 ng/ml 以上であった症例又は該当サイクルで妊娠 有 の症例が排卵症例と定義され 有効例とされた 有効性解析対象症例 762 例における有効例の割合 ( 以下 排卵率 ) は 86.0%(655/762 例 ) であり 妊娠 臨床的妊娠及び多胎妊娠が認められた症例の割合 ( 以下 それぞれ 妊娠率 臨床的妊娠率 及び 多胎妊娠率 ) はそれぞれ 24.0%(183/762 例 ) 23.1%(176/762 例 ) 及び 2.0%(15/762 例 ) であった 申請者は 承認時までの臨床試験と比較するために集計した 本調査での 1 サイクル目の排卵率 妊娠率 臨床的妊娠率及び多胎妊娠率はそれぞれ 80.1% 1) 調査票の治療効果欄において妊娠 有 とされた症例 2) 調査票の治療効果欄において妊娠 有 とされた症例 かつ 後期観察期間の超音波検査で胎嚢の数が 1 以上の症例 4

(610/762 例 ) 13.0%(99/762 例 ) 12.6%(96/762 例 ) 及び 1.4%(11/762 例 ) であり 承認時までの臨床試験での排卵率 3) 79.1%(102/129 例 ) 妊娠率 4) 5) 17.8%(23/129 例 ) 臨床的妊娠率 17.1%(22/129 例 ) 及び多胎妊娠率 2.3%(3/129 例 ) と比較して有意差はなかった (Fisher 直接確率計算法 ) と説明した 2-2-2 有効性に影響を及ぼす背景因子有効性に影響を及ぼす背景因子として 安全性に影響を及ぼす背景因子と同様の因子 ( 身長及び体重を除く ) が検討された その結果 分娩歴の有無 不妊治療歴 ( ゴナドトロピン療法 ) の有無 卵管疾患の既往歴の有無 平均投与量 投与サイクル数 平均投与回数 ( サイクル ) 平均開始投与量 ( サイクル ) 総投与量( サイクル ) 併用薬剤の有無 hcg 製剤併用の有無及びその他の黄体ホルモン製剤等併用の有無により排卵率に有意差が認められ (Fisher 直接確率計算法 順序尺度の場合は Cochran-Armitage 検定 ) 申請者は以下のように説明した 分娩歴 有 の患者の排卵率 91.7%(166/181 例 ) は 無 の患者の排卵率 84.1%(488/580 例 ) より高く 過去に妊娠 出産に至っている分娩歴 有 の患者に比較的妊娠しやすい患者が多く含まれていた可能性が考えられた 不妊治療歴 ( ゴナドトロピン療法 ) 有 の患者の排卵率は 81.3%(135/166 例 ) であり 無 の患者の排卵率 88.5%(500/565 例 ) より低かった ゴナドトロピン療法は 最も強力な排卵誘発法の一つであり 不妊治療歴 ( ゴナドトロピン療法 ) 有 の患者には 過去の不妊治療が奏効しなかった卵巣の反応性の低い患者が多く含まれていた可能性が考えられた 卵管疾患の既往歴 有 の患者の排卵率は 68.4%(13/19 例 ) であり 無 の患者の 86.4% (642/743 例 ) より低かったが 卵管疾患の既往歴 有 の患者は 19 例と少数であったことから 偶発的に有意差が認められた可能性も考えられる 平均投与量が 50 IU 未満 50 IU 以上 100 IU 未満 100 IU 以上 150 IU 未満 150 IU 以上 200 IU 未満 及び 200 IU 以上 の患者における排卵率はそれぞれ 96.3%(103/107 例 ) 84.7%(455/537 例 ) 92.6%(50/54 例 ) 73.8%(45/61 例 ) 及び 66.7%(2/3 例 ) であった 平均投与量が高い区分の患者で排卵率が低い傾向が認められていることについては 患者の卵巣の反応性を反映した結果であると考える 投与サイクル数が 第 1 サイクル 第 2 サイクル 第 3 サイクル 第 4 サイクル 及び 第 5 サイクル以上 の患者における排卵率はそれぞれ 77.8%(319/410 例 ) 92.0%(149/162 例 ) 100%(77/77 例 ) 98.6%(72/73 例 ) 及び 95.0%(38/40 例 ) であった 投与サイクル数が多い区分の患者で排卵率が高い傾向が認められていることについては 第 2 サイクル以降では前回サイクルの患者の卵巣の反応性に基づき用量調節が行われた結果と考える 1 サイクルにおける平均投与回数が 3 回未満 3 回以上 7 回未満 7 回以上 11 回未満 11 回以上 15 回未満 及び 15 回以上 の患者における排卵率はそれぞれ 94.4%(51/54 例 ) 86.0%(185/215 例 ) 91.3%(232/254 例 ) 82.9%(126/152 例 ) 及び 70.1%(61/87 例 ) であった 1 サイクルにおける平均開始投与量が 75 IU 未満 75 IU 以上 112.5 IU 未満 112.5 IU 以上 150 IU 未満 150 IU 以上 187.5 IU 未満 及び 187.5 IU 以上 の患者における排卵率はそれぞれ 90.9%(159/175 例 ) 85.7%(432/504 例 ) 100%(12/12 例 ) 75.8%(50/66 例 ) 及び 40.0%(2/5 例 ) であった 3) 血清中プロゲステロン濃度が 5 ng/ml 以上に至った症例及び 5 ng/ml 未満であっても妊娠に至った症例の割合 4) 尿中 β-hcg による妊娠検査で陽性となった症例の割合 5) 超音波による妊娠検査で胎嚢が確認された症例の割合 5

1 サイクルにおける総投与量が 300 IU 未満 300 IU 以上 450 IU 未満 450 IU 以上 600 IU 未満 600 IU 以上 750 IU 未満 750 IU 以上 900 IU 未満 900 IU 以上 1,150 IU 未満 及び 1,150 IU 以上 の患者における排卵率はそれぞれ 95.9%(117/122 例 ) 89.4%(93/104 例 ) 86.3%(120/139 例 ) 90.0%(90/100 例 ) 81.2%(56/69 例 ) 84.9%(101/119 例 ) 及び 71.6% (78/109 例 ) であった 1 サイクルにおける平均投与回数が多い区分の患者 1 サイクルにおける平均開始投与量が多い区分の患者及び 1 サイクルにおける総投与量が多い区分の患者で排卵率が低い傾向が認められていることについては 患者の卵巣の反応性を反映した結果であると考える 併用薬剤 有 の患者の排卵率は 91.7%(645/703 例 ) であり 無 の患者の 17.2%(10/58 例 ) より高かった hcg 製剤の併用 有 の患者の排卵率は 94.6%(580/613 例 ) であり 無 の患者の 50.3%(75/149 例 ) より高かった その他の黄体ホルモン製剤等の併用 有 の患者の排卵率は 96.2%(279/290 例 ) であり 無 の患者の 79.7%(376/472 例 ) より高かった 本剤は卵胞発育を刺激するものであり 添付文書の 用法及び用量 の項にも 主席卵胞の十分な発育が確認された後 hcg( ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン ) 製剤を投与し排卵を誘起する と記載があるように 最終的な排卵を誘起するためには hcg 製剤等の併用薬の投与が必要であることが示されたと考える 以上より 申請者は 本剤の有効性について 現時点で特段の対応は必要ないと考えると説明し 機構はこれを了承した 2-3 特別な背景を有する患者特別な背景を有する患者 ( 腎機能障害を有する患者及び肝機能障害を有する患者 ) については 使用成績調査で収集された症例より抽出され それぞれ安全性及び有効性について 申請者は以下のように説明した 腎機能障害を有する患者 : 安全性解析対象症例として 1 例収集されたが 副作用は認められなかった 有効性解析対象症例として 1 例収集されたが 排卵は認められなかった 肝機能障害を有する患者 : 安全性解析対象症例として 1 例収集されたが 副作用は認められなかった 有効性解析対象症例として 1 例収集されたが 排卵は認められなかった 機構は 本調査より抽出された特別な背景を有する患者 ( 腎機能障害を有する患者及び肝機能障害を有する患者 ) に関する申請者の説明を了承した 3. 特定使用成績調査の概要特定使用成績調査は 本剤の使用成績調査で妊娠に至った妊娠症例が対象とされ 妊娠症例の妊娠 出産及び出生児に関する情報が収集された 3-1 妊産婦 3-1-1 安全性収集された 71 例が安全性解析対象症例とされた 申請者は 副作用は 3 例に 5 件 ( 自然流産が 2 件 早産児 早産及び低出生体重児が各 1 件 ) 認められたが ( 副作用発現率は 4.2%(3/71 例 )) いずれも使用上の注意から予測できる既知の副作用であったと説明した 本調査の対象は本調査への同意が取得できた妊娠症例であり 同意取得手順の不備により 集計に含めることができなかった症例が 23 例あった そのうち 調査票が収集された症例は 6

19 例で 契約期間外症例 2 例を除く 17 例に副作用は認められなかった 3-1-2 有効性安全性解析対象症例 71 例から 適応外使用 (ART 15 件 男性不妊及び原因不明不妊各 2 件等 : 重複集計 )16 例を除外した 55 例が有効性解析対象症例とされた 出生児が 1 名以上確認できている症例を出生症例とし 有効性は 出生率 ( 出生症例の割合 ) で評価された 申請者は 以下のように説明した 有効性解析対象症例 55 例のうち 出生症例は 51 例 流産症例は 4 例であり, 出生率は 92.7%(51/55 例 ) であった 国内第 Ⅲ 相試験における出生率 ( 妊娠の転帰が判明した症例のうちの出生症例の割合 ) は 94.4%(17/18 例 ) と比べ 大きな差はないと考える 3-2 出生児収集された 43 例が安全性解析対象症例とされ いずれにも副作用は認められなかった 以上より 申請者は 当該調査で収集された妊産婦及び出生児について 特段の問題点は認められなかったと説明し 機構はこれを了承した 4. 副作用及び感染症再審査期間中に収集され 機構に報告された重篤な副作用は 46 例 56 件 ( 使用成績調査 20 例 24 件 自発報告 26 例 32 件 ) であり 申請者は以下のように説明した 再審査申請時の使用上の注意から予測できる重篤な副作用は 45 例 53 件であり これらの転帰は回復 26 件 軽快 10 件 未回復 2 件及び不明 15 件であった 主な副作用は OHSS が 31 件 稽留流産 多胎妊娠 早産児 双胎妊娠 胎児死亡及び子宮付属器捻転が各 2 件であった 承認時までの臨床試験と比較して副作用の発生傾向に注意すべき変化は認められず 現時点で新たな注意喚起は必要ないと判断した 再審査申請時の使用上の注意から予測できない重篤な副作用は 3 例 3 件 ( 卵巣出血 血便排泄及び出血が各 1 件 ) であり 卵巣出血の転帰は回復 血便排泄及び出血の転帰はいずれも不明であった 卵巣出血は 本剤投与後に妊娠が確認されたが 妊娠 6 週に卵巣出血が発現し 完全流産と診断された 血便排泄及び出血は いずれも患者からの報告であり 医療機関の特定に至らなかったために情報が不足しており 本剤との関連性は評価できなかった 2 件以上集積した事象はないことから 現時点で新たな安全確保措置を講じる必要はないと判断した 今後も引き続き同様の報告に留意し 必要に応じて対応する 再審査期間中に収集された未知の副作用 ( 重篤な副作用を除く ) は 38 例 45 件であった 主な副作用は鼻咽頭炎 3 件であったが いずれも電話による問い合わせであり 詳細は不明であった 申請者は 本剤との関連性が強く疑われる症例は集積していないことから 現時点で新たな安全確保措置を講じる必要はないと判断したが 今後も引き続き同様の報告に留意し 必要に応じて対応すると説明した なお 再審査期間中に感染症報告はなかった 機構は 以上の申請者の説明を了承した 5. 相互作用再審査期間中に 本剤の相互作用によると考えられる副作用は報告されていない 7

6. 重大な措置 海外からの情報国内において 再審査期間中に緊急安全性情報の配布 回収 出荷停止等の重大な措置は実施されていない 平成 28 年 10 月現在 米国 英国等世界 128 カ国で承認され 119 カ国で販売されている 再審査期間中に機構へ報告された国外の措置報告は 2 件であり 申請者は以下のように説明した 1 件は 米国の流通施設で冷凍機が故障し 規定を超えた温度上昇が貯蔵庫で発生したために 製品回収を実施したものであるが 流通先が米国内の 3 州に限定されることから 本邦における対応は不要と判断した 1 件は イタリア等の諸外国において 製造過程における環境モニタリング試験にて逸脱が認められたことから 小売レベル ( 薬局 病院及び卸売業者 ) における本剤 ( ゴナールエフ皮下注ペン 900) の回収を実施したものであるが 該当ロットは本邦へ流通しないことが確認されていることから 対応は不要と判断した 機構は 以上の申請者の説明を了承した 7. 研究報告再審査期間中に機構へ報告された研究報告は 1 件であり 申請者は以下のように説明した オランダにおいて 不妊症と診断された 54,362 人の患者を対象として 不妊治療薬の子宮体癌発症リスクへの影響を後向きコホート試験で検討した結果 過去のゴナドトロピン製剤の使用が子宮体癌のリスクを増加させ クロミフェン及び hcg にもその可能性があり 高用量及び長期投与ではリスクがより高くなるという報告であり 当該試験の対象患者の多くは 子宮体癌の平均的な発現年齢には至っていないことから 今後とも継続して注視する必要があるとしている 国内症例を検討したところ 生殖器癌を発現した症例の集積はなかったこと 及び エストロゲン依存性腫瘍については 本剤の添付文書の禁忌に エストロゲン依存性悪性腫瘍 ( 例えば 乳癌 子宮内膜癌 ) 及びその疑いのある患者 を記載する等して注意喚起していることから 現時点において 当該研究報告に基づき 添付文書の 使用上の注意 の改訂等の安全確保措置は必要ないと判断したが 今後も同様の情報の収集に努め 必要に応じて対応する 機構は 以上の申請者の説明を了承した 総合評価機構は 以上の安全性及び有効性の評価に基づき カテゴリー 1( 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律第 14 条第 2 項第 3 号イからハまでのいずれにも該当しない ) と判断した 以上 8