ii iii
iv v
Clinical Genome Science Contents 2 18 36 54 72 9 11 126 136 152 176 192 vi vii
Clinical Genome Science Contents 28 222 238 viii
第 Ⅲ 部 疫 学 研 究 た め 基 盤 技 術 情 報 第1章 子ゲノム多型解析法進展 ヒトゲノムに見られる代表的な多型はマイクロサテライト多型と単一塩基多型 SNP であ る マイクロサテライト多型は疾患子探索研究における連鎖解析に頻用されるとともに 個 体識別などDNA鑑定にも有用である そ解析には ゲル電気泳動と銀染色を組み合わせる か 蛍光標識プライマーを用いたPCR産物を自動シークエンサーで解析する場合が多い 一方 SNPは疾患子候補領域から疾患子を絞り込む段階で有用な多型である 対立子 判別原理はハイブリダイゼーション 特異的プライマー伸長 一本鎖あるいは二本鎖構造差 検出など限られているが 検出方法等にさまざまな工夫がなされ多様な技術が開発されている 表1-1 ヒトゲノム中主な多型マーカー 1-1 bp 2-5 repeats マイクロサテライト microsatellite STR short tandem repeat 1-9 bp 5-6 repeats 数十万カ所 高度な多型性 を一挙に解析する技術も実用化されている SNPハプロタイプは高度な多型性 1. がある 前者は短い塩基配列繰り返し回数に見られる多型である 疾患子探索研究に おける連鎖解析に頻用される 後者は塩基1個差異からなる ヒトゲノム中には5万から 1,万種類も存在すると推定され 最も高密度に存在する多型である 疾患子候補領 域から疾患子を絞り込む段階で有用な多型である 1 代表的な子ゲノム多型 ヒトゲノムが生物種としてヒト Homo Sapiens に必要な情報すべてを担っている ことは言うまでもない 一方で ヒトゲノム中には数多く多型 polymorphism 変異 variation が存在する注 こような多型変異は それ自体が何らか機能上意義を持つかど マッピング SNP single nucleotide polymorphism 単一塩基多型 約1,万カ所 二対立子 ヒトゲノムに見られる代表的な多型として マイクロサテライト多型と単一塩基多型 SNP 疫 学 研 究 た め 基 盤 技 術 情 報 ミニサテライト minisatellite VNTR variable number of tandem repeat 最近 微量ゲノムDNAから全ゲノムを増幅する技術やゲノム全域に分布する数十万種もSNPs 子ゲノム多型 Ⅲ 反復配列 repetitive sequence 多型 図1-1 子特定 マイクロサテライト多型例 TA アレル 5 TCCAGCCTCGGAG TATATATATA GTCCTTTCTCCAGA アレル TA 6 TCCAGCCTCGGAG TATATATATATA GTCCTTTCTCCAGA アレル TA 7 TCCAGCCTCGGAG TATATATATATATA GTCCTTTCTCCAGA 第 1 章 子 ゲ ノ ム 多 型 解 析 法 進 展 図1-2 単一塩基多型 SNP 例 - - -AGACTGTCCGAA T TGACCATGGTTCA- - 一方鎖み表示 - - -AGACTGTCCGAA C TGACCATGGTTCA- - - うかにかかわらず ヒトさまざまな疾患や特徴にかかわる子を探索したり 人類集団 的近縁性や起源形成過程を推定する上で有用な標識 マーカー として用いられる 表1-1 個人子型はTT TCまたはCC型となる は ヒト疾患関連子探索において用いられる主な多型マーカーを示す まず 反復配列 repetitive sequence と総称されるグループ中によく用いられる2種マーカーがある 疾患子探索研究に最も汎用されるマーカーである 図1-2 ゲノム中総数が5 ミニサテライト minisatellite あるいはVNTR variable number of tandem repeat と呼 1,万種類 すなわち平均して約3 6bpごとに1個SNPが存在すると推定され ヒトゲ ばれる配列は 1 1bp程度配列が繰り返し単位となり 通常2 5回程度繰り返しが ノム中で最も高密度な分布を示す多型である SNP一部は さまざまな多因子疾患感受性あ 見られるが こ繰り返し回数に多型が見られる ミニサテライトは数年前まで疾患子 るいは抵抗性に直接関与すると考えられることから 各種疾患子 多型 を特定するため 連鎖解析にもよく用いられてきた また法医学において 個人識別や親子鑑定に広く用いられて に必ず解析するマーカーである きたフィンガープリント法はミニサテライト多型を利用する方法である こほかに ヒトゲノム中にはより大規模な多型も存在する 最近特に注目されているが ミニサテライトに代わって 近年より頻繁に用いられるようになった反復配列多型がマイクロ 数kbから数百kb規模で子あるいはゲノム断片コピー数に多型変異が認められる現象 サテライト microsatellite あるいはSTR short tandem repeat 多型である 1 数bp であり CNV copy number variation と呼ばれる 現在そ全体像を明らかにする研究が 繰り返し単位で通常5 6回程度繰り返しが見られ こ繰り返し回数に多型が存在する 図 進んでおり また疾患と関連研究が端緒についたばかりである 1-1 ヒトゲノム中に広範に分布するマイクロサテライトうち 多型を示すもがど程度あ るか詳細は明らかになっていないが 数十万種類程度は存在すると推定される マイクロサテ ライト多型が最もよく用いられているは 各種疾患や形質にかかわる子を同定するため 連鎖解析や関連解析においてである 注 多型と変異 頻度にかかわらず また規模大小にかかわらず ゲノムに見られる差異はすべて変異と呼ばれ る 一方 多型は変異うち 頻度低い対立子 複数でもよい 合計が1 以上 言い換えれば頻度 高い対立子が99 以下状態にあるもをいう SNP single nucleotide polymorphism 単一塩基多型 は 反復配列以外多型中で 28 29
る3 4種類程度マイクロサテライト多型マーカーを解析し そ結果から染色体上位置 ごとに疾患子存在確率を求める 連鎖に関する統計学的手法はいくつかあるが 現在 では いずれか連鎖解析用プログラムを用いてコンピュータ計算するが通常である Ⅰ部3 章 こ例では 疾患子が存在する可能性高いピーク 候補領域 がいくつか見られ 特 に5番染色体上ピークが高いが分かる マイクロサテライト多型マーカーもう1つ応用例を図1-4に示す2 骨髄移植や輸血後に 起こる副作用1つにGVHD 移植片対宿主病 がある これは 提供者 ドナー 免疫担当 細胞が患者組織を非自己と認識して攻撃するもで 拒絶反応とは反対現象である マイク ロサテライト多型マーカーによる個人識別能力を生かして GVHD確定診断ために 患者血 液中白血球DNAマイクロサテライト型がドナー由来型に換わっていることを示している 3 SNP特徴と用途 塩基1個差異からなるSNP1例は図1-2に示した 個々SNPは対立子が2個に限られ 情報量は多くない しかしながら前述ごとく ゲノム中分布密度が高いため それら組み 5. Chromosome 7 4 8 12 16 5. Chromosome 1 4 8 12 16 5. Chromosome 5 4 8 12 16 2 5. Chromosome 8 4 8 12 16 5. Chromosome 11 2 4 6 8 1 1214 5. Chromosome 4 4 8 12 16 2 Generic Distance from pter(cm) 5. Chromosome 6 4 8 12 16 いて報告を示す1 多発家系試料をなるべく多数収集して ゲノム全域にほぼ均等に分布す 5. Chromosome 9 2 4 6 8 1 12 図1-3はマイクロサテライト多型マーカーを用いた連鎖解析例として 日本人小児喘息につ 5. Chromosome 3 4 8 12 16 2 5. Chromosome 12 2 4 6 8 11214 マーカーである 5. Chromosome 2 4 8 12 16 2 24 である 疾患や形質にかかわる子を探索するため連鎖解析や関連解析にしばしば使われる 人はヘテロ接合型になるで 個々マイクロサテライト多型から得られる情報が多いが特徴 種類以上対立子があり 高いヘテロ接合度 heterozygosity を示す すなわち大多数 5. Chromosome 1 4 8 12 16 2 24 基程度単純な配列繰り返しが見られ そ繰り返し回数数に個人差が認められる 通常 5 マイクロサテライト多型マーカーを用いた罹患同胞対法による連鎖解析例 喘息 染色体1 12番結果み表示 図1-3 マイクロサテライト多型例は図1-1に示した ゲノム上ユニークな配列に挟まれて 数塩 2 マイクロサテライト多型特徴と用途 合わせ すなわちSNPハプロタイプをマーカーと考えれば高度な多型性を示す 出典 参考文献1 より引用改変 図1-5に示したように SNPsはそ存在部位によって大別される こうち エクソン内にあ るSNPやプロモーター領域にあって子発現量に影響するSNPなどは イントロン部分にある S N P や子と子間にあるS N P より疾患感受性にかかわる可能性が高いと考えられる これら疾患感受性 抵抗性子多型を見出す統計学方法についてはⅠ部を参照いただ きたい 疾患感受性子や抵抗性子を明らかにすることは ゲノム創薬 個人化医療 personalized medicine や新しい予防医学を実現するためにも必要である 図1-4 マイクロサテライト多型解析による輸血後GVHD確定診断 HGH bp TCFIID bp 217 39 281 271 21 図1-6は 前述した喘息連鎖解析 図1-3 によって検出された候補領域について 多数 19 SNPを用いた関連解析を行うことにより 疾患子を同定することができた例である3 一般 18 に 連鎖解析によって検出される候補領域は広大であり しばしば1Mb以上に及んで1個以上 子を含んでいる こ中から疾患子を特定するためには こ領域内に存在する多数 SNPについて それら間連鎖不平衡を考慮しながら関連解析を行い 最も強い関連を示す SNPあるいはSNPハプロタイプを見出す必要がある Ⅰ部参照 242 1 2 3 1 3 2種マイクロサテライト多型を解析した結果 それぞれ レーン1はサイズ マーカー レーン2は患者皮膚 患者本来型 レーン3は患者末梢血 GVHD 発症によってドナー型が主になっている から得られたパターン 出典 21 2 参考文献2 より引用改変 211 Ⅲ 疫 学 研 究 た め 基 盤 技 術 情 報 第 1 章 子 ゲ ノ ム 多 型 解 析 法 進 展
図1-5 SNP位置による分類 エクソン 翻訳/非翻訳領域にあるSNP csnp 図1-7 プール試料を用いた自動シークエンサーによるマイクロサテライトマー カー対立子頻度推定 35 31 Ⅲ 疫 学 研 究 た め 基 盤 技 術 情 報 315 健常者 プール試料 プロモーター領域に あるSNP rsnp イントロンにある SNP rsnp 図1-6 35 31 315 患者 プール試料 SNPを用いた疾患子マッピング例 第 1 章 連鎖解析で得られたロッドスコア 5. MLS 子間 スぺーサー領域 に あるSNP gsnp 矢印対立子については健常者と患者で頻度が異なることから こ マーカーと疾患が関連すると考えられる 9.4Mb 子型を決定した例である 一方 図1-7は多数検体から得たゲノムDNAを等量ずつ混合した プール試料について解析した例である 蛍光プライマーを用いて標識されたPCR産物を 自動 log1 P value 5. SNPを用いた 関連解析 シークエンサーによって分離検出した泳動像であり それぞれピーク高さ相対値に基づい て各対立子頻度を推定できる 疾患関連研究において 候補領域子を検出するため 多数マイクロサテライト多型をスクリーニングする際に コストや手間を省く手段として用い られることがある4 15 152 154 156 158 16 Mb 連鎖解析 図1-3参照 によって検出された5番染色体短腕上候補領域につ いて高密度SNP関連解析を行った結果 矢印位置に喘息感受性子があ 出典 参考文献3 より引用改変 ると推定された 2 SNP解析技術 多因子疾患感受性子や薬剤応答性子探索研究におけるSNP解析有用性に加えて 個人化医療時代におけるSNP検査重要性が指摘されており 近年SNPタイピング技術進 歩は目覚ましい 表1-2は主な方法について そ多型判別原理や測定法に基づいて分類したも である それぞれに特徴があり 検体数や解析したいSNP種類数などに応じて 適切な方法 2. 変異多型解析技術 を選ぶことが望ましい5 Hybridizationを原理とする方法では 従来より用いられてきたナイロン膜上でオリゴヌク マイクロサテライト多型解析においては ゲル電気泳動と銀染色を組み合わせるか 蛍 レオチドプローブによるSNPタイピング法に加えて 図1-8 マイクロタイタープレートなどを 光標識プライマーを用いたPCR産物を自動シークエンサーで解析する場合が多い 一方 SNP 支持体として用いたり 従来とは逆にプローブをあらかじめ支持体に固定しておくなど方法が 解析については そ判別原理はハイブリダイゼーション 特異的プライマー伸長など限ら 確立されている 図1-9 さらに処理能力を増大させるため シリコンやガラスなど基板を支 れているも 検出法などにはさまざまな工夫がなされ多様な技術が開発されている 最 持体としてSNP特異的オリゴヌクレオチドプローブを高密度に固定化しておき hybridizeした 近 全ゲノム増幅技術や数十万種もSNPsを一挙に解析する技術発達も著しい 検体DNAを蛍光測定法や電気化学的方法によって検出する方法があり これらを一般にDNAチッ プと呼ぶ チップを用いず 液相中でFRET fluorescence resonance energy transfer 法 1 マイクロサテライト多型解析技術 マイクロサテライト多型解析においては 繰り返し配列部分両側にあるユニークな配列部 分に相補的なPCRプライマーを設定する PCR増幅断片を電気泳動してそ長さを判別すること により 繰り返し回数を決定できる 先に紹介した図1-4はこ電気泳動後に銀染色を施して 212 を用いる方法も開発されている SNP近傍塩基配列はSNPごとに異なるため 多種類SNPs を同一hybridization-washing条件で精度良く判別することは容易ではないが そ検出段階 でさまざまな工夫がなされている 一方 hybridizationを用いるとともに SNP自体判別には酵素反応を組み合わせる方法と 213 子 ゲ ノ ム 多 型 解 析 法 進 展
Index 134163213 69 529 166 213 145 195 29 1141 127 199 78 216 1139 2139 93 224 98 141 226 234 273 22 196 21 5 19621 6 2 92 226 196 192 52821 127 187 172 176 181 5 29 144 126 229 15 195 199 4 196 134 72 2 163 165 6 19829 33 2 196 25146 26 17 233 231 224 129 42 153 695 195 2 197 2 199 3 197 3 197 196197 213 234 224 21 234 234 233 233 233 134231 54 55 216 133 196 4184 29 11 18 196 144 216 147 6 197 79 195 143 226 226 226 186 212 134 176 226 21 214 216 28 236 72 185 77816 2 147 7 195 13 199 229 226 1 15 28 56 218 61 183 181 126 165 138 138 21 196 74199 31 141 5 162 5 5 195 2 66 162 153 169 148 41 28 536 226 62 537 18 218193 148 161 27 19 66 1 182 144 153 167 188 187 169 153 213321 43 6 17 222 27 136 8 238 239
65 1 147 213216 44 167 69 236 59 59 16 21 7 28 126 158 196 53772 32 143 36 218 5 28 21212 194 8 142 28 186 65 178 17 126 6 9 213 58 29 6 9 144 496 614183 8 28 18 58 138 215921 69 92 9 6129 15 76 55 171 241 126 2 2 21 32 6 643 75 5 72 2 218 168 126 683 176 192 74194 8 224 21213 126 1979 6 1 3 192 212621 213 8 213216 176 5 22 36 36 21 8 19 136 145 5234172 187 136176 5 182 218 155 192 146 29 518193 58 8 8 147 153 155 82 3 18 126 13 328 126 6 22 153 126 34 28 4344 43 45 149 19 97 176 153 6 37 136 145 233 218 6 1 224 31 54 43 44 126 161 19 5 79 127 96 28 1 15 44 222 176 41 24 Index