SNS 上の災害関連情報を救助や 物資支援に活かす 平成 30 年 10 月 30 日国立研究開発法人情報通信研究機構ユニバーサルコミュニケーション研究所データ駆動知能システム研究センター / 耐災害 ICT 研究センター応用領域研究室 ( 兼務 ) 大竹清敬

Similar documents
自己紹介 北海道出身 大学院修了後 ATR 音声言語コミュニケーション研究所 2006 年より情報通信研究機構 専門は自然言語処理 音声言語処理 2011 年 4 月から 2012 年 7 月に内閣府 ( 総合科学技術会議 ) へ行政実務研修員として出向 Twitter Data Grants 獲得

自己紹介 北海道出身 大学院修了後 ATR 音声言語コミュニケーション研究所 2006 年より情報通信研究機構 専門は自然言語処理 音声言語処理 2011 年 4 月から 2012 年 7 月に内閣府 ( 総合科学技術会議 ) へ行政実務研修員として出向 Twitter Data Grants 獲得

< 用語解説 > *1 ソーシャルネットワーキングサービス (SNS) インターネット上の交流を通して社会的ネットワークを構築するサービス全般を指す 代表的な SNS として Twitter mixi GREE Mobage Ameba Facebook Google+ Myspace Linked

< 用語解説 > *1 Twitter 140 文字以内の ツイート と称する短文を投稿できる情報サービスで Twitter 社により提供されている *2 DISAANA 対災害 SNS 情報分析システム DISAANA( ディサーナ ) は NICT がこれまでに培ってきた情報分析技術を活用し 質

id5-通信局.indd

防災 減災への民間情報の活用の必要性 東日本大震災において 明らかになった課題 従来の情報収集の取組 職員による現地調査 報道機関からの情報 通報 検知器 ( センサー ) 課題 対応できる人員の限界 小さな地域に関する情報の不足 紙情報が多い 情報の整理 管理が困難 設備 維持費用が大きい 上記課

☆配布資料_熊本地震検証

アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

2-1. システム概要 2-2. システムの設計 SNS Twitter Web-GIS 推薦システム スマートグラスを統合 平常時は観光回遊行動支援 災害時は避難行動支援 情報の蓄積 共有 推薦とナビゲーションを可能にする 有用性 時間的制約の緩和 スマートグラスの統合 動的 リアルタイム性 SN

第 3 節利活用 上記のとおり 各情報発信手段は概ね問題なく活用されていたが 間接広報手段の積極的な活用 入力 確 認のフォーマット化と入力支援の環境整備 発信情報のメンテナンス テレビ (L 字情報 ) の更なる活用 に 対する課題や期待が挙げられた 以下では これらの課題や期待を実現するための手

先行的評価の対象とするユースケース 整理中. 災害対応に関するユースケース. 健康に関するユースケース. 移動に関するユースケース. 教育に関するユースケース. 小売 物流に関するユースケース 6. 製造 ( 提供した製品の保守を含む ) に関するユースケース 7. 農業に関するユースケース 8.

Microsoft PowerPoint - 参考資料 各種情報掲載HPの情報共有

第 1 章実施計画の適用について 1. 実施計画の位置づけ (1) この 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画 に基づく宮崎県実施計画 ( 以下 実施計画 という ) は 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 ( 平成 14 年法律第 92 号 以下 特措法 と

2 機器等 サービス名 ili ( イリー ) 提供会社 ( 株 ) ログバー サービス開始時期 2017 年 6 月 ~ 概要 ili ( イリー ) は 旅行 に特化したワンフレーズ音声翻訳デバイスです インターネットは不要 日英中の言語に対応しています 法人向けサービス ili for Gue

資料1 受援計画策定ガイドラインの構成イメージ

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

目次 動作環境について... 3 土砂災害情報マップとは... 4 更新情報を見る... 5 熊本県の防災 災害情報を見る... 6 関連サイトのリンク情報を見る... 7 用語を調べる... 8 利用上の留意事項を確認する... 9 土砂災害警戒区域 特別警戒区域マップとは 使用データ

奈良県ライフライン 情報共有発信マニュアル 第 3.3 版 平成 24 年 7 月 奈良県ライフライン防災対策連絡会

日本医師会ニュース「平成28 年熊本地震」:情報提供第五報

宮城県総合防災情報システム(MIDORI)

PowerPoint プレゼンテーション

スライド 1

< F2D817991E F1817A8C46967B2E6A7464>

別紙 1600 年分の自然災害を振り返る災害年表マップ ~スマートフォン タブレット対応のお知らせと Web 技術者向け API 配信項目拡大のご案内 ~ 1. 災害年表マップについて災害年表マップは 過去の自然災害事例を発生年ごとに市区町村単位で Web 地図上に表示する Web サービスです 地

Taro-time to spare.jtd

東京から新幹線で45 分水の都うなぎ 箱根野菜 三島市の紹介 文化 歴史 人子育てガーデンシティスマートウエルネス

第8章 災害復旧計画

<4D F736F F F696E74202D F093EF8A6D95DB8C7689E681768DEC90AC82CC8EE888F882AB2E B8CDD8AB B83685D>

IT時代の震災と核被害

目次 1. 注意事項と制限事項 注意事項 制限事項 スマ保災害時ナビアプリについて 端末ホームキー押下時のアプリ動作 災害時ナビの事前準備

04 Ⅳ 2(防災).xls

平成 28 年熊本地震における対応 平成 28 年熊本地震 ( 前震 :4/14 本震 :4/16) において 電力 ガス等の分野で供給支障等の被害が発生 関係事業者が広域的な資機材 人員の融通を実施するなど 迅速な復旧に努めた結果 当初の想定よりも 早期の復旧が実現 また 復旧見通しを早い段階で提

これだけは知っておきたい地震保険

<4D F736F F F696E74202D E9197BF817C A96688DD081458CB88DD082CC8DA18CE382CC8EE682E DD2E >

SABO_97.pdf

資料 2-3 超大規模防火対象物等における自衛消防活動に係る訓練の充実強化方策 ( 案 ) 平成 30 年 10 月 31 日 事務局

目次 はじめに P3 1 災害 緊急の範囲 P3 2 時間と場所を考慮した対応の必要性 P3 3 時間ごとの対応 P4 4 場所ごとの対応 P5 5 デジタルサイネージの提供コンテンツ P6 6 緊急時を意識したデジタルサイネージシステム P6 7 情報の切替 復帰の条件 P7 8 緊急運用体制 P

「南九州から南西諸島における総合的防災研究の推進と地域防災体制の構築」報告書

PowerPoint プレゼンテーション

平成 29 年 12 月 1 日水管理 国土保全局 全国の中小河川の緊急点検の結果を踏まえ 中小河川緊急治水対策プロジェクト をとりまとめました ~ 全国の中小河川で透過型砂防堰堤の整備 河道の掘削 水位計の設置を進めます ~ 全国の中小河川の緊急点検により抽出した箇所において 林野庁とも連携し 中

1. 背景等 (1) 背景等 (2) 目的 体制 2. 実証の概要 (1) 実証 Ⅰ ー 1 : 防災クラウド情報システム構築 (2) 実証 Ⅰ ー 2 : データ連携等標準仕様案の作成 (3) 実証 Ⅱ : 災害対策標準化に対応した事例の作成 ( 内閣府の災害対策標準化ガイドラインの構成イメージ

e-stat の利用方法 e-stat とは 日本の統計ができる政府統計ポータルサイトです 従来 各府省等ごとのホームページに掲載されていた各種統計関係情報 ( 各府省等が登録した統計データ 公表予定 新着情報 調査票項目情報などの各種統計情報 ) を利用することができます 詳細な統計内容につきまし

平成19年度環境ラベルに関するアンケート調査集計結果報告

PowerPoint プレゼンテーション

(Microsoft PowerPoint ADVNET\216\221\227\277_r5.pptx)

0524.xdw

研究開発の概要のイメージ ①画像 音声 映像情報の分析技術 周辺コンテンツや他情報源から収集したテキスト情報の分析 画像特徴量分析による信憑性検証 Web画像の典型度 過不足性 W b画像の典型度 過不足性 整合性の分析 映像 音声の偏り分析や 映像 音声の偏り分析や 視聴者評価情報の分析 Webア

Microsoft Word リリース_ドコモFIX_r2.docx

04_テクレポ22_内田様.indd

コンテンツ作成基本編

PowerPoint プレゼンテーション

2/12 はじめに -2- 既存のシステムでは 統合的な情報提供 援助システムが存在しない 救命に特化したシステムは 存在している 災害時でも実用に耐え得る 双方向通信システムが存在しない など 解決には至っていません 私たちはこれらの問題を解決するために 次のような機能を考えました 固定電話 携帯

30 第 1 部現地における災害応急活動 阿蘇大橋付近の被害状況 ( 熊本県阿蘇郡南阿蘇村 ) 熊本城の被害状況 ( 熊本県熊本市 ) 2

<4D F736F F F696E74202D208EE688B582A290E096BE D382D E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

ハザードマップ閲覧システム での 地図の使い方 ( 本内容は 画面上の 地図の使い方 ヘルプ画面に利用 ) 1. シナリオ型マップ ( 地図から位置を選択 ) シナリオ型マップを 地図から位置を選択 モードで起動した場合の初期画面を示す 1 市町村 縮尺表示エリア 4 現在のシナリオ表示 選択 5

コンテンツ作成基本編

情報連携用語彙データベースと連携するデータ設計 作成支援ツール群の試作及び試用並びに概念モデルの構築 ( 神戸市こども家庭局こども企画育成部 千葉市総務局情報経営部業務改革推進課 川口市企画財政部情報政策課 ) データ構造設計支援ツール設計書 2014 年 9 月 30 日 実施企業 : 株式会社ア

平成16年度 台風災害調査報告書(WEB).indd

GoogleMoon

目次 1 降雨時に土砂災害の危険性を知りたい 土砂災害危険度メッシュ図を見る 5 スネークライン図を見る 6 土砂災害危険度判定図を見る 7 雨量解析値を見る 8 土砂災害警戒情報の発表状況を見る 9 2 土砂災害のおそれが高い地域 ( 土砂災害危険箇所 ) を調べたい 土砂災害危険箇所情報を見る

PowerPoint プレゼンテーション

浸水深 自宅の状況による避難基準 河川沿いの家屋平屋建て 2 階建て以上 浸水深 3m 以上 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 浸水深 50 cm ~3m 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難上階に垂直避難 浸水深 50 cm未満 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 自宅に待

人工知能(AI)を活用した災害時のSNS情報分析のための訓練ガイドライン

3.[ トップ画面 ] データ放送連携トップ画面 トップ画面には ゆめネットデータ放送と連携した情報が表示されます " メニュー部分を左右に移動させると様々な情報メニューが表示されます " 情報メニューをタップすると内容が表示されます " データ放送以外の情報は 下部のタブメニューをタップすると他の

2 被害量と対策効果 < 死者 負傷者 > 過去の地震を考慮した最大クラス あらゆる可能性を考慮した最大クラス 対策前 対策後 対策前 対策後 死者数約 1,400 人約 100 人約 6,700 人約 1,500 人 重傷者数約 600 人約 400 人約 3,000 人約 1,400 人 軽傷者

Microsoft Word - 06_資料6_災害廃棄物対策に関して今後取組むべき事項とその進め方について(案)

街角情報ステーション

取組みの背景 これまでの流れ 平成 27 年 6 月 日本再興戦略 改訂 2015 の閣議決定 ( 訪日外国人からの 日本の Wi-Fi サービスは使い難い との声を受け ) 戦略市場創造プラン における新たに講ずべき具体的施策として 事業者の垣根を越えた認証手続きの簡素化 が盛り込まれる 平成 2

各府省からの第 1 次回答 1. 災害対策は 災害対策基本法に規定されているとおり 基礎的な地方公共団体である市町村による第一義的な応急対応と 市町村を包括する広域的な地方公共団体である都道府県による関係機関間の総合調整を前提としている を活用してもなお対応できず 人命又は財産の保護のため必要がある

ギガらくWifi for カメラ(仮)

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF C E08A748AAF965B817A966B92A9914E82C982E682E9837E B94AD8ECB8E9688C482D682CC91CE899E82C982C282A282C42E B8CDD8AB B83685D>

第 5 部 南海トラフ地震防災対策推進計画

U2. 北朝鮮のミサイルについて Q3. 北朝鮮によるミサイル発射の現状はどうなっているのか 北朝鮮は 過去に例を見ない頻度でミサイルを発射しており 平成 28 年 8 月以降 ミサイルが日本の排他的経済水域 (EEZ) 内に落下する事例も起こっています Q4. ミサイルは 発射から何分位で日本に飛

ハザードマップポータルサイト広報用資料

<4D F736F F D A81798AEB8B408AC7979D8AAF2088D38CA994BD89668CE3817A817995CA8E86817A8C8B89CA82CC837C E646F63>

L アラート ( 災害情報共有システム ) の概要 1 情報発信 情報伝達 地域住民 市町村 災害時の避難勧告 指示 お知らせ等 収集 フォーマット変換 配信 テレビ事業者 システム接続 ケーブル地上波 デジタル TV データ放送など ( テキストで表示 ) 情報閲覧 入力 防災情報 お知らせ等 都

レビューとディスカッション 機能ガイド

PowerPoint プレゼンテーション

地震や防災に関する情報の取得源はテレビが最も多い 地震や防災に関する知識をどこで得ているかをたずねたところ テレビ と回答をする方が 66.6% と多数を占め の イ ンターネット (45.3%) 新聞 (30.7%) といった回答を大きく引き離した結果となりました テレビは昨年 一昨年に続き最も多

spsafety_manual_sp_2_

平成 26 年 3 月 28 日 消防庁 平成 25 年の救急出動件数等 ( 速報 ) の公表 平成 25 年における救急出動件数等の速報を取りまとめましたので公表します 救急出動件数 搬送人員とも過去最多を記録 平成 25 年中の救急自動車による救急出動件数は 591 万 5,956 件 ( 対前

南海トラフ地震発生時の不安 南海トラフ地震が発生した場合 不安や危険に思うことは何ですか?( は 3 つまで ) 66.7% の人が 自宅の倒壊や損壊 49.2% の人が 家族等の安否やその確認手段 と答えています 自宅の

Q4. ミサイルは発射から何分位で日本に飛んでくるのでしょうか A4. 北朝鮮から弾道ミサイルが発射され 日本に飛来する場合 極めて短時間で日本に飛来することが予想されます 例えば 本年 2 月 7 日に北朝鮮西岸の東倉里 ( トンチャンリ ) 付近から発射された弾道ミサイルは 約 10 分後に 発

スライド 1

1. 実現を目指すサービスのイメージ 高齢者や障害者 ベビーカー利用者など 誰もがストレス無く自由に活動できるユニバーサル社会の構築のため あらゆる人々が自由にかつ自立的に移動できる環境の整備が必要 ICT を活用した歩行者移動支援サービスでは 個人の身体状況やニーズに応じて移動を支援する様々な情報

商用監視ソフトウェアユーザの Zabbix 移行へ朗報 Zabbix Event Viewer のご紹介 【本邦初公開】

Microsoft Word - 02.H28秋 重点提言本文【合本】1110.doc

試行の概要 試行の目的石狩川滝川地区水害タイムライン ( 試行用完成版 ) を試行的に運用することにより 対応行動や実施手順を確認するとともに 運用結果を検証し 同タイムラインを精査することを目的とする 試行の概要 実施時期 : 平成 29 年出水期 (8 月 ~10 月ごろ ) 実施場所 : 各主

スライド 1

L アラートの将来像 ( 案 ) 1 ービス形態情報形態サ現規約で規定された情報発信者 地方自治体携帯電話事業者通信事業者ガス事業者電力会社国 ( 海上保安庁等 ) 等 国気象情報 J-Alert 道路 交通情報等有料情報 実施済みまたは検討中 情報発信支援サーヒ ス 地図化支援システム 次世代ビュ

平成 26 年の救急出動件数等 ( 速報 ) 消防庁

土砂災害警戒情報って何? 土砂災害警戒情報とは 大雨警報が発表されている状況でさらに土砂災害の危険性が高まったときに, 市町村長が避難勧告等を発令する際の判断や住民の方々が自主避難をする際の参考となるよう, 宮城県と仙台管区気象台が共同で発表する防災情報です 気象庁 HP より :

Microsoft Word - GISA2007moblog.doc

<4D F736F F D BF88CB4926E88E696688DD08C7689E6918D8A872E646F6378>

人材育成 に関するご意見 1) 独立行政法人情報通信研究機構富永構成員 1 ページ 2) KDDI 株式会社嶋谷構成員 8 ページ 資料 7-2-1

地震防災に関するアンケート調査結果について

2014年度_三木地区概要

<323091E693F18FCD208E96914F959C8BBB82CC8EE F DF82E98FE382C582CC8AEE967B934982C88D6C82A695FB2D322E786477>

ことを呼びかけます Q4. ミサイルが落下する可能性がある との情報伝達があった場合は どうすれば良いのでしょうか A4. 屋外にいる場合 近くの建物 ( できれば頑丈な建物 ) の中又は地下に避難してください 近くに適当な建物等がない場合は 物陰に身を隠すか地面に伏せ頭部を守ってください 屋内にい

地震と地震保険に関するアンケート調査結果について

Transcription:

SNS 上の災害関連情報を救助や 物資支援に活かす 平成 30 年 10 月 30 日国立研究開発法人情報通信研究機構ユニバーサルコミュニケーション研究所データ駆動知能システム研究センター / 耐災害 ICT 研究センター応用領域研究室 ( 兼務 ) 大竹清敬

情報通信研究機構 NICT の紹介 情報通信を研究する唯一の国立の研究機関 総務省所管 国家サービス 日本標準時の決定と標準電波の発 信 電波時計の電波 本部は東京都小金井市 他に京都 兵庫 大阪 宮城 茨城等に研究開発拠点 うるう秒挿入 フェーズドアレイ 気象レーダ 大規模Web情報分析 システム WISDOM X 宇宙天気予報 サイバー攻撃統合分析プラ ットフォームNIRVANA改 Wi-SUN 多言語音声翻訳 アプリ VoiceTra 対災害SNS情報分析 システム DISAANA 2

大規模災害時の SNS 利用上の問題 とにかく膨大な情報 必要とする情報を探すことが困難 情報の信憑性 デマ NICT ではこれらの問題を解決し 災害 対応を支援するシステムを研究開発 3

本日ご紹介する2つのシステム Twitterを対象として 膨大な災害関連情報を整理 要約することで災害対応を支援する2つのシステム を研究開発し 公開中 1. 対災害SNS情報分析システムDISAANA ディサーナ; DISAster-information ANAlyzer 2. 災害状況要約システムD-SUMM ディーサム; Disasiter-information SUMMarizer https://disaana.jp にてどなたでも無償で利用可能 4

対災害 SNS 情報分析システム DISAANA R ( ディサーナ )

DISAANA( ディサーナ ) SNS( ツイッター ) 上の災害関連情報をリアルタイムに深く分析 整理して 状況把握 判断を支援し 救援 避難の支援を行う質問応答システム ツイートしてから 5 秒で分析結果を提供可能 熊本地震の際には ツイッター社から人道支援として協力いただき 1 ヶ月ほど 100% のツイートの分析結果を提供 ( 平時は 10% サンプル ) D-SUMM とあわせて民間企業へのライセンスも締結 救援団体や住民等 DISAANA Twitter 住民 救援団体からの質問 ( 例 : 熊本県で何が不足していますか ) に瞬時に回答 回答を地図上に表示し 被災状況を俯瞰可能 生活必需品 2015 年 4 月より一般公開中 熊本地震の際 首相官邸で活用 指定避難所以外のニーズ把握 日々変化する要望の把握 熊本県へ指示 回答をピンポイントに抽出 救援物資 生理用品 2016 年 5 月 11 日読売新聞夕刊一面等 報道多数 地図データ 2016 Google, ZENRIN 6

九州北部豪雨 7月上旬 での活用 2017年7月の九州北部豪雨の際に大分県がDISAANA D-SUMMを活用して情報 分析を実施し 災害対応に役立てた D-SUMM 大分県 カテゴリー毎の要約結果 わずか数クリックで 日田市の冠水の状況を把握 貴重な情報を抽出 JR久大線の鉄橋流失を 最初に伝えたのは ツイッター JR九州に伝達 2017年7月31日 大分合同新聞19面 これまで 情報は 人をばらまき 電話を してとりにいくもの 担当者 情報が幅広 く 向こうから 入 ってくる点は有効だ った 水位計のデー タ以外に 状況がわ かったのは大きい 被害のつぶやきが多 かった日田と中津に 重点的に人員配置す るなど災害対応に役 立った ただし 緊急を要 するかどうかの判断 は難しい 今後課題を洗い出 したい 7

キーワード検索の問題 宮城県では何が不足しているのかしら 宮城 不足 仙台市ではガスボンベが足りません 気仙沼では薬がない 検索 宮城県では毛布が不足しています 宮城ではトイレが不足の模様 石巻ではガソリンが枯渇している 名取の では紙オムツが売り切れ 宮城では燃料が不足しているかも 若林区では飲料水が見つからない 8

キーワード検索の問題 宮城県では何が不足しているのかしら 宮城 不足 仙台市ではガスボンベが足りません 気仙沼では薬がない 検索 宮城県では毛布が不足しています 宮城ではトイレが不足の模様 石巻ではガソリンが枯渇している 名取の では紙オムツが売り切れ 宮城では燃料が不足しているかも 若林区では飲料水が見つからない DISAANAではこれらも網羅的に抽出 9

キーワード検索では大量のツイートを読む必要 台風 18 号による鬼怒川決壊 対象時間 :2015 年 9 月 10 日 5:00-19:00 対象ツイート数 :340 万件 質問 : どこで救助を待っているか回答種別 :27 件 (94 ツイート ) 実体験 :4 件 他マスコミ経由等 質問 : 栃木でどこが孤立しているか回答種別 :12(16 ツイート ) 実体験 :6 件 質問 : どこが決壊しているか回答種別 :181(543ツイート) キーワード 孤立 検索結果数 :1,900 キーワード 救助 検索結果数 :12,800 DISAANA が回答として提示したツイートをキーワード検索だけで発見するためには膨大なツイートを読む必要がある 地図データ 2017 Google, ZENRIN キーワード 決壊 検索結果数 :9,500 10

特徴 : 地名処理 (1) 地名とその詳細な住所を対応づけるための辞書を整備し 地名の階層性を考慮して検索できるようにする KKR ホテル大阪で火災が発生しています 大阪府 : 大阪市 : 中央区 : 馬場町と拡張 大阪市発生検索 大阪市では何が発生しているのかしら? 11

特徴 : 地名処理 (1) 地名とその詳細な住所を対応づけるための辞書を整備し 地名の階層性を考慮して検索できるようにする KKR ホテル大阪で火災が発生しています 大阪府 : 大阪市 : 中央区 : 馬場町と拡張 中央区馬場町発生検索 ( 大阪市 ) 中央区馬場町では何が発生しているのかしら? 日本全国をカバーする 400 万件の辞書を整備 12

デマ対応の例 東日本大震災試用版での動作例 質問 千葉の石油コンビナート で何が発生している 酸性雨 矛盾情報あり 回答候補が抽出された ツイート 今後の雨が非常に強 い酸性雨になります 回答候補と矛盾するか もしれないツイート 酸性雨になるという のはデマです 矛盾する情報を同時に検索し提供すること で情報の信憑性を判断する材料を提供 13

DISAANA 質問応答例 宮城県のどこで炊き出しをしていますか 東日本大震災試用版 : 質問応答モード 地図データ 2017 Google, ZENRIN 炊き出しの場所を地図上で確認炊き出しの空白地帯も一目瞭然 次の炊き出し場所の意志決定を支援 14

災害状況要約システム D-SUMM R ( ディーサム )

D-SUMM研究開発の背景 DISAANAでの問題点 大規模災害時には 被災報告も膨大となり全体の状況把握が困難 熊本地震本震後の 熊本県 でのDISAANAによるエリア検索結果 A4一枚程度に 要約 D-SUMM (Disaster-information SUMMarizer) ほぼ同じ意味の被災報告を集約し コンパクトに表現 被災報告をカテゴリ毎 場所毎に整理し 災害状況の把握が容易 16

D-SUMM( ディーサム ) 2016 年 10 月 18 日一般公開 (https://disaana.jp/d-summ) SNS( ツイッター ) 上の災害関連情報をリアルタイムに深く分析し 自治体毎に整理して 一目で状況把握 判断を可能とし 救援 避難の支援を行うシステム ( 内閣府 SIP の支援を受けて研究開発 ) 民間企業へのライセンスを締結済み 熊本地震前震発災後 1 時間の熊本県の被災状況の要約 熊本市 益城町を中心に火災 建物被害や 電気 ガス 水道 通信等のトラブル 通行止めの報告多数ということが一目でわかる 地図表示も可能 熊本市 建物被害の報告 100 件以上 被災報告が深刻なエリアから順に表示 益城町 電気 ガス 水道 通信のトラブル 家屋倒壊 地図データ 2016 Google, ZENRIN 阿蘇市 火災発生 自治体等において情報収集が困難な発災直後 1 時間でも被害状況概要の把握を可能にし 初動対応を支援 17

NICT 災害状況要約システム D-SUMM 平成 30 年北海道胆振東部地震動作例 (1) 道内の停電状況をチェック 5 分後 10 分後 道内の土砂災害 建物被害をチェック 15 分後 地図データ 2018 Google, ZENRIN 9/6 3:08-3:23 で電気トラブル ( 停電 ) を地図表示 : 抽出した報告のうちの過半数が停電の報告であり 発災直後 15 分でほぼ全道的に停電になっていることを確認 地図データ 2018 Google, ZENRIN 9/6 3:08-4:38 で土砂災害 生き埋め 建物被害を地図表示 : 発災後 1 時間半で厚真町 札幌市での被害報告が目立つことを確認

NICT 災害状況要約システム D-SUMM 平成 30 年北海道胆振東部地震動作例 (2) 北海道厚真町 9/6 3:00-11:00 時系列で要約した結果 厚真町にて 3 時台に消防本部の通信機材が倒れて 119 番が受けられず 4 時頃から土砂災害発生の報告 ( マスコミ由来 ) があり 8 時台には 固定電話で通信障害が発生しているとの報告 ( マスコミ由来 ) もある

D-SUMM における被災報告の要約 (1) 被災報告の抽出 :DISAANA と同様の仕組みで抽出 津波が発生している (75) 大津波が発生している (32) 延焼がひどい (20) 津波で寸断される (20) 火事が発生している (52) 火災が発生する (22) (2) 類似表現の集約による要約と場所情報の整理 大火災を起こす (12) 大火がある (1) 津波 高潮が発生している (127) 火災が発生している (107) 仙台市 (50) 名取市 (18) 東松島市 (15) 気仙沼市 (52) 仙台市 (22) 石巻市 (19) 被災報告が膨大な場合でも 短時間で被災状況全体を把握可能で 場所毎の被災状況把握も容易に 20

D-SUMM 地図表示例 熊本地震 選択したカテゴリの関連地点を地図上に表示 地図データ 2016 Google, ZENRIN 災害のマクロな状況を地図上で瞬時に把握 スピーディーな意思決定 幅広い範囲で住宅被害がでており 一部で 火災も発生しているが 発生しているとこ ろは あまりない 要確認 南阿蘇村 益城町を中心に救助を求めてい るが 道路トラブルも発生している 道路 状況の救援部隊の派遣前に偵察が必要 21

DISAANAとD-SUMMの使いわけ お薦めの使い方 何を調べるべきか不明 災害の全貌がわからない ①D-SUMMを使って探 すべき情報を特定 ②知りたいことが明確になった段階でD-SUMMから DISAANAへのリンク等も使いつつ DISAANAに質問を入力 例えば 東京のどこでエレベーターが動かない を入力 関連するツイート中 のキーワードを網羅的にチェック ボタンも活用し より網羅的で詳細な 情報を取得 知りたいことがはっきりしている 例 東京の停電 DISAANAに質問 をして検索 東京のどこで停電が発生しているか 東京 停電 東京で何が不足しているか 等 DISAANAの質問応答 確度の低い回答も含め幅広に回答可能 D-SUMM およびDISAANAのエリア検索での検索 DISAANAの質問応答のような確度の低い回答は出力せず 現在は より大量の情報を分析するためにベストエフォートにならざるを えず 稀に少数の回答しか得られない場合も 今後も改修を継続 22

社会実装に向けて

自治体の防災訓練等での活用にむけて これらのシステムを実際の災害時に使いこなすためには 常日頃から使用し 慣れておくことが大切 急には思うように使えない 問題 : 任意のエリアで 災害時想定の試用ができない 任意のエリアの大規模災害データはない 解決方法 : 防災訓練のシナリオ ( 状況付与 ) にあわせて 想定される SNS への書き込みを作成し それを用いてシミュレーション 自分が住んでいるところで 訓練したい災害をシミュレーション 事例 :H27 年 1 月宮崎県宮崎市 延岡市にて実証実験 H29 年 1 月 31 日東京都図上訓練 H29 年 4 月 25 日大分県総合防災訓練 ( 図上訓練 ) にて上記のシミュレーションによる活用を実施 24

自治体等における図上訓練 目的のエリアで想定する災害が起きた場合の SNS への投稿内容をシミュレート そのデータ作成に大きく分けて 2 つの方法 オンラインデータ作成 方法 : 地元のボランティアや防災士等を会議室等に 50 名以上集め 訓練時に状況付与に応じてその場で投稿し DISAANA で分析 メリット デメリット : 非常にリアルなデータ ( 投稿内容 ) が得られる一方 準備や 実施に非常にコストがかかる これまでの実施自治体 : 宮崎県 ( 宮崎市 延岡市 ) オフラインデータ作成 方法 : あらかじめ状況付与に基づいて投稿内容 ( 相対時間つき ) を作成しておき 訓練時にそれを自動的に投稿し DISAANA で分析 メリット デメリット : 投稿内容を作成する作業者に土地勘がない場合は 不自然なデータとなる可能性も 反面 オンラインデータ作成に比べ 非常に安価に実施できる これまでの実施自治体 : 東京都 大分県 岩手県 2 種類をあわせてハイブリッドで実施することも可能 25

H29年度大分県総合防災訓練 図上訓練 での DISAANA, D-SUMMの活用 目的 発災直後の混乱時においてSNS等の情報を活用するため DISAANA, D-SUMM の使用に慣れて頂くとともに システムの検証を行う ① ② 災害掲示板へ書き込む被害 状況を事前に用意する 訓練時の時間経 過にあわせて自 動的に書き込み 掲示板書き込み プログラム 災害掲示板 SNS XXの避難所がいっぱいで す 足の悪い母がいて困 っています XXで火災が発生 しています 事前に5,800件以上の書 き込みを用意 の火事がXXま で広がっています 訓練の際には 状況に応じて NICTの職員がオンラインで即興 の書き込みを実施 ③ システムで分析 大分県災害対策本部 ④ DISAANA, D-SUMM 分析 要約結果を確認 し 必要に応じて対応 を実施 訓練概要 日時 H29年4月25日8:30-16:30 想定 南海トラフ巨大地震 津波あり 参加者 県や市町村 自衛隊など から54機関 約640名 26

H29 年度大分県総合防災訓練 ( 図上訓練 ) での様子 約 20 名の情報収集班 エリア毎に職員を割り当て情報収集を実施 (DISAANA D- SUMM を活用するのは 1 名のみ ) D-SUMM を活用して情報収集する大分県職員 大分県図上訓練における DISAANA D-SUMM 活用のポイント 発見した災害関連情報を手書きで起票し 情報共有 確認などを実施 デマの発生を盛り込んだ状況付与 デマの発生について 実際にシステム上でそれを認識し 担当者に確認の上 デマと認定するところまで訓練 実際に操作した職員からは 特に操作上困ることは無かったとのコメント 改善点 ( 既読がわかるとよりよい ) の指摘 27

自治体等の防災訓練での課題 状況付与 ( 訓練シナリオ ) の妥当性 本当に深刻な状況が十分に反映されているか? こんなことは起きっこない という思い込みが含まれていないか? 過去の経験が十分に反映されているか? 投稿データの妥当性 非現実的な投稿が含まれていないか? 緊急に避難しなければいけない状況で投稿ができるか? 現実的な量の投稿か? 訓練の成果は 潜在的な投稿者である一般市民にも周知 フィードバックが必要 投稿すれば良い結果が得られるという確信を持ってもらう必要 投稿データの妥当性に関するガイドラインや一般市民への周知の必要性 28

防災 AI 共同研究会議 慶應義塾大学環境情報学部山口真吾研究室国立研究開発法人情報通信研究機構 (NICT) 国立研究開発法人防災科学技術研究所 (NIED) 目的 : 防災 減災分野への先端的な AI 技術の導入 自治体等が AI を活用して行う情報分析について 平時の防災訓練を効果的に実施するためのガイドラインの策定 公表をめざす 2018 年 4 月 12 日にガイドラインを公開 プレス発表 2017 年 6 月 5 日発足 プレス発表 https://www.sfc.keio.ac.jp/doc/20180412_bosai_rev.2.pdf http://www.kri.sfc.keio.ac.jp/ja/press_file/ai-bousai_2018_guideline.pdf 29

総務省 IoT/BD/AI 情報通信プラットフォーム 社会実装推進事業 アビームコンサルティング株式会社が受注 H29 年度から 3 年間 NICT のこれまでの研究成果を活用しつつ災害に限らず国民の安全安心を確保するため 多様なデータに対しビッグデータ処理 高度自然言語処理をし 有益な情報を様々な利用者に提供する世界初の高度自然言語処理プラットフォームの研究開発を実施 プラットフォーム概要 IoT センサー情報 保健師活動記録 避難所情報 H-CRISIS 災害医療チーム活動記録等 J-SPEED 政府各機関各政府各機関各種情報政府各機関各種情報政府各機関各種情報政府各機関各種情報種情報 SNS 情報 自治体防災総合システム 各種プラットフォームシステム 情報分析エンジン API 群 NICT の DISAANA, D-SUMM 共通プラットフォーム SIP4D 統合情報出力システム 自治体 災害医療従事者等 災害時の効率的な情報収集 共有は東南海地震 東京直下型等を考えると緊急の課題 この AI プラットフォームで防災 減災に対する考え方 取り組み全体を変えたい 30

今後の展開

今後の展開 ( その 1) 32 技術開発は高度な救援活動実現のごく一部 DISAANA D-SUMM は自治体等の防災システムやサービスとしての展開がない限り 永続的な利用は不可能 NICT からの DISAANA D-SUMM はあくまで研究成果の試験公開であって 計算機等のリソースがなくなれば 公開は終了せざるを得ない 総務省の研究開発プロジェクトと共同して 自治体 インフラ系企業等を対象としたビジネスとして成立させる必要 これらが実現して初めて 大規模災害であっても被災地の状況が手に取るように分かり また 被災者各々の状況 ニーズに寄り添った高度で 泥縄ではない 救援活動が可能になる

33 今後の展開 ( その 2) 新規な技術的展開 : チャットボットの導入 (WEKDA の紹介ビデオ )

( ちょっと脱線 ) 対話エージェント WEKDA WEKDA ( ウェクダ ; WEb-based Knowledge Disseminating dialog Agent) 吉野山 大安寺 奈良のスイーツ それらが何であるか等の情報は一切人間からは教えていない 現在商用になっている対話エージェントと異なり 作り込みは一切ない すべての応答はすべて Web や SNS から自動で抽出 現状 トンチンカンなことも多々いうが 一方で広い範囲の話題に対応可能 ( 例 :ips 細胞 人工知能 金融緩和 ) 高度な知識も提供 : 金融緩和について話し出すと 素人はついて行くのが難しい 深層学習を使うことで着想から 10 ヶ月でここまで到達 ( 研究者はたった 3 名 ) 34

おさらい :SNS の活用前 救援団体の少数の担当者が 最新鋭とは言えない手段で情報収集 分析 下部組織への電話連絡 ファックスでの情報共有 直接現地に行って 状況を確認 情報の分析 共有は基本ホワイトボードや地図にマジックで 35

おさらい :SNS の活用 救援団体の担当者よりはるかに多く 被災地の広範囲にいる被災者自身の自発的な被災報告をビッグデータとして収集 分析 救援団体からアクションを取る必要はない 現地に行かなくても一定量の情報を収集可能 情報の分析 共有はタブレット スマホ等で可能 クラウド クラスタ 川が氾濫して 1m ほど床上浸水しています で土砂崩れが起きてます 小学校では毛布が足りません 36

DISAANA と D-SUMM の課題 情報源は自発的な被災報告だけなので 網羅性は完璧ではない Twitter のような匿名アカウントであれば 無責任なデマに完全に対処することは困難 また 救援側からのフィードバックが難しい 川が氾濫して 1m ほど床上浸水しています で土砂崩れが起きてます 小学校では毛布が足りません 37

次のステップ : 防災チャットボット スマホ等で動作するチャットボットの導入 チャットボットが多数の被災者と自動的に対話 能動的に情報収集や重要な情報のプッシュを実施 対話の結果は自動的に集計 分析を行い 効率的な救援につなげる 帰宅困難者対策チャットボット : 何かお困りですか? クラウド クラスタ 地方自治体等で対話の結果を集計 分析 デマ対策チャトボット : 近くで土砂災害という情報がありますが ご存知でしょうか? 被災者 : 中央線が止まって家に帰れません 被災者 : 何も聞いていません デマでは? 38

次のステップ : 防災チャットボット スマホ等で動作するチャットボットの導入 被災者に問い合わせることで 情報の網羅性を上げると同時に デマ 情報の信憑性の確認等も可能に 情報の信憑性を担保するため匿名アカウントでない SNS の活用も考慮 帰宅困難者対策チャットボット : 何かお困りですか? クラウド クラスタ デマ対策チャットボット : 近くで土砂災害という情報がありますが ご存知でしょうか? 被災者 : 中央線が止まって家に帰れません 被災者 : 何も聞いていません デマでは? 39

次のステップ : 防災チャットボット スマホ等で動作するチャットボットの導入 被災者の位置情報 対話履歴 センサー情報等から要救援者を自動的に特定 多数のチャットボットが要救援者から情報収集や重要情報のプッシュを実施 チャットボット : 新宿駅の近くに一時滞在施設があります 地図を送ります チャットボット : 被害が甚大な場所におられますが 何かお困りのことは? クラウド クラスタ 被災者 : 水と食料がないです 被害が甚大なエリア 被災者 : 中央線が止まって家に帰れません 被災者 : 避難所がいっぱいで入れません 被災者 : 怪我人がいます 40

まとめ 災害時に SNS を有用な情報源として活用するシステムを紹介 今後は 民間企業等へのライセンスを通して社会実装を推進 最終的には NICT からの DISAANA D-SUMM 公開が停止されても支障のない環境を構築 総務省の社会実装推進事業にも貢献 並行して自治体の防災訓練等での活用を通した各種検証を実施 低コストで試用が可能となる環境の整備 防災チャットボットの可能性 https://disaana.jp 41

補足資料 42

被災報告の自動抽出技術(1) 大規模災害時のような逼迫した状況で質問を悠長に考 えることは困難 エリアを指定するだけでそのエリアの被災報告 例 で毛布が足りない を自動抽出 さらに被災報告に対応する救援報告 例 に毛布が 届いた も自動抽出し 被災報告に対応づけて出力 被災報告/救援報告をどう捉えるか 1組の名詞と述語(助詞含む)の組み合わせ 例 食料が足りない / 水が届いた 43

被災報告の自動抽出技術(2) 1 以下の基本原則を例文とともにコンピュータに教える 機能がオン 述語が活性 名詞がトラブル名詞 名詞が非トラブル名詞 被災報告 救援報告 仙台市内で停電が発生した 気仙沼の がお風呂を解放する 場所名と名詞が共通で 活性 不活性が反転している場合 述語が不活性 救援報告 対応 仙台の停電が終了した 対応 被災報告 トラブル 気仙沼でお風呂に困っている 機能がオフ トラブル名詞辞書 災害 犯罪 トラブル 病名など約2万件の辞書 地名 いわき と名詞 透析 が同一で活性 不活性が反対 2 機械学習結果に基づいて自動抽出 いわきの 病院は透析を中止します 判定 いわきの クリニックで透析が可能です 被災報告 判定 対応あり 救援報告 44

情報のフィルタリング (1) Twitter では何でもかけるので 災害に関連の深い語が災害 被災の報告以外の目的で書かれることがある 通常の被災報告とは区別 過去の災害 事件等に関する書き込み 3.11 では 名取市の まで津波がきた 宣伝など 市の交通事故治療のプロ 整骨院 市 町 冗談と考えられる表現など 地震 Ψ( ` )Ψ 津波 ( 笑 ) 慣用句 対岸の火事 45

46 情報のフィルタリング (2) 具体的にどのように対応しているか : 現状は 過去の災害記事等を参考に 見つけ次第 これらの情報を検出し 区別するためのルールをシステムに加えている ユーザが指定するオプションによってこれらの情報の表示 / 非表示を切り替え可能 デリケートな表現もあり 現状では自動化はリスクが大きい 自動化は いずれ高精度が達成でき次第 導入予定

キーワード検索 vs. D-SUMM キーワード検索 熊本 災害 検索 熊本 災害 検索 検索 熊本 火災 益城 怪我 検索 益城 怪我 検索 検索 益城 怪我 阿蘇 土砂崩れ 検索 阿蘇 土砂崩れ 検索 検索 阿蘇 土砂崩れ 膨大な検索結果を目視で確認 重要な情報を人手で抽出し集計 エリア名と災害用語の膨大な組み合わ せを検索する必要 ランドマーク等は個別に検索する必要 D-SUMM 熊本県 ボタン一つで県下の市町村ごとに一瞬 で要約表示 どこで何が起きているかの把握が容易 限られた時間では一部の情報 しか発見できず 大局を把握 することは不可能 熊本県熊本市 市町村下のレベルでも場所毎に要約 カテゴリ毎の要約により 要救助者 等の発見も容易 47

DISAANA vs. D-SUMM DISAANA 熊本県 熊本県熊本市 熊本県阿蘇市 熊本県上益城郡益城町 膨大な被災報告 場所毎に整理されていないため県下の 市町村について それぞれ質問やエリ ア指定を行って検索する必要がある D-SUMM 熊本県 ボタン一つで県下の市町村ごとに要約 表示 どこで何が起きているかの把握が容易 仮に県下の全市町村について検索しても被 災報告が膨大となり 市町村毎の被災状況 あるいはその全体像は把握が難しい 熊本県熊本市 市町村下のレベルでも場所毎に要約 カテゴリ毎の要約により 要救助者 等の発見も容易 48

宮崎県における実証実験 (1) 1. 宮崎県総合防災訓練にてデモンストレーション (H26 年 10 月 19 日 ) 2. 宮崎市 延岡市にて防災訓練 ( 机上訓練 ) を通して実証実験を実施 (H27 年 1 月 2 月 ) オンラインデータ作成 それぞれの訓練にて約 50 名の防災士 大学生等のボランティアが災害の想定被災状況をSNSに発信 (2 時間半の訓練で2000 件以上の書き込み ) 現地自治体の防災担当者 消防署職員が本システムを活用して 書き込みを分析 救援 避難の意思決定 指示で活用 実験後のアンケートでは 参加した自治体職員から全員 災害時に役立つ というご意見をいただき その他の参加者からも好評を得ており フィードバックをDISAANAに反映 49

宮崎県における実証実験 (2) 1 被害状況を災害掲示板へ書き込む 家屋が浸水しています Twitter ではなく専用の掲示板を使用 有田地区の避難所で 30 名分の毛布が足りません 災害掲示板 (SNS) 一般市民役被験者 2 システムで分析 3 書き込み結果がシステムの出力に現れているか確認 現れていなければ 文面を変えてもう一度書き込み 対災害 SNS 情報分析システム DISAANA 4 自治体災害対策本部 分析結果を災害対策本部で確認し 必要に応じて情報発信 状況毎の絞り込みも可能 発見した被災報告に対して災害対策本部側で対応状況やコメントを書き込める公開版とは異なる専用のシステムを使用 対応状況 未着手 着手 解決 デマ認定 コメント 50

自治体での防災訓練での活用 ( オフラインデータ作成 ) 自治体の防災訓練等で 状況付与に対応した SNS 投稿データを準備し 災害時の SNS をシミュレート 各投稿データには 発災からの相対時間を付与し それに基づき訓練時に SNS へ投稿し DISAANA D-SUMM で分析 要約する 1. 状況付与 ( 訓練シナリオ ) を用意 (2 ヶ月前が目安 ) 2. 状況付与に基づいて SNS の投稿データを半自動で用意 例 0:15:35 市 3 丁目付近で火災が起きています 消防に電話が繋がりません Twitter は大丈夫です 要望に応じて デマ情報なども作成 自治体側で用意いただくことで リアルなデータを作成可能だが いずれにせよ この部分はかなり大変 3. 訓練時 : 発災からの経過時間にあわせてデータを自動投稿し 即時解析 DISAANA D-SUMM で検出可能に これまでに東京都 (H29 年 1 月 ) 大分県 (H29 年 4 月 ) 上記形式にて訓練 8/25 に岩手県でも実施予定だったが 災害対応のため中止に ご興味があればお声がけください! 51

H28年度東京都図上訓練での活用 目的 発災直後の混乱時においてSNS等の情報を活用するため DISAANA, D-SUMM の使用に慣れて頂くとともに システムの検証を行う ① ② 災害掲示板へ書き込む被害 状況を事前に用意する 訓練時の時間経 過にあわせて自 動的に書き込み 掲示板書き込み プログラム 災害掲示板 SNS XXの避難所がいっぱいで す 足の悪い母がいて困 っています XXで火災が発生 しています 事前に7,000件以上の書 き込みを用意 の火事がXXま で広がっています 訓練の際には 状況に応じて NICTの職員がオンラインで即興 の書き込みを実施 ③ システムで分析 東京都災害対策本部 ④ DISAANA, D-SUMM 分析 要約結果を確認 し 必要に応じて対応 を実施 訓練概要 日時 H29年1月31日10:00-16:00 想定 首都直下地震 津波なし 参加者 都職員 政府関係職員等 280名 52

H28 年度東京都図上訓練での様子 D-SUMM で情報収集する東京都職員 D-SUMM の分析結果に基づいて情報分析状況を検討する東京都職員 DISAANA の分析結果について説明を受ける東京都危機管理監 東京都図上訓練におけるDISAANA, D-SUMM 活用上のポイント 発見した災害関連情報があれば 印刷して 会議等で共有 別途災害情報システム (DIS) へも投入 印刷機能を多用 職員からは 概ね好印象 危機管理監からは 今後はこういったシステムを職員が使いこなせなければならないとのコメント 53

DISAANA D-SUMM に関する連絡先 NICT 耐災害 ICT 研究センター応用領域研究室大竹清敬 ( おおたけきよのり ) E-mail: disaana@khn.nict.go.jp 電話 : 0774-98-6329 普段の居所 : 619-0289 京都府相楽郡精華町光台 3 5 NICT ユニバーサルコミュニケーション研究所 54