1996年月 中島ほか 急性A型大動脈解離術後の残存解離腔 解離腔は血栓閉鎖していた また腎動脈分岐部付近の 表 201 前期 後期における術直後の残存解離腔 限局性解離の残存を例に認めた 前期 残存解離状態を時期別にみると(表1) 前期ではN 分類 型 弓部 群 3例,Ra群:12例,Rb群 3例であった なおN 症例数 3 群のうち術前に下行大動脈解離腔が血栓閉鎖していた N群 ものが例あった 一方 後期ではN群:10例, Ra 8 Rb群 大動脈が血栓閉鎖していたのは例であった よって 川b型 型 - 9 4(4) 3(2) Ra群 群 例 Rb群 例であり N群のうち術前に下行 後期 4 11型 弓部 )内は術前に下行大動脈の解離腔が血栓閉鎖して いた症例を示す 術前に下行大動脈解離腔に血流のあった症例は前期で は16例で,後期ではII型を除く7例であった これよ り術後に弓部,下行大動脈起始部にintimal tear を残す 表 N群 Ra群 Rb群の大動脈最大径の変化 確率(Ra群となる確率)を求めると 前期で12/16 N群 Ra群 13 11 Rb群 (75%),後期で1/7(14%)であり前期の方が有意に高 症例数 かった(p 0.05 2 7 : Fisher's exact probability test). Follow-up 術後遠隔期の残存解離 退院後遠隔期に原因不明の突然死でRa群の例を 不変 示す なお大動脈径の有意な変化は術直後のCTと比 拡大 O た 各群の大動脈最大径(解離残存部)の変化を表に 20.1±10.7 C J 失った 遠隔期に新たな再解離を生じた症例はなかっ 45.4±21.6 0 大動脈最大径 縮小 20.2±17.7 9 0 較し5mm以上の差を認めたものとした N群のうち で大動脈拡大傾向を示した症例はなく 不変11例,縮 たと報告している 今回の対象症例では遠隔期に例 小例(0 mm. を失ったがいずれも広範な解離腔が残存した症例で 5mm)であった Ra群ではH例中 9例で拡大傾向(5 18mm)を認め 年拡大率は1.04 死因の詳細は明らかでないものの破裂による可能性は 3.20 mm/年(平均1.92±0.70 否定できない 一方, Svenssonら1 は解離性大動脈瘤 mm/年)であった こ のうち下行大動脈残存解離腔拡大(最大径50 mm, 690例の検討で 術後大動脈破裂には残存解離の有無 年 mm/年) 大動脈弁閉鎖不全症を示した が有意に関連していたと報告している しかし 術後 Marfan症候群の例に対しBentall手術十上行弓部大 残存解離腔の状態の推移について検討した報告は少な 動脈全置換手術を施行した 縮小したものはI例で い 拡大率:3.2 解離腔は完全に血栓閉鎖していた そのほかRa群で 島本ら9 は急性A型解離手術症例18例のうち15 は径の変わらないものがI例であった 一方,Rb群で は拡大傾向を示した症例はなく 例で縮小(5 例に残存解離腔を認め, Illb型残存解離腔となった14 mm. 例ではすべて下行大動脈の拡大傾向 マルファン症 6mm)し 5例で大動脈径の変化を認めなかった 術 例:6士l mm/年 非マルファン症例:2.9±0.8 mm/ 直後に下行大動脈起始部から残存解離を認めた症例が 年 を示したと報告している また 宮本らlo は A 例あったが いずれも下行大動脈上部 中央部まで 型解離術後27例のうち21例に残存解離を認め この の解離腔は血栓閉鎖し, うち下行大動脈に解離が残存した5例に拡大傾向を示 intimal tear以下の解離腔のみ したと報告した.自験例ではintimal tearが大動脈弓部 が残存していた 考 や下行大動脈起始部に残存した症例 Ra群 の11例 察 中9例に拡大傾向を認め 9例の年拡大率の平均値は 急性A型解離の術後遠隔期の予後は残存解離腔の 1.92±0.70mm/年であった Ra群のうちI例のみ大動脈最大径は解離腔の血栓 拡大や破裂に左右されることが多い 大動脈解離術後 の遠隔死亡の原因のうち大動脈瘤の破裂が占める割合 吸収により術後35ヵ月間で17 はDeBakeyら8)は29%, 例では 術直後DSAでre-entryが左腎動脈分岐部付 Haverichら4)は15 であっ 85 mm 縮小した この症
日血外会誌 202 文 近にあったが左腎動脈へは真腔と解離腔からの血流を 1) 認めた さらに術直後CTでre-entry付近の解離腔の Svensson, 献 L. G., 一部に血栓が認められており 術後遠隔期に解離腔内 a1. の血流が徐々に低下し 血栓閉塞したものと思われた aneurysms. Improving cal 一方 拡大傾向を示した症例では 解離腔血栓閉鎖し : Dissection results. 5巻号 the E. S., Hess, K. R. et aorta early long-term surgi- 82 IV):24-38, 1990. た例と異なり 腹部主要分枝のいずれかが解離腔か 2) Miller, らのみの血流を受けていたために解離腔の血流が保た れ徐々に拡大していったものと思われた しかし, Rb 群の残存解離腔内の血流はすべて 腹部主要分枝ある determinants for with 3) patients M., 残存解離腔拡大の因子として 1 瘤椎体横径比 術後 dissection : Necessity の最大遺残瘤径/Th6-7椎体横径 が以上 2 解離 ac. 49 : Surg., Acute 重要であることを指摘している われわれの検討から は残存解離腔へ流入するintimal 5) あると思われた al. 急性A型解離症例に対する手術において 超低体温 rysms. 6) 下の循環停止法により成績が向上してきたとする報告 が多くみられる2 12 14.それに伴い,循環停止下に弓部 も検索し確実にintimal 72 Management 7 井上 for Thor- W. C. et a1.: operative 11):22-34, L. G., Surg 208 D. D Speier, A dissections determi- outcome Glower, dissection. tearを検索することの重要性 type Scott, dissection et a1. :Thor- 1990. E. S., Svensson, : Aortic M. acute D. C, chronic for follow-up. Miller, long-term vors. ら流れる主要分枝の有無も拡大傾向に影響する因子で after 580-584, A., nants tearの位置と解離か J., Karck, aneurysms Haverich, mortality 1984. Lass, acic 4) dissections. I):153-164, Heinemann, P. E. et al. : operative 向を示す症例がなかったことは興味深い 土田ら川は 腔が真腔より広い 3 複数のentryを有する などが R. S Over, Independent 70 いは腰動脈へ流入しているものと思われたが 拡大傾 D. C Mitchell, : 254-273, aneu- W. D, et a1, : outcome 31-41, S. et 1988. R. H White, Surg 214: 1985. Coselli,. long-term survi- 1991. 正 解離性大動脈瘤の外科治療 日胸外会 が指摘されている13 14)急性A型解離において弓部に 誌 32 intimal tearを有する頻度としては9 21 4 14 16 と報 8) DeBakey, 告されている 自験例でも急性A型解離手術症例40 例中 7例(17.5%)に弓部のみにintimal : 665-670, S. tear を認め the aorta dred intimal tearがあることを術中に確認し切除した 弓部 Surgery, : Twenty-year twenty-seven 92 : follow-up patients treated E. aneurysms five hun- surgically 11 18-1 1 34 1982. 見た急性A型大動脈解離の治療方針 日胸外会 体温 循環停止法のその他の利点としては 動脈錨子 誌 39 がないので吻合が容易であり また遮断銀子による大 宮本 10) : 647-648, 1991. 巍,山下克彦 術後大動脈造影所見からみ たA型大動脈解離に対する外科治療成績の検討 る12-14 16)一方 問題点としては低体温による出血傾 日胸外会誌 39 : 650-652, 1991. 向や,脳,心筋保護の不明確性が挙げられるが17),われ 11 土田弘毅 解離性大動脈瘤の外科治療 遠隔成 われが経験した症例では術後出血による致命的な合併 績からみた問題点について一 日胸外会誌 36: 症や脳障害は経験しなかった 348-359, 1988. technique 12) Graham, は 術後弓部付近にtearを残存する頻度を減少させ management それに伴い術後残存解離の拡大症例を減少させること pround ができるものと思われた C. H., 9 島本光臣 山崎文郎 植田充宏他 遠隔成績から 大動脈内腔の検索の重要性が再認識させられた 超低 以上 超低体温 循環停止法によるopen E., McCollum, et al. : Dissection た また 例では上行大動脈と弓部大動脈のヵ所に 動脈の損傷や塞栓症を回避できることが指摘されてい M. 1984. Stinnett, D. M.:Operative acute arch dissection using hypothermia circulatory arrest. Thol 3c. S g 44 : 192-198 1987. 13 Boulafendis, Y. 86 J.M. D Bastounis, E Panayiotopoulos, P.et a1.: Acute type A aneu-