2017 年 1 月作成 ( 第 3 版 ) 医薬品の適正使用に欠かせない情報です 使用前に必ずお読みください 新医薬品の の解説 生物由来製品 ) 処方箋医薬品注 遺伝子組換え血液凝固第 Ⅸ 因子製剤 ノナコグガンマ ( 遺伝子組換え ) 製造販売元 ( 輸入元 ) バクスアルタ株式会社東京都港区虎ノ門一丁目 23 番 1 号 注 ) 注意 医師等の処方箋により使用すること
はじめに リクスビス静注用 500 同 1000 同 2000 及び同 3000( 以下 本剤 ) は 米国バクスターヘルスケア社 ( 現バクスアルタインコーポレイテッド ) が開発した遺伝子組換え血液凝固第 Ⅸ 因子製剤です 本剤の有効成分であるノナコグガンマ ( 遺伝子組換え ) は チャイニーズハムスター卵巣細胞より産生される 415 個のアミノ酸残基からなる糖タンパク質であり 既承認のノナコグアルファ ( 遺伝子組換え ) と同様な構造 同一性 純度 力価 機能を有し さらに本剤は 2 種類の独立したウイルス不活化 / 除去工程によりウイルス感染の可能性を排除しています 本剤について血友病 B 患者を対象に 3 つの臨床試験 即ち112 歳以上の血友病 B 患者を対象とした薬物動態 (PK) パラメータ 有効性及び安全性評価のための第 Ⅰ /Ⅲ 相試験 ( 主要試験 ) 2 外科的処置を受ける 12 歳以上の血友病 B 患者を対象とした周術期における PK パラメータ 有効性及び安全性評価のための第 Ⅲ 相試験 ( 手術試験 ) 312 歳未満の小児血友病 B 患者を対象とした PK パラメータ 有効性及び安全性評価のための第 Ⅱ/Ⅲ 相試験 ( 小児試験 ) が実施されました これらの試験結果をもとに 米国では 2013 年 6 月に成人 (12 歳以上 ) 血友病 B 患者に対し 2014 年 9 月に小児 (12 歳未満 ) 血友病 B 患者に対する本剤の適応が承認され EU では 2014 年 12 月に成人及び小児血友病 B 患者に対する適応で承認されました 本剤の国際共同臨床試験のうち 日本からは主要試験及び手術試験に参加し これらの結果をもとにバクスター株式会社は 2013 年 12 月にリクスビスの製造販売承認申請を行い 2014 年 12 月に承認を取得しました その後 2016 年 2 月にバクスター株式会社よりバクスアルタ株式会社に製造販売承認が承継されました 2016 年 2 月現在 日本を含め 15 の国と地域にて販売または承認されています 本冊子では 国内外の臨床試験及び海外の使用経験に基づき 本剤の使用に際しての注意事項を項目ごとに解説いたしました つきましては 本剤をご使用いただく前には 必ず本冊子をご精読の上 適正使用にご留意くださいますようお願いいたします - 1 -
目次 はじめに 1 目次 2 効能又は効果 3 用法及び用量 4 用法及び用量に関連する 5 1. 慎重投与 7 2. 重要な基本的注意 9 3. 副作用 11 4. 高齢者への投与 13 5. 妊婦 産婦 授乳婦等への投与 13 6. 小児等への投与 13 7. 適用上の注意 15 8. その他の注意 17-2 -
効能 効果 効能 効果 血液凝固第 IX 因子欠乏患者における出血傾向の抑制 本剤は 本邦を含む海外 16 ヵ国が参加する血友病 B 成人患者を対象とした国際共同第 Ⅰ/ Ⅲ 相試験 (250901 試験 ) 続いて血友病 B 小児患者を対象とした海外第 Ⅱ/Ⅲ 相試験 (251101 試験 ) 及び外科的処置を受ける血友病 B 患者を対象とした海外第 Ⅲ 相試験 (251002 試験 ) を実施し 250901 試験を主要な試験として血友病 B 患者での定期的な投与による出血傾向の抑制効果を示しました 血友病 B( 血液凝固第 Ⅸ 因子欠乏症 ) については 本剤の臨床試験に組み入れられていない後天性血友病 B 患者 ( 後天性第 Ⅸ 因子欠乏患者 ) も極めて少ないながらも想定されます 安全性については 後天性血友病 B 患者では膠原病 悪性腫瘍 糖尿病 産科出血等の基礎疾患の治療について配慮する必要があるものの 凝固因子活性が著しく低下している病態は先天性と変わりがなく 欠乏している凝固因子の補充により止血を達成するという治療コンセプトも同様であり 臨床試験で有用性が確認された先天性血友病 B と同様に後天性血友病 B の患者に対して有用性が期待できると考えられました 従いまして 本剤の効能 効果は 血液凝固第 Ⅸ 因子欠乏患者における出血傾向の抑制 と設定されました - 3 -
用法 用量 用法 用量 本剤を添付の溶解液 5mL で溶解し 静脈内に注射する なお 10mL/ 分を超えない速度で注入すること 通常 1 回体重 1kg 当たり 50 国際単位を投与するが 患者の状態に応じて適宜増減する 定期的に投与する場合 通常 体重 1kg 当たり 40~75 国際単位を週 2 回投与し 12 歳未満の小児に対しては体重 1kg 当たり 40~80 国際単位を週 2 回投与する 注入速度については 本剤の臨床試験 250901 試験において 薬物動態パートでは 4mL/ 分を超えない速度で投与すること また 250901 試験の定期補充療法群 / 出血時補充療法群 251101 試験及び 251002 試験においては 10mL/ 分を超えない速度で本剤の投与を行うことと設定し 安全性に特に問題なく投与されたことから 10mL/ 分を超えない速度で注入する ことと規定しました 投与量については 250901 試験において 出血時における 1 回当たりの投与量の中央値は 49.9 国際単位 /kg( 範囲 :25.5~149.8) 出血エピソード 1 件当たりの総投与量の中央値は 62.3 国際単位 /kg( 範囲 :25.5~372.1) であり 251002 試験では 大手術時の投与量の中央値は 175 国際単位 /kg( 範囲 :134~296 ) 小手術時の投与量の中央値は 138 国際単位 /kg( 範囲 :55~203 ) でした 以上の試験結果に加え ノナコグアルファ ( 遺伝子組換え ) の用法 用量の記載も考慮して 初回用量は 通常体重 1kg 当たり 50 国際単位と設定しました また 補正回収率は個人及び年齢による変動が大きいこと 及び各臨床試験において出血の部位及び程度並びに手術の種類により本剤の投与量を調節することとされており 個々の患者の臨床症状により投与量を調節すべきであることから 患者の状態に応じて適宜増減することとしました なお 出血の程度 手術の種類別の投与量及び投与頻度の目安は 用法 用量に関する の項に記載いたしました 定期的な投与については 12 歳以上を対象とした 250901 試験の定期補充療法群では 40~75 国際単位 /kg を週 2 回投与され 定期補充療法群における年間出血回数 (Annualized Bleeding Rate: ABR) は 本臨床試験参加前の過去の ABR と比較して減少が認められました 3 カ月以上本剤の定期的な投与を受けた被験者における 1 回当たりの投与量の中央値は 50.5 国際単位 /kg( 範囲 :40.0~62.8) 1 週当たりの投与頻度の中央値は 1.8 回 ( 範囲 :1.5~1.9 ) でした 12 歳未満の患者を対象とした 251101 試験では 40~ 80 国際単位 /kg を週 2 回投与され 1 回当たりの投与量の中央値は 55.6 国際単位 /kg( 範囲 :43.0~75.5) 1 週当たりの投与頻度の中央値は 2.0 回 ( 範囲 :1.8~2.2 ) でした 以上より 定期的に投与する場合の投与量は 12 歳以上では 40~75 国際単位 /kg 12 歳未満では 40~80 国際単位 /kg の範囲で また投与頻度は週 2 回と設定いたしました なお 低年齢層の小児で本剤の補正回収率が低い傾向が認められていることから 小児等においては通常よりも高い投与量及び頻回の投与が必要となる可能性がある旨を 小児等への投与 の項に記載いたしました - 4 -
用法 用量に関する < 用法 用量に関連する > (1) 本剤を含む血液凝固第 IX 因子製剤の投与は 個々の患者に応じて用量調節が必要である 用量及び投与期間は 血液凝固第 IX 因子欠乏の程度 出血の部位と程度及び患者の臨床症状並びに手術の種類により決定すること [ 臨床成績 の項参照] (2) 血液凝固第 IX 因子活性測定等によりモニタリングすること 特に周術期における投与においては留意すること 臨床症状 血液凝固第 IX 因子活性 薬物動態パラメータ ( 血液凝固第 IX 因子の補正回収率等 ) を考慮し 用量を調節すること (3) 投与速度が速すぎると注射部位疼痛等が発現するおそれがあるので 患者の状態をみながら 1 分間に 10mL を超えない速度で注入すること 出血時の用量は 以下に基づいて算出すること 必要な血液凝固第 IX 因子単位 ( 国際単位 ) = 体重 (kg) x 血液凝固第 IX 因子の目標上昇値 (% 又は国際単位 /dl) x 補正回収率の逆数 [( 国際単位 /kg)/( 国際単位 /dl)] なお 補正回収率を測定していない患者においては 本剤の臨床試験成績を基に算出された補正回収率を参考に用量を算出すること 12 歳以上の患者における補正回収率 : 0.9 [( 国際単位 /dl)/( 国際単位 /kg)] 逆数 1.1 12 歳未満の患者における補正回収率 : 0.7 [( 国際単位 /dl)/( 国際単位 /kg)] 逆数 1.4 出血の程度 早期関節血症 筋肉出血又は口腔内出血広範囲の関節血症 筋肉出血又は血腫の拡大 出血時における投与量及び投与頻度の目安 目標とする血液凝固第 IX 因子レベル (% 又は国際単位 /dl) 投与頻度 ( 時間 ) 20-40 24 30-60 24 治療期間 ( 日 ) 出血による疼痛が消失するまで 又は治癒が得られるまで 1 日以上 疼痛及び急性障害が消失するまで 3~4 日以上 生命を脅かす出血 60-100 8-24 脅威が解消されるまで 手術の種類 小手術 ( 抜歯を含む ) 大手術 周術期における投与量及び投与頻度の目安目標とする血液凝固第投与頻度 IX 因子レベル ( 時間 ) (% 又は国際単位 /dl) 治療期間 ( 日 ) 30-60 24 治癒が得られるまで 1 日以上 80-100 ( 術前及び術後 ) 8-24 適切な治癒が得られるまで 8-24 時間ごと その後は第 IX 因子レベルを 30-60%( 国際単位 /dl) に維持するため 7 日間以上 - 5 -
用法 用量に関する 本剤の米国添付文書及び企業中核データシート (CCDS:Company Core Data Sheet) 並びに他の血液凝固因子製剤のを参考に設定しました (1) 血液凝固第 IX 因子製剤の投与に関しては 個々の患者に応じた投与量調節 並びに用量及び投与期間の設定が必要であることから 一般的な注意として設定しました (2) 本剤投与後の血液凝固第 IX 因子活性測定等は 確実な止血効果を確保するために必要であることから設定しました また 周術期の止血管理における血液凝固第 IX 因子活性測定等は 特に留意すべきであると考えて記載しました (3) 本剤の投与速度に関しては 注射部位疼痛等の注射部位の反応が発現しないよう留意して注入する必要があります 1 分間に 10mL を超えない速度で注入すべき点は 外国添付文書及び CCDS にも規定されており これらに基づいて記載しました 出血時の投与量については 臨床試験において本剤投与量の決定のために使用した算出式を記載しました 投与量の算出に際し 補正回収率及びその逆数について 本剤の臨床試験成績を基に算出された数値を参考としました 出血の程度 手術の種類による本剤の投与量及び投与頻度等に関する情報提供は必要と考えましたので 臨床試験に基づいた本剤の投与量及び投与頻度の目安を提示しています なお 実際の投与にあたっては 学会発行のガイドライン等を参照にしてください - 6 -
1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) (1) 本剤の成分又はハムスタータンパク質に対し過敏症の既往歴のある患者 (2) 他の血液凝固第 IX 因子製剤に対し過敏症の既往歴のある患者 (3) 肝疾患の患者 術後の患者 新生児 血栓塞栓性事象のリスクのある患者 線維素溶解の徴候又は播種性血管内凝固症候群 (DIC) のある患者 [ 血栓塞栓性合併症のリスクがあるので これらの患者への投与に際しては 本剤の治療上の有益性と合併症のリスクを勘案すること ] - 7 -
(1) 本剤はチャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞株を用いて製造されることから 本剤の成分又はハムスタータンパク質に対して 過敏症の既往歴のある患者に対する注意喚起として設定しました (2) 本剤の臨床試験では報告はありませんが ヒト血漿由来の血液凝固第 IX 因子製剤及び他の遺伝子組換え血液凝固第 IX 因子製剤の使用により過敏症の発現が報告されていることから 本剤についても一般的な留意事項として設定しました (3) 血液凝固第 IX 因子を含む製剤の使用により 血栓塞栓性合併症 ( 肺塞栓症 静脈血栓症及び動脈血栓症等 ) の発現が報告されていることから 血栓塞栓性合併症のリスクがある患者に対する注意喚起として設定しました - 8 -
2. 重要な基本的注意 (1) 本剤の投与は 血友病の治療経験をもつ医師のもとで開始すること (2) 本剤の投与によりアナフィラキシーを含むアレルギー反応があらわれる可能性があるので 患者に対しては アレルギー反応の初期症状が認められた場合には 本剤の投与を中止し 症状や重症度に応じて 直ちに医師に連絡するよう あらかじめ 説明すること [ 副作用 の項参照 ] (3) 患者の血中に血液凝固第 IX 因子に対するインヒビターが発生するおそれがある 本剤を投与しても予想した止血効果が得られない場合には インヒビターの発生を疑い 回収率やインヒビターの検査を行う等注意深く対応し 適切な処置を行うこと (4) 血液凝固第 IX 因子に対するインヒビターが発生した患者では 血液凝固第 IX 因子投与によりアナフィラキシーのリスクが増加する可能性があるので 過敏症の既往のある患者には 血液凝固第 IX 因子に対するインヒビターの有無を確認すること また アレルギー反応の発現の可能性を考慮して 投与初期 ( 約 10~20 実投与日 ) はアレルギー反応に対する適切な処置が可能な医師のもとで投与すること (5) 本剤は原則として静脈内ボーラス投与とすること [ その他の注意 の項参照 ] (6) 薬効の減弱が認められた場合には 投与量の再検討や必要に応じて血液凝固第 IX 因子に対するインヒビターの測定を行うこと (7) 本剤の在宅自己注射は 医師がその妥当性を慎重に検討し 患者又はその家族が適切に使用可能と判断した場合のみに適用すること 本剤を処方する際には 使用方法等の患者教育を十分に実施した後 在宅にて適切な治療が行えることを確認した上で 医師の管理指導のもとで実施すること また 患者又はその家族に対し 本剤の注射により発現する可能性のある副作用等についても十分説明し 在宅自己注射後何らかの異常が認められた場合や注射後の止血効果が不十分な場合には 速やかに医療機関へ連絡するよう指導すること 適用後 在宅自己注射の継続が困難な場合には 医師の管理下で慎重に観察するなど 適切な対応を行うこと - 9 -
(1) 本剤の投与を含め 血友病治療は経験のある医師のもとで開始することが望ましいことから 一般的な留意事項として設定しました (2) 他の遺伝子組換え血液凝固第 IX 因子製剤の投与により アレルギー反応の報告があったため 本剤についても注意喚起として設定しました (3) 他の遺伝子組換え血液凝固第 IX 因子製剤の投与により インヒビター産生の報告があったため 本剤についても注意喚起として設定しました (4) 他の遺伝子組換え血液凝固第 IX 因子製剤の安全性成績から 血液凝固第 IX 因子に対するインヒビターの産生は アレルギー反応の危険因子であることが示唆されており また投与開始初期 ( 約 10~20 実投与日 ) においては アレルギー反応が発現した際に適切な処置が可能な医師のもとで投与することとされています したがって 本剤についても同様の注意喚起が必要と考えて本項目を設定しました (5) 本剤の持続注入による安全性と有効性は確立されていません 中心静脈カテーテルにより 他の遺伝子組換え血液凝固第 IX 因子製剤を持続注入された患者において 血栓塞栓性事象が報告されていること また 重症型の疾患を有する新生児において 生命を脅かす上大静脈症候群が発現したとの報告があることから 本剤の投与は原則として静脈内ボーラス投与とすることを設定しました (6) 他の遺伝子組換え血液凝固第 IX 因子製剤の投与により 薬効減弱の報告があったため 本剤についても注意喚起として設定しました (7) 本剤の使用は在宅での自己注射が想定されるため 在宅自己注射に際しての留意事項を記載しました - 10 -
3. 副作用血液凝固第 IX 因子製剤による治療歴のある先天性血友病 B 患者 ( 小児 成人 ) を対象とした海外及び国際共同臨床試験において 安全性評価対象 99 例中 5 例 (5.1%) に 6 件の副作用が認められた これらの内訳は 抗フーリン抗体陽性 2 例 (2.0%) 味覚異常 1 例 (1.0%) 出血性貧血 1 例 (1.0%), 四肢痛 1 例 (1.0%) であった ( 承認時 ) (1) 重大な副作用 ( 類薬 ) 1) ショック アナフィラキシー ( 頻度不明 ) ショック アナフィラキシーがあらわれることがあるので 観察を十分に行い 蕁麻疹 悪心 血管浮腫 呼吸困難 血圧低下 頻脈等の症状が認められた場合には投与を中止し 適切な処置を行うこと [ 重要な基本的注意 の項参照] 2) 血栓塞栓症 ( 頻度不明 ) 血栓塞栓症があらわれることがあるので 観察を十分に行い 異常が認められた場合には 投与を中止し 適切な処置を行うこと (2) その他の副作用 頻度 副作用の頻度 種類 1~5% 未満 臨床検査 * 抗フーリン抗体陽性 神経系障害 味覚異常 血液及びリンパ系障害 出血性貧血 骨格筋系及び結合組織障害 四肢痛 * 抗フーリン抗体は 本剤の製造工程由来成分に対する抗体である - 11 -
本剤の臨床試験で認められた副作用の概要を記載しました なお 対象症例における日本人 外国人別の発現状況は下表のとおりです 全体 日本人 外国人 総症例数 99 例 5 例 94 例 副作用発現例数 (%) 5 例 (5.1%) 0 例 (0.0%) 5 例 (5.3%) (1) 本剤の臨床試験では報告はありませんが 類薬である他の遺伝子組換え血液凝固第 IX 因子製剤の投与により重大な副作用が報告されているため 本項目を設定しました 1) 他の遺伝子組換え血液凝固第 IX 因子製剤の投与により アレルギー反応の報告があったため記載しました 2) 血液凝固第 IX 因子製剤の薬理作用として 血栓症及び塞栓症が発現する可能性が否定できなこと また 本剤の外国添付文書にも記載があることから 注意喚起として記載しました (2) 本剤の臨床試験で認められた副作用について その他の副作用として記載しました - 12 -
4. 高齢者への投与一般に高齢者では生理機能が低下しているので 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること [ 本剤の 65 歳以上の患者への使用経験がない ] 5. 妊婦 産婦 授乳婦等への投与 (1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には 治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること [ 妊娠中の投与に関する安全性は確立していない なお 生殖発生毒性試験は実施していない ] (2) 授乳中の婦人に投与することを避け やむを得ず投与する場合は授乳を中止させること [ 授乳中の投与に関する安全性は確立していない なお 動物における乳汁移行試験は実施していない ] 6. 小児等への投与小児等においては 通常よりも高い投与量及び頻回の投与が必要となる可能性があるため 投与量及び投与頻度の調節について適宜検討すること [ 薬物動態 の項参照] - 13 -
本剤の臨床試験では 65 歳以上の高齢患者を被験者としなかったこと 並びに高齢者においては一般的に認められる生理機能の低下を考慮して 注意喚起として設定しました (1) 本剤では 動物における生殖発生毒性試験を実施していないこと 並びに妊娠中の女性における本剤の使用経験はないことから 妊娠中の女性に対する影響については不明であるため 本項目を設定しました (2) 本剤では 動物における乳汁移行試験を実施していないことから 授乳中の投与における安全性は不明であるため 本項目を設定しました 参考 本剤の妊娠に関するFDA 分類は カテゴリー C* に分類されています * カテゴリー C: 動物生殖試験では胎仔に催奇形性 胎仔毒性 その他の有害作用があることが証明されており ヒトでの対照試験が実施されていないもの あるいはヒト 動物ともに試験は実施されていないもの ここに分類される薬剤は 潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること 本剤の 12 歳未満の小児患者を対象とした臨床試験の結果に基づき 留意すべき事項として設定しました 12 歳未満の小児患者を対象とした 251101 試験の結果から 本剤の補正回収率は低年齢層において低い傾向が認められ 薬物動態パラメータが年齢に伴い変動することが示唆されました したがって 小児等においては通常よりも高い投与量及び頻回の投与が必要となる可能性があります なお 本剤の用量は 主に出血の部位やその程度 及び患者の状態に応じて実臨床では個々に決定されることから 臨床的に問題となる影響の可能性は低いと考えられます - 14 -
7. 適用上の注意 (1) 調製時 1) 調製前に 本剤及び添付溶解液を室温に戻しておくこと 2) 添付の溶解液以外は使用しないこと 本剤に溶解液全量を加えた後 静かに円を描くように回して溶解すること ( 激しく振とうしないこと ) 3) 他の製剤と混注しないこと 4) 一度溶解したものは冷蔵せず 室温 (30 以下 ) にて保存し 3 時間以内に使用すること 3 時間以内に使用されない場合は 廃棄すること 5) 使用後の残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと 6) 溶解した液を注射器に移す場合 ろ過網のあるセットを用いること (2) 投与時 1) 1 分間に 10mL を超えない速度で 静脈内ボーラス投与すること 2) 沈殿の認められるもの又は混濁しているものは使用しないこと (3) 在宅自己注射 1) 患者が家庭で保存する場合においては 冷蔵庫内で保存することが望ましいが 室温 (30 以下 ) で保存することもできる 室温で保存した場合には 使用期限を超えない範囲で 6 ヵ月以内に使用し 再び冷蔵庫に戻さないように指導すること 2) 子供による誤用等を避けるため 薬剤の保管には十分注意すること 3) 使用済みの医療機器等の処理については 主治医の指示に従うこと - 15 -
(1) 本剤の調製時 ( 溶解後の取扱いを含む ) の注意を記載しました 1) 注射部位疼痛等の発生を防ぐために 本剤を冷所で保存していた場合には 調製前に 本剤及び添付溶解液を室温に戻してください 2) 本剤には専用の溶解液が添付されており 添付の溶解液全量で溶解して使用してください 溶解する際は激しく振とうせず 静かに円を描くように回して溶解する必要があります 3) 他の製剤との混合や配合変化に関するデータはありません 4) 溶解後は速やかに使用してください なお 添付溶解液で溶解後 3 時間まで本剤の安定性は確認されています 5) 細菌汚染の可能性があるため 使用後の残液は使用しないでください 6) フィルター一体型デバイス バックスジェクトⅡ にはフィルターが内蔵されているため これを用いて溶解した場合にはあらためてろ過網のあるセットを用いる必要はありません (2) 本剤の投与時の注意を記載しました 1) 本剤の投与速度に関しては 注射部位疼痛等の注射部位の反応が発現しないよう留意して注入する必要があります 2) 完全に溶けなかった場合や浮遊物がある又は変色している場合は 使用しないでください (3) 本剤は主治医の指導に基づく在宅治療が認められているため 在宅自己注射の際の注意を記載しました 1) 家庭内での本剤の保存方法について記載しました 2) 家庭での保管に際しては 当該患者以外の家族の誤用を避けるよう 子供の手の届かない場所で 清潔に保管するよう指導してください 3) 使用済みの翼状針 バイアル 注射器等は医療廃棄物に該当します 各医療機器の廃棄の方法を指示してください - 16 -
8. その他の注意 (1) 本剤による免疫寛容導入療法の安全性と有効性は確立されていない なお 外国において 血液凝固第 IX 因子に対するインヒビターを有し かつ 血液凝固第 IX 因子に過敏症の既往のある血友病 B 患者では 血液凝固第 IX 因子製剤に伴う免疫寛容導入療法後に ネフローゼ症候群を発現したとの報告がある (2) 外国において 中心静脈カテーテルにより 遺伝子組換え血液凝固第 IX 因子製剤を持続注入された患者では 血栓塞栓性事象が報告されている また 重症の疾患のある新生児において 生命を脅かす上大静脈症候群が発現したとの報告がある - 17 -
(1) ネフローゼ症候群の発現について 以下の文献に基づき設定しました Ewenstein, B. M., et al.: Blood, 1997; 89(3): 1115 (2) 上大静脈症候群の発現について 以下の文献に基づき設定しました Douvas, M. G., et al.: Journal of Pediatric Hematology/Oncology, 2004;26 (4): 258-18 -