仙台稲作情報令和元年 7 月 22 日 管内でいもち病の発生が確認されています低温 日照不足によりいもち病の発生が懸念されます 水面施用剤による予防と病斑発見時の茎葉散布による防除を行いましょう 1. 気象概況 仙台稲作情報 2019( 第 5 号 ) 宮城県仙台農業改良普及センター TEL:022

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Ⅱ 今後の管理について 1 水管理について (1) 気象変動に対応した水管理 幼穂形成期に入ったら間断かん水 出穂期から開花期にかけては湛水管理 その後は間断 かん水が水管理の基本になりますが 気象変動に対応した水管理を心がけましょう 1 減数分裂期の低温 減数分裂期 ( 葉耳間長 ±0cm 出穂期

コシヒカリの上手な施肥

麦 類 生 育 情 報

水稲いもち病当面の対策                   

レイアウト 1

主要産地における平成 29 年産水稲の収穫量及び作柄概況等について第 1 報 (8 月 31 日現在 ) 全国 道府県 全国 予想収穫量 (29 年 8 月 15 日現在 )1 収穫量 ( 早期栽培等 ) 予想収穫量 (28 年 8 月 15 日現在 )2 前年産との比較 (1-2) 作況 ( 早期

山形県における 水稲直播栽培の実施状況 平成 28 年 8 月 26 日 ( 金 ) 山形県農業総合研究センター 1 1 山形県における水稲直播栽培の現状 1 (ha) 2,500 2,000 1,500 1, 乾田直播 湛水 ( 点播 ) 湛水 ( 条播 ) 湛水 ( 散播 )

目次 1. やまだわら の特性 _ 1 収量特性 1 2 品質 炊飯米特性 2 3 用途別適性 3 2. 生育の特徴 4 3. 収量 品質の目標 5 4. 各地域での主な作付スケジュール 6 5. 栽植密度 7 6. 肥培管理 1 施肥量 施肥時期 8 2 生育診断 9 7. 収穫適期

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北病防第 平成 23 年 142 号 2 月 18 日 関係総合振興局産業振興部長 関係振興局産業振興部長 様 様 技術普及課長 病害虫防除所長 水稲いもち病防除の徹底について 水稲の重要病害であるいもち病は 平成 20 年以降 3 年連続して多発生し 平成 22 年の 葉いもち と 穂いもち の発

平成 27 年 4 月 10 日 ( 第 1 号 ) 東北地方 1 ヶ月予報 ( 平成 26 年 4 月 9 日仙台管区気象台発表 ) 天気は数日の周期で変わりますが 平年に比べ晴れの日が多いでしょう 平均気温は 平年並及び平年より高い確率が 40% 降水量が高い確率が 50% 日照時間は 平年並ま

圃場試験場所 : 県農業研究センター 作物残留試験 ( C-N ) 圃場試験明細書 1/6 圃場試験明細書 1. 分析対象物質 およびその代謝物 2. 被験物質 (1) 名称 液剤 (2) 有効成分名および含有率 :10% (3) ロット番号 ABC 試験作物名オクラ品種名アーリーファ

予報 岡病防第16号

・施肥

2 穂の発育過程 (1) 穂の形態 イネの穂は 穂軸が枝分かれして し 1 次枝こう 2 次枝こうがつき それ にえい 花 ( 小穂 ) がつく 1 つのえい花 ( 小穂 ) は 1 花から成 っており その数は 1 次枝こうの先に 5~6 個 2 次枝こうに 2~4 個つき 1 穂全体では 80

元高虫防第 139 号令和元年 7 月 4 日 各関係機関長様 高知県病害虫防除所長 病害虫発生予察情報について 令和元年度病害虫発生予察 6 月月報及び令和元年度予報 4 号 (7 月 ) を送付します 令和元年度病害虫発生予察 6 月月報 Ⅰ. 気象概況半旬 (6 月 ) 平均気温最高気温最低気

展示圃要領1

図 2 水稲栽培における除草剤処理体系 追肥による充実不足 白粒対策 ~ 生育後半まで肥切れさせない肥培管理 ~ 図 3 追肥作業は 水稲生育中 後期の葉色を維持し 籾数及び収量の確保と玄米品質の維持に重要な技術です しかし 高齢化や水田の大区画化に伴い 作業負担が大きくなり 追肥作業が困難になりつ

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北海道の米づくり 2011年版

H26用改訂原稿

窒素吸収量 (kg/10a) 目標窒素吸収量 土壌由来窒素吸収量 肥料由来 0 5/15 5/30 6/14 6/29 7/14 7/29 8/13 8/28 9/12 9/ 生育時期 ( 月日 ) 図 -1 あきたこまちの目標収量確保するための理想的窒素吸収パターン (

Ⅰ 収穫量及び作柄概況 - 7 -

平成16年度農作物有害動植物発生予察情報

スライド 1

資料6 (気象庁提出資料)

付図・表

平成 26 年度補正予算 :200 億円 1

試験中 試験中 試験中 12 月下旬 試験中 試験中 試験中 12 月下旬 試験中 試験中 試験中 1 月中旬 試験中 試験中 試験終了 12 月中旬 試験中 試験中 試験中 1 月上旬 試験中 試験中 試験中 1

病害虫発生予察情報(11月予報)

平成16年度農作物有害動植物発生予察情報

取組の詳細 作期の異なる品種導入による作期分散 記載例 品種名や収穫時期等について 26 年度に比べ作期が分散することが確認できるよう記載 主食用米について 新たに導入する品種 継続使用する品種全てを記載 26 年度と 27 年度の品種ごとの作付面積を記載し 下に合計作付面積を記載 ( 行が足りない

「そらゆき」栽培マニュアル

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p1_10月月報用グラフ

平成19年度事業計画書

Microsoft Word - 平成25年GP01号.doc

目次 重要度の表記

総籾数 ( 千 / m2 ) 1 穂籾数 ( 粒 / 穂 ) わら重 (kg/a) 精籾重 (kg/a) 柴田ほか : 水稲新品種 ゆめおばこ の栽培特性 (2) 結果 ゆめおばこ と あきたこまち を比較すると ゆめおばこ は あきたこまち より全重 わら 重 精籾重 玄米重が多く 玄米千粒重が大

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機関名 ( 地独 ) 北海道立総合研究機構農業研究本部 部署名 企画調整部企画課 記入者氏名 山崎敬之 電話番号 レーザー式生育センサを活用した秋まき小麦に対する可変追肥技術 レーザー式の生育センサを使って秋まき小

(c) (d) (e) 図 及び付表地域別の平均気温の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフが現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 夏 (6~8 月 ) (d): 秋 (9~1

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1. 気温と産業の関係 2. 気温と販売数の関係の分析 過去の気温データをダウンロードする 時系列グラフを描く 気温と販売の関係を調べる 散布図を描く 定量的な関係を求める 気温から販売数を推定する 2 週間先の気温予測を取得し 活用する 気温以外の要素の影響 3. 予報精度 過去の 1 か月予報

Microsoft Word 予報第9号

スプレーストック採花時期 採花物調査の結果を表 2 に示した スプレーストックは主軸だけでなく 主軸の下部から発生する側枝も採花できるため 主軸と側枝を分けて調査を行った 主軸と側枝では 側枝の方が先に採花が始まった 側枝について 1 区は春彼岸前に採花が終了した 3 区 4 区は春彼岸の期間中に採

リンゴ黒星病、うどんこ病防除にサルバトーレME、フルーツセイバーが有効である

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委託試験成績 ( 平成 25 年度 ) 担当機関名 部 室名 実施期間 大課題名 課題名 目的 担当者名 山口県農林総合技術センター 農業技術部土地利用作物研究室 資源循環研究室 平成 24~26 年度 Ⅰ 大規模水田営農を支える省力 低コスト技術の確立 うね立て同時条施肥機を利用した被覆尿素の深層


作物ごとの対策については 以下のとおりです 水稲 水稲に対する日照不足の影響で最も懸念されることはいもち病の発病であり 出穂期以降では登熟障害 いわゆる白未熟の発生が懸念される また 大雨により河川の水位が高くなり 排水路の水が河川に放流できずに冠水被害をもたらすことがある これらを考慮して健全な生

5月の病害虫発生予想と防除のポイント

) 浸種 (1) 発芽には 積算温度で1 以上が必要 浸種期間は1 日間 水温は15 程度を必ず確保する 水温確保のため 屋外での浸種はしない (2) 籾は網袋に 分目までとする () 水量は種子重量の2 倍以上とし 水を循環させるか 2~ 日に1 度水を入れ替える 4) 催芽 催芽ムラのないよう注

資料 2 農業データ連携基盤の構築について 農業データ連携基盤 (WAGRI) WAGRI とは 農業データプラットフォームが 様々なデータやサービスを連環させる 輪 となり 様々なコミュニティのさらなる調和を促す 和 となることで 農業分野にイノベーションを引き起こすことへの期待から生まれた造語

資料報告

附則この要領は 平成 4 年 1 月 16 日より施行する この要領は 平成 12 年 4 月 3 日より施行する この要領は 平成 30 年 4 月 1 日より施行する 2

わかっていること トマトすすかび病について

温度 平成 23 年平均平成 23 年最高平成 23 年最低平均気温 ( 平年値 ) 最高気温 ( 平年値 ) 最低気温 ( 平年値 ) 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 図 1 生育期間中の気温推移 ( 淡路農技内 ) 降水 3 量

Ⅰ 基本方針と重点推進事項 1 基本方針本県が消費者や実需者から選ばれる米産地となるよう 生産者 農業団体 行政が 課題や対応方向 目標を共有化し 販売を起点とした米づくりに取り組むための指針である 秋田米生産 販売戦略 を策定した 農地のほとんどを水田が占める本県においては 主食用米を中心に 加工

20 石川県農業総合研究センター研究報告第 28 号 (2008) Ⅰ はじめに家畜ふん尿処理施設では 収集 運搬された家畜ふん尿は固液分離機に搬入され 固形分は堆肥化処理後 農耕地へ還元利用されている 液状分は好気発酵処理 さらに生物処理等の工程の順に適切な浄化処理が行われ その後 放流されている

Taro-H27.4月の技術対策

あら

2016 岩船米農作業カレンダー いよいよデビュー! 晩生新品種 新之助 昨年命名された 新之助 は 平成 28 年に県内で約 100ha 栽培される予定です 岩船地域では 2JA を含む 4 つの 新之助 栽培研究会 で栽培が行われます 稲株 玄米 新之助 の特徴 1 粒が大きく コクと甘さに特徴

H26 中予地方局産業振興課普及だより 新技術情報 -1 いちご新品種 紅い雫 ( あかいしずく ) 1. 紅い雫 の来歴県農林水産研究所が育成したいちご新品種 紅い雫 は あまおとめ ( 母親 ) 紅ほっぺ ( 父親 ) の交配により誕生し 平成 26 年 6 月 25 日に品種登録出願されました

令和元年度 (2019 年度 ) 病害虫発生予察情報第 5 号 6 月予報北海道病害虫防除所令和元年 (2019 年 )5 月 29 日 Tel:0123(89)2080 Fax:0123(89)2082 季節予報 ( 付記 )

1 はじめに北海道の麦作には 二つの大きな目標があった 一つは 秋まき小麦の全道平均反収を一〇俵の大台に乗せること もう一つは E U 並みの反収一トンどりをめざすことである この数字は 決して夢のような話ではなかった 麦作農家のなかには 圃場の一部ではあるが一トンどりを実現したとの声があったし 実

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調査研究課題:○○▽▽の調査研究

一太郎 12/11/10/9/8 文書

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平成22年度農作物有害動植物発生予察情報

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水稲調査結果の主な利活用 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律 ( 平成 6 年法律第 113 号 ) に基づき毎年定めることとされている米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針及び米穀の需給見通しのための資料 食料 農業 農村基本計画における生産努力目標の策定及び達成状況検証のための資料 米

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AI IoTを活用したスマート農業の加速化 人手不足への対応や生産性の向上を進めるためには ICTを活用したスマート農業の推進が重要 今後人工知能やIoT等の先進技術により 生産現場のみならずサプライチェーン全体にイノ ベーションを起こし 生産性向上や新たな価値創出を推進 1

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今後の管理のポイント [懸案事項] ①早期作型における2番花 房の花芽分化遅延 ②炭そ病とハダニ類の発生 拡大 [対策] ①寒冷紗を被覆して 花芽分化を誘導する 2番花房 の花芽分化を確認して被覆を除去する 被覆期間の目安 9月25 10月20日 ②定期的に薬剤による防除を行う 特に葉かぎ後の 葉か

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月中旬以降の天候によって塊茎腐敗による被害が増加する事例も多い 平成 28 年度は疫病の発生面積率は19.9% と例年に比べてやや少なかったものの 塊茎腐敗の発生面積率は 14.8% と例年に比べてやや多かったとされる ( 平成 現在 北海道病害虫防除所調べ ) かつては 疫病には

みどり の輪 7 No. 永平寺町農業協同組合 2017 月号 191 ~ 五領たまねぎの収穫風景 ~

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第 41 巻 21 号 大分県農業気象速報令和元年 7 月下旬 大分県大分地方気象台令和元年 8 月 1 日

宮城県 競争力のある大規模土地利用型経営体の育成 活動期間 : 平成 27~29 年度 ( 継続中 ) 1. 取組の背景震災により多くの生産基盤が失われ, それに起因する離農や全体的な担い手の減少, 高齢化の進行による生産力の低下が懸念されており, 持続可能な農業生産の展開を可能にする 地域営農シス

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11月表紙

本文、発送文

2018 年 12 月の天候 ( 福島県 ) 月の特徴 4 日の最高気温が記録的に高い 下旬後半の会津と中通り北部の大雪 平成 31 年 1 月 8 日福島地方気象台 1 天候経過 概況この期間 会津では低気圧や寒気の影響で曇りや雪または雨の日が多かった 中通りと浜通りでは天気は数日の周期で変わった


炭疽病並並やや少 (-) やや多 ~ 並 降水並 ~ 少 (-) 8 月降水量多 チャ カンザワハダニ並並並 やや多 ~ 少 気温並 茶研予察ほ降水並 ~ 少少 (-) クワシロカイガラムシ 並並やや少 (-) 並 ~ やや少 気温並 降水並 ~ 少 カンキツ 黒点病並やや多少 (-) ミカンハダニ

Taro-農業被害の概要

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管内でいもち病の発生が確認されています低温 日照不足によりいもち病の発生が懸念されます 水面施用剤による予防と病斑発見時の茎葉散布による防除を行いましょう 1. 気象概況 仙台稲作情報 2019( 第 5 号 ) 宮城県仙台農業改良普及センター TEL:022-275-8410 FAX:022-275-0296 http://www.pref.miyagi.jp/sd-nokai E-mail:sdnokai@pref.miyagi.lg.jp 表 1 旬 ( 月 ) 別の気象データ 平均気温 ( ) 全天日射量 (MJ/ m2 ) 本年 平年差 本年 平年比 5 月上旬 16.2 2.2 24.5 141% 中旬 15.7 1 23.5 144% 下旬 20.2 4.1 23 128% 6 月上旬 18.9 1.3 20.2 116% 中旬 18.3-0.2 16.7 110% 下旬 19.8 0.5 12.4 95% 7 月上旬 20.1-0.5 11.7 89% 中旬 20.7-1.3 10.6 82% 全天日射量 : 放射エネルギーの量 7 月上旬, 中旬ともに, 平均気温, 全天日射量が平年を下回りました ( 表 1) 気温は回復していく見込みで,7 月 30 日にかけて平年並みの見込みです ( 図 1) 6 月 28 日頃から日照時間の少ない状態が続いていましたが, 今後 1 ヶ月程度は平年並か少ない見込みです ( 図 2) 図 1 2 週間気温予報 ( 気象庁,7 月 18 日更新 ) 図 2 1 ヶ月予報 ( 気象庁,7 月 18 日更新 ) < 予報の対象期間 > 1 か月 : 7 月 20 日 ( 土 )~ 8 月 19 日 ( 月 ) 1

2. 生育状況 ひとめぼれ 草丈は前年より低く, 茎数は前年並み, 葉数は前年よりも遅れており, 葉色は前年より濃い です ( 表 2) 幼穂長は 27.1mm で減数分裂期 7/20, 出穂期 8/2 と予想されます ササニシキ 草丈は前年より低く, 茎数は前年より多く, 葉数は前年より進んでおり, 葉色は前年より濃 いです ( 表 2) 幼穂長は 13.2mm で減数分裂期 7/22, 出穂期 8/4 と予想されます だて正夢 草丈は前年より低く, 茎数は前年より多く, 葉数は前年よりやや進んでおり, 葉色は前 年より濃いです ( 表 3) 幼穂長は 3.1mm で減数分裂期 7/27, 出穂期 8/8 と予想されます 表 2 主要品種生育調査結果 (7 月 19 日現在移植栽培 ) 品種 地帯 場所 草丈 (cm) 茎数 ( 本 / m2 ) 葉数 ( 枚 ) 葉色 (GM) 幼穂長 (mm) 本年前年比本年前年比本年前年差本年前年差本年前年差 仙台湾沿岸仙台市宮城野区 63.9 84 390 91 11.5-0.4 42.7 7.9 11.9-29.7 ひとめぼれ北部平坦 大郷町鶉崎 63.5-515 - 11.3-37.2-15.6-45.9 西武丘陵 仙台市泉区 67.5 85 504 98 12.5 0.1 40.7 6.5 53.9 17.1 ひとめぼれ管内平均 65.0 83 470 105 11.8-0.4 40.2 5.5 27.1-19.5 北部平坦大和町鶴巣 67.9 88 658 136 11.5-0.4 38.2 3.1 14.2-29.3 ササニシキ仙台湾沿岸仙台市若林区 65.7 82 418 93 12.5 0.1 40.8 3.5 12.1-70.3 ササニシキ管内平均 66.8 85 538 115 12.0-0.2 39.5 3.3 13.2-49.8 - はH30 年からの調査ほ場変更により, 前年値がない箇所 表 3 だて正夢生育調査結果 (7 月 19 日現在移植栽培 ) 草丈 (cm) 茎数 ( 本 / m2 ) 葉数 ( 枚 ) 葉色 (GM) 幼穂長 (mm) 品種地帯場所本年前年比本年前年比本年前年差本年前年差本年前年差北部平坦大郷町土橋 69.6 87 410 125 12.0-0.2 39.5 3.3 3.1 1.7 だて正夢仙台湾沿岸仙台市若林区 63.5-348 - 12.7-38.6-3.0 - だて正夢管内平均 66.6 83 379 116 12.4 0.2 39.1 2.9 3.1 1.7 - はH30 年からの調査ほ場変更により, 前年値がない箇所 仙台湾沿岸のだて正夢の調査結果は7/18 調査によるもの 下表は各地域の生育ステージの予測で, 今後の気温が平年並みで推移した場合の予測値です 表 4 地帯区分における生育ステージの予測 2

3. 今後の管理 低温時の水管理 幼穂形成期から出穂開花期にかけて低温に遭遇すると, 一穂籾数の減少や障害不稔, 玄米の千粒重低下により収量が低下します 特に耐冷性が 弱 である ササニシキ などの水管理に注意を払って下さい 障害不稔を発生させる温度条件は, 最低気温 17 以下 または 日平均気温 20 以下 が数日続くような場合といわれています 幼穂形成期 ( 出穂 20~25 日前 ) から減数分裂期 ( 出穂 10~15 日前 ) までの低温時には, 水深 10cm 程度に湛水して下さい ( 前歴深水 ) この前歴深水と減数分裂期の深水管理を組み合わせると被害軽減効果が大きくなります 減数分裂期の低温時の深水管理では,17~20cm の水深が必要となります この水深が確保できない場合でも, 無風状態であれば, 水面上の気温は 1~2 高くなることから, 可能な限り深水に努めることで被害を軽減することができます 追肥判断 葉色は昨年と同様にピークが遅れているものの, 今後は低下することが見込まれていま す 穂揃期の葉色 ( 期待値 ) を維持させるために, 追肥について判断が必要となります ほ場により生育が異なるので, 表 5を参考に幼穂長による生育ステージの確認を必ず行 い, 追肥時期を判断しましょう なお, 葉色の期待値を上回る場合の追肥は不要です 追肥後一時的に稲体窒素濃度が高くなると, いもち病に対する抵抗力が弱くなるので注意 が必要です 基肥に穂肥の時期まで肥効のある緩効性肥料を施用した場合または復元田の場合は, 倒伏 する恐れがあるため, 原則として追肥は行いません 表 5 幼穂形成期及び減数分裂期の葉色の期待値と施肥量の目安 幼穂形成期 ( 幼穂長 1~2mm) 減数分裂期 ( 幼穂長 30~120mm) GM 葉緑素計の 施肥量 ( 窒素成分量 ) GM 葉緑素計の 施肥量 ( 窒素成分量 ) 品種名 葉色の期待値 (kg/10a) 葉色の期待値 (kg/10a) だて正夢 39~43 0( 生育量不足の場合 1) 35~39 2( 幼形期に追肥した場合 1) ひとめぼれ 38~40 1 35~37 1 ササニシキ 34~36 32~34 1~1.5 金のいぶき 33~35 1 30~32 1 つや姫 35~37 2 31~33 まなむすめ 35~37 2 36~38 だて正夢は葉色が濃い品種です ( 表 5 参照 ) 周辺ほ場に比べ葉色が濃くなり, 追肥を抑えられがちですが, 穂揃期の葉色維持のため, 期待葉色に応じた適正な追肥を実施しましょう また, 生育量を目安とした追肥判 断についても以下に記載します 生育量を目安とした だて正夢 の追肥判断について < 減数分裂期の追肥判断 > ウ生育量が目安内にあるか目安に満たない 1 幼穂形成期追肥を行っていない 窒素成分で 2kg/10a を追肥 2 幼穂形成期追肥を行っている 窒素成分で 1kg/10a を追肥エ生育量が目安を超過している 追肥しないオ倒伏診断指標 ( 表 6) も参考にする 減数分裂期 ( 幼穂長 :30~120mm) 草丈 (cm) 茎数 ( 本 / m2 ) 葉色 (GM 値 ) 生育量の目安 - 410~450 35~39 3

< 幼穂形成期 > 表 6 だて正夢 の倒伏判断指標 < 減数分裂期 > 茎数 草丈 葉緑素計値 (SPAD-502Plus) 茎数 草丈 葉緑素計値 (SPAD-502Plus) ( 本 / m2 ) (cm) 38 40 42 44 46 48 ( 本 / m2 ) (cm) 38 40 42 44 46 48 400 50 7.6 8.0 8.4 8.8 9.2 9.6 400 50 7.6 8.0 8.4 8.8 9.2 9.6 400 55 8.4 8.8 9.2 9.7 10.1 10.6 400 55 8.4 8.8 9.2 9.7 10.1 10.6 400 60 9.1 9.6 10.1 10.6 11.0 11.5 400 60 9.1 9.6 10.1 10.6 11.0 11.5 400 65 9.9 10.4 10.9 11.4 12.0 12.5 400 65 9.9 10.4 10.9 11.4 12.0 12.5 400 70 10.6 11.2 11.8 12.3 12.9 13.4 400 70 10.6 11.2 11.8 12.3 12.9 13.4 400 75 11.4 12.0 12.6 13.2 13.8 14.4 400 75 11.4 12.0 12.6 13.2 13.8 14.4 400 80 12.2 12.8 13.4 14.1 14.7 15.4 400 80 12.2 12.8 13.4 14.1 14.7 15.4 400 85 12.9 13.6 14.3 15.0 15.6 16.3 400 85 12.9 13.6 14.3 15.0 15.6 16.3 500 50 9.5 10.0 10.5 11.0 11.5 12.0 500 50 9.5 10.0 10.5 11.0 11.5 12.0 500 55 10.5 11.0 11.6 12.1 12.7 13.2 500 55 10.5 11.0 11.6 12.1 12.7 13.2 500 60 11.4 12.0 12.6 13.2 13.8 14.4 500 60 11.4 12.0 12.6 13.2 13.8 14.4 500 65 12.4 13.0 13.7 14.3 15.0 15.6 500 65 12.4 13.0 13.7 14.3 15.0 15.6 500 70 13.3 14.0 14.7 15.4 16.1 16.8 500 70 13.3 14.0 14.7 15.4 16.1 16.8 500 75 14.3 15.0 15.8 16.5 17.3 18.0 500 75 14.3 15.0 15.8 16.5 17.3 18.0 500 80 15.2 16.0 16.8 17.6 18.4 19.2 500 80 15.2 16.0 16.8 17.6 18.4 19.2 500 85 16.2 17.0 17.9 18.7 19.6 20.4 500 85 16.2 17.0 17.9 18.7 19.6 20.4 注 ) 茎数, 草丈, および葉緑素計値以外の数値は生育量 ( 草丈 茎数 葉緑素計値 100,000) を示す 生育量が幼穂形成期 10.4~12.1, 減数分裂期 12.2~13.3( 灰色セル ) は 25~50%, 幼穂形成期 12.2 以上, 減数分裂期 13.4 以上 ( 濃灰色セル ) は 50% 以上の確率で立毛角度が 40 を下回る程度に倒伏し, 品質が低下する 病害虫防除 ( いもち病の発生に注意 ) いもち病対策 仙台西部地域で, いもち病の進行型病斑の発生が確認されています 日照不足の影響で葉色が濃い状態が続いております 葉色が高い, すなわち 稲体窒素含量 が高く, いもち病に感染しやすい状態であると言えます 復元田や多肥条件, 抵抗性の弱い品種を栽培するほ場では, 特に注意が必要です アメダス資料による感染好適日の推定では,6 月 30 日,7 月 1,15,17 日に感染好適条件が広域的かつ断続的に出現しています 箱施用剤や予防粒剤の効果が低下している時期です 水面施用剤による予防防除を行い, 上の写真を参考にほ場を見回り, 葉いもちの発生が確認された場合は, 直ちに茎葉散布剤で防除しましょう 特に, 穂いもちの重要な伝染源となる上位葉でのいもちの発生には十分注意しましょう 穂いもちの予防粒剤は出穂 30~5 日前に使用する剤が多いので, 生育状況 ( 幼穂長等 ) の観察や出穂期の予測に基づき, 適期に散布しましょう 粉剤や液剤などの茎葉散布剤による穂いもちの防除は 1 回目の防除を出穂直前に 2 回目を穂揃期に行い, 葉いもちの発生が多く 穂いもちの多発する恐れがある場合や出穂期間が長引く場合には 3 回目を穂揃期の 7~10 日後に実施しましょう 4

斑点米カメムシ類対策水田周辺の草刈り ( 出穂 10 日前まで ) 水田畦畔の草刈りは, 出穂期前後に行うと水田内に斑点米カメムシを追い込むので, 水稲の出穂 10 日前までに終えてください 薬剤防除 ( 出穂期以降 ) 薬剤防除は, 穂揃期とその7~10 日後の2 回防除が基本でアカスジカスミカメ成虫す イヌホタルイ, ノビエ等が発生した水田で除草ができなかった場合は,1 回目の薬剤散布時期を 出穂始から穂揃期 に早めることで, 斑点米カメムシ類の密度を低下させ被害を軽減できます 草刈りや薬剤散布は広域的に実施すると効果が高いため, 地域一斉の防除に努めましょう 紋枯病対策前年の発生量が平年並であったことから, 伝染源量は平年並と推測されます 病害虫防除所の巡回調査では, 発生地点率及び発病株率は平年並でした 定点調査ほでは, 初発が 7 月 10 日に確認されており, その後の上位葉鞘への病斑進展も平年並です 高温多湿が発生に好適です 発生動向に注意し, 穂ばらみ期から穂揃期に防除を実施しましょう 要防除水準 (5% 以上減収 ): 出穂直前 ( 穂ばらみ期 ) の発病株率ひとめぼれ 18%, ササニシキ 10% に達し場合は, 防除を実施しましょう 稲こうじ病対策前年の発生が平年並であったことから, 伝染源量は平年並と推測されます 穂ばらみ期が低温で, 降雨日数の多いことが発生に好適です 防除は出穂 20~10 日前に実施しましょう 5