振子車両の地点検出と 車体傾斜システムの開発

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日本海溝海底地震津波観測網の整備と緊急津波速報 ( 仮称 ) システムの現状と将来像 < 日本海溝海底地震津波観測網の整備 > 地震情報 津波情報 その他 ( 研究活動に必要な情報等 ) 海底観測網の整備及び活用の現状 陸域と比べ海域の観測点 ( 地震計 ) は少ない ( 陸上 : 1378 点海域

東北地方太平洋沖地震への 気象庁の対応について ( 報告 ) 気象業務の評価に関する懇談会 平成 23 年 5 月 31 日 気象庁 1

背景 現状と問題点 背景緊急地震速報の高度利用者向け先行提供開始から 8 年 一般提供開始及び警報化から 7 年が経過し 情報伝達手段をはじめ社会環境が変化している 緊急地震速報 ( 予報 ) は 導入当初 機器 設備等の制御等への活用に大きな期待が寄せられた 緊急地震速報 ( 警報 ) の認知度は

Microsoft Word SDR

津波情報に活用する観測地点の追加について 別紙 津波情報への活用を開始する海底津波計の分布図 活用を開始する海底津波計沿岸の津波観測点 GPS 波浪計海底津波計 活用を開始する海底津波計の地点名称は 沖 を省略して記載しています ( 宮城牡鹿沖 及び 茨城神栖沖 を除く)

地震の概要 検知時刻 : 1 月 3 日 18 時分 10 発生時刻 : 1 月 3 日 18 時 10 分 マグニチュード: 5.1( 暫定値 ; 速報値 5.0から更新 ) 場所および深さ: 熊本県熊本地方 深さ10km( 暫定値 ) 発震機構 : 南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型 ( 速報

2018 年の山形県とその周辺の地震活動 1. 地震活動の概況 2018 年に 山形県とその周辺 ( 図 1の範囲内 ) で観測した地震は 2,250 回 (2017 年 :2,447 回 ) であった 山形県内で震度 1 以上を観測した地震は 図の範囲外で発生した地震を含めて 47 回 (2017

8km M km M M8.4 1M M M 東北地方太平洋沖で想定されていた地震 Fig % 8 9% M8. 6 3m M % Fig.1 Distribution of

平成 30 年 4 月 9 日 01 時 32 分頃の島根県西部の地震 震度分布図 各地域の震度分布 : 震央 各観測点の震度分布図 ( 震央近傍を拡大 )

2019 年1月3日熊本県熊本地方の地震の評価(平成31年2月12日公表)

平成28年4月 地震・火山月報(防災編)

図 年 [ 高度利用者向け ] 半月ごとの緊急地震速報発報回数 東北地方太平洋沖地震からほぼ単調に減少していた緊急地震速報の発報回数は 2015 年のほぼ安定した発報回数分布が 2016 年は急増しました 熊本地震直後では半月で最大 158 回 福島県沖の地震の後には 98 回となり

佐賀県の地震活動概況 (2018 年 12 月 ) ( 1 / 10) 平成 31 年 1 月 15 日佐賀地方気象台 12 月の地震活動概況 12 月に佐賀県内で震度 1 以上を観測した地震は1 回でした (11 月はなし ) 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 図 1 震央分布図 (2018 年 1

セキュリティ対応 :O p e n, W E P, W P A ( P e r s o n a l ), WPA2(Personal), Mixed WPA-WPA2(Personal) Open,WEPは推奨いたしません 2. 通信速度 サービスの安定性を確保するため 接続するインターネット回線の

この資料は速報値であり 後日の調査で変更されることがあります 時間帯 最大震度別回数 震度 1 以上を観測した回数 弱 5 強 6 弱 6 強 7 回数 累計 4/14 21 時 -24 時 /15 00 時 -24 時 30

改正履歴 平成 23 年 4 月 22 日 平成 25 年 8 月 2 日 平成 26 年 6 月 19 日 平成 30 年 6 月 25 日 策定一部改正一部追記一部改正

宮城県総合防災情報システム(MIDORI)

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本ワーキンググループにおけるこれまでの検討事項

(/9) 07 年に発生した地震の概要. 佐賀県の地震活動 07 年に佐賀県で震度 以上を観測した地震は 9 回 (06 年は 85 回 ) でした ( 表 図 3) このうち 震度 3 以上を観測した地震はありませんでした (06 年は 9 回 ) 表 07 年に佐賀県内で震度 以上を観測した地震

1. 適切な利用のために端末利用者に推奨する事項 (1) 気象庁が緊急地震速報 ( 予報 ) を発表してから端末が報知または制御を開始するまでに要する時間がトータルで 1 秒以内のもの 1 秒以内に行える配信 許可事業者を推奨 回線障害が無い限り 全接続端末に対し 1 秒以内で配信しています ( 実

平成 28 年 4 月 16 日 01 時 25 分頃の熊本県熊本地方の地震 震度分布図 各地域の震度分布 : 震央 各観測点の震度分布図 ( 震央近傍を拡大 )

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なまずきん Desktop の概要 なまずきん Desktop は 気象庁より発表される緊急地震速報を OCN の IPv6 マルチキャストで再配信 ( OCN 緊急地震速報 ) し 地震波到達前にインターネットに接続されたPC 上で地震の発生をお知らせするアプリケーションです 初期微動 主要動の到

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火山活動解説資料 ( 令和元年 5 月 ) 栗駒山の火山活動解説資料 ( 令和元年 5 月 ) 仙台管区気象台地域火山監視 警報センター 火山活動に特段の変化はなく 静穏に経過しており 噴火の兆候は認められません 30 日の噴火警戒レベル運用開始に伴い 噴火予報 ( 噴火警戒レベル 1 活火山である

報道発表 平成 30 年 9 月 6 日 05 時 10 分地震火山部 平成 30 年 9 月 6 日 03 時 08 分頃の胆振地方中東部の地震について 地震の概要検知時刻 : 9 月 6 日 03 時 08 分 ( 最初に地震を検知した時刻 ) 発生時刻 : 9 月 6 日 03 時 07 分

平成 30 年 6 月 18 日 07 時 58 分頃の大阪府北部の地震 震度分布図 各地域の震度分布 : 震央 各観測点の震度分布図 ( 震央近傍を拡大 )

布 ) の提供を開始するとともに 国民に対し分かりやすい説明を行い普及に努めること 図った 複数地震の同時発生時においても緊急地震速報の精度を維持するための手法を導入するとともに 緊急地震速報の迅速化を進める 特に 日本海溝沿いで発生する地震については 緊急地震速報 ( 予報 ) の第 1 報を発表

概論 : 人工の爆発と自然地震の違い ~ 波形の違いを調べる前に ~ 人為起源の爆発が起こり得ない場所がある 震源決定の結果から 人為起源の爆発ではない事象が ある程度ふるい分けられる 1 深い場所 ( 深さ約 2km 以上での爆発は困難 ) 2 海底下 ( 海底下での爆発は技術的に困難 ) 海中や

資料 総29-(5) JR東日本における新幹線早期地震検知システムの現状と課題

プレス発表資料 平成 27 年 3 月 10 日独立行政法人防災科学技術研究所 インドネシア フィリピン チリにおけるリアルタイム 津波予測システムを公開 独立行政法人防災科学技術研究所 ( 理事長 : 岡田義光 以下 防災科研 ) は インドネシア フィリピン チリにおけるリアルタイム地震パラメー

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平成23年東北地方太平洋沖地震の概要について

アジェンダ 1. レキオスソフトのご紹介 2. 沖縄の産業と気象データの利活用 3. 具体的な気象データの利活用モデル

新潟県中越沖地震を踏まえた地下構造特性調査結果および駿河湾の地震で敷地内の揺れに違いが生じた要因の分析状況について

輸早期地震防災システム 事業推進部 ( 地震防災システム ) 公益財団法人鉄道総合技術研究所事業推進部 ( 地震防災システム ) 地震発生時にリアルタイムで運転規制範囲を判断 鉄道では 安全確保のため地震発生時には速やかに運転を規制することが重要です 鉄道総研では 地震発生時にリアルタイムで運転規制

日向灘 佐伯市で震度 2 を観測 8 日 08 時 33 分に日向灘で発生した M3.9 の地震 ( 深さ 31km) により 佐伯市 愛媛県西予市 高知県宿毛市などで震度 2 を観測したほか 大分県 宮崎県 愛媛県および高知県で震度 1 を観測しました ( 図 1) 今回の地震の震源付近 ( 図

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ご使用にあたってのお願い 緊急地震速報とは 地震の発生直後に 震源に近い地震計でとらえた観測データを解析して 震源や地震の規模 ( マグニチュード ) を直ちに推定し これに基づいて各地での主要動の到達時刻や震度を推定し 可能な限りすばやく知らせる情報です 緊急地震速報は技術的限界があり 十分に理解

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大震災の時のような大都市ではなかったことが大きいと考えられる 地震発生時刻は夕食の準備をしている可能性の高い時間帯であったが 比較的火災も少なく済んでいる この地震でクローズアップされたのは震災関連死 というものであった 内閣府の防災情報に掲載されている死者の死因を見てみると 地震による家屋の倒壊な

その一方で 防災行政無線の聞き取り状況の調 査では 図 3に示すように20% の人が放送内容を聞き取れなかったと答えており 今後の改善 もしくは代替え手段の充実の必要性を示唆している なお 情報の入手先としてテレビの割合が低いのは地震による停電 ( 岩手県 宮城県では95% 以上が停電 ) が原因と

プレス発表資料 平成 29 年 12 月 4 日国立研究開発法人防災科学技術研究所 強震モニタアプリ ベータテストのため 先着 3,000 名のモニターを募集 国立研究開発法人防災科学技術研究所 ( 略称 : 防災科研 理事長 : 林春男 ) は これまで防災科研が公開してきた 強震モニタ 1 のス

(3) 設備復旧対策事例 ~ 基地局及びエントランス回線通信事業者各社で取り組んだ主な基地局あるいはネットワーク設備復旧対策としては 光ファイバー 衛星回線 無線 ( マイクロ ) 回線の活用による伝送路の復旧や 山頂などへの大ゾーン方式 ( 複数の基地局によるサービスエリアを1つの大きなゾーンとし

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令和元年6月 地震・火山月報(防災編)

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過去に官邸対策室を設置した事例 2 平成 18 年 7 月 5 日 北朝鮮による飛翔体発射事案に関する官邸対策室設置北朝鮮による弾道ミサイル発射事案に関する官邸対策室に名称変更 10 月 9 日 北朝鮮による核実験実施情報に関する官邸対策室設置 平成 19 年 3 月 25 日 石川県能登を中心とす

平成30年基幹放送局の再免許の実施

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概要 : Raspberrypi を使用した本装置 TinySavior EQ はインターネットに繋がる環境に接続する事で緊急地震速報を受信し装置が設置された場所への予測震度 / 猶予秒数を TinySavior EQ が計算し通知します また 予測震度 / 猶予秒数のアナウンス後 NHK ネットラ

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Microsoft PowerPoint - 参考資料 各種情報掲載HPの情報共有

平成14年度仙台市地震被害想定調査報告書

「IP電話をはじめ各種電話サービスからの119番通報における発信位置情報通知システムに関する調査研究」の募集に関する公告

強震モニタリングシステム --防災科学技術研究所の例--

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177 箇所名 那珂市 -1 都道府県茨城県 市区町村那珂市 地区 瓜連, 鹿島 2/6 発生面積 中 地形分類自然堤防 氾濫平野 液状化発生履歴 なし 土地改変履歴 大正 4 年測量の地形図では 那珂川右岸の支流が直線化された以外は ほぼ現在の地形となっている 被害概要 瓜連では気象庁震度 6 強

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第3回TB分科会/資料2-5「臨時地震観測へのIoTキャラバンシステム適用の検討」

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Microsoft Word B-6既設ダム対応システム061211f.doc

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目次 1. 緊急地震速報とは 2 2. 一般国民への情報の提供 3 3. 予測される状況と対応の基本 3 4. 社団法人日本ショッピングセンター協会の対応 4 5. 緊急地震速報利活用マニュアル作成に当たって 5 1. 目的 5 2. 対象 5 3. システム概要 5 4. 速報の伝達基準及び伝達内

(3) 土砂災害土砂災害の想定は 急傾斜地崩壊危険箇所 地すべり危険箇所 山腹崩壊危険地区のうち 保全人家 ( 公共施設を含む ) を有し かつ 対策工事の実施されていない箇所などを対象に 各危険箇所などの耐震ランクと震度から危険度ランク (A B C) を判定した ここでいう危険度は 相対的なラン

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目 次 1. 想定する巨大地震 強震断層モデルと震度分布... 2 (1) 推計の考え方... 2 (2) 震度分布の推計結果 津波断層モデルと津波高 浸水域等... 8 (1) 推計の考え方... 8 (2) 津波高等の推計結果 時間差を持って地震が

11-1 最近の地震観測の精度 ~気象庁における地震観測業務~

防災情報のページ

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資料6 (気象庁提出資料)

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緊急地震速報 ( 警報 ) の 10 年をふり返り今後の課題と改善の方向を考える Looking Back on the Decade of the Earthquake Early Warning(Alarm)and Thinking about Future Tasks and Directio

2 本紙について 本紙は 通信回線の管理者等が脆弱性評価を行うにあたって 有用と考えられるポイントを 電気通信事業者の視点で取りまとめた参考資料である 大規模災害等が発生し 電気通信ネットワークがケーブル切断等により途絶した場合 電気通信事業者は電気通信事業法第 8 条の重要通信の規定に照らし 重要

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目次 概要 1. はじめに 2. 東北地方太平洋沖地震で明らかになった津波警報の課題 2.1 津波警報発表の経緯と津波警報第 1 報が過小な予測となった要因 (1) 今回の地震における津波警報発表経緯 (2) 実際に観測された津波に比べて過小な予測となった要因 (3) これまでの津波警報改善の経過と

<GK クルマの保険 ( 車両保険 )> ( 自動車によるあて逃げに限ります ) お客さまのおクルマは 車両保険 に加入していますか? 自動車保険の車両保険では 一般車両 もしくは 10 補償限定 のいずれでも 台風や集中豪雨による洪水の事故が対象となります 地震 噴火またはこれらによる津波 によっ

GPS 海洋ブイの概要 GPS 衛星 GPS 衛星 陸上局 ( 基準点 ) 基準点の測位 RTK-GPS 補正データ 観測データ 観測点の測位 GPS 海洋観測ブイ 20km RTK (Real Time Kinematic) 測位 数 cm オーダの測位精度 観測センター GPS 測位により 海面

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

あおぞら彩時記 2017 第 5 号今号の話題 トリオ : 地方勤務の先輩記者からの質問です 気象庁は今年度 (H 29 年度 )7 月 4 日から これまで発表していた土砂災害警戒判定メッシュ情報に加え 浸水害や洪水害の危険度の高まりが一目で分かる 危険度分布 の提供を開始したというのは本当ですか

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平成 30 年度需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業 (A 事業 ) 東京電力パワーグリッド株式会社関西電力株式会社 2019 年 3 月

図 東北地方太平洋沖地震以降の震源分布図 ( 福島第一 第二原子力発電所周辺 ) 図 3 東北地方太平洋沖地震前後の主ひずみ分布図 ( 福島第一 第二原子力発電所周辺 )


L アラート ( 災害情報共有システム ) の概要 1 情報発信 情報伝達 地域住民 市町村 災害時の避難勧告 指示 お知らせ等 収集 フォーマット変換 配信 テレビ事業者 システム接続 ケーブル地上波 デジタル TV データ放送など ( テキストで表示 ) 情報閲覧 入力 防災情報 お知らせ等 都

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CAE POWER 2011 セッション F 耐震 防災へのシミュレーション活用 鉄道における 地震防災システム開発の 現状と今後の展望 2011 年 10 月 4 日 ( 株 )ANET

本日の報告内容 1. 鉄道における早期地震防災システムの開発経緯 2. 鉄道における緊急地震速報の活用状況 3. 東北地方太平洋沖地震時の緊急地震速報 4. 緊急地震速報のさらなる活用促進に向けた展望

鉄道の地震防災 地震に対して乗客の安全を確保すること事前に 耐震性のチェック耐震設計 耐震補強 地震発生時に 列車運転制御 運転規制 地震警報システム 1995 年兵庫県南部地震による新幹線橋台の崩壊

鉄道の地震警報システムの研究開発経緯 1960 1970 1980 1990 2000 2010 1965~ 1982~ 1998~ 2004~ 制御用感震器 表示用地震計 コンパクトユレダス 早期警報用地震計 海岸線検知システム 1992~ ユレダス 2006~ 緊急地震速報 制御用感震器 変電所 対震ハット 早期警報用地震計

早期地震警報システムの開発経緯 年代 基礎研究 2000 2005 2010 鉄道総研 気象庁共同研究 (2000~2004) 早期地震諸元推定方法 早期警報用地震計 ( 新幹線システム ) 応用研究 実用化 ユレダス 緊急地震速報システム 補助金テーマ : 早期地震検知 警報システムの高度化に関する研究 (2006~2008) 早期地震警報システム実用化 2004 九州新幹線 2005 東海道新幹線 2007 山陽新幹線東北 上越 長野新幹線 2006 緊急地震速報配信開始緊急地震速報システム実用化 (JR 在来線 民鉄線等 )

P波検知単独観測点による早期地震警報の原理 P 波 2~3 秒 警報発信S 波 ( 主要動 ) 主要動到達前に警報 早期警報用地震計 マグニチュードに応じた影響範囲 震央距離 Δ 方位 θ マグニチュード M を推定 震央位置とマグニチュードから影響範囲を推定 Θ Δ 震央 M 鉄道 早期警報用地震計

緊急地震速報の概要 予測精度が逐次向上発生直後 約 5 秒後 20 秒程度 数 10 秒後 地震発生 S 波 P 波 S 波 P 波 S 波 P 波 S 波 P 波 気象庁 1 観測点による震源と規模の推定 2~3 点による震源と規模の推定予測震度 3~5 点による震源と規模の推定予測精度向上 多点による震源と規模の推定震度実況

緊急地震速報に用いられる地震観測網 : 気象庁 ( 約 200 点 ) : 防災科学技術研究所 ( 約 800 点 )

鉄道における緊急地震速報の利用イメージ 気象庁 配信事業者 衛星通信 受信装置 受信 警報判定システム 専用回線 IP-VPN など STOP! 地震 独自の早期地震検知システム 列車無線装置

鉄道における活用事例 1 配信会社 専用線 運輸司令所 列車無線 stop 緊急地震速報の受信装置 指令デスク 通常時 警報発令時 自動通報装置 警報発令時 自動通報装置 :ON 列車無線

緊急地震速報に関するアンケート調査 鉄道総研殿実施 時期 : 2008 年 5 月 対象 : 鉄道技術推進センタ第 1 種会員 (C 会員除く :167 社 ) 方法 : 郵送によるアンケート送付 回収 ( 有効回答 77%) 導入会社 : 地上回線利用 :22 社衛星通信利用 :6 社 未導入事業者の導入予定 導入に当たっての検討課題 いいえ 10.4% はい 21.9% 21.9% 初期導入コスト 初期導入コスト 維持管理コスト 維持管理コスト 分からない ( 検討中含む ) 67.7% 未導入事業者の約 90% が導入に関して検討 情報の信頼性 情報の信頼性 その他 その他 旅客への伝達旅客の動向セキュリティなど 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 割合 (%) 0 20 40 60 80 割合 (%)

鉄道事業者懇談会 (ANET 顧客 ) 実施月日 :2010 年 2 月 参加事業者 :22 社 実施内容 : 導入事例 緊急地震速報精度向上の研究事例等の紹介列車停止以外の鉄道での利活用に関する意見交換など アンケート調査 : 今後検討したい項目 ( 複数回答可 ) 発報条件の追加 変更 駅職員への伝達 検討中 検討予定 検討予定なし 4 6 19 導入済 検討中 予定 検討予定なし 8 7 14 駅構内利用客への伝達 導入済検討中 予定検討予定なし 2 9 18 導入済検討中 予定検討予定なし 駅関連設備の制御 ( エレヘ ータ等 ) 5 5 18

鉄道における利活用の現状 1. 2010 年末現在で鉄道事業者約 50 社が導入 JR 大手民鉄 準大手民鉄 公営鉄道は約 8 割が導入 2. 未導入事業者 ( 中小民鉄の約 8 割 ) へのアンケート調査実施 導入への課題は導入および維持コスト 3. システムの機能や信頼性はコストとトレードオフの関係 システムのコストパフォーマンスを見極めることが重要 4. 導入事業者のうちの約 4 割は 列車停止以外の活用を検討 優先順位は 駅職員へ伝達 > 駅利用客へ伝達 駅設備の制御 5. 誤報やシステム不具合などで 乗客などの緊急地震速報への信頼性が低下するのを危惧

東北地方太平洋沖地震の概況 発生 :2011 年 3 月 11 日 14:46 震源 : 牡鹿半島沖約 130km 震源深さ : 約 24km 規模 : マグニチュード 9.0 (Mw) 最大震度 :7( 宮城県栗原市 ) 震央 観測された震度気象庁 HP より

東北地方太平洋沖地震本震の震度予測精度 緊急地震速報による予測震度分布 実測震度分布 45 45 筑波大 八木准教授による断層域 40 40 Mj 8.1 Mw 9.0 35 予測震度 3~4 35 実測震度 3~6 強 130 135 140 145 Intensity 0 1 2 3 4 5 6 7 130 135 140 145

本震の地震動波形に見られるフェーズの特徴 100 秒加速度波形 ( 東西動 ) 青森県 大きな断層破壊が宮城県沖で発生 東北日本全体に地震波が到達 1 2 岩手県 約 50 秒後に 再び宮城県沖で大きな断層破壊が発生 3 宮城県福島県茨城県千葉県 2 つの破壊に引き続き 3 つ目の断層破壊が茨城県沖で発生 茨城県から福島県に大きな地震波が到達 3 つ目の破壊で関東でも大きな揺れを観測

震源モデルによる本震の震度予測精度 震源モデルによる震度予測分布 実測震度分布 45 京大 ( 釜江 川辺 ) モデル 5 つのアスペリティ ( 主破壊 ) 45 40 35 40 1Mw 7.9 2Mw 8.2 3Mw 7.4 4Mw 7.5 5Mw 7.5 予測震度 3~6 強 35 Mw 9.0 130 135 140 145 Intensity 0 1 2 3 4 5 6 7 130 135 140 145 超巨大地震の複雑な断層破壊現象のリアルタイムな識別が課題

緊急地震速報による不的確な予報 警報 本震後の余震や誘発地震に対して 震源位置や予測震度が不的確な緊急地震速報を配信 不的確な予報 警報の原因は主に以下の 2 つ 停電や通信回線途絶のため使用可能な地震計が減少 同時に発生した地震を分離処理できず 1 つの地震と判断 地震 B 中部 M5.8 最大震度 4( 一部地域 ) 地震計 2 データ 2 同一地震として処理地震 A を地震計 2 が検知と誤認震源距離 200Km, 地震動 : 大 不的確な緊急地震速報 県沖 M7.5 最大震度 5 強 ( 広範囲で震度 4 以上 ) 気象庁 データ 1 地震計 1 地震 A 県沖 M5.0 最大震度 3

緊急地震速報による不的確な予報 警報 本震後の余震や誘発地震に対して 震源位置や予測震度が不的確な緊急地震速報を配信 不的確な予報 警報の原因は主に以下の 2 つ 停電や通信回線途絶のため使用可能な地震計が減少 同時に発生した地震を分離処理できず 1 つの地震と判断 平成 23 年 3 月 11 日 ~4 月 24 日緊急地震速報 ( 警報 ) 70 回不的確な警報 44 回 ( 同時発生 :32 回, 停電等 :12 回 ) 気象庁発表資料による

東北地方太平洋沖地震緊急地震速報の課題 技術的課題の克服 1. 連動型巨大地震の震度予測精度の向上 点震源を仮定した震度予測の限界 2. 同時多発余震 誘発地震の的確な分離 ほぼ同時発生の複数震源の自動識別 分離の限界 震源推定精度低下による震度予測精度の低下 不的確な予報 警報を配信 3. 通信ネットワークの強化 地震計や通信インフラの被災 余震の予報 警報が一部配信不能

緊急地震さらなる活用促進に向けた展望 1. 高信頼性 2. 付加価値 3. 低コスト

さらなる活用促進に向けた展望 1. 高信頼性 受信端末 配信の信頼性の維持 向上 気象庁ガイドラインの遵守 緊急地震速報を適切に利用するために必要な受信端末の機能及び配信能力に関するガイドライン (2011 年 3 月 ) 震源情報の推定および地震動の予測精度の向上 運転規制判断に用いる地震動指標の予測精度向上 学協会における即時地震情報研究の維持 向上 緊急地震速報の特徴や限界等の正しい理解のための啓蒙 鉄道事業者 ( 乗客含む ) が正しく理解 過剰な期待 失望の軽減 東方地方太平洋沖地震における課題への対応 技術的課題の克服

さらなる活用促進に向けて 2. 付加価値 常時も利用可能な情報や機能 緊急地震速報と気象情報 ( 注意報 警報 ) をセットで配信 EQ+ 気象庁 気象業務支援センタ 電文 2 次配信会社 インターネット PC にポップアップ 地区に大雨警報震度 4 24 秒後 LAN 現場事務所 接点スイッチ 大雨警報発令! 地震注意! 作業現場 被害推定 ~ 地震後の運転再開まで支援する機能 地震防災に関する総合コンサルティング

さらなる活用促進に向けた展望 3. 低コスト 受信端末 配信コストの低廉化 信頼性とのコストパフォーマンスを考慮して今後とも各社検討 開発 高出力 低周波数の衛星通信 放送の活用 S バンド衛星放送撤退 設備は公共で ( 民間では維持管理困難 ) 高機能携帯端末の活用 移動体通信手段として機能検討中 リースを活用した初期導入コストの低減 クラウドコンピューティングを活用した事業者システムの簡素化

クラウドコンピューティングの利用イメージ A 鉄道 運輸司令所 監視端末 情報の受信 監視のみで装置簡素化 鉄道地震防災情報センタ ( 仮 ) 気象庁気象業務支援センタ 緊急地震速報 クラウドコンピューティング 社内通信回線 各鉄道間で情報の共有 有効利用 列車無線基地局 B 鉄道 A 鉄道 列車停止運転再開 駅設備制御など 沿線地震計 鉄道沿線地震計の情報集約緊急地震速報受信鉄道沿線の警報判定 通報地震後の点検範囲を通報地震情報データベース沿線地震計の維持管理