( 平成 26 年度研究実施報告 ) 国際科学技術共同研究推進事業 ( 戦略的国際共同研究プログラム ) ( 研究領域 幹細胞のエピジェネティクス ) 研究課題名 細胞移植治療の実現に向けた細胞アイデンティティー制御 平成 26 年度実施報告書 代表者氏名山田泰広 ( 京都大学 ips 細胞研究所

Similar documents
長期/島本1

平成18年3月17日

を行った 2.iPS 細胞の由来の探索 3.MEF および TTF 以外の細胞からの ips 細胞誘導 4.Fbx15 以外の遺伝子発現を指標とした ips 細胞の樹立 ips 細胞はこれまでのところレトロウイルスを用いた場合しか樹立できていない また 4 因子を導入した線維芽細胞の中で ips 細

論文題目  腸管分化に関わるmiRNAの探索とその発現制御解析

Untitled

細胞老化による発がん抑制作用を個体レベルで解明 ~ 細胞老化の仕組みを利用した新たながん治療法開発に向けて ~ 1. ポイント : 明細胞肉腫 (Clear Cell Sarcoma : CCS 注 1) の細胞株から ips 細胞 (CCS-iPSCs) を作製し がん細胞である CCS と同じ遺

STAP現象の検証の実施について

<4D F736F F D F4390B388C4817A C A838A815B8358>

今後の展開現在でも 自己免疫疾患の発症機構については不明な点が多くあります 今回の発見により 今後自己免疫疾患の発症機構の理解が大きく前進すると共に 今まで見過ごされてきたイントロン残存の重要性が 生体反応の様々な局面で明らかにされることが期待されます 図 1 Jmjd6 欠損型の胸腺をヌードマウス

2017 年 12 月 15 日 報道機関各位 国立大学法人東北大学大学院医学系研究科国立大学法人九州大学生体防御医学研究所国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ヒト胎盤幹細胞の樹立に世界で初めて成功 - 生殖医療 再生医療への貢献が期待 - 研究のポイント 注 胎盤幹細胞 (TS 細胞 ) 1 は

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

資料 3-1 CREST 人工多能性幹細胞 (ips 細胞 ) 作製 制御等の医療基盤技術 平成 20 年度平成 21 年度平成 22 年度 10 件 7 件 6 件 進捗状況報告 9.28,2010 総括須田年生

Powered by TCPDF ( Title 造血器腫瘍のリプログラミング治療 Sub Title Reprogramming of hematological malignancies Author 松木, 絵里 (Matsuki, Eri) Publisher P

細胞老化による発がん抑制作用を個体レベルで解明 ~ 細胞老化の仕組みを利用した新たながん治療法開発に向けて ~ 1. 発表者 : 山田泰広 ( 東京大学医科学研究所システム疾患モテ ル研究センター先進病態モテ ル研究分野教授 ) 河村真吾 ( 研究当時 : 京都大学 ips 細胞研究所 / 岐阜大学

1. 背景生殖細胞は 哺乳類の体を構成する細胞の中で 次世代へと受け継がれ 新たな個体をつくり出すことが可能な唯一の細胞です 生殖細胞系列の分化過程や 生殖細胞に特徴的なDNAのメチル化を含むエピゲノム情報 8 の再構成注メカニズムを解明することは 不妊の原因究明や世代を経たエピゲノム情報の伝達メカ

別紙 < 研究の背景と経緯 > 自閉症は 全人口の約 2% が罹患する非常に頻度の高い神経発達障害です 近年 クロマチンリモデ リング因子 ( 5) である CHD8 が自閉症の原因遺伝子として同定され 大変注目を集めています ( 図 1) 本研究グループは これまでに CHD8 遺伝子変異を持つ

STAP現象の検証結果

Untitled

るが AML 細胞における Notch シグナルの正確な役割はまだわかっていない mtor シグナル伝達系も白血病細胞の増殖に関与しており Palomero らのグループが Notch と mtor のクロストークについて報告している その報告によると 活性型 Notch が HES1 の発現を誘導

「ゲノムインプリント消去には能動的脱メチル化が必要である」【石野史敏教授】

<4D F736F F D20322E CA48B8690AC89CA5B90B688E38CA E525D>

PowerPoint プレゼンテーション

Untitled

遺伝子の近傍に別の遺伝子の発現制御領域 ( エンハンサーなど ) が移動してくることによって その遺伝子の発現様式を変化させるものです ( 図 2) 融合タンパク質は比較的容易に検出できるので 前者のような二つの遺伝子組み換えの例はこれまで数多く発見されてきたのに対して 後者の場合は 広範囲のゲノム

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur

く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM

PRESS RELEASE (2014/2/6) 北海道大学総務企画部広報課 札幌市北区北 8 条西 5 丁目 TEL FAX URL:

Microsoft PowerPoint - 資料6-1_高橋委員(公開用修正).pptx

研究の詳細な説明 1. 背景細菌 ウイルス ワクチンなどの抗原が人の体内に入るとリンパ組織の中で胚中心が形成されます メモリー B 細胞は胚中心に存在する胚中心 B 細胞から誘導されてくること知られています しかし その誘導の仕組みについてはよくわかっておらず その仕組みの解明は重要な課題として残っ

結果 この CRE サイトには転写因子 c-jun, ATF2 が結合することが明らかになった また これら の転写因子は炎症性サイトカイン TNFα で刺激したヒト正常肝細胞でも活性化し YTHDC2 の転写 に寄与していることが示唆された ( 参考論文 (A), 1; Tanabe et al.

の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産

解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

<1. 新手法のポイント > -2 -

Microsoft PowerPoint - 資料3-8_(B理研・古関)拠点B理研古関120613

かし この技術に必要となる遺伝子改変技術は ヒトの組織細胞ではこれまで実現できず ヒトがん組織の細胞系譜解析は困難でした 正常の大腸上皮の組織には幹細胞が存在し 自分自身と同じ幹細胞を永続的に産み出す ( 自己複製 ) とともに 寿命が短く自己複製できない分化した細胞を次々と産み出すことで組織構造を

報道発表資料 2002 年 10 月 10 日 独立行政法人理化学研究所 頭にだけ脳ができるように制御している遺伝子を世界で初めて発見 - 再生医療につながる重要な基礎研究成果として期待 - 理化学研究所 ( 小林俊一理事長 ) は プラナリアを用いて 全能性幹細胞 ( 万能細胞 ) が頭部以外で脳

スライド 1

背景 歯はエナメル質 象牙質 セメント質の3つの硬い組織から構成されます この中でエナメル質は 生体内で最も硬い組織であり 人が食生活を営む上できわめて重要な役割を持ちます これまでエナメル質は 一旦齲蝕 ( むし歯 ) などで破壊されると 再生させることは不可能であり 人工物による修復しかできませ

統合失調症発症に強い影響を及ぼす遺伝子変異を,神経発達関連遺伝子のNDE1内に同定した

法医学問題「想定問答」(記者会見後:平成15年  月  日)

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

Microsoft PowerPoint - 4_河邊先生_改.ppt

報道機関各位 平成 27 年 8 月 18 日 東京工業大学広報センター長大谷清 鰭から四肢への進化はどうして起ったか サメの胸鰭を題材に謎を解き明かす 要点 四肢への進化過程で 位置価を持つ領域のバランスが後側寄りにシフト 前側と後側のバランスをシフトさせる原因となったゲノム配列を同定 サメ鰭の前

( 図 ) IP3 と IRBIT( アービット ) が IP3 受容体に競合して結合する様子

研究成果報告書

Untitled

論文の内容の要旨

Microsoft Word CREST中山(確定版)

<4D F736F F D F D F095AA89F082CC82B582AD82DD202E646F63>

乳腺病理の着実な進歩-これからの課題 乳癌不均質性に関する考察

能性を示した < 方法 > M-CSF RANKL VEGF-C Ds-Red それぞれの全長 cdnaを レトロウイルスを用いてHeLa 細胞に遺伝子導入した これによりM-CSFとDs-Redを発現するHeLa 細胞 (HeLa-M) RANKLと Ds-Redを発現するHeLa 細胞 (HeL

スライド 1

60 秒でわかるプレスリリース 2008 年 7 月 12 日 独立行政法人理化学研究所 生殖細胞の誕生に必須な遺伝子 Prdm14 の発見 - Prdm14 の欠損は 精子 卵子がまったく形成しない成体に - 種の保存 をつかさどる生殖細胞には 幾世代にもわたり遺伝情報を理想な状態で維持し 個体を

Microsoft PowerPoint - 市民公開講座19Feb2016文京区v8の配布用.pptx

脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

抑制することが知られている 今回はヒト子宮内膜におけるコレステロール硫酸のプロテ アーゼ活性に対する効果を検討することとした コレステロール硫酸の着床期特異的な発現の機序を解明するために 合成酵素であるコ レステロール硫酸基転移酵素 (SULT2B1b) に着目した ヒト子宮内膜は排卵後 脱落膜 化

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見

ASC は 8 週齢 ICR メスマウスの皮下脂肪組織をコラゲナーゼ処理後 遠心分離で得たペレットとして単離し BMSC は同じマウスの大腿骨からフラッシュアウトにより獲得した 10%FBS 1% 抗生剤を含む DMEM にて それぞれ培養を行った FACS Passage 2 (P2) の ASC

小児の難治性白血病を引き起こす MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見 ポイント 小児がんのなかでも 最も頻度が高い急性リンパ性白血病を起こす新たな原因として MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見しました MEF2D-BCL9 融合遺伝子は 治療中に再発する難治性の白血病を引き起こしますが 新しい

<4D F736F F D C668DDA94C5817A8AEE90B68CA45F927D946791E58BA493AF838A838A815B83585F8AB28DD79645>

別紙 自閉症の発症メカニズムを解明 - 治療への応用を期待 < 研究の背景と経緯 > 近年 自閉症や注意欠陥 多動性障害 学習障害等の精神疾患である 発達障害 が大きな社会問題となっています 自閉症は他人の気持ちが理解できない等といった社会的相互作用 ( コミュニケーション ) の障害や 決まった手

糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する

Untitled

CiRA ニュースリリース News Release 2014 年 11 月 20 日京都大学 ips 細胞研究所 (CiRA) 京都大学細胞 物質システム統合拠点 (icems) 科学技術振興機構 (JST) ips 細胞を使った遺伝子修復に成功 デュシェンヌ型筋ジストロフィーの変異遺伝子を修復

報道発表資料 2006 年 8 月 7 日 独立行政法人理化学研究所 国立大学法人大阪大学 栄養素 亜鉛 は免疫のシグナル - 免疫系の活性化に細胞内亜鉛濃度が関与 - ポイント 亜鉛が免疫応答を制御 亜鉛がシグナル伝達分子として作用する 免疫の新領域を開拓独立行政法人理化学研究所 ( 野依良治理事

関係があると報告もされており 卵巣明細胞腺癌において PI3K 経路は非常に重要であると考えられる PI3K 経路が活性化すると mtor ならびに HIF-1αが活性化することが知られている HIF-1αは様々な癌種における薬理学的な標的の一つであるが 卵巣癌においても同様である そこで 本研究で

周期的に活性化する 色素幹細胞は毛包幹細胞と同様にバルジ サブバルジ領域に局在し 周期的に活性化して分化した色素細胞を毛母に供給し それにより毛が着色する しかし ゲノムストレスが加わるとこのシステムは破たんする 我々の研究室では 加齢に伴い色素幹細胞が枯渇すると白髪を発症すること また 5Gy の

統合失調症モデルマウスを用いた解析で新たな統合失調症病態シグナルを同定-統合失調症における新たな予防法・治療法開発への手がかり-

NIHS Since 1874 平成 26 年 3 月 5 日 ヒト多能性幹細胞加工製品に残存する未分化多能性幹細胞の高感度検出法の開発 国立医薬品食品衛生研究所遺伝子細胞医薬部佐藤陽治 本発表で述べられている見解は発表者の私見であって 国立医薬品食品衛生研究所および厚生労働省の現在の公式な見解では

NGS_KAPA RNA HyperPrep Kit

血漿エクソソーム由来microRNAを用いたグリオブラストーマ診断バイオマーカーの探索 [全文の要約]

報道発表資料 2007 年 8 月 1 日 独立行政法人理化学研究所 マイクロ RNA によるタンパク質合成阻害の仕組みを解明 - mrna の翻訳が抑制される過程を試験管内で再現することに成功 - ポイント マイクロ RNA が翻訳の開始段階を阻害 標的 mrna の尻尾 ポリ A テール を短縮

H27_大和証券_研究業績_C本文_p indd

がん免疫療法モデルの概要 1. TGN1412 第 Ⅰ 相試験事件 2. がん免疫療法での動物モデルの有用性がんワクチン抗 CTLA-4 抗体抗 PD-1 抗体 2

H24_大和証券_研究業績_p indd

<4D F736F F D DC58F49288A6D92E A96C E837C AA8E714C41472D3382C982E682E996C D90A78B408D5C82F089F096BE E646F6378>

のと期待されます 本研究成果は 2011 年 4 月 5 日 ( 英国時間 ) に英国オンライン科学雑誌 Nature Communications で公開されます また 本研究成果は JST 戦略的創造研究推進事業チーム型研究 (CREST) の研究領域 アレルギー疾患 自己免疫疾患などの発症機構

いることが推測されました そこで東京大学医科学研究所の氣駕恒太朗特任研究員 三室仁美 准教授と千葉大学真菌医学研究センターの笹川千尋特任教授らの研究グループは 胃がんの発 症に深く関与しているピロリ菌の感染現象に着目し その過程で重要な役割を果たす mirna を同定し その機能を解明しました スナ

化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典


1. Caov-3 細胞株 A2780 細胞株においてシスプラチン単剤 シスプラチンとトポテカン併用添加での殺細胞効果を MTS assay を用い検討した 2. Caov-3 細胞株においてシスプラチンによって誘導される Akt の活性化に対し トポテカンが影響するか否かを調べるために シスプラチ

RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果

本成果は 主に以下の事業 研究領域 研究課題によって得られました 日本医療研究開発機構 (AMED) 脳科学研究戦略推進プログラム ( 平成 27 年度より文部科学省より移管 ) 研究課題名 : 遺伝子改変マーモセットの汎用性拡大および作出技術の高度化とその脳科学への応用 研究代表者 : 佐々木えり

ヒト脂肪組織由来幹細胞における外因性脂肪酸結合タンパク (FABP)4 FABP 5 の影響 糖尿病 肥満の病態解明と脂肪幹細胞再生治療への可能性 ポイント 脂肪幹細胞の脂肪分化誘導に伴い FABP4( 脂肪細胞型 ) FABP5( 表皮型 ) が発現亢進し 分泌されることを確認しました トランスク

上原記念生命科学財団研究報告集, 29 (2015)

第6号-2/8)最前線(大矢)

「組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査の手続」の一部改正について

バイオインフォマティクスⅠ

( 平成 22 年 12 月 17 日ヒト ES 委員会説明資料 ) 幹細胞から臓器を作成する 動物性集合胚作成の必要性について 中内啓光 東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター JST 戦略的創造研究推進事業 ERATO 型研究研究プロジェクト名 : 中内幹細胞制御プロジェクト 1

現し Gasc1 発現低下は多動 固執傾向 様々な学習 記憶障害などの行動異常や 樹状突起スパイン密度の増加と長期増強の亢進というシナプスの異常を引き起こすことを発見し これらの表現型がヒト自閉スペクトラム症 (ASD) など神経発達症の病態と一部類することを見出した しかしながら Gasc1 発現

Microsoft PowerPoint - 2_(廣瀬宗孝).ppt

核内受容体遺伝子の分子生物学

の活性化が背景となるヒト悪性腫瘍の治療薬開発につながる 図4 研究である 研究内容 私たちは図3に示すようなyeast two hybrid 法を用いて AKT分子に結合する細胞内分子のスクリーニングを行った この結果 これまで機能の分からなかったプロトオンコジン TCL1がAKTと結合し多量体を形

研究成果の概要 今回発表した研究では 独自に開発した B 細胞初代培養法 ( 誘導性胚中心様 B (igb) 細胞培養法 ; 野嶋ら, Nat. Commun. 2011) を用いて 膜型 IgE と他のクラスの抗原受容体を培養した B 細胞に発現させ それらの機能を比較しました その結果 他のクラ

Slide 1

< 研究の背景 > 肉腫は骨や筋肉などの組織から発生するがんで 患者数が少ない稀少がんの代表格です その一方で 若い患者にしばしば発生すること 悪性度が高く難治性の症例が少なくないこと 早期発見が難しいことなど多くの問題を含んでいます ユーイング肉腫も小児や若年者に多く 発見が遅れると全身に転移する

平成 30 年 2 月 5 日 若年性骨髄単球性白血病の新たな発症メカニズムとその治療法を発見! 今後の新規治療法開発への期待 名古屋大学大学院医学系研究科 ( 研究科長 門松健治 ) 小児科学の高橋義行 ( たかはしよしゆき ) 教授 村松秀城 ( むらまつひでき ) 助教 村上典寛 ( むらかみ

Transcription:

国際科学技術共同研究推進事業 ( 戦略的国際共同研究プログラム ) ( 研究領域 幹細胞のエピジェネティクス ) 研究課題名 細胞移植治療の実現に向けた細胞アイデンティティー制御 平成 26 年度実施報告書 代表者氏名山田泰広 ( 京都大学 ips 細胞研究所 教授 ) 1

1. 研究実施内容 1-1. 研究実施の概要 平成 26 年度は 細胞初期化過程に出現する準安定的細胞の形成に関わるエピジェネティック修飾状態の同定を試みた 平成 25 年度に引き続き 生体内細胞初期化システムの解析を行った 生体内で細胞初期化因子を誘導すると がんに類似した異型細胞の増生が確認された それら異型細胞の増生は 生理的条件下では細胞増殖が盛んでない膵臓や腎臓等にも確認された 一方で細胞初期化因子の発現を短期間 (4-6 日間 ) で停止させると 異型細胞は速やかに消失することが分かった 少なくとも一部は正常な形態を示す非腫瘍性細胞へと変化した 体細胞のエピジェネティックなメモリーの存在が示唆された しかしながら 細胞初期化因子を 7 日間誘導することで 複数の臓器に未分化な異型細胞の自立性増生からなる腫瘍を形成することを示した それらの腫瘍は Wilms 腫瘍に代表されるような小児がんに類似していることを明らかにした 発生したがん細胞は完全初期化により多能性幹細胞へと変化し 非腫瘍性の腎臓細胞に分化可能であることを示した これらの成果から 細胞アイデンティティーの消失に関与するエピゲノムの改変ががん細胞に類似した状態を引き起こすことが明らかとなった (Cell 156(4):663-77, 2014) 実際に DNA メチル化解析により 初期化失敗に伴って増生するがん細胞では 部分的に多能性幹細胞に類似した DNA メチル化修飾状態を示すことを確認した 一方でカナダ側 Nagy グループは 初期化過程に形態が通常の多能性幹細胞とは異なる F-Class 細胞が出現することを報告した F-Class 細胞は多能性を有するにも関わらず 外来遺伝子の発現依存的に維持されることを明らかにし F-Class 細胞の網羅的エピゲノム状態を明らかにした (Nature. 2014 Dec 11;516(7530):198-206. Nature. 2014 Dec 11;516(7530):192-7. Nat Commun. 2014 Dec 10;5:5613. Nat Commun. 2014 Dec 10;5:5522. Nat Commun. 2014 Dec 10;5:5619.) さらにウォルツェングループは Klf4 のアイソフォームが Klf4 の相対的なタンパク発現に変化をもたらし 初期化過程に影響を及ぼすことを明らかにした (Stem Cell Reports. 2015) Klf4 の発現が低い場合は初期化早期が促進されるのに対して 後期過程は抑制されることが分かった Klf4 の発現が低い場合に形成されるコロニーは外来性初期化因子の発現に依存しており F-Class 細胞との類似性が認められた 日本側チームが報告した小児がん類似細胞 低 Klf4 発現による部分初期化細胞と カナダ側 F-Class 細胞はいずれも細胞初期化過程で出現する細胞であるものの 異なる性質を有する 例えば F-Class 細胞は多能性を有する点で日本側小児がん類似細胞と異なる また F-Class 細胞や低 Klf4 発現による部分初期化細胞が外来性初期化因子発現に依存的であるのに対して 小児がん類似細胞では外来性初期化因子の発現が認められない等の違いもある 今後 日本 カナダそれぞれのグループが見いだした細胞初期化過程で出現する異なる性質を持つ細胞を比較解析することで 細胞運命の維持やその改変におけるエピゲノム制御機構の解明につながることが期待される H26 年度には カナダ バンクーバーにおいて両国の研究者が集い 研究の進捗状況を確認するとともに 今後の方針についての議論を行った 2

1-2. 研究実施内容 生体内での体細胞初期化システムを使った準安定的細胞の形成過程に関わるエピジェネティック修飾状態の同定 ( 計画 1 2 3 4 に関連) 山田グループは生体内細胞初期化システムの解析を行った 生体内で細胞初期化因子を誘導すると がんに類似した異型細胞の増生が確認された それら異型細胞の増生は 生理的条件下では細胞増殖が盛んでない膵臓や腎臓等にも確認された 一方で細胞初期化因子の発現を短期間 (4-6 日間 ) で停止させると 異型細胞は速やかに消失することが分かった 少なくとも一部は正常な形態を示す非腫瘍性細胞へと変化した 体細胞のエピジェネティックなメモリーの存在が示唆された しかしながら 細胞初期化因子を 7 日間誘導することで 複数の臓器に未分化な異型細胞の増生からなる腫瘍を形成することを示した それらの腫瘍は Wilms 腫瘍に代表されるような小児がんに類似していることを明らかにした 細胞アイデンティティーの消失に関与するエピゲノム制御が小児がんの発生と関連していることが示唆された 発生したがん細胞は完全初期化により多能性幹細胞へと変化し 非腫瘍性の腎臓細胞に分化可能であることを示した これらの成果から 不完全な細胞初期化によるエピゲノムの改変ががん細胞に類似した状態を引き起こすことが明らかとなった (Cell 156(4):663-77, 2014) 実際に DNA メチル化解析により 小児がんに類似したがん細胞では 部分的に多能性幹細胞に類似した DNA メチル化修飾状態を示すことを確認した 特にがん細胞では多能性幹細胞特異的な DNA メチル化の獲得は認められるものの 元来の体細胞に特異的な DNA メチル化が維持されていることが分かった ( 図 ) 一方でカナダ側 Nagy グループは 不完全な細胞初期化による F-Class 細胞の作製を報告し F-Class 細胞の網羅的エピゲノム状態 (DNA メチル化 ヒストン修飾状態など ) を明らかにした (Nature. 2014 Dec 11;516(7530):198-206. Nature. 2014 Dec 11;516(7530):192-7. Nat Commun. 2014 Dec 10;5:5613. Nat Commun. 2014 Dec 10;5:5522. Nat Commun. 2014 Dec 10;5:5619.) 日本側チームが報告した小児がん類似細胞と カナダ側 F-Class 細胞はいずれも不完全な細胞初期化に関連した細胞であるものの F-Class 細胞は多能性を有する点で日本側小児がん類似細胞と異なる また F-Class 細胞が初期化因子発現に依存的であるのに対して 小児がん類似細胞では初期化因子の発現が認められない等の違いもある これらの細胞初期化過程で出現する異なる細胞を理解することで 細胞運命の維持やその改変におけるエピゲノム制御機構の解明につながることが期待される 少数細胞を用いた ChIP-seq 解析系の確立 ( 計画 1 2 3 に関連) マウス個体を用いた in vivo でのリプログラミング解析系を用いる場合 いろいろな種類および異なる分化ステージの細胞のエピゲノム情報を解析することが可能で 様々な状態の細胞におけるリプログラミング現象を解析するには有効である しかし個体組織を用いる場合 解析に使用できる細胞数が非常に限られることがある 眞貝グループでは ごく少数の細胞を用いた ChIP-seq 解析を行うために これまでどこまで細胞数を少なくできるかの検討を行った Illumina HiSeq 用のライブラリーを作製する場合 最低 100-500bp サイズの ChIPed DNA がおよそ 100pg 必要となる 通常スケールの 8x10^5 個細 3

胞 ( マウス ES 細胞 ) を用いたヒストン H3K9me3 の Native ChIP からは 約 80ng のそのレンジサイズの DNA が得られる よって 5x10^3, 1x10^5 個にスケールダウンした場合 0.5ng, 10ng の収量が見積もられる 実際に 5x10^3, 1x10^5 細胞で ChIP を行った結果 それぞれ約 1.2ng, 12ng の DNA が得られた 1x10^5 細胞を用いたときの ChIPed DNA のサイズ分布を Bionanalyzer を用いて調べたところ 全体の約 25% が 100-500bp に分布していた よって 100pg の DNA を得るには 最低 2,000 個の細胞が必要 つまりこの細胞数が微量細胞 ChIP の限界であると推測された また H3K27me3 の場合 通常の 8x10^5 個の細胞から約 20ng の DNA が得られるため 5,000 細胞数が少数限界と考えられた そこで 平成 26 年度は 微量細胞からスタートした ChIPed DNA によるライブラリー作製と ChIP のクオリティの評価を行った その結果 5x10^3 個 1x10^5 個のマウス ES 細胞を用いて抗ヒストン H3K9me3 の抗体で ChIP を行った後 illumina Hiseq 用のライブラリーを作製し H3K9me3 の enrichment がみられる領域 IAP とネガティブな領域 Gapdhを比較したところ 5x10^3 細胞でも IAP での H3K9me3 の enrichment が確認できた ただし 5x10^3 細胞にすると 1x10^5 個サンプルに比べて S/N 比が低下する傾向がみられた 現在 この問題を改善する検討を行い 完全が見られたら 5x10^3 個の細胞での目的とするサンプルの ChIP-seq 解析を進める予定である Fig. 少数細胞を用いて作製した ChIP-seq 用ライブラリーの qpcr による validation 細胞初期化過程における Klf4 の役割解明 ( 計画 1 3 に関連) 1) ポリシストロニック カセットによる初期化の評価マウスにおける初期化の研究には 様々なポリシストロニック発現カセットが開発されてきた ウォルツェングループは これらの因子の順序による影響を調べるため ドキシサイクリン応答型のカセットをもつピギーバック (PB) トランスポゾンベクターを用いて統一的に検証を行った 初期化は 開始 成熟 安定化の 3 段階に分けて考えられているが このシステムでは 初期化の開始 成熟は AP 染色陽性コロニー数で 多能性の安定化は導入遺伝子の活性化で表れる mcherry のサイレンシングおよび Nanog 遺伝子の活性化による GFP の発現で示される まず初めに 10 日目のコロニーの AP 染色により 既に公表されているポリシストロニック カセットである OSKM (Carey et al., 2009) と今回作製した OKMS を比較した すると 遺伝子の導入効率は同じであるにも関わらず OKMS では明らかに AP 染色されたコロニーが多く見られ OKMS は OSKM より体細胞の初期化の開始がより多く起こっていることが分かった さらに 多能性の安定化を調べるため 誘導 18 日目のマーカーの発現を調べると OKMSでは mcherry の発現が続くのに対して OSKM ではmCherry の発現は抑えられ Nonog-GFP の発現が確認された この結果は OKMS の多くが部分的に初期化された状態であるのに対し OSKM はより安定化された初期化に達することを示した 2) ポリシストロニック カセット中の KLF4 アイソフォームによる初期化の違い OSKM と OKMS によって 表現型が異なった原因を見つけるため 各初期化因子の DNA 塩基配列を検証した すると面白いことに KLF4 には N 末端長さが 9 アミノ酸異なる 2 つのアイソフォーム ( 短いタイプを KLF4 S 長いタイプを KLF4 L とする ) があり OSKM には KLF4 S OSKM には KLF4 L が使用されている 4

ことが判明した そこで KLF4 アイソフォームの初期化における影響を調べるため KLF4 S が使われている OKMS の KLF4 配列に 9 アミノ酸加え (OK +9 MS とする ) 初期化を誘導した すると OK +9 MS による初期化は OKMS とは表現型が異なり KLF4 L が使われている OSKM と同様に mcherry の発現を抑え Nanog-GFP の活性化が見られた (Fig.1) この結果より KLF4 S を KLF4 L に伸長した OK +9 MS では 初期化の開始段階は抑えられるものの 多能性の安定化を促進することが分かった また OMS に KLF4 S と KLF4 L をそれぞれ単体で発現するよう ( モノシストロニック ) に加えてもマーカーの発現に差が見られなかったことから KLF4 S と KLF4 L による違いはポリシストロニック カセットでのみ起こる現象であることが分かった Fig.1 ポリシストロニック カセット中の KLF4 アイソフォームによる細胞の初期化状態の比較 ( 左 ) 短いタイプの KLF4(KLF4 S ) が使用されている OKMS カセットの KLF4 の N 末端に 9 アミノ酸を付加し 長いタイプの KLF4(KLF4 L ) と同じ長さにした ( 右 )KLF4 S を含むカセットで誘導すると初期化の開始段階にある細胞が多く見られたのに対し KLF4 L を含むカセットでは 完全に初期化された細胞が見られた 赤 :mcherry ( 部分的に初期化された状態 ) 緑 :Nanog-GFP( 完全に初期された状態 ) 次に ポリシストロニック カセット中の導入遺伝子の発現を転写 翻訳レベルで評価した mrna の定量では OSKM と OKMS で同様の発現レベルを示したが ウエスタンブロッティングでタンパク発現を解析すると 誘導 2 日目において OCT3/4 SOX2 および c-myc の発現は同等であったのに対して 驚くことに KLF4 の発現が OKMS と比較して OSKM で高かった (Fig. 2) この結果は KLF4 タンパクの N 末端アミノ酸配列が ポリシストロニック カセットの KLF4 タンパク相対発現量に影響することを示唆している また KLF4 S を含む OKMS に KLF4 S と KLF4 L をそれぞれモノシストロニックで加えると OSKM や OK +9 MS で見られたのと同様に コロニー数が減少し また mcherry の発現が抑えられ Nanog-GFP が活性化された OKMS に他の因子 (OCT3/4 SOX2 または c-myc) を加えても これらのマーカーの発現は OKMS と変化が無かった よって KLF4 タンパク発現量の閾値によって初期化の感度が左右される可能性を示している 5

Fig.2 ポリシストロニック カセット中の KLF4 アイソフォームによる 初期化因子のタンパク発現の比較 KLF4 L を含むカセットで誘導すると KLF4 の発現が高い 3)KLF4 アイソフォームによるポリシストロニック カセットの分類誘導 6 日目の mcherry を発現している細胞を用いて 初期化開始時の遺伝子発現をマイクロアレイにより網羅的に解析した OKMS と OSKM( または OK +9 MS) で比較すると OKMS では 初期化の途中段階を示すマーカーが多く OSKM( または OK +9 MS) では上皮に関するマーカーが多く見られた また 8つのポリシストロニック カセット (PB-TAC-OSKM, -OKMS, -OK +9 MS, -OK N-HA MS, -MKOS, -STEMCCA, -EB-C5, -WTSI) について 同様に誘導 6 日目の遺伝子発現を調べ 系統樹を作成した (Fig. 3) 上記のポリシストロニック カセットについて DNA 塩基配列を調べると KLF4 S と KLF4 L が様々に使われていたが 作成された系統樹を見ると KLF4 の長短によって 発現パターンの近いものとして分類されていた 面白いことに N 末端に HA タグを付加した OK N-HA MS も KLF4 L と同じクラスターに分類された このように ポリシストロニック カセットの統一的な比較によって KLF4 のアイソフォームが KLF4の相対的な発現に変化をもたらし 初期化過程に影響を及ぼすことが判明した Fig.3 初期化開始段階での発現パターンにより作成したシストロニック カセットの系統樹用いられた KLF4アイソフォームによって明確に分類されている ミーティング 2014 年 6 月 16 日にカナダ バンクーバーにおいて両国の研究者が集い 研究の進捗状況を確認するとともに 今後の方針についての議論を行った 日本側からは山田 眞貝 ウォルツェン 山田研究室蝉 眞貝研究室加藤が参加し カナダ側からは Nagy, Ellis, Trembrey, Ema, Nagy 研究室 postdoc 2 名 Nagy 研究室 lab manager 1 名が参加した 6

2. 研究実施体制 2-1. 日本側の研究実施体制 研究代表者 / 主な共同研究者 氏名 所属 所属部署 役職 研究代表者 山田泰広 京都大学 ips 細胞研究所 教授 主な共同研究者 眞貝洋一 理化学研究所 眞貝細胞記憶研究室 主任研究員 主な共同研究者 クヌートウォルツェン 京都大学 ips 細胞研究所 准教授 2-2. 相手側の研究実施体制 研究代表者 / 主な共同研究者 研究代表者 氏名所属所属部署役職 アンドラスナギー マウント サイナイ病院 主な共同研究者ジェームスエリストロント小児病院 主な共同研究者 ジャックトレンベリー サミュエルルネンフェルド研究所発生 幹細胞部門 上席研究員 上席研究員 ラバル大学分子医学講座教授 2-3. 両国の研究実施体制 ACsA; Assisted Cell-state Alteration 7

1 初期化因子発現による ips 細胞を含む準安定的細胞の形成過程に関わるエピジェネティック修飾状態の同定 ( 細胞アイデンティティーの消失 獲得に関わるエピジェネティクス制御の同定 ) 山田 ウォルツェン 眞貝 Nagy Ellis グループ 2 がん化に関わる準安定的細胞のエピジェネティック修飾状態の同定山田 眞貝グループ 3 エピジェネティクス制御による効果的な細胞運命制御方法 ACsA の開発眞貝 Nagy ウォルツェン Ellis グループ 4 細胞運命制御方法 ACsA を活用した疾患発症メカニズムの解明山田 ウォルツェン Ellis グループ 5 細胞運命制御方法 ACsA を活用した細胞移植治療用分化細胞の誘導 Tremblay Nagy ウォルツェングループ 8

3. 原著論文発表 3-1. 原著論文発表 1 発行済論文数 うち 相手側チームとの共著 ( ) 国内誌 0 件 ( 0 件 ) 国際誌 5 件 ( 0 件 ) 計 0 件 ( 0 件 ) 本共同研究の相手側チーム研究者との共著に限る * Ohnishi K, Semi K, Yamamoto T, Shimizu M, Tanaka A, Mitsunaga K, Okita K, Osafune K, Arioka Y, Maeda T, Soejima H, Moriwaki H, Yamanaka S, Woltjen K, Yamada Y. Premature termination of reprogramming in vivo leads to cancer development through altered epigenetic regulation. Cell. 2014 156(4):663-77. 生体内体細胞初期化マウスモデルを作製し 体細胞アイデンティティー消失過程を検討した その結果 不完全な細胞初期化により 細胞アイデンティティーの消失を伴うがん細胞が出現することを示した Yamada Y, Haga H, Yamada Y. Concise Review: Dedifferentiation Meets Cancer Development: Proof of Concept for Epigenetic Cancer. Stem Cells Transl Med. 2014 Oct;3(10):1182-7. Matsuda Y, Semi K, Yamada Y. Application of ips cell technology to cancer epigenome study: Uncovering the mechanism of cell status conversion for drug resistance in tumor. Pathol Int. 2014 Jul;64(7):299-308. Ohnishi K, Semi K, Yamada Y. Epigenetic regulation leading to induced pluripotency drives cancer development in vivo. Biochem Biophys Res Commun. 2014 Dec 5;455(1-2):10-15. * Kim SI, Oceguera-Yanez F, Hirohata R, Linker S, Okita K, Yamada Y, Yamamoto T, Yamanaka S, Woltjen K. KLF4 N-Terminal Variance Modulates Induced Reprogramming to Pluripotency. Klf4 には2 種類のアイソフォームが存在することを見いだし アイソフォームの違いがタンパクレベルの違いを引き起こし 細胞初期化中途過程に影響を及ぼすことを見いだした 2 未発行論文数 うち 相手側チームとの共著 ( ) 国内誌 0 件 ( 0 件 ) 国際誌 0 件 ( 0 件 ) 計 0 件 ( 0 件 ) 本共同研究の相手国チーム研究者との共著に限る 以上 9