平 成 25 年 12 月 4 日 総 務 大 臣 新 藤 義 孝 様 一 般 社 団 法 人 情 報 通 信 ネットワーク 産 業 協 会 会 長 奥 田 隆 司 情 報 通 信 ネットワーク 産 業 に 関 する 要 望 書 我 が 国 の 経 済 は 現 政 権 による3 本 の 矢 の 一 つである 民 間 の 投 資 を 引 き 出 す 成 長 戦 略 の 具 体 的 な 施 策 が 動 き 始 め 成 長 に 向 けて 明 るい 兆 しが 見 え てきました 成 長 戦 略 には 情 報 通 信 技 術 (ICT)が 有 効 であり 経 済 再 生 や 社 会 的 課 題 解 決 に 不 可 欠 なものであります 2020 年 の 東 京 でのオリンピック 開 催 が 決 定 し 産 業 界 にとっても 通 信 インフラの 整 備 をはじめとするICT 関 連 の 需 要 の 拡 大 ビジネスの 活 性 化 につながるものと 期 待 しております ICT 分 野 に 貢 献 を 続 ける 企 業 が 会 員 の 中 心 である 一 般 社 団 法 人 情 報 通 信 ネットワーク 産 業 協 会 としても 諸 課 題 等 の 解 決 への 取 組 に 向 け 全 力 を 尽 くす 所 存 でありますので 政 府 からのご 支 援 をお 願 いするところでござい ます 1
1. 情 報 通 信 ネットワーク 産 業 界 の 概 況 と 取 組 課 題 (1) 市 場 環 境 変 化 により 情 報 通 信 機 器 業 界 は 大 変 厳 しい 局 面 通 信 機 器 国 内 需 要 は ここ 数 年 成 長 は 停 滞 しており 2013 年 度 は 3.47 兆 円 1.3%のマイナス 見 込 みです また 昨 年 末 から の 円 安 で 輸 出 が 増 えたものの 国 内 受 注 出 荷 と 合 わせた 総 出 荷 額 もマイナ スとなっています 内 訳 として モバイル 端 末 はスマートフォンへの 置 換 え が 進 む 一 方 海 外 メーカーのシェアが 一 段 と 増 加 し 結 果 的 に 国 内 メーカー のモバイルビジネスは 厳 しさを 増 しています また ネットワーク 関 連 機 器 は トラフィックの 急 増 に 伴 う 対 策 でモバイル 系 は 堅 調 であるものの 固 定 系 設 備 が 一 段 落 し 総 需 要 に 陰 りが 出 ています 億 円 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 通 信 機 器 の 市 場 及 び 国 内 メーカの 受 注 / 出 荷 の 動 向 海 外 流 入 比 39.9% 国 内 需 要 +0.6% 国 内 出 荷 -3.6% 輸 出 -9.0% 海 外 流 入 比 40.8% 国 内 需 要 -1.3% % 国 内 出 荷 -2.8% 輸 出 +7.8% 45 40 35 30 25 20 15 10 5 需 要 実 績 予 測 受 注 出 荷 / 国 内 受 注 出 荷 / 輸 出 海 外 流 入 分 比 率 0 2008 年 度 2009 年 度 2010 年 度 2011 年 度 2012 年 度 ( 実 績 ) 2013 年 度 ( 予 測 ) 0 2
(2)モバイルにおける 環 境 変 化 モバイルビジネス 分 野 では スマートフォンの 次 のステップとして 新 OS(Tizen や Firefox OS Windows Phone OS)の 展 開 またスマート フォンを 軸 とした 新 サービスや 新 製 品 の 創 出 により 市 場 の 活 性 化 が 期 待 さ れるところであります しかしながら 国 内 キャリアの 事 業 戦 略 の 変 化 グローバルではキャリア やメーカーの 大 きな 再 編 や 事 業 スキームの 変 動 が 明 らかになってきており 国 内 メーカー 各 社 の 事 業 戦 略 も 見 直 しが 迫 られ 日 本 がグローバルで 生 き 残 るための 戦 略 的 展 開 が 必 要 となっております (3)ICT 利 活 用 による 経 済 再 生 と 社 会 的 課 題 解 決 我 が 国 は 世 界 にも 類 を 見 ない 少 子 高 齢 化 の 進 展 と 人 口 減 少 で それに 伴 う 労 働 力 人 口 の 減 少 や 社 会 保 障 給 付 費 の 増 大 防 災 対 策 社 会 インフラの 老 朽 化 など 様 々な 課 題 に 直 面 しております 一 方 ICTの 進 展 と 共 に クラウドコンピューティング ネットワーク 仮 想 化 スマートフォン タブレット 端 末 の 普 及 センサやM2M ビッグデ ータなどを 前 提 とした 速 くて 安 全 で かつ 安 価 なネットワークが 実 現 して おります 今 こそ 課 題 先 進 国 である 我 が 国 において 産 学 官 が 一 体 となり 早 急 に 世 界 最 高 水 準 のICT 利 活 用 社 会 を 実 現 し 課 題 解 決 することで 国 際 競 争 力 の 強 化 を 図 り グローバル 展 開 を 図 るべき 時 期 が 到 来 していると 捉 えられます 3
2. 情 報 通 信 産 業 界 の 要 望 事 項 これらを 踏 まえて 具 体 的 に 以 下 の6 項 目 の 施 策 予 算 措 置 を 要 望 します ( 元 気 をつくる) (1)ICT 利 活 用 による 新 産 業 の 創 出 推 進 ネットワーク 技 術 G 空 間 情 報 やビッグデータ 解 析 などのICTを 活 用 す ることにより 電 子 行 政 農 業 医 療 健 康 防 災 減 災 防 犯 生 活 資 源 道 路 交 通 建 造 物 管 理 教 育 人 材 育 成 等 の 分 野 を 超 えた 新 たな 産 業 や 新 た な 仕 組 みの 創 出 が 期 待 できます 各 分 野 における 円 滑 なICTの 利 活 用 促 進 に 向 けて 関 係 府 省 の 横 断 的 な 連 携 による 実 証 実 験 や 規 制 緩 和 などの 支 援 を 要 望 します (2)ICT 産 業 の 国 際 競 争 力 強 化 医 療 農 業 などの 産 業 は 国 ごとに 事 情 が 大 きく 異 なることから ICTを 利 活 用 したシステムのグローバル 展 開 においては 関 係 省 庁 と 連 携 し 諸 外 国 の 実 情 調 査 および 実 証 実 験 等 の 推 進 や 国 際 シンポジウム 等 システムの 効 果 や 有 用 性 を 諸 外 国 に 披 露 するための 場 の 設 定 を 要 望 します また 建 造 物 などの 社 会 インフラの 老 朽 化 対 策 として センサやM2M 等 の ICTを 利 活 用 した 世 界 最 先 端 のモニタリングや 維 持 管 理 システムをグロ ーバル 展 開 する 際 の 支 援 をお 願 いします ( 便 利 なくらしをつくる) (3)ICT 利 活 用 による 新 しい 街 づくり 推 進 4
1) 自 治 体 のオープンデータ 化 民 間 事 業 者 の 利 活 用 促 進 省 庁 と 同 様 に 地 方 自 治 体 においても 公 共 データをオープンにし 民 間 事 業 者 が 利 活 用 することで 新 たな 事 業 創 出 街 ( 地 域 )の 活 性 化 が 図 れます 現 在 地 方 自 治 体 のオープンデータ 化 に 関 しては 各 自 治 体 の 取 組 がバラ バラであり 推 進 に 向 けた 全 体 戦 略 が 必 要 と 考 えます 例 えば 自 治 体 共 通 の 課 題 を 検 討 する 場 の 設 置 や 実 証 実 験 等 による 成 功 事 例 の 創 出 共 有 など 地 方 自 治 体 のオープンデータ 化 の 促 進 に 向 けた 政 府 の 積 極 的 な 取 組 を 要 望 します 2) 災 害 時 に 強 い 情 報 通 信 ネットワーク システムの 整 備 災 害 時 にはすべての 国 民 に 正 確 な 災 害 関 連 情 報 を 収 集 し 届 けることが 重 要 であります 一 人 暮 らしの 高 齢 者 や 障 がい 者 観 光 客 外 国 人 等 への 情 報 提 供 も 配 慮 し 多 様 で 多 層 的 な 情 報 提 供 手 段 の 構 築 と 早 期 普 及 拡 大 の 推 進 を 要 望 しま す 3) 事 業 継 続 性 を 含 めた 成 功 モデルの 実 証 推 進 社 会 の 課 題 解 決 や 新 たな 街 づくりの 普 及 展 開 を 図 るために 必 要 とな る 共 通 基 盤 (プラットフォーム) 成 功 モデルの 実 証 事 業 が 現 在 進 められ ております ⅰ) 実 証 にあたっては 住 民 に 対 するメリットを 明 確 化 し 幅 広 い 住 民 参 加 を 促 すとともに 事 業 継 続 性 の 検 証 を 含 めた 実 証 実 験 の 推 進 を 要 望 しま す ⅱ) 実 証 実 験 の 活 動 状 況 を 広 く 周 知 するための 積 極 的 な 取 組 (ショーケー スやシンポジウム 等 の 場 の 設 置 ホームページでの 公 開 )を 要 望 します 5
(4) 超 高 齢 社 会 に 対 応 したICT 利 活 用 推 進 我 が 国 の 超 高 齢 社 会 がもたらす 課 題 のひとつであります 医 療 介 護 健 康 の 分 野 において ICTの 積 極 的 な 活 用 による 課 題 解 決 に 向 けて 様 々な 取 組 がされています 健 康 で 生 き 生 きと 過 ごすことのできる 社 会 の 実 現 に 向 けて 次 の 推 進 をお 願 いいたします 1) 医 療 情 報 連 携 ネットワークの 全 国 への 普 及 展 開 の 推 進 ICTを 利 活 用 し 医 療 介 護 リハビリ 等 に 関 わる 多 様 な 主 体 が 情 報 連 携 を 行 う 仕 組 みの 構 築 により 医 療 圏 に 点 在 する 患 者 情 報 の 集 約 共 有 化 と 医 療 資 源 の 最 適 化 が 図 られ 地 域 における 質 の 高 い 一 貫 した 医 療 等 の サービスの 提 供 が 可 能 となります そのために 必 要 となる 情 報 のデータ 化 推 進 と 持 続 性 を 踏 まえた 医 療 情 報 連 携 ネットワークの 全 国 への 普 及 展 開 の 推 進 を 要 望 します 2) 標 準 化 の 推 進 及 び 制 度 的 課 題 対 応 の 推 進 医 療 情 報 の 利 活 用 環 境 整 備 として 医 療 情 報 連 携 ネットワークのシステ ムの 標 準 化 の 推 進 患 者 本 人 の 特 定 手 法 ( 医 療 等 IDなど)や 患 者 の 同 意 に 関 するルールの 整 備 自 治 体 や 病 院 毎 に 個 人 情 報 取 扱 ルールが 異 なるこ とによって 情 報 共 有 が 妨 げられるなどの 課 題 解 決 を 要 望 します (5) 人 材 育 成 の 取 組 強 化 世 界 最 高 水 準 の ICT 利 活 用 社 会 の 実 現 の 一 つに ヒト の 育 成 があり 教 育 環 境 のICT 推 進 が 重 要 となります 6
1) 教 育 環 境 のICT 導 入 格 差 是 正 教 育 分 野 におけるICT 化 に 向 けて 学 校 におけるブロードバンド 環 境 や ICT 機 器 の 整 備 状 況 は 着 実 に 進 みつつあります その 一 方 で 先 進 的 な 取 組 を 進 める 自 治 体 や 学 校 とそうでないところとの 格 差 が 広 がりつつあり それが 教 育 内 容 の 格 差 にもなってきています ICT 化 の 整 備 促 進 や 格 差 是 正 を 図 るため 自 治 体 任 せで 進 めるのでは なく 政 府 主 導 で 推 進 する 体 制 の 構 築 を 要 望 します 2) 小 中 高 で 一 貫 した 取 組 学 校 教 育 におけるICTの 利 活 用 は 現 代 版 読 み 書 き そろばんとし て 普 段 使 う 文 具 の 一 つと 考 え 小 中 高 で 一 貫 して 取 り 組 む 必 要 があり 国 として 具 体 的 な 政 策 を 明 確 に 示 した 上 でモデル 校 を 順 次 拡 大 し 普 及 を 促 進 する 予 算 措 置 を 要 望 します (みんなの 安 心 をまもる) (6) 安 心 安 全 に 利 用 できる 情 報 通 信 ネットワークの 実 現 1)リテラシー 向 上 への 対 策 スマートフォンはアプリケーションの 活 用 によって 非 常 に 便 利 なコミュ ニケーション 手 段 となり 利 用 者 の 利 便 性 が 高 まる 反 面 リスク 管 理 の 重 要 性 も 増 しており 安 心 安 全 にスマートフォンを 利 用 するためには 利 用 者 のリテラシー 向 上 が 鍵 になると 考 えております すでに 様 々な 啓 発 活 動 が 進 められておりますが そういった 活 動 に 積 極 的 でない 受 動 的 な 利 用 者 に 対 しても 広 く 周 知 し 取 組 の 効 果 を 高 める 対 策 を 要 望 します 7
2)パーソナルデータの 取 扱 い サイバー 攻 撃 への 対 応 オープンデータ ビッグデータの 利 活 用 推 進 やスマートフォン 普 及 に 伴 い パーソナルデータの 取 扱 いルールの 明 確 化 や 官 公 庁 企 業 を 狙 うサイ バー 攻 撃 への 早 期 対 応 が 一 層 重 要 になっています パーソナルデータの 適 正 利 用 の 検 討 にあたっては 海 外 との 公 平 な 競 争 環 境 の 整 備 や 消 費 者 の 過 度 の 不 安 を 払 拭 するための 十 分 な 説 明 を 実 施 す るなどの 配 慮 をお 願 いいたします また 世 界 最 高 水 準 のICT 社 会 にふさわしい 強 靭 で 活 力 あるサイバー 空 間 の 構 築 にあたっては 官 民 の 連 携 や 世 界 各 国 と 連 携 の 加 速 を 要 望 します 3) 強 靱 な 通 信 インフラの 整 備 今 後 多 くの 分 野 でICTを 利 活 用 することでトラフィックは 膨 大 とな ります また2020 年 の 東 京 でのオリンピック 開 催 に 向 けて 国 内 外 か ら 多 くの 観 光 客 が 特 定 地 域 に 集 中 することによるトラフィックの 増 大 にス ムーズに 対 処 することが 必 須 です 端 末 の 高 機 能 化 高 速 化 高 画 質 コンテンツやクラウドコンピューティ ングサービスの 普 及 に 伴 い 今 後 も 膨 大 な 通 信 需 要 が 見 込 まれる 中 有 線 無 線 ネットワークの 更 なる 大 容 量 化 は 必 須 であり 通 信 インフラの 整 備 促 進 に 向 けた 施 策 を 要 望 します 8
情 報 通 信 ネットワークが 国 民 生 活 を 支 える 社 会 インフラとして 東 日 本 大 震 災 からの 復 興 を 含 め 豊 かで 安 心 安 全 な 社 会 の 実 現 に 大 きく 貢 献 し さらに グローバル 展 開 によって 我 が 国 の 国 際 競 争 力 を 高 める 原 動 力 となるように 省 庁 横 断 的 な 政 策 の 取 組 とその 実 現 が 必 要 不 可 欠 であると 考 えます 弊 協 会 CIAJは 情 報 通 信 ネットワーク 産 業 界 を 代 表 する 団 体 として 産 業 界 並 びに 社 会 の 共 通 課 題 の 解 決 に 向 けて 今 後 とも 意 見 発 信 など 積 極 的 に 取 り 組 む 所 存 でございますので 政 府 一 丸 となった 着 実 な 取 組 を 切 に 要 望 申 し 上 げます 以 上 9