機 械 システム 応 用 実 験 ~データの 統 計 的 処 理 とデータの 考 察 について~ I. データの 統 計 的 処 理 まず データの 統 計 的 処 理 について 学 ぶ ある 物 理 量 を 測 定 する 場 合 測 定 値 の 誤 差 を 考 慮 する 必 要 がある 測 定 値 の 誤 差 には 間 違 い(mistake)や 系 統 的 誤 差 (systematic error)などがあるが 間 違 いや 系 統 的 誤 差 が 無 い 場 合 にも 不 明 の 原 因 によって 生 じる 値 のばらつき すなわち 偶 然 誤 差 (accidental error)が 生 じる 一 般 的 に 値 のばらつきは 正 規 分 布 となる 場 合 が 多 いので 以 下 では 正 規 分 布 について 学 ぶが その 前 に 正 規 分 布 で 重 要 となる 平 均 値 と 標 準 偏 差 の 考 え 方 を 学 ぶ () 身 長 の 平 均 値 と 標 準 偏 差 - クラス 全 員 の 身 長 について 平 均 値 x と 標 準 偏 差 σを 求 めよ 平 均 値 x と 標 準 偏 差 σの 算 出 方 法 については 配 付 した 資 料 を 参 照 せよ 算 出 にあたっては Excel などのソフトウェ アを 積 極 的 に 使 用 すること - - について 5cm 単 位 で 級 に 分 けた 度 数 分 布 表 を 作 成 し ヒストグラムを 描 け () 抵 抗 値 の 平 均 値 と 標 準 偏 差 データのばらつきの 分 布 と 正 規 分 布 の 関 係 を 調 べるために 以 下 の 課 題 について 調 べよ - 表 は 市 販 の 00Ωのカーボン 抵 抗 を 990 個 テスタにより 抵 抗 値 を 実 測 した 結 果 である 抵 抗 5 個 の 抵 抗 値 を 実 測 し 表 に 加 えよ ( 小 数 点 第 位 まで 計 れるように テスタの レンジを 適 切 に 選 択 せよ )またこの 抵 抗 値 のヒストグラムを 示 せ - 表 について 累 積 分 布 曲 線 を 示 せ -3 表 より このカーボン 抵 抗 の 抵 抗 値 の 平 均 値 x と 標 準 偏 差 σを 求 めよ -4 求 めた 平 均 値 x と 標 準 偏 差 σをもとに 正 規 分 布 の 曲 線 ( 理 論 値 )を - で 描 かせたヒスト グラムと 同 一 のグラフに 示 せ -5 表 のデータに 基 づき 平 均 値 x を 中 心 に 全 体 の 68.3%となる 抵 抗 値 と 95.4%となる 抵 抗 値 の 級 の 範 囲 を 求 めよ -6-4 で 求 めた 正 規 分 布 曲 線 について x ±σおよび x ±σとなる 境 界 の 抵 抗 値 を 算 出 せよ ヒント: 正 規 分 布 の 理 論 値 は 以 下 の 式 で 表 される f ( x ) = x x exp πσ σ
抵 抗 値 [Ω] 04.0 累 積 数 頻 度 数 頻 度 分 布 表 市 販 の 00Ωの 抵 抗 の 抵 抗 値 の 分 布 00 00 300 03.5 03.0 0.5 0.0 正 正 正 0.5 0.0 正 正 正 正 正 正 00.5 正 正 正 正 正 正 正 正 00.0 99.5 正 正 正 正 正 正 正 正 正 99.0 98.5 正 正 正 正 正 正 正 正 98.0 正 正 正 正 正 97.5 97.0 正 正 正 96.5 96.0 95.5 95.0 個 数 450 400 350 300 50 00 50 00 50 0 000 800 600 400 00 000 800 600 400 00 96 98 00 0 04 0 抵 抗 値 [Ω] ヒストグラムの 例 累 積 度 数 96 98 00 0 抵 抗 値 [Ω] 累 積 度 数 分 布 の 例
II. データの 考 察 どのような 関 係 にあるか 不 明 な 物 理 量 について その 物 理 量 をグラフに 描 き 関 係 を 推 測 する ことは 実 験 結 果 の 考 察 の 第 一 歩 である また 推 測 により 仮 定 した 関 係 を 物 理 的 なモデルに より 説 明 することが 最 も 多 く 見 られる 科 学 論 文 の 作 成 手 法 である 今 回 は 音 階 と 周 波 数 特 性 を 例 に このような 作 業 を 行 ってみよう ( 関 係 を 知 っている 人 も 知 らないつもりで 考 えるこ と ) () 実 験 ( 代 表 者 に 実 験 してもらい 代 表 者 のデータを 使 ってグラフを 作 成 する ) - 電 子 楽 器 により ド から オクターブ 高 い ド までの 5 個 の 鍵 盤 (n = ~5 の 番 号 をつける )の 音 声 信 号 波 形 を 観 測 し それぞれの 周 期 T(n)を 測 定 する 音 階 の 番 号 n と 周 期 T(n)の 関 係 をまず 線 形 グラフに 示 せ また 音 階 の 番 号 n と 周 波 数 f(n)の 関 係 についても 線 形 グラフに 示 せ - - で 描 いたグラフから 推 測 して 音 階 の 番 号 n と 周 波 数 f(n)の 関 係 を 最 も 良 く 表 すことの できるグラフを 示 せ -3 音 階 の 番 号 n と 周 波 数 f(n)の 関 係 を 数 式 により 示 せ () 実 験 ( 代 表 者 に 実 験 してもらい 代 表 者 のデータを 使 ってグラフを 作 成 する ) - ギターのフレットはキーボードの 鍵 盤 と 同 様 の 働 きをする フレットの 番 号 を n として 各 フレットにおける 弦 の 長 さ L(n)を 測 定 し フレットの 番 号 (= 音 階 の 番 号 )n と 弦 の 長 さ L(n)の 関 係 を 線 形 グラフに 示 せ - 周 波 数 と 弦 の 長 さの 関 係 を 示 すグラフを 描 き その 関 係 を 数 式 により 示 せ -3 弦 の 振 動 について 物 理 モデルを 考 案 し - の 関 係 が 正 しいことを 示 せ ( 次 ページのヒン トを 参 照 せよ あくまで 考 察 すること 教 科 書 などで 調 べた 公 式 があてはまるから とい うのは 考 察 ではない )この 課 題 は 余 裕 があれば 行 うこと -4-3 のモデルをもとに ギターの 音 階 を 決 める 要 因 とギターの 構 造 について 説 明 せよ 4 7 9 アンプ 3 5 6 8 0 3 キーボード スピーカ フレット 鍵 盤 に 相 当 オシロスコープ オクターブのマーク ギター 3
表 キーボードの 鍵 盤 の 番 号 と 周 波 数 時 間 の 関 係 番 号 n 時 間 T [ms] 時 間 T [ms] 周 期 T [ms] 周 波 数 f [Hz] 番 号 n (ド) 3(ド) 4 3 5 4 6 5 7 6 8 7 9 8 0 9 0 3 4 5(ド) 時 間 T [ms] 時 間 T [ms] 周 期 T [ms] 周 波 数 f [Hz] 弦 の 長 さと 周 波 数 の 関 係 を 考 察 するときのヒント ヒント 以 下 は 振 動 している 弦 の 位 置 x における 変 位 u(x)を 示 している この 弦 の 運 動 方 程 式 をモデルと して 考 えよう ただし 張 力 T は 位 置 x によらず 一 定 であり 角 度 θは 非 常 に 小 さく sinθ tanθが 成 り 立 つとする u(x,t) 線 密 度 ρ T(x+ x) θ(x) θ(x+ x) T(x) ヒント u u ρ = T t x 0 x x+ x 上 記 の 微 分 方 程 式 の 解 のひとつは 以 下 の 式 で 表 される u(x,t) = U(x)sin(ωt+φ) 上 式 で U(x) = U 0 sin(kx+ψ) k ρ ( となることを 確 かめよ ) T ω = x ヒント 3 弦 の 長 さを L とすると 弦 の 両 端 が 固 定 されていることより どんな 時 刻 t においても u(0,t)=u(l,t)=0 となる ( 境 界 条 件 )この 境 界 条 件 より kl = nπであることがわかる ( 確 かめよ ) このことと ω=πf の 関 係 より 周 波 数 f と 線 密 度 ρ 張 力 T 弦 の 長 さ L の 関 係 を 導 き 出 せ 4
Break time 音 と 周 波 数 の 話 音 階 で オクターブ 上 がるとか オクターブ 下 がるということは 周 波 数 f が 倍 になったり / 倍 になったりすることである 音 階 の 周 波 数 は 以 下 の 表 のように 定 められており オクター ブ 上 がるごとに(C C C c c c c 3 c 4 ) 周 波 数 が 倍 になっていることが 分 かる ( 表 の 各 行 の 値 を 比 較 してみれば 分 かる )では 各 音 の 関 係 はどうか?(つまり C C # D D # E E F F # G G # A A # H と 変 わるにつれて 各 周 波 数 がどう 変 化 しているか?) 表 の 十 二 平 均 率 音 階 では 各 周 波 数 は 均 等 倍 の 関 係 になっている つまり f C# = αf C, f D = αf D#, の 関 係 にある ということは f cc = α f cc =f cc となり α = ということになる ためしに c と c に ついて 各 音 の 周 波 数 を 片 対 数 グラフに 描 いてみよう ( 各 音 を 線 形 軸 に 均 等 にとり 各 音 の 周 波 数 を 対 数 軸 にとる )どのようなグラフになるだろう か? 表. 国 際 基 準 イ= a = 440Hz に 基 く 十 二 平 均 率 音 階 ( 単 位 :Hz) C C C c c c c 3 c 4 C (ド) 6.35 3.703 65.406 30.8 6.63 53.5 046.5 093.0 C# 7.34 34.648 69.96 38.59 77.8 554.37 08.7 7.5 D (レ) 8.354 36.708 73.46 46.83 93.66 587.33 74.7 349.3 D# 9.445 38.89 77.78 55.56 3.3 6.5 44.5 489.0 E (ミ) 0.60 4.03 8.407 64.8 39.63 38.5 38.5 637.0 F(ファ).87 43.654 87.307 74.6 349.3 698.46 396.9 793.8 F# 3.5 46.49 9.499 85.00 369.99 739.99 480.0 960.0 G (ソ) 4.500 48.999 97.999 96.00 39.00 783.99 568.0 336.0 G# 5.957 5.93 03.83 07.65 45.30 830.6 66. 33.4 A (ラ) 7.500 55.000 0.00 0.00 440.00 880.00 760.0 350.0 A# 9.35 58.70 6.54 33.08 466.6 93.33 864.7 379.3 H (シ) 30.868 6.735 3.47 46.94 493.88 987.77 975.5 395. F # G # A # C # D # F # G # A # C # D # 000 F c G A H C D E A-c (ラ) :f Ac =440Hz A-c :f Ac =880Hz HK の 時 報 ピッ ピッ ピッ ピーン A-c, A-c, A-c, A-c F G A H C c c ピアノの 鍵 盤 D E オクターブ 上 がると 周 波 数 は 倍 になる 周 波 数 f [Hz] 500 300 00 00 C-c C # -c D-c 音 階 音 階 と 周 波 数 f の 関 係 ( 片 対 数 グラフ)? 5
統 計 的 処 理 に 関 する 基 礎 平 均 分 散 と 度 数 分 布 算 術 平 均 次 の 表 は あるサッカーチーム A の 選 手 名 の 身 長 である 番 号 3 4 5 6 7 8 9 0 身 長 (cm) 88 86 87 87 85 86 65 89 9 70 83 表 サッカーチーム A の 選 手 の 身 長 このデータを 見 ると 80cm 以 上 の 長 身 選 手 がほとんどであることがわかる このチームのいわゆる 平 均 身 長 は 次 のように 計 算 される (88 + 86 + 87 + 87 + 85 + 86 + 65 + 89 + 9 + 70 + 83) () = 08 = 83.45... = 83 これより このチーム A の 平 均 身 長 は 83cm であることがわかった データから 身 長 の 平 均 値 を 計 算 すると そのチームが 平 均 的 に 背 の 高 い 大 型 チーム であることを 確 認 できる このように データ x を 合 計 し データ 数 で 割 った 式 ()の x を 算 術 平 均 と 呼 ぶ ( x は x バーと 読 む) x = 算 術 平 均 の Excel による 計 算 x i i= Excel に 表 の 表 を 作 成 し 番 号 からまでの 選 手 の 平 均 値 を 計 算 しよう 一 番 簡 単 な 方 法 は 身 長 が 入 力 されているセルの 合 計 をで 割 ることである(やってみよ) Excel では 平 均 などを 計 算 するための 便 利 な 関 数 が 用 意 されている メニューの 挿 入 の 関 数 と 選 択 すると 関 数 を 選 ぶことができる 平 均 を 計 算 す るには 計 算 結 果 を 入 れるセルを 選 択 しておいて 関 数 メニュー 中 の 統 計 の 中 の AVERAGE を 選 択 し 範 囲 を 選 べばよい( 図 を 参 照 ) 一 度 使 用 した 関 数 は 次 回 から 最 近 使 用 した 関 数 で 選 ぶことができる i () 図 平 均 値 の 計 算 6
例 題 :Excel で 表 と 表 に 示 すサッカーチーム B の 選 手 名 の 身 長 を 入 力 し それぞれの 平 均 身 長 を 計 算 してみよう( 図 を 参 照 ) 番 号 3 4 5 6 7 8 9 0 身 長 (cm) 87 83 84 79 8 83 80 83 8 78 8 表 サッカーチーム B の 選 手 の 身 長 図 平 均 身 長 の 計 算 例 題 :チーム A と B それぞれのチームの 最 大 最 小 の 身 長 を Excel の 関 数 MAX と MI を 用 いて 算 出 せよ 例 題 3:チーム A およびチーム B の 各 選 手 の 身 長 を 棒 グラフで 表 せ ( 図 3) チームA チームB 95 90 85 80 身 長 [cm] 75 70 65 60 55 50 3 4 5 6 7 8 9 0 選 手 番 号 図 3 チーム A と B の 各 選 手 の 身 長 比 較 7
度 数 分 布 とヒストグラム 図 3 を 見 るとチーム A と 比 較 してチーム B が 全 体 的 に 身 長 が 低 いことがわかる しかし 身 長 の 算 術 平 均 を 計 算 するとチーム A が 83cm チーム B は 8cm となり あまり 大 きな 違 いはない この 原 因 を 検 討 するに は 度 数 分 布 とヒストグラムを 用 いるのが 便 利 である 度 数 分 布 はデータを 大 きさによっていくつかの 級 に 分 け おのおのの 級 に 入 るデータの 数 ( 度 数 )の 分 布 を 示 したものである 5cm 単 位 で 級 に 分 けた 場 合 のチーム A の 度 数 分 布 は 表 3 のようになる 級 (cm) 65 70 75 80 85 90 95 累 積 度 数 4 0 度 数 0 0 6 表 3 チーム A の 選 手 身 長 の 度 数 分 布 表 3 をグラフで 表 すと 図 4 のようになる 度 数 分 布 を 棒 グラフで 表 現 したものをヒストグラムと 呼 ぶ 7 6 5 度 数 ( 人 ) 4 3 0-65 66-70 7-75 76-80 8-85 86-90 9-95 級 図 4 チーム A の 選 手 身 長 のヒストグラム 例 題 4:チーム A と B の 身 長 の 度 数 分 布 を 同 一 のヒストグラムで 表 現 せよ ( 図 5) 8 7 6 5 度 数 ( 人 ) 4 3 0-65 66-70 7-75 76-80 8-85 86-90 9-95 級 図 5 チーム A と B の 選 手 身 長 のヒストグラム 8
中 位 数 (メディアン)と 最 頻 値 (モード) 図 5 から チーム A と B の 平 均 身 長 に 大 きな 差 がないのは チーム A のほとんどの 選 手 はチーム B の 選 手 の 身 長 より 大 きいが 70cm 以 下 の 選 手 がいるために 算 術 平 均 値 が 下 がっているためであることがわかる こ のような 場 合 に 便 利 な 別 の 平 均 は 中 位 数 (メディアン)と 最 頻 値 (モード)である 中 位 数 (メディアン)とはデータを 大 きさの 順 番 に 並 べた 場 合 に ちょうど 中 央 に 位 置 するデータの 値 で あり チーム A は 86cm チーム B は 83cm となる なお データの 数 が 偶 数 の 場 合 には 中 央 に 位 置 する 個 のデータの 平 均 を 取 る 最 頻 値 (モード)とはもっともデータが 集 中 している 部 分 のことで ヒストグラムなら 山 のもっとも 高 い 部 分 である チーム A と B は 図 5 からそれぞれ 86~90 の 級 8~85 の 級 になる 例 題 5:Excel でチーム A と B それぞれのメディアンを 下 記 の3 通 りの 方 法 で 計 算 せよ ( 図 6 を 参 照 ) メニューボタンの 降 順 で 並 び 替 え 並 び 替 えたいデータをコピーして 選 択 した 後 に 降 順 で 並 び 替 え を 押 して 中 位 の 値 (6 番 目 )をとる メディアンを 計 算 する 関 数 MEDIA 3 順 位 を 計 算 する RAK 関 数 RAK 関 数 の 書 式 は RAK(セル 番 号, 範 囲, 順 序 ) である 例 :B7 のセルの B6~B6 のデータ 中 の 大 きい 順 の 順 位 を 求 めたい 場 合 は =RAK(B7,B6:B6, 0) 小 さい 順 の 順 位 なら =RAK(B7,B6:B6, ) 図 6 並 び 替 え メディアン 順 位 の 計 算 標 準 偏 差 ( 母 集 団 標 準 偏 差 )と 分 散 ( 母 集 団 分 散 ) 図 5 から チーム B は 選 手 の 身 長 が 8~85 の 級 付 近 に 集 中 しているのに 対 して チーム A は 65cm から 90cm 超 まで 身 長 の 分 布 が 広 がっていることがわかる このような 度 数 分 布 の 広 がり 具 合 を 表 すために 標 準 偏 差 と 分 散 が 用 いられる 標 準 偏 差 をσ とおくと 個 のデータ x の 標 準 偏 差 σ は 次 式 で 与 えられる i 9
σ = (3a) ( x i x) i= ここで x は() 式 の 算 術 平 均 である また 分 散 はσ であり 次 式 で 与 えられる すなわち 分 散 σ は 平 均 値 x からの 偏 差 = i= ( x i x) σ (3b) x i x の 二 乗 和 の 平 均 値 であり 標 準 偏 差 σ はその 平 方 根 である チーム A と B について 分 散 σ を 計 算 すると それぞれ 6 と 6 になり 選 手 の 身 長 の 分 布 が 幅 広 いチーム A の 分 散 が 大 きくなる このように 分 散 を 計 算 すれば 分 布 の 程 度 を 定 量 的 に 把 握 できる なお (5.3a)(5.3b) 式 は 正 確 にはそれぞれ 母 集 団 標 準 偏 差 と 母 集 団 分 散 と 呼 ばれるものである この 他 に 用 いられる 分 散 として 次 式 (5.3c)の 標 本 標 準 偏 差 σˆ と(5.3d)の 標 本 分 散 ˆ σ がある ˆ σ = (3c) i= ( x i x) ˆ σ = ( x i x) (3d) i= 母 集 団 標 準 偏 差 分 散 と 標 本 標 準 偏 差 分 散 の 違 いについては 統 計 の 授 業 で 詳 しく 学 んでほしい ここでは 母 集 団 標 準 偏 差 分 散 のみを 扱 う 例 題 6 チーム A と B の 分 散 ( 母 集 団 分 散 )をそれぞれ 下 記 の 通 りの 方 法 で 計 算 し 結 果 を 確 認 せよ Excel で 関 数 VARP を 用 いて 計 算 せよ VARP を 用 いずに (3b) 式 を 用 いて 計 算 せよ 図 7 抵 抗 間 電 圧 と 電 流 回 帰 直 線 と 最 小 二 乗 法 図 7 に 示 す 回 路 で 電 圧 V 電 流 I 抵 抗 値 R の 間 には オームの 法 則 により 次 式 の 関 係 が 成 立 する V = RI (4) したがって 抵 抗 の 抵 抗 値 が 未 知 の 場 合 でも V と I を 一 組 計 測 すれば R を 求 めることができるはずである しかし 実 際 には 様 々な 要 因 によって V と I の 一 組 だけから R を 決 定 することは 危 険 である 実 際 に ある 抵 抗 に 対 して V と I を 計 測 し R を 計 算 したところ 表 4 の 値 になった 0
データ 番 号 3 4 5 6 7 8 9 0 電 圧 [V].00.50.00.50 3.00 3.50 4.00 4.50 5.00 5.50 電 流 [A] 6.0E-04 9.89E-04.7E-03.6E-03.94E-03.E-03.54E-03.86E-03 3.7E-03 3.5E-03 抵 抗 値 [Ω].64E+03.5E+03.58E+03.54E+03.54E+03.59E+03.58E+03.57E+03.58E+03.56E+03 データ 番 号 3 4 5 6 7 8 9 電 圧 [V] 6.00 6.50 7.00 7.50 8.00 8.50 9.00 9.50 0.00 電 流 [A] 3.8E-03 4.08E-03 4.45E-03 4.75E-03 5.0E-03 5.35E-03 5.74E-03 6.00E-03 6.33E-03 抵 抗 値 [Ω].58E+03.59E+03.57E+03.58E+03.57E+03.59E+03.57E+03.58E+03.58E+03 表 4 ある 抵 抗 に 対 する V と I および 計 算 された R このように R の 値 は 実 験 毎 に 異 なってしまう V と I の 関 係 をグラフに 表 したものが 図 8 であるが (4)のよ うな 直 線 関 係 になっていないことがわかる これは V や I の 値 にノイズと 呼 ばれるさまざまな 誤 差 要 因 が 混 入 するためである.00 0.00 8.00 電 圧 [V] 6.00 4.00.00 0.00 0.00E+00.00E-03.00E-03 3.00E-03 4.00E-03 5.00E-03 6.00E-03 7.00E-03 電 流 [A] 図 8 VとIの 関 係 このデータから R を 計 算 するひとつの 方 法 は 各 々の 実 験 データ( 番 ~ 番 )で 得 られた 抵 抗 値 R を 平 均 することであるが 理 論 的 な 妥 当 性 が 乏 しい 本 節 では 最 小 二 乗 法 による 回 帰 直 線 の 計 算 方 法 を 説 明 しよう 回 帰 直 線 データの 組 ( x, y) に 対 して y = ax + b (5) のような 直 線 の 対 応 関 係 が 成 り 立 つとき この 直 線 (5)を 回 帰 直 線 とよぶ (4) 式 が 成 立 するなら y=v, x=i, a=r, b=0 となる 図 8 の 実 験 データに 対 しては 分 布 するデータ 点 の 中 心 を 貫 く 直 線 となるはずである ノイズに 汚 された 第 i 回 目 の 実 験 結 果 の 組 (x i, y i )から a と b の 推 定 値 â とbˆ を 求 める 代 表 的 な 手 法 が 最 小 二 乗 法 である
最 小 二 乗 法 ( 次 式 の 場 合 ) 第 i 番 目 のデータの 組 x, y ) に 対 して 次 の E を 最 小 にする â とbˆ を 求 めたい ( i i E = { yi ( axi + bˆ )} E を 最 小 にする â とbˆ は 次 式 で 計 算 できることが 知 られている (5.6) 式 の E は 推 定 誤 差 y ( ax ˆ + bˆ ) i i i= i= ˆ (6) ( x x)( y y) i= aˆ = (7) ( x x) bˆ = y ax ˆ (8) の 二 乗 和 であり これを 最 小 にすることから 最 小 二 乗 法 と 呼 ばれている 例 題 7 表 4 と 図 8 を Excel で 作 成 せよ 例 題 8 表 4 のデータに 対 して Excel で 回 帰 直 線 を 計 算 することによって 抵 抗 値 R を 求 めよ なお 有 効 桁 数 は V と I それぞれの 有 効 桁 数 の 短 いほうになる 理 由 は 各 自 で 考 えよ Excel で 回 帰 直 線 を 求 めるには グラフの データ 部 分 を 右 クリックして メニューの 近 似 曲 線 の 追 加 を 選 択 し 種 類 で 線 形 近 似 オプションで グラフに 数 式 を 表 示 する を 選 択 すると 自 動 計 算 されて 表 示 される ( 図 9) 図 9 近 似 曲 線 の 追 加 例 題 9 表 4 のデータに 対 して (7)と(8)を 用 いて 回 帰 直 線 を 計 算 し 例 題 8 の 結 果 と 比 較 せよ