レポート(テーマ2)の 実 例 テーマ2( 統 計 的 分 析 )に 特 有 な 事 項 ( 書 式 の3 4)についての 参 考 情 報 を 以 下 に 記 し その 後 実 例 を 示 します 3. 方 法 1) 使 用 したデータについて 公 開 されているデータの 例 としては 例 えば 以 下 のようなものがありますので 参 考 にして 下 さい 総 務 省 統 計 局 e-stat( 政 府 統 計 のポータルサイト http://www.e-stat.go.jp/sg1/estat/estattopportal.do) 気 象 庁 各 種 データ 資 料 (http://www.jma.go.jp/jma/menu/menureport.html) スポーツ 関 連 の 各 種 データ 例 えば 相 撲 レファレンス (http://sumodb.sumogames.de/default.aspx?l=j) 等 ソーシャルデータ(ツイッター 等 ) 2) 解 析 の 方 法 について データ 分 析 については 以 下 の 教 材 に データ 事 例 を 含 めて 高 校 生 向 けの 方 法 解 説 や 分 析 の 事 例 が 多 く 載 っていますので 参 考 にしてください 科 学 の 道 具 箱 ( 日 本 統 計 学 会 統 計 教 育 委 員 会 http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0530/start.html) なるほど 統 計 学 園 高 等 部 ( 総 務 省 統 計 局 http://www.stat.go.jp/koukou/index.htm) 4. 結 果 と 考 察 統 計 的 な 分 析 の 事 例 として 最 近 実 施 されたデータ 解 析 関 連 コンテストからの 事 例 ( 高 校 生 入 賞 作 品 ) を 紹 介 します データサイエンス アドベンチャー 杯 (2014 年 科 学 技 術 振 興 機 構 (JST) 主 催 JST の 科 学 技 術 デ ータを 使 用 して 統 計 データ 分 析 を 行 う http://www.sascom.jp/aac/index.html) U-18 賞 大 学 のそこんところ ~おカネと 人 と 論 文 と~ 第 1 回 データビジネス 創 造 コンテスト(2014 年 ツイッターの 分 析 活 用 と 新 たなサービスのアイデア http://dmc-lab.sfc.keio.ac.jp/prize/) 最 優 秀 賞 花 粉 症 患 者 のつぶやきを 社 会 の 意 志 決 定 に 活 かしたい 次 ページ 以 下 に 統 計 的 分 析 のレポートの 実 例 として 大 相 撲 の 決 まり 手 の 数 と 力 士 の 体 重 の 相 関 につ いて 分 析 したレポートを 示 しますので 参 考 にして 下 さい
作 品 名 大 相 撲 の 決 まり 手 の 数 と 力 士 の 体 重 の 相 関 についての 分 析 氏 名 西 川 哲 夫 1. 研 究 の 要 約 大 相 撲 において 各 力 士 の 決 まり 手 の 数 に 力 士 の 体 重 が 影 響 を 与 えているかどうかを 知 るために 幕 内 42 力 士 について 体 重 と 決 まり 手 の 数 との 相 関 を 調 べた その 結 果 決 まり 手 の 数 は 現 在 の 体 重 と の 間 には 中 程 度 の 負 の 相 関 (-0.55)があり 各 力 士 の 初 土 俵 から 約 2 年 の 時 期 の 体 重 との 間 には 強 い 負 の 相 関 (-0.75)があることがわかった また 決 まり 手 の 数 が 多 い 力 士 は 体 重 が 軽 い 初 土 俵 の 頃 に 決 まり 手 の 数 が 多 く 体 重 が 増 加 するにつれて 決 まり 手 の 数 が 減 っていく 傾 向 があることがわかった 2. 研 究 の 動 機 と 目 的 大 相 撲 の 魅 力 は その 大 きな 体 が 生 み 出 す 迫 力 と 共 に その 多 彩 な 技 にあると 思 われる 大 相 撲 には 82 手 の 決 まり 手 があるという 最 近 その 技 の 多 彩 さが 失 われ それは 力 士 の 体 重 の 増 加 と 関 係 がある ということが 新 聞 の 記 事 で 指 摘 されていた( 朝 日 新 聞 2013 年 12 月 14 日 朝 刊 力 士 大 きく 決 まり 手 少 なく ) この 記 事 で つり 出 しや 掛 け 技 が 減 少 し 押 し 出 しとはたきこみが 増 加 していることがこの 40 年 間 で 見 られ 平 均 体 重 の 増 加 と 関 係 しているのではないかと 指 摘 されていた しかし この 記 事 では 幕 内 全 体 での 平 均 体 重 や 決 まり 手 の 頻 度 の 変 化 をみているので 個 々の 力 士 について 体 重 の 大 きい 力 士 が 決 まり 手 の 数 が 多 いのかどうかはわからないと 思 われる そこでここでは 力 士 の 体 重 と 決 まり 手 の 数 とは 本 当 に 相 関 があるのかどうかを 調 べることを 本 研 究 の 目 的 とした 3. 方 法 (1) 使 用 したデータについて 1) 日 本 相 撲 協 会 サイトからの 情 報 取 得 日 本 相 撲 協 会 の 番 付 表 (http://www.sumo.or.jp/honbasho/banzuke/index)から 平 成 26 年 7 月 場 所 の 各 幕 内 力 士 の 力 士 プロフィールにアクセスし 平 成 26 年 7 月 場 所 時 点 での 幕 内 力 士 名 と 身 長 及 び 体 重 情 報 を 取 得 した 2) 相 撲 レファレンス サイトからの 情 報 取 得 過 去 の 取 組 のデータは 相 撲 レファレンス (http://sumodb.sumogames.de/default.aspx?l=j)の サイトから 取 得 した 1 過 去 の 体 重 情 報 幕 内 力 士 に つ い て 相 撲 レ フ ァ レ ン ス の 力 士 検 索 (http://sumodb.sumogames.de/rikishi.aspx?l=j)で 各 力 士 の 情 報 にアクセスした 各 力 士 の 過 去 の 体 重 情 報 については 各 力 士 の 情 報 のページ 下 部 の 過 去 の 場 所 の 星 取 表 にほぼ 1 年 毎 に 記 載 された 体 重 情 報 を 取 得 した 2 過 去 の 取 組 の 決 まり 手 の 情 報 各 力 士 の 過 去 の 取 組 の 決 まり 手 の 情 報 は 各 力 士 の 情 報 のページにある すべての 決 まり 手 を 見 る のリンクのページから 取 得 した このページには 左 側 に 各 力 士 の 過 去 の 決 まり 手 の 統 計 情 報 ( 全 決 ま り 手 数 及 び 各 決 まり 手 の 頻 度 情 報 )が 記 載 してある また このページの 右 側 には 各 力 士 の 過 去 の 全 ての 取 組 について 勝 ちの 場 合 と 負 けの 場 合 に 分 けて 決 まり 手 ごとに 取 組 情 報 を 記 載 してある 取 組 情 報 としては 場 所 ( 年 月 ) 日 ( 何 日 目 ) 取 組 み 時 の 地 位 決 まり 手 名 称 相 手 の 地 位 と 四 股 名 が 1
取 組 み 毎 に 1 行 で 記 載 してある この 取 組 情 報 のうち 勝 ちの 場 合 の 取 組 情 報 全 ての 行 を 取 得 してエクセ ルファイル 上 に 記 録 した (2) 解 析 の 方 法 について 力 士 毎 に 決 まり 手 数 と 体 重 の 相 関 を 調 べるためには 決 まり 手 数 を 数 える 期 間 をどうするかという ことと いつの 時 期 の 体 重 を 用 いるかが 問 題 であると 考 えられる 期 間 が 短 いと 十 分 な 決 まり 手 数 がカ ウントできないだろうし 期 間 が 長 いと 決 まり 手 の 傾 向 がその 期 間 の 間 に 変 化 していくだろうと 考 えら れるからである また 体 重 も 時 期 によって 変 化 していく( 一 般 的 には 増 加 していく)と 考 えられる ここではまず 期 間 時 期 については 詳 細 に 扱 わず 平 均 的 な 情 報 として 決 まり 手 数 と 体 重 の 相 関 を 調 べることとした すなわち 幕 内 全 力 士 (42 名 )の 各 々について 全 決 まり 手 数 と 平 成 26 年 7 月 場 所 の 体 重 ( 現 在 の 体 重 と 呼 ぶ)との 間 の 相 関 を 調 べた 比 較 のために 決 まり 手 数 と 身 長 との 相 関 につ いても 調 べた その 後 決 まり 手 数 の 多 い 複 数 の 力 士 について 決 まり 手 数 と 体 重 の それらを 調 べる 期 間 の 長 さや 時 期 に 対 する 依 存 性 を 調 べた その 結 果 を 踏 まえ 幕 内 全 力 士 (42 名 )の 各 々について 全 決 まり 手 数 と 初 土 俵 から 約 2 年 間 の 平 均 体 重 との 間 の 相 関 を 調 べた 1) 現 在 の 体 重 と 全 決 まり 手 数 の 相 関 分 析 平 成 26 年 7 月 場 所 の 各 幕 内 力 士 42 人 について 現 在 の 体 重 と 全 決 まり 手 数 について 度 数 分 布 を 求 めた また 現 在 の 体 重 と 全 決 まり 手 数 の 間 の 相 関 及 び 身 長 と 全 決 まり 手 数 の 間 の 相 関 を 調 べた 散 布 図 を 作 成 し 相 関 係 数 を 計 算 した 2) 一 定 期 間 における 決 まり 手 数 と 体 重 の 時 間 的 推 移 の 分 析 次 に 一 定 期 間 における 決 まり 手 の 数 と 体 重 の 時 間 的 推 移 の 様 子 を 知 るために 決 まり 手 数 が 多 い1 名 の 力 士 ( 白 鵬 決 まり 手 数 39)について 過 去 の 全 取 組 情 報 から 異 なる 複 数 の 長 さの 一 定 の 期 間 ご とに 決 まり 手 数 を 集 計 した ここで 勝 利 の 取 組 数 ( 以 下 では 取 組 み 数 と 称 する)を 期 間 を 表 す 指 標 として 用 いた また 初 土 俵 からの 取 組 数 を 時 期 を 表 す 指 標 として 用 いた 期 間 の 長 さとしては 50 100 150 取 組 を 用 いた また 50 取 組 毎 の 決 まり 手 数 の 初 土 俵 からの 積 算 値 を 算 出 した さらに ほぼ 1 年 毎 に 記 録 されている 体 重 の 記 録 の 時 期 を 初 土 俵 からの 取 組 数 に 換 算 した 以 上 から 50 100 150 取 組 毎 の 決 まり 手 数 と 初 土 俵 後 の 50 取 組 毎 の 決 まり 手 数 の 積 算 値 及 び 体 重 の 時 期 ( 初 土 俵 後 の 取 組 み 数 )による 推 移 が 求 められた 上 記 で 得 られた 結 果 より 期 間 の 大 きさを 一 つに 決 定 し さらに 決 まり 手 数 が 多 く(34 以 上 ) かつ 現 在 と 若 い 時 期 の 体 重 差 が 大 きい4 名 の 力 士 ( 安 美 錦 北 大 樹 日 馬 富 士 豊 ノ 島 )について 決 まり 手 の 数 と 体 重 の 推 移 の 様 子 を 調 べた 総 勢 5 名 の 力 士 について 各 期 間 における 決 まり 手 の 数 と 体 重 の 相 関 係 数 を 計 算 した 上 記 の 推 移 グラフと 相 関 により 体 重 情 報 として 初 土 俵 から 約 2 年 間 の 体 重 の 平 均 値 ( 初 期 体 重 と 呼 ぶこととする)を 算 出 して 以 降 の 分 析 に 用 いることとした 3) 初 期 体 重 と 全 決 まり 手 数 の 相 関 分 析 幕 内 全 力 士 (42 力 士 )について 初 期 体 重 を 求 め 初 期 体 重 について 度 数 分 布 を 求 めた 各 力 士 の 全 決 まり 手 数 と 初 期 体 重 の 散 布 図 を 作 成 し 相 関 係 数 を 計 算 した 4. 結 果 と 考 察 2
(1) 現 在 の 体 重 と 全 決 まり 手 数 の 相 関 分 析 図 1と 図 2に 平 成 26 年 7 月 場 所 の 各 幕 内 力 士 42 人 の 現 在 の 体 重 と 全 決 まり 手 数 の 度 数 分 布 を 示 す 図 1から 現 在 の 体 重 の 平 均 値 最 低 値 最 大 値 は ぞれぞれ 158.4 kg 130.0 kg 199.0 kg である 現 在 の 体 重 の 最 頻 区 間 は 150~160 kg であり 若 干 上 方 に 伸 びているが 左 右 対 称 に 近 い 正 規 分 布 に 近 い 分 布 をしている 図 2から 全 決 まり 手 数 の 平 均 値 最 低 値 最 大 値 は ぞれぞれ 26.0 15 42 で ある 最 頻 区 間 は 15~20 であり 下 方 にはほとんど 伸 びておらず 上 方 に 長 く 伸 びた 分 布 をしている 全 決 まり 手 数 の 最 小 区 間 と 最 頻 区 間 がほぼ 一 致 しており 全 決 まり 手 数 の 下 限 (15~20)の 存 在 が 推 察 される これが 幕 内 力 士 としての 下 限 なのかどうかは より 下 位 の 力 士 について 調 べてみる 必 要 がある が ここでは 行 っていない 図 3に 現 在 の 体 重 と 全 決 まり 手 数 の 散 布 図 を 示 す 図 3に 示 すように 現 在 の 体 重 の 増 加 に 伴 って 全 決 まり 手 数 は 減 少 する 傾 向 にある この 傾 向 を 定 量 化 するために 相 関 係 数 を 計 算 してみると -0.55 で あった この 値 は 相 関 が 中 程 度 はあるといえるレベルである 図 4に 現 在 の 身 長 と 全 決 まり 手 数 の 散 布 図 を 示 す 相 関 係 数 は -0.15 であり 現 在 の 身 長 と 全 決 まり 手 数 の 間 には 相 関 がないことがわかっ た 分 析 の 方 法 で 述 べたように 時 期 による 決 まり 手 数 や 体 重 の 変 化 を 考 慮 にいれた 分 析 を 次 に 行 うた めに 以 下 では 異 なる 時 期 で 一 定 期 間 での 決 まり 手 の 数 と 体 重 を 求 め その 時 間 的 推 移 について 調 べ てみることとした 3
相 関 係 数 =-0.55 相 関 係 数 =-0.15 (2) 一 定 期 間 における 決 まり 手 数 と 体 重 の 時 間 的 推 移 の 分 析 白 鵬 の 50 100 150 取 組 毎 の 決 まり 手 数 と 初 土 俵 後 の 50 取 組 毎 の 決 まり 手 数 の 積 算 値 及 び 体 重 の 時 期 ( 初 土 俵 後 の 取 組 み 数 )による 推 移 を 図 5に 示 す 図 5より 決 まり 手 数 は 取 組 み 数 の 増 加 と 共 に 減 少 した 後 増 加 し その 後 再 び 減 少 することがわかる 集 計 の 期 間 が 50 取 組 の 場 合 は 細 かな 変 動 が 多 いので 期 間 をより 大 きくしたほうが 望 ましいと 考 えられる 集 計 の 期 間 が 100 と 150 取 組 の 場 合 は 細 かな 変 動 もなくほぼ 同 じ 傾 向 を 示 すので ここではよりプロット 数 がとれる 100 取 組 を 以 降 の 分 析 に 用 いることとする 4
体 重 の 推 移 と 決 まり 手 数 の 推 移 を 比 較 すると 若 い 時 期 には 体 重 は 軽 く 決 まり 手 数 が 多 い 傾 向 にあ ることがわかる 最 初 の 決 まり 手 数 の 減 少 とその 後 の 決 まり 手 数 の 増 加 の 時 期 は それぞれ 白 鵬 が 横 綱 になった 頃 と 優 勝 10 回 目 の 頃 であり 多 くの 決 まり 手 が 必 要 ないほど 充 実 した 横 綱 昇 進 の 頃 と 優 勝 を 重 ねるために 決 まり 手 数 を 増 やしていた 頃 に 対 応 しているのではないかと 推 定 される 決 まり 手 数 の 積 算 値 は 2 回 目 の 決 まり 手 数 のピークの 頃 に 増 加 しており 最 初 のピークのときとは 異 なる 決 まり 手 を 増 加 させていたことがうかがえる 次 に ここで 得 られた 体 重 の 軽 い 若 い 時 期 に 決 まり 手 数 が 多 い 傾 向 にどの 程 度 一 般 性 があるのか を 調 べるために 決 まり 手 数 が 多 く(34 以 上 ) かつ 現 在 と 若 い 時 期 の 体 重 差 ( 約 40 kg 以 上 )が 大 き い 5 名 の 力 士 ( 白 鵬 安 美 錦 北 大 樹 日 馬 富 士 豊 ノ 島 )について 同 様 な 分 析 を 行 った 図 6に 上 記 5 名 の 力 士 について 100 勝 利 取 組 毎 の 決 まり 手 数 と 体 重 の 推 移 を 示 した 力 士 によっては 単 調 な 減 少 ではないが 取 組 み 数 が 増 加 するにつれて 体 重 の 増 加 と 共 に 決 まり 手 数 は 減 少 していく 傾 向 にあ ることがわかる このことを 定 量 的 に 確 かめるために 図 7に 各 力 士 の 各 期 間 における 体 重 と 決 まり 手 数 の 散 布 図 を 示 した 相 関 係 数 は -0.52 であったので 中 程 度 の 相 関 であることがわかる また 図 6で 各 力 士 において 体 重 の 軽 い 初 土 俵 後 の 100 取 組 ぐらいの 期 間 における 決 まり 手 数 が 最 も 多 いことがわかる このように 決 まり 手 数 の 多 い 力 士 の 決 まり 手 数 には その 力 士 の 初 土 俵 後 の 100 取 組 の 期 間 における 決 まり 手 数 が 最 も 寄 与 していることがわかった そこで 決 まり 手 数 と 体 重 の 相 関 分 析 に 用 いる 体 重 として 初 土 俵 後 の 100 勝 利 取 組 の 期 間 における 体 重 を 用 いることとする 100 取 組 は 2~3 年 に 相 当 するので ここでは 初 土 俵 後 2 年 間 における 体 重 の 平 均 値 を 用 いることとした 5
相 関 係 数 =-0.52 (3) 初 期 体 重 と 全 決 まり 手 数 の 相 関 分 析 幕 内 全 力 士 (42 力 士 )について 平 成 26 年 7 月 場 所 の 体 重 ( 現 在 の 体 重 )と 初 土 俵 から 約 2 年 間 の 平 均 体 重 ( 初 期 体 重 )の 度 数 分 布 を 図 8に 示 す 初 期 体 重 については 平 均 値 最 低 値 最 大 値 は ぞ れぞれ 128.3 kg 89.4 kg 164.0 kg であった 初 期 体 重 は 現 在 の 体 重 と 比 べると 平 均 で 30.1 kg 最 低 値 で 40.6 kg 最 大 値 で 35.0 kg 小 さいことがわかる 図 9に 幕 内 全 力 士 について 初 期 体 重 と 全 決 まり 手 数 の 散 布 図 を 現 在 の 体 重 と 全 決 まり 手 数 の 散 布 図 と 共 に 示 す 図 9に 示 すように 初 期 体 重 を 用 いた 方 が 全 決 まり 手 数 のばらつきが 減 少 しよりシャープな 相 関 が 観 察 される 相 関 係 数 は 現 6
在 の 体 重 の 場 合 の-0.55 に 対 して 初 期 体 重 の 場 合 -0.75 となり 強 い 相 関 が 観 察 された 現 在 の 体 重 との 相 関 の 場 合 150 kg 付 近 での 全 決 まり 手 数 のばらつきは 50 kg 以 上 あるが 初 期 体 重 との 相 関 では 全 体 重 区 間 で 全 決 まり 手 数 のばらつきは 40 kg 以 内 に 収 まっている このことによって 相 関 係 数 の 絶 対 値 が 大 きくなったと 考 えられる ばらつきの 減 少 の 原 因 は 以 下 のように 考 えられる 現 在 の 体 重 が 150 kg 付 近 の 力 士 は 初 期 体 重 が 大 きい 力 士 と 小 さい 力 士 に 分 かれており 初 期 体 重 が 小 さいほうが 全 決 まり 手 数 が 大 きいため 初 期 体 重 で 相 関 をみると 150 kg 付 近 のばらつきが 解 消 されて よりばらつきの 小 さい 負 の 相 関 が 観 察 され るのだと 考 えられる 以 上 示 したように 初 期 体 重 と 全 決 まり 手 数 の 間 には 強 い 相 関 があることがわか った 初 期 体 重 相 関 係 数 =-0.75 現 在 の 体 重 相 関 係 数 =-0.55 kg 7
5. 結 論 と 今 後 の 課 題 及 び 感 想 1) 結 論 大 相 撲 において 各 力 士 の 決 まり 手 の 数 に 力 士 の 体 重 が 影 響 を 与 えているかどうかを 知 るために 幕 内 42 力 士 について 体 重 と 決 まり 手 の 数 との 相 関 を 調 べた 結 果 以 下 のことが 得 られた 1 幕 内 力 士 の 全 決 まり 手 数 の 平 均 値 最 大 値 最 低 値 はそれぞれ 26.0 42 15 であった 全 決 まり 手 数 の 最 小 区 間 と 最 頻 区 間 がほぼ 一 致 し 全 決 まり 手 数 の 下 限 (15~20)の 存 在 が 推 察 された 2 現 在 の 体 重 と 全 決 まり 手 数 には 中 程 度 の 相 関 ( 相 関 係 数 = -0.55)があった 3 初 期 体 重 と 全 決 まり 手 数 には 強 い 相 関 ( 相 関 係 数 = -0.75)があった 4 全 決 まり 手 数 の 多 い 力 士 は 初 土 俵 から 約 2 年 間 における 決 まり 手 数 が 最 も 多 く 体 重 の 増 加 と 共 に 次 第 に 減 少 していく 傾 向 にあった これは 軽 量 の 力 士 が 幕 内 で 勝 つためには 決 まり 手 の 多 さが 必 要 であり 体 重 が 増 加 するにつれて 少 ない 決 まり 手 で 勝 てるようになったものと 思 われる 結 論 として 力 士 の 体 重 と 決 まり 手 の 数 との 間 には 実 際 に 相 関 があり 体 重 として 初 期 体 重 を 考 えた ときに 強 い 相 関 があることがわかった 2) 今 後 の 課 題 今 後 検 討 すべき 課 題 として 以 下 のような 課 題 が 考 えられる 1 今 回 の 分 析 では 決 まり 手 の 具 体 的 な 中 身 については 触 れていないので 具 体 的 な 決 まり 手 に 着 目 し た 分 析 を 行 ってみたい 2 決 まり 手 の 種 類 は 力 士 本 人 の 体 重 だけではなく 取 組 相 手 の 体 重 も 関 係 すると 思 われるので 取 組 相 手 との 体 重 差 を 考 慮 した 分 析 を 行 ってみたい 3 決 まり 手 の 数 には 力 士 の 経 歴 ( 例 えばモンゴル 出 身 など)も 影 響 すると 思 われるので 力 士 の 経 歴 など 体 重 以 外 の 要 因 を 考 慮 した 分 析 を 行 ってみたい 4 今 回 幕 内 力 士 のみを 分 析 の 対 象 にしたので 下 位 の 力 士 や 過 去 の 力 士 についても 調 べてみたい 3) 感 想 新 聞 の 記 事 をきっかけにテーマを 考 えてみたが 取 り 組 みのデータをいかにして 収 集 するかが 課 題 で あった 幸 い 相 撲 レファレンス という 非 常 に 有 用 なサイトが 見 つかり 分 析 を 始 めることができた が データの 収 集 というのは 統 計 的 な 分 析 には 一 番 の 問 題 になるのものだと 思 った データが 初 めから まとまった 形 で 収 集 できたわけではないので 必 要 なデータを 収 集 するのに 苦 労 した エクセルの 様 々 な 機 能 を 用 いて 分 析 を 行 うなどデータ 分 析 に 苦 労 した 目 的 としたことは 新 聞 で 見 つけた 当 たり 前 と 思 えるようなことをデータで 実 証 することであったが 実 際 に 分 析 を 行 うにつれて 関 連 する 様 々な 新 しい 疑 問 や 課 題 が 浮 かんできて 非 常 に 興 味 深 く 研 究 はお もしろいものだと 思 った 大 相 撲 の 力 士 自 体 にも 興 味 が 沸 いてきた 今 後 身 の 回 りの 当 たり 前 と 思 ええ るようなことにも 気 をつけていきたいと 思 う 8