010 年 1 月 0 日 ( 月 ) 13:00-14:30 Y 平 成 年 度 工 系 ( 社 会 環 境 工 学 科 ) 第 11 回 電 磁 気 学 Ⅰ 天 野 浩 項 目 アンペアの 定 義 電 流 と 回 路 キルヒホッフの 法 則 の 導 出 ここでは 定 常 電 流 実 現 までの 道 のりを 振 り 返 り アンペアの 定 義 定 常 電 流 と 電 気 回 路 の 基 本 法 則 であるに 関 する 電 磁 気 学 的 な 解 釈 を 行 います 定 常 電 流 と 直 流 回 路 電 池 による 定 常 電 流 実 現 までの 道 のり 1780 年 11 月 6 日 ルイージ ガルヴァーニ (イタリア ボローニャ 大 学 解 剖 学 教 授 ) 二 種 類 の 金 属 を 指 すことによるカエルの 足 の 痙 攣 を 発 見 ( 第 一 発 見 者 はガルバーニの 妻 ) ガルバーニによれば 電 気 は 筋 肉 内 にあるとされたが 残 念 ながらカエルが 電 気 を 持 つのではなく 種 類 の 金 属 とカ エルの 足 を 環 状 に 接 続 すればいつでもカエルは 痙 攣 した 電 源 はカエルではなく 種 の 金 属 だったのである ガルバノメータ( 検 流 計 ) 検 流 計 の 原 理
電 池 による 定 常 電 流 実 現 までの 道 のり 1801 年 ころ アレッサンドロ ジュゼッペ ボルタ (イタリア コモ 大 学 物 理 学 教 授 ) 銀 とスズの 板 を 互 い 違 いに 何 層 にも 重 ね そこに 食 塩 水 をかけると 電 流 が 発 生 することを 発 見 銅 と 亜 鉛 の 組 み 合 わせ ボルタの 電 池 1881 年 ボルタを 記 念 し 電 圧 の 基 本 単 位 の 名 はボ ルトとすることが 決 まった 高 校 の 科 学 で 習 ったボルタの 電 池 動 作 機 構 を 説 明 できますか? 電 池 の 開 発 の 歴 史 と 種 類 を 調 べてみよう! hhttp://www.nararika.com/butsuri/kagakushi/denki/volta.htm http://ja.wikipedia.org/wiki/%e7%94%bb%e5%83%8f:oltaic_pile.png 電 圧 と 電 流 の 関 係 の 法 則 化 :オームの 法 則 186 年 ゲオルク シモン オームがオームの 法 則 を 発 見 オームはフーリエが 提 唱 した 熱 の 流 れに 電 気 を 当 てはめ 熱 でいう 点 間 の 温 度 差 と 熱 流 を それぞれ 電 圧 と 電 流 に 置 き 換 えてみた ボルタ 電 池 と 自 作 の 検 流 計 を 使 用 し 電 線 の 太 さ や 長 さを 変 えて 実 験 をしていくが 現 在 のオームの 法 則 のような 比 例 関 係 の 式 に はならなかった ( 最 初 は 失 敗 ) オームの 実 験 装 置 ボルタ 電 池 ゼーベックの 熱 起 電 力 に 置 き 換 え ビスマスと 銅 を 組 み 合 わ せた 熱 電 対 を 作 製 し 片 方 を 沸 騰 しつつある 湯 の 中 へ 片 方 を 氷 の 入 った 水 の 中 へ 入 れた 熱 電 対 の 温 度 差 は100 であり 湯 の 温 度 を 調 節 することで 温 度 差 すなわち 電 圧 の 調 整 が 容 易 となった これによりX = a / (b + x)の 式 を 導 く X: 電 流 a: 起 電 力 ( 電 圧 ) b: 抵 抗 器 の 抵 抗 x: 導 線 の 抵 抗 この 式 が 現 在 知 られる = E / R に 発 展 していくが これには 長 い 道 のりがある http://www.shinko-keirin.co.jp/kori/science/ayumi/ayumi09.html
単 位 系 での 電 流 1A(アンペア)の 定 義 本 の 平 行 導 線 に 電 流 が 流 れていると 力 が 働 く 1 1 f k kは 比 例 定 数 r 0 k と 決 める r 7 0 4 10 1[A]とは 本 の 導 線 に 同 じ 電 流 を 流 し その 導 線 に 働 く 力 が 10-7 [N]となる 電 流 の 大 きさ アンペアの 正 式 な 定 義 0 : 真 空 の 透 磁 率 単 位 は[N/A ]または[H/m] 1 0 f [ N ] 1 1 B[ r r 0 N 電 流 の 周 りには 磁 束 密 度 B の 磁 界 ができる 0 B r 確 かめよう! ] 電 流 とは 何 か? 実 用 的 定 義 電 流 の 大 きさ:1[アンペア(Ampere : A)]: 1[クーロン(Coulomb : C)]の 電 荷 が1[ 秒 (second : s)]に1 個 流 れたら1A C C [A] s 電 流 には 方 向 がある! 電 流 の 向 き + +++ + + 負 電 荷 が 動 くと 電 流 の 向 き は 反 対 電 流 の 向 き -- --- -
電 流 密 度 :j[a/m ] 通 過 するか? 電 流 とは 何 か? 実 用 的 定 義 単 位 時 間 当 たり 単 位 面 積 にどれだけの 電 荷 が q q q q q q qq 単 位 面 積 j=q n v q: 各 粒 子 の 電 荷 n: 粒 子 の 密 度 v: 粒 子 の 速 度 (ドリフト 速 度 ) q nは 電 荷 密 度 と 表 す * 点 rでの 電 流 密 度 : j(r)=(r) v(r) *qがマイナスならば 電 流 の 向 きが 反 対 になる 電 流 電 流 と 電 流 密 度 の 関 係 dq dt 電 荷 の 量 が 多 ければ 電 流 は 大 きい 電 荷 が 速 ければ 電 流 は 大 きい j ( r ) d
Q11-1 銅 の 結 晶 構 造 は 面 心 立 方 格 子 であり 格 子 定 数 ( 単 位 立 方 体 の1 辺 の 長 さ)は3.615A である 一 つの 銅 原 子 あたり 一 つの 電 子 が 放 出 されるとすると 1[cm 3 ]あたりどれだけの 電 子 が 存 在 するか? 3.615A 4 8.47 * 10 個 3 0.3615 cm 3 Q11- 銅 の 自 由 電 子 濃 度 はn=8.47 10 [cm -3 ]である 直 径 1.0[mm]の [ ] 銅 の 導 線 に10[A]の [ ] 電 流 が 流 れている 導 線 中 の 電 子 の 平 均 のドリフト 速 度 ( 電 界 による 速 度 )を 求 めなさい 電 子 の 素 電 荷 : q=1.60 10-19 [C] j=qnvより v=10/((0.5 10-3 ) 3.14 1.60 10-19 8.47 10 8 ) =9.4 10 94 10-4 [m/s] =9.4 10 - [cm/s]
オームの 法 則 抵 抗 に 電 流 を 流 すと 抵 抗 間 の 電 圧 とは 比 例 する 下 流 に 比 べて 上 流 は だけ 電 圧 が 高 い 単 位 : [ ] A 因 みに A R オーム [ Ohm ] オームの 法 則 という Mho ジーメンス (モー) 微 視 的 に 見 たオームの 法 則 R 断 面 積 長 さの 抵 抗 体 がある 抵 抗 Rとすると =R Q11-3 抵 抗 体 内 部 で 電 界 Eが 均 一 とすると Eとの 関 係 は E Q11-4 電 流 が が 均 一 に 流 れているとすると 電 流 密 度 Jとの 関 係 は J =R より E R J J R E E 1 E
微 視 的 に 見 たオームの 法 則 J E 1 E R 導 電 率 R 抵 抗 率 [ / m ] [ m ] R Q11-5 左 図 のように 銀 を 断 面 積 [cm ] 長 さ [cm]の 直 方 体 に 加 工 したとする この 電 気 抵 抗 R []を 抵 抗 率 及 び を 用 いて 表 し なさい また 厚 さ50[m]の さ5.0 銀 のシートを トを 10.0 0 [μm]の 幅 を 直 線 状 に 残 して 後 は 削 りとってしまう 加 工 のできる 装 置 がある これらを 用 いて 100 []の 抵 抗 を 作 製 したい 銀 のシートをどのように 加 工 すればよい か ただし 銀 の 抵 抗 率 は1.59[ cm]である は159[ R 6 100 1.5910 4 510 *1010 4 より =31.44 [cm]となるよう10μm 幅 で 加 工 すればよい
ジュール 熱 ジュールの 法 則 : 導 線 中 を 流 れる 電 流 [A]によって 発 生 する 熱 量 Q[J]は 電 流 の 乗 と 導 線 の 抵 抗 Rと 時 間 t[s]に 比 例 する Q= Rt J となる オームの 法 則 =R を 使 うと Q= t 単 位 時 間 当 たりに 発 生 する 熱 量 は Q= R= [J/s=W] ワット 電 力 という 単 位 時 間 当 たりのエネルギー 電 力 [W]に 時 間 [h]をかけたものを 電 力 量 [Wh]という ジュール 熱 単 位 に 注 目! 家 庭 用 積 算 電 力 計 http://www.hamajima.co.jp/~tenjin/tools/wattmtr.htm
=R 抵 抗 R B A ジュール 熱 の 原 子 論 的 解 釈 抵 抗 Rに 電 流 が 流 れ 端 子 AB 間 の 電 圧 がであったとする 抵 抗 Rの 中 で 電 圧 が 均 一 であったとすると B A 従 って 電 界 Eは E dr E 電 流 のもとになる 電 荷 qを 持 つ 荷 電 粒 子 は F=qE という 力 を 受 け 続 けるので 抵 抗 内 で 粒 子 は 加 速 度 運 動 するはずである ところが 抵 抗 内 で 粒 子 の 速 度 は 一 定 で 電 界 に 比 例 する 抵 抗 の 材 料 が 加 速 度 運 動 を 妨 げ 粒 子 が 抵 抗 の 材 料 にエネル ギーを 与 え 一 定 速 度 になる Q11-6 ジュール 熱 を 利 用 した 電 気 器 具 を 三 つ 以 上 挙 げなさい 調 理 器 具 - 炊 飯 器 電 気 こんろ 電 気 ポット トースター 暖 房 器 具 - あんか こたつ 電 気 ストーブ ブ 電 気 毛 布 乾 燥 器 具 - 衣 類 乾 燥 機 食 器 乾 燥 機 ドライヤー 布 団 乾 燥 機 その 他 - アイロン 加 湿 器 半 田 ごて 電 力 ヒューズ すべてウィキペディアより
Q11-7 電 力 500Wのオーブントースターを100の 電 源 につないだ (1) オーブントースターには 何 Aの 電 流 が 流 れるか () オーブントースターの 抵 抗 は 何 Ωか (1) =P E=500(W) 100()=5(A) () 電 源 Eは100 電 流 は(1)より5A R=E =100() 5(A)=0(Ω) Q11-8 電 力 100Wの 電 球 を 毎 日 5 時 間 つけたとき 30 日 間 の 電 力 量 は 何 kwhになるか 一 日 では 100(W) 5(h)=500(Wh) 30 日 間 では 500(Wh) 30=15000(Wh)=15(kWh) 15(kWh)
Q11-9 5Ωの 電 熱 線 に10の 電 圧 をかけた (1)この 電 熱 線 に 流 れる 電 流 は 何 Aか ()この 電 熱 線 の 電 力 は 何 Wか (3)この 電 熱 線 を15 分 間 電 流 を 流 したら 電 力 量 は 何 Whか (1) 電 流 (A)= 電 圧 E() 抵 抗 R(Ω)=10() 5(Ω)=(A) () 電 力 P(W)= 電 圧 E() 電 流 (A)=10() (A)=0(W) (3) この 節 点 に 注 目 する 1 は 節 点 に 流 入 と 5 は 流 出 1 は+ と 5 はー ( 逆 でもよい) 直 流 電 流 が 左 から 右 へ 流 れていたら 左 の 端 子 の 方 が 電 圧 が 高 い
キルヒホッフの 第 一 法 則 ( 電 流 則 ) * 電 気 回 路 の 任 意 の 節 点 において 流 れ 込 む 向 きを 正 ( 又 は 負 )と 統 一 すると 各 線 の 電 流 を i としたとき その 総 和 は0となる *(あるいは 流 れ 込 む 電 流 と 流 れ 出 す 電 流 の 和 は0である あるい は 流 れ 込 む 電 流 の 和 と 流 れ 出 る 電 流 の 和 の 大 きさは 等 しい と 言 い 換 えることができる ) i i 1 3 i この 節 点 に 注 目! n i 0 i i1 キルヒホッフの 第 二 法 則 ( 電 圧 則 ) 電 気 回 路 に 任 意 の 閉 路 をとり 電 圧 の 向 きを 一 方 向 に 取 った とき 各 区 間 の 電 圧 を i とすると 電 圧 の 総 和 は0となる 閉 路 の 例 n 0 i i 1
キルヒホッフの 第 一 法 則 の 電 磁 気 学 的 解 釈 定 常 電 流 における 電 流 保 存 則 J 1 定 常 電 流 が から 1 に 向 かって 流 れ 側 面 から は 流 入 も 流 出 もしないとする 導 J 線 J1 n1d J1 nd 1 1 J n d J ( n ) d Ad ガウスの 定 理 側 面 からの 流 入 流 出 がないので J nd 0 積 分 形 の 電 流 保 存 則 Ad J 0 t J nd Jd 0 J 0 微 分 形 の 電 流 保 存 則 0: : 電 荷 の 時 間 変 化 がある 場 合 キルヒホッフの 第 二 法 則 の 電 磁 気 学 的 解 釈 閉 回 路 で 同 じ 位 置 に 戻 ってくれば =0は 当 たり 前 E dr C 0 A d A drr E 0 C ストークスの 定 理 磁 界 の 時 間 変 化 がある 場 合 は B E t
キルヒホッフの 法 則 に 関 する 注 意 事 項 1 3 Q11-10 1,, 3 を 求 めなさい * 符 号 に 注 意 して 各 閉 回 路 の 方 程 式 を 立 てる 閉 回 路 1 1 3 3 4 8 0 6 1 閉 回 路 1 1 3 1,, 3 を 求 めなさい 1 3 閉 回 路 8 4 1 3 0 閉 回 路
1 3 1,, 3 を 求 めなさい 1 3 キルヒホッフの 第 一 法 則 1 3 閉 回 路 3 6 3 1 4 8 8 4 1 0 8 3 1 3 0 1 3 0[ A ] 0.5[ A ] 0.5[ A ]
本 日 のまとめ 10 問 中 何 問 正 解 したか 書 きなさい オームの 法 則 の 微 分 形 を 書 きなさい 抵 抗 率 と 抵 抗 Rと 断 面 積 と 長 さの 関 係 を 示 しなさい 導 電 率 と 抵 抗 率 の 関 係 を 示 しなさい ジュールの 法 則 の 式 を 書 きなさい キルヒホッフの 第 一 の 法 則 をまとめなさい キルヒホッフの 第 二 の 法 則 をまとめなさい