新gTLD大量導入に伴うリスク検討報告書



Similar documents
続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

< F2D D D837C815B B8EC08E7B97768D80>

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

<4D F736F F D B3817A8E9096E291E D86939A905C>

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

●電力自由化推進法案

工 事 名 能 代 南 中 学 校 体 育 館 非 構 造 部 材 耐 震 改 修 工 事 ( 建 築 主 体 工 事 ) 入 札 スケジュール 手 続 等 期 間 期 日 期 限 等 手 続 きの 方 法 等 1 設 計 図 書 等 の 閲 覧 貸 出 平 成 28 年 5 月 24 日 ( 火

<4D F736F F D20D8BDB8CFC8BCDED2DDC482A882E682D1BADDCCDFD7B2B1DDBD8B4B92F E646F63>

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

工 事 名 渟 城 西 小 学 校 体 育 館 非 構 造 部 材 耐 震 改 修 工 事 ( 建 築 主 体 工 事 ) 入 札 スケジュール 手 続 等 期 間 期 日 期 限 等 手 続 きの 方 法 等 1 設 計 図 書 等 の 閲 覧 貸 出 平 成 28 年 2 月 23 日 ( 火

中根・金田台地区 平成23年度補償説明業務

公募

1 書 誌 作 成 機 能 (NACSIS-CAT)の 軽 量 化 合 理 化 電 子 情 報 資 源 への 適 切 な 対 応 のための 資 源 ( 人 的 資 源,システム 資 源, 経 費 を 含 む) の 確 保 のために, 書 誌 作 成 と 書 誌 管 理 作 業 の 軽 量 化 を 図

募集新株予約権(有償ストック・オプション)の発行に関するお知らせ

4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

1

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

・モニター広告運営事業仕様書

全設健発第     号

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

スライド 1

Microsoft Word 役員選挙規程.doc

2.JADA 検 査 対 象 者 登 録 リストへの 登 録 除 外 引 退 復 帰 2.1 JADA 検 査 対 象 者 登 録 リストへの 登 録 及 び 除 外 は 原 則 として 以 下 に 示 す 対 応 によりおこな うものとする 登 録 国 内 競 技 連 盟 からの 登 録 申 請

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

観光ガイド育成業務委託プロポーザル実施要領

Microsoft Word - 全国エリアマネジメントネットワーク規約.docx

IAF ID x:2010 International Accreditation Forum, Inc. Page 2 of 8 国 際 認 定 機 関 フォーラム(IAF)は 適 合 性 評 価 サービスを 提 供 する 機 関 の 認 定 のためのプログラ ムを 運 営 している この 認 定

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

平成17年度高知県県産材利用推進事業費補助金交付要綱

学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程

は 共 有 名 義 )で 所 有 権 保 存 登 記 又 は 所 有 権 移 転 登 記 を された も の で あ る こと (3) 居 室 便 所 台 所 及 び 風 呂 を 備 え 居 住 の ために 使 用 す る 部 分 の 延 べ 床 面 積 が 5 0 平 方 メ ー ト ル 以 上

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申


(Microsoft Word - \212\356\226{\225\373\220j _\217C\220\263\201j.doc)

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

第2回 制度設計専門会合 事務局提出資料

労働時間と休日は、労働条件のもっとも基本的なものの一つです

Taro13-公示.jtd

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

<4D F736F F D A94BD837D836C B4B92F62E646F6378>

工 事 名 沢 口 浄 配 水 場 建 設 工 事 ( 浄 水 管 理 棟 ) 入 札 スケジュール 手 続 等 期 間 期 日 期 限 等 手 続 きの 方 法 等 平 成 24 年 5 月 8 日 ( 火 ) 正 午 から 1 設 計 図 書 等 の 閲 覧 貸 出 基 本 事 項 2のとおり

(2) 検 体 採 取 に 応 ずること (3) ドーピング 防 止 と 関 連 して 自 己 が 摂 取 し 使 用 するものに 責 任 をもつこと (4) 医 師 に 禁 止 物 質 及 び 禁 止 方 法 を 使 用 してはならないという 自 己 の 義 務 を 伝 え 自 己 に 施 される

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

一般競争入札について

就 業 規 則 ( 福 利 厚 生 ) 第 章 福 利 厚 生 ( 死 亡 弔 慰 金 等 ) 第 条 法 人 が 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 民 間 社 会 福 祉 施 設 等 職 員 共 済 規 程 に 基 づき 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 との 間 において 締 結 す

鳥 取 国 民 年 金 事 案 177 第 1 委 員 会 の 結 論 申 立 人 の 昭 和 37 年 6 月 から 38 年 3 月 までの 国 民 年 金 保 険 料 については 納 付 していたものと 認 められることから 納 付 記 録 を 訂 正 することが 必 要 である 第 2 申

答申第585号

Microsoft Word 第1章 定款.doc

参 考 様 式 再 就 者 から 依 頼 等 を 受 けた 場 合 の 届 出 公 平 委 員 会 委 員 長 様 年 月 日 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 38 条 の2 第 7 項 規 定 に 基 づき 下 記 のとおり 届 出 を します この

Microsoft Word - 不正アクセス行為の禁止等に関する法律等に基づく公安

< 現 在 の 我 が 国 D&O 保 険 の 基 本 的 な 設 計 (イメージ)> < 一 般 的 な 補 償 の 範 囲 の 概 要 > 請 求 の 形 態 会 社 の 役 員 会 社 による 請 求 に 対 する 損 免 責 事 由 の 場 合 に 害 賠 償 請 求 は 補 償 されず(

大学病院治験受託手順書

入札公告 機動装備センター

通 知 カード と 個 人 番 号 カード の 違 い 2 通 知 カード ( 紙 )/H27.10 個 人 番 号 カード (ICカード)/H28.1 様 式 (おもて) (うら) 作 成 交 付 主 な 記 載 事 項 全 国 ( 外 国 人 含 む)に 郵 送 で 配 布 希 望 者 に 交

( 運 用 制 限 ) 第 5 条 労 働 基 準 局 は 本 システムの 維 持 補 修 の 必 要 があるとき 天 災 地 変 その 他 の 事 由 によりシステムに 障 害 又 は 遅 延 の 生 じたとき その 他 理 由 の 如 何 を 問 わず その 裁 量 により システム 利 用 者

2004年度第2回定期監査(学校)事情聴取事項

Taro-○離島特産品等マーケティング支援事業に係る企画提案募集要領

(別紙3)保険会社向けの総合的な監督指針の一部を改正する(案)


(7) 公 共 施 設 における 建 築 物 (1 敷 地 における 延 床 面 積 の 合 計 が 5,000 m2 以 上 )の 劣 化 につ いての 調 査 ( 劣 化 度 調 査 健 全 度 調 査 等 )の 実 績 があること (8) 公 共 施 設 における 建 築 物 (1 敷 地 に

独立行政法人国立病院機構

<4D F736F F D C689D789B582B581698AAE90AC92CA926D816A2E646F63>

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

慶應義塾利益相反対処規程

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F D2095CA8E A90DA91B18C9F93A289F1939A8F D8288B3816A5F E646F63>

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

< C8EAE81698B4C93FC8FE382CC97AF88D38E968D CA8E86816A2E786C73>

異 議 申 立 人 が 主 張 する 異 議 申 立 ての 理 由 は 異 議 申 立 書 の 記 載 によると おおむね 次 のとおりである 1 処 分 庁 の 名 称 の 非 公 開 について 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とする 処 分 は 秋 田 県

b) 参 加 表 明 書 の 提 出 時 において 東 北 地 方 整 備 局 ( 港 湾 空 港 関 係 を 除 く) における 平 成 年 度 土 木 関 係 建 設 コンサルタント 業 務 に 係 る 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 認 定 を 受 けて

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

当社の法人関係情報の管理態勢およびその強化に向けた今後の対応策について

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

定款

別 紙

目 次 1 委 託 業 務 の 概 要 目 的 2 2 委 託 業 務 の 内 容 3 (1) 名 称 (2) 業 務 実 施 期 間 (3) 業 務 範 囲 (4) 要 介 護 認 定 業 務 にかかる 処 理 件 数 (5) 業 務 遂 行 の 考 え 方 3 委 託 業 務 実 施 場 所 の

第4回税制調査会 総4-1

養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

(1) 社 会 保 険 等 未 加 入 建 設 業 者 の 確 認 方 法 等 受 注 者 から 提 出 される 施 工 体 制 台 帳 及 び 添 付 書 類 により 確 認 を 行 います (2) 違 反 した 受 注 者 へのペナルティー 違 反 した 受 注 者 に 対 しては 下 記 のペ

Taro-沖縄県物品電子調達運用基準

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

募集要項

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの改訂等について

中国会社法の改正が外商投資企業に与える影響(2)

特別徴収封入送付作業について

Microsoft Word - 03.大和高田市仕様書 介護認定業務委託 H27

Microsoft PowerPoint - 【那須野】セキュリティ問題について

1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

はファクシミリ 装 置 を 用 いて 送 信 し 又 は 訪 問 する 方 法 により 当 該 債 務 を 弁 済 す ることを 要 求 し これに 対 し 債 務 者 等 から 直 接 要 求 しないよう 求 められたにもかか わらず 更 にこれらの 方 法 で 当 該 債 務 を 弁 済 するこ

Transcription:

新 gtld 大 量 導 入 に 伴 う 名 前 衝 突 (Name Collision) 問 題 とその 対 策 について 2014 年 6 月 9 日 一 般 社 団 法 人 日 本 ネットワークインフォメーションセンター (JPNIC) 新 gtld 大 量 導 入 に 伴 うリスク 検 討 対 策 提 言 専 門 家 チーム

目 次 1. はじめに... 1 2. 名 前 衝 突 の 概 要... 1 3. 名 前 衝 突 によって 起 こる 問 題... 4 4. 名 前 衝 突 の 原 因... 7 5. ICANN における 名 前 衝 突 への 対 策... 8 6. 個 別 のケースにおける 懸 念 される 問 題 と 対 策... 9 6.1 企 業 ネットワーク 管 理 者... 9 6.2 ISP 運 用 者... 12 6.3 ネットワーク 製 品 や 情 報 家 電 等 のベンダー... 15 6.4 パブリック 認 証 局 およびその 代 理 店... 17 6.5 SIer NIer... 19 7. 最 後 に... 19 8. 著 者 について... 20 9. 参 考 資 料... 21

1. はじめに 本 報 告 書 は 新 gtld(generic Top Level Domain: 分 野 別 トップレベルドメイ ン) 大 量 導 入 に 伴 い 発 生 する 名 前 衝 突 (Name Collision) のリスクおよび 対 策 についてまとめたものである 名 前 衝 突 とは 企 業 内 のイントラネットやルータ 等 の 製 品 サービスで 使 用 している 内 部 利 用 用 途 ドメイン 名 ( 以 降 本 報 告 書 では 勝 手 TLD 1 と 称 する) や 絶 対 ドメイン 名 (FQDN; Fully Qualified Domain Name)の 代 わりに 用 いる 短 縮 名 が 後 述 する ICANN が 導 入 を 進 めている 新 gtld で 追 加 予 定 の TLD と 同 じ 文 字 列 となってしまうことを 指 している 名 前 衝 突 によって 企 業 内 イントラネ ットの 通 信 不 可 サービスの 利 用 不 能 情 報 漏 えい 等 の 問 題 が 発 生 する 本 報 告 書 は ネットワークに 関 する 業 務 に 携 わっている 方 を 想 定 読 者 として 名 前 衝 突 問 題 によって 起 こり 得 る 事 象 について 広 く 知 ってもらい 適 切 な 対 処 を 行 う 際 の 参 考 資 料 として 作 成 した 特 に 企 業 や ISP ネットワークの 管 理 者 運 用 者 また 関 連 する 製 品 のベンダーや 認 証 局 に 関 わる 方 さらにシステム 構 築 に 関 連 したシステムインテグレーター(SIer)やネットワークインテグレー ター(NIer)といった 方 に 読 んでいただきたい 本 報 告 書 では 名 前 解 決 によって 起 きる 問 題 や 影 響 を 具 体 的 な 例 を 用 いて 解 説 する また 名 前 衝 突 が 発 生 する 原 因 と 事 例 対 策 について 紹 介 する 2. 名 前 衝 突 の 概 要 ドメイン 名 や IP アドレスといったインターネットに 関 わる 資 源 を 全 世 界 的 に 管 理 調 整 することを 目 的 として 1998 年 10 月 に ICANN(he Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)という 民 間 の 非 営 利 法 人 が 設 立 された この ICANN の 設 立 目 的 の 一 つに 実 行 可 能 かつ 公 益 に 資 する 場 合 には ドメイン 名 登 録 に 競 争 を 導 入 および 促 進 すること(ICANN 付 属 定 款 第 1 条 使 命 1 パブリックな 名 前 空 間 においては root DNS を 頂 点 としたツリー 構 造 でドメイン 名 を 管 理 して いるが イントラネット 等 のプライベートな 名 前 空 間 で 使 われている TLD をパブリックな 名 前 空 間 の TLD と 区 別 する 用 語 として 勝 手 TLD という 名 称 を 著 者 らは 提 案 したい 1

および 基 本 的 理 念 第 2 項 基 本 的 理 念 6.) があり これに 従 いさまざまな 議 論 を 重 ね 従 来 の.com.net.org と い った gtld に 加 え て.biz.info.mobi.asia などを 段 階 的 に 追 加 2 してきた ICANN は 2000 年 2003 年 の 募 集 においては 応 募 のあった 新 しい gtld に 対 して 個 別 に 審 査 を 行 ってきたため 結 果 的 に 合 計 15 だけの 追 加 にとどまってい た 続 く 2012 年 の 募 集 では あらかじめ 募 集 要 項 と 要 件 を 精 緻 化 し これに 合 致 した 申 請 であれば 誰 にでも 登 録 を 認 める 方 式 へと 変 更 された これによって 飛 躍 的 に 新 gtld の 応 募 が 増 加 し 本 報 告 書 執 筆 時 点 では 1,300 程 度 の gtld が 追 加 される 見 込 みである また 新 gtld の 募 集 は 今 後 も 継 続 して 行 われる 予 定 で 次 の 募 集 でも 大 量 に 増 えていくと 考 えられる 現 時 点 で 応 募 されている 新 gtld の 一 覧 は ICANN の web サイト 3 で 確 認 できるのでご 確 認 いただきたい 一 方 一 部 の 企 業 や 製 品 ベンダー サービス 提 供 者 においては 企 業 内 のイ ントラネットや 製 品 に インターネット 全 体 で 用 いる.com や.net 等 の TLD とは 異 なる 勝 手 TLD(.corp 等 4 )を 使 用 している 例 が 存 在 する 具 体 的 には Microsoft 社 の Active Directory や ネットワーク 製 品 のセットアップ 画 面 へのアクセス 用 URL に 勝 手 TLD を 使 用 した 例 が 挙 げられる これらは 新 しい TLD が 増 えな いことが 前 提 となっており これまでは 勝 手 TLD がパブリックな 名 前 空 間 5 の TLD と 重 なってしまうこともなく 問 題 は 発 生 しなかった 前 述 したように 今 後 大 量 の 新 gtld が 追 加 されることに 伴 い この 新 gtld と 勝 手 TLD を 用 いた 勝 手 ドメイン や アクセスを 簡 便 にするためドメイン の 一 部 を 利 用 する 短 縮 名 とが 同 じ 文 字 列 の 場 合 今 まで 発 生 しなかった 問 題 が 生 じると 想 定 されている( 次 ページ 図 1) このように 新 gtld と 勝 手 TLD や 短 縮 名 との 重 複 が 引 き 起 こす 問 題 は 名 前 衝 突 (Name Collision) と 呼 ばれており 問 題 視 されるようになってきた 2 この 新 gtld 追 加 の 経 緯 については JPNIC ニュースレターNo.49 が 詳 しい https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/no49/0800.html 3 New gtld Current Application Status https://gtldresult.icann.org/application-result/applicationstatus 4 本 報 告 書 では 勝 手 TLD の 例 として.example などを 使 用 することも 検 討 したが RFC2606 で 例 示 用 として 定 義 された ある 意 味 以 前 から 存 在 している 勝 手 TLD とは 呼 べないものであ り これを 使 用 するのは 逆 に 不 適 切 と 考 えられるため 採 用 しなかった 報 告 書 内 では.corp.set-up 等 を 使 い 表 記 している 5 インターネット 上 のドメインツリーで 一 意 に 定 まるドメイン 名 によって 構 成 された 名 前 空 間 2

当 然 新 gtld の 登 録 者 にとって 勝 手 TLD による 名 前 衝 突 はエンドユーザー からのアクセスを 妨 げるものであり 提 供 するサービスの 機 会 損 失 につながる また ICANN が 進 めてきた 新 gtld 拡 大 の 動 きとも 相 反 する 言 い 換 えるなら 勝 手 TLD を 使 うことはパブリックな 名 前 空 間 の 一 意 性 を 否 定 し インターネッ トを 分 断 する 行 為 とも 言 える 図 1 新 gtld 追 加 前 と 追 加 後 の 動 作 の 違 い 影 響 はそれだけでなく 新 gtld の 登 録 者 に 限 らず 勝 手 TLD の 運 用 者 利 用 者 についても 影 響 があると 考 えられ 具 体 的 には 勝 手 TLD の 運 用 者 利 用 者 につ いても 以 下 の 問 題 が 発 生 すると 考 えられている [ 利 用 不 能 ] (1) 企 業 のイントラネット 上 のサーバーにアクセスができなくなる メール 送 受 信 ができなくなる (2) 勝 手 TLD やサーチリスト 6 を 利 用 した 短 縮 名 を 用 いたサービスの 挙 動 が 変 わり ユーザーに 提 供 しているサービスが 正 しく 動 作 しなくなる( 次 ページ 図 2) (3) 勝 手 TLD を 含 むドメイン 名 の 証 明 書 の 発 行 利 用 ができなくなる 6 ホスト 名 だけなど 短 縮 した 名 前 で DNS に 対 し 名 前 解 決 要 求 を 行 った 場 合 に あらかじめ 設 定 しておいたドメインを 付 与 して 名 前 解 決 を 行 う 機 能 のこと 例 えば http://test/とブラウザで 入 力 しても DNS では test.example.com と 後 ろにドメイン 名 を 補 い 名 前 解 決 した 結 果 の IP アド レスを 応 答 するように 利 用 される 3

(4) サーバー 内 部 の 設 定 でサーチリストによる 短 縮 名 使 用 時 に 他 サーバーへ の 通 信 ができなくなる (5) エンドユーザーが 名 前 衝 突 する 新 gtld にアクセスできなくなる 図 2 サーチリスト 利 用 時 の 新 gtld 追 加 前 後 での 挙 動 の 違 い [ 情 報 漏 えい] (6) 組 織 内 部 のサーバーのつもりで 組 織 外 部 のサーバーにアクセスし ID やパ スワード 等 の 情 報 漏 えいを 起 こす (7) 社 内 で 利 用 しているホスト 名 が 外 部 に 漏 えいする 次 節 において 前 述 の 問 題 を 具 体 的 に 解 説 する 3. 名 前 衝 突 によって 起 こる 問 題 名 前 衝 突 によって 引 き 起 こされる 問 題 は 主 に 利 用 不 能 および 情 報 漏 え い だが それらの 詳 細 について 以 下 に 個 別 の 説 明 を 行 う [ 利 用 不 能 ] (1) 企 業 のイントラネット 上 のサーバーにアクセスできなくなる メール 送 受 信 ができなくなる 4

新 gtld として.corp が 追 加 された 場 合 を 例 に 説 明 する 企 業 のイント ラネット 上 のサーバーに 勝 手 TLD として.corp を 使 ったホスト 名 である www.example.corp や mail.example.corp を 使 用 している 場 合 に 問 題 が 発 生 する ユーザーがサーバーにアクセスするために ホスト 名 に 対 応 す る IP アドレスを DNS に 問 い 合 わせると 新 たに 追 加 された 新 gtld であ る.corp の DNS サーバーから 本 来 意 図 したものとは 異 なる IP アドレス が 返 ってくる すなわち 本 来 アクセスを 意 図 していたイントラネット 上 のサーバーにアクセスできなくなる これにより 企 業 のイントラネット 上 の Web サーバーへのアクセスや メール 送 受 信 ができなくなり 企 業 内 における 業 務 活 動 が 停 止 する 等 の 影 響 が 発 生 する (2) 勝 手 TLD や 短 縮 名 を 利 用 したサービスの 挙 動 が 変 わり ユーザーに 提 供 しているサービスが 正 しく 動 作 しなくなる サービスを 提 供 するシステムを 設 定 する 際 勝 手 TLD や 短 縮 名 を 用 い てサーバー 名 やサービス 名 を 簡 便 に 記 述 する 場 合 がある 名 前 衝 突 により 本 来 アクセスするサーバー 名 やサービス 名 と 異 なる IP アドレスが 得 られ ると サービスやシステム 自 体 が 意 図 通 りに 動 作 しなくなることがある 例 えばファイアウォール 機 能 のアクセスコントロールリスト(ACL)が 意 図 通 り 動 作 しなくなる 場 合 がある これによりユーザーに 提 供 しているサー ビスが 正 しく 動 作 しなくなる (3) 勝 手 TLD を 含 むドメイン 名 の 証 明 書 の 発 行 利 用 ができなくなる 企 業 のイントラネット 等 で 勝 手 TLD を 使 用 しており かつパブリック 認 証 局 (Web ブラウザや OS などにあらかじめに 登 録 されている 認 証 局 )か ら 勝 手 ドメイン 名 ( 勝 手 TLD を 含 むドメイン 名 )に 証 明 書 を 発 行 しても らっているケースがこれに 相 当 する (イントラネット 等 に 対 してもパブ リックな 名 前 空 間 のドメイン 名 を 利 用 している 場 合 や パブリック 認 証 局 からの 発 行 を 受 けていないケースは 該 当 しない) パブリック 認 証 局 は 所 定 の 監 査 基 準 に 基 づいて 証 明 書 発 行 を 行 う 義 務 があり 勝 手 ドメイン 名 用 の 証 明 書 ( 以 下 勝 手 ドメイン 名 証 明 書 ) 5

に 関 して 発 行 が 規 制 されることになった これにより 勝 手 ドメイン 名 証 明 書 は 近 日 中 にパブリック 認 証 局 から 入 手 できなくなるために セキ ュアな 通 信 ができない 問 題 が 発 生 する (4) サーバー 内 部 の 設 定 でサーチリストによる 短 縮 名 使 用 時 に 他 サーバー への 通 信 ができなくなる 企 業 内 のシステムを 構 築 する 際 サーバー 間 の 通 信 相 手 を サーチリ ストの 利 用 を 前 提 とした 短 縮 名 で 記 載 している 場 合 がある 名 前 衝 突 が 発 生 するとサーバー 間 の 通 信 ができなくなり システム 全 体 が 正 しく 動 作 しなくなる (5) エンドユーザーが 名 前 衝 突 する 新 gtld にアクセスできなくなる 新 gtld と 名 前 衝 突 する 勝 手 TLD を 利 用 し エンドユーザーに 対 して 外 部 の DNS での 名 前 解 決 よりも 勝 手 TLD の 名 前 解 決 を 優 先 している 場 合 エンドユーザーは 勝 手 TLD の 名 前 解 決 しか 行 えないため 新 gtld 上 で 提 供 されているサービスに 対 してアクセスすることができなくなる [ 情 報 漏 えい] (6) 組 織 内 部 のサーバーのつもりが 組 織 外 部 のサーバーにアクセスし 情 報 漏 えいを 起 こす 名 前 衝 突 により 本 来 アクセスしたいサーバーとは 異 なる IP アドレスが 得 られると 組 織 外 部 のサーバーに 意 図 せずアクセスすることが 起 きる 組 織 外 部 のサーバーにおいて Web サーバーやメールサーバーなどが 稼 働 している 場 合 ユーザーは 異 なるサーバーであることに 気 づかず ID と パスワードやデータの 提 供 を 行 ってしまう 可 能 性 がある これにより 情 報 漏 えいを 引 き 起 こす (7) 社 内 で 利 用 しているホスト 名 が 外 部 に 漏 えいする 運 用 時 のドメイン 名 入 力 を 簡 便 にするために 絶 対 ドメイン 名 (FQDN) の 代 わりに 短 縮 名 を 用 いている 場 合 に 発 生 する 短 縮 名 は 本 来 であれ ばサーチリストの 補 完 により 絶 対 ドメイン 名 の 名 前 解 決 が 行 われるはず であるが OS やアプリケーションの 実 装 によっては 短 縮 名 のままでの 名 6

前 解 決 が 行 われることがあり 得 る つまり 外 部 の DNS サーバーに 対 し 短 縮 名 のままの 問 い 合 わせが 到 達 することにより 通 常 外 部 に 知 られる ことがないホスト 名 などのシステム 情 報 の 漏 えいが 発 生 する 4. 名 前 衝 突 の 原 因 名 前 衝 突 による 問 題 が 発 生 する 原 因 としては 主 に 二 つの 要 因 が 挙 げられる 一 つは 勝 手 TLD であり もう 一 つは 短 縮 名 である 以 下 に それぞれの 場 合 に 発 生 する 問 題 について 説 明 を 行 う [ 勝 手 TLD] 勝 手 TLD とは パブリックな 名 前 空 間 で 使 う TLD と 異 なる TLD を 企 業 のイントラネット 等 の 内 部 用 として 利 用 するものである これまで TLD で 使 われている 文 字 列 は 比 較 的 限 られ かつ 頻 繁 には 変 化 がなかった その ため ある 時 点 で 存 在 していない TLD を 勝 手 TLD として 利 用 したとしても 実 際 の TLD と 重 複 することを 気 にする 必 要 はまずなく 運 用 ができていた しかし 新 gtld の 追 加 が 進 んでいる 今 になり 文 字 列 の 重 複 が 現 実 に 起 き ることが 分 かってきた 勝 手 TLD の 根 本 対 応 としては これを 使 うことを 止 めることである ま た 将 来 的 にはインターネットで 使 われることがなく 今 後 も 新 TLD とし て 利 用 されることがないプライベート TLD の 検 討 が 行 われており 7 それを 用 いることも 可 能 である [ 短 縮 名 ] 組 織 内 のシステムを 利 用 する 場 合 絶 対 ドメイン 名 (FQDN)を 用 いずに 短 縮 名 を 用 いてアクセスを 行 う 場 合 が 多 くある 組 織 内 であれば 省 略 され るドメイン 名 は 自 明 であるためホスト 名 を 用 いたり 複 数 拠 点 を 持 つ 企 業 や 部 門 ごとにサブドメインを 使 い 分 けている 企 業 などでは ホスト 名 + 拠 点 名 などの 組 み 合 わせを 使 う 例 (www.tokyo www.corp)は 多 い この 短 縮 名 は サーチリストと 呼 ばれるドメイン 名 を 補 完 するための 機 能 を 用 い 例 えば example.com というドメイン 名 を 補 完 されて 7 Mitigating the Risk of DNS Namespace Collisions https://www.icann.org/en/news/announcements/announcement-26feb14-en.htm 7

www.tokyo.example.com といった 形 で 名 前 解 決 されることで 使 用 されてい る しかしながら OS やアプリケーションの 実 装 によっては 実 際 は 先 に www.tokyo の 名 前 解 決 を 行 い 失 敗 した 場 合 にドメイン 名 を 補 完 され www.tokyo.example.com で 名 前 解 決 を 行 う 動 作 をする 場 合 も 考 えられる こ の 場 合 新 gtld として.tokyo が 追 加 されると 最 初 の www.tokyo の 名 前 解 決 において 新 gtld のドメイン 名 として IP アドレスの 応 答 があるために 本 来 意 図 していた www.tokyo.example.com の 名 前 解 決 が 行 われない すな わち 名 前 衝 突 が 発 生 する 短 縮 名 が 原 因 となる 名 前 衝 突 を 回 避 するための 根 本 対 応 は 短 縮 名 の 使 用 を 止 めることである 絶 対 ドメイン 名 (FQDN)を 用 いることで サーチリ ストとの 関 係 を 考 慮 したあいまいな 選 択 肢 から 意 図 せぬドメイン 名 が 名 前 解 決 に 利 用 されることが 防 げる 勝 手 TLD と 短 縮 名 のいずれに 関 する 根 本 対 応 の 場 合 も それを 実 施 するた めには 慎 重 に 影 響 や 危 険 性 を 考 慮 しながら 実 施 する 必 要 がある また 場 合 に よっては 大 きなコストを 伴 う 解 決 方 法 であることもある 影 響 が 明 確 でない 場 合 は 慎 重 に 計 画 を 練 り 段 階 的 に 対 応 の 実 施 を 行 うことが 望 ましい 5. ICANN における 名 前 衝 突 への 対 策 2 節 で 触 れたように 新 gtld については 2000 年 2003 年 そして 2012 年 と 追 加 の 募 集 が 行 われてきた 名 前 衝 突 の 問 題 を 重 要 視 している ICANN は 新 たな gtld の 追 加 を 進 めるにあたり 名 前 衝 突 への 対 策 を 行 うことを 決 定 し それに 沿 った 各 種 施 策 8 を 進 めている ICANN が 行 う 対 策 は 主 に 以 下 に 挙 げるものである 9 -.home.corp については 特 に 名 前 衝 突 の 影 響 が 大 きいことが 考 えられるた 8 Name Collision Resources & Information https://www.icann.org/en/help/name-collision 9 Addressing the Consequences of Name Collisions https://www.icann.org/en/news/announcements/announcement-3-05aug13-en.htm 8

め 無 期 限 に 新 gtld としての 追 加 を 取 りやめ - 申 請 された gtld ごとに 名 前 衝 突 の 恐 れがある TLD 名 の 調 査 を 行 い リス トの 提 示 および 対 策 の 提 案 を 実 施 - 名 前 衝 突 のリスク 評 価 と 対 応 のフレームワークを 構 築 し 新 gtld 導 入 の プログラムにおいて 適 用 また 現 在 継 続 して 検 討 中 の 対 策 として 以 下 が 挙 げられる - IP アドレスにおけるプライベートアドレスのように インターネットでは 使 われずに 組 織 内 で 自 由 に 使 うことができるプライベートドメイン 名 の 10 検 討 ICANN は CA/Browser Forum 11 と 連 携 し 勝 手 TLD と 証 明 書 における 問 題 につい ても 検 討 を 行 っているため 関 係 者 はその 動 向 について 注 目 しておくべきで ある 6. 個 別 のケースにおける 懸 念 される 問 題 と 対 策 ここから この 名 前 衝 突 の 問 題 に 対 する 対 策 を 企 業 ネットワーク 管 理 者 ISP 運 用 者 ネットワーク 製 品 や 情 報 家 電 等 のベンダー パブリック 認 証 局 およびその 代 理 店 SIer NIer という 対 象 者 別 に 解 説 する 6.1 企 業 ネットワーク 管 理 者 新 gtld が 登 録 使 用 開 始 されたとき 自 社 のネットワークには 関 連 がないと 思 っても 今 までアクセスできていた 社 内 のサイトにある 日 突 然 アクセスでき なくなったり 内 部 のサーバーにアクセスしているつもりが 外 部 のサーバーに 接 続 している という 事 象 が 起 き 得 る( 図 3) 10 Mitigating the Risk of DNS Name collisions [PDF] https://www.icann.org/en/about/staff/security/ssr/name-collision-mitigation-26feb14-en.pdf RECOMMENDATION1 にて.corp.home.mail について 追 加 を 行 わないよう 勧 告 11 電 子 認 証 事 業 者 およびブラウザベンダーを 主 な 構 成 メンバーとし 認 証 局 証 明 書 に 関 する 問 題 の 議 論 やガイドラインの 作 成 等 を 行 っている http:// www.cabforum.org/ 9

図 3 企 業 内 で 勝 手 TLD を 利 用 している 場 合 に 発 生 する 問 題 特 に 社 内 サイトに 接 続 不 可 となる 場 合 日 常 の 業 務 が 突 然 遂 行 できなくなり 企 業 の 死 活 問 題 にまで 発 展 する 恐 れがある 企 業 内 外 のネットワークを 明 示 するため 勝 手 TLD を 使 っている 場 合 や 短 縮 名 のドメイン 名 に 対 してサーチリスト 機 能 で URL を 補 完 している 場 合 に 発 生 する 可 能 性 が 高 い 具 体 的 には 下 記 の 事 象 が 発 生 する 恐 れがある (1) イントラネット 利 用 者 が 名 前 衝 突 する 新 gtld にアクセスできなくなる 勝 手 TLD と 同 じ 新 gtld が 存 在 した 場 合 には それらの 新 gtld へのア クセスができなくなる また 3 節 で 述 べたように 短 縮 名 を 利 用 している 場 合 も 同 様 な 事 象 が 起 きることが 想 定 される これら 名 前 衝 突 が 発 生 し ている 新 gtld において 業 務 に 関 係 のあるサイトが 構 築 された 場 合 など アクセスできない 影 響 は 大 きいと 想 定 される (2) 勝 手 TLD や 短 縮 名 での 利 用 を 前 提 に 構 築 されたシステムにおける 誤 作 動 やセキュリティ 被 害 が 発 生 する 企 業 のイントラネットに 存 在 するシステムが 勝 手 TLD の 利 用 や 短 縮 名 の 利 用 を 前 提 に 設 定 されている 場 合 に 発 生 する 恐 れがある これら 勝 手 TLD や 短 縮 名 と 重 複 する 新 gtld が 追 加 された 際 に 外 部 DNS サーバー での 名 前 解 決 ができず イントラネット 上 の DNS サーバーで 名 前 解 決 で 10

きていたのものが 外 部 DNS サーバーで 名 前 解 決 されると 意 図 してい ない 動 作 につながる 可 能 性 がある 例 えば その 先 に 意 図 的 に 悪 意 を 持 ったサーバーを 立 てられた 場 合 情 報 漏 えいなどセキュリティ 上 の 問 題 に 発 展 する 可 能 性 がある 上 記 (1)(2)のいずれの 場 合 も 勝 手 TLD でシステムを 構 築 する 場 合 は イン ターネットと 接 続 せずに 完 全 に 分 離 することで 回 避 できる しかしながら 現 在 インターネットと 通 信 していないとしても 今 後 のシステムの 変 更 によりイ ンターネットに 接 続 する 可 能 性 があるのであれば 勝 手 TLD を 使 わずにパブリ ック 名 前 空 間 のドメイン 名 を 利 用 するよう 修 正 し 問 題 を 回 避 した 方 が 将 来 の 拡 張 性 が 担 保 できる 利 点 がある なお 短 縮 名 をサーチリストで 補 完 することにつ いては 今 後 増 え 続 ける 新 gtld との 名 前 衝 突 の 危 険 性 を 考 慮 すると 利 用 を 中 止 しパブリックな 名 前 空 間 のドメイン 名 を 利 用 するのがよい 勝 手 TLD あるいは 短 縮 名 の 利 用 中 止 を 行 う 場 合 は 計 画 的 なシステム 改 修 や ユーザーへの 教 育 が 必 要 である 内 部 用 DNS でロギング 機 能 を 用 いて 未 移 行 のシステム ユーザー URL 等 の 洗 い 出 しを 行 うことなどの 対 策 がある (3) 勝 手 ドメイン 名 証 明 書 をパブリック 認 証 局 から 発 行 されているサーバー は パブリックな 名 前 空 間 のドメイン 名 への 移 行 が 必 要 となる 勝 手 ドメイン 名 証 明 書 をパブリック 認 証 局 から 発 行 されている 場 合 パブリック 認 証 局 では 2015 年 11 月 1 日 以 降 の 有 効 期 限 を 持 つ 勝 手 ドメ イン 名 証 明 書 を 発 行 することは 禁 じられているため 少 なくともそれま でに 何 らかの 対 応 を 行 う 必 要 がある パブリック 認 証 局 から 証 明 書 の 発 行 を 受 ける 必 要 があるサーバーであれば パブリックな 名 前 空 間 のドメ イン 名 へ 移 行 するとともに 移 行 先 ドメイン 名 での 証 明 書 発 行 を 受 ける 必 要 がある また 当 該 TLD が 新 gtld として 承 認 された 場 合 は 発 行 済 み 勝 手 ド メイン 名 証 明 書 があったとしても ICANN とレジストリの 契 約 から 120 日 以 内 に 失 効 12 される 可 能 性 がある( 次 ページ 図 4) 承 認 されていなくとも 12 Baseline Requirements for the Issuance and Management of Publicly-Trusted Certificates, v.1.1.6 の 11.1.4 節 に 当 該 の 記 述 がある https://cabforum.org/wp-content/uploads/baseline_requirements_v1_1_6.pdf 11

当 該 勝 手 TLD が 新 gtld として 既 に 申 請 されている 場 合 は 近 々 承 認 契 約 され(その 後 120 日 以 内 に 勝 手 ドメイン 名 証 明 書 は 失 効 され)る 可 能 性 もあるため 混 乱 を 避 けるためには 前 もって パブリックな 名 前 空 間 のドメイン 名 へ 移 行 しておくことが 望 ましい 新 gtld の 申 請 状 況 は ICANN の Web 13 サイトで 確 認 することが 可 能 である 勝 手 ドメイン 名 証 明 書 については 利 用 を 中 止 し 絶 対 ドメイン 名 (FQDN)での 証 明 書 を 取 得 することが 必 須 である なおシステム 移 行 には 時 間 がかかることが 予 想 されるので 計 画 的 にシステム 移 行 をすべきで ある 図 4 勝 手 TLD 向 け 証 明 書 の 発 行 停 止 による 影 響 企 業 のシステムでは 一 度 利 用 開 始 した 後 継 続 的 に 改 修 が 行 われずに 長 期 間 利 用 される 場 合 も 多 いと 想 定 される 過 去 TLD の 追 加 がない もしくは 追 加 さ れても 限 定 的 と 認 識 されていた 時 代 の 特 に 考 慮 無 く 勝 手 TLD や 短 縮 名 を 利 用 する 設 計 がされている 場 合 に ある 日 突 然 に 影 響 が 発 生 するため 注 意 が 必 要 で ある 6.2 ISP 運 用 者 新 gtld 取 得 の 事 前 調 査 により 追 加 されようとする gtld と ISP が 利 用 して いる 勝 手 TLD が 同 一 な 場 合 ICANN 等 から ISP に 対 して 勝 手 TLD の 利 用 について 13 New gtld Current Application Status https://gtldresult.icann.org/application-result/applicationstatus 12

注 意 喚 起 を 受 けることもあり 得 る 勝 手 TLD の 利 用 を 中 止 する 場 合 短 期 間 でシステム 改 修 やユーザー 対 応 を 行 う 必 要 が 発 生 する ユーザー 側 機 器 の 設 定 変 更 が 必 要 となる 場 合 は サポート 等 非 常 に 大 きなコストが 発 生 する 可 能 性 が 高 い さらに 実 際 に 新 gtld が 運 用 された 場 合 にも 自 ら 勝 手 TLD の 利 用 を 中 止 するまでにサポートが 必 要 となる ISP が 勝 手 TLD を 利 用 することについては 下 記 のような 問 題 がある (1) エンドユーザーが 名 前 衝 突 する 新 gtld にアクセスできなくなる エンドユーザー 宅 内 のプライベートネットワークで ネットワーク 機 器 の 設 定 用 URL などに 勝 手 TLD を 用 いた 名 前 空 間 が 使 われていることが ある 勝 手 TLD が 名 前 衝 突 する 場 合 プライベートネットワークで 利 用 している 勝 手 TLD の 方 が 優 先 されるので ユーザーは 新 gtld の 名 前 空 間 にアクセスできないという 問 題 が 起 きる また サーチリストを 利 用 して 絶 対 ドメイン 名 (FQDN)ではなく 短 縮 名 を 利 用 している 場 合 には 新 gtld の 登 録 によりこれまでアクセスでき ていたホストにアクセスできなくなるという 問 題 が 発 生 することがある 例 えば メールサーバーとして isp.mail.example.ne.jp という 名 前 を 設 定 するにあたって 相 対 ドメイン 名 で isp.mail と 設 定 し サーチリスト で example.ne.jp を 補 完 するようにしていると.mail という 新 gtld が 登 録 された 後 は それまで 使 っていた isp.mail.example.ne.jp ではなく FQDN として isp.mail という 名 前 を 持 つホストにアクセスするようになっ てしまう これは ISP に 問 題 があるというより ユーザーのプライベートネット ワーク 内 部 での 問 題 であるため ISP として 技 術 的 に 対 策 できることは 少 ない しかしながら プライベートネットワーク 内 の 設 定 を 一 切 変 更 し なくても 新 gtld の 登 録 を 契 機 に 突 然 発 生 することから 不 調 の 原 因 が 内 部 で 利 用 している 勝 手 TLD やサーチリストにあることに 思 い 至 らず ISP のユーザーサポートに 問 い 合 わせがなされる 事 例 が 想 定 される その ため ISP では 問 題 の 切 り 分 け 手 順 やその 解 決 方 法 (ないしは 解 決 方 法 へ のポインタ)を 適 切 に 回 答 できるよう 準 備 しておくことが 望 ましい 13

(2) エンドユーザー 向 けサービスの 挙 動 の 変 化 ISP が 自 社 ユーザー 向 けのサービスを 勝 手 TLD を 使 ったドメイン 名 例 えば www.service.isp で 提 供 しているケースがある その 勝 手 TLD.isp と 同 じ 新 gtld の.isp が 登 録 された 場 合 その ISP のキャッシュ DNS サ ーバーは.isp の 名 前 を ISP 内 部 で 解 決 するため ISP のエンドユーザー は 新 gtld.isp を 使 ったドメインにアクセスできないという 問 題 が 生 じ る( 図 5) 図 5 ISP 提 供 サービスで 勝 手 TLD を 利 用 している 場 合 に 発 生 する 問 題 これに 対 策 するためには 自 社 ユーザー 向 けサービスで 利 用 する 名 前 空 間 に 勝 手 TLD を 使 うのを 止 め 正 規 に 登 録 されたドメイン 名 でサービ ス 提 供 するように 改 めればよい なお 単 に 利 用 するドメイン 名 を 変 更 するだけでなく エンドユーザ ーにクライアント 側 の 設 定 やブックマークなどを 変 更 してもらわなけれ ばならない 場 合 もあるので 変 更 の 際 にはユーザーに 対 して 十 分 な 事 前 周 知 が 必 要 になる (3) ISP 内 部 ネットワークでの 勝 手 TLD また ユーザー 向 けではなくとも ISP の 内 部 用 途 で 利 用 されている 名 前 に 勝 手 TLD を 利 用 している 場 合 に もしエンドユーザーが 利 用 してい 14

るキャッシュ DNS サーバーで 勝 手 TLD の 名 前 が 解 決 できるようになって いると 勝 手 TLD と 同 じ 新 gtld が 登 録 されても エンドユーザーは 新 gtld の 名 前 空 間 にアクセスすることはできない( 図 5) こちらについても 内 部 ネットワークでの 勝 手 TLD の 利 用 を 止 め 正 規 に 登 録 されたドメイン 名 を 利 用 するように 改 めればよい ISP の 内 部 向 けキャッシュ DNS サーバーでのみ 勝 手 TLD を 名 前 解 決 する ようにして エンドユーザー 向 けキャッシュ DNS サーバーではパブリッ クな gtld を 名 前 解 決 するようにするという 方 策 によっても ユーザーが 新 gtld にアクセスできないという 事 象 は 発 生 しなくなる しかし その 場 合 でも 内 部 ネットワークにおける 名 前 衝 突 問 題 は 解 決 できないので 根 本 的 対 策 にはならないことに 留 意 しなければならない ISP が 勝 手 TLD をエンドユーザー 向 けに 提 供 している 場 合 これを 変 更 しよう とするには 非 常 に 多 くのサポート 等 のコストが 発 生 するため 計 画 的 に 実 施 す る 必 要 がある 6.3 ネットワーク 製 品 や 情 報 家 電 等 のベンダー ルータなどのネットワーク 製 品 や 情 報 家 電 ソフトウェアなど ネットワー クに 接 続 される 製 品 で 勝 手 TLD を 使 っている 場 合 新 gtld の 追 加 と 使 用 開 始 に 伴 い これまで 問 題 なく 使 えていた 機 能 がある 日 突 然 使 えなくなり ユーザー からの 問 い 合 わせ 苦 情 が 発 生 し 得 る 具 体 的 には 下 記 のような 場 合 が 想 定 される (1) エンドユーザーの 意 図 したホストにアクセスできない ルータ 等 の 製 品 において アクセスを 簡 便 化 するために 勝 手 TLD を 利 用 している 場 合 がある 例 えば 製 品 の 設 定 に 際 し http://www.set-up/ でアクセスするようにし 各 種 設 定 を 行 うという 方 法 を 採 用 している 製 品 をここでは 想 定 する( 次 ページ 図 6) 15

図 6 ルータで 勝 手 TLD を 使 っている 場 合 に 発 生 する 問 題 この 際 新 gtld として.set-up を 追 加 された 場 合 には この 製 品 配 下 では 新 gtld.set-up へのアクセスができないと 考 えられる 同 様 にイ ンターネットへの 通 信 をプロキシするソフトウェアにおいても 設 定 画 面 に 勝 手 ドメイン 名 でアクセスするような 場 合 についても 同 様 な 問 題 が 発 生 する また 新 gtld.set-up 上 で 悪 意 のあるサイトが 構 築 された 場 合 フィ ッシングに 似 た 形 でのセキュリティの 懸 念 が 発 生 する 勝 手 TLD.set-up を 使 う 製 品 配 下 のユーザーは 新 gtld.set-up へのアクセスができない としても それ 以 外 のユーザーはこの 新 gtld にアクセスが 可 能 であるた めに 誤 認 したユーザーがアクセスすることで フィッシングやドライ ブバイダウンロード 14 等 の 被 害 に 遭 う 可 能 性 がある これらネットワーク 製 品 等 においては 勝 手 TLD を 使 って 設 定 を 行 う ような 実 装 は 名 前 衝 突 問 題 を 引 き 起 こす 可 能 性 があるため 下 記 のよ うな 対 策 を 行 うのがよい 1) IP アドレスでのアクセス 誘 導 http://192.168.10.1/ 等 のプライベートネットワークで 設 定 画 面 にアクセスさせる 14 Web サイトを 閲 覧 しただけで 利 用 者 のパソコンにコンピュータウイルス(マルウェア)を 感 染 させる 手 法 16

2) 設 定 用 アプリケーションでの 設 定 設 定 用 アプリケーションを 配 布 し このアプリケーションでネッ トワーク 内 の 機 器 を 検 出 し 設 定 を 行 う いずれにせよ 設 定 変 更 にはユーザーのサポートコストがかかるだけ でなく 問 題 が 生 じた 場 合 原 因 がルータにあると 認 識 できないエンド ユーザーはまず ISP に 対 して 連 絡 をすると 考 えられるため 業 種 を 越 え た 連 携 が 必 要 になる 6.4 パブリック 認 証 局 およびその 代 理 店 証 明 書 利 用 時 においても 名 前 衝 突 によって 生 じる 一 般 的 な 問 題 は 発 生 し 得 るが 証 明 書 特 有 の 問 題 が 発 生 することはない ただし 名 前 衝 突 問 題 を 回 避 するために 証 明 書 を 発 行 する 認 証 局 はいくつ かのルールを 定 めている 本 節 では このルールとそれを 遵 守 する 上 で 留 意 す べき 点 についてまとめる パブリック 認 証 局 およびその 代 理 店 等 は 下 記 のルールに 従 う 必 要 がある これは CA/Browser Forumの 規 定 した 証 明 書 発 行 基 準 である BR(Baseline Requirements) 15 に 基 づくルールである パブリック 認 証 局 およびその 代 理 店 が 遵 守 すべきルール 既 にWebTrust for CAにも 適 用 されているBR v1.1 16 では 1) 2012 年 7 月 1 日 以 降 に 発 行 される 勝 手 ドメイン 名 を 対 象 とする 勝 手 ドメ イン 名 証 明 書 の 有 効 期 限 は 2015 年 11 月 1 日 以 降 であってはならない 2) すべての 勝 手 ドメイン 名 証 明 書 は 2016 年 10 月 までに 失 効 されなければ ならない さらに その 後 の 改 訂 により 17 新 gtldの 追 加 に 関 連 して 以 下 の 規 定 が 追 加 さ 15 Baseline Requirements Documents CAB Forum https://cabforum.org/baseline-requirements-documents/ 16 Baseline Requirements for the Issuance and Management of Publicly-Trusted Certificates, v.1.1 https://cabforum.org/wp-content/uploads/baseline_requirements_v1_1.pdf 17

れた 3) ICANNから 承 認 された 新 gtldを 含 む 証 明 書 については ICANNとレジスト リとの 契 約 公 開 から30 日 以 内 に 発 行 ( 再 発 行 および 更 新 も 含 む)が 停 止 される また120 日 以 内 に 同 新 gtldを 使 用 したすべての 証 明 書 が 失 効 される パブリック 認 証 局 およびその 代 理 店 が 留 意 すべき 点 前 述 のいわゆる30 日 120 日 ルールの 起 点 となる 契 約 公 開 の 日 付 (Publication of Contract)は ICANNの 下 記 ページ 18 で 公 開 されている(このリストは 不 定 期 継 続 的 に 更 新 される) これはICANN 自 身 が 契 約 後 速 やかに 更 新 しているページで あり 今 後 ICANNからこれよりも 適 切 なURLが 提 供 されない 限 りは このURLをエ ビデンスとして 運 用 を 行 っていくことが 望 ましい Publication of Contractに ついては 情 報 の 真 正 性 という 観 点 から 特 段 の 理 由 がない 限 りICANN 以 外 のWeb サイトに 依 拠 することは 避 けるべきである 少 なくとも 2015 年 10 月 1 日 以 降 は 勝 手 ドメイン 名 証 明 書 をパブリック 認 証 局 から 入 手 することは 完 全 にできなくなる( 本 規 制 が 開 始 される 以 前 に 発 行 された 有 効 期 間 が 2015 年 10 月 1 日 を 越 える 勝 手 ドメイン 証 明 書 も 一 部 存 在 するが これらは 2016 年 11 月 1 日 までに 失 効 される 予 定 である) また 現 在 利 用 している 勝 手 TLD が 今 後 新 gtld として 承 認 された 場 合 当 該 ドメイン 名 に 対 する 発 行 済 み 証 明 書 は ICANN とレジストリが 契 約 してから 120 日 以 内 に 失 効 され 利 用 できなくなる また 30 日 以 内 に 当 該 ドメイン 名 に 対 す る 証 明 書 の 発 行 ( 再 発 行 および 更 新 も 含 む)が 停 止 される このため 勝 手 ドメイン 名 証 明 書 をパブリック 認 証 局 から 入 手 している 組 織 は こうしたリスクを 避 けるためにも 速 やかにパブリックな 名 前 空 間 のドメイ ン 名 へ 移 行 することが 推 奨 される 17 その 後 改 版 されて 1.1.7 となっている Baseline Requirements for the Issuance and Management of Publicly-Trusted Certificates, v.1.1.7 https://cabforum.org/wp-content/uploads/brv1.1.7.pdf 18 Registry Agreements (by Date) ICANN https://www.icann.org/en/about/agreements/registries-date 18

6.5 SIer NIer SIer NIer に 関 しては 納 入 したシステムにおいて 本 節 のようなトラブルが 発 生 する 可 能 性 を 念 頭 に システム 改 修 の 提 案 をユーザーに 対 し 行 う 必 要 があ る また 今 後 についても 本 節 で 解 説 したような 問 題 が 発 生 しうることを 認 識 して システムの 提 案 構 築 を 行 っていただきたい 7. 最 後 に 新 gtld 大 量 導 入 による 名 前 衝 突 問 題 は 新 gtld の 申 請 者 にとどまらず 企 業 や 一 般 ユーザーなども 含 む 広 範 囲 に 影 響 を 与 える 可 能 性 がある この 問 題 が どの 程 度 実 際 の 被 害 を 発 生 させるのかは 不 透 明 な 点 があるが さまざまな 関 係 者 が 問 題 点 を 認 識 し 自 身 が 管 理 するシステムにおいて 本 問 題 が 発 生 するかを 確 認 し 適 切 な 対 応 を 行 うべきである 本 報 告 書 執 筆 時 点 で ICANN では 本 件 にかかる 議 論 が 継 続 されており 今 後 も 新 たな 解 決 方 法 やシステムで 考 慮 すべき 点 が 出 てくると 考 えられる 関 係 者 に おかれては こういった 情 報 も 継 続 的 に 確 認 していただきたい 19

8. 著 者 について 新 gtld 大 量 導 入 に 伴 う 問 題 点 を 検 討 するために DNS の 運 用 や 政 策 面 認 証 局 業 務 に 知 見 を 持 つ 専 門 家 によってチームを 発 足 し 検 討 対 策 の 提 言 として 本 報 告 書 を 執 筆 した 共 同 チェア 外 山 勝 保 NTT コミュニケーションズ 株 式 会 社 山 本 功 司 株 式 会 社 インターネットイニシアティブ / 日 本 DNS オペレーターズグループ(DNSOPS.JP) メンバ 秋 山 卓 司 クロストラスト 株 式 会 社 近 藤 和 弘 NTT コミュニケーションズ 株 式 会 社 佐 藤 新 太 株 式 会 社 日 本 レジストリサービス 島 岡 政 基 セコム 株 式 会 社 IS 研 究 所 松 浦 孝 康 株 式 会 社 日 本 レジストリサービス 松 崎 吉 伸 株 式 会 社 インターネットイニシアティブ / 日 本 ネットワーク オペレーターズ グループ(JANOG) 保 多 洋 NTT コム ソリューション&エンジニアリング 株 式 会 社 山 口 崇 徳 株 式 会 社 インターネットイニシアティブ ( 五 十 音 順 ) 事 務 局 ( 一 般 社 団 法 人 日 本 ネットワークインフォメーションセンター) 石 田 慶 樹 (ドメイン 名 分 野 担 当 理 事 技 術 部 長 ) 前 村 昌 紀 奥 谷 泉 是 枝 祐 (インターネット 推 進 部 ) 小 山 祐 司 岡 田 雅 之 ( 技 術 部 ) 20

9. 参 考 資 料 ICANN Web の 情 報 名 前 衝 突 に 関 するリソースと 情 報 https://www.icann.org/en/help/name-collision 名 前 衝 突 に 関 する FAQ https://www.icann.org/en/help/name-collision/faqs 名 前 衝 突 発 生 への 対 応 案 https://www.icann.org/en/groups/board/documents/resolutions-new-gtld -annex-1-07oct13-en.pdf IT 専 門 家 向 けの 名 前 衝 突 に 関 するアドバイス https://www.icann.org/en/about/staff/security/ssr/name-collision-mit igation-05dec13-en.pdf 名 前 衝 突 発 生 時 の 報 告 先 https://www.icann.org/en/help/name-collision/report-problems SSAC 文 書 (SAC045 057 062 064) https://www.icann.org/en/groups/ssac/documents 新 gtld 関 連 情 報 新 gtld 申 請 文 字 列 一 覧 https://gtldresult.icann.org/application-result/applicationstatus 新 gtld 委 任 済 み 文 字 列 一 覧 http://newgtlds.icann.org/en/program-status/delegated-strings gtld レジストリ 契 約 一 覧 ( 締 結 日 順 ) https://www.icann.org/en/about/agreements/registries-date JPNIC 発 表 資 料 名 前 衝 突 (Name Collision) 問 題 への JPNIC の 取 り 組 みについて https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2014/20140121-01.html JPNIC 総 会 講 演 会 資 料 ( 配 布 資 料 および 動 画 ) 名 前 衝 突 (Name Collision)の 問 題 と 日 本 での 取 り 組 みについてのご 紹 介 https://www.nic.ad.jp/ja/materials/after/20140314/ 21