平 成 23 年 度 自 走 装 置 を 用 いた 樋 門 函 体 の 3 次 元 変 位 技 術 の 開 発 ( 独 ) 土 木 研 究 所 寒 地 土 木 研 究 所 寒 地 機 械 技 術 チーム 小 宮 山 一 重 牧 野 正 敏 山 﨑 貴 志 北 海 道 には 泥 炭 性 軟 弱 地 盤 が 広 く 分 布 しており 長 期 にわたり 沈 下 する 特 性 を 有 している 河 川 堤 防 の 樋 門 樋 管 は 地 盤 沈 下 の 影 響 を 受 け 函 体 周 辺 の 空 洞 化 や 函 体 継 手 部 の 変 形 など の 問 題 が 生 じている この 対 策 として 柔 構 造 樋 門 樋 管 が 建 設 されるようになった 柔 構 造 樋 門 樋 管 では 函 体 の 沈 下 量 等 を する 動 態 観 測 が 行 われているが 値 は1 次 元 であるため 変 位 方 向 の 判 別 がしづらく 高 さが1.5m 以 下 の 函 体 内 での 作 業 は 苦 渋 を 伴 う このことから 詳 細 な 動 態 把 握 と 人 力 作 業 軽 減 を 目 的 に トータルステーションと 自 走 装 置 を 用 いて 函 体 内 に 設 置 されている 鋲 を3 次 元 で する 技 術 を 開 発 した キーワード: 樋 門 樋 管 トータルステーション 自 走 装 置 1. はじめに 北 海 道 には 泥 炭 性 軟 弱 地 盤 が 広 く 分 布 ( 図 -1)して おり 長 期 にわたり 沈 下 する 特 性 を 有 している 1) 泥 炭 性 軟 弱 地 盤 における 河 川 構 造 物 の 樋 門 樋 管 で は 地 盤 沈 下 により 函 体 周 辺 に 空 洞 が 発 生 し その 空 洞 が 水 みちとなり 洪 水 時 には 破 堤 を 引 き 起 こし 大 きな 災 害 を 発 生 させる 要 因 となる 2) この 対 策 として 建 設 省 ( 現 国 土 交 通 省 )より 樋 門 の 新 設 改 築 にあたっては 原 則 として 柔 構 造 樋 門 とするものであること と 通 達 3) されており 今 後 は 柔 構 造 樋 門 の 設 置 数 が 増 えていくと 想 定 される 柔 構 造 樋 門 樋 管 の 建 設 では 動 態 観 測 として 函 体 沈 下 量 と 函 体 継 手 部 の 開 きなどを 盛 土 完 了 後 6ヶ 月 程 度 まで 人 力 で している 函 体 内 には 沈 下 鋲 と 継 手 変 位 鋲 が 設 置 さ れており 函 体 沈 下 量 は 沈 下 鋲 の 高 さをレベルとス タッフを 用 いて し 函 体 継 手 部 の 開 きは 継 手 双 方 に 設 置 されている 継 手 変 位 鋲 間 を 金 尺 などを 用 いて している( 写 真 -1) しかし 値 は1 次 元 で あるため 変 位 方 向 が 判 別 しづらいという 難 点 があるほか 函 体 高 さが 1.5m 以 下 の 小 規 模 な 函 体 内 での 作 業 は 苦 渋 を 伴 っている 平 成 22 年 度 現 在 国 土 交 通 省 北 海 道 開 発 局 ( 以 下 4) 開 発 局 という)で 管 理 している 樋 門 樋 管 1,48 箇 所 のうち 函 体 の 高 さ 口 径 が 1.5m 以 下 の 数 は 約 8 箇 所 (54.1%)と 半 数 以 上 を 占 めている このことから 函 体 の 詳 細 な 動 態 把 握 と 函 体 内 にお ける 人 力 作 業 の 軽 減 を 目 的 に トータルステーション ( 以 下 TS という)と 小 型 クローラ 式 自 走 装 置 ( 以 下 自 走 装 置 という)を 用 いて 函 体 内 の 鋲 の 座 標 を3 次 元 (X Y Z)で する 変 位 技 術 を 開 発 し た 1) 図 -1 北 海 道 の 泥 炭 性 軟 弱 地 盤 分 布 図 写 真 -1 沈 下 鋲 の 沈 下 量 状 況 ( 左 側 )と 継 手 変 位 鋲 間 の 開 き 状 況 ( 右 側 ) 2. 変 位 システム 概 要 鋲 の 座 標 を3 次 元 (X Y Z)で する 方 法 と
して TS を 函 体 の 外 ( 吐 き 口 側 または 呑 み 口 側 )に 設 置 し 鋲 を 直 接 視 準 する 方 法 がある しかし 連 結 している 函 体 では 撓 みや 継 手 部 のゴムが 大 きく 変 形 し ている 場 合 があるなど 鋲 を TS で 直 接 視 準 するこ とが 困 難 であるため 函 体 内 で する 技 術 が 必 要 であ る 併 せて 小 規 模 函 体 内 における 人 力 作 業 の 軽 減 を 図 るために 小 型 機 械 をベースにした 函 体 内 の 鋲 を 計 測 するシステムとした システム 構 成 は 変 位 装 置 を 搭 載 して 函 体 内 を 走 行 する 自 走 装 置 自 走 装 置 に 搭 載 する 部 の 変 位 装 置 変 位 装 置 の 操 作 座 標 の 算 出 を 行 う 変 位 ソフト したデータを 管 理 する 帳 票 管 理 ソフト とした( 図 -2 図 -3) 改 造 箇 所 1 装 置 搭 載 用 キャリアの 取 付 ( 伸 縮 式 ) 2 点 検 用 カメラの 移 設 3 走 行 用 カメラの 増 設 4 照 明 装 置 の 増 設 5 照 明 装 置 用 電 源 BOX の 増 設 6 後 方 転 倒 防 止 装 置 の 取 付 5 照 明 装 置 用 電 源 BOX 3 走 行 用 カメラ 1 装 置 用 キャリア 4 照 明 装 置 2 点 検 用 カメラ 伸 縮 部 函 体 継 手 ゴム 沈 下 鋲 前 方 走 行 用 電 源 BOX 6 後 方 転 倒 ( 内 蔵 ) 後 方 防 止 装 置 写 真 -3 改 造 後 の 自 走 装 置 視 準 継 手 変 位 鋲 図 -2 変 位 システムによる イメージ 図 函 体 外 函 体 内 トータルステーション 対 象 鋲 視 準 変 位 装 置 三 角 板 カメラ 視 野 RS-232C 値 無 線 通 信 操 作 用 PC レーザー 距 離 計 自 走 装 置 図 -3 変 位 システム 機 器 構 成 図 表 -1 自 走 装 置 主 要 諸 元 ( 改 造 後 ) 寸 法 W35 D452 H588~838mm( 伸 縮 式 ) 質 量 25.7kg 積 載 質 量 2.kg 以 下 動 力 源 ニッケル 水 素 バッテリー(7.2V) 4 本 駆 動 方 式 電 気 モータ 2 個 走 行 速 度 最 高 1.49km/h(24.8m/min) 走 行 用 カメラ カラー 32 万 画 素 点 検 用 カラー 32 万 画 素 カメラ ハ ン( 左 右 )±175 度 チルト( 上 下 )~-12 度 照 明 LED 6.4W 3 灯 照 明 装 置 用 電 源 ニッケル 水 素 バッテリー(7.2V) 4 本 ( 装 置 用 2 本 照 明 装 置 用 2 本 ) 保 護 等 級 IP67(クローラ 部 ) 乗 越 え 可 能 最 高 段 8mm 操 作 装 置 防 水 型 ノートパソコン コントローラ 通 信 方 法 無 線 LAN IEEE.82.11g (1) 自 走 装 置 自 走 装 置 は 次 の 条 件 を 満 たす 自 走 装 置 ( 写 真 -2) を 用 いて 小 規 模 函 体 内 での 作 業 を 効 率 的 に 行 うた めの 改 造 を 施 した( 写 真 -3 表 -1) 選 定 条 件 1 防 水 性 を 有 すること 2 無 線 通 信 による 遠 隔 操 作 が 可 能 であること 3カメラ 画 像 で 函 体 内 の 状 況 を 確 認 できること 写 真 -2 改 造 前 の 自 走 装 置 ( 左 側 )と 操 作 用 パソコン( 右 側 ) (2) 変 位 装 置 変 位 装 置 は 電 動 雲 台 レーザー 距 離 計 等 を 用 いて 構 成 した( 写 真 -4) また 鋲 の 座 標 を するには 変 位 装 置 の 向 き 傾 きを 把 握 する 必 要 が あることから 三 角 測 量 の 原 理 を 応 用 し レーザー 距 離 計 に 取 付 けた 三 角 板 の 端 部 3 点 を して 鋲 の 座 標 を 求 めるシステムとした( 図 -3) 三 角 板 の 向 き 傾 きを 把 握 するために 端 部 3 点 に 視 準 点 として 測 量 で 用 いられている 反 射 シールを 貼 り 付 け た( 写 真 -5) また 3 点 間 の 距 離 は 極 力 離 した 方 が 精 度 の 向 上 に 繋 がるが 大 きすぎると 小 規 模 函 体 内 での に 対 応 することができなくなるため 函 体 の 断 面 サイズに 応 じて 三 角 板 の 使 い 分 けができるように 3 サイズ(2mm 3mm 2mm 4mm 2mm 7mm)を 製 作 した なお 変 位 装 置 の 動 作 制 御 及 び 座 標 算 出 は 変 位 ソフトで 行 う
電 動 雲 台 実 施 した( 図 -4) 鋲 を TS で 直 接 視 準 した 値 を 真 値 として 値 の を 検 証 した 結 果 を 表 -2に 示 す 三 角 板 反 射 シール 写 真 -4 変 位 装 置 レーザー 距 離 計 2mm TS 鋲 上 ( 沈 下 鋲 を 想 定 ) 鋲 左 ( 継 手 変 位 鋲 を 想 定 ) 1.2m 1.2m m 横 断 方 向 1m 鉛 直 方 向 軸 方 向 5m 4m 3m 2m 鋲 右 ( 継 手 変 位 鋲 を 想 定 ) 1m 7mm 写 真 -5 三 角 板 (2mm 7mm) (3) 変 位 ソフト 変 位 ソフトは 変 位 装 置 ( 電 動 雲 台 レー ザー 距 離 計 )の 制 御 座 標 の 算 出 を 行 う 鋲 の 座 標 は 函 体 の 外 ( 吐 き 口 または 呑 み 口 側 )に 設 置 した TS 器 械 点 の 座 標 (X Y Z)を 基 に 次 の 値 を 用 いて 算 出 する 1 TS と 変 位 装 置 間 の 距 離 角 度 2 変 位 装 置 と 鋲 間 の 距 離 (4) 帳 票 管 理 ソフト 変 位 ソフトで 算 出 した 座 標 値 データを 取 込 み 沈 下 鋲 と 継 手 変 位 鋲 の 座 標 値 を 一 つの 帳 票 で 管 理 することができる 図 -4 試 験 イメージ 図 試 験 結 果 から 自 走 装 置 の 無 線 通 信 による 遠 隔 操 作 及 び 点 検 用 カメラ 画 像 で 鋲 におけるレーザー 光 の 照 射 状 況 を 確 認 する 方 法 で 5m 地 点 ( 自 走 装 置 操 作 場 所 からは 6m 程 度 )までの を 行 えることを 確 認 した 精 度 は~4m 地 点 の 平 均 値 が 約 3~4mm 5m 地 点 の 平 均 値 が 約 6mm となった この 精 度 は 一 般 的 に 土 木 工 事 の GNSS 測 量 に 用 いられている RTK 法 の 公 称 精 度 (±2mm+2 1-6 距 離 ) 5) スタテ ィック 法 の 公 称 精 度 (2 周 波 :±5mm+1 1-6 距 離 1 周 波 :±1mm+2 1-6 距 離 ) 5) と 同 等 の 精 度 であるといえる 4. 変 位 システム 試 験 ( 現 場 適 用 性 試 験 ) 3. 変 位 システム 試 験 ( 動 作 確 認 試 験 ) 変 位 システムの 自 走 装 置 の 機 能 性 及 び 精 度 を 検 証 するため 寒 地 土 木 研 究 所 構 内 で 断 面 形 状 1.2m 1.2m 延 長 5m の 樋 門 を 想 定 し ~5m 地 点 まで 1m 間 隔 で 鋲 を 各 3 箇 所 ずつ 設 置 して 試 験 を 変 位 システムの 自 走 装 置 の 機 能 性 及 び 精 度 を 検 証 する 現 場 適 用 性 試 験 を 実 樋 門 4 箇 所 ( 表 -3)で 実 施 した なお 精 度 を 検 証 するため は 次 の 3 種 類 による 方 法 で 実 施 した ( 単 位 :mm) 地 点 m 1m 2m 3m 4m 5m 平 均 左 上 右 左 上 右 左 上 右 左 上 右 左 上 右 左 上 右 (-5m) 軸 方 向 5..4 2.3 4.25 1. 1.15 3.85 1.75 3.25 7.2 2.25 3.5 4.45 1.55 3.5 7.2 4.45 2.8 3.28 横 断 方 向.2 2.2 6.95 6.2 5.6 5.15 5.65 2.6 1.4 3.6 4.15 7.85 5.55 1.9 1.5 12.1 3.7 9.5 5.74 鉛 直 方 向 2. 4. 1.5 3.5 5. 3.5 2. 4. 1.5 1.5 3. 1..5 4.5 2. 4. 7. 3.5 3. 平 均 2.4 2.2 3.58 4.65 3.87 3.27 3.83 2.78 5.5 4.1 3.13 3.97 3.5 2.65 5.18 7.77 5.5 5.12 4.1 平 均 2.73 3.93 3.89 3.73 3.78 5.98 4.1 TS 直 接 視 準 による 値 を 真 値 とした 場 合 の ( 絶 対 値 ) 表 -2 変 位 システム 精 度
1 変 位 システムによる 2TS 直 接 視 準 による (TS で 鋲 を 直 接 視 準 ) 3 従 来 手 法 による (レベルとスタッフ 及 び 金 尺 を 用 いる) ただし 2において TS から 鋲 が 直 接 視 準 できな い 場 合 は 測 量 道 具 (ピンポールとプリズム( 写 真 - 6))を 鋲 にあてて を 行 った 表 -3 試 験 実 施 場 所 管 理 事 務 所 名 札 幌 河 川 事 務 所 樋 門 名 小 沼 川 樋 門 断 面 形 状 Φ1.6 24.5m ~1 連 水 深 (cm) 堆 砂 厚 (cm) 1~1 7 写 真 -8 樋 門 函 体 内 (H=1.5m) 状 況 ( 遠 くに 見 えるのが 函 体 の 外 に 設 置 したTS) 岩 見 沢 河 川 事 務 所 昭 栄 樋 門 1.5 1.5 92.m ~1 連 11~17 千 歳 川 河 川 事 務 所 志 文 別 樋 門 南 8 号 樋 門 3. 3. 47.m ~2 連 1.5 1.5 62.5m ~1 連 3~14 6~22 プリズム 写 真 -9 樋 管 函 体 内 ( 内 径 1.6m) 状 況 ピンポール 写 真 -6 ピンポールとプリズムを 用 いた 状 況 鋲 試 験 状 況 を 写 真 -7~11 に 変 位 システムによ る 値 と TS 直 接 視 準 による 値 との を 表 - 4に 変 位 システムによる 値 及 び TS 直 接 視 準 による 値 と 従 来 手 法 による 値 との を 表 -5に 示 す 写 真 -1 鋲 にレーザー 光 を 照 射 している 状 況 写 真 -7 函 体 内 の 変 位 装 置 をTSで 視 準 している 状 況 写 真 -11 操 作 用 PCで 鋲 を 確 認 している 状 況
表 -4 TS 直 接 視 準 による 値 との 精 度 については TS 直 接 視 準 による 値 ( 単 位 :mm) 沈 下 鋲 と 継 手 変 位 鋲 との ( 表 -4)は 横 断 方 向 が 4.2mm 鉛 直 方 向 が 4.4mm と 軸 方 向 の.5mm に 比 べ 大 きい 結 果 となった 樋 門 名 樋 門 別 にみると 昭 栄 樋 門 及 び 南 8 号 樋 門 での が 軸 横 断 鉛 直 平 均 方 向 方 向 方 向 横 断 方 向 と 鉛 直 方 向 で 大 きくなっている この 要 因 は 小 沼 川 樋 門 TS 直 接 視 準 による 時 に 用 いた 測 量 道 具 (ピンポー 18.1 2.9 3.1 2. ( 延 長 24.5m) ルとプリズム)での は ピンポールを 手 で 持 ち( 写 昭 栄 樋 門 57.6 4.6 5. 3.4 ( 延 長 92m) 真 -6) 鉛 直 及 び 水 平 調 整 を 目 視 で 行 ったため 志 文 別 樋 門 誤 が 大 きくなったと 推 定 される 44 1.2 3.9 3.1 2.7 ( 延 長 47m) よって 距 離 が 9m 程 度 であれば 距 離 と 誤 南 8 号 樋 門 32.1 5.2 6.3 3.9 ( 延 長 62.5m) の 相 関 関 係 は 無 いものと 判 断 する 平 均 値 -.5 4.2 4.4 3. また 従 来 手 法 による 値 との ( 表 -5)では TS 直 接 視 準 による 値 を 真 値 とした 場 合 の の 平 均 値 ( 絶 対 値 ) 手 法 の 違 いによる 明 確 な は 現 れなかった 実 樋 門 における 変 位 システムの 誤 は 次 の 表 -5 従 来 手 法 による 値 との ( 単 位 :mm) 要 因 で 生 じると 考 えられるが GNSS 測 量 (RTK 法 スタ ティック 法 )の 公 称 精 度 と 同 等 であるため 変 位 量 沈 下 鋲 継 手 変 位 鋲 の 管 理 には 有 効 な 精 度 といえる 樋 門 名 変 位 システム TS 直 接 視 準 変 位 システム TS 直 接 視 準 小 沼 川 樋 門 ( 延 長 24.5m) 6 3.2 6 4.2 6 1.7 6 2.5 昭 栄 樋 門 ( 延 長 92m) 12 2.3 1 5.8 21 5.6 2 4.6 志 文 別 樋 門 ( 延 長 47m) 14 3.4 1.6 15 5.5 11 1.7 南 8 号 樋 門 ( 延 長 62.5m) 8 9.4 8 1.9 12 4.6 12 5.6 平 均 値 - 4.6-3.1-4.4-3.6 1 変 位 システムの 誤 (TS レーザー 距 離 計 の 機 器 の 精 度 を 含 む) 2TS による 三 角 板 時 の 視 準 誤 3レーザー 距 離 計 のレーザー 光 を 鋲 中 心 に 合 わせ る 時 の 誤 4 鋲 表 面 の 凹 凸 等 によるレーザー 距 離 計 の 誤 5 水 流 に 起 因 する 自 走 装 置 の 振 動 による 誤 5. 課 題 及 び 対 応 策 従 来 手 法 の 値 を 真 値 とした 場 合 の の 平 均 値 ( 絶 対 値 ) 継 手 変 位 鋲 は 二 対 で1 点 とした 試 験 結 果 から 自 走 装 置 を 用 いて 延 長 9m 程 度 の 狭 い 函 体 内 において 無 線 通 信 による 遠 隔 操 作 及 び 点 検 用 カメラ 画 像 で 鋲 におけるレーザー 光 の 照 射 状 況 を 確 認 する 方 法 で を 行 えることを 確 認 した しかし 走 破 性 と 防 水 性 に 関 する 課 題 が 判 明 した 詳 細 は 次 項 で 説 明 する また 開 発 局 が 管 理 している 樋 門 樋 管 のうち 延 長 9m 未 満 の 割 合 は 99.3%( 図 -5)であることから ほ とんどの 樋 門 樋 管 函 内 において 自 走 装 置 の 操 作 が 可 能 である 現 場 適 用 性 試 験 から 判 明 した 課 題 を3 点 説 明 する 1 函 体 内 における 自 走 装 置 の 走 破 性 及 び 防 水 性 自 走 装 置 は 8mm 程 度 の 段 を 乗 り 越 えることが 可 能 だが 函 体 継 手 ゴムの 変 形 により 函 体 底 版 の 段 が 大 きい 箇 所 ( 写 真 -12)や 土 砂 が 堆 積 した 箇 所 では 人 力 による 走 行 の 補 助 が 必 要 であった また クロー ラ 部 は 防 水 性 能 (IP67)を 有 しているが 2 時 間 程 度 水 没 した 状 態 では 走 行 用 電 源 BOX( 内 蔵 )のキャッ プ( 写 真 -3)の 取 付 部 から 自 走 装 置 内 に 水 が 侵 入 した 場 合 があった 継 手 ゴム 樋 門 樋 管 数 ( 箇 所 ) 5 4 3 2 1 87.3%93.2%96.2%98.2%99.3%99.7%99.9% 99.9% 1.% 445 411 1.% 77.4% 樋 門 樋 管 数 8.% 61.% 241 累 積 % 6.% 33.2% 146 4.% 45 88 3.1% 44 3 15 6 4 1 2.%.% 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 樋 門 樋 管 延 長 (m) 図 -5 樋 門 樋 管 延 長 別 設 置 数 写 真 -12 函 体 継 手 ゴムの 変 形 で 生 じた 段 (H=12mm)
2 高 い 位 置 に 設 置 されている 鋲 の 誤 翼 壁 など 函 体 の 外 の 高 い 位 置 に 設 置 されている 鋲 ( 写 真 -13)の は レーザー 距 離 計 との 距 離 が 遠 くなるため 点 検 用 カメラの 画 像 では 鋲 の 中 心 に 照 準 を 合 わせることが 難 しくなり 誤 が 大 きくなる 可 能 性 があることがわかった 鋲 H=3.3m 写 真 -13 高 い 位 置 に 設 置 されている 鋲 3 鋲 の 形 状 による 影 響 実 樋 門 に 設 置 されている 鋲 は 樋 門 毎 に 大 き さや 形 状 が 異 なっており( 写 真 -14) 中 心 に 凹 凸 が ある 鋲 の では レーザー 距 離 計 のレーザー 光 が 影 響 を 受 けて 反 射 光 を 受 光 できず できない 場 合 があり 自 走 装 置 の 位 置 をずらし 再 を 行 った 写 真 -14 実 樋 門 に 設 置 されている 鋲 これらの 課 題 の 対 応 策 として 次 のことが 考 えられる 1に 対 しては 本 研 究 で 用 いた 自 走 装 置 よりも 走 破 性 防 水 性 が 高 い 機 種 を 用 いることで 対 応 が 可 能 と 考 え る 2に 対 しては 鋲 が 函 体 の 外 に 設 置 されているた め レーザー 光 の 位 置 を 直 接 目 視 で 確 認 することで 精 度 を 維 持 できる 3に 対 しては 鋲 の 設 置 時 に 表 面 に 凹 凸 が 無 い 形 状 を 選 定 することで 回 避 できる 6. おわりに 柔 構 造 樋 門 樋 管 の 動 態 観 測 において 沈 下 量 と 継 手 部 の 開 きの は 人 力 で 行 われ 値 ( 変 位 量 )は 1 次 元 で 管 理 されている また 小 規 模 な 函 体 内 での 作 業 は 苦 渋 を 伴 っている 本 技 術 の 開 発 により 鋲 の 座 標 を3 次 元 (X Y Z)で することが 可 能 となり 函 体 の 動 態 を 詳 細 に 把 握 することができる また 自 走 装 置 を 用 いることで 函 体 内 における 人 力 作 業 の 軽 減 に 寄 与 できるものである さらに 河 川 工 事 における 情 報 化 施 工 技 術 の 一 般 化 に 向 けた 普 及 推 進 が 図 られている 6) ことから 河 川 構 造 物 の 維 持 管 理 においても3 次 元 座 標 での 管 理 が 求 められてく ることも 想 定 され 本 技 術 の 活 用 が 期 待 できる 今 後 は 実 樋 門 で を 試 行 することにより 樋 門 樋 管 の 維 持 管 理 に 貢 献 していきたい 謝 辞 : 本 研 究 に 対 し ご 協 力 していただきました 札 幌 開 発 建 設 部 の 関 係 各 位 に 心 から 感 謝 の 意 を 表 します 参 考 文 献 1) ( 独 ) 土 木 研 究 所 寒 地 土 木 研 究 所 : 泥 炭 性 軟 弱 地 盤 対 策 工 マニュアル pp.3~7 211 2) 佐 藤 厚 子 西 本 聡 : 柔 構 造 樋 門 の 圧 密 沈 下 挙 動 につ いて 北 海 道 開 発 土 木 研 究 所 月 報 632 号 p.13 26 3) ( 社 ) 日 本 河 川 協 会 : 改 定 解 説 河 川 管 理 施 設 構 造 令 pp.42~422 2 4) 国 土 交 通 省 北 海 道 開 発 局 : 河 川 管 理 施 設 一 覧 ホー ムページ http://www.hkd.mlit.go.jp/zigyoka/z_kase n/saigai/pdf/kasensisetsu.pdf 5) 国 土 交 通 省 国 土 地 理 院 : 測 量 機 器 性 能 基 準 ホーム ページ http://psgsv.gsi.go.jp/koukyou/kihon/seino /index.htm 6) 国 土 交 通 省 : 情 報 化 施 工 推 進 会 議 ( 第 8 回 ) 資 料 3 情 報 化 施 工 技 術 の 一 般 化 実 用 化 の 方 針 http:// www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kensetsusekou/kondankai/ ICTsekou/8siryo/3.pdf