農 業 の 新 技 術 No. No. 98 2011 農 業 総 合 試 験 場 耐 暑 性 に 優 れた 夏 秋 系 黄 一 輪 ギク 夏 のきらめき なつき 愛 の 特 性 と 栽 培 技 術 夏 のきらめき (2011 年 品 種 登 録 ) なつき 愛 (2012 年 品 種 登 録 ) ( 商 標 : 夏 のあゆみ) 愛 知 県 農 業 総 合 試 験 場 では 愛 知 県 花 き 温 室 園 芸 組 合 連 合 会 きく 部 会 と 共 同 で 夏 季 に 黄 色 の 花 を 咲 かせる 一 輪 ギク 夏 のきらめき と なつき 愛 ( 県 花 き 連 き く 部 会 が 夏 のあゆみ で2011 年 に 商 標 登 録 )を 育 成 しました 両 品 種 とも1 高 温 長 日 条 件 下 でも 開 花 が 早 く 2 切 り 花 の 日 持 ち 性 に 優 れ 3 無 側 枝 性 を 有 し 茎 の 伸 長 性 が 良 いキクです 特 に 夏 のきらめき は 花 が 大 きく なつき 愛 は 切 り 花 の 日 持 ちが 良 いといった 特 性 があります
特 性 比 較 夏 のきらめき なつき 愛 ( 商 標 : 夏 のあゆみ) 花 の 大 きさ 色 約 13cm 明 黄 色 約 11cm 明 黄 色 切 り 花 の 草 姿 ボリューム 感 あり 立 ち 葉 でスマート 生 育 生 育 旺 盛 で 茎 の 伸 長 性 がよい 無 側 枝 性 がある 電 照 打 ち 切 り~ 開 花 までの 日 数 45 日 程 度 45 日 ~49 日 日 長 管 理 シェード 不 要 ややヤナギ 芽 多 い シェードが 望 ましい 切 り 花 日 持 ち 日 数 良 い 19 日 とても 良 い 24 日
夏 のきらめき 主 な 特 性 自 然 開 花 ( 季 咲 き)は6 月 上 ~ 中 旬 頃 です 花 色 は 輝 くような 明 黄 色 で 他 の 品 種 より 大 きな 花 が 咲 きます 茎 の 伸 長 性 が 優 れ 茎 葉 にボリューム 感 があります 側 枝 ( 腋 芽 )の 発 生 が 少 なく 芽 かきが 省 力 化 できます 早 期 発 蕾 によるヤナギ 芽 が 発 生 しやすいです 高 温 期 には 下 葉 枯 れが 発 生 しやすいです 作 付 体 系 6~8 月 の 出 荷 に 適 しています 9 月 開 花 作 付 は 奇 形 花 が 発 生 しやすく あまり 適 していません 早 期 発 蕾 防 止 のため 必 ず 摘 心 処 理 をします 出 荷 時 期 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 発 蕾 率 (%) 100 80 60 40 20 0 4 時 間 消 灯 時 茎 長 目 安 6 月 中 旬 50cm ( 摘 心 から45 日 ) (45 日 ) 7 月 上 旬 ( 40 日 ) (45 日 ) 8 月 上 旬 40~ ( 35 日 ) (45 日 ) 定 植 親 株 育 成 摘 心 消 灯 収 穫 消 灯 時 茎 長 は 摘 心 位 置 から 茎 頂 までの 長 さ 7~8 月 開 花 の 切 り 下 株 を 収 穫 後 露 地 へ 仮 植 して 元 親 株 とし 十 分 な 低 温 に 遭 わせます 元 親 株 から 発 生 した 吸 枝 を1 月 頃 に 無 加 温 ハウス へ 親 株 として 植 え 付 けます 春 先 以 降 は ハウス 内 をあまり 蒸 し 込 まないよ うになるべく 涼 しい 環 境 で 管 理 します 本 圃 での 早 期 発 蕾 防 止 のため 親 株 床 では4 時 間 以 上 の 深 夜 電 照 を 行 います 栽 植 密 度 定 植 本 数 は3.3m2 当 たり65~75 本 とし 摘 心 によ り 株 当 たり2~3 本 仕 立 てとします 施 設 の 立 地 条 件 や 畝 幅 に 合 わせて 調 整 します あまり 密 植 し 過 ぎると 下 葉 枯 れが 発 生 しやすく 茎 が 軟 弱 になるので 注 意 が 必 要 です 消 灯 時 消 灯 14 後 14 日 後 目 無 電 照 4 時 間 無 加 温 15 無 電 照 親 株 の 加 温 電 照 の 有 無 と 消 灯 時 消 灯 後 14 日 目 の 発 蕾 率 (8 月 開 花 摘 心 栽 培 )
日 長 操 作 定 植 から 消 灯 までの 電 照 は 深 夜 4~5 時 間 行 います 短 日 処 理 (シェード)をしなくても 開 花 はほとんど 遅 れません 施 肥 かん 水 施 肥 量 は 慣 行 と 同 程 度 です 緩 効 性 肥 料 や 追 肥 主 体 の 施 肥 設 計 が 望 ましいです 活 着 後 はかん 水 をやや 控 えめに 管 理 し 根 を 深 くまで 張 らせるようにします 消 灯 後 は 土 壌 水 分 が 過 剰 にならない 程 度 に 適 宜 かん 水 します わい 化 剤 処 理 花 首 が 伸 長 しやすいので 摘 蕾 期 にダミノジット 剤 を 散 布 すると 草 姿 のバランスが 良 くなります 病 害 虫 対 策 ハモグリバエの 食 害 を 受 けやすいので 注 意 して 防 除 します その 他 アブラムシ アザミウマ ハダニ 白 さび 病 等 の 発 生 に 注 意 して 適 期 防 除 に 心 がけてください 早 期 発 蕾 (ヤナギ 芽 ) 対 策 1~3 月 の 気 温 が 比 較 的 高 い 年 は 3 月 末 までに 採 穂 をし てください また 採 穂 が4 月 以 降 になる 場 合 は 親 株 へ 採 穂 前 摘 心 時 にエテホン 剤 を 散 布 します 本 圃 では 摘 心 ~ 摘 心 後 10 日 目 くらいにエテホン 剤 を 散 布 すると 早 期 発 蕾 を 抑 えることができます ただし 開 花 が 少 し 遅 れる 場 合 があります 消 灯 時 までは 草 丈 を 伸 ばしすぎないようにします 極 端 に 土 壌 を 乾 燥 させないようにします 下 葉 枯 れの 発 生 原 因 と 対 策 高 温 多 湿 な 条 件 で 発 生 しやすいと 考 えられます 畝 の 内 部 で 発 生 が 多 く 通 路 側 ではあまり 発 生 しません 根 張 りが 悪 いと 発 生 が 多 いのではないかと 考 えられます 短 期 間 で 急 激 に 症 状 が 悪 化 するので 温 度 湿 度 日 照 な どの 急 激 な 環 境 変 化 が 引 き 金 となっていると 考 えられます ハウス 内 の 通 風 換 気 を 良 くし 高 温 多 湿 にならないよう に 努 めます ベッド 幅 を 狭 くしたり ベッド 中 央 を 広 めに 空 けて 植 える のが 望 ましいです 収 穫 出 荷 切 り 前 が 早 い 段 階 で 収 穫 した 切 り 花 は 蕾 の 花 色 が 薄 く 開 花 時 の 花 径 が 小 さくなってしまいます 花 色 が 出 始 めて 花 弁 が 緩 んできたら 収 穫 しましょう ヤナギ 芽 下 葉 枯 れ ( 奥 の 方 が 枯 れている) 夏 のきらめき 出 荷 時 の 蕾 のようす
主 な 特 性 なつき 愛 ( 商 標 : 夏 のあゆみ) 自 然 開 花 ( 季 咲 き)は6 月 下 旬 頃 です 花 色 は 艶 やかな 明 黄 色 で 花 はやや 小 振 りです 6~9 月 開 花 作 付 では 到 花 日 数 が45~50 日 で 安 定 して おり 開 花 揃 いもよいです 茎 の 伸 長 性 に 優 れています 節 間 が 長 く 茎 葉 のボリュー ム 感 はやや 少 なめです 水 揚 げ 日 持 ちが 特 に 良 い 品 種 です 側 枝 ( 腋 芽 )の 発 生 が 少 なく 芽 かきが 省 力 化 できます 作 付 体 系 6~10 月 の 出 荷 に 対 応 できます 6 月 開 花 では 低 温 遭 遇 により 開 花 遅 延 等 がみられ ますので 消 灯 後 夜 温 は16 以 上 に 確 保 するように 努 めます 6~9 月 開 花 作 付 では 摘 心 栽 培 無 摘 心 栽 培 とも 可 能 です 10 月 開 花 作 付 では 摘 心 後 不 萌 芽 になりやすいため 無 摘 心 栽 培 のほうが 向 いています 出 荷 時 期 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 消 灯 時 茎 長 目 安 6 月 下 旬 ( 摘 心 から45 日 ) (45 日 ) 50cm 7 月 上 旬 ( 40 日 ) (47 日 ) 8 月 上 旬 ( 35 日 ) (48 日 ) 40~ 9 月 中 旬 10 月 中 旬 定 植 親 株 育 成 ( 35 日 ) (47 日 ) ( 30 日 ) (45 日 ) 摘 心 消 灯 収 穫 シェード 消 灯 時 茎 長 は 摘 心 位 置 から 茎 頂 までの 長 さ 7~8 月 開 花 作 付 の 切 り 下 株 を 元 親 株 として 露 地 に 仮 植 します 6 月 開 花 作 付 の 親 株 は 開 花 遅 延 防 止 のため11 月 下 旬 ~12 月 上 旬 頃 吸 枝 が 見 え 始 めたらハウス 内 に 親 株 として 定 植 します その 後 は 幼 若 性 を 獲 得 させないよう 夜 温 12~15 で 管 理 します 7 月 開 花 作 付 以 降 の 親 株 は 夏 のきらめき と 同 様 に 育 成 します 一 株 当 たりの 採 穂 本 数 がやや 少 ないので 親 株 を 多 めに 準 備 します( 定 植 予 定 本 数 の12% 程 度 ) 無 側 枝 性 があるので 高 温 時 には 萌 芽 数 が 減 ります
栽 植 密 度 摘 心 栽 培 での 定 植 本 数 は3.3m2 当 たり65~75 本 とし 株 当 たり2~3 本 に 芽 を 整 理 し て 3.3m2 当 たり 仕 立 て 本 数 を150 本 とします 出 荷 規 格 M 級 を 主 体 に 出 荷 する 場 合 は3.3m2 当 たり180 本 程 度 でも 可 能 です 無 摘 心 栽 培 での 定 植 本 数 は3.3m2 当 た り150~180 本 です 日 長 操 作 定 植 から 消 灯 まで 深 夜 4 時 間 の 電 照 を 行 います 8~9 月 開 花 では 消 灯 後 は 日 長 時 間 が13 時 間 になる ようにシェードを 行 います 無 シェードでも 開 花 しま すが 開 花 の 遅 延 やばらつきが 起 こります 再 電 照 総 包 形 成 前 期 ~ 後 期 ( 消 灯 10 日 後 頃 )から4 ~5 日 間 3 時 間 程 度 行 うことで 上 位 葉 が 大 きくなります ただし 到 花 日 数 は5~6 日 遅 れます 8~9 月 出 荷 では 必 要 ありません 不 萌 芽 対 策 高 温 期 の 摘 心 栽 培 では 不 萌 芽 性 が 高 いため に 必 要 茎 数 が 確 保 できないことがあるため 念 のため 採 穂 した 穂 が 腋 芽 を 持 っているか 確 認 します 不 萌 芽 対 策 としては5 月 中 旬 頃 ま でに 採 穂 して 冷 蔵 するか 採 穂 前 摘 心 時 に 親 株 へのBA(ベンジルアミノプリン) 剤 散 布 をし ます 病 害 虫 対 策 ハダニの 発 生 は 他 の 品 種 に 比 べてやや 少 なめ ですが アブラムシ アザミウマ 白 さび 病 等 その 他 の 病 害 虫 の 発 生 にも 注 意 して 適 期 防 除 に 心 がけてください 収 穫 出 荷 切 り 前 が 早 い 段 階 で 収 穫 した 切 り 花 は 蕾 の 花 色 が 薄 く 開 花 時 の 花 径 が 小 さくなってしま います 花 色 が 出 始 めて 花 弁 が 緩 んできたら 収 穫 し ましょう 上 位 3 節 の 萌 芽 率 100 80 60 40 20 0 4/29 5/7 5/21 5/28 5/28 採 穂 日 (BA 処 理 ) 採 穂 時 期 BA 処 理 による 萌 芽 率 の 違 い 平 成 22 年 6 月 16 日 定 植 23 日 摘 心 7 月 12 日 調 査 早 い ( 切 り 前 固 い) 花 径 小 さい 萌 芽 不 萌 芽 気 温 の 上 昇 により 萌 芽 率 が 低 下 不 萌 芽 高 温 期 に 摘 心 した 後 の 萌 芽 状 態 ( 上 位 節 からの 萌 芽 が 減 少 ) 収 穫 適 期 BA 処 理 で 萌 芽 率 UP 切 り 前 の 違 いによる 満 開 時 の 花 の 大 きさの 比 較
栽 培 許 諾 夏 のきらめき なつき 愛 は いずれも 愛 知 県 と 愛 知 県 花 き 温 室 園 芸 組 合 連 合 会 きく 部 会 が 共 同 育 成 した 種 苗 法 に 基 づく 登 録 品 種 であり 栽 培 には 許 諾 契 約 が 必 要 です 問 い 合 わせ 先 愛 知 県 花 き 温 室 園 芸 組 合 連 合 会 事 務 局 ( 愛 知 県 農 林 水 産 部 園 芸 農 産 課 内 ) 電 話 052-954-6419(ダイヤルイン) 夏 のきらめき 栽 培 ほ 場 なつき 愛 ( 夏 のあゆみ) 栽 培 ほ 場 編 集 発 行 愛 知 県 農 業 総 合 試 験 場 480-1193 愛 知 県 長 久 手 市 岩 作 三 ケ 峯 1-1 TEL 0561-62-0085 内 線 323 ( 企 画 普 及 部 ) FAX 0561-63-0815 http://www.pref.aichi.jp/nososi 問 い 合 わせ 東 三 河 農 業 研 究 所 花 きグループ TEL 0532-61-6293 440-0833 豊 橋 市 飯 村 町 字 高 山 11-48