平 成 2 8 年 3 月 25 日 NACSIS-CAT 検 討 作 業 部 会 NACSIS-CAT/ILL の 軽 量 化 合 理 化 について( 基 本 方 針 )( 案 ) これからの 学 術 情 報 システム 構 築 検 討 委 員 会 ( 以 下, これから 委 員 会 ) は これか らの 学 術 情 報 システムの 在 り 方 について ( 平 成 27 年 5 月 29 日 ) 及 び NACSIS-CAT/ILL の 軽 量 化 合 理 化 について( 基 本 方 針 の 要 点 )( 以 下, 要 点 ) ( 平 成 27 年 10 月 27 日 ) で NACSIS-CAT/ILL 再 構 築 の 構 想 を 示 した 要 点 では, 書 誌 作 成 機 能 と 書 誌 利 用 ( 検 索 ) 機 能 との 分 離, 書 誌 作 成 機 能 である NACSIS-CAT の 軽 量 化 合 理 化,NACSIS-ILL を 含 む 書 誌 利 用 ( 検 索 ) 機 能 の 強 化 等 の 方 向 性 が 示 されている 本 資 料 では,これらを 実 現 するための 基 本 方 針 の 提 案 を 行 う 資 料 の 構 成 は 以 下 の 通 りである 1. 書 誌 作 成 機 能 (NACSIS-CAT)の 軽 量 化 合 理 化 2. 書 誌 利 用 ( 検 索 ) 機 能 ( 含 む NACSIS-ILL)の 強 化 3. 実 現 に 必 要 な 措 置 4. 平 成 32(2020) 年 以 降 の 展 開 以 下 は, 要 点 に 記 載 された 図 を 改 訂 したものである 各 項 目 と 合 わせて 参 照 されたい なお, 前 述 の これから 委 員 会 公 表 資 料 に 含 まれている 事 項 のうち, 本 提 案 に 含 まれ ていないものは, 実 施 の 是 非 も 含 めて 当 部 会 で 検 討 中 である 今 後 具 体 化 についてさらに 調 査 及 び 検 討 を 進 めていく 中 で, 随 時 検 討 結 果 を これから 委 員 会 に 提 案 していくもの であることをお 断 りしておく また, 雑 誌 についての 検 討 は 平 成 28 年 度 以 降 を 予 定 してお り, 今 回 は 図 書 を 中 心 に 記 述 している 1
1 書 誌 作 成 機 能 (NACSIS-CAT)の 軽 量 化 合 理 化 電 子 情 報 資 源 への 適 切 な 対 応 のための 資 源 ( 人 的 資 源,システム 資 源, 経 費 を 含 む) の 確 保 のために, 書 誌 作 成 と 書 誌 管 理 作 業 の 軽 量 化 を 図 る また, 現 行 の NACSIS-CAT は, 従 来 の 目 録 OPAC を 前 提 とする 閉 じた 世 界 では 十 分 に 機 能 しているが, 書 誌 階 層 構 造 の 導 入 など 独 自 性 の 強 いデータ 構 造 を 持 つため, 国 内 外 の 外 部 機 関 作 成 MARC 等 と, 単 純 な 変 換 のみではデータ 交 換 ができない* 外 部 データベースとの 相 互 運 用 性 を 強 化 するため,データ 構 造 の 見 直 しによる 合 理 化 を 進 める * 次 世 代 目 録 所 在 情 報 サービスの 在 り 方 について( 最 終 報 告 ) 参 照 https://www.nii.ac.jp/cat-ill/archive/pdf/next_cat_last_report.pdf 1.1 書 誌 作 成 と 書 誌 管 理 作 業 の 軽 量 化 (1) 書 誌 作 成 作 業 負 担 の 軽 減 1 外 部 機 関 作 成 書 誌 データの 活 用 参 照 ファイルとして 利 用 してきた JAPAN/MARC ( 国 立 国 会 図 書 館 ), US MARC ( 米 国 議 会 図 書 館 ) 等 の 外 部 機 関 作 成 書 誌 データを 総 合 目 録 データベース 内 に 直 接 登 録 し, 流 用 手 続 きなく 所 蔵 登 録 を 行 える 環 境 を 実 現 する 2 典 拠 レコードリンク 形 成 作 業 の 自 動 化 著 者 名 典 拠 レコード, 統 一 書 名 典 拠 レコードへのリンク 形 成 作 業 は, 従 来 書 誌 作 成 と 同 時 に 手 動 で 行 っていたが, 書 誌 登 録 後 の 機 械 的 な 処 理 へ 変 更 を 検 討 する 3 自 動 登 録 対 応 機 能 の 強 化 納 品 時 のデータを 利 用 した ISBN 等 による 自 動 所 蔵 登 録 等 の 機 能 を 強 化 する (2) 書 誌 管 理 作 業 負 担 の 軽 減 1 書 誌 作 成 機 能 と 書 誌 利 用 ( 検 索 ) 機 能 の 分 離 ILL など, 書 誌 利 用 ( 検 索 ) 段 階 での 機 能 性 を 担 保 するために 書 誌 作 成 時 に 行 っていた, 重 複 書 誌 データ 作 成 防 止 のための 念 入 りな 検 索, 重 複 書 誌 報 告 統 合 などの 書 誌 管 理 を 不 要 とする 書 誌 利 用 ( 検 索 ) 時 には, 名 寄 せ (2.2 参 照 )により 従 来 と 同 等 の 機 能 性 を 維 持 する 2 レコード 調 整 の 廃 止 修 正 や 重 複 書 誌 に 由 来 する 書 誌 レコード 調 整 を 廃 止 する 1.2 データ 構 造 の 見 直 しによる 合 理 化 (1) 書 誌 構 造 リンクの 廃 止 シリーズ 名 など 書 誌 階 層 がある 場 合 も,シリーズ 情 報 を 書 誌 データに 記 述 す るにとどめ, 書 誌 構 造 リンク 形 成 作 業 は 行 わない 2
(2) 書 誌 作 成 単 位 の 出 版 物 理 単 位 への 変 更 * 書 誌 作 成 単 位 を, 従 来 の 単 行 書 単 位 から 出 版 物 理 単 位 に 変 更 し, VOL フィールド の 繰 り 返 しでは 表 現 しない *(1)と(2)の 変 更 を 書 誌 データのフラット 化, 作 成 したデータを フラットな 書 誌 と 表 現 する 1.3 データ 構 造 の 見 直 しによる 効 果 (1) 出 版 物 理 単 位 ごとの 著 者 や 形 態 事 項 など, 従 来 記 録 されなかった 情 報 を 提 供 し, 利 用 者 の 資 料 入 手 の 判 断 材 料 を 充 実 させることができる (2) 物 理 単 位 での 書 誌 とすることで, 表 紙 画 像 表 示 あらすじ 目 次 の 追 加 など 外 部 連 携 サービスを 取 り 入 れやすくなり,サービス 拡 張 性 が 向 上 する (3) 書 誌 作 成 単 位 を 出 版 物 理 単 位 にすることで, 所 蔵 自 動 登 録 の 効 率 ( 精 度 )が 向 上 する 利 用 分 析 用 のデータ 抽 出 や, 一 括 データ 更 新 の 際, 書 誌 と 所 蔵 が 一 対 一 で 対 応 しているため, 作 業 の 効 率 化 につながる 2 書 誌 利 用 ( 検 索 ) 機 能 ( 含 む NACSIS-ILL)の 強 化 これからの 学 術 情 報 システムでは, 電 子 情 報 資 源 紙 媒 体 の 区 別 なく,ユーザが 必 要 とする 学 術 情 報 を 統 合 的 に 発 見 し,アクセスできる 環 境 を 構 築 することが 求 められ ている 効 率 的 かつ 迅 速 な 学 術 情 報 へのアクセスを 保 障 するために,ユーザ 向 けの 検 索 プラットフォームである CiNii だけでなく,ILL 業 務 で 参 照 するデータベースにつ いても 電 子 情 報 資 源 への 対 応 が 必 要 である これまで NACSIS-CAT/ILL として 一 体 的 に 提 供 されてきた 書 誌 利 用 ( 検 索 ) 機 能 を 書 誌 作 成 機 能 から 分 離 し, 書 誌 利 用 時 に 外 部 機 関 等 で 作 成 された 電 子 情 報 資 源 のデータベース 等 と 連 携 することで NACSIS-ILL を 含 む 書 誌 利 用 ( 検 索 ) 機 能 の 強 化 を 図 る 3
2.1 紙 媒 体 資 料 と 電 子 情 報 資 源 の 統 合 的 検 索 環 境 の 提 供 NACSIS-CAT で 作 成 した 紙 媒 体 資 料 の 書 誌 データと, 国 内 外 の 電 子 情 報 資 源 に 関 する 情 報 を 集 約 管 理 するデータベース 等 との 連 携 を 図 り, 統 合 的 検 索 環 境 の 実 現 を 検 討 する 2.2 名 寄 せ による 重 複 書 誌 データの 管 理 外 部 機 関 作 成 書 誌 データの 事 前 登 録 や 書 誌 データのフラット 化, 新 規 書 誌 データ の 作 成 の 結 果, 同 一 資 料 に 対 して 複 数 書 誌 データが 存 在 する 場 合 でも,CiNii, NAICSIS-ILL 等 書 誌 利 用 ( 検 索 ) 機 能 時 に, 機 械 的 な 名 寄 せ *を 行 うこ とで, 統 合 的 な 検 索 環 境 を 実 現 する * 名 寄 せ :タイトルや 出 版 者 など, 主 たる 項 目 のデータを 比 較 し, 同 一 書 誌 を 表 現 していると 判 断 さ れるものについて,グループとしてのまとまりを 作 るまたは 統 合 する 機 能 CiNii Articles で 実 装 運 用 済 3 実 現 に 必 要 な 措 置 1 及 び 2 の 実 現 のため, 運 用 面, NACSIS-CAT/ILL 側, ローカルシステム 側 等 において,それぞれ 検 討 対 応 すべきことを 述 べる 4
3.1 運 用 面 での 対 応 (1) 外 部 機 関 作 成 書 誌 データの 活 用 1 外 部 機 関 が 作 成 した 書 誌 データを 総 合 目 録 データベース 内 に 事 前 登 録 す るため, 所 蔵 データなしの 書 誌 データが 存 在 することを 許 容 する 2 外 部 機 関 が 作 成 した 書 誌 データについては, 作 成 時 に 準 拠 した 目 録 規 則 を 許 容 し,NACSIS-CAT が 準 拠 する 目 録 規 則 に 合 わせるための 修 正 は 行 わ ないこととする 3 外 部 機 関 が 作 成 する 書 誌 データとの 相 互 運 用 性 を 担 保 するため, 新 規 書 誌 作 成 時 に 準 拠 する 目 録 規 則 は, 日 本 目 録 規 則 1987 年 版 改 訂 版 ( 和 資 料 ), 英 米 目 録 規 則 第 2 版 (1988 年 改 訂,1993 年 修 正 ) ( 洋 資 料 )から,RDA やそれに 準 拠 した 改 訂 版 日 本 目 録 規 則 など 国 際 標 準 に 合 わせたものに 移 行 する (2) レコード 調 整 の 廃 止 1 すべての 参 加 機 関 に, 従 来 通 りに 新 規 書 誌 を 作 成 するための 機 能 を 提 供 す る 2 これまでのレコード 調 整 を 必 要 とするような 修 正 は, 新 規 書 誌 データの 別 途 作 成 によって 対 応 する 3 同 一 資 料 に 対 する 複 数 の 書 誌 データ( 重 複 書 誌 データ)の 存 在 を 許 容 する 4 運 用 面 の 変 更 に 基 づき 目 録 情 報 の 基 準 等 の 見 直 しを 行 い, 書 誌 の 入 力 ガイドラインを 整 備 する 5 運 用 面 の 変 更 に 対 応 した 研 修 制 度 整 備 などを 検 討 する 3.2 NACSIS-CAT/ILL システム 側 の 対 応 (1) 書 誌 作 成 機 能 1 書 誌 データのフラット 化 に 伴 う 対 応 を 検 討 する 2 書 誌 データのフラット 化 に 伴 う 既 存 書 誌 データの 取 り 扱 いを 検 討 する 3 リンク 形 成 自 動 化 の 機 能 を 実 装 する 4 自 動 登 録 対 応 機 能 の 強 化 を 検 討 する 5 外 部 機 関 作 成 書 誌 データの 直 接 登 録 に 伴 う 懸 案 に 対 応 する 6 外 部 機 関 作 成 書 誌 データを 活 用 するため,CATP で 扱 うフィールドの 追 加 を 検 討 する( 現 在 REM フィールドに 集 約 されているデータ 等 の 活 用 ) (2) 書 誌 利 用 ( 検 索 ) 機 能 1 外 部 機 関 への 書 誌 データ 提 供 に 必 要 な 機 能 を 検 討 する 2 同 一 資 料 に 対 する 複 数 の 書 誌 データが 存 在 する 場 合 でも, 書 誌 利 用 ( 検 索 ) 機 能 時 の 機 能 性 を 維 持 するため 名 寄 せ を 導 入 する 3.3 ローカルシステムへの 対 応 1 各 参 加 館 図 書 館 システムの 対 応 に 必 要 な 準 備 期 間 等 を 考 慮 し, 短 期 間 での 5
システム 改 修 が 必 須 とならないよう 対 策 する 2 追 加 機 能 フィールドや, 制 限 する 機 能 フィールドが 発 生 する 場 合 には, 後 方 互 換 性 *に 配 慮 し, 現 在 利 用 できている 機 能 は 旧 業 務 クライアントで 継 続 して 利 用 できるようにする 3 各 館 図 書 館 システムと NACSIS-CAT 間 のプロトコルとしては, 当 面 CATP を 継 続 して 利 用 する 4 書 誌 作 成 単 位 の 変 更 等 により 各 館 の OPAC 等, 利 用 者 向 けインタフェー スの 表 示 等 に 影 響 する 可 能 性 があることについては, 情 報 提 供 を 行 う 5 書 誌 作 成 基 準 の 変 更 による,ローカルシステム 側 の 書 誌 検 索 (OPAC 含 む) への 影 響 について 事 前 に 調 査 を 行 う 6 各 図 書 館 のシステムベンダーと 情 報 交 換 を 適 切 に 行 う * 後 方 互 換 性 : 後 発 製 品 が 先 発 製 品 と 互 換 性 を 持 つこと 3.4 ローカルシステム 側 の 検 討 事 項 (1) 書 誌 作 成 機 能 1 書 誌 データのフラット 化 に 伴 う 対 応 を 検 討 する 2 書 誌 データのフラット 化 に 伴 う 既 存 書 誌 データの 取 り 扱 いを 検 討 する 3 リンク 形 成 自 動 化 に 伴 う,ローカルデータの 取 り 扱 いを 検 討 する 4 自 動 登 録 対 応 機 能 の 強 化 の 導 入 を 検 討 する 5 CATP で 扱 うフィールドの 追 加 が 生 じた 場 合 の 対 応 を 検 討 する (2) 書 誌 利 用 ( 検 索 ) 機 能 1 NACSIS-CAT/ILL システムが 名 寄 せした 結 果 を, 各 館 の OPAC 等, 利 用 者 向 けインタフェースで 活 用 する 方 法 等 を 検 討 する 4 平 成 32(2020) 年 以 降 の 展 開 平 成 32 (2020) 年 度 の 再 構 築 後 も, 利 用 可 能 な 外 部 機 関 作 成 書 誌 データの 拡 充 など により, 書 誌 作 成 書 誌 管 理 においてさらなる 作 業 負 担 の 軽 減 を 図 る また, 利 用 者 の 検 索 環 境 の 向 上 と NACSIS-CAT データベース 全 体 としての 付 加 価 値 を 高 めるため, NACSIS-CAT で 作 成 された 書 誌 典 拠 データを, 互 換 性 や 利 便 性 の 高 い 形 式 や 方 法 で 提 供 し,よりいっそう 外 部 サービスと 繋 がっていくことが 望 ましい 6