グローバル エンジニア 養 成 を 目 指 した 日 本 人 学 生 のための 留 学 支 援 - 九 州 工 業 大 学 における 事 前 事 後 学 習 の 実 践 報 告 - Preparing Students to Become Global Engineers: Report on Pre/Post Study Abroad Program Activities at Kyushu Institute of Technology 九 州 工 業 大 学 学 習 教 育 センター 准 教 授 加 藤 鈴 子 KATO Reiko (Associate Professor, Learning and Teaching Center, Kyushu Institute of Technology) キーワード: グローバル エンジニア 教 育 コンピテンシー 留 学 支 援 1. 九 州 工 業 大 学 における Global Competency for Engineer (GCE) 教 育 グローバル 化 がますます 加 速 化 する 現 在 グローバル 社 会 で 活 躍 するエンジニア(グローバル エ ンジニア) 養 成 の 重 要 性 はアメリカ ヨーロッパを 始 め 世 界 中 で 広 く 認 識 されつつある エンジニ アのためのグローバル コンピテンシーの 定 義 は 多 くの 高 等 教 育 機 関 で 模 索 検 討 されているが その 共 通 点 として 専 門 的 なエンジニア 教 育 に 加 えて 1)グローバル 教 養 ( 国 際 分 野 に 関 する 教 養 ) 2) 外 国 語 能 力 3) 海 外 経 験 があげられる(Lohmann, Howard, & Hoey, 2015) また OECD が 推 進 するキー コンピテンシーには 1) 異 質 な 集 団 で 交 流 する 2) 自 律 的 に 活 動 する 3) 相 互 作 用 的 に 道 具 ( 言 語 知 識 や 情 報 技 術 など)を 用 いる の 三 つの 要 素 が 含 まれている(DeSeCo,O.E.C.D 2005) OECD や EU のキー コンピテンシー そしてアメリカ 型 21 世 紀 型 スキルの 概 念 をまとめた 松 尾 (2015) は この 変 化 が 激 しい 現 代 社 会 では 何 を 知 っているか だけではなく 知 識 を 活 用 して 何 ができる か への 教 育 の 転 換 (p.3)が 必 要 であるという グローバル 化 が 進 み 教 育 に 求 められるものが 変 化 しつつある 中 九 州 工 業 大 学 ( 以 下 九 工 大 )においても グローバル エンジニア 養 成 のための 教 育 改 革 に 取 り 組 んでいる 九 工 大 では 自 らが 持 つ 知 識 とスキルを 持 続 的 に 成 長 させる 姿 勢 及 び 様 々 35
な 文 脈 において それらを 活 用 して 変 化 し 続 ける 高 度 で 複 雑 な 課 題 の 解 決 に 取 り 組 む 姿 勢 をグロ ーバル エンジニアに 必 要 な 資 質 として 学 生 たちのグローバル コンピテンシーの 獲 得 に 力 を 注 い でいる 2. GCE 教 育 の 五 つの 要 素 と 事 前 事 後 学 習 学 生 たちのグローバルな 志 向 性 を 育 むために 九 工 大 では1) 多 様 な 文 化 の 受 容 2)コミュニ ケーション 力 3) 自 律 的 学 習 力 4) 課 題 発 見 解 決 力 ( 探 究 する 力 ) 5)デザイン 力 (エンジニ アリング デザイン) の 五 つの 要 素 を 学 生 が 獲 得 するべきグローバル コンピテンシーの 柱 として 位 置 づけている そして 学 生 たち 自 身 が 留 学 か ら 得 られる 学 習 成 果 を 最 大 限 に 認 識 し 卒 業 時 に はスキルと 経 験 と 自 信 を 持 って グローバル エ 図 1: 九 工 大 が 掲 げる 新 しい 高 度 技 術 者 養 成 教 育 ンジニアとしてグローバル 社 会 に 飛 び 立 てるよう 派 遣 プログラムのみならず コンピテンシー 獲 得 に 向 けた 事 前 事 後 学 習 の 場 を 提 供 している ここ では 九 工 大 で 実 施 している 様 々な 事 前 事 後 学 習 の 中 から 特 に1) 4)のコンピテンシー 獲 得 に 焦 点 を 当 てた 事 前 事 後 学 習 について 報 告 する 異 文 化 適 応 セルフチェック( 初 回 指 導 用 経 験 者 用 ) この 事 前 学 習 で 学 生 たちは 異 文 化 適 応 力 エンパシー 力 アサーティブ コミュニケーシ ョン 力 について 基 礎 を 学 ぶと 同 時 に 自 分 の 傾 向 を 分 析 し それぞれの 適 性 を 把 握 する そし て 習 慣 や 価 値 観 が 異 なる 社 会 において 自 分 の 力 を 発 揮 するために 注 意 しなければならないこ とを 意 識 化 し 異 文 化 適 応 に 関 する 学 習 目 標 を 設 定 する 以 下 は 実 際 に 2015 年 度 前 期 に 留 学 プ 初 回 指 導 の 様 子 ログラムに 参 加 した 学 生 の 目 標 事 例 である 例 1) 自 分 とは 異 なる 価 値 観 に 対 して 否 定 的 にまず 捉 え 色 々な 事 柄 に 興 味 を 持 とうというチ ャンスを 自 分 の 手 でつぶしてしまう( 中 略 ) 点 を 意 識 的 に 配 慮 したら 良 いと 思 う 開 放 性 はコ ミュニケーションの 際 に 今 の 自 分 にとって 最 も 必 要 なスキルだと 思 う ( 韓 国 派 遣 生 ) 36
例 2) 私 は( 中 略 ) 自 分 の 気 持 を 表 現 せずとも, 相 手 に 理 解 してもらおうとしたり, 相 手 にあ わせて 自 分 の 主 張 を 我 慢 したりする 傾 向 にあります これは 日 本 では 通 用 するかもしれませ んが 海 外 ではしっかり 意 見 を 伝 えないことが 逆 に 問 題 になりかねません しっかり 自 分 の 意 見 を 主 張 し その 上 で 相 手 を 傷 つけることがないようにコミュニケーションをとろうと 思 い ます (タイ 派 遣 生 ) このように 学 生 たちは 自 分 自 身 の 普 段 のコミュニケーションにおける 傾 向 を 振 り 返 り 留 学 期 間 中 の 異 文 化 適 応 やコミュニケーションについて 具 体 的 な 目 標 を 立 てている また 九 工 大 では 複 数 回 の 海 外 派 遣 (サーキット 学 習 )が 奨 励 されているため 2015 年 度 から 海 外 派 遣 経 験 者 向 けの 異 文 化 適 応 セルフチェック の 事 前 学 習 も 提 供 し 始 めた この 事 前 学 習 におい ては 前 回 の 留 学 経 験 を 振 り 返 り 異 文 化 感 受 性 発 達 度 (Bennett, 1993)を 参 考 に 自 分 自 身 の 成 長 段 階 を 分 析 意 識 化 する 学 生 たちは 再 (あるいは 再 々) 留 学 に 向 けて 以 下 のような 目 標 設 定 を 行 っていた 例 3) 今 度 の 研 修 にて 意 見 を 交 わす ことを 目 標 としたい 相 手 の 意 見 や 考 えを 聞 くだけで 終 わらずに 自 分 の 意 見 も 述 べてともに 協 調 できる 落 とし 所 を 探 すべきだと 考 える (アメリカ 派 遣 生 ) 例 4) 前 回 の 研 修 では 自 分 から 積 極 的 に 現 地 の 人 に 話 しかけることができなかったので 今 度 は 自 分 がきっかけとなってコミュニケーションが 取 れるようにした コミュニケーションの 中 で 現 地 の 人 に 日 本 はどうなんだ と 聞 かれることが 多 々あったので 今 回 の 研 修 では 自 分 の 文 化 をしっかり 発 信 できるように 準 備 しておきたい (ドイツ 派 遣 生 ) 異 文 化 感 受 性 発 達 段 階 を 認 識 することで 違 いを 受 け 入 れること から お 互 いに 納 得 の 行 く 解 決 策 を 交 渉 すること へと 意 識 の 変 化 が 促 され 学 生 たちは 成 長 し 続 ける 姿 勢 を 身 につけ 二 度 目 以 降 の 留 学 に 臨 んでいる 渡 航 先 文 化 調 査 学 習 インターネットが 普 及 する 現 在 渡 航 先 の(あ る 程 度 正 確 な) 情 報 を 入 手 することは 比 較 的 容 易 自 己 学 習 を 行 う 派 遣 生 たち 37
にできるようになった そこで 学 生 たちは 渡 航 準 備 として 最 低 限 必 要 だと 思 われる 事 柄 について 各 自 調 査 を 行 う その 調 査 学 習 を 元 に 学 生 たちはアクティブ ラーニング スペースで 自 主 的 なグル ープ 作 業 を 行 い 調 査 したことを 共 有 する この 活 動 を 通 して 調 査 の 不 足 点 や それぞれの 興 味 や 着 眼 点 によって 調 査 結 果 が 異 なる 点 を 学 生 同 士 で 補 い 合 えるため 協 働 学 習 (グループワーク)の 最 初 のステップとしても 位 置 づけられる 学 生 にとっては この 事 前 学 習 が 派 遣 に 対 する 不 安 の 解 消 につながっていたりもするようである また 派 遣 国 やその 周 辺 地 域 の 文 化 人 々に 対 し 興 味 を 抱 くき っかけにもなっており 現 地 での 交 流 のヒントにもなっているようである 留 学 生 や 過 去 のプログラム 参 加 者 との 情 報 交 換 (グローバル カフェ) 上 記 の 調 べ 学 習 をふまえて 九 工 大 に 渡 航 先 国 から 留 学 してきている 学 生 や 過 去 のプログラム 参 加 生 と 情 報 交 換 する 機 会 も 設 けている この 事 前 学 習 では インターネットで 調 べたことがどの 程 度 正 確 なのか また 留 学 生 や 帰 国 生 が 渡 航 先 国 でどのような 経 験 をしたのか インターネットではわから ない 個 人 的 経 験 談 を 直 接 聞 くことが 目 的 である 同 じ 学 生 という 立 場 視 点 で 交 流 するこのような 機 会 を 通 して 学 生 たちは 派 遣 時 派 遣 先 でのセルフイメージ 構 築 が 行 え それが 留 学 留 学 生 に 対 する 心 理 的 バリアを 克 服 することに 役 立 っていると 考 えられる グローバル 教 養 に 関 する 講 義 グローバル 社 会 における 渡 航 先 国 の 位 置 づけについての 講 義 も 事 前 学 習 の 一 環 として 提 供 してい る 派 遣 国 と 日 本 の 関 係 のみならず グローバルな 社 会 変 動 における 派 遣 国 の 経 済 や 歴 史 を 学 び 現 地 での 視 察 に 備 えることが 目 的 である 以 下 台 湾 への 派 遣 プログラムに 参 加 した 学 生 のコメントで ある ( 台 湾 の) 歴 史 的 背 景 から 台 湾 語 のほかに 日 本 語 客 家 語 など 多 数 の 言 語 を 扱 える 人 も 多 く 日 本 と 比 較 すると 外 国 から 来 た 人 に 対 しても 親 交 的 に 接 しているように 感 じた また 自 由 時 間 に 中 世 紀 念 堂 と 呼 ばれる 蒋 介 石 の 顕 彰 施 設 へ 案 内 してもらい 台 湾 と 日 本 に 関 係 する 歴 史 を 詳 細 に 知 ることができ 海 外 に 赴 くことで 改 めて 日 本 の 歴 史 や 成 り 立 ちについて 興 味 を 持 つことが 出 来 た ( 台 湾 派 遣 生 ) 日 本 台 湾 中 国 の 関 係 について 事 前 講 義 を 通 して 学 んでいたからこそ 理 解 できたこともあるのでは ないだろうか そしてそれがさらなる( 日 本 の 歴 史 への) 興 味 のきっかけにもなっている 38
グループワーク 演 習 九 工 大 の 異 文 化 交 流 型 派 遣 プログラムではコミュニケーション 力 向 上 のため 派 遣 先 大 学 の 学 生 と 共 にグループワーク 形 式 を 用 いた 恊 働 学 習 を 行 っ ている 短 期 間 の 派 遣 で より 充 実 した 協 働 学 習 を 実 践 できるように 事 前 学 習 の 一 環 としてグル ープワーク 演 習 を 行 っている この 演 習 は アク ティブ ラーニングに 適 したグループワーク 教 室 で 行 われ 学 生 たちは 自 分 の 意 見 を 述 べること の 重 要 性 また 相 手 の 意 見 を 聞 き 自 分 の 意 見 に 反 映 させる 過 程 を 体 験 的 に 学 ぶ 以 下 は 派 遣 先 での 協 働 学 習 での 学 習 成 果 について 学 生 が 記 述 グループワーク 演 習 の 様 子 したものである ( 派 遣 先 で) 二 度 行 ったグループワークではそれぞれの 役 割 の 重 要 性 と 伝 えようと 努 力 するこ との 大 切 さに 気 づいた ( 中 略 )グループ 内 で 話 し 合 いをするとき 主 にリーダー アイデアギバ ー サポーターの 三 つの 役 割 に 自 然 と 分 かれるが どれかひとつの 役 割 がうまくいかないだけ で 話 し 合 いは 滞 ってしまう ( 中 略 ) 次 に 伝 えようとすることについてだが 自 分 の 考 えを マレーシア 人 学 生 に 説 明 するときに 英 語 では 説 明 しきれなかったので 絵 やジェスチャーを 取 り 入 れてなんとか 必 死 に 伝 えようとした すると 相 手 も 真 剣 にこちらの 伝 えようとしていること を 理 解 しようと 努 めてくれた この 経 験 から 私 は 伝 えようとする 熱 意 が 大 事 なのだと 気 づくこ とができた (マレーシア 派 遣 生 ) 現 地 での 短 時 間 での 協 働 学 習 を 通 した 学 びの 成 果 を 大 きく 認 識 できたのも グループワーク 演 習 とい う 準 備 があった 上 でのことではないだろうか Language Lounge (LL)/Global Communication Lounge(GCL)での 英 会 話 練 習 九 工 大 に は Language Lounge や Global Communication Lounge があり 学 生 たちには 常 に 語 学 学 習 の 機 会 が 提 供 されている 派 遣 前 の 集 中 した 語 学 学 習 の 機 会 に 加 えて LL や GCL など 留 学 生 とも 交 流 できる 施 設 の 利 用 を 奨 励 している GCL で 行 った 留 学 生 を 交 えてのディスカッションの 様 子 39
このような 施 設 は 準 備 段 階 としても 重 要 な 意 味 を 持 つが 帰 国 後 の 継 続 学 習 にも 大 きな 役 割 をはたし ている 実 際 2015 年 度 夏 休 みの 海 外 留 学 から 戻 った 学 生 の 多 くが 海 外 で 得 た 自 信 あるいはさら なる 自 己 研 鑽 のために LL や GCL を 活 用 したいとコメントしている 留 学 生 との 協 働 学 習 ( 継 続 的 なグローバル コミュニティ 参 画 ) 留 学 経 験 により 高 まったグローバルな 志 向 性 の 持 続 帰 国 後 のフォローアップとして 留 学 生 と の 協 働 学 習 機 会 も 提 供 している 現 在 は 主 に 九 工 大 が 短 期 間 で 受 け 入 れを 行 っている 交 換 留 学 生 とワークショップ 形 式 の 活 動 を 行 っている 帰 国 後 の 学 生 の 意 欲 を 活 かす 継 続 学 習 として 位 置 づ けることができ また 普 段 自 分 が 学 ぶキャンパ スにおいてこのような 活 動 に 参 加 することは 多 文 化 環 境 をより 日 常 化 させる 重 要 な 学 習 機 会 であ 留 学 生 との 協 働 学 習 の 様 子 ると 考 えられる Active Learning Student Assistant (ALSA)での 活 動 さらに 留 学 後 学 生 主 体 のイベントや 学 習 支 援 アクティブ ラーニングを 支 援 する 学 生 組 織 ALSA の 活 動 に 積 極 的 に 参 加 する 学 生 も 多 い 派 遣 中 あるいは 留 学 体 験 に 触 発 されて 培 った 英 語 力 コミュ ニケーション 力 を 活 かして 学 生 たち 同 士 で 教 え 合 う TOEIC 講 座 の 開 催 や 九 工 大 で 学 ぶ 留 学 生 の 日 本 語 支 援 を 行 ったりもしている 上 記 以 外 にも 安 全 指 導 危 機 管 理 講 習 や 英 語 プレゼンテーション 練 習 など GCE 教 育 に 関 する 様 々 な 学 習 機 会 が 提 供 されている このような 日 本 人 学 生 のための 留 学 支 援 は 学 生 たちに 自 信 を 持 っ て( 留 学 への 不 安 を 解 消 し) 留 学 してほしい 現 地 での 活 動 により 積 極 的 に 参 加 し 多 くを 学 んできて ほしい また このような 一 連 の 学 習 ( 継 続 学 習 )を 経 てグローバル エンジニアとして 世 界 で 活 躍 してほしい という GCE 教 育 に 携 わる 多 くの 人 々の 願 いと 献 身 的 な 支 援 に 支 えられている 3. 今 後 の 課 題 グローバル エンジニア 養 成 という 大 きな 流 れの 中 では 事 前 学 習 と 事 後 学 習 の 境 目 は 非 常 に 曖 昧 で ある 事 前 学 習 が 事 後 学 習 にもつながっており また 初 回 の 事 後 学 習 は2 回 目 の 事 前 学 習 にもなりう る これまで プログラム 単 位 で 捉 えてきた 事 前 事 後 学 習 を 4 年 間 もしくは6 年 間 の 教 育 の 中 で 40
ステップアップしていけるものにしていくことが 今 後 の 課 題 であると 考 える グローバル 化 多 様 化 が 進 む 現 代 社 会 において 多 文 化 環 境 で 学 び 働 くことはもはや 海 外 に 出 た 時 のみにある 非 日 常 で はなく 多 様 な 文 化 が 共 生 する 日 常 である 学 生 たちがグローバル 社 会 の 一 部 としての 日 本 あるい は 九 工 大 を 常 に 意 識 できるような ローカルにあるグローバル 社 会 の 一 員 として 自 分 の 将 来 を 見 据 え られるような 留 学 支 援 に 発 展 させることが 大 切 であると 考 える 4. おわりに 印 象 に 残 った 学 生 の 言 葉 を 引 用 してこの 事 例 報 告 を 終 わりたい マレーシアの 協 定 校 派 遣 プログラ ムに 参 加 をした 学 部 1 年 生 の 事 例 である 出 発 前 の 彼 は 英 語 に 対 して 苦 手 意 識 が 強 く また 留 学 先 の マレーシアに 対 しても 良 い 印 象 を 持 っていなかった と 言 う 事 前 学 習 で 渡 航 先 文 化 について 学 ん でもなお その 印 象 は 拭 い 去 れずにいたそうだ しかし たった 10 日 間 ではあったものの 留 学 経 験 を 経 て 彼 は 大 きく 変 わったように 感 じる 彼 の 海 外 派 遣 成 果 報 告 書 には このように 書 かれていた 私 はこのプログラムで 留 学 する 前 は 英 語 が 苦 手 だったため 国 内 で 英 語 を 使 わないようなロボ ット 関 連 の 企 業 で 働 きたいと 思 っていた 日 本 人 の 方 が 気 が 合 いそうだしコミュニケーション がとれなければ 仕 事 自 体 することができないと 思 ったからだ もちろん 私 はグローバリゼーシ ョンが 進 む 今 日 では ロボット 開 発 という 職 種 において 外 国 人 と 共 同 で 働 くことをさけてい くのは 難 しいということはわかっていたが 仕 方 ないと 諦 めていた しかしこの 派 遣 プログラ ムを 通 じて 自 分 としては 身 振 り 手 振 りを 混 えることである 程 度 は 相 手 に 意 見 を 伝 えること ができたと 思 う 思 った 以 上 に 難 しいことではないと 感 じた 将 来 英 語 を 使 って 働 くことはも ちろん 海 外 で 働 くことにも 挑 戦 してみたいという 気 持 ちも 生 まれた (マレーシア 派 遣 生 ) 事 前 学 習 を 通 しても 払 拭 しきれない 苦 手 意 識 はある しかし 彼 のグローバル 社 会 に 飛 び 出 したこ の 大 きな 一 歩 に 我 々が 提 供 する 事 前 事 後 学 習 がほんの 少 しでも 後 押 しをすることができていたな ら また 彼 の 留 学 後 のこの 気 持 ちに 寄 り 添 い 一 層 の 成 長 のサポートができるのなら GCE 教 育 に 携 わるものとして なにものにも 変 え 難 い 成 果 と 言 えるだろう < 引 用 文 献 > Bennett, Milton J. "Towards Ethnorelativism: A Development Model of Intercultural Sensitivity" in Education for the Intercultural Experience. Paige, R. M.(ed) Yarmouth ME: Intercultural Press. (1993): 21-71. 41
DeSeCo, O. E. C. D. "Definition and Selection of Key Competencies Executive Summary." (2005). Lohmann, Jack R., Howard A. Rollins, and J. Joseph Hoey. "Defining, developing and assessing global competence in engineers." European journal of engineering education 31.01 (2006): 119-131. 松 尾 知 明 (2015) 21 世 紀 型 スキルとは 何 か:コンピテンシーに 基 づく 教 育 改 革 の 国 際 比 較 明 石 出 版 42