LPS,リピドA,コア,リピートユニットの 構 造 微 生 物 学 奥 田 研 爾 No.2 グラム 陽 性 菌 と 陰 性 菌 の 細 胞 壁 の 化 学 組 成 ペプチドグリカン (ムコペプチド) タイコ 酸 リポ 多 糖 リポタンパク リン 脂 質 グラム 陽 性 菌 厚 い グラム 陰 性 菌 薄 い 下 痢 原 性 大 腸 菌 の 種 類 と 病 原 因 子 種 類 ( 略 称 ) 毒 素 原 性 大 腸 菌 Enterotoxigenic E. coli (ETEC) 腸 管 病 原 性 大 腸 菌 Enteropathogenic E. coli (EPEC) 腸 管 凝 集 付 着 性 大 腸 菌 Enteroaggregative E. coli (EAggEC) 腸 管 出 血 性 大 腸 菌 定 着 因 子 : intimin Enterohemorrhagic E. coli 毒 素 : 志 賀 様 毒 素 I, II (SLT I, II) (EHEC) 腸 管 侵 入 性 大 腸 菌 Enteroinvasive E. coli (EIEC) 病 原 因 子 定 着 因 子 : CFA/I, II, III, IV etc. 毒 素 : 易 熱 性 エンテロトキシン(LT) 耐 熱 性 エンテロトキシン(ST) 定 着 因 子 : 束 形 成 性 線 毛 (BFP) intimin 定 着 因 子 : 凝 集 性 定 着 線 毛 (AAF/I) 毒 素 : 耐 熱 性 エンテロトキシン 様 毒 素 (EAST) 溶 血 毒 類 似 毒 素 赤 痢 菌 様 侵 入 性 因 子 1
グラム 陰 性 菌 細 胞 膜 の 概 略 図 鞭 毛 の 構 造 グラム 陰 性 菌 は 外 膜 を 有 していて 内 膜 を 包 み 込 んでいる 外 膜 には 糖 脂 質 (リポ 多 糖,LPS) を 含 んでいる 外 膜 にも 内 膜 にも 大 量 のタンパク 質 がみられる 内 膜 と 外 膜 の 間 はペリプラズ ムと 呼 ばれる 空 間 で タンパク 質 や 糖 質 が 存 在 する ペプチドグリカンの 層 は 一 般 に 薄 い 所 在 組 成 熱 処 理 ホルマリン 処 理 免 疫 原 性 毒 性 内 毒 素 と 外 毒 素 の 違 い 菌 対 外 へ 分 泌 遊 離 する タンパクあるいはペプチドで 有 害 な 酵 素 活 性 をもつ 易 熱 性 ( 熱 で 失 活 する) 無 毒 化 する 外 毒 素 強 い 抗 原 性 を 示 し 抗 毒 素 抗 体 ができる 強 力 各 毒 素 の 作 用 に 特 異 性 がある 内 毒 素 グラム 陰 性 菌 外 膜 の 構 成 成 分 の 一 つである リポ 多 糖 体 (LPS * )で リピドA が 毒 性 を 示 す 耐 熱 性 ( 熱 で 失 活 しない) 無 毒 化 しない O 抗 原 多 糖 に 対 する 抗 体 ができ るが リピドAに 対 する 抗 体 がで きないため 毒 素 を 中 和 できな い やや 弱 い 共 通 した 毒 性 を 示 す *LPS:リピドA(lipid A)と 多 糖 からなり 糖 鎖 がO 抗 原 性 を 決 定 し リピドAが 毒 性 を 示 す エンドトキシン(endotoxin)とも 呼 ばれる ごく 微 量 でも 血 中 に 入 ると 発 熱 を 引 き 起 こすほか ショック 血 管 内 凝 固 リンパ 球 活 性 化 など 多 くの 生 物 活 性 を 有 す 種 類 溶 血 毒 細 胞 毒 神 経 毒 素 腸 管 毒 素 皮 膚 毒 素 心 臓 毒 素 腎 臓 毒 素 スーパー 抗 原 細 菌 毒 素 の 種 類 毒 素 の 例 エルトール 型 コレラ 菌 のヘモリシン 溶 連 菌 のストレプトリシンOとS ブドウ 球 菌 α 毒 素 緑 膿 菌 ロイコシジン 腸 管 出 血 性 大 腸 菌 のベロ 毒 素 ジフテリア 毒 素 ガス 壊 疽 菌 のα 毒 素 ボツリヌス 毒 素 破 傷 風 毒 素 腸 管 出 血 性 大 腸 菌 のベロ 毒 素 コレラ 毒 素 毒 素 原 性 大 腸 菌 のSTとLT クロストリジウム ディフィシルのエンテロトキシン ブドウ 球 菌 表 皮 剥 脱 毒 素 百 日 咳 菌 易 熱 性 壊 死 毒 素 腸 炎 ビブリオの 耐 熱 性 溶 血 毒 溶 連 菌 のストレプトリジンO 腸 管 出 血 性 大 腸 菌 のベロ 毒 素 ブドウ 球 菌 エンテロトキシン 溶 連 菌 発 熱 毒 素 エルシニア 偽 結 核 菌 のマイトージェン 2
細 菌 の 芽 胞 形 成 の 模 式 図 芽 胞 の 構 造 3
生 体 防 御 機 構 の 構 成 各 因 子 リゾチームの 作 用 点 防 御 因 子 非 特 異 的 防 御 因 子 バリアー 的 なもの 健 常 皮 膚 気 道 繊 毛 上 皮 胃 液 腸 内 常 在 細 菌 叢 液 性 因 子 体 液 中 抗 菌 物 質 リゾチーム ラクトフェリン 補 体 系 タンパク 細 胞 性 因 子 食 細 胞 NK 細 胞 特 異 的 防 御 因 子 免 疫 グロブリン IgM IgG T 細 胞 CD4 T 細 胞 CD8 T 細 胞 機 能 作 用 物 理 的 バリアー 繊 毛 運 動 による 異 物 の 排 除 強 酸 による 殺 菌 外 来 微 生 物 の 定 着 抑 制 細 菌 細 胞 壁 の 酵 素 的 切 断 増 殖 に 必 要 な 遊 離 鉄 の 枯 渇 食 細 胞 走 化 因 子 オプソニン 効 果 溶 菌 貪 食 殺 菌 炎 症 性 サイトカイン 産 生 ウイルス 感 染 細 胞 破 壊 毒 素 中 和 補 体 活 性 化 中 和 抗 体 オプソニン 効 果 抗 体 応 答 のヘルパー 活 性 感 染 細 胞 障 害 活 性 貪 食 作 用 の 模 式 図 殺 菌 食 菌 を 阻 害 する 細 菌 側 因 子 1. 食 細 胞 の 走 化 性 阻 止 a. コアグラーゼによりフィブリン 凝 塊 を 作 り 物 理 的 に 阻 害 する b. 食 細 胞 を 殺 す leukocidin streptolysin OとS pneumolysin Staphylococcus aureus Staphylococcus aureus Streptococcus pyogenes Streptococcus pneumoniae c. 補 体 成 分 を 破 壊 し 走 化 性 を 阻 止 する 2. 細 胞 表 層 物 質 a. 莢 膜 ポリ Dグルタミン 酸 多 糖 b. M 蛋 白 c. ムコイド 物 質 アルギン 酸 d. Vi 抗 原 ポリNアセチルガラクトサミノウロン 酸 3.( 食 ) 細 胞 内 増 殖 ( 広 義 ) a. ファゴソームから 逃 げ 出 す b. ファゴソームとリソソームの 融 合 阻 止 c. リソソーム 酵 素 に 耐 性 Pseudomonas aeruginosa Bacillus anthracis Streptococcus pneumoniae Streptococcus pyogenes Pseudomonas aeruginosa Salmonella typhi Trypanosoma cruzi Rickettsia prowazeki Shigella flexneri Mycobnacterium tuberculosis Lesionella pneumophila Bordetella pertussis Salmonella typhimurium Chlamydia psttaci Toxoplasma gondii Yersinia pestis (Salmonella typhimurium) Coxiella burnetti 4
Fc,CR3 受 容 体 からの 細 胞 内 侵 入 莢 膜 保 有 株 と 非 保 有 株 上 のMACの 形 成 カプセルを 保 有 する 細 菌 カプセルをもたず LPSや 鞭 毛 を 露 出 している 細 菌 補 体 成 分 が 活 性 化 してできる Membrane Attack Complex 細 胞 壁 にMACが 形 成 され 細 胞 質 内 のイオンが 流 出 菌 は 死 滅 莢 膜 にMACが 形 成 され 細 胞 壁 に 穴 は 開 かない 死 滅 しない 食 細 胞 に 貪 食 された 病 原 体 の 細 胞 内 増 殖 ウイルスの 特 徴 と 分 類 無 細 胞 培 地 で 増 殖 しない = 偏 性 細 胞 内 寄 生 体 遺 伝 情 報 を 担 う 核 酸 はDNA RNAのどちらか 代 謝 機 構 を 持 たない 細 胞 の2 分 裂 で 増 殖 できない 抗 生 物 質 に 感 受 性 がない リソソーム 酵 素 に 耐 性 Yersinia pestis Coxiella burnetti ファゴソームとリソソームの 融 合 阻 止 Mycobnacterium tuberculosis Lesionella pneumophila Bordetella pertussis Salmonella typhimurium ファゴソームから 逃 げ 出 す Trypanosoma cruzi Rickettsia prowazeki Shigella flexneri 核 酸 dsdna ssdna dsdna(rt) dsrna ss()rna ss()rna ss()rna(rt) 基 準 ウイルス 種 Vaccinia virus, Fowlpox virus, Herpesvirus, Adenovirusなど Mice minute virus, Adenoassociated virusなど Hepatitis B virusなど Mammalian orthoreovirus, Rotavirus Aなど Sendai virus, Mumps virus, Influenza A virusなど Poliovirus, Norwalk virus, Hepatitis C virusなど ds = doublestranded, ss = singlestranded, RT = 逆 転 写 酵 素 5
ヒトの 病 原 ウイルスを 含 む 科 のウイルス マイコプラズマ リケッチア クラミジア DNAとRNAの 共 存 細 胞 壁 の 存 在 タンパク 合 成 系 の 存 在 エネルギー 生 産 系 の 存 在 2 分 裂 による 増 殖 宿 主 細 胞 外 における 増 殖 抗 生 物 質 に 対 する 感 受 性 細 菌 マイコ プラズマ リケッチア * クラミジア 特 異 な 増 殖 環 ウイルス リケッチア * ロシャリメア 属 を 除 く クラミジア マイコプラズマ 肺 炎 患 者 レントゲン 写 真 6
細 胞 体 制 栄 養 形 細 胞 壁 骨 格 多 糖 細 胞 膜 主 要 ステロール 生 殖 様 式 繁 殖 体 真 菌 の 特 徴 真 菌 真 核 性 菌 糸 ( 酵 母 のみ 単 細 胞 ) βーグルカン キチンなど エルゴステロール 無 性 生 殖 有 性 生 殖 無 性 胞 子 細 菌 原 核 性 単 細 胞 ( 放 線 菌 のみ 菌 糸 ) ペプチドグリカン ステロールを 欠 く 無 性 生 殖 のみ 栄 養 形 細 胞 日 本 国 内 で 見 られる 深 在 性 真 菌 症 の 主 要 起 因 菌 疾 患 起 因 菌 カンジダ 症 Candida albicans, C. tropicalis, C. parapsilosis, C. glabrataなど アスペルギルス 症 Aspergillus fumigatus, A. nigerなど トリコスポロン 症 Trichosporon beigelii クリプトコッカス 症 Cryptococcus neoformans 接 合 菌 症 Rhizopus spp.など サルモネラ 赤 痢 菌 類 鼻 疽 菌 ペスト 菌 ブルセラ 野 兎 病 菌 炭 疽 菌 レプトスピラ 自 然 界 における 病 原 微 生 物 の 分 布 動 物 昆 虫 Aspergillus fumigatus Blastomyces dermatitis B. brasiliensis Trichophyton sp. Cryptococcus neoformans Histoplasma capsulatum Microsporum sp. オーム 病 クラミジア サイトメガロウイルス 狂 犬 病 ウイルス ラッサ 熱 ウイルス Toxoplasma gondii 乳 サルモネラ 赤 痢 菌 ブルセラ ブドウ 球 菌 レンサ 球 菌 コリネバクテリウム ウシ 結 核 菌 土 壌 炭 疽 菌 破 傷 風 菌 ウェルシュ 菌 ボツリヌス 菌 Blastomyces dermatitis Cryptococcus neoformans Coccidioides immitis Histoplasma capsulatum 水 大 腸 菌 サルモネラ 赤 痢 菌 その 他 の 腸 内 グラム 陰 性 桿 菌 ビブリオ 細 菌 炭 疽 赤 痢 主 要 な 人 畜 共 通 伝 染 症 ( 細 菌 ) 主 要 な 人 畜 共 通 伝 染 症 (その 他 の 微 生 物 ) 疾 病 病 原 体 感 染 源 となる 動 物 感 染 経 路 備 考 波 状 熱 (ブルセラ 症 ) 結 核 サルモネラ 症 エルシニア 症 ペスト* 野 兎 病 パスツレラ 症 鼻 疽 * 類 鼻 疽 * リステリア 症 Bacillus anthracis Brucella abortus B. melitensis B. suis B. canis Mycobacterium bovis Salmonella spp. Shigella spp. Yersinia enterocolitica Y. pestis Francisella tularensis Pasteurella multocida Pseudomonas mallei P. Pseudomallei Listeria monocytogenes ヒツジ, ウシ, ヤギ, ウマ, ブタ ウシ ヤギ, ヒツジ ブタ イヌ ウシ ウシ, ブタ, ニワトリ, カメ, その 他 サル イヌ, ブタ, ネズミ ネズミ, 野 生 齧 歯 類 野 兎 など ネコ, イヌ, ブタ, ネズミ, 家 畜 類 ウマ, ラバ, ロバ げっ 歯 類 ウシ, ヤギ, ヒツジ ウマ, ブタ, ウサギ, ニワトリ, アヒルなど ブタ 丹 毒 Erysipelothrix rhusiopathiae ブタ, 魚 類 カンピロバクター 症 Campylobacter jejuni / coli ニワトリ, ウシ, イヌ, ヒツジ C. fetus ヒツジ, ウシ 鼠 咬 症 Spirillum minus ネズミ Streptobacillus moniliformis ネズミ レプトスピラ 症 Leptospira interrogans ネズミ, イヌ 回 帰 熱 * Borrelia spp. 齧 歯 類 ライム 病 Borrelia burgdorferi シカ, ネズミ, 経 口, 経 気 道, 経 口, 経 口, 経 口, 経 口 経 口 経 口 経 口 経 口, 経 口, 経 気 道, 経 気 道, 経 口 経 気 道? 経 口 経 口? ( 咬 傷 ) ( 咬 傷 ), 経 口 主 として 食 中 毒 通 常 はヒト ヒト ヒトあり ヒト ノミによる 媒 介 もしくは 接 触 肺 ペストの 場 合 は 経 気 道 (ヒト ヒト) マダニによる 感 染 あり 腸 管 感 染 腸 管 感 染 日 本 ではこの 方 が 多 い Weil 病 を 含 む ダニまたはシラミが 媒 介 疾 病 ク オウム 病 ラ ミ ネコひっかき 病 ジ ア リ 恙 虫 病 ケ ッ 発 疹 病 チ Q 熱 * ア 狂 犬 病 * ウ 日 本 脳 炎 イ 黄 熱 * ル ス 腎 症 候 性 出 血 熱 ラッサ 熱 真 菌 原 虫 コクシジオイデス 症 * ヒストプラスマ 症 * クリプトコッカス 症 アスペルギルス 症 トキソプラズマ 症 ニューモシスチス 肺 炎 * 我 が 国 には 存 在 しない R. mooseri 黄 熱 ウイルス 病 原 体 Chlamydia psittaci Bartonella henselae Orientia tsutsugamushi Coxiella burnetii 狂 犬 病 ウイルス 日 本 脳 炎 ウイルス 腎 症 候 性 出 血 熱 ウイルス ラッサ 熱 ウイルス Coccidioides immitis Histoplasma capsulatum Cryptococcus neoformans Aspergillus fumigatus Toxoplasma gondii Pneumocystis carinii ネコ ネズミ ネズミ ウシ, ヒツジ, その 他 ブタ (ウマ, 鳥 類 ) サル セスジネズミ, ラット マストミスラット イヌ, ネコ, ウシ, ウマなど ウシ, イヌ, ネコなど 鳥 類 感 染 源 となる 動 物 オウム, インコ, その 他 鳥 類 イヌ, コウモリ, その 他 野 生 齧 歯 類 など ネコ, 家 畜, ハト 齧 歯 類 など 感 染 経 路 経 気 道 経 口, 経 気 道 ( 咬 傷 ) 接 触 接 触 経 気 道 経 気 道 経 気 道 経 気 道, 経 口 経 気 道 アカムシにより 伝 播 ノミにより 伝 播 コガタアカイエカにより 伝 播 森 林 型,サルより Haemagogusにより 伝 播 アメリカ 大 陸 主 としてアメリカ, 鳥 ( 特 にム クドリ)が 媒 介 ハトが 媒 介 備 考 7
生 体 の 感 染 防 御 機 構 の 全 体 像 と 相 互 関 係 液 性 免 疫 と 細 胞 性 免 疫 クラスI MHC 拘 束 的 なCD8 T 細 胞 による 標 的 細 胞 破 壊 クラスII MHC 拘 束 的 なCD4 T 細 胞 の 分 化 成 熟 感 染 と 伝 播 微 生 物 の 水 平 伝 播 様 式 感 染 : 病 原 微 生 物 が 生 体 内 に 侵 入 して 定 着 増 殖 する 寄 生 状 態 に 入 ること 発 症 率 低 = 不 顕 性 感 染 多 : 結 核 日 本 脳 炎 発 症 率 高 : 痘 瘡 水 痘 8
微 生 物 の 侵 入 門 戸 眼 結 膜 鼻 腔 口 腔 乳 房 呼 吸 器 泌 尿 器 生 殖 器 消 化 器 連 続 的 伝 播 病 原 体 が 感 染 部 位 で 増 殖 周 辺 に 連 続 的 に 病 変 部 を 拡 大 血 行 性 伝 播 血 中 に 入 った 病 原 体 が 血 流 にのって 親 和 性 をもつ 器 官 に 到 達 神 経 性 伝 播 ex) 狂 犬 病 ウイルス : 神 経 軸 索 を 伝 わり 求 心 性 に 中 枢 神 経 に 伝 播 ヘルペスウイルス : 脊 髄 神 経 節 に 潜 み 遠 心 性 に 皮 膚 表 面 に 現 れる 粘 膜 肛 門 創 傷 咬 傷 血 管 皮 膚 刺 傷 医 療 行 為 微 生 物 (parasite) 伝 播 創 傷 伝 播 性 ( 力 ) communicability 皮 膚 細 菌 毒 素 感 染 症 成 立 の 模 式 図 局 所 性 感 染 local infection リンパ 系 拡 散 付 着 attachment 増 殖 multiplication 侵 入 invasion ブドウ 球 菌,レンサ 球 菌 粘 膜 管 腔 感 染 性 infectivity 侵 入 性 invasiveness リンパ 毛 細 管 リンパ 節 毒 素 原 性 toxigenicity 宿 主 (host) リンパ 節 付 着 attachment 赤 痢, 腸 チフス 定 着 ( 集 落 形 成 ) colonization ポリオ,インフルエンザ 毒 素 吸 収 ジフテリア 病 原 性 pathogenicity 全 身 性 感 染 systemic infection 血 行 系 拡 散 拡 散 spreading 静 脈 デング 熱 マラリア 発 疹 チフス 菌 血 症 bacteremia ウイルス 血 症 viremia 毒 素 血 症 toxemia 血 管 臓 器 脾 肝 等 転 移 metastasis 敗 血 症 septicemia 組 織 親 和 性 tissue affinity 皮 膚 脳 肺 微 生 物 側 : ビルレンス virulence 宿 主 側 : 感 受 性 susceptibility 膿 瘍, 痘 瘡 発 疹 チフス ポリオ 麻 しん 血 清 肝 炎, 黄 熱 常 在 細 菌 叢 常 在 細 菌 叢 (つづき) 皮 膚 口 腔 咽 頭 外 耳 結 膜 鼻 腔 グラム 陽 性 Staphylococcus epidermidis Propionibacterium acnes Corynebacterium spp. (Diphteroids) various Streptococci Staphylococcus aureus Bacillus Micrococcus spp. Peptostreptococcus spp. ( 嫌 気 性 ) Streptococci (non group A) Lactobacilli Peptostreptococcus ( 嫌 気 性 ) Corynebacterium spp. (Diphteroids) Streptococcus pneumoniae (2040%) Staphylococcus epidermidis Enterococci Micrococcus spp. Staphylococcus aureus 皮 膚 の 常 在 菌 と 同 じ Streptococcus pneumoniae Staphylococcus epidermidis Staphylococcus aureus Corynebacterium xerosis Streptococcus pneumoniae Staphylococcus epidermidis Staphylococcus aureus (2050%) Streptococcus pneumoniae Bacillus Micrococcus spp. グラム 陰 性 Acinetobacter Pseudomonas aeruginosa other gram negative bacilli Moraxella catarrhalis Bacteroides spp. ( 嫌 気 性 ) Veillonella spp. ( 嫌 気 性 ) Fusobacterium spp. ( 嫌 気 性 ) Haemophylus influenzae (4080%) Neisseria meningitidis (520%) Klebsiella spp. Escherichia coli Pseudomonas aeruginosa Haemophylus influenzae Moraxella catarrhalis Moraxella lacunata Moraxella catarrhalis Acinetobacter gram negative bacilli atypical Mycobacteria Candida albicans Spirochetes Candida albicans other Yeast Actinomycetes Yeast その 他 中 耳 副 鼻 腔, 喉 頭, 気 管, 気 管 支, 肺 食 道, 胃 小 腸 大 腸 胆 嚢 膣 外 陰 部, 前 尿 道 無 菌 通 常 は 無 菌 Lactobacilli Enterococci 通 常 は 無 菌 グラム 陽 性 食 物 や 咽 頭 からの 生 存 菌 Enterococci Lactobacilli Streptococci (non group A) Corynebacterium spp. ( 嫌 気 性 ) Peptostreptococcus ( 嫌 気 性 ) Lactobacilli Streptococci (non group A) Staphylococcus epidermidis Corynebacterium spp. (Diphteroids) Peptostreptococcus ( 嫌 気 性 ) 皮 膚 の 常 在 菌 のほかに Enterococci Peptostreptococcus ( 嫌 気 性 ) Helicobacter pylori グラム 陰 性 Bacteroides spp. ( 嫌 気 性 ) Bacteroides spp. ( 嫌 気 性 ) Fusobacterium spp. ( 嫌 気 性 ) Klebsiella spp. Escherichia coli Proteus spp. Alcaligenes faecalis Escherichia coli Gardnerella vaginalis Neisseria spp. (N. gonorrheaを 除 く) Acinetobacter Bacteroides spp. ( 嫌 気 性 ) Bacteroides spp. ( 嫌 気 性 ) Fusobacterium spp. ( 嫌 気 性 ) Acinetobacter その 他 Actinomycetes Candida albicans Spirochetes Protozoa atypical Mycobacteria Candida albicans Trichomonas vaginalis Ureaplasma urealiticum Ureaplasma urealiticum atypical Mycobacteria 9
感 染 症 の 予 防 及 び 感 染 症 の 患 者 に 対 する 医 療 に 関 する 法 律 ( 感 染 症 法 )における 分 類 1 類 感 染 症 2 類 感 染 症 3 類 感 染 症 4 類 感 染 症 5 類 感 染 症 全 数 把 握 定 点 把 握 エボラ 出 血 熱 クリミア コンゴ 出 血 熱 重 症 急 性 呼 吸 器 症 候 群 ( 病 原 体 がSARS コロナウイルスであるものに 限 る) 痘 瘡 ペスト マールブルグ 病 ラッサ 熱 急 性 灰 白 髄 炎 コレラ 細 菌 性 赤 痢 ジフテリア 腸 チフス パラチフス 腸 管 出 血 性 大 腸 菌 感 染 症 E 型 肝 炎 ウエストナイル 熱 (ウエストナイル 脳 炎 を 含 む) A 型 肝 炎 エキノコック ス 症 黄 熱 オウム 病 回 帰 熱 Q 熱 狂 犬 病 高 病 原 性 鳥 インフルエンザ コク シジオイデス 症 サル 痘 腎 症 候 性 出 血 熱 炭 疸 恙 虫 病 デング 熱 ニパウイ ルス 感 染 症 日 本 紅 斑 熱 日 本 脳 炎 ハンタウイルス 肺 症 候 群 Bウイルス 病 ブルセラ 症 発 疹 チフス ボツリヌス 症 マラリア 野 兎 病 ライム 病 リッサウイ ルス 感 染 症 レジオネラ 症 レプトスピラ 症 アメーバ 赤 痢 ウイルス 性 肝 炎 (E 型 肝 炎 及 びA 型 肝 炎 を 除 く) 急 性 脳 炎 (ウエス トナイル 脳 炎 及 び 日 本 脳 炎 を 除 く) クリプトスポリジウム 症 クロイツフェルト ヤ コブ 病 劇 症 型 溶 血 性 レンサ 球 菌 感 染 症 後 天 性 免 疫 不 全 症 候 群 ジアルジア 症 髄 膜 炎 菌 性 髄 膜 炎 先 天 性 風 疹 症 候 群 梅 毒 破 傷 風 バンコマイシン 耐 性 黄 色 ブドウ 球 菌 感 染 症 バンコマイシン 耐 性 腸 球 菌 感 染 症 RSウイルス 感 染 症 咽 頭 結 膜 熱 A 群 溶 血 性 レンサ 球 菌 咽 頭 炎 感 染 性 胃 腸 炎 水 痘 手 足 口 病 伝 染 性 紅 斑 突 発 性 発 疹 百 日 咳 風 疹 ヘルパンギーナ 麻 疹 ( 成 人 麻 疹 を 除 く) 流 行 性 耳 下 腺 炎 インフルエンザ( 高 病 原 性 鳥 インフルエ ンザを 除 く) 急 性 出 血 性 結 膜 炎 流 行 性 角 結 膜 炎 性 器 クラミジア 感 染 症 性 器 ヘルペスウイルス 感 染 症 尖 圭 コンジローマ 淋 菌 感 染 症 クラミジア 肺 炎 (オウ ム 病 を 除 く) 細 菌 性 髄 膜 炎 ペニシリン 耐 性 肺 炎 球 菌 感 染 症 マイコプラズマ 肺 炎 成 人 麻 疹 無 菌 性 髄 膜 炎 メチシリン 耐 性 黄 色 ブドウ 球 菌 感 染 症 薬 剤 耐 性 緑 膿 菌 感 染 症 年 1876 1877 1889 1910 1929 1935 1939 1940 1940 年 代 半 ば 1944 1947 1948 1952 1955 1957 1960 1961 1962 1971 1972 以 降 1970 年 代 半 ば 1977 1980 年 代 1986 1996 2002 化 学 療 法 の 歴 史 できごと Tyndallによるカビと 細 菌 の 拮 抗 現 象 の 観 察 Pasteur, Joubertによる 炭 疽 菌 と 他 の 細 菌 の 拮 抗 現 象 の 観 察 Gosioが 青 カビの 培 養 液 から 抗 菌 物 質 (mycophenolic acid)を 分 離 Ehrlichと 秦 による サルバルサン( 有 機 ヒ 素 化 合 物 を 用 いた 梅 毒 の 化 学 療 法 ) Flemingによる 青 カビ(Penicillium notatum)からのペニシリンの 発 見 Domagkがprontosil(サルファ 系 抗 菌 薬 )が 細 菌 感 染 症 に 有 効 であることを 見 出 す DubosがBacillus brevisからのチロスリシンを 発 見 ( 後 にグラミシジンとチロシジンに 分 離 ) Florey, Chainによるペニシリンの 再 発 見 と 実 用 化 ペニシリンを 分 解 するペニシリナーゼ 産 生 菌 の 出 現 Waksmanによるストレプトマイシンの 発 見 Ehrlichらによるクロラムフェニコールの 発 見 Duggarによるテトラサイクリンの 発 見 McGuireらによるエリスロマイシンの 発 見 Burton, Abrahamによるセファロスポリンの 発 見 梅 沢 によるカナマイシンの 発 見 ペニシリナーゼ 抵 抗 性 半 合 成 ペニシリンの 開 発 (メチシリン) 英 国 で 最 初 のMRSAの 発 見 第 一 世 代 セフェム 系 抗 菌 薬 の 開 発, 天 然 セファマイシンの 発 見 第 二 世 代 セフェム 系 抗 菌 薬 の 開 発 βラクタマーゼ 産 生 によるグラム 陰 性 の 耐 性 菌 が 増 加 し 始 める 最 初 のニューキノロン 系 抗 菌 薬 ノルフロキサシンの 合 成 第 三 世 代 セフェム 系 抗 菌 薬 の 開 発, バンコマイシン 耐 性 腸 球 菌 (VRE)の 発 見 バンコマイシン 軽 度 耐 性 MRSA(VISA)の 発 見 バンコマイシン 高 度 耐 性 MRSA(VRSA)の 発 見 最 初 のキノロン 系 抗 菌 薬 ナリジクス 酸 の 合 成 ニューキノロン 系 抗 菌 薬 が 競 って 開 発 される 化 学 療 法 薬 細 胞 壁 合 成 阻 害 薬 βラクタム 系 バンコマイシン テイコプラニン ホスホマイシンなど 葉 酸 代 謝 系 阻 害 薬 ST 合 剤 タンパク 合 成 阻 害 薬 アミノ 配 糖 体 系 マクロライド 系 リンコサミド 系 クロラムフェニコール テトラサイクリン 系 など 核 酸 合 成 阻 害 薬 リファンピシン キノロン 系 など 細 胞 壁 の 合 成 とその 阻 害 薬 1 ムレインモノマーの 合 成 細 胞 壁 の 構 成 ユニット ムレインモノマー 前 駆 体 MurNAcStem peptides lipid carrierに 付 着 細 胞 膜 の 外 側 に 輸 送 GlcNAcとPentaglycineの 付 加 ムレインモノマー Synthesis of murein monomer (monomeric component of peptidoglycan). Murein monomer is composed of two amino sugars (Nacetyl muramic acid [MurNAc] and Nacetyl glucosamine [GlcNAc]) and ten aminoacids. Murein monomer precursor is composed of MurNAc and stem peptides (Lalanine, Dglutaminc acid, Llysine, and two Dalanines). It is synthesised in the cytoplasm and attaches to a lipid carrier in the cytoplasmic membrane. Then, during its transfer to the outer surface of the cytoplasmic membrane, GlcNAc and five glycines are added, and its isoglutamic acid is amidated to become mature murein monomer. 10
細 胞 壁 の 合 成 とその 阻 害 薬 2 細 胞 壁 の 合 成 とその 阻 害 薬 3 ムレインモノマーから 細 胞 壁 へ GT (Glycosiltransferase) ムレインモノマーを 連 結 PBP (Penicillinbinding protein) 既 存 の 細 胞 壁 に 架 橋 DalanylDalanineを 認 識 Assembly of peptidoglycan viewed from outside of the cell. In blue is the cytoplasmic membrane. Glycosyltransferase polymerises the murein monomer to produce a nascent peptidoglycan single chain. Penicillinbinding protein (PBP) grasps at the DalanylDalanine residues of stem peptide and cleaves in between the residues to ligate the penultimate Dalanine to the pentaglycine of the neighbouring peptidoglycan chain. The twisting of peptidoglycan chains is omitted from the illustration for visual simplicity. βラクタム 薬 による PBPの 不 活 化 βラクタム 薬 が PBP 認 識 部 位 である DalanylDalanineと 類 似 PBPとβラクタム 薬 が 結 合 架 橋 反 応 が 停 止 Action of beta lactam: Beta lactam (purple double cubes) is a structural analogue of DalanylDalanine residues. It inactivates S aureus PBPs (in red), but cannot bind to PBP2 (in green; MRSA specific PBP) with high affinity. Therefore, MRSA can continue peptidoglycan synthesis in the presence of beta lactams whereas meticillinsusceptible S aureus cannot. 細 胞 壁 の 合 成 とその 阻 害 薬 4 βラクタム 系 薬 バンコマイシンによる PBPの 不 活 化 バンコマイシンが ムレインモノマーの PBP 認 識 部 位 に 類 似 バンコマイシンと ムレインモノマーが 結 合 架 橋 反 応 が 停 止 βラクタム 環 ペニシリンの 基 本 構 造 βラクタム 環 セフェムの 基 本 構 造 Action of vancomycin and teicoplanin. Drug binds to DalanylDalanine residues of murein monomer. The murein monomer bound by vancomycin does not serve as a substrate for glycosyltransferase. カルバペネムの 基 本 構 造 モノバクタムの 基 本 構 造 11
葉 酸 代 謝 系 阻 害 葉 酸 系 を 阻 害 する 薬 剤 は 選 択 性 が 高 いが 極 めて 容 易 に 耐 性 が 出 現 するため 異 なる2 点 で 阻 害 する 薬 剤 を 併 せて 用 いる ST 合 剤 タンパク 合 成 阻 害 剤 ストレプトマイシン カナマイシン エリスロマイシン テトラサイクリン 伸 長 因 子 T 1 パラアミノ 安 息 香 酸 テトラヒドロ 葉 酸 阻 害 サルファメトキサゾール トリメトプリム 阻 害 核 酸 ジヒドロプテロイン 酸 ジヒドロ 葉 酸 mrna 開 始 因 子 3, 開 始 因 子 1 ペプチド 転 移 クロラムフェニコール リンコマイシン 30S 開 始 複 合 体 70S 開 始 複 合 体 50Sサブユニット リボソームの 転 移 アミノアシルtRNA の 結 合 伸 長 因 子 G タンパク 合 成 阻 害 剤 クロラムフェニコール RNA 合 成 阻 害 大 腸 菌 のRNAポリメラーゼ プロモーターを 読 み 取 る ヌクレオチドや RNAと 結 合 βとβ を 結 合 DNAと 結 合 リファンピシン RNAポリメラーゼ 阻 害 ストレプトマイシン エリスロマイシン σ 因 子 は 離 れる RNAポリメラーゼ 複 合 体 テトラサイクリン DNA 鋳 型 鎖 つくられつつあるRNA 鎖 12
複 製 起 点 3 5 3 プライマーRNA (またはDNA) 岡 崎 断 片 3 5 方 向 の 親 鎖 Leading 鎖 プライマー RNA 5 5 3 方 向 の 親 鎖 DNAポリメラーゼ I DNA 合 成 阻 害 DNAポリメラーゼ III 一 本 鎖 DNA 結 合 タンパク 質 (SSB) ジャイレース (トポイソメラー ゼ) 3 5 複 製 方 向 親 鎖 DNA 合 成 中 の プライマーゼ 3 Lagging 鎖 ニューキノロン 系 薬 ノルフロキサシン ヘリカーゼ(ATP 要 求 性 ) クランプ DNAジャイレースおよび トポイソメラーゼIV 阻 害 薬 剤 耐 性 βラクタム 系 薬 に 対 する 耐 性 βラクタマーゼを 産 生 しβラクタムを 加 水 分 解 バンコマイシン 耐 性 ムレインモノマーを 構 成 するアラニンを 乳 酸 に 置 換 し バンコマイシンの 結 合 を 阻 害 キノロン 耐 性 細 胞 内 取 り 込 みの 減 少 トポイソメラーゼの 突 然 変 異 DNAジャイレースの 突 然 変 異 などが 関 与 アミノ 配 糖 体 耐 性 細 胞 内 への 透 過 の 低 下 アミノ 配 糖 体 修 飾 酵 素 による 不 活 化 リボソーム 上 の 作 用 点 の 変 異 など マクロライド 耐 性 50Sサブユニットの 特 定 のアデニン 塩 基 をメチル 化 して 立 体 構 造 を 変 化 させ マクロライドの 結 合 を 阻 害 テトラサイクリン 耐 性 テトラサイクリン 排 出 機 構 の 獲 得 13
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