2010-2030 年 の 中 国 経 済 発 展 の 動 向 に 関 する 研 究 張 立 群
一 中 国 はすでに 工 業 化 と 都 市 化 が 急 速 に 進 行 する 発 展 段 階 にある 第 一 に 中 国 はすでに 充 分 な 物 質 的 技 術 的 基 盤 を 備 えている 2010 年 の 中 国 の 名 目 GDPは39.7 兆 元 に 達 し これは 同 年 の 為 替 レートで 計 算 す ると 6 兆 米 ドルを 超 えている 第 二 に 中 国 はすでに 消 費 構 造 のグレードア ップが 産 業 構 造 のグレードアップを 牽 引 する 段 階 に 入 っている
第 三 に 中 国 はすでに 経 済 のテイクオフの 段 階 に 入 って いる 世 界 との 比 較 によると 経 済 の 近 代 化 はおおむね 準 備 段 階 テイクオフ 段 階 成 熟 段 階 に 分 けられる 中 国 は 現 在 テイクオフ 段 階 に 入 っており 二 重 経 済 構 造 という 特 徴 が 消 滅 するまで 経 済 の 比 較 的 速 い 成 長 は 止 まらない だろう 第 四 に 中 国 はすでに 工 業 化 の 中 期 段 階 に 入 っている 2010 年 の 中 国 の 一 人 当 たりGDPは 約 4470 米 ドルに 達 し すで に 中 高 所 得 国 に 並 んでいる 第 三 次 産 業 の 付 加 価 値 構 造 第 三 次 産 業 の 就 業 構 造 工 業 製 造 業 の 構 造 から 見 ると 中 国 はすでに 工 業 化 の 中 期 段 階 に 入 っている
二 中 国 は 引 き 続 き 比 較 的 速 い 工 業 化 と 都 市 化 を 推 進 する 条 件 を 備 えている 第 一 に 市 場 の 需 要 潜 在 力 が 巨 大 である 中 国 の 人 口 数 と 一 人 当 たりの 生 活 水 準 の 上 昇 幅 が 大 きいことが 巨 大 な 消 費 潜 在 力 を 決 定 づけて いる 一 人 当 たりGDP4000 米 ドルから10000 米 ド ルは 耐 久 消 費 財 がリードする 消 費 の 成 長 段 階 であり 住 宅 と 車 を 主 とする 消 費 構 造 のグレー ドアップが 引 き 続 き 促 進 される
第 一 に 経 済 の 比 較 的 速 い 成 長 が 続 き 国 民 所 得 が 比 較 的 速 い 伸 びを 続 けている 第 二 に 労 働 力 と 人 口 の 都 市 部 への 移 動 が 引 き 続 き 進 行 し 李 善 同 と 何 建 武 の 分 析 によれば 第 二 次 第 三 次 産 業 への 就 業 および 都 市 人 口 総 数 が 大 きな 伸 びを 見 せる 第 三 に 中 国 の 都 市 農 村 住 民 のエンゲル 係 数 は 依 然 として 高 めであるが 先 進 国 の 経 験 から 将 来 は 下 降 を 続 け 住 宅 交 通 耐 久 消 費 財 に 対 する 需 要 が 拡 大 を 続 けている 第 四 に アメリカと 日 本 における 住 宅 自 動 車 保 有 水 準 の 歴 史 的 変 化 と 中 国 の 特 徴 とを 合 わせて 考 える と 以 下 のような 予 測 データを 得 ることができる
都 市 と 農 村 の 住 宅 建 築 面 積 予 測 一 人 当 たりの 住 宅 面 積 (m 2 / 人 ) 住 宅 建 築 面 積 ( 億 m 2 ) 年 都 市 部 農 村 部 都 市 部 農 村 部 合 計 2010 30.0 32.5 195.8 229.8 425.7 2020 35.0 38.0 294.4 231.4 525.8 2030 39.0 41.5 378.4 207.4 585.8
自 動 車 保 有 状 況 予 測 ( 保 有 量 は 万 台 普 及 率 は 台 / 千 人 ) 自 動 車 自 家 用 車 年 自 家 用 車 が 占 め る 割 合 (%) 保 有 量 普 及 率 保 有 量 普 及 率 2010 8700 64.8 2871 21.4 33.0% 2020 18000 128.6 7920 58.5 44.0% 2030 24459 166.4 13110 89.2 53.6%
第 二 に 充 分 な 資 金 条 件 を 備 えている 国 民 所 得 は 速 い 成 長 が 続 き 貯 蓄 率 は 依 然 として 高 い 水 準 を 維 持 するであろう 企 業 資 金 と 財 政 資 金 も 速 い 伸 びを 維 持 すると 見 込 まれる 中 国 経 済 の 高 成 長 は 引 き 続 き 大 量 の 外 資 を 引 きつけ ると 考 えられる 2010 年 末 の 人 民 元 の 預 金 残 高 は 71.82 兆 元 に 達 し これは 同 年 の 固 定 資 産 投 資 規 模 の2.6 倍 にあたる
第 三 に 充 分 な 労 働 力 条 件 を 備 えている 今 後 数 十 年 中 国 の 総 人 口 ( 香 港 マカオ 特 別 行 政 区 および 台 湾 省 は 含 まない 以 下 同 )は 引 き 続 き 増 加 を 続 ける 2010 年 と2020 年 の 総 人 口 はそ れぞれ13.41 億 人 14 億 人 2030 年 の 総 人 口 は 約 14.5 億 人 に 達 すると 予 測 される 2015-2016 年 に15-64 歳 の 労 働 年 齢 人 口 は10.1 億 人 のピークに 達 し その 後 2030 年 までは10 億 人 前 後 を 維 持 すると 見 込 まれる 2009 年 末 の 中 国 の 労 働 力 総 数 は7.79 億 人 で そのうち 都 市 部 産 業 の 就 業 者 は3.1 億 人 残 りの 4.69 億 人 は 近 代 経 済 部 門 以 外 の 就 業 者 であり 労 働 力 移 動 の 潜 在 力 は 非 常 に 大 きい
人 口 数 予 測 *** 年 人 口 数 ( 億 人 ) 2010 13.41 2020 14 2030 14.5
第 四 に 一 定 の 技 術 補 償 がある 中 国 は 国 際 分 業 の 情 勢 に 全 面 的 に 参 入 している 状 況 にあり 世 界 の 主 要 な 生 産 技 術 特 にニューエコノ ミー 関 連 の 最 新 技 術 や 省 エネルギー 環 境 関 連 の 最 新 技 術 を 参 考 にし 応 用 することができる 国 家 中 長 期 科 学 技 術 発 展 計 画 綱 要 の 実 施 に 伴 い 技 術 の 導 入 消 化 吸 収 再 創 新 ( 先 進 技 術 の 導 入 による 新 た なイノベーション 力 ) 原 始 創 新 ( 中 国 独 自 のイノベー ション)などの 自 主 創 新 (セルフ イノベーション) 活 動 が より 多 くのキーテクノロジーやコアテクノロ ジーを 提 供 するであろう
三 将 来 の 発 展 は 一 連 の 厳 しい 挑 戦 に も 直 面 する 第 一 に 資 源 環 境 状 況 が 非 常 に 厳 しい 第 二 に 体 制 メカニズムの 欠 陥 が 目 立 つ 第 三 に コアテクノロジーに 欠 け 総 合 的 な 競 争 力 がまだ 低 い
第 四 に 高 齢 化 の 進 行 が 速 い 中 国 にはすでに 先 進 国 の 問 題 に 属 する 高 齢 化 問 題 が 出 現 している 経 済 発 展 の 水 準 が まだ 低 く 人 口 基 数 が 膨 大 である 状 況 で 急 速 な 高 齢 化 が 進 む 未 富 先 老 という 新 たな 矛 盾 が 生 じている 人 口 の 年 齢 構 成 が20 年 の 間 に 青 年 型 から 急 速 に 老 年 型 に 移 行 する 現 象 は 世 界 でもまれである
中 国 は 過 去 のいかなる 時 期 よりも また 経 済 テ イクオフを 実 現 した 他 のいかなる 国 よりも 有 利 な 条 件 のもとで 経 済 の 加 速 テイクオフ 段 階 に 入 った また 過 去 のいかなる 時 期 よりも また 経 済 テイクオフを 実 現 した 他 のいかなる 国 よりも 複 雑 な 条 件 のもとで 経 済 の 加 速 テイ クオフ 段 階 に 入 った このため 中 国 の 将 来 の 経 済 発 展 には 大 きな 不 確 定 性 が 存 在 する 鍵 と なるのは うまく 挑 戦 に 対 処 し 試 練 を 受 け 止 め 情 勢 に 応 じて 有 利 な 方 向 へ 導 き 矛 盾 を 解 消 することができるかどうか である
四 現 在 から2030 年 までに, 中 国 はお およそ2つの 経 済 発 展 段 階 を 経 る 李 善 同 と 何 建 武 の 研 究 結 果 によれば 2020 年 までは 工 業 化 と 都 市 化 が 急 速 に 進 展 する 段 階 である
この 時 期 の 中 国 は 巨 大 な 成 長 の 原 動 力 を 有 する 二 重 経 済 構 造 が 速 やかに 転 換 し 工 業 化 と 都 市 化 が 全 面 的 に 加 速 し 消 費 構 造 のグレードアップと 大 規 模 な 工 業 都 市 の ハード 建 設 が 工 業 製 造 業 の 規 模 の 持 続 的 な 急 成 長 をもたらす 経 済 発 展 と 資 源 環 境 の 関 係 工 業 化 と 都 市 化 の 関 係 消 費 構 造 と 産 業 構 造 の 関 係 産 業 と 都 市 の 土 地 利 用 空 間 配 置 との 関 係 国 内 経 済 と 国 際 経 済 の 関 係 などを 調 整 するにあたり 多 くの 新 たな 矛 盾 や 問 題 に 直 面 する だろう この 時 期 は 近 代 化 の 全 面 的 加 速 にとって 最 大 の 鍵 となる 時 期 である *** 発 展 が 比 較 的 順 調 に 進 めば 2020 年 までに 工 業 化 は 基 本 的 に 完 了 し(GDPにおける 工 業 付 加 価 値 の 比 率 が 下 降 し 始 める ことを 基 準 とする) この 時 期 のGDPの 年 平 均 成 長 率 は7.5% 前 後 2020 年 の 一 人 当 たりGDPは7358 米 ドル 都 市 化 率 は55% 前 後 に 達 す ると 予 測 される
もう 一 つは 2030 年 までの 工 業 化 が 安 定 的 に 進 行 し 都 市 化 が 引 き 続 き 比 較 的 速 く 進 行 するという 経 済 発 展 の 段 階 である 工 業 化 都 市 化 の 発 展 モデルは 基 本 的 に 確 立 され 各 方 面 で 構 造 変 化 が 最 も 激 しく 起 こる 時 期 は 基 本 的 に 終 了 した 経 済 発 展 の 安 定 性 が 明 らかに 向 上 し 経 済 成 長 水 準 はやや 低 下 する 産 業 構 造 のグレードアップ 製 造 業 のレベルアップと 発 展 方 式 の 転 換 及 び 都 市 のソフ ト 環 境 ( 管 理 サービスなど)の 急 速 な 発 展 などが 際 立 った 注 目 点 となるだろう GDPの 年 平 均 成 長 率 は6.2% 前 後 2030 年 には 一 人 当 たりGDPが13217 米 ドル 都 市 化 率 は64% 前 後 に 達 すると 予 測 される
五 特 に 説 明 が 必 要 な 問 題 日 本 側 の 関 心 に 基 づき 以 下 の 問 題 について 特 に 説 明 することとする 一 本 報 告 の 予 測 データは すべて 李 善 同 と 何 建 武 の 報 告 に 基 づくものである 二 中 国 では その 特 殊 な 経 済 発 展 モデルと 巨 大 な 人 口 規 模 により 二 重 経 済 構 造 の 特 徴 が 非 常 に 際 だっている 農 業 農 村 を 主 とする 伝 統 経 済 から 工 業 製 造 業 サービス 業 都 市 部 を 主 とする 近 代 経 済 への 労 働 力 と 人 口 の 移 動 の 動 きも 非 常 に 激 しい
私 はこれを 核 心 放 射 型 発 展 モデルとしてまとめている すなわち 計 画 経 済 体 制 によって 工 業 化 の 原 始 的 蓄 積 が 完 了 し 近 代 経 済 の 核 心 が 形 成 された 改 革 開 放 政 策 が 都 市 と 農 村 工 業 と 農 業 の 間 の 体 制 の 壁 を 取 り 払 った 結 果 伝 統 経 済 と 近 代 経 済 との 巨 大 な 格 差 が 労 働 力 と 人 口 の 大 規 模 な 移 動 をもたらし 中 国 の 経 済 成 長 を 推 進 す る 強 大 な 原 動 力 となった 2030 年 までに 中 国 は 工 業 化 と 都 市 化 を 基 本 的 に 完 了 し 中 所 得 の 段 階 を 越 えて 経 済 が 比 較 的 成 熟 し 安 定 した 発 展 の 段 階 に 入 ると 予 測 される ただし 先 進 国 と 比 べて 労 働 力 と 人 口 の 移 動 の 潜 在 力 は 依 然 としてかなり 大 きく さらなる 移 動 の 動 きは 先 進 国 のポスト 工 業 化 時 期 の 水 準 で 中 国 経 済 を 成 長 させる であろう
三 42 年 で3 億 の 労 働 力 の 移 転 というのが 私 の 仮 説 である すなわち 都 市 部 では 毎 年 1500 万 人 の 就 業 が 新 たに 創 出 されているが 都 市 部 自 身 で 毎 年 800 万 人 が 労 働 年 齢 に 入 るため 3 億 の 労 働 力 の 移 動 には 42 年 かかる 現 在 農 村 の 労 働 力 ( 都 市 農 村 間 の 流 動 労 働 力 を 含 む)は 約 4.7 億 人 である 将 来 の 人 口 と 経 済 の 発 展 を 考 えると 少 なくともさらに3 億 の 労 働 力 の 移 動 が 必 要 である この 仮 説 の 主 旨 は 中 国 の 労 働 力 資 源 が 依 然 として 非 常 に 豊 かであると 説 明 することにある 2050 年 には 中 国 の 労 働 力 と 人 口 の 移 動 はほぼ 落 ち 着 いていると 考 えられる
批 評 コメントをお 願 い 致 します ありがとうございました