医 療 事 故 緊 急 対 応 用 一 般 医 療 機 関 向 け 平 成 26 年 7 月 改 定 版 東 京 都 エイズ 診 療 協 力 病 院 運 営 協 議 会 編
はじめに 東 京 都 では 平 成 9 年 に HIV 感 染 防 止 のための 予 防 服 用 マニュアル を 作 成 し 協 力 病 院 及 び 一 般 医 療 機 関 等 へ 配 布 した これは 同 年 に 出 された 厚 生 省 ( 当 時 ) 通 知 を 受 け 一 般 医 療 機 関 で HIV 感 染 のおそれのある 医 療 事 故 が 発 生 した 場 合 に 協 力 病 院 を 緊 急 受 診 し 予 防 服 用 が 可 能 となるような 体 制 を 整 備 するため 東 京 都 エイズ 診 療 協 力 病 院 運 営 協 議 会 での 検 討 を 基 に 作 られたものである その 後 の 抗 HIV 薬 の 新 規 承 認 や 治 療 ガイドラインの 変 更 等 治 療 をめぐる 状 況 の 変 化 に 伴 い 平 成 11 年 9 月 には インジナビルをネルフィナビルに 変 更 14 年 8 月 には CDC 報 告 (MMWR Vol.50, No.RR-11,June29,2001)に 基 づく 事 項 を 中 心 に 事 故 後 2 時 間 以 内 の 表 記 を で きるだけ 早 く に 変 更 事 故 後 3 日 以 内 の 表 記 を 削 除 東 京 都 の 予 防 薬 配 備 見 直 し に 伴 う 表 記 の 変 更 などの 改 定 を 行 い 19 年 3 月 には CDC 報 告 (MMWR Vol.54,No.RR-9, September30,2005)に 基 づき 予 防 薬 をネルフィナビルからカレトラに 変 更 するとと もに マニュアルの 位 置 付 けとして 緊 急 時 対 応 を 主 眼 としたものとし 主 に 一 般 医 療 機 関 対 象 とした 平 成 23 年 8 月 の 改 定 では 治 療 の 進 歩 に 合 わせ 推 奨 薬 剤 を 変 更 した 今 回 の 改 定 では CDC が 中 心 となって 行 われた 予 防 投 薬 ガイドラインの 改 訂 に 基 づ き 推 奨 薬 剤 の 変 更 を 行 った これまでの 基 本 投 与 拡 大 投 与 の 概 念 がなくなり 推 奨 薬 剤 は RAL(アイセントレス)+TDF/FTC(ツルバダ)に 統 合 され これに 伴 って 感 染 リスクの 判 断 も 不 要 となったため 今 回 のマニュアルでは 削 除 とした 東 京 都 における 平 成 25 年 の HIV 感 染 者 AIDS 患 者 報 告 件 数 は 469 件 であり 平 成 24 年 より 増 加 している 医 療 機 関 等 における 医 療 事 故 対 策 は 今 後 ますます 重 要 となる ことが 予 想 されるため 都 内 すべての 医 療 機 関 で HIV 感 染 防 止 体 制 を 整 備 するに 当 たり 当 マニュアルを 活 用 されることを 期 待 する 東 京 都 エイズ 診 療 協 力 病 院 運 営 協 議 会 は エイズ 診 療 を 推 進 するために エイズ 診 療 協 力 病 院 ( 拠 点 病 院 連 携 病 院 ) 東 京 都 医 師 会 東 京 都 歯 科 医 師 会 東 京 都 福 祉 保 健 局 を 構 成 メンバーとする 協 議 会 です
目 次 マニュアル 使 用 上 の 注 意 1 予 防 服 用 フローチャート( 緊 急 対 応 用 ) 2 1 事 故 の 発 生 した 一 般 医 療 機 関 での 対 応 3 2 協 力 病 院 での 対 応 5 3 専 門 医 受 診 5 4 費 用 負 担 6 5 抗 HIV 薬 予 防 服 用 説 明 書 7 6 各 薬 剤 の 服 用 方 法 と 副 作 用 9 7 抗 HIV 薬 予 防 服 用 同 意 書 および 依 頼 書 11 附 属 資 料 使 用 済 み 医 療 器 具 由 来 の HIV 等 の 感 染 予 防 について( 依 頼 ) 13 ( 平 成 13 年 9 月 27 日 厚 生 労 働 省 健 康 局 疾 病 対 策 課 長 他 ) C 型 肝 炎 エイズ 及 び MRSA 感 染 症 に 係 る 労 災 保 険 における 取 扱 いについて( 抄 ) 16 予 防 服 用 のための 協 力 病 院 緊 急 連 絡 先 リスト 19
マニュアル 使 用 上 の 注 意 Ⅰ 医 療 事 故 による HIV 感 染 を 防 止 するためには 事 故 後 できるだけ 早 く 抗 HIV 薬 の 服 用 を 開 始 する 必 要 がある (7 ページ 予 防 服 用 説 明 書 参 照 のこと) Ⅱ 予 防 服 用 に 際 しては インフォームドコンセントが 必 要 である 事 故 が 起 こってからのインフォームドコンセントでは 速 やかな 予 防 服 用 が 困 難 で あるため 医 療 従 事 者 にはあらかじめ 予 防 服 用 や 副 作 用 についての 知 識 を 周 知 して おき 事 故 が 発 生 した 場 合 にどう 対 応 するかを 決 定 しておくための 事 前 教 育 が 必 要 である 特 に 医 療 事 故 担 当 医 は 当 マニュアルや 付 属 資 料 をよく 読 み 理 解 して おく 必 要 がある Ⅲ 予 防 服 用 を 開 始 するかどうかは 医 療 事 故 により 汚 染 にあった 医 療 従 事 者 本 人 が 自 己 決 定 しなければならない Ⅳ このマニュアルに 基 づき 協 力 病 院 に 抗 HIV 薬 の 投 与 を 依 頼 する 際 には 必 ず 本 人 の 同 意 書 と 医 療 事 故 担 当 医 の 依 頼 書 を 提 出 すること Ⅴ 服 用 開 始 後 4 週 間 の 服 用 を 継 続 するかどうか 及 び 内 服 継 続 に 問 題 がある 場 合 の 対 処 法 は 被 汚 染 者 が HIV 感 染 症 の 専 門 医 と 相 談 の 上 決 定 すべきである Ⅵ このマニュアルは 専 門 医 に 受 診 するまでの 緊 急 対 応 用 として 作 成 されたもので ある - 1 -
予 防 服 用 フローチャート( 緊 急 対 応 用 ) HIV 感 染 のおそれのある 医 療 事 故 が 発 生 した 場 合 は 以 下 の 予 防 服 用 フローチャー ト に 従 って 対 応 する フローチャートの 各 項 目 の 詳 細 については マニュアル 3 ページ 以 降 を 参 照 のこと で き る だ け 早 く 一 般 医 療 機 関 協 力 病 院 HIV 陽 性 血 液 事 故 発 生 応 急 処 置 医 療 事 故 担 当 医 に 報 告 インフォームドコンセント 協 力 病 院 への 電 話 連 絡 協 力 病 院 に 受 診 陽 性 が 強 く 疑 われる 血 液 薬 剤 受 領 服 用 妊 娠 の 有 無 確 認 同 意 書 依 頼 書 作 成 同 意 書 依 頼 書 の 確 認 ( 作 成 ) ニューモシスチス(カリニ) 肺 炎 クリプトコッカス 髄 膜 炎 等 の 症 状 があり HIV 陽 性 で あることが 推 定 できる 血 液 第 1 回 目 の 服 用 の 適 否 は 被 汚 染 者 本 人 が 自 己 決 定 する 第 1 回 目 の 服 用 は 事 故 後 できるだけ 早 く 行 う < 専 門 医 > 専 門 医 受 診 服 用 継 続 の 判 断 基 本 的 な 服 用 期 間 は 4 週 間 である 内 服 継 続 及 び 継 続 に 関 する 問 題 については 専 門 医 に 相 談 する 協 力 病 院 とは 東 京 都 の 指 定 する エイズ 診 療 拠 点 病 院 のことである ( 詳 細 は 19~23 ページ 予 防 服 用 のための 協 力 病 院 緊 急 連 絡 先 リスト 参 照 ) - 2 -
1 事 故 の 発 生 した 一 般 医 療 機 関 での 対 応 (1) 事 故 発 生 事 故 とは 針 刺 し 事 故 や 鋭 利 な 医 療 器 具 による 切 創 等 皮 内 への HIV 汚 染 血 液 の 曝 露 及 び 粘 膜 や 傷 のある 皮 膚 への 血 液 等 感 染 性 体 液 の 曝 露 をさす (2) 応 急 処 置 汚 染 事 故 が 発 生 した 場 合 は 血 液 又 は 体 液 に 曝 露 された 創 部 又 は 皮 膚 を 血 液 を 絞 り 出 しながら 流 水 によって 十 分 に 洗 浄 する (3) 医 療 事 故 担 当 医 に 報 告 被 汚 染 者 は 事 故 の 発 生 時 刻 状 況 程 度 事 故 の 原 因 となった 患 者 の 病 状 等 を 直 ちに 院 内 の 医 療 事 故 担 当 医 に 報 告 する (4) HIV 陽 性 血 液 及 び 陽 性 が 強 く 疑 われる 血 液 陽 性 が 強 く 疑 われる 血 液 とは HIV 抗 体 検 査 の 結 果 は 不 明 だが ニューモシスチス (カリニ) 肺 炎 クリプトコッカス 髄 膜 炎 等 の 症 状 があり HIV 陽 性 であることが 推 定 できる 血 液 をさす (5) 妊 娠 の 有 無 確 認 妊 娠 の 有 無 を 確 認 し 可 能 な 場 合 は 妊 娠 反 応 検 査 を 実 施 する (6) インフォームドコンセント 医 療 事 故 担 当 医 は 事 故 の 状 況 を 確 認 し 7 ページ 抗 HIV 薬 予 防 服 用 説 明 書 に より 予 防 服 用 の 効 果 について 説 明 する 被 汚 染 者 は 予 防 服 用 の 利 益 と 不 利 益 を 考 慮 して 服 用 を 開 始 するかどうか 自 己 決 定 する その 際 担 当 医 は 被 汚 染 者 のプライ バシーの 保 護 について 十 分 に 留 意 する 必 要 がある なお 院 内 での 感 染 報 告 経 路 については 1 服 薬 開 始 の 迅 速 性 2プライバシーの 保 護 を 考 慮 し 可 能 な 範 囲 で 短 縮 すべきである * 診 療 所 の 医 師 等 で 被 汚 染 者 が 医 療 事 故 担 当 医 を 兼 ねている 場 合 などは 自 身 で 判 断 する - 3 -
(7) 同 意 書 依 頼 書 作 成 被 汚 染 者 が 予 防 服 用 を 希 望 する 場 合 は 11 ページ 抗 HIV 薬 予 防 服 用 同 意 書 に 被 汚 染 者 自 身 が 署 名 する 医 療 事 故 担 当 医 は 11 ページ 抗 HIV 予 防 投 与 依 頼 書 を 記 載 し 署 名 する (8) 協 力 病 院 へ 電 話 連 絡 予 防 投 与 を 依 頼 する 場 合 は 19 ページ 予 防 服 用 のための 協 力 病 院 緊 急 連 絡 先 リスト に 基 づき 必 ず 事 前 に 協 力 病 院 の 担 当 者 に 電 話 連 絡 する (9) 協 力 病 院 に 受 診 薬 剤 受 領 服 用 事 故 後 できるだけ 早 く 服 用 開 始 するため 協 力 病 院 に 緊 急 受 診 し 同 意 書 およ び 依 頼 書 を 提 出 して 薬 剤 を 受 領 後 直 ちに 第 1 回 目 の 服 用 をする 通 常 の 交 通 手 段 では 速 やかに 服 用 開 始 することが 困 難 な 時 は 救 急 車 の 利 用 が 可 能 である (10) その 他 原 因 となった 患 者 の 抗 体 検 査 が 未 実 施 の 場 合 は 必 ず 患 者 の 同 意 を 得 た 上 で 抗 体 検 査 ( 迅 速 検 査 など)を 実 施 する - 4 -
2 協 力 病 院 での 対 応 (1) 事 前 準 備 電 話 で 緊 急 の 予 防 投 与 の 依 頼 を 受 けた 協 力 病 院 は 事 故 後 できるだけ 早 く1 回 目 の 服 用 が 可 能 となるよう 直 ちに 薬 剤 の 準 備 をする (2) 緊 急 処 方 協 力 病 院 の 担 当 医 は 自 院 で 扱 う 予 防 薬 による 副 作 用 について 説 明 する 初 回 の 予 防 服 用 については 説 明 を 受 けて 被 汚 染 者 本 人 が 決 定 する 協 力 病 院 では 同 意 書 および 依 頼 書 の 提 出 があった 場 合 は 専 門 医 を 受 診 できるまでの 間 に 必 要 な 最 小 限 の 量 の 緊 急 用 薬 剤 を 処 方 する 服 用 開 始 前 には 活 動 性 B 型 肝 炎 腎 機 能 低 下 糖 尿 病 妊 娠 の 有 無 などを 確 認 し 必 要 があれば 専 門 医 に 相 談 する また 常 用 薬 がある 場 合 には 相 互 作 用 にも 注 意 す る (3) 診 療 の 取 扱 い 原 則 として 一 般 外 来 患 者 と 同 様 にカルテを 作 成 し 処 方 せんの 発 行 により 予 防 薬 を 投 与 する (4) その 他 被 汚 染 者 から 妊 娠 反 応 検 査 の 依 頼 があった 時 は 協 力 病 院 で 検 査 を 実 施 する 3 専 門 医 受 診 事 故 後 緊 急 に 予 防 服 用 をした 被 汚 染 者 は 事 故 後 早 めに 専 門 医 を 受 診 して 服 用 継 続 の 適 否 について 相 談 の 上 決 定 し 併 せて HIV 検 査 を 実 施 する 専 門 医 は 感 染 の 有 無 について 必 要 な 期 間 評 価 する - 5 -
4 費 用 負 担 (1) 医 療 機 関 内 の 医 療 事 故 による 医 療 従 事 者 等 の 感 染 予 防 対 策 は 各 医 療 機 関 の 責 任 において 実 施 されるべきものである 予 防 服 用 に 関 する 費 用 は 自 費 扱 いとし 協 力 病 院 の 請 求 に 基 づき 事 故 が 発 生 した 医 療 機 関 が 支 払 う (2) 抗 HIV 薬 の 予 防 服 用 については 健 康 保 険 の 給 付 の 対 象 ではないが 感 染 の 危 険 に 対 し 有 効 であると 認 められる 場 合 は 労 災 保 険 の 給 付 の 対 象 となる * 労 災 保 険 における 取 扱 いについては 附 属 資 料 : 平 成 5 年 10 月 29 日 付 け 基 発 第 619 号 ( 平 成 22 年 9 月 9 日 付 け 基 発 0909 第 1 号 により 改 正 ) C 型 肝 炎 エイズ 及 び MRSA 感 染 症 に 係 る 労 災 保 険 における 取 扱 いについて を 参 考 にしてください C 型 肝 炎 エイズ 及 び MRSA 感 染 症 に 係 る 労 災 保 険 における 取 扱 いについて より 記 の2 エイズについて (3) 労 災 保 険 上 の 取 扱 い ( 略 ) 医 療 従 事 者 等 が HIV の 感 染 源 である HIV 保 有 者 の 血 液 等 に 業 務 上 接 触 した ことに 起 因 して HIV に 感 染 した 場 合 には 業 務 上 疾 病 として 取 り 扱 われるとと もに 医 学 上 必 要 な 治 療 は 保 険 給 付 の 対 象 となる イ 血 液 等 に 接 触 した 場 合 の 取 扱 い (イ)( 略 ) (ロ) 療 養 の 範 囲 a( 略 ) b( 略 ) c 受 傷 等 の 後 HIV 感 染 の 有 無 が 確 認 されるまでの 間 に 行 われた 抗 HIV 薬 の 投 与 は 受 傷 等 に 起 因 して 体 内 に 侵 入 した HIV の 増 殖 を 抑 制 し 感 染 を 防 ぐ 効 果 があることから 感 染 の 危 険 に 対 し 有 効 であると 認 められる 場 合 に は 療 養 の 範 囲 として 取 り 扱 う - 6 -
5 抗 HIV 薬 予 防 服 用 説 明 書 針 刺 し 事 故 などで HIV 汚 染 血 液 等 に 曝 露 した 場 合 の 感 染 のリスクは B 型 C 型 肝 炎 と 比 較 してかなり 低 く B 型 肝 炎 の 1/100 C 型 肝 炎 の 1/10 程 度 で 針 刺 し 事 故 におい ては 平 均 0.3% 粘 膜 の 曝 露 においては 平 均 0.09% 程 度 です また 感 染 直 後 に AZT を 服 用 することで そのリスクを 79% 低 下 させると 言 われています そして 現 在 行 わ れている 抗 HIV 薬 による 多 剤 併 用 療 法 を 行 うことで 曝 露 後 の 予 防 効 果 はさらに 高 まる と 考 えられています HIV 汚 染 血 液 等 の 曝 露 後 には 抗 HIV 薬 による 予 防 服 用 を 開 始 することとなります ( 準 備 されている 薬 剤 は 協 力 病 院 によって 異 なることがあります ) 予 防 服 用 期 間 について は 通 常 4 週 間 の 継 続 服 用 が 必 要 と 考 えられています 推 奨 される 選 択 薬 の 組 み 合 わせと 各 薬 剤 の 副 作 用 については 下 記 のとおりです 感 染 を 予 防 する 利 益 と 副 作 用 による 不 利 益 を 考 え 合 わせた 上 で 予 防 服 用 が 必 要 と 判 断 された 場 合 には 少 しでも 早 く 内 服 を 開 始 することをお 勧 めします 予 防 服 薬 に 用 いる 薬 剤 はキードラッグとバックボーンから1つずつ 選 択 する [ 推 奨 選 択 ] キードラッグ バックボーン RAL(アイセントレス)+TDF/FTC(ツルバダ) [ 代 替 選 択 ] 内 服 中 の 常 用 薬 との 相 互 作 用 投 与 後 の 副 作 用 等 にて 推 奨 薬 剤 のいずれか あるいは 両 方 が 使 用 できない 場 合 代 替 選 択 の HIV 薬 に 変 更 する 場 合 がある 以 下 に 代 替 選 択 として 考 えられる 主 な 薬 剤 をあげる RAL(アイセントレス)の 代 替 薬 剤 : DRV(プリジスタナイーブ)+RTV(ノービア) LPV/RTV(カレトラ) ATV(レイアタッツ)+RTV(ノービア) TDF/FTC(ツルバダ)の 代 替 薬 剤 : ABC/3TC(エプジコム) AZT/3TC(コンビビル) - 7 -
キードラッグ RAL(アイセントレス) or DRV(プリジスタナイーブ)+RTV(ノービア) or LPV/RTV(カレトラ) or ATV(レイアタッツ)+RTV(ノービア) + バックボーン TDF/FTC(ツルバダ) or ABC/3TC(エプジコム) or AZT/3TC(コンビビル) - 8 -
6 各 薬 剤 の 服 用 方 法 と 副 作 用 代 表 的 な 副 作 用 のみを 掲 載 している( 詳 細 は 添 付 文 書 参 照 ) [ 推 奨 選 択 ] <RAL> アイセントレス( 薄 橙 色 の 錠 剤 ) 通 常 1 回 1 錠 1 日 2 回 服 用 副 作 用 : 副 作 用 は 比 較 的 少 ない 従 来 の 抗 HIV 薬 と 比 較 しても 副 作 用 や 薬 物 相 互 作 用 が 少 ない <TDF/FTC> ツルバダ ( 青 色 の 錠 剤 ) 1 回 1 錠 1 日 1 回 服 用 TDF と FTC の 合 剤 である 副 作 用 は 各 薬 剤 説 明 を 参 照 <TDF> ビリアード ( 水 色 の 錠 剤 ) 1 回 1 錠 1 日 1 回 食 後 服 用 事 故 後 に 食 事 不 可 であれば 早 期 内 服 を 優 先 2 回 目 以 降 は 食 後 に 内 服 する 副 作 用 : 腹 部 膨 満 感 腎 機 能 障 害 <FTC> エムトリバ ( 青 と 白 のカプセル) 1 回 1 カプセル 1 日 1 回 服 用 副 作 用 : 副 作 用 は 比 較 的 少 ない B 型 肝 炎 患 者 の 服 用 にて 服 用 中 止 時 に 肝 炎 が 悪 化 することがある [ 代 替 選 択 ] <DRV>プリジスタナイーブ ( 暗 赤 色 の 錠 剤 ) 通 常 1 回 1 錠 (800mg) 1 日 1 回 食 後 服 用 *1 錠 400mgの 錠 剤 ( 薄 橙 色 の 錠 剤 )もある(1 回 2 錠 1 日 1 回 食 後 服 用 ) 必 ず RTV(ノービア 錠 )1 錠 と 併 用 する * 事 故 後 に 食 事 不 可 であれば 早 期 内 服 を 優 先 2 回 目 以 降 は 食 後 に 内 服 する 副 作 用 : 発 疹 嘔 気 下 痢 など <RTV> ノービア ( 白 色 の 錠 剤 ) 1 回 1 錠 1 日 1 回 服 用 DRV や 代 替 選 択 の ATV を 投 与 する 際 に 効 果 を 高 めるために 併 用 する 副 作 用 : 嘔 気 下 痢 など <LPV/RTV> カレトラ ( 黄 色 の 錠 剤 ) 通 常 1 回 2 錠 1 日 2 回 服 用 1 日 1 回 の 内 服 方 法 も 承 認 された (1 回 4 錠 1 日 1 回 服 用 ) 副 作 用 : 嘔 気 下 痢 発 疹 肝 機 能 障 害 高 脂 血 症 など <ATV> レイアタッツ ( 青 色 のカプセル) 1 回 2カプセル 1 日 1 回 服 用 本 剤 の 溶 解 には 胃 酸 の 存 在 が 重 要 であり 空 腹 時 における 内 服 では 血 中 濃 度 が 大 きく 低 下 してしまう また 制 酸 剤 服 用 中 の 場 合 には 血 中 濃 度 が 低 下 するため 使 用 できない 副 作 用 : 発 疹 嘔 気 黄 疸 腎 結 石 リポジストロフィー - 9 -
<ABC/3TC> エプジコム( 橙 色 の 錠 剤 ) 1 回 1 錠 1 日 1 回 服 用 ABC には 過 敏 症 の 問 題 があり 米 国 では 本 剤 投 与 前 には HLA-B5701 の 測 定 を 行 うこととなっている しかし 日 本 人 には HLA-B5701 保 有 者 は 少 ないといわれており 我 が 国 のガイドラインでは 投 与 前 の 測 定 は 義 務 付 けられていない B 型 肝 炎 患 者 の 服 用 にて 服 用 中 止 時 に 肝 炎 が 悪 化 することがある 副 作 用 : 発 疹 過 敏 症 <AZT/3TC> コンビビル( 白 色 の 錠 剤 ) 1 回 1 錠 1 日 2 回 服 用 B 型 肝 炎 患 者 の 服 用 にて 服 用 中 止 時 に 肝 炎 が 悪 化 することがある 副 作 用 : 食 欲 不 振 嘔 気 貧 血 など 食 事 中 または 食 直 後 に 服 用 する 薬 剤 - 10 -
7 抗 HIV 薬 予 防 服 用 同 意 書 および 依 頼 書 抗 HIV 薬 予 防 服 用 同 意 書 < 取 扱 注 意 > 私 は HIV 汚 染 血 液 等 曝 露 後 の 抗 HIV 薬 予 防 服 用 における 利 益 と 不 利 益 について 説 明 を 受 け 十 分 に 理 解 しました 私 は 自 らの 意 志 により 予 防 服 用 を 希 望 します エイズ 診 療 協 力 病 院 病 院 長 殿 年 月 日 本 人 署 名 抗 HIV 薬 予 防 投 与 依 頼 書 氏 名 生 年 月 日 年 月 日 被 汚 染 者 性 別 ( 男 女 ) 妊 娠 ( 有 無 ) 現 在 服 用 中 の 薬 剤 ( ) 発 生 日 時 年 月 日 時 分 事 故 状 況 事 故 内 容 針 刺 し 切 創 粘 膜 汚 染 皮 膚 汚 染 原 因 患 者 の 病 状 HIV 抗 体 陽 性 HIV 抗 体 陽 性 疑 ( 原 因 : ) 上 記 の 者 は HIV 感 染 のおそれがあり 予 防 服 用 についての 説 明 に 同 意 があったので 抗 HIV 薬 の 投 与 を 依 頼 する エイズ 診 療 協 力 病 院 医 療 機 関 所 在 地 病 院 長 殿 医 療 機 関 名 連 絡 先 年 月 日 時 分 担 当 医 署 名 - 11 -
附 属 資 料
健 疾 発 第 70 号 健 感 発 第 52 号 医 薬 安 発 第 139 号 平 成 13 年 9 月 27 日 各 都 道 府 県 衛 生 主 管 部 ( 局 ) 長 殿 厚 生 労 働 省 健 康 局 疾 病 対 策 課 長 健 康 局 結 核 感 染 症 課 長 医 薬 局 安 全 対 策 課 長 使 用 済 み 医 療 器 具 由 来 のHIV 等 の 感 染 予 防 について( 依 頼 ) 今 般 別 添 1のとおり 使 用 済 み 医 療 器 具 由 来 が 疑 われるHIV 感 染 症 例 がエイズ 動 向 委 員 会 に 報 告 されたところである 当 該 報 告 は 医 療 機 関 内 の 清 掃 業 従 事 者 へのHIV 感 染 の 可 能 性 を 指 摘 したものである が 本 件 に 限 らず 医 療 従 事 者 や 医 療 用 具 等 の 滅 菌 消 毒 業 務 に 従 事 している 者 等 にも 感 染 の 危 険 性 があること HIVのほか 肝 炎 ウイルス 等 による 感 染 の 危 険 性 も 考 えられるこ とから 当 該 従 事 者 の 健 康 を 確 保 する 観 点 から 幅 広 くこれらの 危 険 性 の 周 知 を 図 る 必 要 がある ついては 貴 職 におかれても 管 内 医 療 機 関 に 対 し 当 該 危 険 性 の 周 知 をお 願 いする 記 1 医 療 機 関 に 対 し 使 用 済 み 医 療 器 具 を 安 全 かつ 適 切 に 処 理 し 使 用 済 み 医 療 器 具 由 来 のHIVや 肝 炎 ウイルス 等 に 感 染 を 起 こさないための 万 全 の 対 策 を 取 るよう 周 知 する こと - 13 -
2 医 療 機 関 内 清 掃 業 従 事 者 等 が 使 用 済 み 医 療 器 具 の 取 扱 いによりHIVに 感 染 した 可 能 性 がある 場 合 ( 針 刺 しを 起 こした 場 合 等 )は エイズ 拠 点 病 院 等 医 療 機 関 との 緊 密 な 連 携 を 図 り 平 成 11 年 8 月 30 日 付 健 医 疾 発 第 90 号 医 薬 安 第 105 号 厚 生 省 保 健 医 療 局 エイズ 疾 病 対 策 課 長 厚 生 省 医 薬 安 全 局 安 全 対 策 課 長 連 名 通 知 針 刺 し 事 故 後 の HIV 感 染 防 止 体 制 の 整 備 について ( 別 添 2)に 基 づく 適 切 な 対 応 を 図 ること また 肝 炎 ウイルスの 感 染 事 故 予 防 及 び 事 故 の 場 合 の 対 応 等 については 平 成 8 年 1 月 5 日 付 健 医 感 発 第 1 号 厚 生 省 保 健 医 療 局 エイズ 結 核 感 染 症 課 長 通 知 ウイルス 肝 炎 感 染 防 止 対 策 の 啓 発 普 及 について ( 別 添 3)が 出 ているので 周 知 されたい 3 医 療 機 関 における 感 染 性 廃 棄 物 の 取 扱 いについて 平 成 4 年 8 月 13 日 付 衛 環 第 23 4 号 厚 生 省 生 活 衛 生 局 水 道 環 境 部 長 通 知 感 染 性 廃 棄 物 の 適 正 処 理 について を 別 添 4 として 添 付 するので 参 考 にされたいこと - 14 -
( 別 添 1) 医 療 機 関 内 の 清 掃 業 従 事 者 のエイズ 発 症 について 平 成 13 年 9 月 厚 生 労 働 省 健 康 局 疾 病 対 策 課 平 成 13 年 7 月 31 日 に 開 催 された 第 86 回 エイズ 動 向 委 員 会 ( 委 員 長 : 吉 倉 廣 国 立 感 染 症 研 究 所 長 )において 以 下 の 事 例 が 報 告 された 症 例 医 療 機 関 内 の 清 掃 業 従 事 中 に 使 用 済 み 医 療 器 具 による 針 刺 しを 頻 繁 に 起 こしていた5 7 歳 の 日 本 人 男 性 が エイズ 発 症 のために 都 内 病 院 を 受 診 した 感 染 原 因 当 該 男 性 がすでに 死 亡 しており 国 が 本 症 例 を 特 定 して 更 なる 調 査 を 行 うことは 困 難 な ため HIVの 感 染 経 路 を 針 刺 しとは 断 定 できなかった 今 後 の 対 応 医 療 機 関 内 の 清 掃 従 事 者 等 に 対 しては 使 用 済 み 医 療 器 具 によるHIV 感 染 の 危 険 性 に ついて 改 めて 周 知 徹 底 する 必 要 があると 考 えられる 1 医 療 機 関 内 清 掃 業 者 等 への 更 なる 周 知 : 使 用 済 み 医 療 器 具 による 針 刺 しがあった 場 合 は HIV 感 染 の 危 険 性 があり その 際 は 初 期 対 応 が 必 要 なことについて 講 習 会 等 を 通 して 更 なる 周 知 をお 願 いする なお 初 期 対 応 としては 国 立 国 際 医 療 センターエイズ 治 療 研 究 開 発 センター / 医 療 事 故 後 フローチャート( 別 添 2)を 参 考 にされたい 2 医 療 従 事 者 等 に 対 する 呼 びかけ: 清 掃 業 者 等 が 針 刺 しを 起 こさないような 使 用 済 み 医 療 器 具 の 取 扱 いを 呼 びかける 3エイズ 動 向 委 員 会 への 報 告 : 以 上 の 対 応 後 の 経 過 をまとめ 第 87 回 エイズ 動 向 委 員 会 ( 本 年 10 月 23 日 開 催 予 定 )にて 報 告 する - 15 -
C 型 肝 炎 エイズ 及 び MRSA 感 染 症 に 係 る 労 災 保 険 における 取 扱 いについて( 抄 ) ( 平 成 5 年 10 月 29 日 付 け 基 発 第 619 号 ) 改 正 平 成 22 年 9 月 9 日 け 基 発 0909 第 1 号 近 年 医 療 従 事 者 等 の C 型 肝 炎 や 我 が 国 において 感 染 者 が 増 加 している 後 天 性 免 疫 不 全 症 候 群 ( 以 下 エイズ という ) さらにはメチシリン 耐 性 黄 色 ブドウ 球 菌 ( 以 下 MRSA という ) 感 染 症 など 細 菌 ウイルス 等 の 病 原 体 による 感 染 症 について 社 会 的 関 心 が 高 まっていることから これらの 感 染 症 に 係 る 労 災 請 求 事 案 を 処 理 するため 今 般 標 記 について 下 記 のとおり 取 りまとめたので 今 度 の 取 扱 いに 遺 漏 のないよう 万 全 を 期 されたい 記 1 C 型 肝 炎 について ( 略 ) (3) 労 災 保 険 上 の 扱 い イ 血 液 等 に 接 触 した 場 合 の 取 扱 い ( 略 ) (イ) 血 液 等 に 接 触 の 機 会 ( 略 ) (ロ) 療 養 の 範 囲 a ( 略 ) b 受 傷 等 の 後 HCV 抗 体 検 査 等 の 検 査 ( 受 傷 等 の 直 後 に 行 われる 検 査 を 含 む )が 行 われた 場 合 には 当 該 検 査 結 果 が 業 務 上 外 の 認 定 に 当 たっての 基 礎 資 料 として 必 要 な 場 合 もあることから 当 該 検 査 は 業 務 上 の 負 傷 に 対 する 治 療 上 必 要 な 検 査 として 保 険 給 付 の 対 象 に 含 めるものとして 取 り 扱 うこととするが 当 該 検 査 は 医 師 がその 必 要 性 を 認 めた 場 合 に 限 られるものである なお 受 傷 等 以 前 から 既 に HCV に 感 染 していたことが 判 明 している 場 合 のほか 受 傷 等 の 直 後 に 行 われた 検 査 により 当 該 受 傷 等 以 前 から HCV に 感 染 していたことが 明 らかとなった 場 合 には その 後 の 検 査 は 療 養 の 範 囲 には 含 まれないものである ( 略 ) 2 エイズについて (1) 法 令 上 の 取 扱 い エイズは その 原 因 となる 病 原 体 がウイルスであり また 後 記 (2)のロに 示 すとおり 伝 染 性 疾 患 で ある したがって 業 務 に 起 因 する 医 療 従 事 者 等 のエイズについては 186 号 通 達 の 記 の 第 2 の 2 の(6)の イの(ハ) 及 び(ニ)に 示 す ウイルス 性 肝 炎 等 に 含 まれ 労 基 則 別 表 第 1 の 2 第 6 号 1 又 は 5 に 定 め る 業 務 上 の 疾 病 に 該 当 するものである (2)エイズに 係 る 医 学 的 事 項 イ エイズの 病 像 等 エイズとは ヒト 免 疫 不 全 ウイルス( 以 下 HIV という )によって 体 の 免 疫 機 構 が 破 壊 され 日 和 見 感 染 症 ( 健 康 な 状 態 では 通 常 はり 患 しないが 免 疫 力 が 低 下 したときにしばしばり 患 する 感 染 症 ) 悪 性 腫 瘍 神 経 症 状 等 を 伴 うに 至 った 病 態 をいうものである また HIV の 感 染 によって 引 き 起 こされる 初 期 症 状 から これに 続 く 無 症 状 の 状 態 ( 以 下 無 症 候 性 キャリア という ) その 後 の 発 熱 下 痢 倦 怠 感 等 の 持 続 状 態 ( エイズ 関 連 症 候 群 ) さらに 病 期 が 進 行 してエイズと 診 断 される 病 態 までの 全 経 過 をまとめて HIV 感 染 症 という - 16 -
ロ 感 染 源 感 染 経 路 HIV は エイズ 患 者 及 び HIV 感 染 者 ( 以 下 HIV 保 有 者 という )の 血 液 等 に 含 まれているとされて いるが 感 染 源 として 重 要 なものは 血 液 精 液 及 び 膣 分 泌 液 である したがって HIV の 感 染 経 路 は HIV 保 有 者 との 性 的 接 触 による 感 染 HIV に 汚 染 された 血 液 を 媒 介 した 感 染 ( 輸 血 注 射 針 等 による) 及 び 母 子 感 染 がある しかし 唾 液 感 染 や 昆 虫 媒 介 による 感 染 はなく また HIV に 汚 染 された 血 液 に 健 常 な 皮 膚 が 触 れ ただけでは 感 染 しないとされている ハ 潜 伏 期 間 HIV 感 染 後 エイズ 発 症 までの 潜 伏 期 間 については 3 年 以 内 が 約 10% 5 年 以 内 が 約 30% 8 年 以 内 が 約 50%であるといわれ 15 年 以 内 に 感 染 者 のほとんどがエイズを 発 症 すると 推 定 されている ニ 症 状 等 (イ) 初 期 症 状 HIV に 感 染 しても 一 般 的 には 無 症 状 であるが 一 部 の 感 染 者 は 感 染 の 2 週 間 から 8 週 間 後 に 発 熱 下 痢 食 欲 不 振 筋 関 節 痛 等 の 感 冒 に 似 た 急 性 症 状 を 呈 することがあるといわれている この 急 性 症 状 は 2 週 間 から 3 週 間 続 いた 後 自 然 に 消 退 して 無 症 候 性 キャリアになるとされてい る (ロ)エイズ 関 連 症 候 群 無 症 候 性 キャリアの 時 期 を 数 年 経 て その 後 全 身 性 のリンパ 節 腫 脹 1 か 月 以 上 続 く 発 熱 や 下 痢 10% 以 上 の 体 重 減 少 倦 怠 感 等 の 症 状 が 現 れるとされており この 持 続 状 態 を エイズ 関 連 症 候 群 と 呼 んでいる なお このエイズ 関 連 症 候 群 には 軽 度 の 症 状 からエイズに 近 い 病 態 までが 含 まれるものである (ハ)エイズ エイズ 関 連 症 候 群 がさらに 進 行 して 免 疫 機 能 が 極 端 に 低 下 すると カリニ 肺 炎 などの 日 和 見 感 染 症 カポジ 肉 腫 などの 悪 性 腫 瘍 あるいは HIV 脳 症 による 神 経 症 状 などを 発 症 するとされている こ の 時 期 が エイズ と 呼 ばれる 病 態 で 複 数 の 日 和 見 感 染 症 を 併 発 することが 多 いとされている なお エイズの 予 後 は 不 良 であり 日 和 見 感 染 症 に 対 する 治 療 により 一 時 的 に 好 転 しても 再 発 を 繰 り 返 しやすく あるいは 他 の 日 和 見 感 染 症 を 合 併 して 次 第 に 増 悪 し エイズの 発 症 から 3 年 以 内 に 大 部 分 の 患 者 が 死 亡 するといわれている ホ 診 断 HIV 感 染 症 の 診 断 は 血 液 中 の HIV 抗 体 を 検 出 する 検 査 により 行 われるが ゼラチン 粒 子 凝 集 法 (PA 法 ) 等 のスクリーニング 検 査 により HIV 抗 体 が 陽 性 と 判 定 された 血 液 については さらに 精 度 の 高 いウ エスタンブロット 法 等 による 確 認 検 査 が 行 われ これが 陽 性 であれば HIV 感 染 症 と 診 断 される なお HIV 抗 体 が 陽 性 となるのは 一 般 に HⅣ 感 染 の 6 週 間 から 8 週 間 後 であるといわれている (3) 労 災 保 険 上 の 取 扱 い エイズについては 現 在 HIV 感 染 が 判 明 した 段 階 で 専 門 医 の 管 理 下 に 置 かれ 定 期 的 な 検 査 とと もに 免 疫 機 能 の 状 態 をみて HIV の 増 殖 を 遅 らせる 薬 剤 の 投 与 が 行 われることから HIV 感 染 をもっ て 療 養 を 要 する 状 態 とみるものである したがって 医 療 従 事 者 等 が HIV の 感 染 源 である HIV 保 有 者 の 血 液 等 に 業 務 上 接 触 したことに 起 因 して HIV に 感 染 した 場 合 には 業 務 上 疾 病 として 取 り 扱 われるとともに 医 学 上 必 要 な 治 療 は 保 険 給 付 の 対 象 となる イ 血 液 等 に 接 触 した 場 合 の 取 扱 い (イ) 血 液 等 への 接 触 の 機 会 医 療 従 事 者 等 が HIV に 汚 染 された 血 液 等 に 業 務 上 接 触 する 機 会 としては 次 のような 場 合 が 考 え られ これらは 業 務 上 の 負 傷 として 取 り 扱 われる - 17 -
a HIV に 汚 染 された 血 液 等 を 含 む 注 射 針 等 ( 感 染 性 廃 棄 物 を 含 む )により 手 指 等 を 受 傷 したとき b 既 存 の 負 傷 部 位 ( 業 務 外 の 事 由 によるものを 含 む ) 眼 球 等 に HIV に 汚 染 された 血 液 等 が 付 着 し たとき (ロ) 療 養 の 範 囲 a 前 記 (イ)に 掲 げる 血 液 等 への 接 触 ( 以 下 記 の 2 において 受 傷 等 という )の 後 当 該 受 傷 等 の 部 位 に 洗 浄 消 毒 等 の 処 置 が 行 われた 場 合 には 当 該 処 置 は 業 務 上 の 負 傷 に 対 する 治 療 として 取 り 扱 われるものであり 当 然 療 養 の 範 囲 に 含 まれるものである b 受 傷 等 の 後 に 行 われた HIV 抗 体 検 査 等 の 検 査 ( 受 傷 等 の 直 後 に 行 われる 検 査 を 含 む )については 前 記 1 の(3)のイの(ロ)の b と 同 様 に 取 り 扱 う c 受 傷 等 の 後 HIV 感 染 の 有 無 が 確 認 されるまでの 間 に 行 われた 抗 HIV 薬 の 投 与 は 受 傷 等 に 起 因 して 体 内 に 侵 入 した HIV の 増 殖 を 抑 制 し 感 染 を 防 ぐ 効 果 があることから 感 染 の 危 険 に 対 し 有 効 である と 認 められる 場 合 には 療 養 の 範 囲 として 取 り 扱 う ロ HIV 感 染 が 確 認 された 場 合 の 取 扱 い (イ) 業 務 起 因 性 の 判 断 原 則 として 次 に 掲 げる 要 件 をすべて 満 たすものについては 業 務 に 起 因 するものと 判 断 される a HIV に 汚 染 された 血 液 等 を 取 り 扱 う 業 務 に 従 事 し かつ 当 該 血 液 等 に 接 触 した 事 実 が 認 められ ること( 前 記 イの(イ) 参 照 ) b HIV に 感 染 したと 推 定 される 時 期 から 6 週 間 ないし 8 週 間 を 経 て HⅣ 抗 体 が 陽 性 と 診 断 されている こと( 前 記 (2)のホ 参 照 ) c 業 務 以 外 の 原 因 によるものでないこと (ロ) 療 養 の 範 囲 前 記 (イ)の 業 務 起 因 性 が 認 められる 場 合 であって HIV 抗 体 検 査 等 の 検 査 により HIV に 感 染 したこ とが 明 らかとなった 以 後 に 行 われる 検 査 及 び HIV 感 染 症 に 対 する 治 療 については 業 務 上 疾 病 に 対 す る 療 養 の 範 囲 に 含 まれるものである 3 MRSA 感 染 症 について ( 略 ) 4 報 告 等 (1) エイズについて 労 災 保 険 給 付 の 請 求 が 行 われた 場 合 には 補 504 労 災 保 険 の 情 報 の 速 報 の 1 の(1)のロの(ニ)に 該 当 する 疾 病 として 速 やかに 本 省 あて 報 告 すること (2) C 型 肝 炎 ( 他 のウイルス 肝 炎 を 含 む ) エイズ 及 び MRSA 感 染 症 に 係 る 事 案 に 関 し その 業 務 起 因 性 について 疑 義 がある 場 合 には 関 係 資 料 を 添 えて 本 省 あて 協 議 すること - 18 -