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税 源 浸 食 と 利 益 移 転 (BEPS)に 係 る 我 が 国 の 対 応 に 関 する 考 察 (Ⅰ) 居 波 邦 泰 税 務 大 学 校 研 究 部 教 育 官

180 要 約 1. 研 究 の 目 的 ( 問 題 の 所 在 ) BEPS とは Base Erosion and Profit Shifting の 頭 文 字 による 略 語 であ り 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 の 訳 語 があてがわれているものである その 概 念 や 射 程 としては 国 際 的 にも 国 内 的 にも 明 確 な 定 義 が 置 かれてい るわけではないものの 一 般 的 に 多 国 籍 企 業 等 が グループ 関 連 者 間 にお ける 国 際 取 引 により その 所 得 を 高 課 税 の 法 的 管 轄 から 無 税 又 は 低 課 税 の 法 的 管 轄 に 移 転 させることで 国 際 的 二 重 非 課 税 を 生 じさせるもの と 言 える のではないかと 考 える もともと BEPS は 2012 年 6 月 の OECD 租 税 委 員 会 本 会 合 において 米 国 から 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 が 法 人 税 収 を 著 しく 喪 失 させている 点 を 憂 慮 し ているとの 問 題 提 起 がなされたことから OECD においてワーキング パー ティとは 別 に BEPS プロジェクト として 開 始 されたものであると 聞 く BEPS プロジェクトは 経 済 実 態 と 課 税 実 態 の 乖 離 を 防 止 する 方 策 を 戦 略 的 かつ 分 野 横 断 的 に 検 討 し 国 際 的 に 協 調 された 対 応 を 促 すものとして 発 足 したものであり わずか 半 年 後 の 2013 年 2 月 には 税 源 浸 食 に 対 する 対 応 の 方 向 性 を 示 した OECD 報 告 書 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 への 対 応 (Addressing Base Erosion and Profit Shifting) ( 以 下 BEPS 報 告 書 という )が 公 表 されたところである このBEPS 報 告 書 で OECD は BEPS の 多 くは 軽 課 税 国 への 無 形 資 産 の 移 転 ハイブリッド ミスマッチの 利 用 等 を 組 み 合 わせ 税 率 の 低 い 国 地 域 に 利 益 を 移 転 することで 生 じている と 分 析 し 多 くの BEPS の 手 法 は 合 法 であり 国 際 課 税 原 則 を 見 直 す 必 要 性 がある としている 多 国 籍 企 業 の 具 体 的 な 税 源 浸 食 (BEPS)スキームとしては 米 国 や 英 国 の 議 会 公 聴 会 で 聴 取 されたものとして Google の ダブルアイリッシュ&ダッチサンド ウイッチ 等 が 挙 げられている この 多 国 籍 企 業 の BEPS に 対 して 効 果 的 な 歯 止 めをかけるために 2013

181 年 6 月 の OECD 租 税 委 員 会 本 会 合 において 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 に 係 る 行 動 計 画 (Action Plan on Base Erosion and Profit Shifting) ( 以 下 BEPS 行 動 計 画 という )が 承 認 され このなかで 15 のアクションプランが 提 言 されたところである 我 が 国 においても 多 国 籍 企 業 による 所 得 の 創 出 活 動 の 行 われる 法 的 管 轄 との 不 整 合 を 生 じさせる 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 については 現 行 の 国 際 課 税 原 則 に 変 更 を 加 えることも 視 野 に 入 れての 検 討 が 進 められていくものと 思 慮 さ れ 以 下 に 今 後 の BEPS の 検 討 に 関 して 必 要 と 思 われる 事 項 についての 考 察 を 行 うものである 2. 研 究 の 概 要 (1) BEPS 行 動 計 画 の 15 のアクションプラン イ BEPS 行 動 計 画 における 基 本 的 スタンス 数 多 くの 状 況 において 国 境 を 越 える 利 益 への 課 税 を 規 律 している 既 存 の 国 内 法 及 び 条 約 ルールは 適 切 な 結 果 を 生 じさせており BEPS を 引 き 起 こしてはいない これらのアクションは 直 接 的 には 国 境 を 越 える 所 得 の 課 税 権 の 配 分 に 関 して 既 存 の 国 際 基 準 を 変 更 するこ とを 目 的 としない このアクションプランは 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 を 防 止 し 対 処 するこ とを 意 図 した 濫 用 防 止 規 定 を 含 め 最 近 のメカニズムの 根 本 的 な 変 更 と 新 しいコンセンサスベースのアプローチの 採 用 を 要 請 する 新 しい 国 際 基 準 が 法 人 所 得 税 制 の 一 貫 性 を 国 際 レベルで 確 保 する よう 立 案 されなくてはならない 政 府 の 間 には 利 益 に 係 る 定 式 配 分 方 式 システム への 移 行 は 実 行 可 能 な 方 法 ではないとのコンセンサスがある ロ BEPS 行 動 計 画 の 承 認 公 表 上 記 のとおり 2013 年 6 月 に OECD の 租 税 委 員 会 の 本 会 合 で BEPS 行 動 計 画 が 承 認 され 7 月 の G20 蔵 相 会 合 で 公 表 された これにより

182 15 に 及 ぶ BEPS のアクションプランが 打 ち 出 された (2)BEPS に 係 る 検 討 の 前 提 として 必 要 とされるべき 事 項 最 初 に OECD の BEPS のアクションプランに 対 しての 検 討 を 行 う 前 に 以 下 のような その 前 提 としての 認 識 並 びに あることが 望 まし いコンセンサス の 必 要 性 を 考 える イ BEPS に 係 る 検 討 の 前 提 として 認 識 しておくべき 事 項 (イ) 国 際 的 課 税 権 の 確 保 に 対 する 諸 外 国 の 非 対 称 性 課 税 権 の 確 保 に 対 する 諸 外 国 のスタンスは その 国 の 置 かれたポジ ション 等 ( 国 の 規 模 や 経 済 的 政 治 的 社 会 的 な 立 場 等 )によって 大 きく 異 なるものである 無 形 資 産 による 所 得 の 国 外 流 出 の 取 扱 いがその 一 例 になるが 先 進 国 新 興 国 (BRICs) 途 上 国 そしてタックス ヘイブンの 国 地 域 で そのスタンスは 大 きく 異 なるわけであり パテントボックス 制 度 の 存 否 等 をみても 先 進 国 の 間 でも 米 国 ドイツと 英 国 フランス オランダなどで 大 きく 異 なっている 加 えて 国 際 的 に 影 響 力 の 大 きい 先 進 国 の 行 動 を 認 識 する 際 には その 国 の 中 においても 政 党 や 経 済 主 体 等 により 方 向 が 全 く 異 なるこ とに 留 意 しなければならない(ex. 米 国 の 共 和 党 と 民 主 党 など) した がって 一 つの 国 が 必 ずしも 一 つの 方 向 に 向 かっているわけではない ことを 十 分 に 認 識 すべきである (ロ) タックス ヘイブンの 国 地 域 への 認 識 タックス ヘイブンの 国 地 域 については 形 式 的 にタックス ヘ イブンであることが 明 確 であるピュア タックス ヘイブンよりも OECD や EU の 加 盟 国 でタックス ヘイブンの 特 徴 を 有 している 国 々 により 注 意 すべきである これらの 国 は BEPS への 対 応 策 への 強 い 協 力 を 宣 言 しながら 実 態 として 自 身 は BEPS となる 行 動 を 取 り 続 け ることが 想 定 される

183 (ハ) 国 際 協 調 性 の 必 要 性 BEPS 報 告 書 では 一 部 の 国 が 協 調 せずに 基 準 を 満 たさない 場 合 負 の 外 部 効 果 や 底 辺 への 競 争 を 生 じさせる と 述 べており BEPS の 効 果 的 な 対 応 のためには 国 際 的 な 協 調 が 一 部 の 抜 け 駆 けを 認 めること なく 必 要 であるとしている ロ BEPS に 係 る 検 討 の 前 提 として コンセンサスがあることが 望 ましい 事 項 (イ) 低 課 税 国 の 数 %の 実 効 税 率 との 差 と 国 際 的 二 重 非 課 税 BEPS に 係 る 国 際 的 二 重 非 課 税 として 国 外 流 出 した 所 得 について その 流 出 先 の 国 地 域 の 税 率 がゼロであり 事 実 上 課 税 がなされない 場 合 が 該 当 することには 一 般 に 異 論 はないであろうが これに 対 し 低 課 税 国 の 実 効 税 率 が 例 えば 1~2%である 場 合 には BEPS における 対 応 策 の 対 象 にしないということであれば BEPS への 対 応 策 の 実 効 性 はほとんど 失 われてしまうことが 十 分 に 予 想 される 低 課 税 国 における 優 遇 税 制 の 適 用 後 の 数 %の 実 効 税 率 との 差 に 対 し て これも 国 際 的 二 重 非 課 税 として BEPS の 取 扱 いを 適 用 するかに ついては 今 後 先 進 諸 国 間 においても 大 きく 意 見 が 分 かれるのでは ないかと 思 慮 される (ロ) 法 的 管 轄 への 所 得 帰 属 の 在 り 方 1 - 法 的 所 有 権 と 経 済 的 所 有 権 BEPS における 法 的 管 轄 への 所 得 帰 属 の 基 本 的 な 考 え 方 としては BEPS 行 動 計 画 のなかで 以 下 のような 指 摘 が 数 度 なされており 所 得 の 帰 属 については 所 得 を 生 み 出 す 経 済 的 な 活 動 に 対 し より 緊 密 な 関 係 を 有 すること が 必 要 と 考 える 既 存 の 国 内 的 及 び 国 際 的 な 課 税 ルールは 所 得 を 生 み 出 す 経 済 的 な 活 動 と 所 得 の 配 分 とがより 緊 密 な 関 係 に 調 整 されるために 修 正 され るべきである: Existing domestic and international tax rules should be modified in order to more closely align the allocation of income

184 with the economic activity that generates that income: (ハ) 法 的 管 轄 への 所 得 帰 属 の 在 り 方 2 - リスク 及 び 機 能 への 所 得 の 帰 属 このことについては 後 述 の 無 形 資 産 修 正 ドラフトにおいても リ スク 及 び 機 能 を 独 立 企 業 の 第 三 者 が 提 供 した 場 合 に 収 受 する 対 価 又 は 補 償 の 額 を 限 度 として 所 得 の 移 転 を 認 めることとすべきである とする 見 直 しが 示 されているところである (ニ) ベネフィシャル オーナーの 概 念 及 び 究 極 的 オーナーの 概 念 ベネフィシャル オーナーの 概 念 について BEPS への 取 組 みに 関 して 一 定 の 国 際 的 コンセンサスが 得 られるのであれば 所 得 の 本 来 帰 属 すべき 法 的 管 轄 の 判 定 において 有 効 に 活 用 できるものと 考 えられ る 加 えて ベネフィシャル オーナーの 概 念 と 重 なるものと 思 われる が 帰 属 の 明 確 化 を 図 る 観 点 で 多 国 籍 企 業 においてグループ 全 体 を 最 終 的 に 統 括 している 企 業 を 多 国 籍 企 業 グループの 究 極 的 オーナ ー として この 真 のグループ 統 括 企 業 に 対 してグループの 超 過 利 益 を 帰 属 させることも 所 得 の 本 来 帰 属 すべき 法 的 管 轄 の 判 定 における 一 つの 考 え 方 であると 思 われる (3)BEPS 行 動 計 画 に 係 る OECD のディスカッション ドラフトへの 考 察 OECD は BEPS 行 動 計 画 に 関 して 2014 年 9 月 が 期 限 のものについて 以 下 のディスカッション ドラフトを 公 表 した これらについては コメ ントを 収 集 してパブリック コンサルテーションを 開 催 し そこで 修 正 さ れたものを 正 式 案 として 同 6 月 の 租 税 委 員 会 本 会 合 の 承 認 を 得 て これ らについて 同 9 月 に BEPS への 取 組 みの 関 係 各 国 へ 勧 告 等 を 行 うこととし ている

185 公 表 日 No ディスカッション ドラフトのタイトル 2013.7.30 AP 8 無 形 資 産 の 移 転 価 格 に 関 する 修 正 ディスカッショ ン ドラフト 2014.1.30 AP13 移 転 価 格 文 書 化 と CbC Reporting に 関 するディス カッション ドラフト 2014.3.14 AP 6 不 適 切 な 状 況 における 租 税 条 約 の 特 典 付 与 の 防 止 2014.3.19 AP 2 ハイブリッド ミスマッチ アレンジメントの 効 果 の 無 効 化 2014.3.24 AP 1 デジタル 経 済 に 係 る 課 税 上 の 課 題 への 対 応 イ AP 8 移 転 価 格 - 無 形 資 産 の 取 扱 い (イ) 無 形 資 産 の 移 転 価 格 に 関 する 修 正 ディスカッション ドラフト の 内 容 無 形 資 産 の 移 転 価 格 に 関 する 修 正 ディスカッション ドラフト ( 以 下 無 形 資 産 修 正 ドラフト という )では OECD 移 転 価 格 ガ イドライン 第 6 章 の 全 面 改 訂 を 予 定 しており そのなかでは 1 無 形 資 産 の 特 定 については その 概 念 を 示 すに 留 め 2 無 形 資 産 に 関 連 するリターン の 関 連 者 間 での 配 分 については その 法 的 所 有 ではな く 経 済 的 実 質 に 重 点 を 置 いて 無 形 資 産 の 開 発 改 良 維 持 及 び 保 護 が 最 終 的 なリターンの 配 分 への 重 要 な 要 因 になることとし 3 無 形 資 産 に 係 る 移 転 価 格 算 定 方 法 としては 会 計 上 の 評 価 方 法 である DCF 法 の 利 用 に 十 分 な 配 慮 をした 上 で 道 を 開 くものとされた 無 形 資 産 修 正 ドラフトでは その 取 扱 いを 明 確 化 するための 27 事 例 が 用 意 されているが これらはタイトルも 図 もなく 文 書 だけである ので これらにタイトルを 付 けて 図 解 したものの 作 成 を 行 った (ロ) 無 形 資 産 修 正 ドラフトへの 考 察 本 ドラフトは BEPS の 取 組 み 以 前 の 2012 年 6 月 6 日 に 公 表 され た OECD 移 転 価 格 ガイドライン 第 6 章 に 関 するディスカッション

186 ドラフト を 踏 まえて 1 年 以 上 の 検 討 を 重 ねて 発 出 されたものであ り 上 記 1~3の 取 扱 いが 正 式 にガイドライン 第 6 章 に 採 用 されるも のと 思 慮 され 個 人 的 にもこれは 妥 当 な 取 扱 いであると 強 く 認 識 をす るところである 今 後 9 月 の 勧 告 による 制 度 改 正 ( 新 文 書 化 及 び CbC Reporting を 含 む)を 踏 まえて 国 際 的 事 業 再 編 等 に 移 転 価 格 税 制 を 的 確 に 適 用 す るための 執 行 体 制 や 通 達 (ガイドライン) 等 を 検 討 することが 必 要 に なるものと 考 える ロ AP13 移 転 価 格 - 文 書 化 と CbC Reporting (イ) 移 転 価 格 文 書 化 と CbC Reporting に 関 するディスカッション ド ラフト の 内 容 移 転 価 格 文 書 化 と CbC Reporting に 関 するディスカッション ド ラフト ( 以 下 文 書 化 と CbC Reporting ドラフト という )では OECD 移 転 価 格 ガイドライン 第 5 章 の 全 面 改 訂 を 予 定 しており 移 転 価 格 文 書 化 で 税 務 当 局 に 開 示 する 文 書 について マスターファイル を 究 極 の 親 会 社 (ultimate parent) が 提 出 し ローカルファイル を 各 国 の 関 連 事 業 体 が 提 出 することとされた また CbC Reporting については マスターファイルの 一 部 とし て 究 極 の 親 会 社 が 代 表 して 提 出 することとされた (ロ) 文 書 化 と CbC Reporting ドラフトへの 考 察 我 が 国 は 移 転 価 格 文 書 化 について 間 接 的 にしか 法 的 義 務 を 課 してい ない 上 記 のマスターファイルやローカルファイルは そのようなこ れまでの 文 書 化 の 延 長 線 上 での 対 応 も 考 えられるが CbC Reporting については 直 接 的 な 法 的 義 務 を 新 設 しなければ 多 国 籍 企 業 から 提 出 さ せることは 困 難 であると 思 慮 する なお 我 が 国 のビジネス 界 は 現 状 において CbC Reporting に 対 し て 経 団 連 から OECD に 提 出 された 意 見 書 をみるに 拒 絶 的 な 反 応 を 極 めて 強 く 示 している 最 終 的 にどのような CbC Reporting の 様 式

187 になり 我 が 国 でどのように 導 入 されるのかについて 十 分 に 留 意 する 必 要 がある ハ AP 6 租 税 条 約 濫 用 の 防 止 (イ) 不 適 切 な 状 況 における 租 税 条 約 の 特 典 付 与 の 防 止 の 内 容 不 適 切 な 状 況 における 租 税 条 約 の 特 典 付 与 の 防 止 ( 以 下 租 税 条 約 濫 用 防 止 ドラフト という )では トリーティ ショッピング( 条 約 漁 り)に 関 して 租 税 条 約 自 体 の 対 応 として 特 典 制 限 条 項 (Limitation-on-benefit Provision) 及 び 主 要 目 的 テスト(Main Purpose Test) を OECD モデル 租 税 条 約 に 導 入 し 前 者 には 能 動 的 事 業 活 動 基 準 及 び 権 限 ある 当 局 による 認 定 を 盛 り 込 むことが 提 案 された また 国 内 税 法 に 関 する 対 応 としては OECD モデル 租 税 条 約 1 条 3 項 で セービング クローズ を 導 入 することが 提 案 された (ロ) 租 税 条 約 濫 用 防 止 ドラフトへの 考 察 トリーティ ショッピング 等 の 租 税 条 約 濫 用 に 対 する BEPS の 取 組 みとして 本 ドラフトは 既 に 米 国 モデル 租 税 条 約 等 で 導 入 がなされ ている LOB 条 項 主 要 目 的 テスト セービング クローズ 等 を OECD モデル 租 税 条 約 に 導 入 することを 提 案 したものであり BEPS へのより 具 体 的 かつ 効 果 的 な 対 応 は その 他 の BEPS 行 動 計 画 AP2 AP3 AP7 AP8 AP9 AP10 等 で 行 うことがより 妥 当 であるとの 認 識 が 覗 われるものであると 思 慮 する( 租 税 条 約 での BEPS の 防 止 は 大 枠 の 取 扱 いかと 考 えられ これで 率 先 して 防 止 を 図 るものとの 認 識 は 薄 いのではないかと 思 慮 する ) ただし BEPS に より 効 果 的 な LOB 条 項 としては 制 限 的 LOB 条 項 ではなく 軽 減 税 率 も 対 象 となる 包 括 的 LOB 条 項 がより 望 ましいものと 考 える また 経 済 的 実 質 の 捉 え 方 としては 取 引 ではなく 事 業 体 自 体 にその 収 益 を 得 る 実 体 がなければ 租 税 特 典 を 認 めないことが BEPS へのより 効 果 的 な 対 応 ではないかと 考 える

188 ニ AP 2 ハイブリッド ミスマッチ アレンジメントの 効 果 の 無 効 化 (イ) 不 適 切 な 状 況 における 租 税 条 約 の 特 典 付 与 の 防 止 の 内 容 ハイブリッド ミスマッチ アレンジメントの 効 果 の 無 効 化 ( 以 下 ハイブリッド ミスマッチ ドラフト という )では その 勧 告 案 をで 示 した 一 覧 表 にまとめている これによれば ハイブリッド ミスマッチ アレンジメントは 1 ハイブリッド 金 融 商 品 及 び 譲 渡 2ハイブリッド 事 業 体 支 払 3リバ ース ハイブリッド 及 びインポーテッド ミスマッチに 類 型 化 され これらの 分 類 ごとに 国 内 法 の 改 正 に 係 る 勧 告 と リンキング ル ールに 係 る 勧 告 が 提 案 された リンキング ルールでは 第 一 義 的 対 応 と 防 御 的 対 応 により 国 際 的 二 重 課 税 が 排 除 されるよう 配 慮 がなされた (ロ) ハイブリッド ミスマッチ ドラフトへの 考 察 ハイブリッド ミスマッチ ドラフトでは ハイブリッド ミスマッ チ アレンジメントを 上 記 のように 類 型 化 し その 分 類 ごとに 取 扱 い を 勧 告 するというものになっている これについて 1すべてのハイブリッド ミスマッチ アレンジメ ントが 上 記 に 分 類 されるものであるか 2 解 釈 で 分 類 が 国 によって 異 なることは 生 じないのか 等 の 疑 問 を 感 じるところである AP8 の 移 転 価 格 における 無 形 資 産 に 関 しては そのようなことが 生 じないよう 無 形 資 産 の 定 義 を 置 くことを 避 けたのであるが これについては 将 来 的 な 見 直 しの 必 要 性 を 感 じるところである 個 人 的 には ハイブリッド ミスマッチ アレンジメントについて 経 済 的 実 体 から 判 定 して 所 得 の 帰 属 について 以 下 の 取 扱 いが 望 ましい のではないかと 思 慮 する

189 低 課 税 国 の 数 %の 実 効 税 率 との 差 についても 国 際 的 二 重 非 課 税 と 認 識 すること 居 住 地 国 及 び 源 泉 地 国 への 所 得 の 帰 属 を 経 済 実 質 的 に 判 定 し て 源 泉 地 国 への 帰 属 が 明 確 な 所 得 については タイブレイク ルールにおいて 源 泉 地 国 に 課 税 の 優 先 権 を 与 えること ホ AP 1 電 子 商 取 引 課 税 (イ) デジタル 経 済 に 係 る 課 税 上 の 課 題 への 対 応 の 内 容 デジタル 経 済 に 係 る 課 税 上 の 課 題 への 対 応 ( 以 下 電 子 商 取 引 課 税 ドラフト という )については 2014 年 9 月 に 勧 告 ではなく 報 告 書 が 公 表 されることが 予 定 されているものである 本 ドラフ トでは 課 税 国 境 を 越 えるデジタル 経 済 の 背 景 並 びに 法 人 税 及 び 消 費 税 の 在 り 方 についての 研 究 分 析 がなされ 現 状 での 潜 在 的 結 論 (オ プション)が 提 示 されているものである 本 ドラフトでは 実 物 経 済 とデジタル 経 済 で 同 様 の 状 態 の 取 引 に ついては 同 レベルでの 課 税 がなされるべきであるとして そのため に 仮 想 PE の 創 設 デジタル 経 済 対 象 の 源 泉 税 の 創 設 VAT に おける 外 国 事 業 者 の 登 録 制 度 を 実 施 すること 等 が 選 択 肢 として 述 べ られている (ロ) 電 子 商 取 引 課 税 ドラフトへの 考 察 我 が 国 の 消 費 税 法 では デジタル 財 の 販 売 を 行 う 国 内 事 業 者 と 国 外 事 業 者 との 競 争 条 件 の 歪 みを 是 正 するため 登 録 制 度 を 導 入 した 上 で 国 外 事 業 者 に 我 が 国 の 消 費 税 の 納 税 義 務 を 課 すなどの 制 度 改 正 がなさ れるところであり 一 定 の 方 向 性 が 示 されたところである 法 人 税 法 では タックス ヘイブン 等 の 低 課 税 国 を 含 む 国 地 域 に サーバ 等 を 設 置 するだけで 容 易 に BEPS を 構 築 できるわけであり こ のような 経 済 的 実 体 のない 所 得 の 帰 属 に 対 して 本 ドラフトのいう 同 様 の 状 態 の 取 引 については 同 レベルでの 課 税 がなされるべき との

190 考 えに 基 づき 将 来 的 には 仮 想 PE 課 税 の 議 論 や 新 たな 源 泉 税 の 創 設 等 が 必 要 であるほか 定 式 配 分 コンセプトによる 所 得 配 分 の 理 論 も 必 要 になるのではないかと 思 慮 する へ AP 3 外 国 子 会 社 合 算 税 制 (CFC 税 制 )の 強 化 への 考 察 外 国 子 会 社 合 算 税 制 の 強 化 については 2015 年 9 月 が 期 限 の 取 組 み であり まだディスカッション ドラフトの 公 表 等 はなされていないが これを BEPS の 観 点 から 強 化 をするのであれば 以 下 のことを 検 討 する 必 要 があるのではないかと 思 慮 する 1 我 が 国 の 外 国 子 会 社 合 算 税 制 の 適 用 除 外 基 準 は 実 際 に BEPSの 防 止 に 関 してどのように 機 能 しているか 2 外 国 子 会 社 配 当 益 金 不 算 入 制 度 の 導 入 時 に 新 たに 規 定 した 統 括 会 社 や 資 産 性 所 得 は BEPS に 対 してどのような 効 果 を 与 えているか 3 外 国 子 会 社 配 当 益 金 不 算 入 制 度 について BEPS の 観 点 から 制 度 改 正 をする 必 要 はないか (4) 将 来 的 な BEPS への 検 討 - 定 式 配 分 方 式 の 利 用 可 能 性 最 後 に 将 来 的 な BEPS への 検 討 として 定 式 配 分 方 式 の 利 用 可 能 性 に ついて 検 討 しておきたい 世 界 的 な 定 式 配 分 方 式 の 導 入 の 可 否 については 今 後 とも 困 難 と 考 える が 定 式 配 分 方 式 に 係 るコンセプト つまり 法 的 管 轄 の 資 産 人 件 費 売 上 等 の 多 国 籍 企 業 グループ 全 体 に 対 する 比 率 から 少 なく 見 積 もってもこれだけの 所 得 はこの 法 的 管 轄 に 存 在 するというコンセプトを BEPS の 観 点 から 有 効 利 用 できないかについては 多 国 間 APA 相 互 協 議 仲 裁 制 度 への 活 用 という 点 から 以 下 のように 考 える 1 定 式 配 分 コンセプトを 取 り 込 んだ 多 国 間 APA の 導 入 多 国 籍 企 業 の APA において 定 式 配 分 コンセプトに 基 づいた 多 国 間

191 APA はどうであろうか すべての 多 国 籍 企 業 を 対 象 とした 一 様 な 世 界 的 な 定 式 配 分 方 式 の 導 入 は 困 難 を 極 めるかと 思 われるが 一 つの 多 国 籍 企 業 において そのなかのある 取 引 について 関 係 する 国 地 域 に 限 定 して 多 国 籍 企 業 の 要 望 により 行 う 多 国 間 APA であれば 世 界 的 な 定 式 配 分 方 式 が 成 立 する 可 能 性 はあるのではないかと 思 慮 する 2 定 式 配 分 コンセプトを 取 り 込 んだ 相 互 協 議 相 互 協 議 では 二 国 間 の 権 限 ある 当 局 (Competent Authority:CA) による 国 際 租 税 調 整 がなされるわけであるが その 調 整 がうまく 機 能 し ないことも 多 いと 聞 くところであり その 場 合 に 最 終 的 な 手 段 として 定 式 配 分 コンセプトに 基 づいた 国 際 租 税 調 整 の 可 能 性 がないであろうか と 考 えるところである 3 定 式 配 分 コンセプトを 取 り 込 んだ 相 互 協 議 の 仲 裁 制 度 さらに 相 互 協 議 が 長 期 化 したことで 仲 裁 制 度 が 利 用 されるに 至 った 場 合 には その 手 続 で 組 織 される 3 人 の 仲 裁 パネルが OECD モデル 条 約 コメンタリーや 移 転 価 格 事 案 の 場 合 には OECD 移 転 価 格 ガイドライ ンに 配 意 して 判 断 を 行 うこととされているが この 判 断 の 段 階 で 定 式 配 分 コンセプトに 基 づいた 判 断 を 取 り 入 れることができないかと 考 える 具 体 的 には 仲 裁 手 続 において 利 用 できる 複 数 の 定 式 配 分 コンセプ ト モデル を OECD が 用 意 しておき それらから 作 成 される 複 数 の 配 分 パターンを 3 人 の 仲 裁 人 の 検 討 の 対 象 に 含 めることができること にしてはどうかと 考 えるものである 3. 結 論 OECD の BEPS の 取 組 みについては この 6 月 の 租 税 委 員 会 本 会 合 で 前 述 の 5 つの 取 組 み(AP1 電 子 商 取 引 課 税 AP2 ハイブリッド ミスマッ チ アレンジメントの 効 果 の 無 効 化 AP 6 租 税 条 約 濫 用 の 防 止 AP 8 移 転 価 格 - 無 形 資 産 の 取 扱 い 及 び AP13 移 転 価 格 - 文 書 化 と CbC Reporting )について 承 認 を 受 け 9 月 には 勧 告 等 が 発 出 されるわけである

192 この 勧 告 を 受 けて 我 が 国 を 含 む 関 係 各 国 の 具 体 的 な 制 度 改 正 及 び 執 行 体 制 等 の 見 直 しが 始 まるわけであり BEPS の 国 別 での 取 組 みはいま 正 に 緒 に 着 くところである 加 えて 来 年 の 9 月 には 残 りの 行 動 計 画 から 次 の 勧 告 が 発 出 されることが 予 定 されており そのための 新 たなドラフトの 作 成 が 進 められることにもなるわけである したがって BEPS の 取 組 みについては 引 き 続 き 検 討 が 必 要 な 分 野 であり そのための 研 究 を 継 続 していきたいと 考 えている

193 目 次 はじめに 208 ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチの 特 徴 209 ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチにおける 取 引 内 容 209 ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチのスキーム 図 211 第 1 章 OECD の BEPS 行 動 計 画 及 び EU の 取 組 み 213 第 1 節 OECD の BEPS 報 告 書 の 認 識 とその 方 向 性 213 1.BEPS 報 告 書 の 構 成 214 2. 第 4 章 及 び 第 5 章 の 内 容 214 (1) 第 4 章 キーとなる 租 税 原 則 及 び 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 の 機 会 214 (2) 第 5 章 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 に 係 る 懸 念 への 対 応 225 鍵 となる 重 要 エリア 226 BEPS への 対 応 のポイント 227 BEPS を 取 り 扱 うためのグローバルなアクションプランの 策 定 228 第 2 節 OECD の BEPS 行 動 計 画 の 15 のアクションプラン 230 1.OECD の BEPS 行 動 計 画 に 係 る 基 本 的 スタンス 230 2. BEPS 行 動 計 画 の 15 のアクションプラン 231 AP 1 電 子 商 取 引 課 税 232 AP 2 ハイブリッド ミスマッチ アレンジメントの 効 果 の 否 認 232 AP 3 外 国 子 会 社 合 算 税 制 (CFC 税 制 )の 強 化 233 AP 4 利 子 等 の 損 金 算 入 を 通 じた 税 源 浸 食 の 制 限 233 AP 5 有 害 税 制 への 対 抗 233 AP 6 租 税 条 約 濫 用 の 防 止 233 AP 7 恒 久 的 施 設 (PE) 認 定 の 人 為 的 回 避 の 防 止 234 AP 8 移 転 価 格 税 制 1 無 形 資 産 234

194 AP 9 移 転 価 格 税 制 2リスクと 資 本 234 AP 10 移 転 価 格 税 制 3 他 の 租 税 回 避 の 可 能 性 が 高 い 取 引 234 AP 11 BEPS の 規 模 や 経 済 的 効 果 の 指 標 の 集 約 分 析 235 AP 12 タックス プランニングの 報 告 義 務 235 AP 13 移 転 価 格 関 連 の 文 書 化 の 再 検 討 235 AP 14 相 互 協 議 の 効 果 的 実 施 235 AP 15 多 国 間 協 定 の 開 発 235 第 3 節 IFA コペンハーゲン 大 会 での BEPS 行 動 計 画 の 説 明 見 解 等 237 1. 議 長 及 び 討 論 者 等 238 2.BEPS に 関 する 経 緯 等 の 説 明 238 英 国 238 米 国 239 オーストラリア 239 3.G20 に 承 認 された OECD の BEPS 行 動 計 画 の 説 明 及 び 意 見 239 (1)デジタル 経 済 に 係 る 検 討 課 題 への 取 組 み 240 (2)(BEPS への 課 税 に 係 る) 国 際 的 な 統 一 性 の 確 立 240 (3) 国 際 的 課 税 基 準 の 見 直 し 243 (4) 透 明 性 と 実 施 手 法 245 4.まとめ 247 第 4 節 EU の 租 税 不 正 及 び 脱 税 に 対 する 34 のアクションプラン 248 EU の 租 税 不 正 と 脱 税 に 対 する 34 のアクションプラン 一 覧 249 1.BEPS への 対 応 に 有 効 と 思 われるアクションプラン 251 (1) Ⅱ- 7. 第 3 国 にグッド ガバナンスの 最 小 基 準 を 適 用 する 奨 励 措 置 の 勧 告 251 (2) Ⅱ- 10. 有 害 な 企 業 課 税 と 関 連 領 域 の 改 善 252 (3) Ⅲ1-14. 親 会 社 子 会 社 指 令 (2011/96/ EU)の 修 正 253 (4) Ⅲ1-15. EU 法 令 の 濫 用 防 止 規 定 の 見 直 し 253 (5) Ⅲ1-20. VAT の 執 行 協 力 の 第 3 国 との 交 渉 の 欧 州 評 議 会

195 承 認 の 取 得 254 (6) Ⅲ3-34. すべての 租 税 の 執 行 協 力 のための 単 一 の 法 的 手 段 の 策 定 254 2.アグレッシブな 租 税 回 避 スキームへのアクションプラン 254 (1) Ⅰ- 2. 貯 蓄 税 制 ループホールの 閉 鎖 254 (2) Ⅰ- 3. ドラフトの 租 税 回 避 防 止 及 び 税 務 協 力 協 定 255 (3) Ⅰ- 4. VAT 不 正 に 対 してのクイック リサーチ メカニズム 255 (4) Ⅰ- 5. VAT リバース チャージ メカニズムの 選 択 適 用 255 (5) Ⅱ- 8. アグレッシブ タックス プランニングに 係 る 勧 告 256 (6) Ⅲ1-19. 税 務 調 査 のために 同 時 管 理 の 利 用 と 外 国 職 員 の 立 合 の 推 進 257 (7) Ⅲ2-24. マネーフローを 追 跡 するガイドライン 257 (8) Ⅲ3-32. 熟 練 調 査 官 の 専 門 チームによる 合 同 調 査 のための 方 法 論 257 3. 加 盟 国 間 の 情 報 交 換 や 執 行 協 力 を 向 上 させるためのアクション プラン 258 (1) Ⅱ- 12. 税 制 分 野 の 情 報 交 換 のための 標 準 様 式 258 (2) Ⅲ1-16. 自 動 的 情 報 交 換 の 基 準 と EU の IT ツールの 推 進 258 (3) Ⅲ2-21. 自 動 的 情 報 交 換 のためのフォーマットの 策 定 259 (4) Ⅲ2-26. 直 接 課 税 への EUROFISC の 拡 張 259 (5) Ⅲ3-33. 国 内 データベースへの 相 互 直 接 アクセスの 開 発 259 4. 執 行 の 効 率 性 を 向 上 させるツール 等 の 開 発 改 善 に 係 るアクション プラン 259 (1) Ⅱ- 11. 欧 州 ポータル 納 税 者 番 号 (TIN on EUROPA) 259 (2) Ⅲ2-22. EU 納 税 者 識 別 番 号 (TIN)の 利 用 260

196 (3) Ⅲ2-23. IT 手 段 の 合 理 化 261 (4) Ⅲ2-27. ワンストップショップ アプローチの 創 設 261 (5) Ⅲ2-29. 租 税 ウェブポータルの 開 発 261 5. 納 税 者 のタックスコンプライアンスを 向 上 させるためのアクション プラン 262 (1) Ⅲ1-17. 欧 州 納 税 者 規 約 262 (2) Ⅲ2-25. コンプライアンス リスクマネージメントの 強 化 262 (3) Ⅲ2-28. 自 発 的 ディスクロージャーのインセンティブの 開 発 263 (4) Ⅲ2-31. EU 標 準 税 務 調 査 ファイルの 開 発 263 6.その 他 のアクションプラン 263 (1) Ⅱ- 9. 租 税 グッド ガバナンスためのプラットホームの 創 設 263 (2) Ⅲ2-30. 行 政 罰 と 刑 事 罰 の 調 整 の 提 言 264 EU の 34 のアクションプランに 係 る 考 察 264 第 2 章 BEPS への 取 組 みに 対 する 基 本 的 認 識 及 びコンセンサス 268 第 1 節 BEPS に 対 する 課 税 権 の 確 保 に 係 る 基 本 的 な 考 え 方 268 1. 課 税 権 の 確 保 に 対 する 諸 外 国 の 非 対 称 性 268 (1) 課 税 権 の 確 保 に 対 する 諸 外 国 のスタンスの 相 違 268 (2)タックス ヘイブンへの 認 識 270 (3)BEPS への 取 組 みでの 国 際 的 協 調 の 必 要 性 271 2.BEPS により 侵 害 を 受 けた 課 税 権 への 居 住 地 国 と 源 泉 地 国 の 主 張 の 在 り 方 272 3.BEPS に 関 わる 法 的 管 轄 間 における 課 税 権 の 回 復 の 在 り 方 272 4. 現 行 の 国 際 課 税 原 則 の 見 直 しに 対 する 実 現 可 能 性 274 5. 現 在 進 行 中 である 執 行 ベースでの 施 策 との 整 合 性 274 第 2 節 BEPS への 取 組 みのための 国 際 課 税 原 則 の 見 直 しに 係 る

197 コンセンサスの 醸 成 274 1. 低 課 税 国 の 実 効 税 率 との 差 に 対 する 国 際 的 二 重 非 課 税 の 認 識 274 2. 法 的 管 轄 への 所 得 帰 属 1 - 法 的 所 有 権 と 経 済 的 所 有 権 275 3. 法 的 管 轄 への 所 得 帰 属 2 - リスク 及 び 機 能 への 所 得 の 帰 属 277 4.ベネフィシャル オーナーの 概 念 の 活 用 及 び 究 極 的 オーナー 概 念 278 5.BEPS への 取 組 みと 独 立 企 業 原 則 との 関 係 279 6. 租 税 裁 定 を 利 用 した 人 為 的 な 国 際 的 二 重 非 課 税 の 否 定 280 7.タックス ヘイブンの 再 定 義 による 新 たなブラックリストの 策 定 280 8. 多 国 籍 企 業 に 対 する 国 際 課 税 における 連 結 会 計 方 式 の 利 用 282 第 3 節 BEPS への 取 組 みを 効 果 的 かつ 効 率 的 に 推 進 させるために 必 要 な 執 行 上 の 対 応 283 1.BEPS に 係 る 自 動 的 情 報 交 換 の 基 準 と IT 化 されたフォーマットの 策 定 283 2. 国 際 的 に 共 通 利 用 できる 納 税 者 番 号 制 度 の 創 設 283 3.BEPS に 係 る 多 国 籍 企 業 と 税 務 当 局 のウェブポータルの 開 発 284 4. 将 来 的 な 国 際 的 合 同 調 査 のための 方 法 論 の 検 討 284 2014 年 3 月 までに 公 表 されたディスカッション ドラフト 一 覧 284 第 3 章 ハイブリッド ミスマッチ アレンジメ ントの 無 効 化 286 第 1 節 ハイブリッド ミスマッチ ドラフトの 概 要 286 1.ハイブリッド ミスマッチ ルールの 策 定 286 2.ハイブリッド ミスマッチ ルールに 対 して 策 定 される 勧 告 案 287 (1)ハイブリッド ミスマッチ アレンジメントの 類 型 287 (a)ハイブリッド 金 融 商 品 及 び 譲 渡 (Hybrid financial instruments & Transfers) 287 (b)ハイブリッド 事 業 体 支 払 (Hybrid entity payments) 287 (c)リバース ハイブリッド 及 びインポーテッド ミスマッチ 288

198 (2) 類 型 ごとに 策 定 された 勧 告 案 の 概 要 (Summary of Recommendations) 288 Table 1. Summary of Recommendations( 勧 告 の 概 要 ) 290 3. ハイブリッド 金 融 商 品 及 び 譲 渡 の 無 効 化 に 係 る 勧 告 案 の 概 要 291 (1) ハイブリッド 金 融 商 品 及 び 譲 渡 の 定 義 291 (2)ハイブリッド 金 融 商 品 等 に 係 るミスマッチ ルールの 勧 告 案 の 概 要 292 (3)ハイブリッド 金 融 商 品 等 に 係 るミスマッチ ルールの 対 象 範 囲 293 4. ハイブリッド 事 業 体 支 払 の 無 効 化 に 係 る 勧 告 案 296 (1)ハイブリッド 支 払 無 視 される 支 払 及 び 二 重 益 金 算 入 所 得 の 意 味 296 (2) 二 重 所 得 控 除 を 生 じさせる 支 払 への 勧 告 案 297 (3) 所 得 控 除 + 益 金 不 算 入 を 生 じさせる 支 払 への 勧 告 案 297 5. リバース ハイブリッド 及 びインポーテッド ミスマッチ の 無 効 化 に 係 る 勧 告 案 298 第 2 節 ハイブリッド ミスマッチ アレンジメントの 無 効 化 に 係 る パブリック コメント 298 第 3 節 諸 外 国 におけるハイブリッド ミスマッチ アレンジメントに 係 る 取 組 状 況 302 米 国 302 英 国 303 ドイツ 304 フランス 304 オランダ 304 アイルランド 304 EU 305 スイス 306

199 シンガポール 306 中 国 307 インド 307 ブラジル 307 第 4 節 ハイブリッド ミスマッチ アレンジメントの 無 効 化 に 係 る 取 組 みへの 考 察 307 第 4 章 租 税 条 約 濫 用 の 防 止 312 第 1 節 租 税 条 約 濫 用 防 止 ドラフトの 概 要 312 1. 租 税 条 約 濫 用 防 止 ドラフトの 構 成 312 租 税 条 約 濫 用 防 止 ドラフトの 目 次 313 2.A. 不 適 切 な 状 況 における 租 税 条 約 の 特 典 の 付 与 を 防 止 するための 対 応 314 (1) 租 税 条 約 自 体 により 規 定 された 制 限 の 回 避 に 係 る 対 応 314 イ トリーティ ショッピングに 係 る 対 策 案 314 ロ その 他 の 特 典 制 限 の 回 避 を 意 図 した 状 況 への 対 策 案 320 (2) 条 約 特 典 を 利 用 した 国 内 税 法 の 濫 用 に 係 る 対 応 322 3.B. 租 税 条 約 が 国 際 的 二 重 非 課 税 を 意 図 しないことの 明 確 化 323 4.C. 一 般 的 に 租 税 条 約 の 締 結 を 決 定 する 前 に 考 慮 すべきタックス ポリシーの 特 定 325 第 2 節 租 税 条 約 濫 用 の 防 止 に 係 るパブリック コメント 325 1.BIAC の BEPS への 欧 米 ビジネス コメント で 提 出 された 意 見 325 2. 日 本 の 経 済 団 体 から OECD に 提 出 された 意 見 327 (1) 経 団 連 からの 意 見 327 (2) 日 本 貿 易 会 からの 意 見 328 第 3 節 諸 外 国 における 租 税 条 約 濫 用 の 防 止 に 係 る 取 組 状 況 332 米 国 332 英 国 333

200 ドイツ 334 フランス 335 オランダ 337 アイルランド 337 スイス 337 シンガポール 338 中 国 338 インド 339 ブラジル 339 第 4 節 租 税 条 約 濫 用 の 防 止 に 係 る 取 組 みへの 考 察 340 第 5 章 移 転 価 格 - 無 形 資 産 の 取 扱 い 343 第 1 節 無 形 資 産 修 正 ドラフトの 概 要 344 1 移 転 価 格 ガイドライン 第 1 章 から 第 3 章 に 対 する 修 正 の 提 案 345 2 第 6 章 無 形 資 産 に 対 する 特 別 の 配 慮 345 1.A. 無 形 資 産 の 特 定 345 2.B. 無 形 資 産 の 所 有 及 び 無 形 資 産 の 開 発 改 良 維 持 と 保 護 に 関 する 取 引 347 (1) 無 形 資 産 の 法 的 所 有 と 最 終 的 なリターン 配 分 の 関 係 348 (2) 無 形 資 産 の 開 発 改 良 維 持 及 び 保 護 と 最 終 的 なリターン 配 分 の 関 係 348 3.D. 無 形 資 産 が 関 わる 事 例 に 係 る 独 立 企 業 間 条 件 の 決 定 における 補 足 ガイダンス 349 (1) 無 形 資 産 に 係 る 移 転 価 格 算 定 方 法 349 (2) 評 価 テクニックの 使 用 350 (3) 予 測 キャッシュフローの 割 引 価 値 に 基 づく 方 法 を 適 用 する 際 の 問 題 点 351 (4) 納 税 者 の 非 協 力 により 予 測 が 困 難 である 場 合 352 4. 付 属 文 書 無 形 資 産 に 対 する 特 別 の 配 慮 に 関 する 指 針 を 説 明 する

201 事 例 (27 事 例 ) 352 (1) 無 形 資 産 に 対 する 特 別 の 配 慮 に 関 する 指 針 を 説 明 する 事 例 の 図 解 352 事 例 1 無 形 資 産 の 法 的 所 有 1 355 事 例 2 無 形 資 産 の 法 的 所 有 2 - 定 期 的 なロイヤルティの 支 払 355 事 例 3 無 形 資 産 の 法 的 所 有 3 - 売 却 処 分 からのリターンの 配 分 356 事 例 4 無 形 資 産 に 関 連 するリスク(パラ 233~236) 356 事 例 5 販 売 用 無 形 資 産 - マーケティング 戦 略 1 357 事 例 6 販 売 用 無 形 資 産 - マーケティング 戦 略 2 358 事 例 7 販 売 用 無 形 資 産 - マーケティング 戦 略 3 358 事 例 8 販 売 用 無 形 資 産 - マーケティング 戦 略 4 359 事 例 9 販 売 用 無 形 資 産 - 商 標 へのロイヤルティの 支 払 359 事 例 10 製 造 用 無 形 資 産 - 商 標 加 工 に 係 るロイヤルティ 支 払 360 事 例 11 研 究 開 発 - 多 国 籍 企 業 の 研 究 開 発 の 分 担 1 361 事 例 12 研 究 開 発 - 多 国 籍 企 業 の 研 究 開 発 の 分 担 2 362 事 例 13 研 究 開 発 - 研 究 開 発 無 形 資 産 の 一 括 譲 渡 363 事 例 14 研 究 開 発 - 製 薬 会 社 の 研 究 開 発 無 形 資 産 の 譲 渡 364 事 例 15 製 造 特 許 等 の 使 用 許 諾 契 約 365 事 例 16 国 際 的 事 業 再 編 時 における 無 形 資 産 の 再 配 分 366 事 例 17 販 売 統 括 会 社 への 無 形 資 産 からの 所 得 の 帰 属 367 事 例 18 研 究 開 発 会 社 を 取 得 した 場 合 の 国 際 的 事 業 再 編 368 事 例 19 関 連 会 社 へのソフトウェア 開 発 支 援 369 事 例 20 関 連 会 社 への 訴 訟 支 援 369 事 例 21 企 業 買 収 により 取 得 した 無 形 資 産 の 関 連 会 社 への 付 与 370

202 事 例 22 国 際 的 事 業 再 編 - グループ 間 における 特 許 の 集 約 371 事 例 23 国 際 的 事 業 再 編 - 委 託 製 造 業 者 への 転 換 と 無 形 資 産 の 移 転 372 事 例 24 国 際 的 事 業 再 編 - 具 体 的 な 設 例 による 比 較 検 討 373 事 例 25 後 知 恵 の 不 適 切 な 使 用 378 事 例 26 予 期 せぬ 事 象 による 正 当 な 移 転 価 格 の 変 更 379 事 例 27 価 格 調 整 条 項 380 (2) 無 形 資 産 に 係 る 27 事 例 に 係 る BEPS の 観 点 からの 考 察 381 第 2 節 移 転 価 格 における 無 形 資 産 の 取 扱 いに 係 るパブリック コメント 382 第 3 節 諸 外 国 における 移 転 価 格 における 無 形 資 産 の 取 扱 いに 係 る 取 組 状 況 384 米 国 384 英 国 385 ドイツ 386 フランス 387 オランダ 388 アイルランド 390 EU 390 スイス 390 シンガポール 391 中 国 392 インド 392 ブラジル 393 第 4 節 BEPS に 関 する 移 転 価 格 における 無 形 資 産 に 係 る 取 組 みへの 考 察 394 第 6 章 移 転 価 格 - 文 書 化 と CbC Reporting 398 第 1 節 文 書 化 と CbC Reporting ドラフトの 概 要 399

203 1.B. 移 転 価 格 文 書 化 の 目 的 と D.コンプライアンスに 関 する 論 点 400 (1) 移 転 価 格 文 書 化 の 目 的 400 (2)コンプライアンスに 関 する 論 点 401 2.C. 移 転 価 格 文 書 化 の 二 層 構 造 アプローチ 402 (1)マスターファイル( 本 体 ) 402 (2)ローカルファイル 404 (3)CbC Reporting 406 第 2 節 文 書 化 と CbC Reporting に 係 るパブリック コメント 408 1.BIAC の BEPS への 欧 米 ビジネス コメント で 提 出 された 意 見 408 2. 日 本 経 済 団 体 連 合 会 から 提 出 された 意 見 410 第 3 節 諸 外 国 における 文 書 化 と CbC Reporting に 係 る 取 組 状 況 413 米 国 413 英 国 413 ドイツ 413 フランス 414 オランダ 415 アイルランド 416 EU 416 スイス 416 シンガポール 417 中 国 417 インド 417 ブラジル 418 第 4 節 文 書 化 と CbC Reporting に 係 る 取 組 みへの 考 察 419 モデル テンプレートで 要 請 される 情 報 について 419 第 7 章 電 子 商 取 引 課 税 422 第 1 節 電 子 商 取 引 課 税 ドラフトの 概 要 422

204 1. 電 子 商 取 引 課 税 ドラフトの 構 成 422 電 子 商 取 引 課 税 ドラフトの 目 次 422 2. 各 章 の 概 要 424 3. 第 7 章 デジタル 経 済 の 広 範 な 課 税 問 題 への 対 処 のための 可 能 性 の あるオプション 425 (1)オプションを 評 価 するためのフレームワーク 425 1 中 立 性 426 2 効 率 性 426 3 確 実 性 及 び 簡 便 性 426 4 効 果 性 及 び 公 正 性 426 5 柔 軟 性 426 (2)タスク フォースに 提 示 されるオプション 426 イ PE 認 定 から 除 外 される 対 象 の 見 直 し 427 ロ 重 要 なデジタル プレゼンスをベースとした 新 たな ネクサスの 創 設 427 ハ 仮 想 PE の 創 設 428 ニ 電 子 商 取 引 に 対 する 源 泉 徴 収 税 の 創 設 429 ホ 消 費 税 に 係 るオプション 430 第 2 節 電 子 商 取 引 課 税 に 係 るパブリック コメント 430 1.BIAC の BEPS への 欧 米 ビジネス コメント で 提 出 された 意 見 430 2. 経 団 連 から OECD に 提 出 された 意 見 433 第 3 節 諸 外 国 における 電 子 商 取 引 に 係 る 取 組 状 況 434 米 国 434 英 国 435 ドイツ 435 フランス 435 オランダ 436

205 アイルランド 436 EU 436 スイス 437 シンガポール 437 中 国 438 インド 438 ブラジル 438 第 4 節 電 子 商 取 引 に 係 る 取 組 みへの 考 察 438 第 8 章 外 国 子 会 社 合 算 税 制 (CFC 税 制 ) 443 第 1 節 BEPS 行 動 計 画 の 行 動 3 外 国 子 会 社 合 算 税 制 (CFC 税 制 )の 強 化 の 内 容 444 1. 行 動 3 外 国 子 会 社 合 算 税 制 (CFC 税 制 )の 強 化 の 指 摘 事 項 の 仮 訳 444 2. 行 動 3 外 国 子 会 社 合 算 税 制 (CFC 税 制 )の 強 化 の 指 摘 事 項 への 考 察 446 第 2 節 CFC 税 制 の 強 化 に 係 るパブリック コメント 446 第 3 節 諸 外 国 における CFC 税 制 の 強 化 に 係 る 取 組 状 況 448 米 国 449 英 国 450 ドイツ 453 フランス 454 EU 455 中 国 455 インド 455 ブラジル 456 第 4 節 CFC 税 制 の 強 化 に 係 る 取 組 みへの 考 察 456 第 9 章 定 式 配 分 方 式 に 係 る 考 察 460 第 1 節 定 式 配 分 方 式 の 国 際 的 利 用 可 能 性 への 検 討 461

206 1. 世 界 的 な 定 式 配 分 方 式 の 導 入 の 可 否 461 2. 多 国 籍 企 業 に 対 する 定 式 配 分 方 式 のコンセプト の 利 用 可 能 性 463 3. 多 国 籍 企 業 のみを 対 象 とした BEPS 最 低 租 税 負 担 制 度 の 創 設 の 検 討 464 BEPS 最 低 租 税 負 担 制 度 のコンセプト 466 BEPS 最 低 租 税 負 担 制 度 のコンセプト 図 466 4. 定 式 配 分 コンセプトを 取 り 込 んだ BEPS への APA 相 互 協 議 に おける 対 応 策 468 1 定 式 配 分 コンセプトに 基 づいた 多 国 間 APA の 活 用 468 2 定 式 配 分 コンセプトを 取 り 込 んだ 相 互 協 議 469 3 定 式 配 分 コンセプトを 取 り 込 んだ 相 互 協 議 の 仲 裁 制 度 469 第 10 章 今 後 の BEPS への 取 組 みの 方 向 性 471 第 1 節 BEPS への 取 組 みに 対 する 関 係 諸 国 の 方 向 性 471 1. 米 国 や 英 国 等 の 税 源 浸 食 が 生 じているとされる 大 国 である 先 進 国 472 (1) 米 国 の 方 向 性 472 (2) 英 国 の 方 向 性 473 2. 先 進 国 だが 小 国 でありタックス ヘイブンの 傾 向 がある 国 地 域 474 3.インドや 中 国 等 の BRICS 等 の 新 興 国 476 4.ケイマン 諸 島 やバージン 諸 島 等 の 本 来 的 なタックス ヘイブンの 国 地 域 477 5. 税 源 浸 食 がされていると 主 張 する 発 展 途 上 国 478 第 2 節 多 国 籍 企 業 からの BEPS への 取 組 みに 対 する 要 望 事 項 478 第 3 節 BEPS への 取 組 みのポイントと 我 が 国 の 対 応 に 係 る 考 察 479 1.BEPS への 取 組 みのポイント 479 1 居 住 地 国 と 源 泉 地 国 の 国 際 的 な 課 税 権 の 配 分 について 479 2 実 効 税 率 が 非 常 に 低 い 法 的 管 轄 の 課 税 での BEPS の 解 消 に ついて 480

207 3 新 興 国 等 の 源 泉 地 国 の 課 税 権 確 保 に 係 る 強 硬 な 主 張 に ついて 480 2. 我 が 国 の BEPS への 対 応 に 係 る 考 察 481 結 びに 代 えて 482

208 はじめに BEPS とは Base Erosion and Profit Shifting の 頭 文 字 による 略 語 であり 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 の 訳 語 があてがわれているものである その 概 念 や 射 程 としては 国 際 的 にも 国 内 的 にも 明 確 な 定 義 が 置 かれているわけではないも のの 一 般 的 に 多 国 籍 企 業 等 が グループ 関 連 者 間 における 国 際 取 引 により その 所 得 を 高 課 税 の 法 的 管 轄 から 無 税 又 は 低 課 税 の 法 的 管 轄 に 移 転 させること で 国 際 的 二 重 非 課 税 を 生 じさせるもの と 言 えるのではないかと 考 える もともと BEPS は 2012 年 6 月 の OECD 租 税 委 員 会 本 会 合 において 米 国 から 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 が 法 人 税 収 を 著 しく 喪 失 させている 点 を 憂 慮 してい るとの 問 題 提 起 がなされたことから OECD においてワーキング パーティと は 別 に BEPS プロジェクト として 開 始 されたものであると 聞 く BEPS プロジェクトは 経 済 実 態 と 課 税 実 態 の 乖 離 を 防 止 する 方 策 を 戦 略 的 かつ 分 野 横 断 的 に 検 討 し 国 際 的 に 協 調 された 対 応 を 促 すものとして 発 足 し たものであり わずか 半 年 後 の 2013 年 2 月 には 税 源 浸 食 に 対 する 対 応 の 方 向 性 を 示 した OECD 報 告 書 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 への 対 応 (Addressing Base Erosion and Profit Shifting) ( 以 下 BEPS 報 告 書 という )が 公 表 された ところである このBEPS 報 告 書 で OECD は BEPS の 多 くは 軽 課 税 国 への 無 形 資 産 の 移 転 ハイブリッド ミスマッチの 利 用 等 を 組 み 合 わせ 税 率 の 低 い 国 地 域 に 利 益 を 移 転 することで 生 じている と 分 析 し 多 くの BEPS の 手 法 は 合 法 であり 国 際 課 税 原 則 を 見 直 す 必 要 性 がある としている また BEPS への 効 果 的 な 対 応 のためには 国 際 的 に 協 調 された 行 動 を 取 ることが 重 要 であ る とし 一 部 の 国 が 協 調 せずに 基 準 を 満 たさない 場 合 負 の 外 部 効 果 や 底 辺 への 競 争 を 生 じさせる としている 多 国 籍 企 業 の 具 体 的 な 税 源 浸 食 (BEPS)スキームとしては 米 国 及 び 英 国 の 議 会 公 聴 会 で これまでに Microsoft Hewlett-Packard 及 び Apple の 3 社 ( 米 国 ) 並 びに Starbucks Amazon 及 び Google の 3 社 ( 英 国 )の 計 6 社

209 が 招 致 され 合 法 的 だが 巨 額 なこれら 租 税 回 避 スキームについて 報 告 がなされ ている 合 法 的 だが 巨 額 な 租 税 回 避 スキームの 例 としては 英 国 の 議 会 公 聴 会 で 説 明 がなされた Google の ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチ のスキー ムが 著 名 なものとしてあげられる このスキームに 係 る 特 徴 取 引 内 容 及 びス キーム 図 を 示 すと 以 下 のようになる ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチの 特 徴 米 国 とアイルランドで 法 人 の 居 住 地 の 判 定 基 準 が 異 なっていること EU 加 盟 国 同 士 の 租 税 条 約 においてはロイヤルティ 支 払 に 源 泉 税 が 徴 収 されないこと オランダは 国 内 税 法 でロイヤルティ 支 払 に 源 泉 税 を 徴 収 しないこと 米 国 のチェック ザ ボックス 規 則 を 利 用 すれば CFC 税 制 に 抵 触 しな いこと 米 国 の Google とアイルランドの Google Ireland Holdings とのコスト シェアリング 契 約 等 の 取 引 については IRS との APA が 成 立 している こと ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチにおける 取 引 内 容 (1) 1 米 国 のグループ 本 社 の Google は 海 外 事 業 に 関 する 権 利 に 係 るライセ ンスを アイルランドの Google Ireland Holdings に 付 与 する (コスト シェアリング 契 約 を 締 結 ) 米 国 において Google Ireland Holdings は 米 国 税 制 上 は 登 記 上 の 所 在 地 で 法 人 の 居 住 非 居 住 の 判 定 がなされる ので アイルランド 企 業 とみなされる 2 Google Ireland Holdings の 管 理 を バミューダ 諸 島 の 管 理 会 社 が 行 う (1) 三 村 琢 磨 グーグルの 租 税 回 避 に 関 する 報 道 について(1) JAS(2010.12)より 作 成

210 Google Ireland Holdings はアイルランドで 設 立 登 記 された 企 業 である が その 管 理 支 配 はバミューダ 諸 島 の 管 理 会 社 が 行 っている アイルラン ド 税 制 上 は 管 理 支 配 基 準 で 居 住 非 居 住 が 判 定 される ので これは アイルランドの 非 居 住 者 (バミューダ 企 業 の 支 店 )となる したがって Google Ireland Holdings は その 国 外 所 得 にアイルランド の 法 人 税 は 課 されない 3 Google Ireland Holdings は アイルランドに 設 立 した Google Ireland Ltd.に 対 して サブライセンスを 付 与 する ダブルアイリッシュ Google Ireland Ltd.には このサブライセンスにより Google グループ の 米 国 外 事 業 収 益 のほとんどが 計 上 されることになる( 例 ; 英 国 子 会 社 か らのロイヤルティ 支 払 など) 4 Google Ireland Ltd.は Google Ireland Holdings からのサブライセン スに 対 してライセンスフィーを 支 払 うのであるが このライセンスフィー を 直 接 に 支 払 わず オランダに 設 立 した Google Netherlands Holdings BV に 支 払 う ダッチサンドイッチ これは アイルランド(Google Ireland Ltd.)からバミューダ(Google Ireland Holdings)に 直 接 にライセンスフィー(ロイヤルティ)を 支 払 う と アイルランドから 多 額 の 源 泉 税 が 徴 収 されることになるが アイルラ ンド-オランダ 租 税 条 約 を 利 用 すれば アイルランド(Google Ireland Ltd.)からオランダ(Google Netherlands Holdings BV)へのライセンス フィー(ロイヤルティ)の 支 払 には 源 泉 税 が 徴 収 されないからである なお 米 国 のチェック ザ ボックス 規 則 上 においては Google Ireland Holdings と Google Ireland Ltd.とを 一 体 とみなして パススルー( 法 人 格 がない) 事 業 体 を 選 択 することができることから Google Ireland Ltd. から Google Ireland Holdings へのライセンスフィー(ロイヤルティ) 支 払 は 本 支 店 間 取 引 として 認 識 されず 米 国 の CFC 税 制 にも 抵 触 しない 5 オランダの Google Netherlands Holdings BV から アイルランドに 所

211 在 するバミューダ 企 業 の 支 店 (PE)である Google Ireland Holdings にラ イセンスフィー(ロイヤルティ)が 支 払 われる オランダの 国 内 税 法 でもロイヤルティに 対 する 源 泉 税 は 無 税 のため オ ランダからバミューダ 企 業 の 支 店 へのロイヤルティ 支 払 に 関 しても 源 泉 税 は 徴 収 されない Google Ireland Holdings は 2006 年 に 無 限 責 任 会 社 (unlimited liability company)へと 法 的 形 態 を 変 更 しており 無 限 責 任 会 社 はアイル ランド 法 上 で 財 務 諸 表 の 開 示 義 務 が 無 いため この 取 引 の 実 態 把 握 は 困 難 であるとされる ( 下 記 のスキーム 図 の 番 号 と 対 応 ) ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチのスキーム 図 Google の スキーム 図 Google 米 国 1 米 国 税 制 上 アイルランド 企 業 アイルランド 税 制 上 アイルランドに 所 在 する バミューダ 企 業 の 支 店 バミューダ 諸 島 の 管 理 会 社 バミューダ 2 管 理 Google Ireland Holdings アイルランド IP 5 Google Netherlands Holdings BV オランダ 3 Google UK 英 国 販 売 3 Google Ireland Ltd. アイルランド Sublicens アイルランド 4 ダブルアイリッシュ& ダッチサンドイッチ (2012 年 開 催 の 英 国 議 会 公 聴 会 の 内 容 をベースに 作 成 )

212 Google は このようなスキームを 組 み 合 わせることにより 合 法 的 に 国 際 的 二 重 非 課 税 を 形 成 することを 可 能 にしてきたわけであり これにより 米 国 から の 所 得 の 国 外 流 出 ( 税 源 浸 食 )を 完 成 させてきたといえる なお このスキー ムの 組 成 には バミューダ アイルランド オランダといったタックス ヘイ ブンの 存 在 が 重 要 ポイントとなる このスキームからは 現 行 の 国 際 課 税 基 準 に 基 づいた 租 税 制 度 とタックス ヘイブンを 組 み 合 せることで 税 源 浸 食 を 合 法 的 に 行 うことが 可 能 になること が 認 められるわけである このような 多 国 籍 企 業 のBEPS 行 動 に 対 して 効 果 的 な 歯 止 めをかけるために 2013 年 6 月 の OECD 租 税 委 員 会 本 会 合 において 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 に 係 る 行 動 計 画 (Action Plan on Base Erosion and Profit Shifting) ( 以 下 BEPS 行 動 計 画 という )が 承 認 され このなかで 15 のアクションプランが 提 言 さ れたわけである わが 国 においても 所 得 の 創 出 活 動 の 行 われる 法 的 管 轄 との 不 整 合 を 生 じさ せる 多 国 籍 企 業 による 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 については 現 行 の 国 際 課 税 原 則 に 変 更 を 加 えることも 視 野 に 入 れての 検 討 が 進 められていくものと 思 慮 され 以 下 に 今 後 の BEPSの 検 討 に 関 して 必 要 と 思 われる 事 項 についての 考 察 を 行 う

213 第 1 章 OECD の BEPS 行 動 計 画 及 び EU の 取 組 み 第 1 節 OECD の BEPS 報 告 書 (2) の 認 識 とその 方 向 性 BEPS は 2012 年 6 月 の OECD 租 税 委 員 会 本 会 合 において 米 国 から 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 が 法 人 税 収 を 著 しく 喪 失 させている 点 を 憂 慮 しているとの 問 題 提 起 がなされたことから OECD においてワーキング パーティとは 別 に BEPS プロジェクト として 開 始 されたものである BEPS プロジェクトは 経 済 実 態 と 課 税 実 態 の 乖 離 を 防 止 する 方 策 を 戦 略 的 かつ 分 野 横 断 的 に 検 討 し 国 際 的 に 協 調 された 対 応 を 促 すものとして 発 足 し たものであり わずか 半 年 後 の 2013 年 2 月 12 日 に BEPS 報 告 書 が 公 表 され た このBEPS 報 告 書 は 冒 頭 で 税 源 を 浸 食 する 方 法 により 利 益 を 移 転 させ ることを 目 的 としたプランニングのために 政 府 が 相 当 の 法 人 税 収 を 失 ってい るという 認 識 が 広 まっている とし 国 境 を 越 える 利 益 への 課 税 に 係 る 国 内 的 及 び 国 際 的 なルールが 今 や 崩 壊 しており(the domestic and international rules on the taxation of cross-border profits are now broken) そして 租 税 はただ 愚 直 な 者 によって 支 払 われるだけであるという 認 識 を 助 長 した との 認 識 を 示 している 加 えて 本 報 告 書 は 最 近 の 国 際 的 な 課 税 基 準 が グローバルビジネス 慣 行 における 変 化 に 対 してペースを 合 わせられてこられなかった (3) ことを 示 す 特 に 無 形 資 産 のエリア 及 びデジタル 経 済 の 展 開 に 対 してである との 指 摘 をし ている (2) BEPS 報 告 書 の 仮 訳 については 居 波 邦 泰 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 への 対 応 ( 仮 訳 ) 日 本 租 税 研 究 協 会 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 (BEPS) 行 動 計 画 (2013.12)を 参 照 され たい (3) 例 としては 今 日 その 国 での 又 は 利 益 に 課 税 をする 他 方 の 国 での 課 税 プレゼンス なしに 他 方 の 国 の 経 済 生 活 に 深 く 関 与 することは 例 えば インターネットを 経 由 してその 国 に 居 る 顧 客 とビジネスをすることによって 可 能 であることの 指 摘 がなさ れている

214 1.BEPS 報 告 書 の 構 成 BEPS 報 告 書 の 本 体 は エグゼクティブ サマリーと 以 下 の 5 章 で 構 成 さ れている 第 1 章 イントロダクション 第 2 章 BEPS はどれぐらい 大 きな 問 題 であるのか 利 用 可 能 なデータ の 概 要 第 3 章 グローバル 事 業 モデル 競 争 力 コーポレート ガバナンスと 税 制 第 4 章 キーとなる 租 税 原 則 及 び 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 の 機 会 第 5 章 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 に 係 る 懸 念 への 対 応 これに 以 下 の A~D の 4 つの 添 付 資 料 が 付 けられた 添 付 資 料 A. GDP の 割 合 としての 法 人 税 収 に 係 るデータ 添 付 資 料 B. BEPS に 関 連 する 最 近 の 研 究 のレビュー 添 付 資 料 C. 多 国 籍 企 業 のタックスプランニング ストラクチャーの 事 例 添 付 資 料 D. 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 に 関 連 する 現 在 及 び 過 去 の OECD の 作 業 以 下 に このなかの 第 4 章 及 び 第 5 章 の 内 容 を 確 認 することで 本 報 告 書 の BEPS への 認 識 と 方 向 性 についてみてみる 2. 第 4 章 及 び 第 5 章 の 内 容 (1) 第 4 章 キーとなる 租 税 原 則 及 び 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 の 機 会 第 4 章 では 国 境 を 越 える 活 動 からの 利 益 への 課 税 の 基 礎 となるいくつ かの 重 要 な 国 際 課 税 原 則 の 概 要 を 述 べ これらの 原 則 が 創 出 するかもしれ ない BEPS の 機 会 を 含 むものとなっている その 理 論 的 なフレームワーク において よく 知 られている 法 人 税 の 構 造 のいくつかの 分 析 を 通 して 実

215 際 にどのように 解 釈 されるかが 示 されている それは 最 近 のルールが より 多 くの 利 益 に 対 して 法 的 な 概 念 や 無 形 資 産 の 権 利 義 務 に 関 連 づける ための 機 会 を 提 供 しており 実 質 的 な 経 営 と 関 連 づけて 利 益 のシェアを 減 らすことの 結 果 として 法 的 にリスクをイントラグループに 移 転 するため の 機 会 を 提 供 していると 結 論 づけている 国 境 を 越 える 活 動 の 税 務 上 の 取 扱 いに 影 響 を 与 える 一 連 のルールは 主 に 国 内 税 法 のルールによって 構 成 され 同 様 に 二 国 間 租 税 条 約 及 び 欧 州 連 合 の 適 用 可 能 な 法 律 文 書 (EU 規 則 EU 指 令 など)のようなその 他 の 国 際 的 法 律 文 書 によっても 構 成 される BEPS に 関 連 する 問 題 を 検 証 する とき 重 要 な 関 連 性 を 仮 定 したこれらのルールに 含 まれる 多 くの 原 則 を 認 識 することは 可 能 である これらの 重 要 な 原 則 には 課 税 に 係 る 法 的 管 轄 移 転 価 格 借 入 金 での 資 金 調 達 及 び 租 税 回 避 否 認 の 4 つが 含 ま れる 多 国 籍 企 業 間 の 目 標 はさまざまである 一 方 で 特 に 異 なる 法 的 管 轄 に 本 部 を 持 つ 企 業 に 関 しては 概 括 的 に 言 って BEPS は 低 課 税 がなされる とろに 利 益 を 移 転 させることに 焦 点 をあて そして 高 税 率 を 和 らげられ るところで 費 用 とする 特 定 の 戦 略 が 税 額 控 除 損 失 繰 越 等 のような 既 存 の 租 税 属 性 を 利 用 するために 適 所 に 設 定 されるであろう これ らの 一 般 的 な 目 標 は 多 くの 場 合 グループの 資 金 操 作 の 全 体 的 なマネー ジメントの 調 整 を 達 成 することである 例 えば 資 金 繰 り 外 国 為 替 リス クのマネージメント 及 び 効 率 的 な 本 国 送 金 戦 略 に 関 してである 上 記 の 4 つの 重 要 な 原 則 とその 相 互 作 用 によって 創 出 される 典 型 的 な BEPS の 機 会 及 び BEPS に 係 る 法 人 税 の 構 造 分 析 に 関 しては 以 下 の ような 説 明 がなされている 課 税 に 係 る 法 的 管 轄 (Jurisdiction to tax) それぞれの 法 的 管 轄 が 法 人 税 システムをそれが 選 択 するように 組 成 することは 自 由 である 一 方 で 国 家 は 必 要 であるとみなす 歳 出 を 支 払 うための 歳 入 を 引 き 上 げる 課 税 手 段 を 実 行 するための 主 権 を 有 してい

216 る 重 要 な 課 題 は 課 税 が 国 境 を 越 えた 貿 易 及 び 投 資 へ 意 図 しないそし て 歪 曲 させる 影 響 を 生 じさせないこと 及 びそれぞれの 国 内 において 国 内 の 事 業 者 を 不 利 にすることによって 競 争 と 投 資 を 歪 めることがない ことを 保 証 することの 必 要 性 に 関 連 している 経 済 がますます 統 合 されるグローバル 化 された 世 界 では ( 国 際 的 に) 隔 離 されて 考 案 された 国 内 税 制 は しばしばお 互 いに 調 整 されないため ミスマッチの 余 地 が 生 じることになる これらのミスマッチは 二 重 課 税 をもたらすかもしれないが 同 様 に 二 重 非 課 税 をもたらすかもしれな い 換 言 すれば これらのミスマッチは 結 果 において 租 税 目 的 での 所 得 を 見 えなくさせるかもしれない このことは すべての 関 係 者 全 体 によって 支 払 われた 全 体 的 な 租 税 の 縮 小 に 導 く 関 係 する 国 々どちらが 税 収 を 失 ったのかを 判 断 することは 大 抵 の 場 合 困 難 であるけれども 関 係 する 国 をひとまとめにすれば 税 収 が 失 われていることは 明 らかで ある さらに 国 境 を 越 えた 活 動 をしてかつ 巧 みな 租 税 の 専 門 的 知 識 へ のアクセスを 有 するようないくつかの 事 業 者 が これらの 機 会 から 利 益 を 得 ており そして それが 国 内 レベルでおおかた 活 動 する 中 小 企 業 の ようなその 他 の 企 業 と 比 べて 意 図 しない 競 争 上 の 優 位 性 を 有 するとき には 競 争 を 阻 害 するであろう したがって 税 制 がどのようにお 互 いに 影 響 し 合 うかを 考 えることは 国 境 を 越 えた 貿 易 及 び 投 資 への 障 害 を 排 除 することだけではなく 意 図 しない 非 課 税 のへの 余 地 を 制 限 するために 適 切 なことである さらに それぞれの 国 の 課 税 権 の 行 使 を 調 整 するために 国 々が 用 いる 二 国 間 の ツールである 二 重 租 税 条 約 は 同 様 に 納 税 者 が 源 泉 地 で 及 び/ 又 は 納 税 者 の 居 住 地 で より 低 い 課 税 又 は 非 課 税 の 形 で 租 税 からの 利 得 を 得 る 機 会 を 創 出 するかもしれない 受 領 者 の 段 階 で 低 課 税 又 は 非 課 税 を 達 成 する 最 も 直 接 的 な 方 法 は 低 課 税 の 法 的 管 轄 にある 事 業 体 へ 所 得 を 移 転 させることであるが 同 じ 結 果 を 高 課 税 の 法 的 管 轄 の 間 において その 他 の 数 多 くの 方 法 で 達 成 す

217 ることができるであろう これらの 代 替 案 は いっそう 複 雑 なものであ るが しばしば 追 加 的 な 税 制 上 の 優 遇 措 置 を 必 要 とする 例 えば 支 払 者 の 段 階 において 完 全 な 控 除 を 要 求 することに 関 しての 源 泉 地 におけ る( 源 泉 徴 収 ) 課 税 の 潜 在 的 な 縮 小 又 は 排 除 源 泉 地 国 又 は 居 住 地 国 で の 租 税 回 避 否 認 規 定 の 非 適 用 である( 例 えば これらのルールは 低 課 税 の 法 的 管 轄 を 利 用 しての 戦 略 をターゲットにしていることから) 以 下 は 主 として 資 金 調 達 に 関 して 低 課 税 又 は 非 課 税 を 達 成 するた めに 現 在 のルールを 適 用 することができる 方 法 について 説 明 をする: 外 国 会 社 の 低 課 税 の 支 店 会 社 が 表 向 き 高 課 税 の 法 的 管 轄 に 設 立 されるとしても しかし 低 課 税 制 度 の 適 用 を 受 ける 外 国 支 店 を 通 して ローン(ライセンス 又 は サービス)の 提 供 を 受 けることによって 所 得 への 低 い 実 効 税 率 を 達 成 することができる 一 般 に このことは 本 社 が 設 立 された 国 で 国 内 法 又 は 二 重 租 税 条 約 の 下 で 外 国 支 店 の 控 除 システムを 操 作 する ことを 要 する 支 店 における 低 課 税 は さまざまな 方 法 で 達 成 することができる: 1 支 店 のある 国 が 所 得 に 低 税 率 又 はゼロ 税 率 を 課 す;2 本 社 のある 国 と 異 なり 支 店 のある 国 は 外 国 会 社 の 課 税 プレゼンスを 創 出 する ことのような 大 きな 意 味 はないとして その 国 内 で 遂 行 された( 支 店 の) 経 済 活 動 を 尊 重 する;3 本 社 のある 国 と 異 なり 支 店 のある 国 は 支 店 の 資 本 にみなし 利 子 控 除 を 与 える ハイブリッド エンティティ 高 課 税 国 で 純 然 たる 営 業 をする 金 融 ( 又 は IP) 会 社 の 段 階 での 低 課 税 は ハイブリッド エンティティを 用 いることによって 目 的 を 達 す ることができる ハイブリッド エンティティは ある 国 で 課 税 対 象 者 として 取 り 扱 われる 事 業 体 であるが しかし 他 方 の 国 で 透 明 で ある として 取 り 扱 われる(すなわち もうひとつの 国 で 事 業 体 の 利 益 又 は 損 失 は メンバーの 段 階 において 課 税 / 控 除 される )

218 例 えば B 国 で 設 立 された 事 業 体 が A 国 のその 親 会 社 からローン を 受 けると 仮 定 する B 国 のその 事 業 体 は A 国 で 透 明 であるとして 取 り 扱 われる 一 方 で B 国 では 透 明 でないとして 取 り 扱 われる この 取 扱 いのミスマッチが グループに A 国 において(その 国 が 受 領 者 の 段 階 において 所 得 はないとみなすので) 課 税 されない 支 払 について B 国 で 控 除 を 主 張 することを 可 能 にする もし 事 業 体 の 取 扱 いが 2 つ の 国 で 逆 にされたのなら この 状 況 では 二 重 課 税 が 生 じたということ が 念 頭 に 置 かれるべきである ハイブリッド 金 融 商 品 及 びその 他 の 金 融 取 引 類 似 した 結 果 を ハイブリッド 商 品 の 利 用 によって 達 成 することが できる これらは 概 して 負 債 に 関 わる 特 徴 を 示 す 金 融 商 品 であるが しかし 同 様 に 概 して 株 式 に 関 わる 特 徴 をも 示 すものである A 国 の 企 業 が B 国 の 企 業 によって 発 行 された 金 融 商 品 を 購 入 すると 仮 定 す る A 国 の 税 法 の 下 で その 金 融 商 品 は 株 式 として 取 り 扱 われるのに 対 して B 国 の 課 税 目 的 でその 金 融 商 品 は 債 務 証 券 としてみなされ る その 金 融 商 品 の 下 での 支 払 は B 国 の 税 法 で 企 業 にとって 控 除 可 能 な 利 子 費 用 とみなされるが 一 方 で 対 応 する 受 領 額 は A 国 の 課 税 目 的 で 配 当 として 取 り 扱 われ それゆえに 免 税 となる キャプティ ブ 保 険 又 はデリバティブに 関 するその 他 の 金 融 取 引 は ある 国 で 控 除 可 能 である 支 払 が 他 方 の 国 で 課 税 されないことで 類 似 した 結 果 を 引 き 起 こすことができる 導 管 会 社 所 得 を 産 み 出 す 資 産 ( 例 えば ファンド 又 は IP)の 所 有 者 が 低 課 税 の 法 的 管 轄 に 置 かれているという 事 実 は 所 得 が 他 の 国 々から 生 じて いるケースのほとんどにおいて 源 泉 地 国 の 課 税 権 は 二 重 租 税 条 約 に よって 制 限 されないであろうことを 意 味 している 源 泉 地 国 との 条 約 を 有 する 国 に 置 かれる 導 管 会 社 の 介 在 は このように 納 税 者 に 源 泉 地 の 課 税 を 縮 小 又 は 排 除 することで 条 約 の 特 典 を 主 張 することを

219 可 能 にするであろう さらに もし 導 管 会 社 のある 国 でその 国 内 法 の 下 で ある 特 定 の アウトバウンドの 支 払 に 源 泉 徴 収 税 が 適 用 されないか 又 は その 国 自 身 で 源 泉 地 の 源 泉 徴 収 税 の 排 除 を 規 定 している 所 得 を 産 み 出 す 資 産 の 所 有 者 の 国 との 条 約 を 有 しているのであれば 所 得 は 源 泉 地 の どのような 課 税 もなしで 所 得 を 産 み 出 す 資 産 の 所 有 者 の 元 に 送 金 する ことができる 所 得 は 低 課 税 の 法 的 管 轄 において 所 得 を 産 み 出 す 資 産 の 所 有 者 への 支 払 に 対 応 する 控 除 によって 相 殺 されるであろうから 導 管 会 社 のある 国 でのファンド 又 は IP からの 所 得 への 課 税 は 生 じない デリバティブ ある 特 定 のデリバティブのツールが 国 境 を 越 えた 支 払 についての 源 泉 徴 収 税 を 縮 小 又 は 排 除 するために 利 用 されるかもしれない 例 えば フォワード 又 は 利 子 率 スワップのようなデリバティブの 契 約 のための 手 数 料 が 経 済 的 に 利 子 の 支 払 に 置 き 換 えられることで 該 当 する 国 内 の 法 律 がこれらの 支 払 を 源 泉 地 の 課 税 の 対 象 としないことから 又 は 該 当 する 二 重 租 税 条 約 が 源 泉 地 で 所 得 に 課 税 することを 妨 げるで あろうことから これによって 源 泉 地 の 源 泉 徴 収 税 が 回 避 されるであ ろう 移 転 価 格 (Transfer pricing) 独 立 企 業 原 則 の 基 礎 をなしている 仮 定 のひとつは 取 引 の 関 係 者 のひ とつの 機 能 / 資 産 /リスクの 規 模 がより 大 きければ 大 きいほど それだ けその 予 想 される 報 酬 もより 大 きいであろう そしてその 逆 もまた 同 様 であるということである したがって このことは それらのリターン がより 都 合 良 く 課 税 されるところに 機 能 / 資 産 /リスクを 移 転 する 誘 因 を 創 出 する 基 礎 となっている 機 能 を 移 転 することは 困 難 と 思 われる 一 方 で リスク 並 びに 有 形 資 産 及 び 無 形 資 産 の 所 有 権 は まさにそれら の 性 質 から 移 転 することはより 容 易 であるだろう 多 くの 企 業 の 租 税

220 構 造 は 重 要 なリスク 及 び 評 価 しにくい 無 形 資 産 を それらのリターン が 好 都 合 の 課 税 制 度 から 利 益 を 受 けるであろう 低 課 税 の 法 的 管 轄 に 配 置 することに 焦 点 を 当 てている そのような 取 扱 いが BEPS をもたら す 又 は 要 因 となっているのであろう リスク 及 び 無 形 資 産 の 契 約 上 の 配 分 と 関 係 がある 移 転 価 格 の 取 決 め を 通 しての 所 得 の 移 転 は しばしば 困 難 な 問 題 を 伴 う 基 本 的 な 問 題 の ひとつは 納 税 者 の 特 定 のリスク 配 分 が 受 け 入 れられるべきであるとい う 実 情 を 含 むものである 独 立 企 業 基 準 の 下 で 移 転 価 格 は 一 般 的 に 関 連 者 によって 採 用 されたリスク 配 分 を 尊 重 する それらから 当 然 に 生 じると 主 張 されるそのようなリスク 配 分 と 所 得 配 分 の 結 果 は 論 争 の 原 因 になるものであろう リスクの 評 価 は 実 際 に 低 課 税 の 無 形 資 産 の 譲 受 人 が 多 国 籍 企 業 グループのために 商 業 上 の 経 営 での 無 形 資 産 の 開 発 と 使 用 に 関 連 した 重 要 なリスクを 負 っていると 取 り 扱 われるべき であるかどうかに 関 して しばしば 議 論 を 伴 う そのような 議 論 は そ のような 取 決 めの 実 質 を 検 証 して そしてそのような 取 決 めの 結 果 が それらを 全 体 で 見 て 政 策 基 準 (すなわち 税 源 浸 食 の 回 避 )と 矛 盾 し ないかどうかを 判 断 するために 税 務 当 局 の 能 力 にストレスを 与 え る グループの 中 でのリスクと 資 産 の 帰 属 に 関 わる 移 転 価 格 ルールが 事 業 体 ごとをベースに 適 用 されており このようにグループの 特 定 のメン バーの 段 階 におけるリスクの 分 離 に 基 づいて 計 画 を 立 てることを 容 易 にしている 関 連 グループのメンバーの 間 で 独 立 企 業 原 則 の 下 で 執 り 行 うことができるリスク 配 分 については 多 くの 事 例 がある( 例 えば 低 リスクの 製 造 と 販 売 研 究 開 発 の 契 約 及 びキャプティブ 保 険 ) これらのそれぞれのモデルの 下 では 本 人 / 保 険 会 社 は 低 課 税 の 法 的 管 轄 に 置 かれ そしてサービスプロバイダ/ 被 保 険 者 は 高 課 税 の 法 的 管 轄 に 置 かれることになる 重 要 な 課 題 は そのような 取 決 めが 税 源 浸 食 に 寄 与 する 結 果 をもたらす 状 況 及 び 税 源 浸 食 を 取 り 扱 う 原 則 を 判 断 す ることである

221 リスクの 移 転 に 関 連 した 取 決 めは 数 多 くの 困 難 な 移 転 価 格 問 題 を 提 起 する 基 本 的 な 段 階 において それらは リスクが 実 際 どのように 多 国 籍 企 業 グループのメンバーに 分 配 されるのか そして 移 転 価 格 ルール が 容 易 にリスク 契 約 の 配 分 を 受 け 入 れるべきであるかどうかの 問 題 の 提 起 をしている さらに それらは リスクの 契 約 上 の 配 分 を 尊 重 する ために 必 要 とされる 経 済 実 質 のレベルと 関 連 する 問 題 を 提 起 しており リスクを 管 理 する 経 営 上 の 能 力 及 びリスクを 負 担 する 金 融 の 能 力 に 関 わる 問 題 が 含 まれている 最 後 に リスクがグループメンバーの 間 で 移 転 されたときに 補 償 支 払 がなされるべきであるかの 問 題 が 生 じている 要 約 すると 移 転 価 格 ガイドラインは BEPS の 要 因 となるかもしれ ない 経 済 的 に 統 合 されたグループの 基 礎 となる 現 実 性 よりむしろ 法 的 な 構 造 ( 例 えば 契 約 上 のリスク 配 分 を 反 映 した)にあまりに 多 くの 強 調 をいくらか 置 き 過 ぎているものとみなされる 借 入 金 での 資 金 調 達 (Leverage) 現 状 のルールは 企 業 に 株 式 よりむしろ 負 債 で 自 身 の 資 金 調 達 をす ることを 促 進 している 実 際 に 国 内 及 び 国 境 を 越 えて 双 方 についての 負 債 と 株 式 の 差 別 的 な 取 扱 いは 負 債 金 融 を 求 める 誘 因 を 引 き 起 こ す 親 会 社 とその 子 会 社 が 例 えば それらが 異 なった 法 的 管 轄 に 置 か れたことから 異 なった 課 税 ルールの 適 用 を 受 けるとき 親 会 社 が 子 会 社 に 提 供 する 株 式 の 額 は グループによって 負 担 される 全 体 の 租 税 負 担 に 影 響 を 与 える このことが 負 債 金 融 についての 明 白 な 偏 見 を 引 き 起 こしており 特 に このことが 受 領 者 の 段 階 において 低 課 税 と 組 み 合 わせられるときであ る 典 型 的 なケースは 低 課 税 国 で( 又 は 統 合 的 に 同 じ 結 果 を 達 成 する 方 法 で 上 記 のハイブリッド ミスマッチに 関 する 場 合 を 参 照 せよ ) 他 のグループ 会 社 の 活 動 に 資 金 を 供 給 するために 金 融 業 者 を 設 立 する ことを 含 む それゆえに 受 領 者 の 段 階 においては 都 合 良 く 課 税 される か 又 はまったく 課 税 されない 一 方 で 支 払 は 高 課 税 される 営 業 会 社 の 課

222 税 対 象 利 益 から 控 除 されることになり したがって トータルの 租 税 負 担 を 縮 小 させることを 可 能 にしている イントラグループの 負 債 につい て 高 課 税 のグループ 会 社 の 借 入 金 で 資 金 調 達 することは グループレベ ルにおいて 節 税 を 達 成 する 非 常 に 単 純 で そして 簡 単 な 方 法 である 租 税 回 避 否 認 (Anti-avoidance) 租 税 回 避 否 認 の 基 準 は 特 定 のプランニングに 携 わること 及 び/ 又 は ある 特 定 の 結 果 を 得 ることを 禁 止 する 基 本 政 策 である 国 内 税 制 で 最 も 重 要 な 租 税 回 避 否 認 ルールとしては 以 下 のものが 含 まれるとしている 一 般 的 租 税 回 避 否 認 規 定 (General anti-avoidance rules:gaar) これは 例 えば 取 引 が 経 済 的 実 質 に 欠 けている 又 は 課 税 外 の 事 業 目 的 に 欠 ける 状 況 で 過 度 の 課 税 上 の 利 益 の 利 用 可 能 性 を 制 限 又 は 否 定 する CFC ルール この 制 度 の 下 では 非 居 住 者 の 関 連 事 業 体 によって 生 じた 税 源 浸 食 された 又 は 傷 つけられた 特 定 の 所 得 が 国 内 の 株 主 に 帰 属 する として その 所 得 が 当 該 株 主 に 送 り 返 されたかどうかにかかわらず その 時 点 で 課 税 がなされる 過 少 資 本 と 利 子 控 除 を 制 限 するその 他 のルール これらは 例 えば 債 務 者 の 負 債 資 本 比 率 が 過 度 であるとみなさ れたときに 特 定 の 利 子 費 用 の 控 除 を 否 認 する ハイブリッド 否 認 ルール これは 国 内 の 税 務 上 の 取 扱 いを 外 国 の 税 務 上 の 取 扱 いとリンクし て ミスマッチの 可 能 性 を 排 除 する 税 源 浸 食 否 認 ルール これは ある 特 定 の 支 払 に 対 してより 高 い 源 泉 税 を 課 す 又 はある 特 定 の 支 払 の 控 除 可 能 性 を 否 定 する( 例 えば ある 特 定 の 法 的 管 轄 に 存 在 する 事 業 体 にされた 支 払 ) ルールは 明 らかに 国 ごとに 異 なっており その 相 違 の 多 くが 異 なっ

223 た 法 的 な 慣 例 税 制 の 精 巧 さのレベル 及 び 税 法 の 解 釈 への 国 内 裁 判 所 のアプローチによって 説 明 することができるものである アグレッシ ブなものとそうでないものとの 間 の 境 界 線 を 正 確 に 認 識 することの 困 難 性 を 考 えるに 国 内 及 び 条 約 ベースの 租 税 回 避 否 認 規 定 は ある 戦 略 が( 納 税 者 の 見 地 から) 実 施 されるべきであるか それとも ( 歳 入 当 局 の 見 地 から) 正 当 性 を 疑 われるべきものであるかを 判 断 するベン チマークを 構 成 する さらに 既 存 のルールの 下 で 取 り 組 むことはで きないが 歳 入 組 織 レベルにおいてまだ 懸 念 が 生 じる 状 況 においては 現 在 のルールの 変 更 を 導 入 することが 必 要 かどうかを 判 断 するために 租 税 政 策 の 当 局 者 の 注 意 (attention)が 呼 び 起 こされるべきである さらに 実 際 には 租 税 回 避 否 認 ルールの 適 用 を 逃 れるため した がって 全 体 的 な 低 課 税 の 負 担 を 確 保 するために 用 いられるさまざま な 戦 略 がある これらの 戦 略 は それ 自 身 ルールに 依 存 して 明 らかに 異 なっており そして 長 い 間 に 進 展 もしている 例 えば 過 少 資 本 規 則 のようなルールは 特 に 適 切 なルールが 関 連 者 のみに 適 用 される ときには 独 立 した 第 三 者 を 通 した 資 金 調 達 に 向 けられることによっ て 避 けられるであろう しかし 追 加 株 式 を 注 入 することは 取 引 の 魅 力 をひどく 損 なうかもしれないコストを 有 している さらに 過 少 資 本 規 則 は デリバティブの 利 用 によって 避 けられるかもしれない 同 様 に 国 々は CFC ルールの 利 用 を 回 避 するためのいくつかの 戦 略 に 遭 遇 してきた これらはインヴァージョンを 含 む すなわち CFC 制 度 がない( 低 課 税 又 は 非 課 税 の) 法 的 管 轄 に 典 型 的 に 置 かれた 非 居 住 者 会 社 と グループトップの 既 存 の 親 会 社 を 置 き 換 えるような 多 国 籍 企 業 の 会 社 組 織 を 変 更 する 取 引 である 同 様 の 道 筋 に 沿 って ハ イブリッド エンティティの 利 用 は 最 終 的 な 親 会 社 の 国 において 所 得 を 課 税 目 的 で 見 えなく させるであろう このようにして 適 切 な CFC ルールの 適 用 を 避 けるわけである

224 法 人 税 の 構 造 分 析 (Analysis of corporate tax structures) 法 人 税 の 構 造 に 係 るどのような 分 析 における 重 要 な 意 見 は 大 抵 の 場 合 BEPS を 起 こすことを 可 能 にするのは 様 々な 原 則 と 慣 行 の 相 互 作 用 であるということである ある 国 での 源 泉 徴 収 税 ルール 他 方 の 国 で の 領 土 課 税 システム 及 び 第 三 国 の 事 業 体 の 性 格 付 けルールの 相 互 作 用 は ある 特 定 の 取 引 が 当 期 の 税 額 を 増 加 させず そして 様 々な 理 由 で 課 税 がない 法 的 管 轄 への 移 転 所 得 の 効 果 を 得 ることを 可 能 にするた めに 結 びつくであろう 大 抵 の 場 合 BEPS の 機 会 を 創 出 するのは 特 定 の 国 の 課 税 ルールではなく どちらかと 言 えば いくつかの 国 々ル ールが 相 互 に 影 響 し 合 う 方 法 によるものである 実 際 はどのようなストラクチャーでも 多 くの 組 み 合 わされた 戦 略 を 取 り 入 れる 必 要 があり 大 抵 の 場 合 それらは 4 つの 要 素 に 分 類 する ことができるであろう: 1 取 引 構 造 を 通 しての 総 利 益 の 移 転 又 は 支 払 者 の 段 階 における 控 除 額 の 最 大 化 による 純 利 益 の 減 額 によっての 外 国 の 営 業 国 又 は 源 泉 地 国 (しばしば 中 課 税 から 高 課 税 の 法 的 管 轄 )での 課 税 の 最 小 化 2 源 泉 地 での 低 課 税 又 は 非 課 税 の 源 泉 徴 収 税 3イント ラ グループ アレンジメントを 通 してしばしば 構 築 された 実 体 的 な 非 ルーティン 利 益 への 権 利 を 有 している 受 領 者 の 段 階 での( 低 課 税 の 法 的 管 轄 優 遇 制 度 又 はハイブリッド ミスマッチ アレンジメントを 通 し て 達 成 することができる) 低 課 税 又 は 非 課 税 及 び 4 最 終 的 な 親 会 社 の 段 階 における( 最 初 の 3 つのステップを 通 して 達 成 される) 低 課 税 の 利 益 への 現 行 税 制 の 不 存 在 さらに 効 果 的 な 現 金 の 本 国 送 還 戦 略 は 例 えば 配 当 が 資 金 の 供 給 を 必 要 とする 場 合 に 行 われるであろう もちろん 低 課 税 の 現 金 の 永 久 の 外 国 再 投 資 ( permanent foreign reinvestment)は BEPS 目 的 のために 特 定 の 税 率 のブッキングを 可 能 にするために 重 要 であろう したがって BEPS のどのような 分 析 も これらの 要 素 とそれらの 総 合 的 なドライバーの 相 互 関 係 について 認 識 をする 必 要 がある BEPS を

225 目 的 としたストラクチャーの 分 析 から 以 下 のことが 提 示 される それらの 全 体 的 な 効 果 は 実 質 的 な 経 営 と 関 連 した 利 益 のシェア を 減 らす 結 果 で イントラグループにリスクを 法 的 に 移 転 させるた めに より 多 くの 利 益 を 法 的 な 概 念 と 無 形 資 産 の 権 利 及 び 義 務 と 関 連 づける 傾 向 がある これらの 傾 向 は 長 い 間 に 経 済 が 従 来 のレ ンガとモルタルをベースとしたビジネスから より 可 動 的 な 情 報 技 術 と 無 形 資 産 をベースとしたビジネスに 進 化 してきたことから いっそう 顕 著 になってきている これらの 企 業 のタックス プランニング 戦 略 が 技 術 的 に 合 法 的 であり かつ 慎 重 に 計 画 された 様 々な 課 税 ルール 及 び 原 則 の 相 互 作 用 を 当 てにしたものである 一 方 で このタイプのタックス プラ ンニングの 全 体 的 な 効 果 は 国 内 政 策 によって 意 図 されない 方 法 で 多 くの 国 々の 法 人 税 ベースを 浸 食 することにある このことは BEPS がホーム 国 とホスト 国 によって 適 切 に 設 定 された 税 制 の 特 徴 の 組 合 せを 利 用 しているという 事 実 を 反 映 している また このこ とは 一 国 で 行 動 している どのようなひとつの 国 でも BEPS 行 動 と 効 果 的 に 戦 うことが 非 常 に 難 しいであろうということを 意 味 す る (2) 第 5 章 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 に 係 る 懸 念 への 対 応 第 5 章 では 税 源 浸 食 を 取 り 扱 うための 対 応 策 について 述 べられており BEPS への 対 応 については 以 下 のような 基 本 的 なスタンスが 示 されてい る BEPS には これまで 以 上 の 作 業 が 必 要 とされるものの BEPS が 本 当 に 起 きていることは 多 くの 指 標 から 明 白 であり そしてそれは 課 税 主 権 及 び 租 税 収 入 に 関 する 脅 威 となっている これらの 問 題 は 先 進 国 だ けのものではなく 新 興 国 や 途 上 国 にとっても 重 要 である より 重 要 な 政 策 問 題 が 存 在 しており 租 税 管 轄 を 分 配 するための 国 家 の 経 験 から 引 き 出 された 国 際 的 な 共 通 原 則 は 変 化 するビジネス 環 境 と 歩 調 を 合 わせ

226 られてきていないであろう 国 際 課 税 のための 国 内 ルール 及 び 国 際 的 に 同 意 された 基 準 は バリュ ードライバーとして 増 加 する 知 的 財 産 の 重 要 性 及 び 情 報 と 通 信 テクノロ ジーの 絶 え 間 がない 開 発 によって 特 徴 づけられる 今 日 のグローバルな 納 税 者 の 環 境 というよりむしろ いまだ より 低 い 程 度 の 国 境 を 越 えた 経 済 統 合 によって 特 徴 づけられる 経 済 環 境 に 基 礎 を 置 いている 国 際 課 税 ルールとそれらが 基 礎 となっている 政 策 は 他 方 の 国 が 課 税 をしているのであれば ある 国 は 課 税 を 控 えるであろうという 仮 定 の 上 に 構 築 されたものである 現 代 のグローバル 経 済 では どこにおいても 利 益 が 課 税 されないという 結 果 をもたらすかもしれないので この 仮 定 は 常 に 正 しいというわけではない そのうえで BEPS への 対 応 について 鍵 となる 重 要 エリア(Key pressure areas) に 次 のものが 含 まれるとしており また 以 下 のこと がポイントになるとしている 鍵 となる 重 要 エリア ハイブリッド ミスマッチ アレンジメントと 裁 定 取 引 を 含 む 事 業 体 及 び 組 織 の 性 格 づけに 係 る 国 際 的 なミスマッチ デジタル 商 品 及 びサービスの 提 供 から 生 じる 利 益 への 条 約 概 念 の 適 用 関 連 者 の 負 債 金 融 キャプティブ 保 険 及 びその 他 のイントラグルー プ 金 融 取 引 に 係 る 税 務 上 の 取 扱 い 移 転 価 格 特 に リスク 及 び 無 形 資 産 の 移 転 に 関 するもの グルー プの 中 の 法 的 主 体 の 間 の 資 産 の 所 有 権 の 人 為 的 な 分 割 及 び 独 立 企 業 間 ではほとんど 起 きないであろうそのような 法 的 主 体 間 の 取 引 租 税 回 避 否 認 手 段 の 有 効 性 特 に GAAR CFC 制 度 過 少 資 本 規 則 及 び 租 税 条 約 の 濫 用 を 防 ぐための 規 則 有 害 な 優 遇 措 置 の 利 用 可 能 性

227 BEPS への 対 応 のポイント BEPS 問 題 への 対 処 で 協 調 し 合 わないことは 課 税 管 轄 を 明 確 にし ていまも 存 在 する 二 重 課 税 に 対 処 するための 合 意 ベースのフレーム ワークを 毀 損 するという 危 険 を 冒 す 単 独 行 動 をもたらすことになろ う その 結 果 は ミスマッチの 可 能 性 の 増 加 追 加 的 な 係 争 事 業 の 不 確 実 性 の 増 加 租 税 回 避 否 認 と 称 される 手 段 を 通 しての 課 税 所 得 を 把 握 するための 初 期 の 論 争 又 は 法 人 所 得 税 に 係 る 底 辺 への 競 争 の 観 点 からの 損 害 を 与 えることになるであろう 何 年 もの 間 OECD は (i) 租 税 に 係 る 透 明 性 (ii) 租 税 条 約 (iii) 移 転 価 格 (iv) アグレッシブ タックス プランニング (v) 有 害 な 税 の 慣 行 (vi) 租 税 政 策 分 析 と 統 計 (vii) 税 務 管 理 及 び(viii) 租 税 と 開 発 の 作 業 において 租 税 問 題 に 関 して 政 府 間 における 対 話 と 協 力 を 奨 励 してきた 多 くの 指 標 が いくつかの 多 国 籍 企 業 の 租 税 行 為 が 重 大 なコンプ ライアンス 及 び 公 正 性 の 問 題 を 引 き 起 こしながら 長 い 間 によりアグ レッシブになったことを 示 している アグレッシブ タックス プラ ンニングスキームの 登 録 を 含 め アグレッシブ タックス プランニ ングに 係 る OECD の 作 業 は 数 カ 国 からの 政 府 関 係 者 によって 利 用 されている 最 近 の 国 際 的 な 課 税 基 準 が グローバルビジネス 慣 行 における 変 化 に 対 して 歩 調 を 合 わせられてこられなかったことを 示 す 特 に 無 形 資 産 のエリア 及 びデジタル 経 済 の 展 開 に 対 してである 例 としては 今 日 その 国 での 又 は 利 益 に 課 税 をする 他 方 の 国 での 課 税 プレゼンス なしに 他 方 の 国 の 経 済 生 活 に 深 く 関 与 することは 例 えば インタ ーネットを 経 由 してその 国 に 居 る 顧 客 とビジネスをすることによっ て 可 能 である 非 居 住 者 の 納 税 者 が 他 方 の 国 に 存 する 顧 客 との 取 引 から 実 質 的 な 利 益 を 得 ることができる 時 代 には 最 新 の 規 則 が 目 的 に 沿 って 適 当 で

228 あるかどうかという 問 題 が 提 起 されてきている さらに 事 業 が 国 境 を 越 えてますます 統 合 され そして 課 税 ルールが 大 抵 の 場 合 に 調 整 さ れないままであるときは 国 内 及 び 国 際 的 な 課 税 ルールの 不 均 衡 を 利 用 する 法 技 術 的 な 多 くのストラクチャーが 存 在 している 危 機 的 な 状 況 は 法 人 所 得 税 が 機 能 不 全 になることである 国 境 を 越 えた 活 動 をしてかつ 巧 みな 租 税 の 専 門 的 知 識 へのアクセスを 有 す るようないくつかの 事 業 者 が BEPS の 機 会 から 利 益 を 得 ており そ して それが 国 内 レベルでおおかた 活 動 する 企 業 と 比 べて 意 図 しない 競 争 上 の 優 位 性 を 有 するであろうときには 対 応 を 取 らないことがさ らに 競 争 を 阻 害 するであろう 多 くのBEPS 戦 略 が さまざまな 国 の 課 税 ルール 間 のインタフェー スを 利 用 しており 一 つの 国 が 単 独 で 行 動 することで この 問 題 に 対 して 十 分 に 取 り 組 むことは 困 難 であろう さらに 孤 立 した 対 応 をとる 国 によるユニラテラルで 協 調 性 のない 行 動 は 事 業 者 に 対 し 二 重 課 税 -おそらく 多 重 課 税 のリスクをもたら すことになるであろう このことは 投 資 に そして 世 界 的 規 模 での 成 長 と 雇 用 に 対 して 負 の 影 響 を 有 するであろう BEPS を 取 り 扱 うためのグローバルなアクションプランの 策 定 本 報 告 書 では 最 終 的 に 基 本 的 に 膨 大 な 相 互 作 用 要 因 が 原 因 となって いる 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 を 取 り 扱 うために 包 括 的 なアクションプランが 迅 速 に 策 定 されるべきである として 2013 年 6 月 の 公 表 で BEPS を 取 り 扱 うためのグローバルなアクションプラン( 行 動 計 画 ) を 策 定 するこ とが 述 べられている 実 質 的 に アクションプランの 策 定 は さまざまな 重 要 エリアの 間 の 関 連 性 を 考 慮 した 包 括 的 な 対 応 を 提 供 すべきであり さらに これには BEPS に 関 するもっと 良 い 情 報 とデータが 求 められるであろうとして アクショ ンプランのさまざまな 構 成 要 素 は 以 下 の 策 定 すべき 提 案 を 含 むであろう としている

229 ハイブリッド ミスマッチ アレンジメント 及 び 裁 定 取 引 の 効 力 を 終 わらせる 又 は 無 力 にする 手 段 最 近 のルールが 政 策 的 な 見 地 から 望 ましくない 結 果 を 生 み 出 して いる 特 定 エリアを 取 り 扱 うための 移 転 価 格 ルールの 改 善 又 は 明 確 化 重 要 な 特 定 エリアである 無 形 資 産 の 最 近 の 作 業 には 移 転 価 格 ル ールのより 広 範 囲 な 反 映 が 含 められる 課 税 に 係 る 法 的 管 轄 に 関 連 する 問 題 についてのアップデートされ た 解 決 策 特 に デジタル 商 品 及 びサービスのエリア これらの 解 決 策 は 租 税 条 約 の 条 項 の 改 正 を 含 む より 効 果 的 な 租 税 回 避 否 認 の 手 段 租 税 回 避 否 認 の 手 段 は 国 内 法 に 含 める 又 は 国 際 的 な 手 段 に 含 めることができる これらの 手 段 の 例 としては 一 般 的 租 税 回 避 否 認 規 定 CFC ルール LOB 条 項 及 びそ の 他 の 租 税 条 約 濫 用 防 止 規 定 がある 支 払 控 除 可 能 性 と 源 泉 徴 収 制 度 の 適 用 に 関 連 するイントラグルー プ 金 融 取 引 の 取 扱 ルール 透 明 性 と 経 済 的 実 質 のような 要 因 を 考 慮 に 入 れることで より 効 果 的 に 有 害 な 制 度 に 対 処 する 解 決 策 そのうえで 最 後 に さらに アクションプランは 政 府 が 合 意 するこ とができる 手 段 を タイムリーな 仕 方 で 実 行 するための 最 も 良 い 方 法 を 考 慮 に 入 れるであろう もし 条 約 の 改 正 が 必 要 とされるのであれば これ らの 改 正 の 迅 速 な 実 行 のための 解 決 策 が 検 討 され 同 様 に 提 案 がなされる べきである OECD は 二 重 課 税 を 排 除 するための 基 準 を 策 定 してきており そして この 目 標 の 達 成 は 保 証 されるべきであり 一 方 で 同 様 に 二 重 非 課 税 を 防 止 するための 取 組 みが 展 開 される この 点 において 包 括 的 なア プローチは 二 重 課 税 を 排 除 するための 可 能 な 改 善 も 相 互 協 議 手 続 及 び 仲 裁 規 定 の 効 率 性 の 進 展 のように 考 慮 すべきである ことが 述 べられて おり 2013 年 2 月 に 公 表 された 本 報 告 書 からわずか 4 か 月 後 の 同 年 6 月 に BEPS を 取 り 扱 うためのグローバルなアクションプラン の 策 定 に 係