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044 多発血管炎性肉芽腫症

光 輪 はさみこども 園 学 校 保 健 安 全 法 ( 第 19 条 )に 準 ずる(H24.4 改 定 ) 病 名 感 染 しやすい 期 間 登 園 のめやす 症 状 ( 発 熱 全 身 症 状 呼 吸 器 症 状 )がある 期 間 インフルエンザ ( 発 症 前 24 時 間 ~ 発 病 後

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質 を 向 上 させることが 医 療 経 済 の 効 率 化 につながると 思 われます( 図 1) 感 染 症 の 場 合 を 考 えてみます 早 期 に 診 断 し 適 正 な 治 療 をし 合 併 症 なく 早 期 に 治 癒 させることができれば 入 院 費 治 療 費 などを 減 少 させ

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こうした 経 緯 を 踏 まえ 当 該 製 剤 の 供 給 が 安 定 するまでの 間 は これら 2 疾 患 の 適 応 が 認 められていない 下 記 2 の 免 疫 グロブリン 3 製 剤 が 使 用 された 場 合 であっても 診 療 報 酬 の 審 査 にあたり 柔 軟 な 対 応 がなさ

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月 額 を100として 計 算 した 指 数 2 類 似 団 体 平 均 とは 人 口 規 模 産 業 構 造 が 類 似 している 団 体 のラスパイレス 指 数 を 単 純 平 均 し たものです 3 参 考 値 は 国 家 公 務 員 の 時 限 的 な(2 年 間 ) 給 与 改 定 臨 時

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3 薬 局 サービス 等 (1) 健 康 サポート 薬 局 である 旨 の 表 示 健 康 サポート 薬 局 である 旨 を 表 示 している 場 合 健 康 サポート 薬 局 とは かかりつけ 薬 剤 師 薬 局 としての 基 本 的 な 機 能 に 加 えて 積 極 的 な 健 康 サポート 機


Transcription:

本 日 のポイント 院 内 で 発 熱 & 下 痢 を 見 たらCDADを 疑 いCDtoxinの 迅 速 検 査 をチェックを 重 症 度 合 併 症 臨 床 経 過 に 基 づいてメトロニダゾール 又 は 経 口 バンコマイシンで 治 療 する 治 療 効 果 判 定 は 臨 床 経 過 をもってする Toxin 再 検 不 要

まずは 用 語 について CD 腸 炎 クロストリジウム 腸 炎 正 式 にはCDAD 'Clostridium difficile associated diarrhea( 国 家 試 験 的 には 偽 膜 性 腸 炎 と 類 似 厳 密 には 異 なる

CDAD 偽 膜 性 腸 炎 AAD>CDAD> 偽 膜 性 腸 炎 AADに 含 まれるCDADの 割 合 は15-25%と 言 われる CDADの 重 症 型 に 偽 膜 性 腸 炎 がある AAD:Antibiotic associated diarrhea CDAD 偽 膜 性 腸 炎

症 例 78 才 女 性 主 訴 発 熱 下 痢 既 往 歴 数 年 前 脳 梗 塞 その 後 複 数 回 誤 嚥 性 肺 炎 尿 路 感 染 症 ADL はベッド 上 長 期 臥 床

現 病 歴 5 日 前 に 急 性 腎 盂 腎 炎 の 診 断 で 入 院 し CPFX 静 注 で 治 療 され 尿 からセフェム 系 全 般 に 感 受 性 の ある 大 腸 菌 が 検 出 された 3 日 前 からセファゾリン 静 注 に 変 更 した 経 鼻 胃 管 からの 経 腸 栄 養 を 再 開 した 1 日 前 から 水 様 性 の 下 痢 が 続 き 再 度 発 熱 38 度 台 と なったため 感 染 症 科 コンサルトとなった

身 体 所 見 体 温 38.6 心 拍 数 98/min 呼 吸 数 12/min 血 圧 122/80mmHg 全 身 状 態 :それほどきつそうでない 経 鼻 胃 管 末 梢 ルート 尿 カテーテル 挿 入 されている 頭 目 耳 鼻 喉 : 異 常 なし 心 臓 :Ⅰ Ⅱ 音 正 常 雑 音 なし 胸 部 : 肺 胞 呼 吸 音 ラ 音 なし 腹 部 : 平 坦 軟 CVA 叩 打 痛 なし 腹 部 触 診 にて 筋 性 防 御 はなく 下 腹 部 おさえると 顔 をしかめ る 様 子 肝 脾 腫 なし 四 肢 : 皮 疹 なし

検 査 結 果 血 液 :WBC 21,200/μL'neut90%,lymp2%) 電 解 質 異 常 なし,BUN30mg/dL,Cr1.2mg/dL 尿 所 見 :ph 6,ケトン(3+), 蛋 白 糖 (-), RBC 1 ~3/HPF, WBC<1~3/HPF, 細 菌 (-) 便 所 見 : 粘 液 (-), 白 血 球 (+), 血 液 (-)

診 断 に 必 要 な 検 査 は? 1CD toxin 検 査 ' 便 ( 2 便 培 養 3 day ruleを 踏 まえた 上 で Clostridium difficleのみ 培 養 する? 当 院 では 不 要 な 便 培 養 が 大 変 多 い 上 記 が 陰 性 であれば 血 液 培 養 や 画 像 検 査 'CT(なども 追 加 本 例 では:CD toxinが 陽 性 であった

CDtoxin 迅 速 検 査 キット control 陽 性

注 意 : 便 培 養 について 病 院 内 で 発 症 した 下 痢 に 対 する 便 培 養 の 意 義 Clostridium difficle 以 外 の 培 便 養 は 意 味 が 無 いと 言 われている サルモネラ キャンピロバクター 腸 炎 ビブリオ 病 原 性 大 腸 菌 'O-157など( 3 日 で 菌 交 代 を 起 こ すため 院 内 の 下 痢 起 因 菌 にはならない 3 day rule 不 要 な 便 培 養 を 減 らすよう,ご 協 力 下 さい.

便 培 養 に 必 要 な 培 地

Clostridium difficile 関 連 腸 炎 clostridium difficile associated diarrhea:cdad Clostridium difficile;cdは 嫌 気 性 グラム 陽 性 桿 菌 GPR 発 見 当 時 は 培 養 するのが 難 しかった'difficult( 抗 菌 薬 により 腸 管 内 の 菌 交 代 CDが 増 加 し CDが 産 生 した Toxinが 粘 膜 障 害 起 こす リスクは 1 高 齢 2 長 期 入 院 3 抗 菌 薬 使 用 頻 度 の 高 いもの クリンダマイシン セファロスポリン 系 ( 特 に 第 2 3 世 代 ) アモキシシリン アンピシリン β ラクタマーゼ 阻 害 剤 配 合 薬 フルオロキノロン 頻 度 の 低 いもの メトロニダゾール アミノグリコシド 系 クロラムフェニコール リファンピシン アムホテリシンB エリスロマイシン テトラサイクリン ST 合 剤

1Toxinには 主 にA,Bがある 検 査 検 査 方 法 感 度 '%( 特 異 度 '%( 下 部 消 化 管 内 視 鏡 51 ほぼ100 CD 培 養 89-100 84-100 迅 速 Toxin test(eia) 63-99 75-100 2 使 用 キットがAのみ 検 出 キットか A+Bの 検 出 キットかに 注 意 3 厄 介 なことに AもBも 産 生 しないCD 株 の 報 告 も A 陰 性 &B 陽 性 株 が 存 在 するため 当 院 で 経 験 例 'CDADと 診 断 した52 例 について( 迅 速 キットが1 回 目 で 陽 性 :41 例 迅 速 キットが2 回 目 で 陽 性 :3 例 臨 床 診 断 例 :8 例 CDを 培 養 してそのコロニーをtoxin 検 査 をすれば 陽 性 だったかもしれない

重 症 度 分 類 CDADの 重 症 度 分 類 は 複 数 種 類 ある 下 記 の 項 目 を 満 たさずとも 偽 膜 があれば 重 症 と 判 定 重 症 度 分 類 は 治 療 選 択 に 重 要 であり かつ 典 型 的 な 臨 床 像 を 示 してくれる これらのうち2 項 目 以 上 を 満 たすものを 重 症 とする 年 齢 体 温 血 清 アルブミン 濃 度 白 血 球 数 >60 歳 >38.3 度 <2.5g/dl >15000/μ l 1 蛋 白 漏 出 性 胃 腸 症 を 合 併 するからAlb 低 下 2WBC 上 昇 しやすい 下 痢 の 無 い 原 因 不 明 のLeukocytosisがCDADであることも

治 療 方 針 は?1 原 則 的 には 抗 菌 薬 の 中 止 1 軽 症 であれば 経 口 メトロニダゾール'1T:250mg( 1000mg/day 4 治 療 反 応 が 悪 ければバンコマイシンへ 変 更 注 ( 現 時 点 では 保 険 適 応 外 有 害 事 象 が 起 きたら 反 論 出 来 ない? 経 口 バンコマイシン 0.5g/day 4 現 時 点 では 保 険 適 応 の 問 題 からこちらを 選 ぶことが 多 い 治 療 期 間 :10~14 日 通 常 は 数 日 以 内 に 臨 床 症 状 血 液 データが 反 応 する! 経 過 が 良 ければ10 日 程 度 で 終 了 悪 ければ14 日 前 後

治 療 方 針 は?2 2 重 症 例 経 口 バンコマイシン 内 服 0.5g/day 4 点 滴 メトロニダゾール 500mg g6h 日 本 には 原 則 として 無 い 個 人 輸 入 するか? 3イレウス Toxic megacolon 症 例 本 来 は 点 滴 メトロニダゾールだが イレウス 管 からバンコマイシン 投 与 浣 腸 でバンコマイシン 投 与 穿 孔 しないように 外 科 的 切 除 免 疫 グロブリン 投 与?

再 発 例 に 対 する 治 療 は?1 CDADでは2 回 目 までは 再 発 と 捉 えない 3 回 目 以 降 から 再 発 と 定 義 1バンコマイシンの 長 期 投 与 1week:0.5g 4 /day 7days 2week: 0.25g 2 /day 7days 3week: 0.125g 1 /day 7days 4week:0.125g 1 隔 日 投 与 5-6week: 0.125g 1 3 日 毎 2バンコマイシンとリファンピシン' 保 険 適 応 外 (の 併 用 'Rifaximinの 方 が 良 いが 日 本 に 無 い( バンコマイシン 0.5g 4 /day + リファンピシン 600mg 2 /day

再 発 例 に 対 する 治 療 は?2 3 免 疫 グロブリン 再 発 例 重 症 例 にはtoxinA.Bに 対 する 抗 体 が 上 昇 していない 症 例 がある 一 般 人 にもtoxinA.Bに 対 する 抗 体 を 持 っている 人 がおり IVIgにはtoxinに 対 する 抗 体 が 含 まれる らしい IVIg 400mg/kg 前 後 1~3 回 投 与 ' 適 切 投 与 量 が 不 明 ( 本 邦 では100mg/kg/dayが 最 大 量 効 果 は? 4 糞 便 療 法 stool transplant 健 常 人 ' 家 族 (の 便 を 経 管 で 腸 に 投 与 する やったことはありませんが 有 効 かも 日 本 人 に 受 け 入 れられる?

治 療 として 整 腸 剤 は 有 効 か? 1 一 旦 CDADを 発 症 した 人 の 再 発 を 減 らす 可 能 性 がある 'Saccharomyces boulardiiのみ 効 果 が 証 明 されている ( 2VCMやMTZと 併 用 した 方 がよいとする 証 明 はない 予 防 として' 未 発 症 の 患 者 ( 1 高 齢 者 においては 予 防 には 有 効 かもしれない 'Bifidbacterium,Lactobacillusで 効 果 が 見 られた?( ビオフェルミン ビオフェルミンR E.Faecalis,Bifidobacterium spp E.Faecalis,E.Faecium,Bifidobacterium spp,lactobacillus spp ミヤBM Clostridium butyricum( 宮 入 菌 )

効 果 判 定 は? ポイント:CD toxinの 陰 性 化 が 治 療 終 了 ではない 症 状 が 軽 快 してもCDを 保 菌 しToxinが 持 続 的 に 陽 性 と なることがある 臨 床 症 状 ' 下 痢 発 熱 腹 痛 (や 血 液 データの 改 善 を もとに 判 断

当 院 の52 例 のまとめ WBC CRP 平 均 16100/μl '200~84900/μl( 平 均 2.46mg/dl '<0.3~40.9mg/dl( 軽 症 例 : 重 症 例 : 劇 症 例 1:1:0 軽 症 例 CRP 平 均 5.6'<0.3~26.9( 重 症 例 CRP 平 均 10.3'<0.3~40.9( 治 療 法 1(メトロニダゾール 使 用 例 :7 例 '13%( 2(バンコマイシン 使 用 例 :42 例 '81%( 3( 抗 生 剤 中 止 のみ :3 例 '6%(

感 染 対 策 のポイント1 芽 胞 形 成 菌 アルコール 消 毒 が 無 効 流 水 での 手 指 衛 生 が 有 効 環 境 の 清 掃 には0.1% 次 亜 塩 素 酸 ナトリウムを 使 用 標 準 予 防 策 に 加 えて 接 触 感 染 予 防 を 追 加 する ' 入 室 時 にガウン 手 袋 など( 原 則 個 室 隔 離 個 室 が 足 りるか 場 合 によってはコホート 化

感 染 対 策 のポイント2 治 療 の 効 果 判 定 と 同 様 症 状 の 改 善 が 感 染 対 策 の 終 了 の 目 安 Toxinの 再 検 は 不 要 便 の 性 状 回 数 が 改 善 したら 感 染 対 策 は 終 了 する Toxinが 陰 性 化 したので 接 触 予 防 策 個 室 隔 離 を 解 除 した

参 考 文 献 Clostridium difficile More Difficult Than Ever N Engl J Med 359:1932, October 30, 2008 Treatment of Clostridium difficile infection. Gerding DN, Muto CA, Owens RC Jr. Clin Infect Dis. 2008 Jan 15;46 Suppl 1:S32-42.