シリーズ Predictions 2020-2030 第 1 回 未 来 の 医 療 /ライフサイエンス 企 業 はどのように 戦 うか? 要 旨 経 済 人 口 ともにアジア アフリカを 中 心 として 拡 大 し 続 ける 中 で 新 興 国 や 発 展 途 上 国 での 生 活 環 境 の 向 上 から 地 域 間 での 疾 患 構 造 の 差 が 縮 まり 多 くの 人 が 生 活 習 慣 病 に 悩 まされる2020~2030 年 の 世 界 日 本 で は 超 高 齢 化 社 会 の 到 来 とともに 医 療 先 進 国 の 欧 米 諸 国 に 一 足 遅 れて コンシューマリズムの 立 ち 上 がりや 保 険 制 度 改 革 の 動 きが 起 こっていく 刻 々と 変 化 する 人 々のニーズに 対 し 進 化 するサイエンス テクノロ ジーを 武 器 にして ライフサイエンス 企 業 は 生 き 残 りをかけた 戦 いを 強 いられるだろう 規 制 環 境 の 厳 しさか ら 最 先 端 技 術 の 実 用 化 が 迅 速 に 進 まず 医 療 全 体 としては 一 歩 遅 れている 日 本 をベースにビジネスを 展 開 す る 日 系 企 業 にとって 目 先 に 留 まらず 将 来 を 日 本 に 限 らず 世 界 を 広 く 見 通 した 上 で 次 の 一 手 を 考 え 行 動 に 移 していくことがカギとなる 本 稿 では Deloitteの 英 国 チームが2014 年 に 発 表 したPredictions 2020を 踏 まえ 2020~2030 年 における 世 界 日 本 の 医 療 の 未 来 予 想 図 とその 中 でのライフサイエンス 企 業 の 戦 い 方 について 述 べる
2020~2030 年 における 世 界 の 医 療 今 から5 年 後 さらには15 年 後 世 界 の 医 療 はどのように 変 化 しているだろうか? 2030 年 の 経 済 人 口 動 態 疾 患 構 造 市 場 構 造 のトレンドを 踏 まえ 未 来 の 世 界 における 患 者 像 や 医 療 システムについて 考 察 する 数 字 で 見 る 未 来 のトレンド 経 済 ( 図 1) 経 済 規 模 は 拡 大 中 国 インドが 牽 引 2030 年 のGDPは2010 年 の2 倍 全 体 の40%を 中 国 とインドが 占 める 医 療 費 成 長 率 は 先 進 国 で 鈍 化 アジア アフリカで 著 しく 成 長 図 1: 経 済 規 模 各 国 シェアおよび 成 長 率 出 所 : Deloitte 分 析 人 口 動 態 ( 図 2) 世 界 人 口 はアフリカを 中 心 に 今 後 も 増 加 の 一 途 2030 年 の 人 口 規 模 は2010 年 の1.2 倍 の84 億 人 に 到 達 5 人 に1 人 がアフリカ 人 に 世 界 的 な 高 齢 化 都 市 化 が 進 行 2030 年 の 高 齢 者 人 口 は 全 体 の12%を 占 める10 億 人 に 到 達 世 界 人 口 の60%が 都 市 部 に 集 中 2
図 2: 人 口 と 都 市 化 率 出 所 : Deloitte 分 析 疾 患 構 造 ( 図 3) 生 活 習 慣 病 が 蔓 延 特 に 心 疾 患 がんによる 死 亡 者 が 増 加 2030 年 の 生 活 習 慣 病 による 死 亡 者 は2008 年 の1.5 倍 の5,500 万 人 に 到 達 7 割 を 心 疾 患 がんが 占 める 新 興 国 や 発 展 途 上 国 の 疾 患 構 造 が 先 進 国 化 2030 年 の 新 興 国 の 疾 患 構 造 は 現 在 の 先 進 国 並 み アフリカも 現 在 の 新 興 国 並 みとなる 図 3: 疾 患 構 造 (1990~2010 年 の 経 年 変 化 に 基 づく2030 年 の 予 測 ) * DALYs: Disability-Adjusted Life Years Source : Institute for Health Metrics and Evaluation, University of Washington, Global Burden of Disease (GBD) Visualizations Communicable, maternal, neonatal, and nutritional disorders Non-communicable diseases Injuries 3
市 場 構 造 中 心 は 依 然 として 医 療 用 医 薬 品 市 場 健 康 増 進 予 防 を 目 的 としたヘルスケア 市 場 を 含 む 裾 野 が 拡 大 患 者 像 : 患 者 からヘルスケアコンシューマーへ 健 康 に 対 する 責 任 意 識 の 高 まりからコンシューマリズムが 拡 大 患 者 自 身 が 最 適 な 医 療 サービスを 選 択 しベネフィットを 最 大 化 する 動 きをとるようになる 患 者 による 電 子 的 な 健 康 記 録 管 理 や 情 報 交 換 が 活 発 化 患 者 が 共 通 のプラットフォームを 通 じて 電 子 健 康 記 録 を 管 理 し 自 由 に 共 有 活 用 するとともに 医 薬 品 や 医 療 施 設 の 評 価 を 含 む 様 々な 情 報 について オンラインコミュニティ 上 でやり 取 りするようになる ヘルスケアコンシューマー 化 した 人 々のニーズが 二 極 化 医 療 を 嗜 好 品 と 捉 えて 保 険 適 応 外 の 診 断 治 療 を 積 極 的 に 受 ける 一 部 の 高 所 得 者 層 を 中 心 とした 動 きと 医 療 を 必 需 品 と 捉 えて 保 険 適 応 範 囲 内 の 診 断 治 療 を 必 要 最 小 限 で 受 ける 大 多 数 の 人 々 の 動 きが 見 られる 医 療 システム: 医 療 の 範 囲 が 拡 大 医 療 の 中 心 は 治 療 から 予 防 予 後 へと 拡 大 健 康 体 であることが 社 会 のステータスと 化 すことで コンシューマーの 予 防 に 対 する 意 識 が 飛 躍 的 に 高 まる 同 時 に 日 常 生 活 の 中 で 無 意 識 的 に 身 体 の 変 化 を 記 録 管 理 することが 可 能 になることで かかりつけ 医 による 予 後 のモニタリングが 最 適 化 される 対 象 とする 医 療 ライフサイクルの 広 がりに 伴 い 提 供 される 製 品 サービス が 拡 大 診 療 データやバイタルデータなどのビッグデータ 解 析 に 基 づく 予 防 のための 健 康 増 進 アドバイス サービスが 提 供 される 予 後 においては 遠 隔 診 断 治 療 を 可 能 にする 高 性 能 小 型 デバイスの 実 用 化 が 進 む 遠 隔 医 療 の 技 術 発 展 により 医 療 の 場 が 拡 大 3Dプリンタや 手 術 支 援 ロボット 3Dメガネの 活 用 により 術 前 のシミュレーションや 遠 隔 手 術 が 可 能 に また チップインピルの 処 方 により 患 者 の 服 薬 履 歴 やバイタルデータデータをリアルタイムに 遠 隔 で 把 握 することが 可 能 になり どこでも 最 先 端 の 医 療 が 受 けられるようになる 4
2020~2030 年 における 日 本 の 医 療 世 界 的 な 人 口 増 加 の 一 方 で 2030 年 には 日 本 人 口 は1.2 億 人 まで 減 少 し 3 人 に1 人 が 高 齢 者 という 超 高 齢 化 社 会 を 迎 える 圧 倒 的 な 規 模 の 高 齢 者 を 支 えるべく 日 本 の 医 療 はどのような 変 化 を 遂 げるのだろうか? 主 要 な 傾 向 として 想 定 される 以 下 の 三 点 について 具 体 的 に 見 ていこう コンシューマリズムの 立 ち 上 がりに 伴 い 患 者 や 保 険 者 の 影 響 力 が 増 加 保 険 制 度 の 抜 本 的 な 建 て 直 しに 伴 い 成 果 重 視 や 保 険 者 責 任 の 傾 向 に 進 化 したサイエンス テクノロジーも 活 用 してより 高 い 成 果 を 追 求 した ソリューション 提 供 が 増 加 コンシューマリズムの 立 ち 上 がりに 伴 い 患 者 や 保 険 者 の 影 響 力 が 増 加 マイナンバーに 続 く 医 療 用 の 個 人 IDの 導 入 により カルテ 情 報 を 含 む 電 子 健 康 記 録 を 患 者 自 身 が 一 元 管 理 し オンラインコミュニティを 介 して 得 られた 情 報 も 活 用 しながら 積 極 的 に 治 療 意 思 決 定 に 関 与 するようにな る 皆 保 険 制 度 の 存 在 に 加 え 健 康 寿 命 の 長 さゆえ 健 康 的 な 生 活 を 意 識 的 に 送 る 習 慣 が 少 ない 国 民 性 によ り 健 康 維 持 / 疾 病 予 防 に 対 する 意 識 は 直 ぐには 高 まらず また 医 師 への 信 頼 も 比 較 的 厚 いことから 自 ら 医 療 を 選 択 するコンシューマリズムの 立 ち 上 がりは 欧 米 と 比 べて 緩 やかだろう ただし 後 述 の 保 険 制 度 の 見 直 しにより コンシューマーを 管 理 する 保 険 者 ( 本 稿 では 行 政 企 業 相 当 の 主 体 を 指 す)からの 健 康 維 持 への 強 制 力 が 高 まると コンシューマリズムが 一 気 に 加 速 する 可 能 性 もある このような 環 境 下 では ライフサイエンス 企 業 にとっての 顧 客 像 も 様 変 わりし 個 別 の 医 師 (KOL 処 方 医 )や 医 療 施 設 を 中 心 として 患 者 生 活 者 までを 広 く 対 象 とすることや 保 険 者 / 医 療 施 設 / 患 者 を 一 括 りにした 医 療 圏 単 位 でのアプローチが 求 められるようになる( 図 4) 図 4:ステークホルダーの 治 療 意 思 決 定 への 影 響 力 出 所 : Deloitte 分 析 H:High M:Middle L:Low 5
保 険 制 度 の 抜 本 的 な 建 て 直 しに 伴 い 成 果 重 視 や 保 険 者 責 任 の 傾 向 に 経 済 成 長 が 限 定 的 な 日 本 の 財 政 状 況 では 高 齢 化 の 進 展 や 生 活 習 慣 病 の 増 加 などに 伴 う 医 療 費 増 加 を 支 えきれず 保 険 制 度 の 抜 本 的 な 見 直 しが 行 われ 報 酬 体 系 の 基 準 が 行 為 から 成 果 に 変 わるだろう つ まり これまでのように 処 置 や 処 方 といった 行 為 に 対 して 一 律 で 報 酬 が 支 払 われることはなくなり 成 果 が 上 がった 行 為 のみが 償 還 対 象 として 選 別 されるようになる また 成 果 の 基 準 も 厳 格 になり 投 薬 の 奏 効 の ような 治 療 上 の 成 果 だけではなく 症 状 の 緩 和 / 寛 解 による 健 康 状 態 の 回 復 やQOLの 大 幅 な 改 善 などの 健 康 上 の 成 果 や 重 症 化 予 防 による 医 療 費 の 大 幅 な 削 減 などの 医 療 経 済 上 の 成 果 も 求 められるように なるだろう このような 流 れの 中 で 保 険 者 は 管 轄 下 にある 人 々の 保 険 収 支 に 責 任 を 持 つこととなり その 結 果 として 医 療 とその 成 果 に 対 して 積 極 的 に 介 入 するようになる また 公 的 保 険 でカバーされない 医 療 に 対 する 人 々の 関 心 の 高 まりを 背 景 に 民 間 保 険 者 はアドオンとしての 医 療 保 険 の 提 供 を 拡 大 し 保 障 内 容 や 保 険 料 加 入 基 準 などが 細 分 化 されたリスク 変 動 型 保 険 が 増 えていく ( 例 ) 新 たな 医 療 システム 健 康 医 療 情 報 管 理 システム 診 療 健 診 情 報 に 加 え バイタルデータ バイオ ロジックデータ 生 活 環 境 情 報 など 健 康 医 療 に 関 わる 様 々な 情 報 を 一 元 的 に 管 理 する 国 内 共 通 プラットフォームが 構 築 され 個 人 による 情 報 の 共 有 活 用 のみならず 製 品 サービス 開 発 などを 目 的 とした 産 業 での 活 用 も 推 進 されてい る 地 域 包 括 ケアシステム 日 常 生 活 圏 域 単 位 で 住 居 医 療 介 護 予 防 生 活 支 援 が 一 体 的 に 提 供 され 保 険 収 支 改 善 状 況 に 対 する 責 任 が 明 確 化 される 個 別 化 医 療 保 険 コンシューマーの 志 向 に 合 わせた 民 間 の 医 療 保 険 が 浸 透 し 自 由 診 療 による 治 療 投 薬 が 促 進 される ( 例 ) 将 来 的 な 保 険 者 の 取 り 組 み 地 域 医 療 連 携 の 更 なる 推 進 日 常 生 活 圏 域 ごとの 人 口 動 態 に 合 わせて 適 正 な 量 質 の 医 療 施 設 を 配 置 し 高 度 医 療 など 利 用 頻 度 の 少 ない 医 療 施 設 は 他 の 地 域 と 共 有 す るような 連 携 体 制 により リソースの 適 正 配 分 を 行 う 早 期 診 断 早 期 介 入 の 強 制 保 険 者 の 指 示 に 従 わない 場 合 には 保 険 料 の 引 き 上 げや 罰 金 の 支 払 いのペナルティを 課 すなど 強 制 的 に 早 期 診 断 早 期 介 入 を 行 い 一 人 当 た り 医 療 費 を 低 減 する 疾 患 リスクの 把 握 介 入 健 診 情 報 やバイタルデータなどのヘルスレコード の 分 析 により 個 人 ごとの 疾 患 リスクを 把 握 し 食 事 運 動 療 法 といった 軽 微 な 策 から 医 療 施 設 での 検 査 治 療 までを 含 む 適 切 な 対 応 策 を 指 導 する 6
進 化 したサイエンス テクノロジーも 活 用 してより 高 い 成 果 を 追 求 した ソリューション 提 供 が 増 加 生 命 科 学 バイオ 技 術 の 発 展 により 生 体 情 報 が 高 度 に 可 視 化 され 臓 器 組 織 再 生 が 汎 用 化 する 一 方 IT ユビキタス 技 術 の 発 展 によりロボット 共 生 社 会 高 度 ユビキタス 社 会 が 到 来 する モノづくり 技 術 により 極 小 製 品 が 登 場 ゼロ エミッション 工 場 でオーダーメイド 製 品 が 自 動 生 産 されるまでに 進 化 する このような 最 先 端 の 技 術 を 用 いながら より 高 い 成 果 を 追 求 するために 治 療 を 目 的 とした 個 別 製 品 提 供 か ら 予 防 や 予 後 も 視 野 に 入 れた 複 数 製 品 サービスを 組 み 合 わせた ソリューション 提 供 へと 製 品 サービス の 幅 が 広 がっていくだろう それに 伴 い これまでとは 異 なる 新 たなプレーヤーが 他 業 種 からも 続 々と 参 入 し 競 争 環 境 が 激 変 することが 想 定 される( 図 5) 図 5:ライフサイクル 製 品 サービス 群 の 広 がり 出 所 : Deloitte 分 析 7
ライフサイエンス 企 業 の 戦 い 方 環 境 変 化 に 伴 い ライフサイエンス 企 業 の 戦 い 方 も 大 きく 形 を 変 えることとなる ビジネスの 前 提 となる 市 場 やルール また コアビジネスとしての 研 究 開 発 活 動 や 営 業 マーケティング 活 動 それらを 支 える コーポレート 機 能 の 四 つの 観 点 から 考 察 する 市 場 で 戦 う から 市 場 を 創 る ルールに 従 う から ルールを 創 る へ 既 存 の 製 品 やサービス 制 度 を 前 提 とした 今 見 えている 市 場 を 対 象 に 事 業 を 考 えるのではなく 新 たな 市 場 を 創 ることを 目 指 し そのためにルールを 自 ら 創 る/ 変 えることを 厭 わない 姿 勢 が 求 められる 今 後 は 再 生 医 療 や 遺 伝 子 検 査 など これまでにない 製 品 サービスの 実 現 が 期 待 される 中 で それらを 成 立 させる あるいは 世 に 受 け 入 れてもらうためのルール 形 成 および 世 論 形 成 を 積 極 的 に 進 めていくことが 必 要 だろう 同 様 に 新 興 国 や 発 展 途 上 国 においても 将 来 的 な 市 場 成 熟 を 待 つのではなく 医 療 の 普 及 段 階 からの 関 与 や 独 自 のプライシングモデルの 採 用 などによる 積 極 的 な 市 場 開 拓 が 求 められる クローズド から オープン へ ~ 幅 広 い 領 域 でのイノベーションが 起 こる 場 の 構 築 ~ 研 究 開 発 活 動 においては これまでのような 発 症 後 の 対 症 療 法 ではなく 予 防 段 階 からのリスク 回 避 や 疾 患 の 根 治 を 目 指 した 製 品 サービスの 創 出 が 求 められる 研 究 開 発 の 領 域 が 幅 広 くなるため 外 部 内 部 リソー ス 活 用 にも 変 革 が 必 要 となるだろう 例 えば 同 業 他 業 種 企 業 やアカデミア 研 究 機 関 を 巻 き 込 んだ 柔 軟 な 協 働 関 係 を 構 築 する あるいは 社 内 の 研 究 開 発 者 の 人 材 像 キャリアパス 評 価 などを 見 直 しイノベーショ ンが 推 奨 促 進 される 環 境 を 整 えるといったことが 変 革 のカギとなる 売 り 込 む から 解 決 する へ ~ 最 適 なコマーシャルモデルの 構 築 ~ 営 業 マーケティング 活 動 においては これまでのように 医 療 現 場 における 診 断 治 療 上 のニーズに 応 えるだ けでなく より 幅 広 い 医 療 課 題 の 解 決 やニーズの 充 足 を 付 加 価 値 として 提 供 することが 求 められる その 実 現 に 向 けては 医 師 中 心 の 現 在 から 行 政 企 業 へと 広 がっていくステークホルダーのニーズを 正 確 に 把 握 す ること 対 象 となるステークホルダー 提 供 する 製 品 サービス の 組 み 合 わせによって 複 数 のアプローチを 使 い 分 けることが 必 要 となり これまで 個 別 に 活 動 してきた3つのM=Marketing/ Medical/ Market Access が 一 体 となってこれらに 取 り 組 むことが 重 要 となるだろう 管 理 者 から ビジネスパートナー へ ~ 戦 略 立 案 実 行 支 援 機 能 を 備 えたコーポレート 部 門 の 実 現 ~ 複 雑 性 が 高 まる 将 来 の 事 業 環 境 においては 直 近 の 収 益 を 確 保 するだけでなく 長 期 的 な 収 益 源 / 競 争 優 位 性 を 担 保 するために 一 定 規 模 以 上 の 柔 軟 な 投 資 枠 の 設 定 と 共 に 機 動 的 な 戦 略 資 源 配 分 見 直 しを 可 能 とする 厳 格 な 管 理 が 求 められる 戦 略 的 柔 軟 性 を 確 保 することで 刻 々と 変 化 する 状 況 に 応 じて 適 切 なシナリオを 選 択 できるようにすべきである これは ヒト モノ カネいずれのリソースにも 当 てはまり これら のマネジメントをリードするファイナンス 部 門 人 事 部 門 といったコーポレート 部 門 は 戦 略 参 謀 を 担 うビジネス パートナーとしての 役 割 強 化 が 必 要 となるだろう 加 えて 競 争 優 位 性 の 確 保 やビジネス 自 体 の 継 続 性 を 左 右 しかねないコーポレートレピュテーションのマネジメント 機 能 強 化 も 求 められる 8
おわりに ここまでに 述 べたように 今 後 の 環 境 変 化 に 伴 い 将 来 の 医 療 や 市 場 はこれまでと 全 く 異 なる 様 相 を 呈 する ことが 見 込 まれる その 前 提 では 今 の 高 収 益 な 事 業 から 一 歩 踏 み 出 すリスクよりも 今 の 事 業 に 固 執 し 続 けるリスクの 方 が 高 いといえ 変 化 を 先 取 りすることが 将 来 の 市 場 における 成 功 には 不 可 欠 と 考 える 本 稿 以 降 に 続 くシリーズ Predictions 2020-2030 では 将 来 想 定 される 環 境 変 化 を 大 胆 に 予 測 し ライフ サイエンス 企 業 が 向 かうべき 方 向 性 への 示 唆 を 提 示 していく 9
コンタクト 長 川 知 太 郎 パートナー ライフサイエンス & ヘルスケア デロイト トーマツ コンサルティング 合 同 会 社 080 2003 8638 tnagakawa@tohmatsu.co.jp 柳 本 岳 史 シニアマネジャー ライフサイエンス & ヘルスケア デロイト トーマツ コンサルティング 合 同 会 社 080 3367 2639 tyanagimoto@tohmatsu.co.jp 大 谷 郁 子 マネジャー ライフサイエンス & ヘルスケア デロイト トーマツ コンサルティング 合 同 会 社 080 4360 8206 iotani@tohmatsu.co.jp 上 西 洋 一 マネジャー ライフサイエンス & ヘルスケア デロイト トーマツ コンサルティング 合 同 会 社 080 4359 6335 ykaminishi@tohmatsu.co.jp デロイト トーマツ グループは 日 本 におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド( 英 国 の 法 令 に 基 づく 保 証 有 限 責 任 会 社 )のメンバーファームおよびそ のグループ 法 人 ( 有 限 責 任 監 査 法 人 トーマツ デロイト トーマツ コンサルティング 合 同 会 社 デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー 合 同 会 社 税 理 士 法 人 トーマツおよびDT 弁 護 士 法 人 を 含 む)の 総 称 です デロイト トーマツ グループは 日 本 で 最 大 級 のビジネスプロフェッショナルグループ のひとつであり 各 法 人 がそれぞれの 適 用 法 令 に 従 い 監 査 税 務 法 務 コンサルティング ファイナンシャルアドバイザリー 等 を 提 供 しています また 国 内 約 40 都 市 に 約 7,900 名 の 専 門 家 ( 公 認 会 計 士 税 理 士 弁 護 士 コンサルタントなど)を 擁 し 多 国 籍 企 業 や 主 要 な 日 本 企 業 をクライアント としています 詳 細 はデロイト トーマツ グループWebサイト(www.deloitte.com/jp)をご 覧 ください Deloitte(デロイト)は 監 査 コンサルティング ファイナンシャルアドバイザリーサービス リスクマネジメント 税 務 およびこれらに 関 連 するサービスを さまざまな 業 種 にわたる 上 場 非 上 場 のクライアントに 提 供 しています 全 世 界 150を 超 える 国 地 域 のメンバーファームのネットワークを 通 じ デロイ トは 高 度 に 複 合 化 されたビジネスに 取 り 組 むクライアントに 向 けて 深 い 洞 察 に 基 づき 世 界 最 高 水 準 の 陣 容 をもって 高 品 質 なサービスを 提 供 して います デロイトの 約 210,000 名 を 超 える 人 材 は standard of excellence となることを 目 指 しています Deloitte(デロイト)とは 英 国 の 法 令 に 基 づく 保 証 有 限 責 任 会 社 であるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド( DTTL )ならびにそのネットワーク 組 織 を 構 成 するメンバーファームおよびその 関 係 会 社 のひとつまたは 複 数 を 指 します DTTLおよび 各 メンバーファームはそれぞれ 法 的 に 独 立 した 別 個 の 組 織 体 です DTTL(または Deloitte Global )はクライアントへのサービス 提 供 を 行 いません DTTLおよびそのメンバーファームについての 詳 細 は www.deloitte.com/jp/about をご 覧 ください 本 資 料 は 皆 様 への 情 報 提 供 として 一 般 的 な 情 報 を 掲 載 するのみであり その 性 質 上 特 定 の 個 人 や 事 業 体 に 具 体 的 に 適 用 される 個 別 の 事 情 に 対 応 するものではありません また 本 資 料 の 作 成 または 発 行 後 に 関 連 する 制 度 その 他 の 適 用 の 前 提 となる 状 況 について 変 動 を 生 じる 可 能 性 もあ ります 個 別 の 事 案 に 適 用 するためには 当 該 時 点 で 有 効 とされる 内 容 により 結 論 等 を 異 にする 可 能 性 があることをご 留 意 いただき 本 資 料 の 記 載 のみに 依 拠 して 意 思 決 定 行 動 をされることなく 適 用 に 関 する 具 体 的 事 案 をもとに 適 切 な 専 門 家 にご 相 談 ください 2015. For information, contact Deloitte Tohmatsu Consulting LLC. Member of Deloitte Touche Tohmatsu Limited