EXCEL を 用 いたヒストグラムの 作 成 2009 年 度 基 礎 文 献 購 読 配 布 資 料 明 治 学 院 大 学 国 際 学 部 岩 村 英 之 1. 準 備 EXCEL による 計 算 の 基 本 操 作 以 下 では,EXCEL の 基 本 操 作 として, 式 入 力 による 計 算 コピー/ペーストを 利 用 した 繰 り 返 し 計 算 関 数 を 用 いた 計 算 一 部 の 数 値 を 固 定 した 繰 り 返 し 計 算 について 説 明 します. 実 際 に EXCEL を 起 動 し,このマニュアル 通 りに 入 力 し, 出 力 結 果 を 確 かめてみてください. 1.1 式 入 力 による 計 算 まず,A1 セルから B5 セルに 下 の 図 のように 数 値 を 入 力 してください. 入 力 する 前 に,キーボ ードの 英 数 (スペースキーのすぐ 左 側 にある)を 押 して, 半 角 モードにしてください.EXCEL は, 全 角 で 入 力 された 数 字 を 文 字 として 扱 い, 数 字 として 扱 ってくれません. 次 に,セル C1 に 次 のように 入 力 し,enter を 押 してください. +A1+B1 すると, 12 という 数 値 がセル C1 に 出 力 されるはずです. これは,セル C1 の 入 力 が セル A1 と B1 を 足 しなさい という 命 令 だったため,コンピュータ はセル A1 の 数 値 1 と B1 の 数 値 11 を 足 して,12 という 数 値 を 出 力 してきたためです. 命 令 の 最 初 についている + は, これから 入 力 する 内 容 は 式 ですよ というサインです.こ れをつけないで,ただ A1+B1 と 入 力 してしまうと,コンピュータは 文 字 列 だと 判 断 し, 計 算 せずにそのまま A1+B1 という 文 字 を 出 力 してきます. 次 に,かけ 算 をやってみましょう. D1 セルに +A1*B1 と 入 力 し,enter を 押 してください.コンピュータはセル A1 とセル B1 のか け 算,すなわち 1 11 を 実 行 し,D1 セルに 11 と 出 力 してくるはずです.このように,かけ 算 には * (アスタリスク)を 用 います. 1
一 方, 割 り 算 をさせたいときは / (スラッシュ)を 使 います.E1 セルに +A1/B1 と 入 力 し, enter を 押 してください. セル A1 セル B1 すなわち 1 11 の 結 果 である 0.0909 が 出 力 されるはずです. 1.2 コピー/ペーストを 利 用 した 繰 り 返 し 計 算 先 ほど,C1 セルに となりのふたつのセルを 合 計 する (A1+B1)という 命 令 を 入 力 しました. 同 じ 計 算 を C2 から C5 でも 実 行 したい 場 合,いちいち 各 セルに +A2+B21 +A3+B3 +A4+B4 と 入 力 していくのは 面 倒 です. 同 じ 計 算 を 繰 り 返 したい そこで, 次 のような 簡 便 な 方 法 があります. まず,セル C1 をコピーしてください(セル C1 にカーソルを 移 動 し, 編 集 コピー ). 次 に,セル C2 から C5 までを 範 囲 指 定 し, 編 集 ペースト. すると,セル C2 から C5 に 足 し 算 の 結 果 が 出 力 されるはずです. これは, 最 初 の コピー&ペースト によって,セル C1 の 右 側 のふたつのセルを 合 計 しなさい という 計 算 式 が C2 から C5 にコピーされたためです.このように, 計 算 式 が 入 力 されている セルを コピー&ペースト すると, 計 算 結 果 12 ではなく, 右 側 の2つのセルを 合 計 しろ と いう 計 算 式 そのものがコピーされます.この 性 質 を 利 用 すれば, 同 じ 式 を 繰 り 返 し 入 力 する 手 間 が 省 けます. 同 じように, 先 ほどかけ 算 式 を 入 力 した D1 セルをコピーし,D2 から D5 にペーストすれば,か け 算 が 繰 り 返 されます. 同 様 に,E1 セルをコピーして E2 から E5 にペーストすれば, 割 算 が 繰 り 返 されます.これらは 各 自 試 してみてください. 1.3 関 数 を 用 いた 計 算 セル A6 に +sum(a1:a5) と 入 力 し,enter を 押 してください. 関 数 sum( : )は, から までの 数 値 を 合 計 せよ という 命 令 です. 従 って,ここでは A1 から A5 までの 合 計 である 15 という 数 値 が 出 力 されたはずです. 2
次 に,セル B6 に +max(b1:b5) と 入 力 し,enter を 押 してください. また,セル B7 には +min(b1:b5) と 入 力 し,enter を 押 してください. これらは, セル B1 から B5 までの 中 で 最 大 値 (max) 最 小 値 (min)を 見 つけよ という 命 令 で す.したがって,B6 には 最 大 値 15 が,B7 には 最 小 値 11 がそれぞれ 出 力 されるでしょう. 最 大 値 / 最 小 値 を 見 つけるこれらの 関 数 は,データの 数 が 膨 大 なときには 必 要 不 可 欠 です. 1.4 固 定 した 数 値 を 用 いた 繰 り 返 し 計 算 先 ほどの 操 作 で,セル A6 には 15 が 出 力 されているはずです. ここで,セル F1 に +A1/A6 と 入 力 し enter を 押 してください. 1 15 の 答 えである 0.0666. が 出 力 されるはずです. 次 に,セル A2 からセル A5 の 数 値 も, 同 じようにセル A6 で 割 りたいとしましょう.このとき,や はり +A2/A6 +A3/A6 +A5/A6 と 次 々に 入 力 していくのは 面 倒 です.そこで,たいてい の 初 心 者 は 1.2 でやったように,セル F1 をコピーして,セル F2 からセル F5 にペーストしてし まいます.しかし, 残 念 ながらセル F2 からセル F5 には 下 の 図 のように 予 想 外 の 結 果 が 出 力 されてしまうでしょう.. これは,セル F1 をセル F2 にコピーすると, +A1/A6 が +A2/A7 になってしまうからです.す.......... なわち,A1 が A2 へとずれるだけでなく,A6 のほうも A7 にズレてしまうのです. 同 様 に,F2 にペーストすると,A1 が A3 へとズレると 同 時 に,A6 のほうも A8 にズレてしまいます.A7 や A8 には 何 の 数 値 も 入 力 されていないので,EXCEL はこれらを 0 と 判 断 します.したがって, F2 や F3 には A2 0 A3 0 の 結 果 が 出 力 されてしまうのです. ペーストしてもセル A6 はズレていかないようにする,つまり A6 を 固 定 したまま 繰 り 返 し 計 算 を するためには, 最 初 のセルである F1 に +A1/$A$6 と 入 力 する 必 要 があります. $ は, コピ ー&ペーストしてもセル A6 だけは 動 かすな という 命 令 です. 実 際 に,セル F1 に +A1/$A$6 と 入 力 した 後,セル F1 をコピーして F2 から F5 へとペーストし てみてください. 確 かに, A2 A6, A3 A6, A4 A6, A5 A6 の 結 果 が 出 力 され るはずです. 3
以 上 で 必 要 最 低 限 の 準 備 は 整 いましたので, 次 にヒストグラム 作 成 の 手 順 を 説 明 しましょう. 2. ヒストグラムの 作 成 手 順 教 科 書 p.23 の 女 子 大 生 の 体 重 のデータを 用 いて,EXCEL を 利 用 して 度 数 分 布 表 ヒスト グラムを 作 成 する 手 順 を 説 明 します. 手 順 1. 教 科 書 にある 体 重 データを A2 セルから A81 セルまで 入 力 する. * 私 のウェブサイトに 入 力 済 みファイル(weight.xls)がアップされていますので, 面 倒 な 場 合 はダウンロードして 使 ってください. http://www1.meijigakuin.ac.jp/~iwamura/ 4
手 順 2. 度 数 分 布 表 をつくる 準 備 をする. C1 に 階 級 下 限,D1 に 階 級 上 限,E1 に 階 級 値,F1 に 度 数,G1 に 相 対 度 数 とそれぞれ 入 力 する. 手 順 3. 各 階 級 の 範 囲 を 決 め,その 下 限 と 上 限 を C 列 と D 列 に 入 力 していきます. 教 科 書 によれば, 最 初 の 階 級 は 36kg から 40kg です.したがって,C2 セルに 36 を,D2 セルに 40 をそれぞれ 入 力 します. 以 下,2 番 目 以 降 の 階 級 についても 同 様 に,その 上 限 と 下 限 を 入 力 していきます. 手 順 4. E 列 に 階 級 値 を 入 力 します. 階 級 値 は 階 級 の 中 間 の 値 に 設 定 するのが 一 般 的 なので, 各 階 級 の 階 級 値 は 次 の 式 で 計 算 します. E2 セルには 最 初 の 階 級 の 階 級 値 が 入 りますので,E2 セルに +(C2+D2)/2 と 入 力 し,enter を 押 します.これは, C2 セルと D2 セルの 数 値 を 足 して2で 割 った 数 値 を 求 めよ という 命 令 です. 最 初 の + を 忘 れないよう 気 をつけてください. 以 下 の 階 級 についても 同 じことを 繰 り 返 せばよいので, 準 備 1.2 で 学 んだ 方 法 に ならって,たったいま 計 算 した E2 セルをコピーして,E3 から E8 にペーストしてくだ... さい.こうすると,E2 と 同 じ 計 算 を,セルを 一 段 ずつずらしながら E3 から E8 につい ても 実 行 してくれます. 以 下 のような 結 果 が 得 られるはずです. 5
これで 度 数 分 布 表 を 作 る 用 意 ができましたので, 実 際 に 度 数 をカウントしていきま しょう. 手 順 5. 各 階 級 の 度 数 のカウントには, 分 析 ツール を 用 います. EXCEL の データ メニューから データ 分 析 を 選 択 してください. 次 のようなボックスが 現 れますので, ヒストグラム を 選 択 し, OK をクリックしま す. 手 順 6. ヒストグラム 画 面 が 現 れますので, 入 力 範 囲 と データ 区 間 を 指 定 していきま す. 入 力 範 囲 とはデータの 入 力 されている 範 囲 のことです.ここでは,A2 から A81 に 体 重 データが 入 力 されていますので,1に A2:A81 と 入 力 します. データ 区 間 とは, 各 階 級 の 上 限 のことです.ここでは D2 から D8 に 入 力 されて いますので,2に D2:D8 と 入 力 します. 6
1 2 OK をクリックすれば,EXCEL が 度 数 をカウントし,その 結 果 を 新 しいワークシ ートに 表 示 します. 結 果 は 次 のように 表 示 されます. 頻 度 と 書 いてあるところに 度 数 が 出 力 されています. 手 順 7. B2 から B8 までをコピーし(B9 まで 含 めないように 注 意 すること), 最 初 に 作 成 して おいた 表 の 度 数 の 列 に 貼 付 けます. 手 順 8. 相 対 度 数 を 計 算 します. 最 初 に F9 セルに +sum(f2:f8) と 入 力 し,enter を 押 してください. データの 合 計 である 80 が 出 力 されるはずです. 次 に, 相 対 度 数 を 計 算 するために,F2 から F8 までをデータ 数 80(セル F9)で 割 る 必 要 があります.そこで,はじめに G2 セルに +F2/$F$9 と 入 力 し,enter を 押 してく ださい. すると,1 番 目 の 階 級 の 相 対 度 数 が 出 力 されます. 7
このとき, $F$9 という 具 合 に $ をつけることに 気 をつけてください. $ が 必 要 な 理 由 は 準 備 1.4 で 説 明 した 通 りです. F2 セルをコピーし,F3 から F8 までにペーストすると,2 番 目 から7 番 目 までの 階 級 の 相 対 度 数 が 出 力 されます. 以 上 で 度 数 分 布 表 が 完 成 しました. 次 に, 表 をグラフ 化 してヒストグラムを 作 成 する 手 順 に 入 ります. 手 順 9. ヒストグラムに 必 要 なデータは, 階 級 値 と 度 数 のみです. 従 って, 階 級 値 と 度 数 が 入 力 されている E1 から F8 までを 範 囲 指 定 し, 挿 入 メニ ューから 縦 棒 を 選 択 してください. 範 囲 指 定 8
下 のように, 縦 棒 グラフのさらに 細 かい 種 類 が 現 れますので, 左 上 のもっともシ ンプルなものを 選 んでください. 下 のようなグラフが 現 れますが, 横 軸 が 階 級 値 になっていません.これを 直 すた め,ポインタをグラフの 上 にもってきて 左 クリックし, 現 れたメニューから データの 選 択 を 選 択 してください. 下 のようなボックスが 現 れますので, 横 軸 ラベル の 編 集 をクリックしてくださ い. 9
次 のようなボックスが 現 れます. 私 たちは 階 級 値 を 横 軸 に 指 定 したいのですから, 階 級 値 の 入 っているセル,E2 から E8 までを 指 定 して, OK をクリックします. 元 の 画 面 に 戻 りますので, OK をクリックしてください. 横 軸 が 階 級 値 になっていることを 確 認 してください. 手 順 10. グラフにはタイトルがあると 親 切 です. 一 方,このグラフの 場 合 凡 例 は 不 要 で す. 次 にこれらを 処 理 しましょう. グラフをクリックしてアクティヴにすると,メニューに グラフツール というものが 現 れます.その 中 の レイアウト を 選 択 してください. グラフのレイアウトに 関 する 様 々なメニューが 出 てきますので,タイトルや 凡 例 な ど 見 やすくなるよう 工 夫 してみてください. 下 は,タイトルを 加 えて 凡 例 を 取 り 除 いた 例 です. 10
( 注 ) 大 学 の PC にインストールされている OFFICE のヴァージョンが 2007 であるため, 以 上 の 説 明 には EXCEL2007 の 画 面 を 用 いています.ただ, 皆 さんの 中 には EXCEL2003 を 使 っている 人 も 多 いと 思 います. 実 は, 私 も 2003 ユーザでしたが,このマニュアルを 作 成 するために 2007 を 使 い 始 めました.ですが,2003 を 用 いて 同 様 の 作 業 を 行 う 場 合 も 基 本 的 な 発 想 は 同 じ なので,さほど 苦 労 しませんでした.とは 言 え,2003 と 2007 とでは 画 面 がかなり 異 なってくる ため 戸 惑 うこともあるでしょう.2003 ユーザの 方 は,かつて 私 が 作 成 したマニュアル( 画 面 は mac ですが windows もほとんど 同 じです)のほうも 参 考 にしてください.ファイルは 私 のウェブ サイトに 置 いてあります. http://www1.meijigakuin.ac.jp/~iwamura/ むろんレポートは 2007,2003 どちらで 作 成 しても 構 いません. 参 考 文 献 縄 田 和 満 (2000), EXCEL による 統 計 入 門 ( 第 2 版 ), 朝 倉 書 店. * 特 に 第 6 章 を 参 考 にしました. * 現 在 は 第 3 版 が 出 ています. 第 3 版 は 2007 に 対 応 しています. 11