主 要 記 事 の 要 旨 中 国 のソフト パワー 戦 略 その 理 念 的 側 面 を 中 心 として 鎌 田 文 彦 1 中 国 では 従 来 どおりの 政 治 経 済 関 係 を 中 心 とした 外 交 は 継 続 しつつも それだけでは 中 国 の 国 力 の 増 進 にとって 不 十 分 であり 文 化 を 中 心 とした ソフト パワー の 強 化 が 急 務 であると 考 えられている 2007 年 に 開 催 された 中 国 共 産 党 第 17 回 全 国 代 表 大 会 の 活 動 報 告 の 中 で 胡 錦 濤 総 書 記 が 国 の 文 化 ソフト パワーの 向 上 に 言 及 して 以 来 ソフト パワー は 中 国 の 対 外 政 策 の 重 要 課 題 と 位 置 づけられている 2 ソフト パワー は もともと 米 国 の 安 全 保 障 問 題 の 専 門 家 ジョセフ ナイが 提 唱 し た 概 念 で 軍 事 力 などによる 強 制 や 経 済 力 による 報 酬 の 提 供 によるのではなく 国 の 魅 力 によって 望 む 結 果 を 得 る 能 力 であり 自 国 が 望 む 結 果 を 他 国 も 望 むようにし 他 国 を 無 理 やり 従 わせるのではなく 味 方 につけてしまう 力 である 3 ソフト パワーの 源 泉 として 社 会 主 義 の 核 心 的 価 値 体 系 が 置 かれていることに 見 られる ように 中 国 のソフト パワー 論 は 中 国 の 政 治 社 会 の 現 状 を 反 映 した きわめて 中 国 的 特 色 の 強 いものであり ナイが 当 初 提 起 した 内 容 とは 趣 を 異 にする 中 国 的 解 釈 が 多 分 に 含 まれている 4 ソフト パワー 強 化 のために 文 化 産 業 振 興 策 が 推 進 されているが 特 に 政 策 的 に 重 視 さ れているアニメ 産 業 においては 短 期 間 のうちに 量 的 な 発 展 を 遂 げてはいるものの 国 際 的 な 競 争 力 を 獲 得 するには 至 っておらず 産 業 構 造 の 調 整 世 界 に 通 じる 独 創 的 な 作 品 の 創 造 市 場 競 争 の 活 性 化 の 必 要 性 などが 論 議 されている 5 世 界 各 国 に 設 立 されている 孔 子 学 院 は 語 学 教 育 機 関 に 止 まらず 中 国 の 伝 統 文 化 の 紹 介 や 文 化 交 流 をとおして 中 国 の 国 家 イメージの 向 上 に 貢 献 しており 中 国 のソフト パ ワー 強 化 の 機 能 を 果 たしていると 評 価 されている 6 中 国 は 今 後 も 文 化 体 制 改 革 を 推 進 し ソフト パワーと 国 際 競 争 力 の 強 化 に 重 点 を 置 いた 対 外 政 策 を 継 続 する 方 針 である 2
レファレンス 平 成 22 年 9 月 号 中 国 のソフト パワー 戦 略 その 理 念 的 側 面 を 中 心 として 外 交 防 衛 調 査 室 鎌 田 文 彦 目 次 はじめに Ⅰ ソフト パワーとは 何 か 1 ナイのソフト パワー 論 2 中 国 におけるソフト パワー 論 の 受 容 Ⅱ 党 中 央 によるソフト パワー 論 の 展 開 1 胡 錦 濤 総 書 記 のソフト パワー 論 2 劉 雲 山 のソフト パワー 論 3 中 国 のソフト パワー 論 の 特 色 Ⅲ 情 報 発 信 と 文 化 交 流 の 諸 相 1 文 化 産 業 振 興 計 画 2 アニメ 産 業 3 孔 子 学 院 おわりに 国 立 国 会 図 書 館 調 査 及 び 立 法 考 査 局 35
はじめに 改 革 開 放 政 策 がとられてからの 約 30 年 富 むことができる 者 から 先 に 富 む という 鄧 小 平 が 唱 導 した 先 富 論 のスローガンのもと 中 国 は 経 済 発 展 の 道 を 驀 進 してきた しかし 21 世 紀 に 入 り とりわけ 胡 錦 濤 総 書 記 温 家 宝 首 相 による 指 導 体 制 となってからの 中 国 では 国 内 的 にも 対 外 的 にも 経 済 中 心 の 政 策 に 対 する 微 調 整 が 図 られているように 思 われる その 1 つの 表 れが 調 和 社 会 ( 原 語 は 和 諧 社 会 ) 実 現 の 方 針 である 確 かに 富 める 者 は 富 んだが 都 市 住 民 と 農 民 の 収 入 格 差 は 拡 大 し 東 部 沿 海 地 域 と 西 部 内 陸 地 域 の 地 域 間 格 差 も 開 く 一 方 である 社 会 に 不 公 平 感 が 蔓 延 する なかで 社 会 格 差 の 是 正 党 と 政 府 の 幹 部 の 腐 敗 の 摘 発 公 の 論 理 のもとに 軽 視 されてきた 住 民 の 権 利 保 護 など 社 会 的 公 正 を 追 求 する 施 策 が 重 視 されている 一 方 対 外 政 策 に 関 しては 従 来 どおりの 政 治 経 済 関 係 を 中 心 とした 外 交 は 継 続 しつつも それだけでは 中 国 の 国 力 の 増 進 にとって 不 十 分 であるとして 文 化 を 中 心 とした ソフト パワー ( 中 国 語 では 軟 実 力 )の 充 実 こそ 急 務 であるという 主 張 が 学 術 言 論 界 からも 更 には 党 と 政 府 のトップからも 提 起 されるように なってきた 2007 年 に 開 催 された 第 17 回 党 大 会 では 胡 錦 濤 総 書 記 が 活 動 報 告 の 中 で 国 の 文 化 ソフト パワーの 向 上 に 言 及 し (1) ソ フト パワー は 中 国 の 対 外 政 策 の 重 要 課 題 と 位 置 づけられるようになった ソフト パワー は もともと 米 国 の 安 全 保 障 問 題 の 専 門 家 ジョセフ ナイ(Joseph S. Nye, Jr.)が 提 唱 した 概 念 であり 軍 事 力 経 済 力 な どの ハード パワー とは 区 別 される 国 の 魅 力 によって 望 む 結 果 を 得 る 能 力 である (2) 中 国 はその 概 念 を 受 容 して 中 国 独 自 の 解 釈 を 加 えて 自 らの 国 家 戦 略 の 中 に 取 り 入 れ 具 体 的 な 国 内 対 外 政 策 に 活 用 しつつある 現 在 中 国 で 論 じられているソフト パワー 論 は きわめて 中 国 的 特 色 の 強 いもののよ うに 思 われる 一 方 そのような 新 しい 概 念 に 基 づいて 従 来 にない 施 策 が 展 開 されているこ とも 事 実 である ここに 現 代 中 国 固 有 の 動 向 の 一 端 が 表 現 されているようにも 思 われる 本 稿 では ナイによるソフト パワー 論 を 概 観 したうえで 中 国 でそれがどのように 解 釈 され どのような 政 策 目 標 が 立 てられているか を 紹 介 し またソフト パワー 強 化 のためにと られている 諸 施 策 についてもふれることとす る Ⅰ ソフト パワーとは 何 か 1 ナイのソフト パワー 論 米 国 の 著 名 な 安 全 保 障 問 題 専 門 家 でハー バード 大 学 ケネディスクール 教 授 のジョセフ ナイは 1990 年 に 米 国 が 衰 退 しつつあると いう 当 時 主 流 となっていた 論 調 に 反 論 して 米 国 は 軍 事 力 と 経 済 力 だけでなく ソフト パワー と 名 付 けた 第 三 の 側 面 でも 最 強 であると 論 じ た これがソフト パワー 論 の 嚆 矢 とされてい る (3) その 後 ナイの 使 用 したソフト パワー の 概 念 は 徐 々に 学 界 マスコミ 界 政 界 に 浸 透 していった ナイによれば ソフト パワーとは 軍 事 力 などによる 強 制 や 経 済 力 による 報 酬 の 提 供 に ⑴ 胡 锦 涛 在 中 国 共 产 党 第 十 七 次 全 国 代 表 大 会 上 的 报 告 (7) 2007.10.25. 中 国 共 産 党 新 聞 ネット http://cpc.people.com.cn/gb/64093/67507/6429849.html ⑵ ジョセフ S. ナイ( 山 岡 洋 一 訳 ) ソフト パワー 21 世 紀 国 際 政 治 を 制 する 見 えざる 力 日 本 経 済 新 聞 社, 2004, p.10.( 原 書 名 :Joseph S. Nye, Jr., Soft Power: the Means to Success in World Politics, New York: Public Affairs, 2004.) ⑶ 同 上, p.12. 36
中 国 のソフト パワー 戦 略 よるのではなく 魅 力 によって 望 む 結 果 を 得 る 能 力 であり (4) 自 国 が 望 む 結 果 を 他 国 も 望 むよ うにし 他 国 を 無 理 やり 従 わせるのではなく 味 方 につけてしまう 力 である (5) ソフト パワー は 軍 事 力 とも 経 済 力 とも 違 う 種 類 の 手 段 を 使 う 共 通 の 価 値 の 魅 力 と その 価 値 を 実 現 する ために 貢 献 することが 正 当 であり 義 務 でもあ るとの 感 覚 である (6) ナイは ソフト パワーの 源 泉 を 3 点 挙 げ ている 第 一 が 文 化 であり 他 国 がその 国 の 文 化 に 魅 力 を 感 じることが 条 件 になる 第 二 が 政 治 的 な 価 値 観 であり 国 内 と 国 外 でその 価 値 観 に 恥 じない 行 動 をとっていることが 条 件 にな る 第 三 が 外 交 政 策 であり 正 当 で 敬 意 を 払 わ れるべきものとみられていることが 条 件 にな る (7) ナイは 国 家 が 追 求 する 目 標 には 直 接 的 で 具 体 的 な 所 有 目 標 と 民 主 主 義 を 広 めや すい 環 境 を 作 ることのような 幅 広 い 環 境 目 標 の 2 種 類 が 考 えられ 国 家 は 外 交 政 策 により この 2 つの 目 標 をうまく 追 求 していくことが 重 要 であるが ソフト パワーは このうちの 環 境 目 標 の 実 現 にとって 特 に 重 要 であると 論 じ ている 民 主 主 義 人 権 市 場 開 放 を 広 める にあたっては ソフト パワーが 決 定 的 な 役 割 を 果 たす (8) そして 米 国 も 他 の 国 も 対 外 戦 略 策 定 に あたっては 軍 事 力 経 済 力 などのハード パ ワーにのみ 着 目 するのではなく ソフト パワー をより 理 解 し 行 使 することが 重 要 であり 両 者 をともに 重 視 するのが スマート パワー であると 結 論 付 けている (9) 2 中 国 におけるソフト パワー 論 の 受 容 中 国 では ナイがソフト パワーの 概 念 を 提 起 した 直 後 の 1990 年 代 初 頭 から 国 際 政 治 学 者 がその 概 念 に 注 目 し ナイの 考 え 方 を 紹 介 し ナイの 著 作 の 翻 訳 出 版 が 進 められた しか し 学 術 界 と 政 界 で ソフト パワー 論 が 特 に 重 要 視 されるようになるのは 21 世 紀 に 入 っ てからである (10) 2002 年 11 月 に 開 催 された 中 国 共 産 党 第 16 回 全 国 代 表 大 会 において 当 時 の 江 沢 民 総 書 記 は 活 動 報 告 の 中 で 文 化 建 設 と 文 化 体 制 改 革 の 必 要 性 を 訴 えた 党 大 会 報 告 で 文 化 の 問 題 が 正 面 から 取 り 上 げられたのはこれが 初 めてで あった (11) また 2003 年 になると 江 沢 民 の 後 を 継 い だ 胡 錦 濤 総 書 記 は 国 際 社 会 における 中 国 の 役 割 と 姿 勢 に 関 して 平 和 的 台 頭 論 (12) を 提 起 した これは 中 国 が 追 求 する 経 済 発 展 のため には 安 定 的 な 周 辺 環 境 が 必 要 であり 諸 外 国 と の 協 調 は 不 可 欠 で 中 国 が 台 頭 しても 諸 外 国 の 脅 威 にはならないという 主 張 であった これを ⑷ 同 上, p.10. ⑸ 同 上, p.26. ⑹ 同 上, pp.28-29. ⑺ 同 上, p.34. ⑻ 同 上, p.42. ⑼ 同 上, p.15. なお 原 著 では ソフト パワーは 次 のように 表 現 されている It (Soft power) is the ability to get what you want through attraction rather than coercion or payments. (Nye, op.cit. ⑵, p. ⅹ.) また より 簡 潔 に the ability to attract attractive power とも 表 現 されている(ibid., p.6.) ⑽ 曹 东 近 年 来 国 内 外 关 于 软 实 力 研 究 的 综 述 领 导 科 学 2009 年 35 期, 2009.12, pp.46-47. ⑾ 江 泽 民 全 面 建 设 小 康 社 会, 开 创 中 国 特 色 社 会 主 义 事 业 新 局 面 在 中 国 共 产 党 第 十 六 次 全 国 代 表 大 会 上 的 报 告 2002.11.8. 中 国 共 産 党 新 聞 ネット http://cpc.people.com.cn/gb/64162/64168/64569/65444/4429118.html ⑿ 平 和 的 台 頭 ( 原 語 は 和 平 崛 起 )は 国 際 的 に 流 布 していた 中 国 脅 威 論 の 緩 和 をねらいとして 胡 錦 濤 政 権 が 提 起 したスローガンであるが その 後 あまり 用 いられなくなった 最 近 では 中 国 の 国 際 社 会 への 姿 勢 を 示 すスローガンとしては より 温 和 な 平 和 的 発 展 ( 和 平 発 展 ) 調 和 世 界 ( 和 諧 世 界 )などが 使 われている 前 掲 注 ⑴ 参 照 37
契 機 として 国 際 社 会 における 中 国 の 現 状 と 将 来 のあり 方 外 交 政 策 のあり 方 が 盛 んに 論 議 さ れるようになり そこでソフト パワーという 概 念 が あらためて 注 目 をあびることとなった のである 学 界 では 中 国 のソフト パワーの 源 泉 その 向 上 のための 方 策 などについての 研 究 が 進 められた (13) 胡 錦 濤 総 書 記 は 2006 年 11 月 に 開 催 された 中 国 文 学 芸 術 界 連 合 会 と 中 国 作 家 協 会 の 合 同 の 全 国 代 表 大 会 で 講 話 を 行 い いかに 我 が 国 の 文 化 発 展 の 方 向 を 定 め 民 族 文 化 の 新 たな 輝 き を 創 造 し 我 が 国 の 文 化 の 国 際 競 争 力 を 増 強 し 国 のソフト パワーを 高 めるかという 問 題 は 我 々にとって 差 し 迫 った 重 要 課 題 である と 述 べた 党 の 文 献 において ソフト パワー と いう 言 葉 が 使 用 されたのはこれが 初 めてと 言 わ れている (14) そして ソフト パワーは ついに 中 国 共 産 党 の 全 国 代 表 大 会 の 活 動 報 告 でも 言 及 される に 至 る Ⅱ 党 中 央 によるソフト パワー 論 の 展 開 1 胡 錦 濤 総 書 記 のソフト パワー 論 ⑴ 第 17 回 党 大 会 における 活 動 報 告 2007 年 10 月 に 開 催 された 中 国 共 産 党 第 17 回 全 国 代 表 大 会 では 胡 錦 濤 総 書 記 が 第 16 回 大 会 の 江 沢 民 報 告 を 引 き 継 いで 今 後 の 大 方 針 として 中 国 の 文 化 を 大 いに 発 展 させること の 必 要 性 を 訴 えた 現 代 では 文 化 は 民 族 の 凝 集 力 と 創 造 力 の 重 要 な 源 泉 であり 総 合 的 な 国 力 競 争 の 重 要 な 要 素 となっている 豊 かな 文 化 生 活 は 我 が 国 人 民 の 熱 望 するところである 社 会 主 義 の 精 神 文 化 の 方 向 を 堅 持 し 社 会 主 義 文 化 建 設 の 新 たな 高 まりを 惹 起 し 全 民 族 の 文 化 創 造 力 を 活 性 化 し 国 の 文 化 ソフト パワーを 向 上 させ 人 民 の 基 本 的 な 文 化 に 対 する 権 利 を 保 護 し 社 会 文 化 生 活 をより 豊 富 多 彩 にし 人 民 の 精 神 的 風 格 を 高 めなければならない (15) 胡 錦 濤 総 書 記 は 中 国 の 文 化 繁 栄 のために 次 の 4 点 の 方 針 を 提 起 している 1 社 会 主 義 の 核 心 的 価 値 体 系 を 確 固 としたも のとし 社 会 主 義 イデオロギーの 吸 引 力 と 凝 集 力 を 増 強 する 2 調 和 文 化 ( 原 語 は 和 諧 文 化 )を 確 立 し 文 明 的 な 品 格 を 涵 養 する 3 中 華 文 化 を 宣 揚 し 中 華 民 族 共 有 の 精 神 世 界 を 構 築 する 4 文 化 的 創 造 を 推 進 し 文 化 発 展 の 活 力 を 強 化 する そして これからの 中 国 の 文 化 政 策 につい て 次 のように 締 めくくっている 中 華 民 族 の 偉 大 な 復 興 のためには 中 華 文 化 の 繁 栄 と 隆 盛 が 絶 対 に 必 要 である 人 々が 文 化 建 設 における 主 体 性 を 十 分 に 発 揮 できるよう にし 広 範 な 文 化 従 事 者 の 積 極 性 を 引 き 出 し 更 に 自 覚 的 に 更 に 主 体 的 に 文 化 の 大 発 展 大 繁 栄 を 推 進 し 中 国 の 特 色 のある 社 会 主 義 の 偉 大 な 実 践 において 文 化 を 創 造 し 人 々が 文 化 発 展 の 成 果 を 享 受 できるようにしなければなら ない (16) ⑵ 全 国 宣 伝 思 想 工 作 会 議 での 胡 錦 濤 講 話 2008 年 1 月 21 日 から 23 日 まで 党 の 全 国 の 宣 伝 活 動 の 責 任 者 を 集 めて 全 国 宣 伝 思 想 工 作 会 議 が 開 かれた そこでも 第 17 回 党 大 会 の 胡 錦 濤 報 告 を 受 けて 中 国 のソフト パワー の 強 化 が 強 調 された 党 中 央 政 治 局 常 務 委 員 で 文 化 問 題 を 担 当 する 李 長 春 は 会 議 の 場 で 文 化 体 制 改 革 を 推 進 し 公 共 の 文 化 サービスの 充 実 をはかり 文 ⒀ ⒁ ⒂ ⒃ 曹 前 掲 注 ⑽, pp.46-49. 夏 海 军 章 佳 林 试 论 胡 锦 涛 文 化 软 实 力 思 想 理 论 界 2010 年 1 期, 2010.1, p.16. 前 掲 注 ⑴ 同 上 38
中 国 のソフト パワー 戦 略 化 産 業 を 発 展 させて 人 々の 文 化 的 要 求 を 満 た すことができるようにしなければならない と 述 べた また 社 会 主 義 文 化 を 発 展 させ 国 の 文 化 ソフト パワーを 向 上 させ 対 外 的 な 宣 伝 活 動 を 強 化 し 中 国 の 文 化 製 品 やサービスの 対 外 進 出 ( 原 文 は 走 出 去 )を 加 速 し 中 華 文 化 の 国 際 的 影 響 力 を 強 化 しなければならないと 訴 えた (17) また 胡 錦 濤 総 書 記 は 会 議 で 行 った 講 話 の 中 で 全 国 の 中 央 と 地 方 の 党 の 思 想 宣 伝 活 動 の 責 任 者 に 対 して 文 化 の 発 展 を 促 進 し 国 の 文 化 ソフト パワーを 向 上 させ 人 々の 基 本 的 な 文 化 的 権 利 を 保 障 し 社 会 文 化 生 活 をより 豊 富 で 多 彩 なものにするとの 第 17 回 党 大 会 で 定 めた 方 針 に 沿 って 宣 伝 思 想 活 動 を 各 地 で 展 開 するよう 指 示 した (18) このように 中 国 のソフト パワーの 充 実 は 中 国 共 産 党 の 思 想 宣 伝 活 動 の 中 心 的 な 課 題 とし て 位 置 づけられたのである 2 劉 雲 山 のソフト パワー 論 中 国 共 産 党 中 央 政 治 局 委 員 中 央 書 記 処 書 記 で 党 の 中 央 宣 伝 部 長 を 務 める 劉 雲 山 は 党 の 広 報 宣 伝 活 動 の 総 責 任 者 である その 劉 雲 山 が 胡 錦 濤 総 書 記 のソフト パワー 論 をうけ て その 詳 細 な 解 説 を 行 う 文 章 を 前 述 の 全 国 宣 伝 思 想 工 作 会 議 の 後 に 発 表 している ここに 党 中 央 のイメージする 中 国 のソフト パワーの あり 方 が より 詳 細 に 展 開 されているので そ の 要 旨 を 紹 介 する 劉 雲 山 のソフト パワー 論 は 中 国 の 政 治 社 会 の 現 状 を 反 映 した きわめ て 中 国 的 特 色 の 強 いものであり ナイが 当 初 提 起 した 内 容 とは 趣 を 異 にする 中 国 的 解 釈 が 多 分 に 含 まれている 劉 雲 山 は 中 国 のソフト パワー 強 化 のた めの 要 件 として 次 の 7 点 を 挙 げている (19) ⑴ 社 会 主 義 文 化 の 発 展 を 促 進 国 の 文 化 ソフト パワーの 向 上 のために 文 化 建 設 の 重 要 性 緊 急 性 を 充 分 に 認 識 し 社 会 主 義 文 化 の 発 展 を 推 進 しなければならない 文 化 は 民 族 の 血 脈 魂 であり 国 の 発 展 民 族 振 興 の 重 要 な 支 柱 である 文 化 は 国 の 核 心 的 な 競 争 力 の 重 要 要 素 であり 総 合 国 力 の 競 争 にお いて 代 替 不 可 能 な 機 能 を 果 す 文 化 が 発 展 し 強 大 なソフト パワーを 有 する 国 は 激 烈 な 国 際 競 争 において 主 動 的 な 地 位 を 確 立 することが できる 小 康 社 会 の 全 面 的 な 建 設 (20) のためには 充 足 した 物 質 生 活 と 共 に 豊 富 で 健 全 な 文 化 生 活 が 必 要 である 現 在 の 中 国 の 文 化 は 全 体 的 に 発 展 レベルが 低 く 経 済 社 会 の 発 展 レベルと 比 較 すると 均 衡 を 欠 き 小 康 社 会 実 現 の 目 標 から 見 ても 遅 れており 人 々の 日 増 しに 増 大 する 精 神 文 明 に 対 する 需 要 からしても 不 十 分 である 中 国 の 経 済 社 会 が 発 展 の 新 たな 段 階 に 進 み 国 の ソフト パワーを 強 化 し 人 々の 文 化 に 対 する 渇 望 を 満 足 させるために 社 会 主 義 文 化 を 大 い に 繁 栄 させる 必 要 がある ⑵ 社 会 主 義 の 核 心 的 価 値 体 系 の 樹 立 ソフト パワーは しばしば 民 族 の 凝 集 力 として 表 現 される そして この 凝 集 力 は 主 に 人 々の 核 心 的 価 値 についての 共 有 認 識 に 由 来 す ⒄ 李 长 春 以 改 革 创 新 精 神 开 创 宣 传 工 作 新 局 面 2008.1.23. 中 国 ネット http://www.china.com.cn/news/ txt/2008-01/23/content_9576393.htm ⒅ 胡 锦 涛 在 北 京 同 全 国 宣 传 思 想 工 作 会 议 代 表 座 谈 2008.1.23. 人 民 ネット http://pic.people.com.cn/gb /8229/105628/105908/6808326.html ⒆ 以 下 の 劉 雲 山 のソフト パワー 論 は 刘 云 山 更 加 自 觉 更 加 主 动 地 推 动 社 会 主 义 文 化 大 发 展 大 繁 荣 2008.1.31. 中 国 共 産 党 新 聞 ネット http://cpc.people.com.cn/gb/64162/82819/114926/114927/6844715.html による ⒇ 小 康 社 会 は 国 民 全 体 がまずまずの 生 活 レベルを 維 持 する 状 態 であり 胡 錦 濤 政 権 は 2020 年 までに 全 面 的 な 小 康 社 会 を 実 現 するという 国 家 目 標 を 掲 げている 2020 年 の 国 民 1 人 当 たりの 国 内 総 生 産 を 2000 年 の 4 倍 にすることが 小 康 社 会 実 現 の 目 安 とされている 前 掲 注 ⑴ 参 照 39
る 社 会 主 義 の 核 心 的 価 値 体 系 を 文 化 活 動 の 様 々な 分 野 に 溶 け 込 ませるよう 努 力 しなければ ならない 文 化 作 品 は 核 心 的 価 値 体 系 の 重 要 な 表 現 手 段 であり 暗 黙 のうちに 人 々の 思 想 観 念 価 値 判 断 および 道 徳 情 操 に 影 響 を 与 える 文 化 に 従 事 する 人 々は 各 種 の 文 化 形 式 により 社 会 主 義 の 核 心 的 価 値 体 系 の 深 い 内 容 と 精 神 的 実 質 を 表 現 するのに 巧 みでなければならない 社 会 主 義 の 核 心 的 価 値 体 系 を 唱 導 する 優 秀 な 芸 術 作 品 を 組 織 的 に 制 作 し 人 々を 啓 発 しなけれ ばならない 社 会 主 義 の 核 心 的 価 値 体 系 の 確 立 のために は マルクス 主 義 の 指 導 的 位 置 を 堅 持 し 一 元 的 な 指 導 思 想 により 多 様 な 社 会 思 潮 を 牽 引 し 積 極 的 で 健 康 的 で 向 上 心 のある 主 流 のイデオロ ギーを 発 展 させなければならない ⑶ 調 和 文 化 の 形 成 調 和 文 化 は 社 会 の 調 和 を 実 現 するための 源 泉 であり 人 々が 団 結 進 歩 するための 重 要 な 精 神 的 支 柱 であり 国 の 文 化 ソフト パワー 向 上 にとって 重 要 な 機 能 を 果 す 調 和 文 化 の 形 成 のために 誠 実 と 責 任 の 意 識 を 強 め 道 徳 意 識 の 向 上 をはからなければならない 社 会 全 体 のモラルの 向 上 を 目 指 し 模 範 的 なコミュニティ 企 業 事 業 体 の 形 成 ボラン ティア 活 動 募 金 寄 付 活 動 にせ 商 品 撲 滅 運 動 旅 行 マナー 向 上 などの 運 動 を 広 範 に 展 開 し 個 々 人 と 社 会 全 体 のモラルの 向 上 をはかる ⑷ 中 華 文 化 の 振 興 国 の 文 化 ソフト パワーを 向 上 させるには 民 族 文 化 に 対 する 自 信 を 持 ち 優 秀 な 中 華 文 化 の 伝 統 を 基 礎 とし そこに 外 来 の 健 全 で 有 益 な 文 化 を 補 い 中 国 の 特 色 があり 中 国 の 風 格 が あり 中 国 の 気 脈 のある 優 秀 な 文 化 を 大 いに 発 展 させなければならない 外 来 文 化 に 対 して 具 体 的 な 分 析 を 行 い 主 体 的 に 有 益 なものを 選 択 して 中 国 の 文 化 建 設 に 役 に 立 つ 経 験 や 成 果 を 大 胆 に 吸 収 し 手 本 とするが 自 らの 理 想 信 念 原 則 は 堅 持 して 腐 朽 した 思 想 文 化 の 浸 蝕 を 許 さず 国 の 文 化 的 安 全 を 防 御 する ⑸ 文 化 創 造 活 動 の 推 進 文 化 生 産 力 の 解 放 と 発 展 を 重 視 し 文 化 体 制 改 革 を 着 実 に 推 進 する 文 化 の 吸 引 力 と 影 響 力 を 強 化 するため 優 れたコンテンツの 創 造 を 奨 励 する また 文 化 の 伝 達 メディアについて も その 創 造 の 促 進 をはかる ⑹ 中 国 文 化 の 総 合 力 と 国 際 競 争 力 の 向 上 公 的 な 文 化 サービス 提 供 の 体 系 を 確 立 し ニュース 出 版 ラジオ 映 画 テレビ 文 学 芸 術 事 業 の 発 展 をはかり 人 々の 文 化 に 対 する 欲 求 を 満 たすようにしなければならない 多 様 な 分 野 レベルの 需 要 に 応 えるために 新 たな 文 化 産 業 構 造 の 形 成 をはかる 国 内 資 源 と 国 際 資 源 国 内 市 場 と 世 界 市 場 の 双 方 を 見 据 えたうえで 中 国 の 文 化 製 品 と サービスの 対 外 進 出 を 推 進 する 経 済 のグロー バル 化 の 背 景 のもとに 中 国 の 文 化 の 発 展 をは かるには 国 内 市 場 を 占 有 すると 共 に 世 界 市 場 を 積 極 的 に 開 拓 し 中 華 文 化 がより 広 く 世 界 に 向 かうことができるようにしなければならな い ⑺ 組 織 的 指 導 の 強 化 党 と 政 府 は 文 化 建 設 を 従 来 以 上 に 重 視 し 必 要 な 施 策 を 策 定 し 法 規 を 整 備 し 資 金 の 投 入 を 増 加 しなければならない 文 化 活 動 に 従 事 する 人 材 の 育 成 に 力 を 入 れ 社 会 各 方 面 の 力 を 総 動 員 して 文 化 建 設 を 支 持 しなければならな い 3 中 国 のソフト パワー 論 の 特 色 以 上 が 現 在 の 中 国 の 指 導 部 によるソフト パワーのイメージとその 強 化 のための 要 件 であ る (21) 中 国 で 論 じられているソフト パワー 論 の 第 一 の 特 色 は ソフト パワーの 源 泉 として 社 40
中 国 のソフト パワー 戦 略 会 主 義 の 価 値 体 系 が 置 かれていることにある 社 会 主 義 は 文 化 活 動 の 様 々な 分 野 に 浸 透 すべ きものであり マルクス 主 義 による 一 元 的 な 指 導 思 想 が 多 様 な 社 会 思 潮 を 牽 引 すべきとされ ている これは 党 による 指 導 が 社 会 のあらゆ る 分 野 に 貫 徹 される 中 国 においては 当 然 のこと とみなされるかもしれない しかし このよう な 観 点 は ナイが 民 主 主 義 人 権 市 場 開 放 を 広 めるにあたっては ソフト パワーが 決 定 的 な 役 割 を 果 たす (22) と 論 じた 際 のソフト パ ワーのイメージとは 相 当 程 度 異 なっていると 言 わざるをえない 第 二 に 社 会 全 体 の 道 徳 心 の 向 上 モラル 意 識 の 強 化 の 必 要 性 が 強 調 されていることが 注 目 される 劉 雲 山 は それを 調 和 文 化 の 形 成 と 表 現 しているが 礼 儀 の 励 行 マナーの 向 上 公 共 秩 序 の 遵 守 からボランティア 活 動 や 義 捐 金 提 供 の 推 奨 まで 社 会 全 体 の 文 明 レベ ルを 向 上 させることが 中 国 のソフト パワー 強 化 に 必 要 不 可 欠 とされている (23) 第 三 に 中 国 のソフト パワーの 源 泉 とし て 中 国 の 伝 統 である 中 華 文 化 が 重 視 されている ことも 特 色 として 挙 げられよう 前 述 のとおり ナイはソフト パワーの 源 泉 の 1 つとして 文 化 を 挙 げており 日 本 を 含 めてどの 国 も 自 ら の 伝 統 文 化 を 魅 力 の 源 泉 として 重 視 する 施 策 を 講 じている その 点 では 中 国 が 中 華 文 化 を 重 視 するのは 自 然 なことと 言 えよう ただ 中 華 文 化 を 基 礎 とし 外 来 文 化 に 対 しては 優 秀 なものを 取 り 入 れ 腐 朽 したものについては 浸 蝕 を 許 さず 自 国 の 文 化 の 安 全 を 守 ることを 強 調 しているあたりには 自 国 の 現 状 に 対 する 自 信 と 中 国 の 主 体 性 を 堅 持 する 強 い 姿 勢 が 表 れ ているように 思 われる 第 四 に 文 化 面 での 対 外 進 出 への 意 欲 が 強 いことが 挙 げられる 文 化 産 業 を 振 興 して 国 内 市 場 を 自 国 文 化 で 満 たすのはもちろん 積 極 的 に 対 外 進 出 をはかり 世 界 市 場 を 開 拓 し 中 華 文 化 の 世 界 進 出 が 目 指 されている ただし 現 状 では 文 化 製 品 とサービスの 輸 出 入 につい て 中 国 は 大 幅 な 輸 入 超 過 の 状 況 にある (24) 当 面 は このような 文 化 面 での 貿 易 赤 字 の 解 消 が 急 務 とされている 第 五 に 中 央 においても 地 方 においても 党 と 政 府 が ソフト パワー 強 化 という 政 策 目 標 に 向 けて 文 化 活 動 の 諸 分 野 に 強 力 に 関 与 する 体 制 がとられる 点 が 特 色 として 挙 げられよう 後 述 のように 国 内 アニメ 産 業 の 保 護 育 成 のた めに 海 外 アニメの 放 映 を 禁 止 するなど 中 国 では 政 策 目 標 に 沿 って 党 と 政 府 が 強 力 なリー ダーシップを 発 揮 する 局 面 が 多 々ある 文 化 の 領 域 への 組 織 的 指 導 は その 飛 躍 的 発 展 をもたらす 可 能 性 もあり また 文 化 固 有 の 自 律 性 とその 生 命 力 を 阻 害 する 可 能 性 もある 今 後 の 中 国 の 文 化 領 域 の 動 向 が 注 目 される 劉 雲 山 が 提 起 しているソフト パワー 強 化 のための 要 件 については 力 点 の 異 同 はあるものの 中 国 の 論 者 に 共 通 するものである 例 えば 60 位 知 名 专 家 解 读 十 七 大 报 告 下 篇 : 如 何 提 升 文 化 软 实 力 2007.11.2. 人 民 ネッ ト http://leaders.people.com.cn/gb/6487016.html 参 照 劉 雲 山 のソフト パワー 論 は それらの 集 大 成 と 位 置 づけることができる ナイ 前 掲 注 ⑵, p.42. ソフト パワーにとって 道 徳 的 側 面 が 重 要 であることを 強 調 した 論 考 として 孔 凡 君 ( 谷 川 栄 子 訳 ) ソフト パワーと 中 国 の 台 頭 現 代 中 国 事 情 22, 2008.11.5, pp.1-8. 参 照 なお 胡 錦 濤 報 告 などでソフト パワーが 注 目 された 2007 年 は 翌 年 2008 年 8 月 の 北 京 オリンピックをひかえた 時 期 であったため 道 徳 マナーの 向 上 が 一 層 強 調 されたという 側 面 もあるかと 思 われる 孟 健 軍 第 7 章 急 速 に 発 展 する 中 国 文 化 産 業 センター 設 立 で 対 外 進 出 後 押 し 台 頭 する 中 国 と 世 界 (2009 年 度 中 国 研 究 報 告 書 ) 日 本 経 済 研 究 センター, 2010.3, pp.100-101. 41
Ⅲ 情 報 発 信 と 文 化 交 流 の 諸 相 前 述 のような 党 指 導 部 のソフト パワーに ついての 基 本 認 識 に 基 づいて 2009 年 9 月 に 国 務 院 は 文 化 産 業 振 興 計 画 ( 以 下 計 画 ) を 定 めた (25) 計 画 は 今 後 の 中 国 の 文 化 産 業 政 策 を 推 進 するうえでの 基 本 方 針 を 提 起 して いる この 章 では 計 画 の 内 容 をまとめた うえで 重 点 文 化 産 業 の 1 つであるアニメ 産 業 の 現 状 および 中 国 からの 情 報 発 信 と 文 化 交 流 の 一 形 態 である 孔 子 学 院 をとりあげ 中 国 が 展 開 するソフト パワー 戦 略 に 沿 った 活 動 の 一 端 を 紹 介 する 1 文 化 産 業 振 興 計 画 計 画 は 冒 頭 第 16 回 党 大 会 以 降 党 中 央 と 国 務 院 は 文 化 産 業 の 発 展 を 重 視 し 一 連 の 政 策 措 置 をとり 文 化 体 制 改 革 を 推 進 し 文 化 団 体 の 企 業 への 転 換 文 化 の 対 外 進 出 を 進 め 文 化 の 輸 出 入 貿 易 赤 字 は 徐 々に 縮 小 してき ているとの 認 識 を 示 している しかし 中 国 の 文 化 産 業 の 発 展 水 準 は 未 だに 低 く 活 力 は 弱 い 大 いに 文 化 産 業 を 発 展 させ 成 長 を 保 ち 内 需 を 拡 大 し 構 造 を 調 整 し 改 革 を 促 進 し 民 生 を 豊 かにする ために 貢 献 しなければならな いとの 課 題 も 提 起 している 計 画 は 文 化 産 業 を 国 民 経 済 の 新 たな 成 長 ポイントとすべく 育 成 する ことを 基 本 方 針 とし 1 企 業 団 体 などの 文 化 市 場 の 主 体 の 改 善 2 重 点 文 化 産 業 の 育 成 を 中 心 とした 文 化 産 業 構 造 の 改 善 3 文 化 創 造 能 力 の 向 上 4 現 代 文 化 市 場 体 系 の 整 備 5 文 化 製 品 とサービス の 輸 出 の 拡 大 の 5 点 を 目 標 として 掲 げている また 1 文 化 創 造 2 映 画 テレビ 制 作 3 出 版 4 印 刷 5 広 告 6 演 芸 娯 楽 7 展 覧 展 示 8デジタル コンテンツ 9アニメを 重 点 文 化 産 業 とし その 支 援 を 強 化 し 基 幹 とな る 文 化 企 業 および 企 業 グループを 育 成 すること を 重 点 任 務 と 位 置 づけている このうち 1 文 化 創 造 産 業 については 文 化 科 学 技 術 音 楽 制 作 芸 術 創 作 アニメゲーム などの 企 業 を 重 点 とし 関 連 するサービス 業 と 製 造 業 の 発 展 を 牽 引 するとしている また 2 映 画 テレビ 制 作 業 では 映 画 作 品 テレビドラマ テレビ 番 組 の 生 産 能 力 を 高 め 制 作 広 報 放 映 上 映 関 連 グッズ 開 発 のレ ベルの 向 上 をはかり 多 様 な 媒 体 からのコンテ ンツ 需 要 を 満 足 させられるようにするとしてい る 3 出 版 業 については 伝 統 的 な 紙 媒 体 出 版 からマルチメディア 形 態 のデジタル 出 版 への 転 換 を 加 速 し 地 域 業 界 経 営 形 態 の 枠 を 越 えて 大 規 模 な 出 版 企 業 グループの 形 成 を 促 し 業 界 全 体 の 実 力 と 競 争 力 を 向 上 させるとしている 4 印 刷 業 では 高 度 な 新 技 術 による 印 刷 独 自 の 技 術 による 印 刷 を 発 展 させ それぞれ 特 色 があり 先 進 技 術 を 有 する 複 数 の 印 刷 業 エリア を 建 設 するとしている 6 演 芸 娯 楽 業 では 大 規 模 な 芸 術 団 を 組 織 し 上 演 のためのネットワーク 形 成 をはかる 9アニメ 産 業 については 広 く 受 け 入 れら れる 国 際 的 なアニメ キャラクターやアニメ ブランドの 確 立 に 努 め 文 化 産 業 の 中 でも 重 要 な 成 長 ポイントにしなければならないとしてい る (26) 更 に 計 画 では 文 化 企 業 が 主 体 となり 政 策 的 支 持 のもとに 社 会 各 方 面 の 力 を 動 員 し て モデル 効 果 と 産 業 牽 引 機 能 を 有 する 大 規 模 産 業 プロジェクトを 推 進 するとしている 例 え ば 国 産 アニメ 振 興 プロジェクト 国 家 デジタ ル 映 画 制 作 基 地 建 設 プロジェクト マルチメ ディア データベース 構 築 経 済 情 報 プラット フォーム 構 築 国 家 知 識 資 源 データベース 構 築 文 化 产 业 振 兴 规 划 2009.9.27. 人 民 ネット http://finance.people.com.cn/gb/10121904.html なお 計 画 には 重 点 文 化 産 業 のうち 5 広 告 7 展 覧 展 示 8デジタル コンテンツの 各 業 について 他 の 業 種 のような 具 体 的 な 説 明 は 付 されていない 42
中 国 のソフト パワー 戦 略 などが 重 点 文 化 プロジェクトとして 挙 げられて いる 2 アニメ 産 業 次 に 計 画 において 文 化 産 業 の 中 で も 重 要 な 成 長 ポイント と 位 置 づけられている アニメ 産 業 の 現 状 を 紹 介 する ⑴ アニメ 産 業 振 興 策 2006 年 4 月 財 政 部 文 化 部 等 10 部 門 が 共 同 で 我 が 国 のアニメ 産 業 の 発 展 推 進 に 関 す る 若 干 の 意 見 ( 以 下 意 見 ) (27) を 国 務 院 各 部 門 と 省 レベル 地 方 政 府 に 通 達 し アニメ 産 業 の 一 層 の 発 展 を 促 進 する 政 策 を 明 らかにした 意 見 は 国 内 におけるアニメ 関 連 企 業 の 育 成 その 市 場 競 争 力 の 強 化 人 材 の 育 成 国 際 競 争 力 の 強 化 中 国 アニメの 海 外 への 進 出 促 進 など をうたっている 意 見 は アニメ 産 業 を 創 造 性 を 核 心 とし アニメ 漫 画 を 表 現 形 式 とし 書 籍 雑 誌 映 画 テレビ AV 製 品 演 劇 および 現 代 の 情 報 技 術 情 報 手 段 による 新 形 態 のアニメ 作 品 の 開 発 生 産 出 版 放 送 上 演 販 売 な らびにアニメ キャラクターに 関 連 する 衣 装 玩 具 電 子 ゲーム 等 の 派 生 製 品 の 生 産 と 経 営 に 従 事 する 産 業 としている アニメ 漫 画 ネッ トゲーム マルチメディア アニメ 等 のアニメ 産 業 は 21 世 紀 知 識 経 済 の 中 核 産 業 といわ れている (28) 意 見 公 表 後 アニメ 祭 り アニメ 展 など が 全 国 各 地 で 行 われるようになった 北 京 上 海 広 州 深 圳 などの 大 都 市 や 長 沙 杭 州 常 州 無 錫 青 島 大 連 武 漢 などが アニメ 産 業 の 中 心 地 となっている 各 地 方 政 府 も ア ニメ 産 業 の 振 興 育 成 に 予 算 を 投 入 し 奨 励 策 を 講 じている (29) 2008 年 現 在 全 国 に 70 の ア ニメ 産 業 基 地 が 設 けられ そのうち52か 所 は 国 家 レベルの 産 業 基 地 と 言 われている (30) ⑵ 中 央 と 地 方 政 府 の 施 策 国 務 院 の 各 部 門 は 分 担 してアニメ 産 業 の 指 導 奨 励 にあたっている 国 家 広 播 電 影 電 視 総 局 は アニメなど 海 外 番 組 の 数 量 放 送 時 間 の 規 制 優 秀 アニメ 作 品 の 表 彰 等 を 行 っている 文 化 部 は アニメ 産 業 基 地 の 指 定 アニメに 関 する 理 論 研 究 職 業 教 育 訓 練 施 設 の 充 実 等 を 担 当 している 商 務 部 は アニメを 含 む 文 化 コ ンテンツの 輸 出 振 興 等 に 従 事 している 財 政 部 は 優 秀 なアニメ 作 品 を 援 助 するための 基 金 の 設 立 などの 施 策 を 行 っている また 省 レベル の 政 府 も アニメ 関 連 特 区 を 指 定 して アニメ 企 業 への 免 税 措 置 を 講 じるなどの 奨 励 策 を 実 施 している (31) 一 方 国 内 のアニメ 産 業 の 保 護 育 成 策 の 推 進 と 並 行 して 海 外 アニメに 対 する 規 制 が 行 わ れている 中 国 政 府 は 2000 年 頃 から 海 外 テ レビ 番 組 に 対 する 規 制 を 始 めたが 前 述 の 意 見 が 発 表 された 2006 年 には 海 外 からのア ニメ 番 組 の 輸 入 が 全 面 的 に 停 止 された 中 国 の テレビでは アニメ 専 門 チャンネルを 含 めて 海 外 アニメはほとんど 放 送 されていない 例 外 は 以 前 に 認 可 を 受 けた 古 いアニメの 再 放 送 の みのようである (32) ゴールデンタイムには 外 国 アニメは 放 送 禁 止 措 置 がとられていると 国 务 院 办 公 厅 转 发 财 政 部 等 部 门 关 于 推 动 我 国 动 漫 产 业 发 展 若 干 意 见 的 通 知 2006.4.25. 中 華 人 民 共 和 国 ネッ ト http://www.gov.cn/gongbao/content/2006/content_310646.htm なお 中 国 では 特 定 の 政 策 課 題 に 関 す る 党 や 政 府 の 基 本 方 針 が ~に 関 する 若 干 の 意 見 という 名 称 で たびたび 公 表 されている 孟 前 掲 注, p.103. 同 上, p.104. 石 井 健 一 中 国 におけるアニメ 国 産 化 政 策 と 日 本 アニメの 利 用 実 態 ソフトパワー 論 の 一 考 察 情 報 通 信 学 会 誌 26(4), 2009.3, p.19. 同 上 同 上, p.18. 43
の 報 道 もある (33) このような 規 制 は 一 面 では 海 外 のコンテンツが 青 少 年 に 与 える 悪 影 響 に 対 する 懸 念 によるものであるが 主 たるねらいは 国 内 のアニメ 産 業 の 保 護 と 見 られている (34) ⑶ アニメ 産 業 が 直 面 する 課 題 しかし 中 国 のアニメ 産 業 については 様 々 な 問 題 が 指 摘 されており 政 府 の 方 針 どおりに 順 調 に 発 展 しているわけではない 現 状 の 問 題 点 として 指 摘 されているのは 次 のような 諸 点 である 1 アニメ 産 業 システムの 未 成 熟 アニメ 産 業 は 制 作 出 版 放 送 テレビ 映 画 教 育 広 告 輸 出 入 など 多 様 な 分 野 の 企 業 事 業 体 により 複 合 的 に 構 成 されるもの であるが 中 国 ではそれぞれの 分 野 の 企 業 間 の 連 携 協 力 が 不 十 分 で 産 業 システムが 未 成 熟 な 状 況 にあると 言 われる (35) また 政 府 の 補 助 政 策 により 質 の 低 いアニメ 企 業 が 乱 立 していることも 問 題 として 指 摘 されてい る (36) 2 独 創 的 な 作 品 の 欠 如 中 国 アニメには 広 く 大 衆 が 認 め 歓 迎 するような 影 響 力 を 持 つキャラクターが 欠 如 している 作 品 が 描 く 世 界 は 狭 く 芸 術 的 想 像 力 やユーモアが 不 足 し 内 容 の 深 さも 物 足 りない 中 国 ならではの 個 性 も 多 くの 作 品 において 欠 如 している 中 国 アニメ 産 業 は 米 国 日 本 などアニメ 大 国 の 下 請 け 加 工 が 主 たる 業 務 内 容 となっており 独 創 的 なレ ベルに 達 していないと 言 われている (37) 3 高 度 な 能 力 を 持 つ 人 材 の 不 足 創 造 力 を 持 つ 優 秀 な 若 いアニメ 制 作 者 ア ニメ 産 業 の 担 い 手 となる 経 営 者 が 現 在 の 中 国 には 不 足 しているという 独 創 的 なクリ エーターが 育 たない 要 因 としては 前 述 のと おり 現 在 の 中 国 のアニメ 界 の 業 務 がアニメ 先 進 国 の 作 品 の 加 工 補 助 作 業 に 偏 している ことが 挙 げられている (38) また 大 学 専 門 学 校 などのアニメ 教 育 機 関 が 国 の 補 助 金 を 受 けて 乱 造 されており (39) その 教 育 のレベル が 低 いことも 要 因 の 1 つと 言 われている (40) かくして 中 国 のアニメ 産 業 は 短 期 間 の うちに 量 的 な 発 展 を 遂 げたが 中 国 国 内 の 大 衆 の 需 要 を 満 たすには 不 十 分 であり まして 世 界 に 進 出 して 競 争 力 を 発 揮 するには 至 っていない という 状 況 である この 状 況 の 改 善 のために 産 業 構 造 の 調 整 中 国 の 特 色 を 有 する 世 界 に 通 じる 独 創 的 な 作 品 の 創 造 市 場 競 争 の 活 性 化 の 必 要 性 などが 論 議 されている (41) 3 孔 子 学 院 孔 子 学 院 ( 原 語 も 同 表 現 )は 中 国 語 の 教 育 と 中 国 文 化 の 普 及 を 目 的 として 中 国 国 外 に 設 立 されている 非 営 利 組 織 であり 中 国 の 教 育 部 の 傘 下 にある 国 家 漢 弁 (42) という 組 織 が 全 体 の 指 導 を 行 っている 中 国 経 済 の 発 展 につれて 中 国 への 注 目 が 高 まり 各 国 で 中 国 語 学 習 ブー ムが 起 きている 状 況 に 応 えるべく イギリス ドイツ フランスなどが 語 学 教 育 を 中 心 とした 文 化 変 調 第 3 部 クール 競 争 ( 中 ) 中 国 文 化 海 外 へ 攻 勢 朝 日 新 聞 2010.8.2. 石 井 前 掲 注 周 斌 关 于 中 国 动 漫 产 业 发 展 的 若 干 思 考 电 影 文 学 2010 年 2 期, 2010.2, pp.35-36. 石 井 前 掲 注 周 前 掲 注 石 井 前 掲 注 2008 年 10 月 段 階 で アニメを 専 門 とする 大 学 学 部 が 540 か 所 あり アニメ 教 育 機 関 が 1,300 か 所 にのぼると 言 われる 石 井 前 掲 注 周 前 掲 注, p.36. 同 上, pp.36-38. もともとは 国 家 漢 語 国 際 推 広 領 導 小 組 弁 公 室 という 名 称 であったが 現 在 はその 省 略 形 である 国 家 漢 弁 が 正 式 組 織 名 となっているようである 44
中 国 のソフト パワー 戦 略 文 化 交 流 組 織 を 海 外 に 設 立 している 経 験 にな らって 孔 子 学 院 の 構 想 が 生 まれ 2004 年 に 韓 国 ソウルに 最 初 の 孔 子 学 院 が 設 立 された な お 孔 子 学 院 は 基 本 的 に 各 国 の 大 学 内 に 設 立 されるが 中 学 校 高 校 などに 設 立 される 同 様 の 組 織 は 孔 子 学 堂 ( 原 語 は 孔 子 課 堂 )と 呼 ばれている その 後 孔 子 学 院 は 急 速 に 普 及 し 2009 年 末 現 在 で 84 の 国 地 域 に 282 か 所 の 孔 子 学 院 28 の 国 地 域 に 272 か 所 の 孔 子 学 堂 が 設 立 されている (43) 地 域 分 布 については 孔 子 学 院 は アジア 27 か 国 70 か 所 アフリカ 15 か 国 21 か 所 ヨー ロッパ 29 か 国 94 か 所 南 北 アメリカ 11 か 国 87 か 所 オセアニア 2 か 国 10 か 所 が 設 立 され ている また 孔 子 学 堂 は アジア 10 か 国 27 か 所 アフリカ 4 か 国 4 か 所 ヨーロッパ 7 か 国 34 か 所 南 北 アメリカ 6 か 国 205 か 所 オ セアニア 1 か 国 2 か 所 が 設 立 されている (44) 欧 米 への 目 覚 しい 普 及 が 注 目 される 日 本 では 立 命 館 大 学 と 北 京 大 学 との 提 携 により 2005 年 に 京 都 に 立 命 館 孔 子 学 院 が 設 立 されたのが 第 一 号 であり 2010 年 8 月 現 在 孔 子 学 院 12 か 所 孔 子 学 堂 6 か 所 が 設 立 され ている (45) 2009 年 の 1 年 間 に 世 界 各 国 の 孔 子 学 院 ( 学 堂 )で 約 9,000 コースの 中 国 語 教 室 が 開 設 され 登 録 者 は 26 万 人 であった この 人 数 は 2008 年 の 2 倍 にあたる また 各 種 文 化 交 流 活 動 を のべ 7,500 回 開 催 し 参 加 人 数 は 300 万 人 を 超 え これも 前 年 の 2 倍 となったという (46) 孔 子 学 院 は 通 常 海 外 の 大 学 と 中 国 国 内 の 大 学 が 国 家 漢 弁 の 仲 介 のもとに 提 携 協 力 関 係 を 結 んで 設 立 される 孔 子 学 院 の 活 動 は 1 中 国 語 教 育 2 中 国 語 教 師 養 成 中 国 語 教 材 の 提 供 3 中 国 語 検 定 試 験 の 実 施 中 国 語 教 師 資 格 認 定 4 中 国 の 教 育 文 化 についての 情 報 提 供 5 語 学 文 化 交 流 活 動 とされている (47) 孔 子 学 院 の 普 及 により 中 国 は 主 として アフリカなどの 第 三 世 界 に 限 定 した 伝 統 的 な 語 学 普 及 活 動 から 脱 皮 して 欧 米 先 進 国 をカバー する 全 方 位 の 語 学 教 育 プログラムを 実 践 できる ようになり 働 きかけるターゲットについても 幅 広 い 一 般 市 民 にまで 浸 透 できるようになった との 評 価 がなされている (48) 孔 子 学 院 は 語 学 教 育 機 関 に 止 まらず 中 国 の 伝 統 文 化 の 紹 介 文 化 事 業 文 化 産 業 の 普 及 をとおして 中 国 に 対 する 積 極 的 な 国 家 イ メージを 醸 成 しており 中 国 のソフト パワー 向 上 に 大 きく 貢 献 しているとの 評 価 もある (49) 中 国 は ソフト パワー 強 化 のための 重 要 な 活 動 として 孔 子 学 院 の 普 及 に 今 後 とも 力 を 入 れていくことになろう おわりに 以 上 述 べてきたように 中 国 は 文 化 に 着 目 し 文 化 産 業 の 育 成 や 文 化 交 流 をとおして 自 国 のソフト パワーの 強 化 を 国 策 として 追 求 している 前 述 のアニメ 産 業 のように 課 題 が 多 く 必 ずしも 所 期 の 効 果 が 充 分 に 挙 げられていない と 思 われる 分 野 がある 一 方 孔 子 学 院 のように 想 定 以 上 の 速 度 で 世 界 に 普 及 している 活 動 もあ る 文 化 体 制 改 革 が 唱 えられ ソフト パワー 戦 略 がたてられたのは 今 世 紀 に 入 ってからで あり 性 急 にその 成 否 の 評 価 を 下 すことは 避 け なければならないであろう 冒 頭 に 紹 介 したナイは 2004 年 の 時 点 で (イ 关 于 孔 子 学 院 / 课 堂 国 家 漢 弁 / 孔 子 学 院 総 部 サイト http://www.hanban.edu.cn/node_10961.htm 同 上 同 上 孔 子 学 院 总 部 国 家 漢 弁 / 孔 子 学 院 総 部 サイト http://www.hanban.org/node_7446.htm 孔 子 学 院 章 程 国 家 漢 弁 / 孔 子 学 院 総 部 サイト http://www.hanban.edu.cn/node_7537.htm 青 山 瑠 妙 中 国 を 説 明 する 中 国 のソフトパワーと 文 化 交 流 外 交 フォーラム 22(7), 2009.7, p.51. 李 松 林 刘 伟 试 析 孔 子 学 院 文 化 软 实 力 作 用 思 想 教 育 研 究 2010 年 4 期, 2010.4, pp.43-47. 45
ンドとともに) 中 国 はアジアの 大 国 になる 状 況 にあり 両 国 にはすでにソフト パワーの 源 泉 が 強 まる 気 配 が 見 えていると 述 べた (50) そし て 中 国 とインドの 魅 力 はその 将 来 性 にあり 急 速 な 経 済 成 長 によって 両 国 はハード パワー とソフト パワーを 強 めていくであろうが 現 時 点 ではソフト パワーの 源 泉 となる 要 因 にお いて 欧 米 日 本 には 及 ばず 文 化 の 魅 力 によっ てある 程 度 のソフト パワーを 獲 得 できている が 国 内 政 策 と 価 値 観 がその 制 約 条 件 となって いると 論 じていた (51) その 後 2008 年 の 時 点 では ナイは 北 京 オリンピックを 成 功 させたことで 中 国 がソフ ト パワーを 強 めることができたと 述 べている 孔 子 学 院 の 設 立 国 際 放 送 の 拡 充 外 国 人 留 学 生 の 受 入 れ 拡 大 柔 軟 な 東 南 アジア 外 交 など 中 国 はソフト パワー 強 化 のために 巨 額 の 投 資 を 行 っているが そこには 限 界 もあり デモや 自 由 なインターネット 利 用 を 許 さないことが ソフト パワーを 損 なっているとも 論 じている そして 中 国 の 指 導 者 はソフト パワーを 確 立 するためには 表 現 の 自 由 が 重 要 であることを 学 んだことであろう と 語 っている (52) 中 国 は 前 述 のとおり ソフト パワーに 関 して 独 自 の 要 件 を 設 定 しているため この ようなナイの 指 摘 に 対 しては 異 なった 観 点 を 提 起 する 可 能 性 が 高 いと 思 われる 2010 年 7 月 23 日 に 文 化 体 制 改 革 問 題 をめ ぐって 中 国 共 産 党 中 央 政 治 局 第 22 回 集 団 学 習 会 が 開 催 された 胡 錦 濤 総 書 記 は 席 上 講 話 を 行 い 文 化 体 制 改 革 を 推 進 して 社 会 主 義 文 化 の 大 発 展 大 繁 栄 を 実 現 するよう 力 説 し た そこでもやはり 文 化 体 制 改 革 の 究 極 的 な 目 的 として 国 の 文 化 ソフト パワーと 国 際 競 争 力 の 強 化 が 挙 げられている (53) 胡 錦 濤 指 導 部 は 価 値 観 の 相 違 は 内 包 しな がらも ナイの 政 治 思 想 を 政 策 に 生 かし 最 も 熱 心 にそれを 実 践 しようとしていると 見 ること もできよう (かまた ふみひこ) ナイ 前 掲 注 ⑵, p.142. 同 上, p.143. ジョセフ S. ナイ グローバル アイ ソフトパワーの 認 識 が 異 なる 中 国 とロシア 週 刊 東 洋 経 済 2008.10.11, p.161. 胡 锦 涛 深 化 文 化 体 制 改 革 推 动 社 会 主 义 文 化 大 发 展 大 繁 荣 2010.8.3. 人 民 ネット http://culture.people.com. cn/gb/40489/175468/12327591.html 46