ふるさと 納 税 のすすめ 別 表 東 京 都 在 住 で 福 井 県 出 身 のAさんの 場 合 ( 夫 婦 子 ども2 人, 年 収 約 700 万 円, 個 人 住 民 税 所 得 割 額 35 万 円 ) A. 寄 付 額 ( 福 井 県 や 県 内 市 町 ) 35,000 円 B. 税



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定款  変更

寄 附 申 込 書 平 成 年 月 日 一 般 社 団 法 人 滋 賀 県 発 明 協 会 会 長 清 水 貴 之 様 ご 住 所 ご 芳 名 ( 会 社 名 ) 印 下 記 により 貴 協 会 に 寄 附 を 申 し 込 みます 記 1. 寄 附 金 額 金 円 也 1. 寄 付 金 の 種 類

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(2) 単 身 者 向 け 以 外 の 賃 貸 共 同 住 宅 等 当 該 建 物 に 対 して 新 たに 固 定 資 産 税 等 が 課 税 される 年 から 起 算 して5 年 間 とする ( 交 付 申 請 及 び 決 定 ) 第 5 条 補 助 金 の 交 付 を 受 けようとする 者 は

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Ⅰ 平成14年度の状況

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Ⅰ 平成14年度の状況

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の 基 礎 の 欄 にも 記 載 します ア 法 人 税 の 中 間 申 告 書 に 係 る 申 告 の 場 合 は 中 間 イ 法 人 税 の 確 定 申 告 書 ( 退 職 年 金 等 積 立 金 に 係 るものを 除 きます ) 又 は 連 結 確 定 申 告 書 に 係 る 申 告 の 場

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平成16年度

賦課の根拠となった法律及び条例(その2)

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

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を 行 うこと 又 は 必 要 な 機 能 を 追 加 することをいう ( 補 助 対 象 事 業 ) 第 3 条 補 助 金 の 交 付 対 象 となる 事 業 ( 以 下 補 助 対 象 事 業 という )は, 次 条 に 規 定 するこの 補 助 金 の 交 付 の 対 象 となる 者 ( 以

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Transcription:

1 ふるさと 納 税 とは インターネットで ふるさと 納 税 と いう 言 葉 を 検 索 してみると 約 2 百 万 件 の ウェブサイトにヒットする 自 治 体 の PRや 実 際 に 寄 付 を 行 った 方 々のブログ など, 様 々なページを 楽 しむことができ る 2 百 万 というヒット 数 は 本 県 出 身 の 歌 手 である 五 木 ひろしさんを 検 索 した 時 とほぼ 同 数 である さいわいなことに ふるさと 納 税 も 最 近 ではずいぶん 世 の 中 に 浸 透 している ように 思 う 平 成 20 年 4 月 からスタート したこの 新 しい 税 制 は, 私 が 提 唱 し, 国 の 研 究 会 で 議 論 され 実 現 されたもので, 地 方 で 構 想 された 仕 組 みが 国 に 取 り 入 れ られた 地 方 発 の 税 制 改 革 である 地 方 自 治 体 への 寄 付 という 行 動 を 通 して 人 々の ふるさと への 思 いを 形 にする 新 しい 制 度 である 十 分 ご 存 じない 方 のために,ここで 簡 単 に 説 明 してみよう ふるさと 納 税 は, 自 分 が ふるさ と と 思 う 自 治 体 に 寄 付 を 行 うと, 翌 年 の 所 得 税 や 住 所 地 の 住 民 税 がその 寄 付 の 金 額 に 見 合 う 分 だけ 軽 くなるというもの だ 別 表 を 参 照 していただきたい 東 京 都 在 住 の 福 井 県 出 身 であるAさんが, 福 井 県 に3 万 5 千 円 を 寄 付 した 場 合, 翌 年 度 の 住 民 税, 所 得 税 が3 万 3 千 円 軽 減 さ れ, 実 質 2 千 円 の 負 担 で 福 井 県 を 応 援 で きるという 制 度 である 2 税 務 弘 報 2011. 12

ふるさと 納 税 のすすめ 別 表 東 京 都 在 住 で 福 井 県 出 身 のAさんの 場 合 ( 夫 婦 子 ども2 人, 年 収 約 700 万 円, 個 人 住 民 税 所 得 割 額 35 万 円 ) A. 寄 付 額 ( 福 井 県 や 県 内 市 町 ) 35,000 円 B. 税 の 軽 減 額 33,000 円 内 所 得 税 訳 個 人 住 民 税 3,300 円 29,700 円 C. 負 担 額 (A-B) 2,000 円 Aさんの 場 合, 所 得 税 率 は10% 個 人 住 民 税 所 得 割 額 の おおむね1 割 が 限 度 3 万 5 千 円 の ふるさと への 寄 付 が 実 質 2 千 円 で 可 能 に! 税 の 軽 減 額 の 計 算 方 式 所 得 税 軽 減 額 ( 年 間 寄 付 額 -2 千 円 ) 所 得 税 率 個 人 住 民 税 軽 減 額 < 基 本 控 除 > ( 年 間 寄 付 額 -2 千 円 ) 10% < 特 例 控 除 > ( 年 間 寄 付 額 -2 千 円 ) (90%- 所 得 税 率 ) 税 の 軽 減 額 には 上 限 がある( 翌 年 度 の 個 人 住 民 税 所 得 割 額 の1 割 が 目 安 であるが, 詳 細 は 下 記 2 のとおり) 1 所 得 税 率 は 所 得 によって 異 なる 2 個 人 住 民 税 軽 減 額 のうち, ( 年 間 寄 付 額 -2 千 円 ) (90% - 所 得 税 率 ) で 計 算 される 額 の 上 限 は, 寄 付 した 年 の 翌 年 の4 月 から 始 まる 年 度 の 個 人 住 民 税 所 得 割 額 の10%となる 3 個 人 住 民 税 の 軽 減 は, 寄 付 した 年 の 翌 年 4 月 から 始 まる 年 度 の 税 額 控 除 によって 行 われるため, 当 該 年 度 の 税 額 の 状 況 に 注 意 することが 必 要 である 4 2の 上 限 を 上 回 る 場 合 は, 自 己 負 担 ( 税 負 担 + 寄 付 が 増 加 する 額 )は2 千 円 を 超 えることになる 2 ふるさと 納 税 が 作 られたきっかけ さて,この ふるさと 納 税 がいかに して 生 まれたかを,まず 話 したい ⑴ 災 害 の 支 援 やや 以 前 にさかのぼるが, 私 が 福 井 県 知 事 に 就 任 し1 年 余 りが 経 った 平 成 16 年 7 月 18 日, 福 井 豪 雨 災 害 が 発 生 した 福 井 市 内 を 流 れる 足 羽 川 の 決 壊 等 により, 床 上 浸 水 3,313 世 帯, 床 下 浸 水 10,324 世 帯, 死 者 不 明 者 5 名, 重 軽 傷 者 19 名, 全 半 壊 196 世 帯 の 大 きな 被 害 が 生 じた 全 国 から 延 べ6 万 人 を 超 えるボランティ アの 方 々が 福 井 の 被 災 地 へ 支 援 に 集 まっ てくれた また, 多 くの 義 援 金 が 福 井 県 に 寄 せられた 中 でも 印 象 に 残 るのは, 7 月 23 日 に 匿 名 で 送 られてきた1 通 の 手 紙 だった そこには 心 のこもったお 見 舞 いの 言 葉 とともに,1 枚 の 宝 くじが 封 入 されていた その 宝 くじは1 等 2 億 円 の 当 たりくじだったのである このことは 全 国 的 にも 取 り 上 げられ, 大 きな 話 題 に なった どこのどなたかはわからないま まとなったが, 公 の 利 益 に 貢 献 される 篤 い 志 に 頭 の 下 がる 思 いであった そしてその 他 にも, 全 国 から 様 々な 援 助 の 手 が 福 井 県 に 差 し 伸 べられた そこ には, 全 国 からの 福 井 を 思 う 人 々の 行 動 があった こうした ふるさと の 内 と 外 を 結 ぶ 人 々のつながり, 思 いを, 災 害 時 のみならず 平 常 時 においても 何 らかの 形 にできないか ここから ふるさと 納 税 の 原 型 が 発 想 された 税 務 弘 報 2011. 12 3

⑵ 地 方 と 都 市 のアンバランス 私 はこれまで, 地 方 と 都 市 の 間 にある 様 々なアンバランスの 不 都 合 を 強 く 感 じ てきた その 典 型 例 が, 若 者 のライフ サイクルである 福 井 県 では, 毎 年 約 3 千 人 の 若 者 が 進 学 等 により 県 外 に 出 て 行 き, 戻 ってくるのが 約 1 千 人 である そ の 差 約 2 千 人 がそのまま 県 外 の, 特 に 首 都 圏 や 関 西 圏 の 都 市 部 に 残 って 生 計 を 立 てることになる 地 方 では 幼 児 から 高 校 生 まで 人 材 を 育 てるために 税 金 を 投 じ, 大 都 市 は 地 方 出 身 者 で 働 き 盛 りの 人 から 税 収 を 得 ている 福 井 県 の 場 合, 生 まれて から 高 校 卒 業 まで1 人 にかける 行 政 サー ビスの 総 額 は 約 1 千 8 百 万 円 したがっ て, 計 算 上 は 毎 年 数 百 億 円 規 模 の 公 的 支 出 が 大 都 市 に 流 出 していることになる 一 方, 都 市 部 では 社 会 人 になった 地 方 出 身 者 から 税 収 を 得 ていることになり, 地 方 と 都 市 の 間 で 税 の 収 支 バランスは 大 きく 崩 れていることになる ⑶ 税 制 上 の 議 論 と 考 え 方 そうしたことから, 平 成 18 年 10 月 の 日 本 経 済 新 聞 経 済 教 室 に 故 郷 (ふ るさと) 寄 附 金 控 除 導 入 を という 論 説 を 掲 載 した ここで 私 は, 生 まれ 故 郷 の 自 治 体 へ 寄 付 を 行 った 場 合 に,これと 見 合 いの 額 を 住 民 税 や 所 得 税 から 控 除 する 制 度 を 提 唱 した その 後,この 考 え 方 に 理 解 をいた だいた 国 会 議 員 や 研 究 者,メディアが 賛 同 を 示 し, 国 は 研 究 会 を 設 置 し, 私 もメ ンバーとして 参 加 した 全 国 知 事 会 の 地 方 税 制 小 委 員 会 にもこの 制 度 を 提 唱 し, 総 会 の 賛 同 を 得 て 国 へ 提 案 がなされた そして 平 成 19 年 の 税 制 改 正 大 綱 に 制 度 が 盛 り 込 まれ, 平 成 20 年 4 月 の 地 方 税 法 改 正 に 至 ったものである 国 の 研 究 会 の 議 論 の 過 程 では, ふる さと の 意 味 について, 自 分 が 安 心 す る 場 所, 好 きな 県, 思 い 出 のある 県, 自 分 が 将 来 住 みたい 場 所 など,いわ ゆる 第 2のふるさと にまで 広 げては どうかという 意 見 が 多 く 出 てきた ふ るさと の 意 味 については, 納 税 者 の 側 で 自 由 に 選 べるものとするほうが 制 度 と して 広 がりを 持 つと 考 え, 対 象 となる 地 方 団 体 については, 議 論 を 重 ねながら 寄 付 者 の 意 思 に 委 ねる 制 度 にまとめた 福 井 豪 雨 の 時 に 全 国 から 人 的 貢 献 をされた 方 々は, 必 ずしも 福 井 出 身 ばかりではな かった そんな 人 々の 思 いを 活 かすため に, 納 税 者 が 寄 付 金 の 使 い 途 をしっかり 見 極 め, 寄 付 先 の 自 治 体 を 自 ら 選 べる 納 税 者 主 権 を 実 現 しようとしたのである 3 ふるさと 納 税 の 広 がり 平 成 20 年 4 月 の 制 度 スタート 以 来,3 年 半 が 経 過 した 市 町 村 を 含 め, 全 国 の 4 税 務 弘 報 2011. 12

ふるさと 納 税 のすすめ 自 治 体 がふるさとの 情 報 発 信 や 寄 付 を 活 かす 独 自 の 政 策 をホームページで 紹 介 す るなど, ふるさと 納 税 のPRが 広 がっ ている 福 井 県 は, 制 度 提 唱 県 として 平 成 20 年 8 月 に ふるさと 納 税 情 報 センター を 県 庁 の ふるさと 営 業 課 ( 現 在 )に 設 置 した そして 全 国 のふるさと 納 税 の 受 入 状 況 や 寄 付 金 の 活 用 事 例 など, 様 々な 関 係 情 報 をまとめてインターネット 上 に 発 信 して, 県 民 に 限 らず 全 国 に 向 けて 制 度 のPRを 行 っている 当 初 は32 県 の 参 加 にとどまったが, 現 在 では47 都 道 府 県 すべてが 加 入 し,さらに456の 市 町 村 が 寄 付 を 用 いた 政 策 事 業 やふるさとの 最 新 情 報 をこのサイトに 提 供 している 全 国 の ふるさと 納 税 の 件 数 と 金 額 は20 年 度 5,510 件,9 億 3 千 7 百 万 円,21 年 度 8,829 件,6 億 8 千 4 百 万 円,22 年 度 14,603 件,9 億 7 千 万 円 と 着 実 に 広 がり を 見 せている また 福 井 県 は20 年 度 763 件,7 千 3 百 万 円,21 年 度 749 件,6 千 8 百 万 円,22 年 度 774 件,7 千 2 百 万 円 であり, 県 民 1 人 当 たりの 件 数, 金 額 ともに3 年 間 全 国 トップクラスにいる これは, ふる さと 納 税 の 提 唱 県 として, 先 導 的 な 役 割 をしてきた 結 果 であると 考 える 今 年 度 は 若 者 のチャレンジ 活 動 への 応 援 や, 県 内 の 子 供 たちが 親 しめるコンサー トの 開 催, 県 立 高 校 への 楽 器 等 の 購 入, 福 井 の 美 しい 景 観 ( 福 井 ふるさと 百 景 ) を 県 内 外 へ 発 信 する 事 業 へ1 千 8 百 万 円 の 寄 付 金 を 活 用 している 全 国 では 国 体 の 開 催 や, 世 界 的 文 化 遺 産 の 保 全 などいろいろな 特 色 ある 事 業 に ふるさと 納 税 の 寄 付 金 が 活 用 されて いる 市 町 村 のサイトを 見 ても,ふるさ と 納 税 のお 礼 として 地 元 の 特 産 品 を 贈 っ たり( 品 物 の 地 域 間 競 争 などが 出 てくる ため 是 非 はあるが),ゆるキャラなどを 使 ったPRを 行 って 寄 付 を 全 国 に 呼 びか けるところも 多 くなった 最 近 ではPRチラシにQRコードを 印 刷 して, 携 帯 電 話 からの 寄 付 申 込 みができ る 仕 組 みづくり( 滋 賀 県 米 原 市, 彦 根 市 など)や, 寄 付 者 を 株 主 として 登 録 し, 配 当 ( 寄 付 金 額 に 応 じた 特 産 品 など) や 優 待 制 度 を 設 ける( 北 海 道 東 川 町 )な どの 取 組 みを 始 めた 自 治 体 もある 4 被 災 支 援 に 活 きる ふるさと 納 税 大 きな 災 害 などが 発 生 した 時 も ふる さと 納 税 が 積 極 的 に 活 用 されている 昨 年 は 宮 崎 県 で 口 蹄 疫 問 題 が 発 生 し た 福 井 県 からも 支 援 の 輪 を 広 げようと, ふるさと 納 税 情 報 センター を 通 じて 全 国 自 治 体 に 応 援 メッセージの 掲 載 を 呼 びかけ,13 府 県 がこれに 応 じてくださっ た その 効 果 もあって, 宮 崎 県 には 全 国 税 務 弘 報 2011. 12 5

から1 億 円 以 上 の ふるさと 納 税 が 寄 せられた そして 今 年 3 月 の 東 日 本 大 震 災 の 発 生 である 甚 大 な 被 害 を 受 けた 岩 手 県, 宮 城 県, 福 島 県, 茨 城 県 などに 対 して, 多 くの 義 援 金 (これは 被 災 者 へ 配 られる) が 寄 せられているが, 今 回 はそれにとど まらずインフラ 関 係 などの 復 興 を 支 援 す るための ふるさと 納 税 が 急 増 している 23 年 9 月 末 現 在 で, 岩 手 県 に2 億 2 千 万 円, 宮 城 県 に1 億 2 千 万 円, 福 島 県 に 1 億 8 千 万 円, 茨 城 県 に1 億 1 千 万 円 と, 例 年 夏 ごろでは1 千 万 円 に 届 かない 各 県 の 納 税 額 が 大 幅 に 伸 びている 状 況 である さらに 福 井 県 においては, 被 災 自 治 体 が 被 災 者 への 対 応 や 応 急 のインフラ 復 旧 などに 人 員 が 割 かれ, ふるさと 納 税 収 納 の 事 務 に 十 分 に 対 応 できないと 考 え, 震 災 直 後 の3 月 末 から 被 災 4 県 への 寄 付 受 付 を 代 行 することとし, 全 国 に 向 け 広 く 情 報 を 発 信 した 9 月 末 現 在,28 都 府 県 から265 件,1 千 5 百 万 円 余 りの 多 くの 寄 付 申 出 を 受 けており,10 月 中 に は 被 災 県 へ 送 金 する 予 定 である 本 県 の ふるさと 納 税 情 報 センター のウェブ アクセス 数 も,23 年 2 月 には 5 万 件 強 であったものが, 震 災 が 発 生 し た3 月 には12 万 5 千 件 と 一 気 に 倍 増 し た 4 月 に12 万 件,5 月 になっても8 万 件 のアクセスが 続 き, 平 年 ベースに 戻 っ たのは7 月 になってからであった 全 国 の 多 くの 方 々が 震 災 をきっかけに ふる さと 納 税 を 考 え,また 実 行 されている 出 身 者 でなくても, 困 っている 自 治 体 を 支 えられるという 制 度 の 趣 旨 に 合 う 活 用 のされ 方 が 広 まっているのだ 5 ふるさと 納 税 のこれから ⑴ よりよい 制 度 への 努 力 ふるさと 納 税 制 度 をさらに 利 用 し やすくするために, 福 井 県 では, 国 に 対 してねばり 強 く 継 続 的 に 制 度 改 正 要 望 を 行 っている 22 年 5 月 には, 寄 付 者 の 実 質 的 な 負 担 額 ( 住 民 税 控 除 の 適 用 下 限 額 ) を5 千 円 から2 千 円 へ 引 き 下 げるよう 国 に 要 望 した この 結 果, 今 年 6 月 末 に 地 方 税 法 の 一 部 が 改 正 された 寄 付 者 の 自 己 負 担 が 軽 減 され,ふるさと 納 税 がさら に 使 いやすい 制 度 となったのである こ れをきっかけに 若 い 人 たちにもさらに PRし, 例 えば 高 校 の 同 窓 会 に 呼 びかけ るなど, ふるさと 納 税 のすそ 野 を 広 げていきたい また, 将 来 的 な 課 題 もある ふるさと 納 税 を 行 った 後 に 税 の 軽 減 措 置 を 受 ける ためには 確 定 申 告 の 手 続 が 必 要 である が, 今 後 は,サラリーマンの 方 々が 気 軽 に 寄 付 できるように, 年 末 調 整 により 税 額 控 除 ができる 制 度 が 必 要 だ また 個 人 住 民 税 の 特 例 控 除 額 の 上 限 ( 税 額 の1 割 ) 6 税 務 弘 報 2011. 12

ふるさと 納 税 のすすめ の 引 上 げも 必 要 である これらの 改 善 を 国 に 提 言 していきたい これはぜひとも 実 現 すべき 大 きな 課 題 と 考 えている ⑵ 人 々の 行 動 を 引 き 出 す 地 方 の 努 力 制 度 が 改 善 される 中 で, 地 方 としても 人 々が 寄 付 しやすくなる 様 々な 工 夫 を 重 ね,ふるさと 納 税 制 度 を 利 用 してもらう ことが 大 事 である 本 県 の 例 をお 話 する 制 度 が 始 まって 間 もないころは, 県 外 の 方 に 寄 付 していただく 場 合, 専 用 の 納 付 書 の 取 扱 金 融 機 関 は 福 井 銀 行,みずほ 銀 行 に 限 られていた その 他 には 現 金 書 留 によるしかなかった これでは 寄 付 され る 方 にとって 不 便 であったり, 手 数 料 な どの 負 担 が 伴 う また, 県 と 市 町 両 方 に 寄 付 したい 場 合, 市 町 分 は 別 に 手 続 をし なければならなかった そこで, 自 宅 にいながらにして,パソコンを 使 って 寄 付 (クレジットカードで 決 済 )できるシステム 全 国 の ゆうちょ 銀 行 で 寄 付 申 出 と 支 払 が 同 時 にできる 手 続 県 内 市 町 分 も 県 が 受 付 できる 共 同 受 入 窓 口 の 設 置 など, 寄 付 の 手 続 に 改 善 を 重 ねた 全 国 の 自 治 体 が 寄 付 の 手 続 を 簡 素 なものに し, 人 々の 行 動 を 起 こす 仕 掛 けづくりに 積 極 的 に 取 り 組 むことが 大 事 だ ⑶ 関 連 するNPO 税 制 について さて 本 年 6 月 には, 認 定 NPO 法 人 へ 寄 付 した 場 合 も ふるさと 納 税 と 同 じ ように, 税 制 上 の 特 例 が 認 められるよう になった 寄 付 文 化 の 醸 成 や 新 しい 公 共 の 担 い 手 の 拡 大 は1つの 方 向 であろう しかし,ふるさと 納 税 制 度 とこの 制 度 は 区 別 して 考 えるべきである 理 由 は2 つある 第 1に 認 定 NPO 法 人 は, 活 動 の 目 的 の 公 益 性 を 認 定 されるのではな く, 年 間 寄 付 者 の 数 など 客 観 的 条 件 によ り 認 定 されるもので, 地 方 自 治 体 と 比 較 するとその 公 益 性 に 格 段 の 違 いがあるこ と, 第 2にNPO 法 人 への 寄 付 は 地 元 の 人 々が 行 うのが 一 般 的 であるが, ふる さと 納 税 制 度 は ふるさと の 外 にい る 人 がふるさとを 応 援 するための 寄 付 に 税 制 上 の 特 例 を 認 めるものであり,その 趣 旨 が 異 なるからである 6 地 方 と 都 市 が 力 を 合 わせて 最 後 に, 地 方 と 都 市 の 関 係 についても う 一 度 触 れたい 当 初 ふるさと 納 税 に 関 しては, 特 に 都 市 圏 の 自 治 体 から 税 収 が 減 少 する のではないか という 反 対 の 声 があった のも 事 実 である しかし,この 制 度 を 単 税 務 弘 報 2011. 12 7

純 に 都 市 と 地 方 との 対 立 構 図 で 理 解 して はいけない 私 は 都 市 と 地 方 が 必 ずしも 対 立 しているとは 考 えていない むしろ 都 市 と 地 方 はお 互 いに 支 え 合 っている と 考 えるのが 正 しいのではないか 都 市 はわが 国 の 産 業 経 済 の 中 心 とな り,その 恩 恵 は 地 方 にも 及 ぶ しかし 電 気 や 水, 食 料 などのライフライン, 都 市 の 経 済 を 支 える 人 材 などは 歴 史 を 振 り 返 っても, 地 方 が 提 供 してきた 都 市 が, 経 済 面 で 一 方 的 に 地 方 を 支 えているわけ でもないし,また, 都 市 は 決 して 自 給 自 立 しているわけでもない 少 子 高 齢 化 やグローバル 化 は, 都 市 地 方 を 問 わず わが 国 全 体 の 大 きな 課 題 になっている 都 市 と 地 方 が 対 立 と 言 われる 関 係 を 乗 り 越 えて, 互 いに 助 け 合 い 発 展 する 新 しいシステムが 今 ほど 求 められている 時 代 はないのではないだろうか 7 ふるさと 知 事 ネットワークで 新 たな 国 づくりを 昨 年 1 月 に, 私 は 全 国 の( 特 に 地 方 部 の) 知 事 に 呼 びかけ, 地 方 から 国 を 変 え ていくための 政 策 提 言 や 政 策 の 共 同 研 究 を 行 う 知 事 ネットワーク, 自 立 と 分 散 で 日 本 を 変 えるふるさと 知 事 ネットワー ク を 立 ち 上 げた 私 を 含 め11 県 の 知 事 がこの 設 立 趣 旨 に 賛 同 し 参 加 いただいて いる 今 年 8 月 に 奈 良 県 で 開 催 された 知 事 ネ ットワークの 会 合 では11 県 全 知 事 の 合 意 により, 新 たな 国 づくり 税 制 調 査 会 を 設 置 することを 決 定 した これから, 地 方 同 士 が 知 恵 を 絞 り, 例 えば, 都 市 に 集 中 する 企 業 の 地 方 分 散 を 進 める 税 制 や, 過 密 による 都 市 問 題 を 解 消 し, 人 の 地 方 移 住 を 促 進 する 税 制 など, 都 市 と 地 方 がともに 発 展 できる 税 制 を 国 へ 提 言 し ていきたい 新 しい 地 方 が 新 しい 日 本 を 創 る という 覚 悟 と 決 意 で, 新 しい 自 治 の 動 きを 全 国 の 地 方 とともに 加 速 さ せていかなければならないと 考 えている 参 考 文 献 西 川 一 誠 ふるさとの 発 想 ( 岩 波 新 書, 2009 年 7 月 ) 西 川 一 誠 心 の 里 帰 り 制 度 を 育 てよう ( 毎 日 新 聞 発 言 席,2008 年 9 月 7 日 ) 西 川 一 誠 ふるさと 納 税 - 年 末 調 整 で 手 続 き 簡 素 化 を ( 朝 日 新 聞 私 の 視 点,2009 年 3 月 11 日 ) 西 川 一 誠 ふるさと 納 税 をしよう ( 時 事 通 信 オピニオン,2009 年 3 月 18 日 ) 西 川 一 誠 国 土 軸 を 日 本 海 側 にも ( 毎 日 新 聞 再 生 への 視 点,2011 年 5 月 12 日 ) 8 税 務 弘 報 2011. 12