日置技報 VOL.23 2002 NO.1



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2 2. 機 能 特 長 以 下 に 3660 の 主 な 特 長 を 挙 げる. (1) 簡 単 な 操 作 TEST キー1プッシュでワイヤマップとケーブ ル 長 を 同 時 に 測 定. 測 定 結 果 はケーブル 内 の 各 ペアの 結 線 状 況 をペ アごとに 確 認 でき,ケーブルにおける 問 題 点 の 的 確 な 判 断 が 可 能 である. (2) ワイヤマップ 検 査 ケーブル 両 端 コネクタのピンごとの 接 続 状 況 を 確 認. UTP ケーブルは 4 対 8 芯 の 撚 り 対 線 であり, 芯 線 とコネクタの 接 続 順 は 規 格 により 規 定 されてい る.これによればコネクタの 1-2,3-6,4-5,7-8 番 ピンにそれぞれペア 線 を 割 り 当 てるように 決 め られているが, 作 業 者 のミスにより 誤 結 線 が 生 じ る 場 合 がある. 図 1 に 誤 配 線 の 例 を 示 す. (5) 検 査 結 果 表 示 3660 の 表 示 はワイヤマップ/ケーブル 長 測 定 表 示 とディレクション 検 査 表 示 の 2 種 類 があり, ワイヤマップ/ケーブル 長 検 査 では 画 面 の 上 段 に ケーブル 長, 下 段 にワイヤマップ 検 査 結 果 が 表 示 される.ワイヤマップ 検 査 結 果 は 近 端 のコネクタ のピン 番 号 とそれに 接 続 している 遠 端 のコネクタ のピン 番 号 が 表 示 され( 図 2),ディレクション 検 査 ではケーブル 遠 端 に 接 続 された 9337 ディレク ションターミネータの ID 番 号 が 表 示 される( 図 3). 安 価 なテスタではペアごとの OK/NG の 判 断 し かできないものが 多 いが,3660 はピンごとにショ ート,オープン,リバース,トランスポーズ 等 の 誤 配 線 の 接 続 状 況 を 確 認 できる.(スプリットペ アは 不 可 ) 図 2 にワイヤマップ 検 査 画 面 を 示 す. (3) ケーブル 長 検 査 2m~300mの UTP ケーブルの 長 さ 検 査 が 可 能. 敷 設 工 事 の 現 場 で 製 作 したケーブルの 長 さの 確 認 や,ケーブル 途 中 の 断 線 や 短 絡 点 のおおよその 位 置 を 知 ることができる.ケーブル 長 の 単 位 には SI 単 位 の[m]のほか,ネットワーク 先 進 国 である 米 国 での 使 用 を 考 慮 して[ft]での 表 示 も 可 能 とし た. (4) ディレクション 検 査 最 大 5 本 までのケーブルのディレクション( 接 続 先 ) 検 査 が 可 能. UTP ケーブルを 用 いる LAN はスター 配 線 であ り, 各 端 末 からのケーブルが HUB 等 に 集 められ るが, 配 線 時 にケーブルに 識 別 タグ 等 をつけてい ないと HUB に 集 められたケーブルがそれぞれど こに 繋 がっている 物 かわからなくなってしまう. このようなときにディレクション 検 査 を 実 行 する ことでケーブルの 接 続 先 を 確 認 できる. 図 3 にディレクション 検 査 画 面 を 示 す. 図 1 図 2 図 3 ワイヤマップ 誤 配 線 例 ワイヤマップ 検 査 結 果 ディレクション 検 査 結 果

3 3. 構 成 3660 のハードウェアのブロック 図 を 図 4 に 示 す. 構 成 は CPU 周 辺 回 路,I/O 用 CPLD,TDR 用 CPLD,ワイヤマップ 検 査 回 路,ケーブル 長 検 査 回 路, 電 源 回 路 となっている. 3.1 ワイヤマップ 検 査 回 路 ワイヤマップ 検 査 には 3660の 他 に 9336 ワイヤ マップターミネータを 使 用 し,ケーブルの 近 端 に 3660, 遠 端 に 9336 を 接 続 して 検 査 を 行 う. 図 5 は 3660 のワイヤマップ 測 定 回 路 である. 従 来 から 市 場 にある 製 品 ではワイヤマップ 検 査 は, 抵 抗 とダイオード 等 の 非 線 形 素 子 からなる 回 路 ネ ットワークを 用 いて 行 う.この 回 路 ではリバース ペア(ペア 内 の 線 の 入 れ 違 い)の 検 出 のために 入 れてあるダイオードの 順 方 向 電 圧 により 判 定 マー ジンが 小 さくなるため 不 利 である. 一 方 図 5 の 抵 抗 ネットワークによる 構 成 ではダイオードが 無 いために 判 定 マージンが 大 きく 確 保 できる. 図 4 ブロック 図 図 5 ワイヤマップ 測 定 回 路

4 誤 結 線 の 検 出 は 図 6 のように 3660 からケーブ ル 近 端 の 任 意 の 芯 線 に 試 験 電 圧 Vin を 注 入 して, 遠 端 に 接 続 した 9336 の 抵 抗 ネットワークと 3660 内 部 のレベル 検 出 部 の 基 準 抵 抗 Rg による 分 圧 値 Vd を 計 測 することで 行 う. 図 6 ワイヤマップ 電 圧 検 出 回 路 ここで,Vin を 注 入 する 芯 線 の 遠 端 における 抵 抗 値 Rx(=Ra+Rb)が 既 知 であれば,ケーブルの 近 端 と 遠 端 の 接 続 状 況 検 出 が 可 能 となる.3660 では 図 5 の R1~R8 に 個 別 の 値 を 設 定 し,これら から 求 められる 検 出 電 圧 Vd の 理 論 値 と 実 際 の 測 定 値 を 比 較 して 近 端 と 遠 端 のピンの 対 応,あるい はオープン/ショートを 判 断 している. Rx は Vin と Vd の 組 み 合 わせにより 検 出 できる が,すべての 誤 配 線 (>>8!)を 考 慮 しなければな らず 現 実 的 ではない.そのため Vin を 注 入 する 芯 線 は 遠 端 で 正 しく 結 線 されていると 仮 定 するこ とで Rx を 効 率 的 に 検 出 している. 図 7 にワイヤ マップ 検 査 の 概 略 フローチャートを 示 す. 図 7 ワイヤーマップ 検 査 測 定 フロー

5 3.2 ケーブル 長 測 定 回 路 3660 では 図 8 の 回 路 で TDR(Time Domain Reflectometry) 法 : 時 間 領 域 反 射 法 によりケーブ ル 長 を 測 定 している.TDR 法 では,ケーブルの 近 端 から 注 入 したパルスが 遠 端 あるいは 開 放, 短 絡 等 の 原 因 によりインピーダンス 不 整 合 が 起 きてい る 点 で 反 射 して 戻 るまでの 時 間 t[s]を 測 定 するこ とで, 下 記 の 式 によりケーブル 長 を 求 めている. L:ケーブル 長 [m] c: 光 速 =3 10 8 [m/s] t: 時 間 [s] NVP:Nominal Velocity of Propagation( 光 速 に 対 する 信 号 の 伝 播 時 間 比 ) この 計 算 には NVPが 必 要 になるが,これはケー ブルのカテゴリ 等 の 違 いによって 0.6~0.8 の 広 い 範 囲 にわたる.3660 では NVP を 0.7 と 仮 定 し てケーブル 長 を 計 算 している. 図 9 に 10 ns のパルスを 2mのケーブルに 注 入 した 時 の 入 射 波 と 反 射 波 の 波 形 例 を 示 す. 時 間 測 定 には, 注 入 パルスと 反 射 波 が 完 全 に 分 離 されることが 望 ましく,そのため 注 入 パルス 幅 =10ns の 場 合, 測 定 可 能 な 最 短 ケーブル 長 は 1m が 限 界 となる.3660 ではパルス 幅 10 ns の 信 号 を 出 力 するために 100 MHz のクロックと 高 速 の CPLD を 採 用 した. これとは 逆 にケーブル 長 が 長 い 場 合 に 注 入 する 信 号 のパルス 幅 が 小 さいと, 遠 端 で 反 射 した 信 号 が 入 射 端 に 戻 ってくるまでの 間 に 減 衰 してしまい 検 出 できなくなることがある.これに 対 応 するた め 3660 ではパルス 幅 を 自 動 的 に4 段 階 に 切 り 換 え,2 m~300 m の 広 範 囲 のケーブル 長 を 測 定 で きるようにしている. 3.4 電 源 回 路 電 源 部 は 大 きく 分 けて CPU 周 辺 ディジタル 系 電 源,CPLD 周 辺 ディジタル 系 電 源,アナログ 系 電 源 に 分 かれる. 最 初 に CPU 周 辺 ディジタル 系 電 源 を 電 池 から DC-DC コンバータによって 発 生 し,ここから DC-DC コンバータで CPLD 周 辺 デ ィジタル 系 電 源 とアナログ 系 電 源 を 発 生 する 構 成 になっている. ソフトウェア 制 御 により CPLD 周 辺 ディジタ ル 系 とアナログ 系 電 源 回 路 は 測 定 動 作 時 以 外 はパ ワーダウンモードに 入 り, 電 池 寿 命 を 延 ばす 工 夫 がされている. 3660 LAN ケーブルハイテスタ パルス 発 生 部 パルス 検 出 部 図 8 アナログスイッチ コネ クタ ケーブル 長 測 定 回 路 3.3 ディレクション 検 査 回 路 ディレクション 検 査 には ID1~ID5 の 5 個 で 1 セットの 9337 ディレクションターミネータを 使 用 する.9337 の 内 部 は 9336 と 同 じ 回 路 構 成 だ が, 抵 抗 ネットワークには ID 番 号 ごとに 個 別 の 抵 抗 値 を 割 り 当 てている.9337 をケーブル 遠 端 に 接 続 してワイヤマップ 検 査 と 同 様 の 測 定 を 行 うと ID 番 号 によって 固 有 の 電 圧 値 が 検 出 され,この 値 から 9337 の ID 番 号 を 判 断 する. 図 9 2mケーブル 遠 端 開 放 の 入 射 波 と 反 射 波

6 図 10 測 定 例 1 4. 仕 様 5. 測 定 例 以 下 に 3660 の 主 な 仕 様 を 示 す < 測 定 機 能 > ワイヤマップ/ケーブル 長 検 査 ワイヤマップ 検 査 9336 ワイヤマップターミネータを 使 用 して 結 線 状 況 の 確 認 が 可 能 検 出 エラー:オープン,ショート,その 他 の 誤 配 線 (スプリットペアは 検 出 不 可 ) ケーブル 長 検 査 測 定 長 :2-300 m,6.6~990ft 誤 差 :±(1 m+15%rdg.),±(3.3ft+15%rdg.) 表 示 分 解 能 :0.1 m,0.33ft ディレクション 検 査 9337 ディレクションターミネータを 使 用 して 5 本 のケーブルを 識 別 可 能 5.1 ケーブル 敷 設 前 のコネクタ 接 続 確 認 敷 設 工 事 の 現 場 でケーブル 両 端 にコネクタを 接 続 して 配 線 を 行 う 場 面 において,ケーブルの 設 置 前 にコネクタの 接 続 が 正 しいことを 確 認 すること で 後 の 作 業 の 効 率 を 上 げることができる. 図 10 のようなケーブル 長 20.2 m,1 番 と 2 番 を 入 れ 違 えて 結 線 されたケーブルの 検 査 時 には 図 11 のような 表 示 になり,ケーブルの 近 端 と 遠 端 で 違 う 番 号 のコネクタピンに 接 続 されていることを 示 す. < 測 定 可 能 ケーブル,コネクタ> UTP ケーブル: 特 性 インピーダンス 100ΩCAT3,4,5,5e(RJ-45 コネクタ) < 測 定 方 法 > ワイヤマップ: 抵 抗 分 圧 法 ケーブル 長 :TDR 法 ディレクション: 抵 抗 分 圧 法 図 11 図 10 の 検 査 結 果 上 段 の 大 きな 数 字 がケーブル 長, 下 段 の 小 さな 数 字 がペア 線 の 接 続 状 況 を 表 している.

7 図 12 接 続 先 確 認 例 図 13 ケーブル 障 害 検 出 図 14 図 13 の 検 査 結 果 5.2 ケーブル 敷 設 時 の 接 続 先 確 認 個 別 の ID 番 号 を 持 つ 9337 ディレクションター ミネータをケーブルの 遠 端 に 接 続 し,3660 の TEST キーを 押 せば 接 続 されている ID 番 号 が 表 示 される. 壁 面 に 取 り 付 けられた 複 数 のモジュラ ジャックがどのケーブルに 接 続 しているかが 容 易 に 判 断 できる.( 図 12) 5.3 稼 動 中 のネットワークに 障 害 が 発 生 し た 時 のケーブルの 確 認 誤 ってケーブルの 上 に 重 量 物 を 置 いてしまうこと による 断 線 などが 考 えられるが,3660 のワイヤマ ップ 検 査 機 能 によって 断 線 の 検 出 が 可 能 である. また,ケーブル 長 測 定 機 能 によりその 断 線 点 のお およその 位 置 を 割 り 出 すことも 可 能 である. 図 13 のように 5 番 ピンに 繋 がる 線 が 途 中 で 断 線 したケーブルの 検 査 時 には 3660 は 図 14 のよう な 表 示 で 断 線 しているピンの 番 号 と, 近 端 から 断 線 箇 所 までの 長 さを 表 示 する. 6. おわりに 3660 LAN ケーブルハイテスタの 概 要 を 紹 介 し た. 情 報 通 信 産 業 はこれからも 伸 長 が 期 待 される 市 場 である.3660 が 敷 設,メンテナンス 分 野 で 多 数 活 用 されることを 期 待 し,また,この 製 品 をき っかけとして, 情 報 通 信 向 けカテゴリ 製 品 群 の 展 開 を 図 っていきたい. 稼 動 中 のネットワークで 障 害 が 起 きたとき, 効 率 的 な 障 害 解 析 を 行 うためには 原 因 がどこにある かを 切 り 分 ける 必 要 がある.3660 はこのような 場 面 において,ケーブルの 問 題 の 有 無 を 確 認 する ことに 活 用 できる.ケーブルに 起 因 する 原 因 とし てはケーブル 挿 抜 時 のコネクタ 付 近 での 断 線 や,