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熊 本 都 市 政 策 vol.2 (2013) 熊 本 市 の 人 口 動 態 の 分 析 及 び 福 岡 市 との 比 較 考 察 植 木 英 貴 熊 本 市 都 市 政 策 研 究 所 副 所 長 キーワード: 熊 本 都 市 圏 人 口 集 中 人 口 移 動 都 市 の 魅 力 1 はじめに 熊 本 市 は 平 成 20 年 に 富 合 町 平 成 22 年 には 城 南 町 及 び 植 木 町 との 合 併 を 経 て 平 成 22(2010) 年 の 国 勢 調 査 時 点 で 人 口 73 万 4,474 人 を 擁 する 大 都 市 となり 平 成 24 年 4 月 に 政 令 指 定 都 市 へ 移 行 した 平 成 26 年 1 月 1 日 現 在 で 人 口 73 万 9,628 人 となり 前 年 と 比 べ947 人 の 増 加 を 示 している 日 本 の 人 口 推 移 においては 平 成 17(2005) 年 に 日 本 は 人 口 減 少 社 会 に 突 入 したといわれ 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 の 平 成 22(2010) 年 国 勢 調 査 による 人 口 数 1 億 2,806 万 人 を 基 とした 将 来 推 計 人 口 では 平 成 42(2030) 年 には1 億 1,662 万 人 となることが 予 測 され その 後 は 出 生 中 位 ( 死 亡 中 位 )で 平 成 72(2060) 年 には 8,674 万 人 となるという 推 計 が 出 されている 熊 本 県 においては 平 成 14(2002) 年 に はすでに 人 口 減 少 が 始 まっており 熊 本 県 推 計 人 口 調 査 結 果 では 平 成 25(2013) 年 では180 万 1,495 人 となり 前 年 比 較 で5,706 人 の 減 少 となっている そのような 中 で 本 市 においては 人 口 増 加 の 幅 は 縮 小 傾 向 にあるものの 先 に 述 べたように 現 在 も 人 口 増 加 を 続 け ている このことは 九 州 新 幹 線 鹿 児 島 ルートの 全 線 開 業 や 政 令 指 定 都 市 への 移 行 など 熊 本 県 内 においても 経 済 や 教 育 医 療 福 祉 など 都 市 機 能 の 面 でも 重 要 な 拠 点 となっ ていることが 背 景 となっているものと 考 えられる そこで 本 市 人 口 の 社 会 動 態 が 熊 本 都 市 圏 1 や 熊 本 県 域 さらには 他 都 道 府 県 大 都 市 圏 政 令 市 などの 関 係 におい てどのような 状 況 にあるのかを 人 口 データからまず 分 析 し そして 次 に 九 州 第 1の 都 市 であり 人 口 150 万 人 を 超 え 今 な お 増 加 を 続 けている 福 岡 市 との 比 較 を 通 して 本 市 と 福 岡 市 との 都 市 の 違 いと 魅 力 を 分 析 してみたい 2 熊 本 市 の 最 近 の 人 口 の 推 移 と 人 口 動 態 ( 自 然 動 態 と 社 会 動 態 ) 最 初 に 熊 本 市 の 最 近 の 人 口 動 態 を 見 てみることとする 図 1-1は 平 成 15 年 から25 年 までの 人 口 の 推 移 と 人 口 増 減 図 1-1 平 成 15 年 から25 年 までの 熊 本 市 人 口 の 推 移 ( 出 典 ) 熊 本 県 推 計 人 口 調 査 結 果 報 告 より 作 成 - 27 -

熊 本 市 の 人 口 動 態 の 分 析 及 び 福 岡 市 との 比 較 考 察 を 決 める 要 素 となる 出 生 と 死 亡 に 伴 う 人 口 の 動 きである 自 然 動 態 転 入 転 出 に 伴 う 人 口 の 動 きである 社 会 動 態 の 推 移 を 示 したものである 熊 本 市 の 人 口 は 増 加 を 続 けていることが 分 かり 平 成 21 年 と 平 成 22 年 に 大 幅 に 増 加 しているのは 富 合 町 ( 平 成 20 年 10 月 6 日 合 併 )と 城 南 町 植 木 町 ( 平 成 22 年 3 月 23 日 の 合 併 ) の 合 併 を 反 映 している 本 市 は 平 成 15 年 から 比 較 すると 平 成 25 年 までの11 年 間 で 約 6 万 9,500 人 増 加 したことになる ここで 人 口 増 減 の 要 素 である 自 然 動 態 と 社 会 動 態 の 推 移 を 分 けて 見 てみると 自 然 動 態 は 平 成 15 年 ごろと 比 較 す ると 減 少 を 続 けてきており これは 出 生 数 は 一 定 数 を 維 持 しているものの 死 亡 数 が 増 加 していることが 理 由 である 社 会 動 態 においては 平 成 19 年 をピークとして 平 成 22 年 まで 本 市 からの 転 出 超 過 が 続 いてきたが 平 成 23 年 以 降 転 入 超 過 に 転 じている このことで 平 成 23 年 以 降 の 人 口 増 加 は 自 然 動 態 の 減 少 傾 向 にあるものの 社 会 動 態 の 増 加 つまり 本 市 への 転 入 数 の 増 加 が 要 因 となって 人 口 増 加 を 続 けてい る そこで 以 下 本 稿 では この 社 会 動 態 に 着 目 し 県 内 及 び 県 外 に 分 けて 人 口 の 動 きを 見 ていくこととする なお 以 下 の 分 析 においては 本 市 への 転 入 転 出 の 状 況 を 端 的 にあらわすデータとなる 社 会 動 態 の 増 減 を 示 す 転 入 転 出 超 過 数 を 見 ていくこととする 2.1 社 会 動 態 の 分 析 ( 県 内 及 び 県 外 のからの 転 入 転 出 超 過 の 状 況 ) 図 2-1は 平 成 10 年 から25 年 までの 本 市 の 社 会 動 態 の 変 化 を 県 内 と 県 外 からの 転 入 超 過 数 (マイナスは 転 出 超 過 とな る)の 推 移 を 示 した 図 である この 図 からわかることは 本 市 の 社 会 動 態 の 特 徴 として 県 内 と 県 外 の 社 会 動 態 に 明 確 な 違 いが 見 られることである それは 県 内 の 市 町 村 からの 熊 本 市 への 人 の 動 きは 転 入 超 過 逆 に 県 外 に 対 しては 転 出 超 過 となっていることである つまり 本 市 の 社 会 動 態 の 増 減 は 県 外 への 人 口 流 出 が 大 きく 影 響 しており 今 後 県 外 への 流 出 を 少 なくする 手 立 て を 講 じることで 本 市 の 人 口 も 維 持 できる 可 能 性 を 見 ること ができる ここで 図 2-1を 詳 しく 見 ていく 本 市 の 社 会 動 態 の 動 きは 平 成 15 年 以 降 平 成 19 年 の 社 会 減 がもっとも 大 きく 平 成 22 年 までこの 傾 向 が 続 いている しかし 平 成 23 年 か ら 県 外 への 転 出 超 過 数 が 減 少 し 県 内 からの 転 入 超 過 数 が 増 加 している 平 成 23 年 は 県 外 への 転 出 超 過 数 は65 人 2 で 前 年 比 較 で1,378 人 減 少 している これは 県 外 からの 転 入 者 数 が 増 加 したことによるものである また 県 内 からの 転 入 超 過 数 も 前 年 より515 人 増 加 し913 人 となっており 平 成 23 年 の 社 会 動 態 数 は 前 年 比 較 で1,304 人 増 加 の740 人 となり 以 後 増 加 を 続 けている 図 2-1 熊 本 市 の 県 内 県 外 別 の 転 入 転 出 超 過 数 の 平 成 10 年 から25 年 までの 推 移 ( 出 典 ) 熊 本 県 推 計 人 口 調 査 結 果 報 告 より 作 成 - 28 -

熊 本 都 市 政 策 vol.2 (2013) 次 に 図 2-2は 県 外 と 県 内 の 転 入 転 出 者 数 の 推 移 を 示 したものである このグラフから 本 市 の 特 徴 は 県 外 の 転 入 転 出 者 数 が 県 内 のそれの1.7 倍 ほどと 多 く 県 外 から の 規 模 がかなり 大 きいことを 示 している この 図 を 見 ると 県 外 からの 転 入 者 数 が 平 成 23 年 に 前 年 よりも989 人 増 加 し 転 出 者 数 とほぼ 同 数 になっていること が 注 目 される このことが 県 外 への 転 出 超 過 数 を 大 幅 に 減 らしている また 平 成 25 年 では 転 入 転 出 者 数 ともに 増 加 しており 県 外 者 の 移 動 が 大 きくなっていることを 示 し ている 県 内 の 転 入 転 出 者 数 を 見 ると 平 成 23 年 以 降 転 入 者 が 転 出 者 を1,000 人 ほど 上 回 る 転 入 超 過 の 状 況 が 続 いてい る これが 本 市 の 社 会 増 の 理 由 である この 状 況 を 以 下 で 詳 しく 見 ていく 図 2-2 熊 本 市 の 県 外 県 内 別 転 入 転 出 者 数 の 推 移 ( 出 典 ) 熊 本 県 推 計 人 口 調 査 結 果 報 告 より 作 成 3 県 内 の 動 態 ( 県 内 と 熊 本 市 の 転 入 転 出 超 過 の 状 況 ) ここまで 本 市 における 県 内 からの 転 入 超 過 また 県 外 への 転 出 超 過 の 傾 向 を 見 てきたが ここから 県 内 各 市 町 村 の 動 きを 詳 しく 見 て 行 きたい 図 3は 県 内 を 熊 本 都 市 圏 とそれ 以 外 の 市 町 村 に 分 けて 本 市 への 転 入 転 出 超 過 数 を 見 たものである 平 成 13 年 は 菊 陽 町 と 合 志 町 ( 現 在 の 合 志 市 )に 開 発 された 光 の 森 の 大 型 団 地 の 分 譲 が 始 まる 前 年 であり 平 成 21 年 は 富 合 町 との 合 併 の 翌 年 城 南 町 植 木 町 との 合 併 の 前 年 となる また 九 州 新 幹 線 全 線 開 業 を 経 て 政 令 指 定 都 市 へ 移 行 した 平 成 24 年 とその 翌 年 の 平 成 25 年 の 動 きをみている これを 見 ると 県 内 全 体 では 転 入 超 過 となっているが その 内 訳 は 熊 本 都 市 圏 では 熊 本 市 から500 人 を 超 える 転 出 超 過 都 市 圏 を 除 く 県 内 市 町 村 からは1,500 人 を 超 える 転 入 超 過 とはっきり 分 かれていることが 読 み 取 れる すなわち 県 内 では 転 入 超 過 となり 人 口 が 本 市 に 集 中 し てきているものの 熊 本 都 市 圏 の 中 で 見 ると 本 市 の 近 隣 の 市 町 へ 流 出 しているという 実 態 が 現 れてくる しかも 平 成 13 年 と 比 較 すると 転 出 超 過 数 は 増 加 していることが 分 かる 以 下 この 状 況 を 熊 本 都 市 圏 の 中 の 状 況 と それ 以 外 の 県 内 市 町 村 の 状 況 に 分 けてみていくこととする 3.1 熊 本 都 市 圏 の 市 町 村 の 状 況 図 3-1は 熊 本 都 市 圏 の13 市 町 村 における 平 成 13 年 から 平 成 25 年 までの 熊 本 市 の 転 入 転 出 超 過 数 の 推 移 を 示 してい る 平 成 13 年 の 時 点 では 転 出 超 過 数 は394 人 ( 図 3 参 照 )で 現 在 のほうが 転 出 超 過 数 は 多 くなっている 平 成 13 年 では - 29 -

熊 本 市 の 人 口 動 態 の 分 析 及 び 福 岡 市 との 比 較 考 察 光 の 森 の 大 型 団 地 の 分 譲 が 始 まる 前 で 菊 陽 町 や 合 志 市 ( 当 時 は 合 志 町 :データは 合 併 後 組 み 替 え 数 値 )も 現 在 の 半 分 程 度 の 転 出 超 過 数 であり 益 城 町 もすでに 転 出 超 過 となっ ている また 宇 土 市 へも 転 出 超 過 だったことを 示 しており 宇 土 市 の 人 口 増 加 の 著 しい 時 期 と 重 なっている しかし その 後 は 転 入 超 過 に 転 じている 平 成 24 年 を 見 ると 合 志 市 菊 陽 町 益 城 町 の3 市 町 が 本 市 からの 転 出 超 過 で 最 も 大 きくなっている 平 成 25 年 では 平 成 24 年 よりも 転 出 超 過 数 は 少 なくなっているものの 傾 向 は 同 じであり 大 津 町 や 嘉 島 町 への 転 出 超 過 が 増 加 傾 向 を 示 している いずれにしても 平 成 14(2001) 年 からの 熊 本 県 住 宅 供 給 公 社 による 光 の 森 分 譲 開 始 がきっかけとなった 開 発 が 本 市 からの 転 出 超 過 の 増 加 を 招 いたことが 窺 える 一 方 宇 城 市 美 里 町 山 都 町 からは 転 入 が 多 く これらのことか ら 熊 本 都 市 圏 であっても 本 市 への 通 勤 通 学 圏 内 となる 地 域 で 生 活 の 利 便 性 が 高 い 市 町 へは 転 出 超 過 となり 通 勤 通 学 には 距 離 がある 市 町 においては 熊 本 市 への 転 入 が 多 くなっており 二 分 される 図 3 熊 本 都 市 圏 と 県 内 の 他 市 町 村 からの 本 市 への 転 入 転 出 超 過 数 ( 出 典 ) 熊 本 県 推 計 人 口 調 査 結 果 報 告 より 作 成 図 3-1 熊 本 都 市 圏 における 熊 本 市 への 転 入 転 出 超 過 数 の 推 移 平 成 13 年 ~25 年 ( 出 典 ) 熊 本 県 推 計 人 口 調 査 結 果 報 告 より 作 成 - 30 -

熊 本 都 市 政 策 vol.2 (2013) 3.2 県 内 市 町 村 ( 熊 本 都 市 圏 を 除 く)の 状 況 ここで 本 市 への 転 入 超 過 となっている 県 内 市 町 村 を 見 ていく 図 3-2が 各 市 町 村 から 本 市 への 転 入 超 過 数 を 示 して いる ほぼ 全 市 町 村 で 転 入 超 過 となっており 県 内 から 本 市 への 人 口 集 中 が 窺 える 図 -3でも 見 られるとおり 県 内 市 町 村 からの 平 成 21 年 の 転 入 超 過 数 は 減 少 しているが その 後 は 回 復 している ちなみに 平 成 21 年 は 平 成 20 年 のリー マンショックの 影 響 を 大 きく 受 けた 年 であった 図 3-2から 転 入 超 過 数 が 大 きいところを 見 ると 平 成 25 年 の 数 値 で100 人 以 上 の 転 入 超 過 となったところは 天 草 市 が 290 人 八 代 市 が302 人 玉 名 市 が146 人 上 天 草 市 が117 人 人 吉 市 が114 人 となっており 特 に 天 草 地 域 からの 転 入 が 多 い また 八 代 市 においては 熊 本 市 への 転 入 が 増 加 してい る 図 3-2 県 内 からの 熊 本 市 への 転 入 転 出 超 過 数 推 移 ( 都 市 圏 除 く) 平 成 13 年 ~25 年 ( 出 典 ) 熊 本 県 推 計 人 口 調 査 結 果 報 告 より 作 成 図 4-1 平 成 24 年 熊 本 市 への 各 都 道 府 県 からの 転 入 超 過 数 (マイナスは 転 出 超 過 ) - 31 -

熊 本 市 の 人 口 動 態 の 分 析 及 び 福 岡 市 との 比 較 考 察 4 熊 本 市 と 他 都 道 府 県 との 人 口 の 動 き ここまで 熊 本 県 内 の 動 きを 見 てきたが ここで 県 内 を を 見 ると 熊 本 市 は 福 岡 市 への 転 出 超 過 は 多 いものの 他 の 九 州 各 県 から 本 市 へ 人 が 集 まっていることが 分 かる 除 く 他 都 道 府 県 に 対 する 転 入 転 出 超 過 の 状 況 を 見 ること とする 4.2 3 大 都 市 圏 と 熊 本 市 との 転 入 転 出 超 過 の 状 況 本 市 と 他 都 道 府 県 の 転 入 転 出 超 過 の 特 徴 をはっきりさ 4.1 熊 本 市 と 他 都 道 府 県 との 転 入 転 出 超 過 の 状 況 図 4-1は 総 務 省 が 公 表 している 住 民 基 本 台 帳 移 動 報 告 2012 3 から 作 成 したグラフである まず 都 道 府 県 別 に 転 入 超 過 を 見 ると 九 州 以 外 では 埼 玉 県 の116 人 が 目 立 つ 次 が 神 奈 川 県 山 口 県 の25 人 茨 城 県 の24 人 と 続 く 九 州 では 宮 崎 県 が168 人 と 多 く ついで 鹿 児 島 県 の150 人 大 分 県 の79 人 さらに 長 崎 県 佐 賀 県 と 本 市 への 転 入 超 過 となっている また 転 出 超 過 の 状 況 を 見 ると 三 重 県 兵 庫 県 への 転 出 超 過 が 目 立 っている 九 州 では 福 岡 県 への 転 出 超 過 が210 人 と 圧 倒 的 に 多 く 福 岡 市 せるため 東 京 圏 名 古 屋 圏 大 阪 圏 の3つ( 図 4-2-1 4 )に 分 けて 見 てみると 東 京 圏 では 熊 本 市 への 転 入 超 過 となっ ている その 要 因 としては 埼 玉 県 からの 転 入 超 過 が 大 きい ことであるが 名 古 屋 圏 大 阪 圏 では 本 市 からの 転 出 超 過 となっている 参 考 に 熊 本 県 と 大 都 市 圏 との 動 き( 図 4-2-2)を 見 ると 東 京 圏 名 古 屋 圏 大 阪 圏 ともに 熊 本 県 からの 転 出 超 過 と なっている 東 京 圏 で 転 出 超 過 となっているのは 熊 本 市 からの 転 出 超 過 数 は9 人 であるものの 県 全 体 では 転 出 超 過 数 が 多 くなっており それが 原 因 となっている への 転 出 が 大 きな 要 因 となっている( 図 4-3 参 照 ) これら 図 4-2-1 平 成 24 年 大 都 市 圏 からの 熊 本 市 への 転 入 超 過 数 (マイナスは 転 出 超 過 ) 図 4-2-2 平 成 24 年 大 都 市 からの 熊 本 県 への 転 入 超 過 数 (マイナスは 転 出 超 過 ) - 32 -

熊 本 都 市 政 策 vol.2 (2013) 図 4-3 平 成 24 年 大 都 市 からの 熊 本 市 への 転 入 超 過 数 (マイナスは 転 出 超 過 ) 4.3 熊 本 市 と 他 政 令 指 定 都 市 等 との 転 入 転 出 の 状 況 次 に 熊 本 市 と 他 の 政 令 指 定 都 市 及 び 東 京 都 特 別 区 部 ( 東 京 23 区 )との 人 口 の 動 きを 図 4-3で 示 している この 図 から 見 られることは 熊 本 市 からの 転 出 超 過 として 福 岡 市 の260 人 東 京 特 別 区 部 への57 人 また 神 戸 市 広 島 市 へも 転 出 超 過 である 逆 に 転 入 超 過 では 大 阪 市 の34 人 名 古 屋 市 と 横 浜 市 の 各 19 人 が 見 られる 特 に 九 州 における 政 令 指 定 都 市 である 福 岡 市 北 九 州 市 との 関 係 を 見 ると 福 岡 市 への 転 出 超 過 が 顕 著 であり 北 九 州 市 への 転 出 超 過 はあまり 見 られない 福 岡 市 は 熊 本 市 民 から 見 て 特 別 な 都 市 のようである そこで 次 章 で 熊 本 市 と 福 岡 市 との 違 いを 社 会 動 態 の 比 較 から 見 てみたい 5 熊 本 市 と 福 岡 市 との 社 会 動 態 比 較 による 都 市 の 違 いと 魅 力 ここまで 熊 本 市 を 中 心 として 熊 本 都 市 圏 熊 本 県 内 他 の 都 道 府 県 大 都 市 間 に 分 け 社 会 動 態 を 見 たが 福 岡 市 は 熊 本 市 のみならず 県 全 体 から 最 も 転 出 超 過 が 著 しい 都 市 である 福 岡 市 においては 後 で 見 ていくが 本 県 だけで なく 九 州 各 県 をはじめ 中 国 地 方 からも 多 くの 人 口 が 集 中 し ている 状 況 にあり 福 岡 市 人 口 は 平 成 26 年 1 月 1 日 時 点 で150 万 9,893 人 で 現 在 も 増 加 を 続 けている そこで 熊 本 市 と 福 岡 市 を 社 会 動 態 の 面 から 比 較 を 行 ない どのような 違 いが 見 られるのか 調 べてみた 5.1 各 都 道 府 県 からの 熊 本 市 と 福 岡 市 への 男 女 別 転 入 転 出 状 況 図 5-1の1と2は 熊 本 市 と 福 岡 市 における 各 都 道 府 県 ご との 転 入 転 出 超 過 数 を 男 女 別 に 示 したものである 転 入 超 過 数 の 合 計 では 熊 本 市 が1,057 人 福 岡 市 が9,221 人 であり 熊 本 市 のデータが 平 成 24 年 4 月 からの 数 値 である ものの 福 岡 市 への 数 値 は 本 市 の9 倍 となっている 最 初 に 熊 本 市 と 福 岡 市 の 比 較 で 気 がつくことは 熊 本 市 は 熊 本 県 内 からの 転 入 超 過 数 が 多 く 宮 崎 県 鹿 児 島 県 から の 転 入 超 過 も 多 いものの 福 岡 県 への 転 出 超 過 が 多 いこと であり 福 岡 市 を 見 ると 福 岡 県 内 からの 転 入 超 過 数 が 一 番 多 いものの 福 岡 県 に 近 い 長 崎 県 熊 本 県 など 九 州 各 県 の ほか 山 口 県 広 島 県 岡 山 県 といった 九 州 に 近 い 中 国 地 方 からの 転 入 超 過 が 山 型 に 明 確 に 現 れていることである これは 福 岡 市 が 九 州 を 中 心 とする 西 日 本 地 域 の 一 大 拠 点 都 市 となっていることを 示 していることを 読 み 取 れる 次 に 男 女 のデータを 比 較 すると 熊 本 市 への 転 入 超 過 数 合 計 1,057 人 のうち 男 性 が427 人 女 性 が630 人 と 女 性 が 男 性 の 約 1.5 倍 福 岡 市 では 転 入 超 過 数 合 計 が9,221 人 のうち 男 性 が 3,370 人 女 性 が5,851 人 で 女 性 が 男 性 の1.7 倍 となってい る これらの 比 較 において 読 み 取 れることは 福 岡 市 が 拠 点 性 の 高 さとともに 他 県 から 見 ても 明 らかに 女 性 に 魅 力 のある 都 市 となっていることである ここでさらに 転 入 超 過 数 の 男 女 数 について 見 てみると 福 岡 市 は 転 入 超 過 を 示 している 九 州 中 国 地 方 の 各 県 でほ とんどが 女 性 の 転 入 超 過 数 が 多 くなっているが 本 市 の 場 - 33 -

熊 本 市 の 人 口 動 態 の 分 析 及 び 福 岡 市 との 比 較 考 察 合 本 市 へ 転 入 超 過 数 の 多 い 宮 崎 県 でも 男 女 が 拮 抗 してお り 鹿 児 島 県 では 男 性 が 女 性 の2 倍 以 上 の 数 で 転 入 超 過 とな っている また 熊 本 市 への 転 入 超 過 となっている 埼 玉 県 では 男 性 が 女 性 を 上 回 っている 一 方 転 出 超 過 となって いる 愛 知 県 三 重 県 兵 庫 県 を 見 ると 男 性 が 女 性 を 上 回 っ ており この 状 況 から 進 学 や 就 職 によるものでなく 仕 事 や 転 勤 などによる 移 動 ではないかと 考 えられ 今 後 分 析 が 必 要 である 図 5-1-1 平 成 24 年 各 都 道 府 県 から 熊 本 市 への 男 女 別 転 入 超 過 数 (マイナスは 転 出 超 過 ) 図 5-1-2 平 成 24 年 各 都 道 府 県 から 福 岡 市 への 男 女 別 転 入 超 過 数 (マイナスは 転 出 超 過 ) - 34 -

熊 本 都 市 政 策 vol.2 (2013) 5.2 大 都 市 からの 熊 本 市 と 福 岡 市 の 男 女 別 転 入 転 出 状 況 次 に 熊 本 市 と 福 岡 市 を 比 較 した 大 都 市 との 転 入 転 出 超 過 を 見 てみたい 図 5-2の1と2がそれを 表 したグラフであ る なお 図 5-2-1は 図 4-3を 男 女 別 に 見 たグラフである まず 読 み 取 れることは 熊 本 市 は 大 都 市 へ 男 女 とも 転 出 超 過 となっており 福 岡 市 は 大 都 市 に 対 しても 転 入 超 過 と なっていることである また 熊 本 市 の 場 合 東 京 都 特 別 区 部 や 神 戸 市 広 島 市 北 九 州 市 福 岡 市 などへ 転 出 超 過 福 岡 市 は 東 京 都 特 別 区 部 へは 転 出 超 過 数 が 多 くなっているものの 九 州 に 近 い 岡 山 市 広 島 市 九 州 の 北 九 州 市 熊 本 市 からは 男 女 とも 転 入 超 過 となっている 特 に 北 九 州 市 は 福 岡 市 への 転 出 超 過 数 が 多 く 北 九 州 市 では 昭 和 58 年 の1,068,415 人 をピ ークに 平 成 23 年 には974,287 人 と 人 口 が 約 94,000 人 が 減 少 しており 福 岡 市 への 転 出 傾 向 が 著 しいことが 窺 える このように 大 都 市 間 で 見 ても 福 岡 市 は 九 州 を 中 心 とし た 西 日 本 の 都 市 で 拠 点 性 が 高 いことが 読 み 取 れるとともに 女 性 が 男 性 を 上 回 る 移 動 に 見 られるように 大 都 市 間 におい ても 福 岡 市 のもつ 女 性 をひきつける 魅 力 都 市 力 は 注 目 さ れる 図 5-2-1 平 成 24 年 大 都 市 からの 熊 本 市 への 転 入 超 過 数 (マイナスは 転 出 超 過 ) ( 出 典 ) 住 民 基 本 台 帳 移 動 報 告 2012より 作 成 図 5-2-2 平 成 24 年 大 都 市 からの 福 岡 市 への 転 入 超 過 数 (マイナスは 転 出 超 過 ) - 35 -

熊 本 市 の 人 口 動 態 の 分 析 及 び 福 岡 市 との 比 較 考 察 5.3 熊 本 市 と 福 岡 市 の 男 女 別 転 入 超 過 の 割 合 の 比 較 福 岡 市 は 都 市 の 規 模 もさることながら これまで 見 て きたように 九 州 だけでなく 西 日 本 においても 人 が 集 まっ てくる 大 きな 拠 点 都 市 となっていることが 分 かった 福 岡 市 は 都 市 としての 魅 力 も 大 きく 多 くの 女 性 も 引 き 寄 せて いる それでは 熊 本 市 は 福 岡 市 と 比 べ 都 市 の 魅 力 では 福 岡 市 には 及 ばないのだろうか 現 状 では 熊 本 市 も 福 岡 市 と 同 じように 他 都 市 からは 転 入 超 過 となっており 人 口 増 加 を 示 している そこで 最 後 に 年 齢 別 に 熊 本 市 と 福 岡 市 の 転 入 超 過 の 違 いを 見 て 福 岡 市 とは 違 う 魅 力 が 本 市 にはない のか 探 ってみたい 図 5-3は 熊 本 市 と 福 岡 市 の5 歳 階 級 ごとの 転 入 超 過 数 の 割 合 を 男 女 合 計 男 女 別 に 示 したグラフである 5.3.1 福 岡 市 に 集 まる15 歳 ~29 歳 までの 若 者 年 齢 層 まず 図 5-3の 男 女 合 計 の 数 の 割 合 を 示 した 図 を 見 ると 福 岡 市 は20 歳 ~24 歳 をピークとして 15 歳 ~29 歳 まで 転 入 超 過 の 割 合 が 熊 本 市 よりかなり 高 い 熊 本 市 は20 歳 ~24 歳 をピークとして 15 歳 ~19 歳 25 歳 ~29 歳 では 落 ち 込 んで いる これを 男 女 別 に 見 ていくと 熊 本 市 においては 男 性 は 15 歳 ~24 歳 で 転 出 超 過 女 性 は 転 入 超 過 を 示 している 特 に 男 性 では 15 歳 ~19 歳 の 年 齢 層 の 転 出 超 過 が 顕 著 となっ ており この 年 齢 層 から 大 学 や 専 門 学 校 等 への 進 学 や 就 職 による 県 外 への 転 出 であることが 窺 える また 20 歳 ~24 歳 の 年 齢 層 においても 転 出 超 過 となっている 逆 に 女 性 においては 20 歳 ~24 歳 の 年 齢 層 で 転 入 超 過 の 割 合 が 最 も 大 きくなっている これは 図 5-1-1のグラフか ら 見 られるように 女 性 は 熊 本 県 内 から 熊 本 市 への 転 入 超 過 数 で 男 性 の2 倍 近 く 転 入 超 過 となっていることから 県 内 からの 転 入 であることが 読 み 取 れる このことから 福 岡 市 には20 歳 ~24 歳 の 年 齢 層 を 中 心 に 進 学 や 就 職 で 男 女 ともに 多 くの 若 者 が 集 まっているが 熊 本 市 ではこの 年 齢 層 で 男 性 は 県 外 へ 女 性 は 本 市 へと 動 き が 異 なっている 5.3.2 中 高 年 齢 層 に 魅 力 のある 熊 本 市 一 方 熊 本 市 の 場 合 は 30 歳 ~49 歳 までと 55 歳 ~64 歳 ま での 転 入 超 過 の 割 合 が 福 岡 市 よりも 大 きいことが 分 かる 福 岡 市 では 15 歳 ~24 歳 までの 年 齢 層 において 転 入 超 過 の 割 合 が 一 番 高 く その 後 は 年 齢 層 が 上 がるに 従 い 転 入 超 過 数 の 割 合 は 小 さくなっていく つまり 若 者 層 の 転 入 超 過 が 顕 著 で その 他 の 年 齢 層 では 転 入 超 過 にはあるも のの 動 きは 小 さいものになっている しかし 熊 本 市 の 場 合 は 福 岡 市 と 比 較 し 30 歳 ~49 歳 55 歳 ~64 歳 の 年 齢 層 において 転 入 超 過 の 割 合 が 高 くなって いる 細 かく 見 ると 熊 本 市 の 場 合 男 では30 歳 ~34 歳 の 年 齢 層 で 転 入 超 過 の 割 合 が35.6%と 高 く 35 歳 から49 歳 までは 約 20%で 推 移 している 男 性 全 体 を 見 ても この 年 齢 層 が 転 入 超 過 の 割 合 として 最 も 高 くなっており 女 性 の 転 入 超 過 の 割 合 の 状 況 を 見 て も 30 歳 ~39 歳 までが15~18%となっている 男 女 とも30 歳 ~39 歳 が 転 入 超 過 の 割 合 は 福 岡 市 と 比 較 し 高 くなってい ることに 注 目 される さらに55 歳 ~64 歳 までの 年 齢 層 においても 福 岡 市 との 違 いが 見 られ 熊 本 市 の 方 が 転 入 超 過 の 割 合 が 高 くなってい る 特 に 男 性 を 見 ると60 歳 ~64 歳 をピークに55 歳 ~69 歳 ま での 年 齢 層 で10% 程 度 の 割 合 で 転 入 超 過 となっており 女 性 よりも 顕 著 な 傾 向 を 示 している これは 第 1 線 で 活 躍 した 方 が 退 職 などを 契 機 として 熊 本 市 に 戻 ってこられたの ではないだろうか これらのことから 熊 本 市 は 福 岡 市 と 比 較 し 福 岡 市 は 若 者 が 集 まる 都 市 熊 本 市 は 中 高 年 齢 層 に 魅 力 が 高 い 都 市 であると 言 うことができる 6 まとめ これまで 本 市 の 社 会 動 態 に 焦 点 を 当 て 熊 本 都 市 圏 や 熊 本 県 内 での 動 き 他 都 道 府 県 や 大 都 市 間 との 動 きなどを 示 してきた 熊 本 都 市 圏 と 熊 本 県 内 での 動 きにおいては 熊 本 市 は 熊 本 都 市 圏 へは 転 出 超 過 の 状 況 にあるものの 都 市 圏 以 外 の 市 町 村 からはほとんどが 転 入 超 過 となっている 熊 本 都 市 圏 への 転 出 超 過 は 熊 本 市 を 通 勤 圏 生 活 圏 としている 地 域 であり 都 市 圏 以 外 の 市 町 村 からの 転 入 超 過 を 考 えると 熊 本 市 は 県 内 での 拠 点 都 市 となっていることが 明 確 に 読 み 取 れる また 他 都 道 府 県 大 都 市 と 熊 本 市 との 関 係 で 見 ると 九 州 においては 一 定 の 拠 点 性 があるものの 熊 本 市 から 福 岡 市 へは 相 当 数 の 転 出 超 過 の 状 況 にある 一 方 福 岡 市 に おいては 九 州 を 中 心 とした 西 日 本 地 域 での 明 確 な 転 入 超 - 36 -

0~4 歳 5~9 10~14 15~19 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65~69 70~74 75~79 80~84 85~89 90 歳 以 上 0~4 歳 5~9 10~14 15~19 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65~69 70~74 75~79 80~84 85~89 90 歳 以 上 0~4 歳 5~9 10~14 15~19 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65~69 70~74 75~79 80~84 85~89 90 歳 以 上 熊 本 都 市 政 策 vol.2 (2013) 男 女 合 計 50.0 40.0 30.0 福 岡 市 熊 本 市 20.0 10.0 0.0-10.0-20.0 % 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 男 福 岡 市 熊 本 市 -10.0-20.0-30.0 % 50.0 女 40.0 福 岡 市 熊 本 市 30.0 20.0 10.0 0.0-10.0 図 5-3 熊 本 市 と 福 岡 市 の5 歳 階 級 別 男 女 転 入 超 過 数 の 割 合 ( 上 図 : 男 女 合 計 の 割 合 中 図 : 男 の 割 合 下 図 : 女 の 割 合 ) - 37 -

熊 本 市 の 人 口 動 態 の 分 析 及 び 福 岡 市 との 比 較 考 察 過 の 状 況 から 福 岡 市 の 大 きな 拠 点 性 と 人 を 集 める 都 市 と しての 魅 力 の 高 さが 窺 えた さらに 本 市 と 福 岡 市 との 年 齢 階 級 ごとの 転 入 超 過 の 割 合 を 見 ていくと 15 歳 ~24 歳 の 年 齢 層 では 進 学 や 就 職 のため に 男 女 を 問 わず 福 岡 市 へ 各 地 域 から 多 くの 若 者 が 流 入 して いるものの 本 市 の 場 合 には30 歳 ~49 歳 と55 歳 ~64 歳 まで の 中 高 年 齢 層 で 転 入 超 過 の 割 合 が 福 岡 市 よりも 高 くなって いる これは 中 高 年 齢 層 に 対 しては 本 市 の 恵 まれた 自 然 環 境 や 地 下 水 の 豊 かさ 医 療 機 関 の 充 実 などが 本 市 の 住 みやすさとなり 本 市 の 魅 力 となっているものと 思 われる このようなことから 今 後 の 人 口 減 少 社 会 において 本 市 の 人 口 を 維 持 するためには 若 者 層 の 流 出 を 止 める 政 策 と ともに 地 域 の 持 つ 魅 力 や 熊 本 市 の 住 みやすさ 暮 らしや すさを 更 に 高 める 政 策 を 展 開 することが 必 要 であると 考 え られる 7 おわりに 本 稿 は 熊 本 県 推 計 人 口 調 査 結 果 報 告 と 住 民 基 本 台 帳 移 動 報 告 書 2012( 総 務 省 ) のデータをもとに 分 析 を 行 なったものである 特 に 住 民 基 本 台 帳 移 動 報 告 書 2012 ( 総 務 省 ) のデータにおいては 本 市 が 平 成 24 年 4 月 に 政 令 指 定 都 市 に 移 行 したことから これまで 県 単 位 でしか 得 られなかった 人 口 データが 他 の 政 令 指 定 都 市 と 同 様 市 単 位 で 得 られるようになったものである 今 後 はこれらのデータの 更 なる 活 用 と 蓄 積 を 図 り 精 度 の 高 い 人 口 分 析 を 行 なっていきたいと 考 えている 皆 様 か ら 様 々なご 意 見 等 をいただければ 幸 いである 参 考 資 料 熊 本 市 統 計 課 熊 本 市 統 計 書 熊 本 県 統 計 調 査 課 熊 本 県 推 計 人 口 調 査 結 果 報 告 ( 年 報 ) 平 成 25 年 版 熊 本 市 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 日 本 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 24 年 1 月 推 計 ) 報 告 書 総 務 省 住 民 基 本 台 帳 移 動 報 告 書 2012 年 1 熊 本 都 市 圏 とは 近 隣 市 町 村 から 熊 本 市 への 通 勤 通 学 率 が 概 ね 15%( 平 成 17 年 度 国 勢 調 査 時 点 )である 近 隣 市 町 村 で 構 成 される 人 口 規 模 は 平 成 25 年 10 月 1 日 現 在 で107 万 6,962 人 構 成 市 町 村 は 熊 本 市 宇 土 市 宇 城 市 合 志 市 美 里 町 玉 東 町 大 津 町 菊 陽 町 西 原 村 御 船 町 嘉 島 町 益 城 町 甲 佐 町 山 都 町 の4 市 9 町 1 村 2 転 入 転 出 超 過 数 には 熊 本 県 推 計 人 口 調 査 結 果 報 告 で その 他 に 分 類 されている 国 外 移 動 者 住 民 票 の 職 権 記 載 を 行 った 者 また 職 権 削 除 を 行 なった 者 等 は 含 めていない ただし 社 会 動 態 数 には 含 めている 3 住 民 基 本 台 帳 移 動 報 告 2012( 総 務 省 )の 熊 本 市 データは 政 令 市 移 行 の 平 成 24 年 (2012 年 )4 月 1 日 から12 月 31 日 までのデータ となっている 4 東 京 圏 は 東 京 都 神 奈 川 県 埼 玉 県 千 葉 県 名 古 屋 圏 は 愛 知 県 岐 阜 県 三 重 県 大 阪 圏 は 大 阪 府 兵 庫 県 京 都 府 奈 良 県 である - 38 -