<8341834A834D837D836A83858341838B72657682512E707562>



Similar documents
Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

(Microsoft Word - \221\346\202P\202U\201@\214i\212\317.doc)

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

佐渡市都市計画区域の見直し

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

目 次 1.はじめに 1 2. 花 粉 発 生 源 対 策 に 関 する 基 本 方 針 (1) 花 粉 発 生 源 対 策 の 現 状 と 課 題 2 (2) 花 粉 発 生 源 対 策 に 関 する 基 本 的 な 考 え 方 6 3. 花 粉 発 生 源 対 策 区 域 (1) 花 粉 症 対

Taro-条文.jtd

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

資 料 -6 平 成 20 年 度 第 2 回 北 陸 地 方 整 備 局 事 業 評 価 監 視 委 員 会 特 定 構 造 物 改 築 事 業 事 後 評 価 説 明 資 料 平 成 20 年 11 月 北 陸 地 方 整 備 局 -0-

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

Microsoft Word - 資料3(用途)

1 平 成 27 年 度 土 地 評 価 の 概 要 について 1 固 定 資 産 税 の 評 価 替 えとは 地 価 等 の 変 動 に 伴 う 固 定 資 産 の 資 産 価 値 の 変 動 に 応 じ その 価 格 を 適 正 で 均 衡 のとれたものに 見 直 す 制 度 である 3 年 ご

< F2D8CF68D908A BA97AC89CD90EC8FF38BB592B28DB8>

< F2D A C5817A C495B6817A>

第 1 条 適 用 範 囲 本 業 務 方 法 書 は 以 下 の 性 能 評 価 に 適 用 する (1) 建 築 基 準 法 施 行 令 ( 以 下 令 という ) 第 20 条 の7 第 1 項 第 二 号 表 及 び 令 第 20 条 の 8 第 2 項 の 認 定 に 係 る 性 能 評

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

国からの委託交付額

Microsoft PowerPoint - 経営事項審査.ppt

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

学校安全の推進に関する計画の取組事例

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

< EE597768E968BC688EA97972D372E786477>

(2) 国 道 196 号 自 転 車 走 行 空 間 社 会 実 験 ( 平 成 21 年 度 ) 概 要 松 山 市 内 の 国 道 196 号 において 自 転 車 レーンを 設 置 する 社 会 実 験 を 実 施 し 歩 行 者 と 自 転 車 の 分 離 による 走 行 空 間 の 安

総合評価点算定基準(簡易型建築・電気・管工事)

Taro-学校だより学力調査号.jtd

スライド 1

(現行版)工事成績書と評定表をあわせた_docx

表紙

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

<4D F736F F D D888C092E88B9F8B8B E968BC694EF95E28F958BE08CF D6A2E646F63>

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

Microsoft Word - 19年度(行個)答申第94号.doc

消 防 庁 危 険 物 保 安 室 殿 ドラム 缶 に 係 る 可 燃 性 蒸 気 対 流 シミュレーション 分 析 業 務 成 果 報 告 書 2013 年 1 月 アドバンスソフト 株 式 会 社

能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン


想 像 思 行 ず 消 毒 擦 む 薄 血 混 じ 滲 み ぶ 痂 ぶ 取 下 薄 来 経 験 沢 山 お 思 健 常 人 間 元 々 備 能 力 中 具 的 何 起 ょ 簡 単 説 明 ず 人 間 負 部 リ ン パ 球 血 小 板 マ ク ロ フ ァ ジ 悪 食 べ 集 死 溶 食 べ 清 浄

3 独 占 禁 止 法 違 反 事 件 の 概 要 (1) 価 格 カルテル 山 形 県 の 庄 内 地 区 に 所 在 する5 農 協 が, 特 定 主 食 用 米 の 販 売 手 数 料 について, 平 成 23 年 1 月 13 日 に 山 形 県 酒 田 市 所 在 の 全 国 農 業 協

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

実施状況(市ヶ谷地区(防衛省)に係る施設の管理・運営業務)

(5 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業 所 の 新 規 に 採 用 し た 全 て の 居 宅 介 護 従 業 者 に 対 し 熟 練 し た 居 宅 介 護 従 業 者 の 同 行 に よ る 研 修 を 実 施 し て い る こ と (6 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業

Microsoft Word - 20年度(行個)答申第2号.doc

- 2 - この 整 理 表 について 1 位 置 づけ この 表 は 徳 島 県 業 務 継 続 計 画 新 型 インフルエンザ 編 第 2の1に 基 づき 各 部 局 で 実 施 した 業 務 の 仕 分 け 作 業 を 整 理 したものです 2 対 象 とした 部 局 知 事 部 局 3 整


<8BB388F58F5A91EE82A082E895FB8AEE967B95FB906A>

Microsoft Word - 通達(参考).doc

Microsoft Word - 答申本文.doc

試 験 概 略 試 験 目 的 同 同 一 一 規 規 格 格 の の 電 電 熱 熱 線 線 式 式 ヒーティングユニットを2 台 台 並 並 べ べ 片 片 方 方 のユニットに 遠 遠 赤 赤 外 外 線 線 放 放 射 射 材 材 料 料 である アルミ 合 金 エキスパンションメタルを 組

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

Microsoft Word - 19年度(行情)答申第081号.doc

第 節 ○○計画

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

PowerPoint プレゼンテーション

- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

<4D F736F F D F5A91EE8BC F368C8E3393FA8DC48D F C8E323893FA916493C B95AA8D CE3816A>

目 標 を 達 成 するための 指 標 第 4 章 計 画 における 環 境 施 策 世 界 遺 産 への 登 録 早 期 登 録 の 実 現 史 跡 の 公 有 地 化 平 成 27 年 度 (2015 年 度 )までに 235,022.30m 2 施 策 の 体 系 1 歴 史 的 遺 産 とこ

安 芸 太 田 町 学 校 適 正 配 置 基 本 方 針 の 一 部 修 正 について 1 議 会 学 校 適 正 配 置 調 査 特 別 委 員 会 調 査 報 告 書 について 安 芸 太 田 町 教 育 委 員 会 が 平 成 25 年 10 月 30 日 に 決 定 した 安 芸 太 田

耐 震 診 断 受 付 期 間 4 月 16 日 ( 月 )~1 月 31 日 ( 木 ) 予 定 戸 数 100 戸 1 補 助 の 条 件 次 のすべての 要 件 に 該 当 すること (1) 市 民 自 らが 所 有 し 居 住 していること (2) 昭 和 56 年 5 月 31 日 以 前

< F31332D91CF906B89BB8C7689E68F912E6A7464>

1

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

Ⅶ 東 海 地 震 に 関 して 注 意 情 報 発 表 時 及 び 警 戒 宣 言 発 令 時 の 対 応 大 規 模 地 震 対 策 特 別 措 置 法 第 6 条 の 規 定 に 基 づき 本 県 の 東 海 地 震 に 係 る 地 震 防 災 対 策 強 化 地 域 において 東 海 地 震

Microsoft Word - H24様式(那珂市版).doc

(2) 職 員 の 初 任 給 の 状 況 ( 平 成 17 年 4 月 1 日 現 在 ) 初 任 給 2 年 後 の 給 料 初 任 給 2 年 後 の 給 料 一 般 行 政 職 技 能 労 務 職 大 学 卒 171,1 151,5 19,2 164,7 17,7 184,4 中 学 卒 1

(Microsoft Word - \203A \225\345\217W\227v\227\314 .doc)

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

5 民 間 事 業 者 における 取 扱 いについて( 概 要 資 料 P.17~19) 6 法 人 番 号 について( 概 要 資 料 P.4) (3) 社 会 保 障 税 番 号 制 度 のスケジュールについて( 概 要 資 料 P.20) 1 平 成 27 年 10 月 から( 施 行 日 は

Microsoft Word - 目次.doc

1

スライド 1

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

<4D F736F F D C689D789B582B581698AAE90AC92CA926D816A2E646F63>

<4D F736F F D2090BC8BBB959491BA8F5A91EE8A C52E646F63>

<4D F736F F D F303088A4926D8CA78E8497A EF68BC697BF93998C798CB895E28F958BE08CF D6A2E646F63>

Microsoft Word - h doc


Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

0605調査用紙(公民)

労働時間と休日は、労働条件のもっとも基本的なものの一つです

・モニター広告運営事業仕様書

<4D F736F F D203193FA8AD45F95CA8E86325F89898F4B315F94F093EF8AA98D AD97DF914F82CC8FEE95F182CC8EFB8F C28E8B89BB2E646F63>

「節電に対する生活者の行動・意識

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

(3) 善 通 寺 市 の 状 況 善 通 寺 市 においては 固 定 資 産 税 の 納 期 前 前 納 に 対 する 報 奨 金 について 善 通 寺 市 税 条 例 の 規 定 ( 交 付 率 :0.1% 限 度 額 :2 万 円 )に 基 づき 交 付 を 行 っています 参 考 善 通 寺

福 山 市 では, 福 山 市 民 の 安 全 に 関 する 条 例 ( 平 成 10 年 条 例 第 12 号 )に 基 づき, 安 全 で 住 みよい 地 域 社 会 の 形 成 を 推 進 しています また, 各 地 域 では, 防 犯 を 始 め 様 々な 安 心 安 全 活 動 に 熱 心

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

23年度版 総社市様式外.xls

我孫子市小規模水道条例

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

 

●電力自由化推進法案

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

資料 厚生年金基金の今後の方向性について.PDF

2 導 入 に 係 る 各 課 の 役 割 部 署 名 危 機 管 理 室 主 な 事 務 番 号 法 に 規 定 さ れ た 事 務 へ の 個 人 番 号 の 導 入 に 関 す る こ と 制 度 導 入 に 向 け た 事 務 の 総 括 に 関 す る こ と 個 人 番 号 の 独 自

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

Transcription:

小 笠 原 の 森 を 救 え! - 外 来 樹 種 アカギ 駆 除 マニュアル- 内 容 はじめに アカギの 生 態 -なぜ 小 笠 原 で 増 殖 するのか- アカギの 分 布 と 潜 在 生 育 地 アカギの 枯 殺 法 全 島 根 絶 に 向 けた 戦 略 まとめ 独 立 行 政 法 人 森 林 総 合 研 究 所 独 立 行 政 法 人

はじめに 図 1 外 来 樹 種 アカギの 純 林 ( 母 島 長 浜 ) 島 の 生 態 系 は 外 来 種 の 影 響 をとても 受 けやすいものです そのため 世 界 各 地 の 島 嶼 では 外 来 種 による 深 刻 な 問 題 が 起 きています 独 特 な 生 態 系 と 多 くの 固 有 生 物 をもつ 海 洋 島 小 笠 原 諸 島 もその 例 外 ではありません 小 笠 原 に 定 着 した 外 来 植 物 の 中 で 生 態 系 や 在 来 植 物 に 最 も 影 響 の 大 きい のがアカギです( 図 1) アカギが 森 林 で 優 占 すると 在 来 植 物 ( 図 2)は 共 存 できません 在 来 樹 種 が 減 ると たと えばその 種 子 を 食 べるアカガシラカラ スバト( 図 3)のような 動 物 にも 悪 影 響 が 及 んでしまいます 生 態 系 や 在 来 の 生 物 に 対 する 影 響 が 特 に 強 い 外 来 種 は 侵 略 的 外 来 種 と 呼 ばれますが アカギはその 代 表 的 な ものです 侵 略 的 外 来 種 を 根 絶 するこ とは 島 嶼 の 生 態 系 を 守 るために 重 要 で す 小 笠 原 でアカギが 侵 入 しているの は 弟 島 父 島 母 島 の3 島 と 母 島 属 島 の 平 島 です このうち アカギの 個 体 数 が 少 なかった 弟 島 では 環 境 省 が2005 年 から 除 草 剤 を 用 いた 駆 除 作 業 を 開 始 し ほぼ 根 絶 が 達 成 されました ま た 平 島 においても2008 年 に 根 絶 が 達 成 されました しかし アカギの 個 体 数 が 多 くそれ が 占 める 面 積 も 大 きい 母 島 や 父 島 での 根 絶 は 今 後 の 大 きな 課 題 です そこで 私 たちは 今 後 のアカギの 根 絶 と 在 来 林 の 再 生 を 目 標 とするアカギの 駆 除 戦 略 を 提 案 します 図 2 在 来 の 高 木 林 が 広 がる 母 島 石 門 図 3 絶 滅 危 惧 種 アカガシラカラスバト 2

アカギの 生 態 -なぜ 小 笠 原 で 増 殖 するのか- 小 笠 原 におけるアカギの 生 態 には 次 のような 特 徴 があり それが 現 在 のよ うに 増 殖 した 原 因 と 考 えられます 1アカギには 雄 木 と 雌 木 があります が 雌 木 は 多 くの 種 子 をつけ 落 下 し た 種 子 は 他 の 生 物 にあまり 食 害 されな いため 母 樹 の 近 くで 多 数 の 種 子 と 芽 生 えが 生 存 します( 図 4) 一 部 の 種 子 はヒヨドリなどの 鳥 により 遠 くまで 散 布 されます 2 大 形 の 稚 樹 は 日 陰 でも 長 期 間 生 存 で きる 耐 陰 性 を 持 ち 一 方 台 風 などで 木 が 倒 れ 明 るくなった 場 所 (ギャッ プ)では 稚 樹 はほとんどの 在 来 樹 種 よりも 速 く 成 長 します( 図 5) 図 4 大 量 に 発 生 したアカギの 芽 生 え 図 5 ギャップで 成 長 するアカギの 若 木 アカギの 分 布 と 潜 在 生 育 地 空 中 写 真 (2003 年 )に 基 づくアカギ の 分 布 図 によると アカギの 占 有 面 積 は 父 島 が50.9ha( 島 面 積 の2.1%)で 母 島 が296.5ha(14.7%)にも 達 していま す( 次 ページ 図 7) アカギは 主 に 高 木 林 ( 湿 性 高 木 林 とヒメツバキ 林 )と 湿 性 型 矮 低 木 林 に 広 がっており 湿 っ た 環 境 がアカギの 生 育 に 適 すると 考 え られます 小 笠 原 のアカギは ギャップ 部 にお いて 在 来 樹 種 に 置 き 換 わりながら 現 在 でも 分 布 を 拡 大 しつつあります ア カギの 生 育 が 可 能 な 場 所 ( 潜 在 生 育 地 )を 明 らかにすることにより これ 図 6 立 地 要 因 と 過 去 の 分 布 域 の 変 化 から 予 測 され たアカギの 分 布 確 率.(a) 現 在 の 分 布 確 率 (b) 将 来 のアカギの 分 布 確 率 ( 潜 在 生 育 地 ) 3

か ら さ き ア カギが侵入し てくる地域を 予測すること ができます (前ページ図 6 潜 在 生 育地でもアカ ギの侵入がま だ少ない地域 侵入リスク の高い地域 で は 早 期に アカギを駆除 することによ り 少 な い労 力で広い地域 からアカギを 根絶できるの 図7 2003年の空中写真の判読に基づくアカギの林冠占有率の分布 (a)父島 (b)母島 で 駆 除 の優 先地域となります たとえば母島では と考えられます 乳房山周辺などが侵入リスクの高い地域 アカギの枯殺法 アカギの個体数の多い父島や母島で の根絶を実現するには 効率的な枯殺 法の採用が不可欠です 枯殺には世界的 に広く使われている除草剤のグリホ サートアンモニウム塩が有効です 電 動 ド リ ル で ア カ ギ の 根 元 に 穴 約 18mm を開け 薬剤原液を注入し 液 が漏れないようにコルク栓でふさぎま す 図8 穴の数と薬剤量は表1を目 安にしてください この薬剤は小笠原でも販売 利用 されてきた非選択的な枯殺作用を持つ 除草剤です 毒物及び劇物取締り法上 は 毒 性 の 低 い 普 通 物 に 相 当 し ま す 小笠原での薬剤枯殺試験の際 土壌や 渓流 河口の水を分析したところ 枯 死した樹木や落葉からの薬剤流出は非 常に少なく 施用後3ヶ月後では低濃度 の薬剤が検出されたものの 10ヶ月後 には検出限界以下となりました 表1 アカギ枯殺の薬剤施用量 胸高直 径 DBH によって穴数と薬剤量を変える. 薬剤はラウンドアップハイロード 伊藤ほ か(2009)の表を一部改変 DBH(cm) 5 10 15 20 25 30 35 40 穴数 3 3 7 13 15 18 26 28 ml/穴 0.3 2 2 2 3 4 4 5 図8 薬剤を利用したアカギの枯殺法 4

全 島 根 絶 に 向 けた 戦 略 母 島 や 父 島 からアカギを 根 絶 するに は 次 のような 長 期 的 な 戦 略 を 立 て 実 行 していく 必 要 があります( 図 9) 1 駆 除 地 の 優 先 順 位 の 決 定 弟 島 のアカギ 根 絶 の 事 例 が 示 すよう に 薬 剤 による1 度 の 処 理 でアカギを 確 実 に 枯 殺 し その 後 に 生 えてくる 実 生 を 抜 き 取 って 行 けばその 場 所 での 根 絶 ( 地 域 的 根 絶 )は 可 能 です 低 密 度 地 域 から 優 先 して 駆 除 を 実 施 することにより 少 ない 駆 除 作 業 量 で 広 い 地 域 のアカギ 根 絶 が できます またアカギの 低 密 度 地 域 では 在 来 樹 種 が 多 く 残 っているの で アカギ 駆 除 後 の 在 来 樹 種 の 天 然 更 新 が 容 易 です したがって アカギの 低 密 度 地 域 を 先 に 高 密 度 地 域 は 後 に 駆 除 をすることが 基 本 となります 駆 除 地 の 優 先 順 位 を 決 めるには この 他 に 潜 在 生 育 地 の 判 定 に 基 づく 侵 入 リスク 生 態 系 保 護 上 の 重 要 性 作 業 効 率 なども 考 慮 して 決 定 する 必 要 が あ り ま す ま た 国 有 林 と 民 有 林 が 同 じ 地 域 にある 場 合 は 同 時 に 駆 除 を 行 うことも 重 要 です 2 単 位 林 分 の 設 定 とモ ニタリング 対 象 地 域 内 を 同 一 作 業 を 行 う 単 位 林 分 に 区 分 し 林 分 調 査 を 行 い 森 林 動 態 をモニタ リングするための 調 査 5 区 を 設 定 します 3 選 木 効 率 的 にアカギを 根 絶 するために は 枯 殺 木 の 選 定 は 特 に 重 要 です ア カギの 低 密 度 地 域 では 全 個 体 の 枯 殺 が 可 能 です 高 密 度 地 域 では 森 林 の 急 激 な 変 化 を 避 けるため 一 部 のアカギ の 枯 殺 に 止 めざるをえませんが この 場 合 は 林 地 保 全 と 種 子 供 給 の 抑 制 を 考 基 盤 情 報 アカギの 分 布 図 重 要 な 在 来 種 の 分 布 図 植 生 図 アカギ 潜 在 生 育 地 保 護 区 土 地 所 有 などのマップ 巡 視 とアカギ 実 生 萌 芽 株 の 駆 除 基 本 計 画 の 策 定 アカギ 駆 除 優 先 順 位 のゾーニング 単 位 林 分 の 区 分 林 分 調 査 アカギ 雄 木 の 調 査 モニタリング 区 の 設 定 アカギの 駆 除 選 木 と 枯 殺 の 実 行 ( 薬 剤 処 理 と 伐 倒 ) 再 生 の 抑 制 稚 樹 の 抜 き 取 り 萌 芽 株 の 枯 殺 ( 薬 剤 処 理 ) アカギ 在 来 樹 種 混 交 林 の 成 立 天 然 更 新 図 9 アカギの 全 島 根 絶 へのフローチャート 在 来 林 の 成 立 アカギの 地 域 的 根 絶 在 来 林 の 拡 大 アカギの 全 島 根 絶 と 在 来 林 の 再 生 森 林 動 態 の モ ニ タ リ ン グ と 順 応 的 管 理

表 2 アカギの 密 度 と 枯 殺 木 の 選 定 アカギの 密 度 雌 の 判 定 枯 殺 対 象 低 密 度 地 域 不 要 全 個 体 高 密 度 地 域 大 径 木 必 要 雌 木 を 優 先 して 小 径 木 不 要 全 個 体 慮 して 枯 殺 対 象 木 を 選 定 する 必 要 が あります( 表 2) 少 なくとも 小 径 木 と 雌 木 は 全 て 枯 殺 します 残 った 木 は 在 来 樹 種 の 再 生 を 待 って 枯 殺 し 根 絶 します 高 木 林 のアカギでは 胸 高 直 径 21cm 以 下 の 個 体 は 開 花 しない 未 成 熟 木 ( 雌 雄 不 明 )が 圧 倒 的 多 数 を 占 めますが 34cm 以 上 ではほとんどの 木 が 開 花 し 雌 雄 ほぼ 同 数 となります 直 径 22 ~ 33cmの 個 体 ではその 中 間 の 傾 向 を 示 し ます なお アカギは 雌 雄 が 変 化 する ことがあります 直 径 21cm 以 下 の 小 径 木 を 駆 除 せずに 残 すと その 後 急 速 に 成 長 して 雌 と 雄 が 発 現 し 雌 木 は 多 量 の 種 子 を 生 産 します こうしたことから 少 なくとも 小 径 木 は 全 て 大 径 木 では 雌 木 を 優 先 して できるだけ 多 く 枯 殺 することが アカ ギの 増 殖 を 抑 制 する 上 で 効 果 的 です 雌 木 は 花 か 果 実 によって 判 別 できま すが 毎 年 開 花 するわけではないの で 開 花 しなくても 雌 木 である 可 能 性 があります 開 花 していない 大 径 木 で も 樹 下 に 芽 生 えが 多 い 個 体 は 雌 木 と 判 定 できます 4 薬 剤 によるアカギの 枯 殺 薬 剤 によるアカギの 枯 殺 は 抜 き 取 りが 困 難 な 樹 高 約 1m 以 上 の 個 体 が 対 象 となります アカギ 立 木 は 薬 剤 が 注 入 されると 約 1ヶ 月 で 落 葉 し 枯 死 に 到 り ます 人 の 立 ち 入 りのある 個 所 では 安 全 のため 枯 死 後 の 落 枝 が 起 きない よう 早 めの 伐 倒 が 必 要 です 5アカギ 上 層 木 枯 死 後 のアカギ 駆 除 アカギ 上 層 木 の 枯 殺 により 林 内 が 明 るくなり アカギや 在 来 樹 種 の 稚 樹 や 萌 芽 の 成 長 が 促 進 されます アカギにつ いては 萌 芽 を 発 生 する 株 ( 図 10)は 薬 剤 処 理 により 枯 殺 し 稚 樹 ( 実 生 )は 抜 き 取 ることでアカギの 再 生 を 抑 制 しま す アカギ 種 子 の 寿 命 は3 年 以 下 なの で 外 部 から 種 子 が 入 ってこなけれ ば 3 年 以 内 に 実 生 の 発 生 は 止 まりま す アカギの 芽 生 えは 高 密 度 で 発 生 しま すが 高 さ0.3mに 成 長 するまでに 個 体 数 が 大 きく 減 少 します 高 さ1m 以 下 の 稚 樹 は 抜 き 取 り 可 能 なので 高 さ0.3~ 1mの 稚 樹 が 抜 き 取 りに 適 したサイズで す 6 他 の 外 来 植 物 の 同 時 駆 除 アカギの 枯 殺 や 駆 除 により 他 の 外 来 植 物 が 増 えることを 防 ぐため アカギ の 駆 除 作 業 と 同 時 に 他 の 侵 略 的 外 来 植 物 も 駆 除 します たとえば 母 島 石 門 にはアカギのほかにシマグワやパパ イヤなどの 外 来 樹 種 が 生 育 しているの で 同 時 に 駆 除 します 7 根 絶 地 域 の 拡 大 このようにしてアカギを 根 絶 した 地 域 を 広 げていくことで アカギの 分 布 域 を 徐 々に 狭 めていきます 8 天 然 更 新 による 在 来 林 の 再 生 アカギ 駆 除 の 目 的 は 生 物 多 様 性 の 再 生 ですから 在 来 樹 種 の 再 生 には 天 然 更 新 が 望 まれます アカギ 枯 殺 後 は ア カギの 再 生 を 抑 制 する 作 業 だけ 行 い 天 然 更 新 ( 図 11)を 巡 視 やモニタリン グ 調 査 によって 監 視 することが 重 要 で 図 10 アカギの 伐 採 後 に 根 株 から 出 た 萌 芽 6

す 植 栽 は 樹 木 の 遺 伝 的 な 撹 乱 の 危 険 性 があるうえ 育 苗 や 植 栽 の 面 で 大 きな 負 担 がかかります 9 高 密 度 地 域 におけるアカギ 再 駆 除 1 回 の 枯 殺 駆 除 作 業 には 上 層 木 の 薬 剤 枯 殺 と その 後 数 年 間 の 稚 樹 萌 芽 の 駆 除 が 含 まれます しかしア カギの 高 密 度 地 域 では 1 回 の 枯 殺 駆 除 作 業 ではすべてのアカギを 駆 除 で きないので 在 来 樹 種 の 再 生 を 待 っ て 2 回 目 の 枯 殺 駆 除 を 行 いアカギを 根 絶 します 10 順 応 的 管 理 モニタリングで 外 来 種 と 在 来 種 の 状 況 の 変 化 を 把 握 し 監 視 の 結 果 を 検 討 し 管 理 法 を 修 正 する 順 応 的 な 管 理 を 行 うことが 重 要 です 11 根 絶 スケジュール アカギ 低 密 度 地 域 では 1 回 の 枯 殺 駆 除 作 業 によって5 年 以 内 で 根 絶 が 可 能 と 思 われます 高 密 度 地 域 のアカギは 1 回 目 の 枯 殺 駆 除 作 業 の 後 在 来 樹 種 の 再 生 を 待 って2 回 目 の 枯 殺 駆 除 作 業 でアカギ 図 11 アカギ 林 における 枯 殺 後 の 天 然 更 新 根 絶 させることが 可 能 と 考 えられま す 1 回 目 から10~20 年 の 間 に 2 回 目 の 作 業 が 可 能 でしょう もし2 回 目 の 作 業 でもアカギ 大 径 木 が 残 る 場 合 は 3 回 目 の 作 業 が 必 要 になります このよう にして 達 成 される 地 域 的 根 絶 後 も 監 視 を 続 け 発 生 した 稚 樹 や 萌 芽 を 駆 除 し 全 島 の 根 絶 を 目 指 します 一 応 の 全 島 根 絶 が 達 成 された 後 も 残 存 個 体 の 探 索 などの 監 視 を5~10 年 後 に 行 うこ とにより 完 全 な 根 絶 を 達 成 できると 考 えられます まとめ 1アカギの 根 絶 を 目 指 すには 駆 除 地 域 の 優 先 順 位 をつけることが 重 要 で す アカギの 密 度 侵 入 リスク 生 態 系 保 護 上 の 重 要 性 を 考 慮 して 優 先 順 位 を 決 めます 2 種 子 を 散 布 させないことが 重 要 で す 低 密 度 地 域 では 樹 高 1m 以 上 の 全 て のアカギを また 高 密 度 地 域 では 樹 高 1m 以 上 の 小 径 木 (ほとんどが 非 開 花 木 )と 雌 木 を 薬 剤 枯 殺 します 3アカギ 枯 殺 後 は 稚 樹 の 抜 き 取 り 萌 芽 の 薬 剤 枯 殺 を 行 い 在 来 樹 種 の 天 然 更 新 を 見 守 ります 4 他 の 侵 略 的 外 来 植 物 も 同 時 に 駆 除 す ることが 重 要 です 5モニタリング 等 により 森 林 の 変 化 を 把 握 し 順 応 的 管 理 を 行 うことが 重 要 です 参 考 文 献 田 中 信 行 深 澤 圭 太 大 津 佳 代 野 口 絵 美 小 池 文 人 (2009) 小 笠 原 におけ るアカギの 根 絶 と 在 来 林 の 再 生. 地 球 環 境, 14(1): 73-84. 伊 藤 武 治 大 津 佳 代 奥 田 史 郎 九 島 宏 道 (2009) 小 笠 原 におけるアカギの 薬 剤 枯 殺 手 法 の 開 発. 地 球 環 境, 14(1): 80-81. ( 注 ) 図 1,6,7,8,9,11 は 地 球 環 境 14 号 (2009)から 許 可 を 得 て 転 載 7

ISBN 978-4-902606-59-1 写 真 説 明 表 紙 左 :アカギの 大 木 右 上 :アカギの 葉 と 果 実 右 中 : 高 密 度 のアカギ 芽 生 え 右 下 :アカギ 芽 生 えで 覆 われた 林 床 裏 表 紙 左 上 : 枯 殺 されたアカギ 上 層 木 ( 母 島 ) 右 上 : 枯 殺 されたアカギ 林 ( 弟 島 ) 下 :アカギ 枯 殺 後 に 再 生 した 在 来 樹 種 シマホルトノキ 小 笠 原 の 森 を 救 え! - 外 来 樹 種 アカギ 駆 除 マニュアル- 2010 年 3 月 発 行 著 者 田 中 信 行 発 行 独 立 行 政 法 人 森 林 総 合 研 究 所 305-8687 つくば 市 松 の 里 1 番 地 http://www.ffpri.affrc.go.jp 本 冊 子 からの 無 断 使 用 はご 遠 慮 ください 第 2 期 中 期 計 画 成 果 No.11, 安 全 安 心 8-6