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預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

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公表表紙

●電力自由化推進法案

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m07 北見工業大学 様式①

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(Microsoft Word - \212\356\226{\225\373\220j _\217C\220\263\201j.doc)


18 国立高等専門学校機構

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入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

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為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

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1

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続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

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3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

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企 業 会 計 審 議 会 名 簿 会 長 安 藤 英 義 一 橋 大 学 教 授 委 員 荒 谷 裕 子 法 政 大 学 教 授 ( 平 成 19 年 2 月 15 日 現 在 ) 泉 本 小 夜 子 岩 原 紳 作 引 頭 麻 実 黒 川 行 治 公 認 会 計 士 東 京 大 学 教 授 大 和 証 券 SMBC 事 業 調 査 部 長 慶 應 義 塾 大 学 教 授 柴 田 拓 美 野 村 アセットマネジメント 執 行 役 社 長 島 崎 憲 明 住 友 商 事 代 表 取 締 役 副 社 長 執 行 役 員 関 哲 夫 新 日 本 製 鐵 常 任 監 査 役 錢 高 一 善 竹 内 佐 和 子 友 永 道 子 永 井 知 美 長 友 英 資 西 村 義 明 八 田 進 二 平 松 一 夫 八 木 和 則 山 浦 久 司 錢 高 組 代 表 取 締 役 社 長 京 都 大 学 客 員 教 授 公 認 会 計 士 東 レ 経 営 研 究 所 アナリスト 東 京 証 券 取 引 所 常 務 取 締 役 住 友 電 気 工 業 常 務 取 締 役 青 山 学 院 大 学 教 授 関 西 学 院 大 学 学 長 横 河 電 機 取 締 役 専 務 執 行 役 員 明 治 大 学 教 授 ( 注 ) 上 記 の 他 加 古 宜 士 会 長 ( 平 成 18 年 12 月 6 日 まで) 小 林 麻 理 委 員 ( 平 成 18 年 7 月 4 日 まで) 八 木 良 樹 委 員 ( 平 成 19 年 1 月 15 日 まで)が 審 議 に 参 加 した

企 業 会 計 審 議 会 内 部 統 制 部 会 名 簿 会 長 安 藤 英 義 一 橋 大 学 教 授 ( 平 成 19 年 2 月 15 日 現 在 ) 部 会 長 八 田 進 二 青 山 学 院 大 学 教 授 委 員 荒 谷 裕 子 法 政 大 学 教 授 岩 原 紳 作 東 京 大 学 教 授 柴 田 拓 美 野 村 アセットマネジメント 執 行 役 社 長 関 哲 夫 新 日 本 製 鐵 常 任 監 査 役 錢 高 一 善 竹 内 佐 和 子 長 友 英 資 西 村 義 明 山 浦 久 司 臨 時 委 員 久 保 田 政 一 鈴 木 輝 夫 高 田 敏 文 手 塚 仙 夫 錢 高 組 代 表 取 締 役 社 長 京 都 大 学 客 員 教 授 東 京 証 券 取 引 所 常 務 取 締 役 住 友 電 気 工 業 常 務 取 締 役 明 治 大 学 教 授 日 本 経 済 団 体 連 合 会 常 務 理 事 公 認 会 計 士 東 北 大 学 教 授 日 本 公 認 会 計 士 協 会 常 務 理 事 橋 本 尚 青 山 学 院 大 学 教 授 堀 江 正 之 専 門 委 員 大 崎 貞 和 町 田 祥 弘 持 永 勇 一 日 本 大 学 教 授 野 村 資 本 市 場 研 究 所 研 究 主 幹 青 山 学 院 大 学 教 授 公 認 会 計 士 幹 事 相 澤 哲 法 務 省 大 臣 官 房 参 事 官 ( 注 ) 上 記 の 他 加 古 宜 士 会 長 ( 平 成 18 年 12 月 6 日 まで) 小 林 麻 理 委 員 ( 平 成 18 年 7 月 4 日 まで) 八 木 良 樹 委 員 ( 平 成 19 年 1 月 15 日 まで) 中 村 芳 夫 臨 時 委 員 ( 平 成 18 年 11 月 16 日 まで)が 審 議 に 参 加 した

企 業 会 計 審 議 会 内 部 統 制 部 会 作 業 部 会 名 簿 座 長 橋 本 尚 青 山 学 院 大 学 教 授 ( 平 成 19 年 2 月 15 日 現 在 ) 委 員 石 毛 孝 幸 花 王 ( 株 ) 経 営 監 査 室 室 長 伊 藤 哲 也 公 認 会 計 士 おうち 鶯 地 隆 継 住 友 商 事 ( 株 )フィナンシャル 業 務 部 長 荻 原 紀 男 ( 株 ) 豆 蔵 代 表 取 締 役 社 長 小 俣 光 文 東 京 経 済 大 学 助 教 授 齋 藤 直 人 ( 株 )ベネッセコーポレーション 経 理 部 長 菅 野 秀 岳 ( 株 ) 日 立 製 作 所 監 査 室 部 長 多 賀 谷 辻 充 青 山 学 院 大 学 教 授 晶 仁 トヨタ 自 動 車 ( 株 ) 常 務 役 員 土 田 義 憲 公 認 会 計 士 中 山 清 美 公 認 会 計 士 濱 本 明 日 本 大 学 専 任 講 師 廣 瀨 治 彦 公 認 会 計 士 本 田 祐 一 東 京 エレクトロン( 株 ) 常 務 執 行 役 員 牧 野 隆 一 公 認 会 計 士 町 田 祥 弘 青 山 学 院 大 学 教 授 松 本 芳 彦 東 京 電 力 ( 株 ) 経 理 部 部 長 都 持 永 正 二 新 日 本 製 鐵 ( 株 ) 財 務 部 部 長 勇 一 早 稲 田 大 学 教 授 森 居 達 郎 公 認 会 計 士 吉 田 稔 旭 化 成 ( 株 ) 業 務 監 査 室 長 理 事 ( 注 ) 上 記 の 他 尾 田 寛 仁 委 員 ( 平 成 18 年 9 月 27 日 まで) 審 議 に 参 加 した

財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 の 基 準 並 びに 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 に 関 する 実 施 基 準 の 設 定 について( 意 見 書 )

目 次 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 の 基 準 並 びに 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 に 関 する 実 施 基 準 の 設 定 について( 意 見 書 ) P 1-121 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 の 基 準 P 9-30 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 に 関 する 実 施 基 準 P31-121

財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 の 基 準 並 びに 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 に 関 する 実 施 基 準 の 設 定 について( 意 見 書 ) 平 成 19 年 2 月 15 日 企 業 会 計 審 議 会 一 審 議 の 背 景 (1) 内 部 統 制 の 充 実 の 必 要 性 証 券 市 場 がその 機 能 を 十 全 に 発 揮 していくためには 投 資 者 に 対 して 企 業 情 報 が 適 正 に 開 示 されることが 必 要 不 可 欠 となるが 昨 今 有 価 証 券 報 告 書 の 開 示 内 容 な ど 証 券 取 引 法 上 のディスクロージャーをめぐり 不 適 正 な 事 例 が 発 生 している これらの 事 例 を 見 ると ディスクロージャーの 信 頼 性 を 確 保 するための 企 業 にお ける 内 部 統 制 が 有 効 に 機 能 しなかったのではないかといったことがうかがわれ こ のような 状 況 を 踏 まえると ディスクロージャーの 信 頼 性 を 確 保 するため 開 示 企 業 における 内 部 統 制 の 充 実 を 図 る 方 策 が 真 剣 に 検 討 されるべきであると 考 えられる 開 示 企 業 における 内 部 統 制 の 充 実 は 個 々の 開 示 企 業 に 業 務 の 適 正 化 効 率 化 等 を 通 じた 様 々な 利 益 をもたらすと 同 時 に ディスクロージャーの 全 体 の 信 頼 性 ひい ては 証 券 市 場 に 対 する 内 外 の 信 認 を 高 めるものであり 開 示 企 業 を 含 めたすべての 市 場 参 加 者 に 多 大 な 利 益 をもたらすものである この 点 に 関 しては 米 国 においても エンロン 事 件 等 をきっかけに 企 業 の 内 部 統 制 の 重 要 性 が 認 識 され 企 業 改 革 法 (サーベインズ=オクスリー 法 )において 証 券 取 引 委 員 会 (SEC) 登 録 企 業 の 経 営 者 に 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 を 評 価 した 内 部 統 制 報 告 書 の 作 成 が 義 務 づけられ さらに これについて 公 認 会 計 士 等 による 監 査 を 受 けることとされている また 米 国 以 外 でも 英 国 フランス 韓 国 等 において 同 様 の 制 度 が 導 入 され ている 我 が 国 では 平 成 16 年 3 月 期 決 算 から 会 社 代 表 者 による 有 価 証 券 報 告 書 の 記 載 内 容 の 適 正 性 に 関 する 確 認 書 が 任 意 の 制 度 として 導 入 され その 中 で 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 システムが 有 効 に 機 能 していたかの 確 認 が 求 められてきたが 平 成 18 年 1 1

6 月 に 成 立 した 金 融 商 品 取 引 法 により 上 場 会 社 を 対 象 に 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 経 営 者 による 評 価 と 公 認 会 計 士 等 による 監 査 が 義 務 づけられ( 内 部 統 制 報 告 制 度 ) 平 成 20 年 4 月 1 日 以 後 開 始 する 事 業 年 度 から 適 用 されることとなった (2) 審 議 の 経 過 企 業 会 計 審 議 会 では 平 成 17 年 1 月 に 開 催 された 総 会 において 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 に 関 する 経 営 者 による 評 価 の 基 準 及 び 公 認 会 計 士 等 による 検 証 の 基 準 の 策 定 について 審 議 の 開 始 が 決 定 され 平 成 17 年 2 月 から 内 部 統 制 部 会 に おいて 審 議 が 進 められた 同 部 会 では 諸 外 国 における 内 部 統 制 の 基 準 等 の 内 容 を 検 討 するとともに 我 が 国 会 社 法 制 との 整 合 性 等 にも 留 意 し 国 際 的 にも 説 明 可 能 で かつ 我 が 国 の 実 情 にあった 実 効 性 のある 基 準 のあり 方 について 審 議 を 行 っ た その 上 で 内 部 統 制 部 会 は 平 成 17 年 7 月 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 の 基 準 のあり 方 について 公 開 草 案 を 公 表 し これに 対 して 寄 せられた 意 見 等 を 踏 まえて 平 成 17 年 12 月 8 日 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 の 基 準 案 をとりまとめ 公 表 した さらに 基 準 案 のとりまとめに 際 して これを 実 務 に 適 用 していく 上 での 実 務 上 の 指 針 ( 実 施 基 準 )の 策 定 を 求 める 意 見 が 多 く 出 されたことから 内 部 統 制 部 会 では 引 き 続 き 実 施 基 準 案 の 検 討 を 行 うこととした 同 部 会 では 同 部 会 の 下 に 設 置 した 作 業 部 会 における 実 務 的 な 検 討 を 踏 まえて 平 成 18 年 11 月 実 施 基 準 案 を 公 開 草 案 として 公 表 した 当 審 議 会 では 公 開 草 案 に 寄 せられた 意 見 等 を 踏 まえ 更 に 審 議 を 行 い 基 準 案 及 び 実 施 基 準 案 の 内 容 を 一 部 修 正 して ここに 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 の 基 準 並 びに 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 に 関 する 実 施 基 準 の 設 定 について( 意 見 書 ) として 公 表 することとした 二 基 準 の 構 成 及 び 内 容 等 本 意 見 書 で 示 した 基 準 は Ⅰ 内 部 統 制 の 基 本 的 枠 組 み Ⅱ 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 報 告 Ⅲ 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 監 査 の3 部 から 構 成 されている Ⅰ 内 部 統 制 の 基 本 的 枠 組 み は 経 営 者 が 整 備 運 用 する 役 割 と 責 任 を 有 している 内 部 統 制 そ れ 自 体 についての 定 義 概 念 的 な 枠 組 みを 示 しており Ⅱ 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 報 告 Ⅲ 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 監 査 はそれぞれ 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 に 関 する 経 営 者 による 評 価 及 び 公 認 会 計 士 等 による 監 査 の 基 準 についての 考 え 2 2

方 を 示 している 基 準 の 主 な 内 容 は 以 下 のとおりである (1) 内 部 統 制 の 基 本 的 枠 組 み 内 部 統 制 は 基 本 的 に 企 業 等 の4つの 目 的 (1 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 2 財 務 報 告 の 信 頼 性 3 事 業 活 動 に 関 わる 法 令 等 の 遵 守 4 資 産 の 保 全 )の 達 成 のために 企 業 内 のすべての 者 によって 遂 行 されるプロセスであり 6つの 基 本 的 要 素 (1 統 制 環 境 2リスクの 評 価 と 対 応 3 統 制 活 動 4 情 報 と 伝 達 5モニタリング 6 ITへの 対 応 )から 構 成 される このうち 財 務 報 告 の 信 頼 性 を 確 保 するための 内 部 統 制 を 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 と 定 義 し 本 基 準 では この 有 効 性 について 経 営 者 による 評 価 及 び 公 認 会 計 士 等 による 監 査 を 実 施 する 際 の 方 法 及 び 手 続 につい ての 考 え 方 を 示 している 国 際 的 な 内 部 統 制 の 枠 組 みとして 米 国 のCOSO(トレッドウェイ 委 員 会 支 援 組 織 委 員 会 )の 内 部 統 制 の 基 本 的 枠 組 みに 関 する 報 告 書 ( 以 下 COSO 報 告 書 とい う )などがあるが 本 基 準 においては 国 際 的 な 内 部 統 制 議 論 がCOSO 報 告 書 を ベースとしていることにかんがみ COSO 報 告 書 の 枠 組 みを 基 本 的 に 踏 襲 しつつも 我 が 国 の 実 情 を 反 映 し COSO 報 告 書 の3つの 目 的 と5つの 構 成 要 素 にそれぞれ1 つずつ 加 え 4つの 目 的 と6つの 基 本 的 要 素 としている すなわち 内 部 統 制 の 目 的 に 関 して 我 が 国 においては 資 産 の 取 得 使 用 及 び 処 分 が 正 当 な 手 続 及 び 承 認 のもとに 行 われることが 重 要 であることから 独 立 させて 1つの 目 的 として 明 示 した また 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 に 関 しても COSO 報 告 書 公 表 後 のIT 環 境 の 飛 躍 的 進 展 により ITが 組 織 に 浸 透 した 現 状 に 即 して IT への 対 応 を 基 本 的 要 素 の1つに 加 えている なお COSO 報 告 書 の 構 成 要 素 とい う 用 語 を 基 本 的 要 素 としているのは これらの 要 素 は 例 示 であることを 明 確 にしたも のである 上 記 の 内 部 統 制 の4つの 目 的 は 相 互 に 関 連 を 有 しており 企 業 等 は 内 部 統 制 を 整 備 運 用 することにより 4つの 目 的 を 達 成 していくことになる 財 務 報 告 の 信 頼 性 との 関 係 からみると 経 営 者 は 自 社 のすべての 活 動 及 び 社 内 のすべての 従 業 員 等 の 行 動 を 把 握 することは 困 難 であり それに 代 わって 経 営 者 は 企 業 内 に 有 効 な 内 部 統 制 のシステムを 整 備 運 用 することにより 財 務 報 告 における 記 載 内 容 の 適 正 性 を 担 保 することとなる また 内 部 統 制 システムの 整 備 運 用 を 通 じて 財 務 報 告 の 信 頼 性 を 確 保 していくことは 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 の 確 保 による 情 報 処 理 コストの 削 減 さらには 市 場 における 資 金 調 達 機 会 の 拡 大 や 資 金 調 達 コストの 削 減 等 を 通 じて 一 定 のメリットを 企 業 等 にもたらすこととなる 経 営 者 には 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 が 組 み 込 まれたプロセスを 構 築 し それを 適 3 3

切 に 機 能 させていくことが 求 められている このため 単 に 内 部 統 制 を 整 備 するだ けでなく それを 意 図 していたように 機 能 させていくことが 重 要 となる なお 具 体 的 に 内 部 統 制 をどのように 整 備 し 運 用 するかは 個 々の 企 業 等 が 置 かれた 環 境 や 事 業 の 特 性 規 模 等 によって 異 なるものであり 一 律 に 示 すことは 適 切 でない 経 営 者 には それぞれの 企 業 の 状 況 等 に 応 じて 内 部 統 制 の 機 能 と 役 割 が 効 果 的 に 達 成 されるよう 自 ら 適 切 に 工 夫 を 行 っていくことが 期 待 される (2) 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 報 告 経 営 者 は 内 部 統 制 を 整 備 運 用 する 役 割 と 責 任 を 有 しており 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 については その 有 効 性 を 自 ら 評 価 しその 結 果 を 外 部 に 向 けて 報 告 するこ とが 求 められる この 評 価 は 財 務 報 告 の 信 頼 性 に 及 ぼす 影 響 の 重 要 性 の 観 点 から 必 要 な 範 囲 におい て 行 うものであり この 評 価 範 囲 は 財 務 報 告 に 対 する 金 額 的 及 び 質 的 影 響 の 重 要 性 を 考 慮 して 合 理 的 に 決 定 することとした これにより 例 えば 重 要 性 の 乏 し い 勘 定 科 目 又 は 重 要 性 の 乏 しい 子 会 社 若 しくは 関 連 会 社 などは 評 価 の 対 象 とする 必 要 はない 経 営 者 が 内 部 統 制 の 有 効 性 を 評 価 するに 当 たっては まず 連 結 ベースでの 財 務 報 告 全 体 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼす 内 部 統 制 ( 以 下 全 社 的 な 内 部 統 制 という )に ついて 評 価 を 行 い その 結 果 を 踏 まえて 業 務 プロセスに 係 る 内 部 統 制 について 評 価 することとしている これは 適 切 な 統 制 が 全 社 的 に 機 能 しているかどうかにつ いて まず 心 証 を 得 た 上 で それに 基 づき 財 務 報 告 に 係 る 重 大 な 虚 偽 記 載 につな がるリスクに 着 眼 して 業 務 プロセスに 係 る 内 部 統 制 を 評 価 していくという トップ ダウン 型 のリスク 重 視 のアプローチを 採 用 するものである 経 営 者 は 内 部 統 制 報 告 書 を 作 成 し 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 結 果 等 を 記 載 することとした (3) 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 監 査 経 営 者 による 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 は その 評 価 結 果 が 適 正 で あるかどうかについて 当 該 企 業 等 の 財 務 諸 表 の 監 査 を 行 っている 公 認 会 計 士 等 ( 以 下 監 査 人 という )が 監 査 することによって 担 保 される 内 部 統 制 監 査 と 財 務 諸 表 監 査 が 一 体 となって 行 われることにより 同 一 の 監 査 証 拠 を 双 方 で 利 用 するなど 効 果 的 でかつ 効 率 的 な 監 査 が 実 施 されるよう 内 部 統 制 監 査 は 当 該 企 業 の 財 務 諸 表 監 査 に 係 る 監 査 人 と 同 一 の 監 査 人 ( 監 査 事 務 所 のみならず 業 務 執 行 社 員 も 同 一 であることを 求 めている )が 実 施 することとした 監 査 人 は 企 業 の 置 かれた 環 境 等 を 踏 まえ 経 営 者 による 内 部 統 制 の 整 備 並 びに 4 4

運 用 状 況 及 び 評 価 の 状 況 を 十 分 に 理 解 し 監 査 上 の 重 要 性 を 勘 案 して 監 査 計 画 を 策 定 する また 監 査 人 は 経 営 者 による 内 部 統 制 の 評 価 の 結 果 を 監 査 することから まず 経 営 者 により 決 定 された 評 価 範 囲 の 妥 当 性 を 検 討 し 次 いで 経 営 者 が 評 価 を 行 った 全 社 的 な 評 価 及 び 全 社 的 な 評 価 に 基 づく 業 務 プロセスに 係 る 内 部 統 制 の 評 価 について 検 討 する 監 査 人 は 経 営 者 による 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 に 対 する 意 見 等 を 内 部 統 制 監 査 報 告 書 として 作 成 し 報 告 するが 同 報 告 書 は 原 則 として 財 務 諸 表 監 査 における 監 査 報 告 書 と 合 わせて 記 載 することとした (4) 公 認 会 計 士 等 による 検 証 の 水 準 とコスト 負 担 の 考 慮 内 部 統 制 に 係 る 監 査 人 による 検 証 は 信 頼 し 得 る 財 務 諸 表 作 成 の 前 提 であると 同 時 に 効 果 的 かつ 効 率 的 な 財 務 諸 表 監 査 の 実 施 を 支 える 経 営 者 による 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 について 検 証 を 行 うものである また この 検 証 は 財 務 諸 表 監 査 の 深 度 あ る 効 率 的 実 施 を 担 保 するためにも 財 務 諸 表 の 監 査 と 一 体 となって 行 われるが 同 一 の 監 査 人 が 財 務 諸 表 監 査 と 異 なる 水 準 の 保 証 を 得 るために 異 なる 手 続 や 証 拠 の 収 集 等 を 行 うことは 適 当 でないのみならず 同 一 の 監 査 証 拠 を 利 用 する 際 にも 保 証 の 水 準 の 違 いから 異 なる 判 断 が 導 き 出 されることは かえって 両 者 の 監 査 手 続 を 煩 雑 なもの とすることになる これらのことから 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 についての 検 証 は 監 査 の 水 準 とすることとした ただし 具 体 的 な 監 査 手 続 等 の 内 容 を 検 討 するに 当 たっては 監 査 人 のみなら ず 財 務 諸 表 作 成 者 その 他 の 関 係 者 にとって 過 度 の 負 担 にならないように 留 意 する 必 要 がある このため 経 営 者 による 評 価 及 び 監 査 人 による 監 査 の 基 準 の 策 定 に 当 たっては 評 価 監 査 に 係 るコスト 負 担 が 過 大 なものとならないよう 先 行 して 制 度 が 導 入 された 米 国 における 運 用 の 状 況 等 も 検 証 し 具 体 的 に 以 下 の 方 策 を 講 ずる こととした 1 トップダウン 型 のリスク アプローチの 活 用 経 営 者 は 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 に 当 たって まず 連 結 ベースでの 全 社 的 な 内 部 統 制 の 評 価 を 行 い その 結 果 を 踏 まえて 財 務 報 告 に 係 る 重 大 な 虚 偽 記 載 につながるリスクに 着 眼 して 必 要 な 範 囲 で 業 務 プロセスに 係 る 内 部 統 制 を 評 価 することとした 2 内 部 統 制 の 不 備 の 区 分 本 基 準 では 内 部 統 制 の 不 備 を 財 務 報 告 に 与 える 影 響 に 応 じ 重 要 な 欠 陥 と 不 備 との2つに 区 分 することとした 米 国 では 不 備 を 重 要 な 欠 陥 重 大 な 不 備 軽 微 な 不 備 の3つに 区 分 していることから 財 務 報 告 への 影 響 等 につ 5 5

いての 評 価 手 続 がより 複 雑 なものになっているとの 指 摘 がある 3 ダイレクト レポーティングの 不 採 用 監 査 人 は 経 営 者 が 実 施 した 内 部 統 制 の 評 価 について 監 査 を 実 施 し 米 国 で 併 用 されているダイレクト レポーティング( 直 接 報 告 業 務 )は 採 用 しないことと した この 結 果 監 査 人 は 経 営 者 の 評 価 結 果 を 監 査 するための 監 査 手 続 の 実 施 と 監 査 証 拠 等 の 入 手 を 行 うこととなる 4 内 部 統 制 監 査 と 財 務 諸 表 監 査 の 一 体 的 実 施 内 部 統 制 監 査 は 財 務 諸 表 監 査 と 同 一 の 監 査 人 が 実 施 することとした これに より 内 部 統 制 監 査 で 得 られた 監 査 証 拠 及 び 財 務 諸 表 監 査 で 得 られた 監 査 証 拠 は 双 方 で 利 用 することが 可 能 となり 効 果 的 かつ 効 率 的 な 監 査 の 実 施 が 期 待 できる 5 内 部 統 制 監 査 報 告 書 と 財 務 諸 表 監 査 報 告 書 の 一 体 的 作 成 内 部 統 制 監 査 報 告 書 については 財 務 諸 表 監 査 報 告 書 と 合 わせて 記 載 すること を 原 則 とした 6 監 査 人 と 監 査 役 内 部 監 査 人 との 連 携 監 査 人 は 監 査 役 などの 監 視 部 門 と 適 切 に 連 携 し 必 要 に 応 じ 内 部 監 査 人 の 業 務 等 を 適 切 に 利 用 できることとした なお 監 査 役 等 は 独 立 した 立 場 で 経 営 者 の 職 務 の 執 行 について 業 務 監 査 の 責 務 を 担 っていることから 企 業 等 の 内 部 統 制 に 係 る 監 査 を 業 務 監 査 として 行 うと ともに 大 会 社 等 においては 監 査 役 等 が 会 計 監 査 人 が 計 算 書 類 について 実 施 し た 会 計 監 査 の 方 法 と 結 果 の 相 当 性 を 評 価 することとされている 一 方 本 基 準 で 示 す 内 部 統 制 の 監 査 において 監 査 人 は 監 査 役 が 行 った 業 務 監 査 の 中 身 自 体 を 検 討 するものではないが 財 務 報 告 に 係 る 全 社 的 な 内 部 統 制 の 評 価 の 妥 当 性 を 検 討 するに 当 たり 監 査 役 等 の 活 動 を 含 めた 経 営 レベルの 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 状 況 を 統 制 環 境 等 の 一 部 として 考 慮 することとなる 三 実 施 基 準 の 内 容 等 既 述 したとおり 本 来 内 部 統 制 の 構 築 の 手 法 等 については それぞれの 企 業 の 状 況 等 に 応 じて 各 企 業 等 が 自 ら 適 切 に 工 夫 して 整 備 していくべきものと 考 えられるが それだけでは 実 務 上 の 対 応 が 困 難 であるとの 意 見 が 多 く 出 されたことから 実 施 基 準 においては 各 企 業 等 の 創 意 工 夫 を 尊 重 するとの 基 本 的 な 考 え 方 を 維 持 しつつ 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 構 築 評 価 監 査 について できるだけ 具 体 的 な 指 針 を 示 すこ ととした なお 実 施 基 準 では 企 業 等 を 取 り 巻 く 環 境 や 事 業 の 特 性 規 模 等 に 応 じて 内 部 6 6

統 制 を 整 備 し 運 用 することが 求 められており 内 部 統 制 の 構 築 評 価 監 査 に 当 た って 例 えば 事 業 規 模 が 小 規 模 で 比 較 的 簡 素 な 組 織 構 造 を 有 している 企 業 等 の 場 合 に 職 務 分 掌 に 代 わる 代 替 的 な 統 制 や 企 業 外 部 の 専 門 家 の 利 用 等 の 可 能 性 を 含 め その 特 性 等 に 応 じた 工 夫 が 行 われるべきことは 言 うまでもない 実 施 基 準 の 主 な 内 容 は 以 下 のとおりである (1) 内 部 統 制 の 基 本 的 枠 組 み 実 施 基 準 においては 基 準 に 示 された 内 部 統 制 の4つの 目 的 と6つの 基 本 的 要 素 の それぞれについて 詳 細 な 説 明 を 加 えている また 内 部 統 制 の 基 本 的 な 枠 組 みを 踏 まえて 内 部 統 制 報 告 制 度 の 導 入 に 向 けた 準 備 を 進 める 企 業 等 の 参 考 に 資 するよう 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 構 築 の 要 点 を 示 すとともに 一 般 的 な 手 続 としての 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 構 築 のプロセスを 例 示 した (2) 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 報 告 1 全 社 的 な 内 部 統 制 の 評 価 項 目 実 施 基 準 においては 全 社 的 な 内 部 統 制 の 評 価 に 関 して 具 体 的 な 評 価 項 目 を 例 示 し 各 企 業 等 が 適 宜 活 用 できることとした 2 業 務 プロセスに 係 る 内 部 統 制 の 評 価 範 囲 業 務 プロセスに 係 る 内 部 統 制 の 評 価 に 関 しては 既 述 したトップダウン 型 のリス ク アプローチの 考 え 方 に 基 づく 評 価 が 適 切 に 行 われるよう 評 価 範 囲 の 決 定 につ いて 絞 り 込 みの 方 法 を 具 体 的 に 示 している 例 えば 売 上 高 等 の 指 標 を 用 いて 金 額 の 高 い 拠 点 から 合 算 し 全 体 の 概 ね3 分 の2 程 度 に 達 するまでの 拠 点 を 重 要 な 拠 点 として 選 定 することとした 一 般 的 な 事 業 会 社 の 場 合 これらの 重 要 な 事 業 拠 点 における3つの 勘 定 科 目 ( 売 上 売 掛 金 及 び 棚 卸 資 産 )に 至 る 業 務 プロセスは 原 則 として 評 価 対 象 となる その 上 で 財 務 報 告 への 影 響 を 勘 案 して 重 要 性 の 大 きい 業 務 プロセスが 他 にある 場 合 には これらを 個 別 に 評 価 対 象 として 追 加 するこ とで 適 切 な 評 価 範 囲 を 決 定 することとした 3 監 査 人 との 協 議 監 査 人 が 経 営 者 の 決 定 した 評 価 範 囲 の 妥 当 性 を 検 討 した 結 果 それが 適 切 でな いと 判 断 した 場 合 経 営 者 が 新 たな 評 価 範 囲 について 業 務 プロセスに 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 を 評 価 し 直 すことは 時 間 的 な 制 約 等 から 困 難 となることが 想 定 される このため 実 施 基 準 では 評 価 範 囲 について 経 営 者 が 評 価 範 囲 を 決 定 した 時 点 で 必 要 に 応 じて 監 査 人 と 事 前 に 協 議 しておくことが 適 切 であるとした 4 重 要 な 欠 陥 の 判 断 指 針 7 7

内 部 統 制 の 不 備 のうち 重 要 な 欠 陥 については 内 部 統 制 報 告 書 において 開 示 す る 必 要 があるが 内 部 統 制 の 不 備 が 重 要 な 欠 陥 に 該 当 するかどうかを 判 断 する 際 に は 不 備 の 金 額 的 重 要 性 及 び 質 的 重 要 性 を 勘 案 して 判 断 することとし 金 額 的 重 要 性 について その 判 断 基 準 を 具 体 的 に 例 示 した 5 評 価 手 続 等 の 記 録 及 び 保 存 内 部 統 制 の 評 価 に 係 る 記 録 の 形 式 方 法 等 について 企 業 の 作 成 使 用 している 記 録 等 を 適 宜 利 用 し 必 要 に 応 じそれに 補 足 を 行 っていくことで 足 りることを 明 示 した (3) 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 監 査 既 述 のとおり 内 部 統 制 監 査 は 原 則 として 財 務 諸 表 監 査 と 同 一 の 監 査 人 が 実 施 す ることとされており 実 施 基 準 では 内 部 統 制 監 査 に 係 る 監 査 計 画 について 財 務 諸 表 監 査 に 係 る 監 査 計 画 と 一 体 的 に 策 定 するとともに それぞれの 監 査 で 得 られた 監 査 証 拠 は 相 互 に 利 用 可 能 であることを 明 示 した 四 適 用 時 期 本 基 準 及 び 実 施 基 準 は 金 融 商 品 取 引 法 により 導 入 される 内 部 統 制 報 告 制 度 の 適 用 時 期 と 合 わせ 平 成 20 年 4 月 1 日 以 後 開 始 する 事 業 年 度 における 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 から 適 用 する 8 8

財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 の 基 準

財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 の 基 準 目 次 Ⅰ. 内 部 統 制 の 基 本 的 枠 組 み 1. 内 部 統 制 の 定 義 2. 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 3. 内 部 統 制 の 限 界 4. 内 部 統 制 に 関 係 を 有 する 者 の 役 割 と 責 任 Ⅱ. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 報 告 1. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 の 意 義 2. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 とその 範 囲 3. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 の 方 法 4. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 報 告 Ⅲ. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 監 査 1. 財 務 諸 表 監 査 の 監 査 人 による 内 部 統 制 監 査 の 目 的 2. 内 部 統 制 監 査 と 財 務 諸 表 監 査 の 関 係 3. 内 部 統 制 監 査 の 実 施 4. 監 査 人 の 報 告 1 9

財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 の 基 準 Ⅰ. 内 部 統 制 の 基 本 的 枠 組 み 本 枠 組 みは 経 営 者 による 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 報 告 の 基 準 と 監 査 人 によ る 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 監 査 の 基 準 の 前 提 となる 内 部 統 制 の 概 念 的 な 枠 組 みを 示 す ものである ( 注 ) 本 基 準 において 経 営 者 とは 代 表 取 締 役 代 表 執 行 役 などの 執 行 機 関 の 代 表 者 を 念 頭 に 規 定 している 1. 内 部 統 制 の 定 義 内 部 統 制 とは 基 本 的 に 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 財 務 報 告 の 信 頼 性 事 業 活 動 に 関 わる 法 令 等 の 遵 守 並 びに 資 産 の 保 全 の4つの 目 的 が 達 成 されているとの 合 理 的 な 保 証 を 得 るために 業 務 に 組 み 込 まれ 組 織 内 のすべての 者 によって 遂 行 されるプロセス をいい 統 制 環 境 リスクの 評 価 と 対 応 統 制 活 動 情 報 と 伝 達 モニタリング( 監 視 活 動 ) 及 びIT( 情 報 技 術 )への 対 応 の6つの 基 本 的 要 素 から 構 成 される 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 とは 事 業 活 動 の 目 的 の 達 成 のため 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 を 高 めることをいう 財 務 報 告 の 信 頼 性 とは 財 務 諸 表 及 び 財 務 諸 表 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 のある 情 報 の 信 頼 性 を 確 保 することをいう 事 業 活 動 に 関 わる 法 令 等 の 遵 守 とは 事 業 活 動 に 関 わる 法 令 その 他 の 規 範 の 遵 守 を 促 進 することをいう 資 産 の 保 全 とは 資 産 の 取 得 使 用 及 び 処 分 が 正 当 な 手 続 及 び 承 認 の 下 に 行 われる よう 資 産 の 保 全 を 図 ることをいう ( 注 ) 内 部 統 制 の 目 的 はそれぞれに 独 立 しているが 相 互 に 関 連 している 内 部 統 制 の 目 的 を 達 成 するため 経 営 者 は 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 が 組 み 込 まれたプ ロセスを 整 備 し そのプロセスを 適 切 に 運 用 していく 必 要 がある それぞれの 目 的 を 達 成 するには すべての 基 本 的 要 素 が 有 効 に 機 能 していることが 必 要 であり それぞれの 基 本 的 要 素 は 内 部 統 制 の 目 的 のすべてに 必 要 になるという 関 係 にある 2 10

内 部 統 制 は 社 内 規 程 等 に 示 されることにより 具 体 化 されて 組 織 内 のすべての 者 が それぞれの 立 場 で 理 解 し 遂 行 することになる また 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 状 況 は 適 切 に 記 録 及 び 保 存 される 必 要 がある なお 具 体 的 に 内 部 統 制 をどのように 整 備 し 運 用 するかについては 個 々の 組 織 が 置 かれた 環 境 や 事 業 の 特 性 等 によって 異 なるものであり 一 律 に 示 すことはできないが 経 営 者 をはじめとする 組 織 内 のすべての 者 が ここに 示 した 内 部 統 制 の 機 能 と 役 割 を 効 果 的 に 達 成 し 得 るよう 工 夫 していくべきものである 2. 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 とは 内 部 統 制 の 目 的 を 達 成 するために 必 要 とされる 内 部 統 制 の 構 成 部 分 をいい 内 部 統 制 の 有 効 性 の 判 断 の 規 準 となる (1) 統 制 環 境 統 制 環 境 とは 組 織 の 気 風 を 決 定 し 組 織 内 のすべての 者 の 統 制 に 対 する 意 識 に 影 響 を 与 えるとともに 他 の 基 本 的 要 素 の 基 礎 をなし リスクの 評 価 と 対 応 統 制 活 動 情 報 と 伝 達 モニタリング 及 びITへの 対 応 に 影 響 を 及 ぼす 基 盤 をい う 統 制 環 境 としては 例 えば 次 の 事 項 が 挙 げられる 1 誠 実 性 及 び 倫 理 観 2 経 営 者 の 意 向 及 び 姿 勢 3 経 営 方 針 及 び 経 営 戦 略 4 取 締 役 会 及 び 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 の 有 する 機 能 5 組 織 構 造 及 び 慣 行 6 権 限 及 び 職 責 7 人 的 資 源 に 対 する 方 針 と 管 理 ( 注 ) 財 務 報 告 の 信 頼 性 に 関 しては 例 えば 利 益 計 上 など 財 務 報 告 に 対 する 姿 勢 がどのようになっているか また 取 締 役 会 及 び 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 が 財 務 報 告 プロセスの 合 理 性 や 内 部 統 制 システムの 有 効 性 に 関 して 適 切 な 監 視 を 行 っているか さらに 財 務 報 告 プロセスや 内 部 統 制 システムに 関 する 組 織 的 人 的 構 成 がどのようになっているかが 挙 げられる (2) リスクの 評 価 と 対 応 3 11

リスクの 評 価 と 対 応 とは 組 織 目 標 の 達 成 に 影 響 を 与 える 事 象 について 組 織 目 標 の 達 成 を 阻 害 する 要 因 をリスクとして 識 別 分 析 及 び 評 価 し 当 該 リスクへの 適 切 な 対 応 を 行 う 一 連 のプロセスをいう 1 リスクの 評 価 リスクの 評 価 とは 組 織 目 標 の 達 成 に 影 響 を 与 える 事 象 について 組 織 目 標 の 達 成 を 阻 害 する 要 因 をリスクとして 識 別 分 析 及 び 評 価 するプロセスをいう リスクの 評 価 に 当 たっては 組 織 の 内 外 で 発 生 するリスクを 組 織 全 体 の 目 標 に 関 わる 全 社 的 なリスクと 組 織 の 職 能 や 活 動 単 位 の 目 標 に 関 わる 業 務 別 のリ スクに 分 類 し その 性 質 に 応 じて 識 別 されたリスクの 大 きさ 発 生 可 能 性 頻 度 等 を 分 析 し 当 該 目 標 への 影 響 を 評 価 する 2 リスクへの 対 応 リスクへの 対 応 とは リスクの 評 価 を 受 けて 当 該 リスクへの 適 切 な 対 応 を 選 択 するプロセスをいう リスクへの 対 応 に 当 たっては 評 価 されたリスクについて その 回 避 低 減 移 転 又 は 受 容 等 適 切 な 対 応 を 選 択 する ( 注 ) 財 務 報 告 の 信 頼 性 に 関 しては 例 えば 新 製 品 の 開 発 新 規 事 業 の 立 ち 上 げ 主 力 製 品 の 製 造 販 売 等 に 伴 って 生 ずるリスクは 組 織 目 標 の 達 成 を 阻 害 するリスクのうち 基 本 的 には 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 に 関 連 するもので はあるが 会 計 上 の 見 積 り 及 び 予 測 等 結 果 として 財 務 報 告 上 の 数 値 に 直 接 的 な 影 響 を 及 ぼす 場 合 が 多 い したがって これらのリスクが 財 務 報 告 の 信 頼 性 に 及 ぼす 影 響 等 を 適 切 に 識 別 分 析 及 び 評 価 し 必 要 な 対 応 を 選 択 し ていくことが 重 要 になる (3) 統 制 活 動 統 制 活 動 とは 経 営 者 の 命 令 及 び 指 示 が 適 切 に 実 行 されることを 確 保 するため に 定 める 方 針 及 び 手 続 をいう 統 制 活 動 には 権 限 及 び 職 責 の 付 与 職 務 の 分 掌 等 の 広 範 な 方 針 及 び 手 続 が 含 まれる このような 方 針 及 び 手 続 は 業 務 のプロセスに 組 み 込 まれるべきものであ り 組 織 内 のすべての 者 において 遂 行 されることにより 機 能 するものである 4 12

( 注 ) 財 務 報 告 の 信 頼 性 に 関 しては 財 務 報 告 の 内 容 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 のあ る 方 針 及 び 手 続 が 経 営 者 の 意 向 どおりに 実 行 されていることを 確 保 すべく 例 えば 明 確 な 職 務 の 分 掌 内 部 牽 制 並 びに 継 続 記 録 の 維 持 及 び 適 時 の 実 地 検 査 等 の 物 理 的 な 資 産 管 理 の 活 動 等 を 整 備 し これを 組 織 内 の 各 レベルで 適 切 に 分 析 及 び 監 視 していくことが 重 要 になる (4) 情 報 と 伝 達 情 報 と 伝 達 とは 必 要 な 情 報 が 識 別 把 握 及 び 処 理 され 組 織 内 外 及 び 関 係 者 相 互 に 正 しく 伝 えられることを 確 保 することをいう 組 織 内 のすべての 者 が 各 々 の 職 務 の 遂 行 に 必 要 とする 情 報 は 適 時 かつ 適 切 に 識 別 把 握 処 理 及 び 伝 達 されなければならない また 必 要 な 情 報 が 伝 達 されるだけでなく それが 受 け 手 に 正 しく 理 解 され その 情 報 を 必 要 とする 組 織 内 のすべての 者 に 共 有 されるこ とが 重 要 である 一 般 に 情 報 の 識 別 把 握 処 理 及 び 伝 達 は 人 的 及 び 機 械 化 された 情 報 シス テムを 通 して 行 われる 1 情 報 組 織 内 のすべての 者 は 組 織 目 標 を 達 成 するため 及 び 内 部 統 制 の 目 的 を 達 成 するため 適 時 かつ 適 切 に 各 々の 職 務 の 遂 行 に 必 要 な 情 報 を 識 別 し 情 報 の 内 容 及 び 信 頼 性 を 十 分 に 把 握 し 利 用 可 能 な 形 式 に 整 えて 処 理 することが 求 めら れる 2 伝 達 イ. 内 部 伝 達 組 織 目 標 を 達 成 するため 及 び 内 部 統 制 の 目 的 を 達 成 するため 必 要 な 情 報 が 適 時 に 組 織 内 の 適 切 な 者 に 伝 達 される 必 要 がある 経 営 者 は 組 織 内 にお ける 情 報 システムを 通 して 経 営 方 針 等 を 組 織 内 のすべての 者 に 伝 達 すると ともに 重 要 な 情 報 が 特 に 組 織 の 上 層 部 に 適 時 かつ 適 切 に 伝 達 される 手 段 を 確 保 する 必 要 がある ロ. 外 部 伝 達 法 令 による 財 務 情 報 の 開 示 等 を 含 め 情 報 は 組 織 の 内 部 だけでなく 組 織 の 外 部 に 対 しても 適 時 かつ 適 切 に 伝 達 される 必 要 がある また 顧 客 など 組 織 の 外 部 から 重 要 な 情 報 が 提 供 されることがあるため 組 織 は 外 部 からの 5 13

情 報 を 適 時 かつ 適 切 に 識 別 把 握 及 び 処 理 するプロセスを 整 備 する 必 要 があ る ( 注 ) 財 務 報 告 の 信 頼 性 に 関 しては 例 えば 情 報 について 財 務 報 告 の 中 核 を なす 会 計 情 報 につき 経 済 活 動 を 適 切 に 認 識 測 定 し 会 計 処 理 するため の 一 連 の 会 計 システムを 構 築 することであり また 伝 達 について かかる 会 計 情 報 を 適 時 かつ 適 切 に 組 織 内 外 の 関 係 者 に 報 告 するシステムを 確 保 す ることが 挙 げられる (5) モニタリング モニタリングとは 内 部 統 制 が 有 効 に 機 能 していることを 継 続 的 に 評 価 するプ ロセスをいう モニタリングにより 内 部 統 制 は 常 に 監 視 評 価 及 び 是 正 されるこ とになる モニタリングには 業 務 に 組 み 込 まれて 行 われる 日 常 的 モニタリング 及 び 業 務 から 独 立 した 視 点 から 実 施 される 独 立 的 評 価 がある 両 者 は 個 別 に 又 は 組 み 合 わせて 行 われる 場 合 がある 1 日 常 的 モニタリング 日 常 的 モニタリングは 内 部 統 制 の 有 効 性 を 監 視 するために 経 営 管 理 や 業 務 改 善 等 の 通 常 の 業 務 に 組 み 込 まれて 行 われる 活 動 をいう 2 独 立 的 評 価 独 立 的 評 価 は 日 常 的 モニタリングとは 別 個 に 通 常 の 業 務 から 独 立 した 視 点 で 定 期 的 又 は 随 時 に 行 われる 内 部 統 制 の 評 価 であり 経 営 者 取 締 役 会 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 内 部 監 査 等 を 通 じて 実 施 されるものである 3 評 価 プロセス 内 部 統 制 を 評 価 することは それ 自 体 一 つのプロセスである 内 部 統 制 を 評 価 する 者 は 組 織 の 活 動 及 び 評 価 の 対 象 となる 内 部 統 制 の 各 基 本 的 要 素 を 予 め 十 分 に 理 解 する 必 要 がある 4 内 部 統 制 上 の 問 題 についての 報 告 日 常 的 モニタリング 及 び 独 立 的 評 価 により 明 らかになった 内 部 統 制 上 の 問 題 に 適 切 に 対 処 するため 当 該 問 題 の 程 度 に 応 じて 組 織 内 の 適 切 な 者 に 情 報 を 報 告 する 仕 組 みを 整 備 することが 必 要 である この 仕 組 みには 経 営 者 取 締 6 14

役 会 監 査 役 等 に 対 する 報 告 の 手 続 が 含 まれる ( 注 ) 財 務 報 告 の 信 頼 性 に 関 しては 例 えば 日 常 的 モニタリングとして 各 業 務 部 門 において 帳 簿 記 録 と 実 際 の 製 造 在 庫 ないし 販 売 数 量 等 との 照 合 を 行 うことや 定 期 的 に 実 施 される 棚 卸 手 続 において 在 庫 の 残 高 の 正 確 性 及 び 網 羅 性 を 関 連 業 務 担 当 者 が 監 視 することなどが 挙 げられる また 独 立 的 評 価 としては 企 業 内 での 監 視 機 関 である 内 部 監 査 部 門 及 び 監 査 役 ないし 監 査 委 員 会 等 が 財 務 報 告 の 一 部 ないし 全 体 の 信 頼 性 を 検 証 するために 行 う 会 計 監 査 などが 挙 げられる (6) ITへの 対 応 ITへの 対 応 とは 組 織 目 標 を 達 成 するために 予 め 適 切 な 方 針 及 び 手 続 を 定 め それを 踏 まえて 業 務 の 実 施 において 組 織 の 内 外 のITに 対 し 適 切 に 対 応 するこ とをいう ITへの 対 応 は 内 部 統 制 の 他 の 基 本 的 要 素 と 必 ずしも 独 立 に 存 在 するもので はないが 組 織 の 業 務 内 容 がITに 大 きく 依 存 している 場 合 や 組 織 の 情 報 システ ムがITを 高 度 に 取 り 入 れている 場 合 等 には 内 部 統 制 の 目 的 を 達 成 するために 不 可 欠 の 要 素 として 内 部 統 制 の 有 効 性 に 係 る 判 断 の 規 準 となる ITへの 対 応 は IT 環 境 への 対 応 とITの 利 用 及 び 統 制 からなる 1 IT 環 境 への 対 応 IT 環 境 とは 組 織 が 活 動 する 上 で 必 然 的 に 関 わる 内 外 のITの 利 用 状 況 の ことであり 社 会 及 び 市 場 におけるITの 浸 透 度 組 織 が 行 う 取 引 等 における ITの 利 用 状 況 及 び 組 織 が 選 択 的 に 依 拠 している 一 連 の 情 報 システムの 状 況 等 をいう IT 環 境 に 対 しては 組 織 目 標 を 達 成 するために 組 織 の 管 理 が 及 ぶ 範 囲 において 予 め 適 切 な 方 針 と 手 続 を 定 め それを 踏 まえた 適 切 な 対 応 を 行 う 必 要 がある IT 環 境 への 対 応 は 単 に 統 制 環 境 のみに 関 連 づけられるものではなく 個 々の 業 務 プロセスの 段 階 において 内 部 統 制 の 他 の 基 本 的 要 素 と 一 体 となっ て 評 価 される 2 ITの 利 用 及 び 統 制 ITの 利 用 及 び 統 制 とは 組 織 内 において 内 部 統 制 の 他 の 基 本 的 要 素 の 有 効 性 を 確 保 するためにITを 有 効 かつ 効 率 的 に 利 用 すること 並 びに 組 織 内 に 7 15

おいて 業 務 に 体 系 的 に 組 み 込 まれてさまざまな 形 で 利 用 されているITに 対 して 組 織 目 標 を 達 成 するために 予 め 適 切 な 方 針 及 び 手 続 を 定 め 内 部 統 制 の 他 の 基 本 的 要 素 をより 有 効 に 機 能 させることをいう ITの 利 用 及 び 統 制 は 内 部 統 制 の 他 の 基 本 的 要 素 と 密 接 不 可 分 の 関 係 を 有 しており これらと 一 体 となって 評 価 される また ITの 利 用 及 び 統 制 は 導 入 されているITの 利 便 性 とともにその 脆 弱 性 及 び 業 務 に 与 える 影 響 の 重 要 性 等 を 十 分 に 勘 案 した 上 で 評 価 されることになる ( 注 ) 財 務 報 告 の 信 頼 性 に 関 しては ITを 度 外 視 しては 考 えることのできない 今 日 の 企 業 環 境 を 前 提 に 財 務 報 告 プロセスに 重 要 な 影 響 を 及 ぼすIT 環 境 へ の 対 応 及 び 財 務 報 告 プロセス 自 体 に 組 み 込 まれたITの 利 用 及 び 統 制 を 適 切 に 考 慮 し 財 務 報 告 の 信 頼 性 を 担 保 するために 必 要 な 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 を 整 備 することが 必 要 になる 例 えば 統 制 活 動 について 見 ると 企 業 内 全 体 に わたる 情 報 処 理 システムが 財 務 報 告 に 係 るデータを 適 切 に 収 集 し 処 理 するプ ロセスとなっていることを 確 保 すること あるいは 各 業 務 領 域 において 利 用 されるコンピュータ 等 のデータが 適 切 に 収 集 処 理 され 財 務 報 告 に 反 映 され るプロセスとなっていることを 確 保 すること 等 が 挙 げられる 3. 内 部 統 制 の 限 界 内 部 統 制 は 次 のような 固 有 の 限 界 を 有 するため その 目 的 の 達 成 にとって 絶 対 的 なものではないが 各 基 本 的 要 素 が 有 機 的 に 結 びつき 一 体 となって 機 能 することで その 目 的 を 合 理 的 な 範 囲 で 達 成 しようとするものである (1) 内 部 統 制 は 判 断 の 誤 り 不 注 意 複 数 の 担 当 者 による 共 謀 によって 有 効 に 機 能 しなくなる 場 合 がある (2) 内 部 統 制 は 当 初 想 定 していなかった 組 織 内 外 の 環 境 の 変 化 や 非 定 型 的 な 取 引 等 には 必 ずしも 対 応 しない 場 合 がある (3) 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 に 際 しては 費 用 と 便 益 との 比 較 衡 量 が 求 められる (4) 経 営 者 が 不 当 な 目 的 の 為 に 内 部 統 制 を 無 視 ないし 無 効 ならしめることがある 4. 内 部 統 制 に 関 係 を 有 する 者 の 役 割 と 責 任 (1) 経 営 者 経 営 者 は 組 織 のすべての 活 動 について 最 終 的 な 責 任 を 有 しており その 一 環 8 16

として 取 締 役 会 が 決 定 した 基 本 方 針 に 基 づき 内 部 統 制 を 整 備 及 び 運 用 する 役 割 と 責 任 がある 経 営 者 は その 責 任 を 果 たすための 手 段 として 社 内 組 織 を 通 じて 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 (モニタリングを 含 む )を 行 う 経 営 者 は 組 織 内 のいずれの 者 よりも 統 制 環 境 に 係 る 諸 要 因 及 びその 他 の 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 に 影 響 を 与 える 組 織 の 気 風 の 決 定 に 大 きな 影 響 力 を 有 してい る (2) 取 締 役 会 取 締 役 会 は 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 に 係 る 基 本 方 針 を 決 定 する 取 締 役 会 は 経 営 者 の 業 務 執 行 を 監 督 することから 経 営 者 による 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 に 対 しても 監 督 責 任 を 有 している 取 締 役 会 は 全 社 的 な 内 部 統 制 の 重 要 な 一 部 であるとともに 業 務 プロセ スに 係 る 内 部 統 制 における 統 制 環 境 の 一 部 である (3) 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 は 取 締 役 及 び 執 行 役 の 職 務 の 執 行 に 対 する 監 査 の 一 環 として 独 立 した 立 場 から 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 状 況 を 監 視 検 証 する 役 割 と 責 任 を 有 している (4) 内 部 監 査 人 内 部 監 査 人 は 内 部 統 制 の 目 的 をより 効 果 的 に 達 成 するために 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 の 一 つであるモニタリングの 一 環 として 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 状 況 を 検 討 評 価 し 必 要 に 応 じて その 改 善 を 促 す 職 務 を 担 っている ( 注 ) 本 基 準 において 内 部 監 査 人 とは 組 織 内 の 所 属 の 名 称 の 如 何 を 問 わず 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 状 況 を 検 討 評 価 し その 改 善 を 促 す 職 務 を 担 う 者 及 び 部 署 をいう (5) 組 織 内 のその 他 の 者 内 部 統 制 は 組 織 内 のすべての 者 によって 遂 行 されるプロセスであることから 9 17

上 記 以 外 の 組 織 内 のその 他 の 者 も 自 らの 業 務 との 関 連 において 有 効 な 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 に 一 定 の 役 割 を 担 っている 10 18

Ⅱ. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 報 告 1. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 の 意 義 経 営 者 は 内 部 統 制 を 整 備 及 び 運 用 する 役 割 と 責 任 を 有 している 特 に 財 務 報 告 の 信 頼 性 を 確 保 するため 内 部 統 制 の 基 本 的 枠 組 み において 示 された 内 部 統 制 のう ち 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 については 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 内 部 統 制 の 評 価 の 基 準 に 準 拠 して その 有 効 性 を 自 ら 評 価 しその 結 果 を 外 部 に 向 けて 報 告 すること が 求 められる なお 本 基 準 において 次 の 用 語 は 以 下 の 意 味 で 使 われる (1) 財 務 報 告 とは 財 務 諸 表 及 び 財 務 諸 表 の 信 頼 性 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼす 開 示 事 項 等 に 係 る 外 部 報 告 をいう (2) 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 とは 財 務 報 告 の 信 頼 性 を 確 保 するための 内 部 統 制 をいう (3) 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 が 有 効 である とは 当 該 内 部 統 制 が 適 切 な 内 部 統 制 の 枠 組 みに 準 拠 して 整 備 及 び 運 用 されており 当 該 内 部 統 制 に 重 要 な 欠 陥 がな いことをいう (4) 重 要 な 欠 陥 とは 財 務 報 告 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 が 高 い 内 部 統 制 の 不 備 をいう 2. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 とその 範 囲 (1) 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 経 営 者 は 財 務 報 告 の 信 頼 性 に 及 ぼす 影 響 の 重 要 性 の 観 点 から 必 要 な 範 囲 につい て 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 を 行 わなければならない また 経 営 者 は 評 価 に 先 立 って 予 め 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 の 方 針 及 び 手 続 を 定 め それらの 状 況 を 記 録 し 保 存 しておかなければならない なお 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 は 原 則 として 連 結 ベースで 行 う ものとする ( 注 ) 外 部 に 委 託 した 業 務 の 内 部 統 制 については 評 価 範 囲 に 含 める (2) 評 価 の 範 囲 の 決 定 経 営 者 は 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 に 当 たって 財 務 報 告 に 対 する 金 額 的 及 び 質 11 19

的 影 響 の 重 要 性 を 考 慮 し 以 下 の 事 項 等 に 関 して 合 理 的 に 評 価 の 範 囲 を 決 定 し 当 該 内 部 統 制 の 評 価 の 範 囲 に 関 する 決 定 方 法 及 び 根 拠 等 を 適 切 に 記 録 しなければなら ない 財 務 諸 表 の 表 示 及 び 開 示 企 業 活 動 を 構 成 する 事 業 又 は 業 務 財 務 報 告 の 基 礎 となる 取 引 又 は 事 象 主 要 な 業 務 プロセス これらの 事 項 については 重 要 な 事 業 拠 点 の 選 定 を 踏 まえ 財 務 諸 表 の 表 示 及 び 開 示 について 金 額 的 及 び 質 的 影 響 の 重 要 性 の 観 点 から 評 価 の 範 囲 を 検 討 する この 検 討 結 果 に 基 づいて 企 業 活 動 を 構 成 する 事 業 又 は 業 務 財 務 報 告 の 基 礎 と なる 取 引 又 は 事 象 及 び 主 要 な 業 務 プロセスについて 財 務 報 告 全 体 に 対 する 金 額 的 及 び 質 的 影 響 の 重 要 性 を 検 討 し 合 理 的 な 評 価 の 範 囲 を 決 定 する ( 注 ) 財 務 諸 表 の 表 示 及 び 開 示 については 例 えば 財 務 諸 表 における 勘 定 科 目 ごとに 金 額 的 影 響 の 重 要 性 の 観 点 から 一 定 金 額 を 設 定 し 評 価 の 範 囲 を 検 討 するとともに 質 的 影 響 の 重 要 性 の 観 点 から 財 務 諸 表 に 対 する 影 響 の 程 度 を 勘 案 し 評 価 の 範 囲 に 必 ず 含 めなければならない 勘 定 科 目 を 決 定 することが 考 えられる なお いずれかの 重 要 性 に 該 当 する 場 合 には 内 部 統 制 の 評 価 の 範 囲 に 含 める さらに これに 加 えて 企 業 活 動 を 構 成 する 事 業 又 は 業 務 以 下 の 事 項 に 関 しては 財 務 諸 表 の 表 示 及 び 開 示 について 検 討 した 評 価 の 範 囲 との 関 連 性 と 財 務 報 告 全 体 に 対 する 金 額 的 及 び 質 的 影 響 の 重 要 性 を 勘 案 し 合 理 的 な 評 価 の 範 囲 を 決 定 することとなる 3. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 の 方 法 (1) 経 営 者 による 内 部 統 制 評 価 経 営 者 は 有 効 な 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 の 責 任 を 負 う 者 として 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 を 評 価 する 経 営 者 は 内 部 統 制 の 評 価 に 当 たって 連 結 ベースで の 財 務 報 告 全 体 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼす 内 部 統 制 ( 以 下 全 社 的 な 内 部 統 制 とい う )の 評 価 を 行 った 上 で その 結 果 を 踏 まえて 業 務 プロセスに 組 み 込 まれ 一 体 となって 遂 行 される 内 部 統 制 ( 以 下 業 務 プロセスに 係 る 内 部 統 制 という )を 評 価 しなければならない なお 経 営 者 による 内 部 統 制 評 価 は 期 末 日 を 評 価 時 点 として 行 うものとする 12 20

( 注 ) 企 業 において 具 体 的 にどのような 内 部 統 制 を 整 備 及 び 運 用 するかは 個 々の 企 業 の 置 かれた 環 境 や 事 業 の 特 性 等 によって 様 々である 経 営 者 は 内 部 統 制 の 枠 組 み 及 び 評 価 の 基 準 を 踏 まえて それぞれの 企 業 の 状 況 等 に 応 じて 自 ら 適 切 に 内 部 統 制 を 整 備 及 び 運 用 するものとする (2) 全 社 的 な 内 部 統 制 の 評 価 経 営 者 は 全 社 的 な 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 状 況 並 びに その 状 況 が 業 務 プロ セスに 係 る 内 部 統 制 に 及 ぼす 影 響 の 程 度 を 評 価 する その 際 経 営 者 は 組 織 の 内 外 で 発 生 するリスク 等 を 十 分 に 評 価 するとともに 財 務 報 告 全 体 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼす 事 項 を 十 分 に 検 討 する 例 えば 全 社 的 な 会 計 方 針 及 び 財 務 方 針 組 織 の 構 築 及 び 運 用 等 に 関 する 経 営 判 断 経 営 レベルにおける 意 思 決 定 のプロセス 等 がこれに 該 当 する (3) 業 務 プロセスに 係 る 内 部 統 制 の 評 価 経 営 者 は 全 社 的 な 内 部 統 制 の 評 価 結 果 を 踏 まえ 評 価 対 象 となる 内 部 統 制 の 範 囲 内 にある 業 務 プロセスを 分 析 した 上 で 財 務 報 告 の 信 頼 性 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼす 統 制 上 の 要 点 ( 以 下 統 制 上 の 要 点 という )を 選 定 し 当 該 統 制 上 の 要 点 につい て 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 が 機 能 しているかを 評 価 する (4) 内 部 統 制 の 有 効 性 の 判 断 経 営 者 は 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 を 行 った 結 果 統 制 上 の 要 点 等 に 係 る 不 備 が 財 務 報 告 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 が 高 い 場 合 は 当 該 内 部 統 制 に 重 要 な 欠 陥 があると 判 断 しなければならない (5) 内 部 統 制 の 重 要 な 欠 陥 の 是 正 経 営 者 による 評 価 の 過 程 で 発 見 された 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 不 備 及 び 重 要 な 欠 陥 は 適 時 に 認 識 し 適 切 に 対 応 される 必 要 がある 重 要 な 欠 陥 が 発 見 された 場 合 であっても それが 報 告 書 における 評 価 時 点 ( 期 末 日 )までに 是 正 されていれば 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 は 有 効 であると 認 めること ができる 13 21

( 注 ) 期 末 日 後 に 実 施 した 是 正 措 置 については 報 告 書 に 付 記 事 項 として 記 載 で きる (6) 評 価 範 囲 の 制 約 経 営 者 は 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 を 評 価 するに 当 たって やむを 得 な い 事 情 により 内 部 統 制 の 一 部 について 十 分 な 評 価 手 続 を 実 施 できない 場 合 がある その 場 合 には 当 該 事 実 が 財 務 報 告 に 及 ぼす 影 響 を 十 分 に 把 握 した 上 で 評 価 手 続 を 実 施 できなかった 範 囲 を 除 外 して 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 を 評 価 する ことができる ( 注 ) やむを 得 ない 事 情 により 十 分 な 評 価 手 続 が 実 施 できなかった 場 合 としては 例 えば 期 末 日 直 前 における 他 企 業 の 買 収 等 により 当 該 企 業 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 について 十 分 な 評 価 手 続 を 実 施 できなかった 場 合 等 が 考 えられる (7) 評 価 手 続 等 の 記 録 及 び 保 存 経 営 者 は 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 手 続 及 びその 評 価 結 果 並 び に 発 見 した 不 備 及 びその 是 正 措 置 に 関 して 記 録 し 保 存 しなければならない 4. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 報 告 (1) 経 営 者 による 内 部 統 制 の 報 告 経 営 者 は 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 に 関 する 報 告 書 ( 以 下 内 部 統 制 報 告 書 という )を 作 成 するものとする (2) 内 部 統 制 報 告 書 の 記 載 項 目 内 部 統 制 報 告 書 には 次 の 事 項 を 記 載 する 1 整 備 及 び 運 用 に 関 する 事 項 2 評 価 の 範 囲 評 価 時 点 及 び 評 価 手 続 3 評 価 結 果 4 付 記 事 項 14 22

(3) 整 備 及 び 運 用 に 関 する 事 項 1 財 務 報 告 及 び 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 に 責 任 を 有 する 者 の 氏 名 2 経 営 者 が 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 の 責 任 を 有 している 旨 3 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 を 整 備 及 び 運 用 する 際 に 準 拠 した 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 内 部 統 制 の 枠 組 み 4 内 部 統 制 の 固 有 の 限 界 (4) 評 価 の 範 囲 評 価 時 点 及 び 評 価 手 続 1 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 の 範 囲 ( 範 囲 の 決 定 方 法 及 び 根 拠 を 含 む ) 2 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 が 行 われた 時 点 3 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 に 当 たって 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 内 部 統 制 の 評 価 の 基 準 に 準 拠 した 旨 4 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 手 続 の 概 要 (5) 評 価 結 果 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 結 果 の 表 明 には 以 下 の 方 法 がある 1 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 は 有 効 である 旨 2 評 価 手 続 の 一 部 が 実 施 できなかったが 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 は 有 効 である 旨 並 びに 実 施 できなかった 評 価 手 続 及 びその 理 由 3 重 要 な 欠 陥 があり 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 は 有 効 でない 旨 並 びにその 重 要 な 欠 陥 の 内 容 及 びそれが 是 正 されない 理 由 4 重 要 な 評 価 手 続 が 実 施 できなかったため 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 結 果 を 表 明 できない 旨 並 びに 実 施 できなかった 評 価 手 続 及 びその 理 由 (6) 付 記 事 項 1 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼす 後 発 事 象 2 期 末 日 後 に 実 施 した 重 要 な 欠 陥 に 対 する 是 正 措 置 等 15 23

Ⅲ. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 監 査 1. 財 務 諸 表 監 査 の 監 査 人 による 内 部 統 制 監 査 の 目 的 経 営 者 による 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 結 果 に 対 する 財 務 諸 表 監 査 の 監 査 人 による 監 査 ( 以 下 内 部 統 制 監 査 という )の 目 的 は 経 営 者 の 作 成 した 内 部 統 制 報 告 書 が 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 内 部 統 制 の 評 価 の 基 準 に 準 拠 して 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 結 果 をすべての 重 要 な 点 において 適 正 に 表 示 しているかどうかに ついて 監 査 人 自 らが 入 手 した 監 査 証 拠 に 基 づいて 判 断 した 結 果 を 意 見 として 表 明 す ることにある なお 内 部 統 制 報 告 書 に 対 する 意 見 は 内 部 統 制 の 評 価 に 関 する 監 査 報 告 書 ( 以 下 内 部 統 制 監 査 報 告 書 という )により 表 明 する 内 部 統 制 報 告 書 が 適 正 である 旨 の 監 査 人 の 意 見 は 内 部 統 制 報 告 書 には 重 要 な 虚 偽 の 表 示 がないということについて 合 理 的 な 保 証 を 得 たとの 監 査 人 の 判 断 を 含 んで いる 合 理 的 な 保 証 とは 監 査 人 が 意 見 を 表 明 するために 十 分 かつ 適 切 な 証 拠 を 入 手 した ことを 意 味 している 2. 内 部 統 制 監 査 と 財 務 諸 表 監 査 の 関 係 内 部 統 制 監 査 は 原 則 として 同 一 の 監 査 人 により 財 務 諸 表 監 査 と 一 体 となって 行 われるものである 内 部 統 制 監 査 の 過 程 で 得 られた 監 査 証 拠 は 財 務 諸 表 監 査 の 内 部 統 制 の 評 価 における 監 査 証 拠 として 利 用 され また 財 務 諸 表 監 査 の 過 程 で 得 られた 監 査 証 拠 も 内 部 統 制 監 査 の 証 拠 として 利 用 されることがある ( 注 ) ここで 同 一 の 監 査 人 とは 監 査 事 務 所 のみならず 業 務 執 行 社 員 も 同 一 で あることを 意 味 している 一 般 に 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 に 重 要 な 欠 陥 があり 有 効 でない 場 合 財 務 諸 表 監 査 において 監 査 基 準 の 定 める 内 部 統 制 に 依 拠 した 通 常 の 試 査 による 監 査 は 実 施 でき ないと 考 えられる 監 査 人 は 内 部 統 制 監 査 を 行 うに 当 たっては 本 基 準 の 他 監 査 基 準 の 一 般 基 準 及 び 監 査 に 関 する 品 質 管 理 基 準 を 遵 守 するものとする 3. 内 部 統 制 監 査 の 実 施 (1) 監 査 計 画 の 策 定 16 24

監 査 人 は 企 業 の 置 かれた 環 境 や 事 業 の 特 性 等 を 踏 まえて 経 営 者 による 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 状 況 並 びに 評 価 の 状 況 を 十 分 に 理 解 し 監 査 上 の 重 要 性 を 勘 案 して 監 査 計 画 を 策 定 しなければならない 監 査 人 は 監 査 計 画 の 前 提 として 把 握 した 事 象 や 状 況 が 変 化 した 場 合 あるい は 監 査 の 実 施 過 程 で 内 部 統 制 の 不 備 及 び 重 要 な 欠 陥 を 発 見 した 場 合 には 内 部 統 制 の 改 善 を 評 価 する 手 続 を 実 施 するなど 適 時 に 監 査 計 画 を 修 正 しなければなら ない (2) 評 価 範 囲 の 妥 当 性 の 検 討 監 査 人 は 経 営 者 により 決 定 された 内 部 統 制 の 評 価 の 範 囲 の 妥 当 性 を 判 断 する ために 経 営 者 が 当 該 範 囲 を 決 定 した 方 法 及 びその 根 拠 の 合 理 性 を 検 討 しなけれ ばならない 特 に 監 査 人 は 経 営 者 がやむを 得 ない 事 情 により 内 部 統 制 の 一 部 について 十 分 な 評 価 手 続 を 実 施 できなかったとして 評 価 手 続 を 実 施 できなかった 範 囲 を 除 外 した 内 部 統 制 報 告 書 を 作 成 している 場 合 には 経 営 者 が 当 該 範 囲 を 除 外 した 事 情 が 合 理 的 であるかどうか 及 び 当 該 範 囲 を 除 外 することが 財 務 諸 表 監 査 に 及 ぼ す 影 響 について 十 分 に 検 討 しなければならない (3) 全 社 的 な 内 部 統 制 の 評 価 の 検 討 監 査 人 は 経 営 者 による 全 社 的 な 内 部 統 制 の 評 価 の 妥 当 性 について 検 討 する 監 査 人 は この 検 討 に 当 たって 取 締 役 会 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 内 部 監 査 等 経 営 レベルにおける 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 状 況 について 十 分 に 考 慮 しなければ ならない (4) 業 務 プロセスに 係 る 内 部 統 制 の 評 価 の 検 討 監 査 人 は 経 営 者 による 業 務 プロセスに 係 る 内 部 統 制 の 評 価 の 妥 当 性 について 検 討 する 監 査 人 は この 検 討 に 当 たって 経 営 者 による 全 社 的 な 内 部 統 制 の 評 価 の 状 況 を 勘 案 し 業 務 プロセスを 十 分 に 理 解 した 上 で 経 営 者 が 統 制 上 の 要 点 を 適 切 に 選 定 しているかを 評 価 しなければならない 監 査 人 は 経 営 者 が 評 価 した 個 々の 統 制 上 の 要 点 について 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 が 適 切 に 機 能 しているかを 判 断 するため 実 在 性 網 羅 性 権 利 と 義 務 の 帰 17 25

属 評 価 の 妥 当 性 期 間 配 分 の 適 切 性 及 び 表 示 の 妥 当 性 等 の 監 査 要 点 に 適 合 した 監 査 証 拠 を 入 手 しなければならない なお 業 務 プロセスにおける 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 が 機 能 しているかどうかを 判 断 するに 当 たっては 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 状 況 (ITへの 対 応 を 含 む )に ついても 十 分 に 検 討 しなければならない (5) 内 部 統 制 の 重 要 な 欠 陥 等 の 報 告 と 是 正 監 査 人 は 内 部 統 制 監 査 の 実 施 において 内 部 統 制 の 重 要 な 欠 陥 を 発 見 した 場 合 には 経 営 者 に 報 告 して 是 正 を 求 めるとともに 当 該 重 要 な 欠 陥 の 是 正 状 況 を 適 時 に 検 討 しなければならない また 監 査 人 は 当 該 重 要 な 欠 陥 の 内 容 及 びその 是 正 結 果 を 取 締 役 会 及 び 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 に 報 告 しなければならない 監 査 人 は 内 部 統 制 の 不 備 を 発 見 した 場 合 も 適 切 な 者 に 報 告 しなければならな い 監 査 人 は 内 部 統 制 監 査 の 結 果 について 経 営 者 取 締 役 会 及 び 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 に 報 告 しなければならない ( 注 ) 監 査 人 は 内 部 統 制 監 査 の 過 程 で 発 見 された 内 部 統 制 の 重 要 な 欠 陥 について は 会 社 法 監 査 の 終 了 日 までに 経 営 者 取 締 役 会 及 び 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 に 報 告 することが 必 要 になると 考 えられる (6) 不 正 等 の 報 告 監 査 人 は 内 部 統 制 監 査 の 実 施 において 不 正 又 は 法 令 に 違 反 する 重 大 な 事 実 を 発 見 した 場 合 には 経 営 者 取 締 役 会 及 び 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 に 報 告 して 適 切 な 対 応 を 求 めるとともに 内 部 統 制 の 有 効 性 に 及 ぼす 影 響 の 程 度 について 検 討 し なければならない (7) 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 との 連 携 監 査 人 は 効 果 的 かつ 効 率 的 な 監 査 を 実 施 するために 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 との 連 携 の 範 囲 及 び 程 度 を 決 定 しなければならない (8) 他 の 監 査 人 等 の 利 用 監 査 人 は 他 の 監 査 人 によって 行 われた 内 部 統 制 監 査 の 結 果 を 利 用 する 場 合 に 18 26

は 当 該 他 の 監 査 人 によって 行 われた 内 部 統 制 監 査 の 結 果 の 重 要 性 及 び 他 の 監 査 人 に 対 する 信 頼 性 の 程 度 を 勘 案 して 他 の 監 査 人 の 実 施 した 監 査 が 適 切 であるか を 評 価 し 他 の 監 査 人 の 実 施 した 監 査 の 結 果 を 利 用 する 程 度 及 び 方 法 を 決 定 しな ければならない 監 査 人 は 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 であるモニタリングの 一 部 をなす 企 業 の 内 部 監 査 の 状 況 を 評 価 した 上 で 内 部 監 査 の 業 務 を 利 用 する 範 囲 及 び 程 度 を 決 定 しなけ ればならない 4. 監 査 人 の 報 告 (1) 意 見 の 表 明 監 査 人 は 経 営 者 の 作 成 した 内 部 統 制 報 告 書 が 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 内 部 統 制 の 評 価 の 基 準 に 準 拠 し 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 について すべ ての 重 要 な 点 において 適 正 に 表 示 しているかどうかについて 内 部 統 制 監 査 報 告 書 により 意 見 を 表 明 するものとする なお 当 該 意 見 は 期 末 日 における 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 について 表 明 されるものとする ( 注 ) 期 末 日 までに 重 要 な 欠 陥 が 是 正 されている 場 合 には 適 正 意 見 が 表 明 され る また 期 末 日 後 に 重 要 な 欠 陥 が 是 正 された 場 合 には 内 部 統 制 監 査 報 告 書 に 追 記 情 報 として 記 載 する (2) 内 部 統 制 監 査 報 告 書 の 記 載 区 分 監 査 人 は 内 部 統 制 監 査 報 告 書 に 内 部 統 制 監 査 の 対 象 実 施 した 内 部 統 制 監 査 の 概 要 及 び 内 部 統 制 報 告 書 に 対 する 意 見 を 明 瞭 かつ 簡 潔 に 記 載 しなければなら ない ただし 意 見 を 表 明 しない 場 合 には その 旨 を 内 部 統 制 監 査 報 告 書 に 記 載 しなければならない 監 査 人 は 内 部 統 制 報 告 書 が 適 正 であると 判 断 し その 判 断 に 関 して 説 明 を 付 す 必 要 がある 事 項 等 を 内 部 統 制 監 査 報 告 書 において 情 報 として 追 記 する 場 合 には 意 見 の 表 明 とは 明 確 に 区 別 しなければならない なお 内 部 統 制 監 査 報 告 書 は 原 則 として 財 務 諸 表 監 査 における 監 査 報 告 書 に 合 わせて 記 載 するものとする (3) 内 部 統 制 監 査 報 告 書 の 記 載 事 項 監 査 人 は 経 営 者 の 作 成 した 内 部 統 制 報 告 書 が 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 内 19 27

部 統 制 の 評 価 の 基 準 に 準 拠 し 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 について すべて の 重 要 な 点 において 適 正 に 表 示 していると 認 められると 判 断 したときは その 旨 の 意 見 (この 場 合 の 意 見 を 無 限 定 適 正 意 見 という )を 表 明 しなければならな い なお 監 査 人 は 内 部 統 制 報 告 書 において 経 営 者 が 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 に 重 要 な 欠 陥 がある 旨 及 びそれが 是 正 されない 理 由 を 記 載 している 場 合 において 当 該 記 載 が 適 正 であると 判 断 して 意 見 を 表 明 する 場 合 には 当 該 重 要 な 欠 陥 及 び それが 是 正 されない 理 由 並 びに 当 該 重 要 な 欠 陥 が 財 務 諸 表 監 査 に 及 ぼす 影 響 を 内 部 統 制 監 査 報 告 書 に 追 記 しなければならない 監 査 人 は 無 限 定 適 正 意 見 を 表 明 する 場 合 には 内 部 統 制 監 査 報 告 書 に 次 の 記 載 を 行 うものとする 1 内 部 統 制 監 査 の 対 象 イ. 内 部 統 制 監 査 の 範 囲 ロ. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 並 びに 内 部 統 制 報 告 書 の 作 成 の 責 任 は 経 営 者 にあること ハ. 内 部 統 制 監 査 に 対 する 監 査 人 の 責 任 は 独 立 の 立 場 から 内 部 統 制 報 告 書 に 対 する 意 見 を 表 明 することにあること ニ. 内 部 統 制 の 固 有 の 限 界 2 実 施 した 内 部 統 制 監 査 の 概 要 イ. 内 部 統 制 監 査 に 当 たって 監 査 人 が 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 内 部 統 制 の 監 査 の 基 準 に 準 拠 して 監 査 を 実 施 した 旨 ロ. 内 部 統 制 監 査 において 実 施 した 監 査 手 続 の 概 要 ハ. 内 部 統 制 監 査 の 結 果 として 意 見 表 明 のための 合 理 的 な 基 礎 を 得 たこと 3 内 部 統 制 報 告 書 に 対 する 監 査 人 の 意 見 イ. 内 部 統 制 報 告 書 における 経 営 者 の 評 価 結 果 ロ. 内 部 統 制 報 告 書 が 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 内 部 統 制 の 評 価 の 基 準 に 準 拠 し 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 結 果 について すべての 重 要 な 点 に おいて 適 正 に 表 示 していると 認 められること (4) 意 見 に 関 する 除 外 監 査 人 は 内 部 統 制 報 告 書 において 経 営 者 が 決 定 した 評 価 範 囲 評 価 手 続 及 20 28

び 評 価 結 果 に 関 して 不 適 切 なものがあり 無 限 定 適 正 意 見 を 表 明 することができ ない 場 合 において その 影 響 が 内 部 統 制 報 告 書 を 全 体 として 虚 偽 の 表 示 に 当 たる とするほどには 重 要 でないと 判 断 したときは 除 外 事 項 を 付 した 限 定 付 適 正 意 見 を 表 明 しなければならない この 場 合 には 内 部 統 制 報 告 書 に 対 する 意 見 におい て 除 外 した 不 適 切 な 事 項 及 び 財 務 諸 表 監 査 に 及 ぼす 影 響 について 記 載 しなけ ればならない 監 査 人 は 内 部 統 制 報 告 書 において 経 営 者 が 決 定 した 評 価 範 囲 評 価 手 続 及 び 評 価 結 果 に 関 して 著 しく 不 適 切 なものがあり 内 部 統 制 報 告 書 が 全 体 として 虚 偽 の 表 示 に 当 たると 判 断 した 場 合 には 内 部 統 制 報 告 書 が 不 適 正 である 旨 の 意 見 を 表 明 しなければならない この 場 合 には 内 部 統 制 報 告 書 が 不 適 正 である 旨 及 びその 理 由 並 びに 財 務 諸 表 監 査 に 及 ぼす 影 響 について 記 載 しなければならな い (5) 監 査 範 囲 の 制 約 監 査 人 は 重 要 な 監 査 手 続 を 実 施 できなかったことにより 無 限 定 適 正 意 見 を 表 明 することができない 場 合 において その 影 響 が 内 部 統 制 報 告 書 に 対 する 意 見 表 明 ができないほどには 重 要 でないと 判 断 したときは 除 外 事 項 を 付 した 限 定 付 適 正 意 見 を 表 明 しなければならない この 場 合 には 実 施 した 監 査 の 概 要 におい て 実 施 できなかった 監 査 手 続 を 記 載 し 内 部 統 制 報 告 書 に 対 する 意 見 において 当 該 事 項 が 財 務 諸 表 監 査 に 及 ぼす 影 響 について 記 載 しなければならない 監 査 人 は 重 要 な 監 査 手 続 を 実 施 できなかったことにより 内 部 統 制 報 告 書 に 対 する 意 見 表 明 のための 合 理 的 な 基 礎 を 得 ることができなかったときは 意 見 を 表 明 してはならない この 場 合 には 内 部 統 制 報 告 書 に 対 する 意 見 を 表 明 しない 旨 及 びその 理 由 を 記 載 しなければならない (6) 追 記 情 報 監 査 人 は 次 に 掲 げる 事 項 を 内 部 統 制 監 査 報 告 書 に 情 報 として 追 記 するものと する 1 経 営 者 が 内 部 統 制 報 告 書 に 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 に 重 要 な 欠 陥 がある 旨 及 びそれが 是 正 されない 理 由 を 記 載 している 場 合 において 当 該 記 載 が 適 正 であ ると 判 断 して 無 限 定 適 正 意 見 を 表 明 するときは 当 該 重 要 な 欠 陥 及 びそれが 是 正 されない 理 由 並 びに 当 該 重 要 な 欠 陥 が 財 務 諸 表 監 査 に 及 ぼす 影 響 2 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼす 後 発 事 象 21 29

3 期 末 日 後 に 実 施 された 是 正 措 置 等 4 経 営 者 の 評 価 手 続 の 一 部 が 実 施 できなかったことについて やむを 得 ない 事 情 によると 認 められるとして 無 限 定 適 正 意 見 を 表 明 する 場 合 において 十 分 な 評 価 手 続 を 実 施 できなかった 範 囲 及 びその 理 由 22 30

財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 に 関 す る 実 施 基 準

財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 に 関 する 実 施 基 準 目 次 Ⅰ. 内 部 統 制 の 基 本 的 枠 組 み 1. 内 部 統 制 の 定 義 ( 目 的 ) (1) 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 (2) 財 務 報 告 の 信 頼 性 (3) 事 業 活 動 に 関 わる 法 令 等 の 遵 守 (4) 資 産 の 保 全 (5) 4つの 目 的 の 関 係 2. 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 (1) 統 制 環 境 (2) リスクの 評 価 と 対 応 (3) 統 制 活 動 (4) 情 報 と 伝 達 (5) モニタリング (6) IT( 情 報 技 術 )への 対 応 3. 内 部 統 制 の 限 界 4. 内 部 統 制 に 関 係 を 有 する 者 の 役 割 と 責 任 (1) 経 営 者 (2) 取 締 役 会 (3) 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 (4) 内 部 監 査 人 (5) 組 織 内 のその 他 の 者 5. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 構 築 (1) 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 構 築 の 要 点 (2) 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 構 築 のプロセス 31

Ⅱ. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 報 告 1. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 の 意 義 2. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 とその 範 囲 (1) 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 有 効 性 の 評 価 (2) 評 価 の 範 囲 の 決 定 3. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 の 方 法 (1) 経 営 者 による 内 部 統 制 評 価 (2) 全 社 的 な 内 部 統 制 の 評 価 (3) 業 務 プロセスに 係 る 内 部 統 制 の 評 価 (4) 内 部 統 制 の 有 効 性 の 判 断 (5) 内 部 統 制 の 重 要 な 欠 陥 の 是 正 (6) 評 価 範 囲 の 制 約 (7) 評 価 手 続 等 の 記 録 及 び 保 存 Ⅲ. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 監 査 1. 内 部 統 制 監 査 の 目 的 2. 内 部 統 制 監 査 と 財 務 諸 表 監 査 の 関 係 3. 監 査 計 画 と 評 価 範 囲 の 検 討 (1) 監 査 計 画 の 策 定 (2) 評 価 範 囲 の 妥 当 性 の 検 討 4. 内 部 統 制 監 査 の 実 施 (1) 全 社 的 な 内 部 統 制 の 評 価 の 検 討 (2) 業 務 プロセスに 係 る 内 部 統 制 の 評 価 の 検 討 (3) 内 部 統 制 の 重 要 な 欠 陥 の 報 告 と 是 正 (4) 不 正 等 の 報 告 (5) 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 との 連 携 (6) 他 の 監 査 人 等 の 利 用 32

5. 監 査 人 の 報 告 (1) 意 見 に 関 する 除 外 (2) 監 査 範 囲 の 制 約 (3) 追 記 情 報 ( 注 ) 本 実 施 基 準 においては 対 応 する 基 準 を 四 角 囲 みで 引 用 している 33

Ⅰ. 内 部 統 制 の 基 本 的 枠 組 み 1. 内 部 統 制 の 定 義 ( 目 的 ) 内 部 統 制 とは 基 本 的 に 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 財 務 報 告 の 信 頼 性 事 業 活 動 に 関 わる 法 令 等 の 遵 守 並 びに 資 産 の 保 全 の4つの 目 的 が 達 成 されているとの 合 理 的 な 保 証 を 得 るために 業 務 に 組 み 込 まれ 組 織 内 のすべての 者 によって 遂 行 されるプロセスをいい 統 制 環 境 リスクの 評 価 と 対 応 統 制 活 動 情 報 と 伝 達 モニタリング( 監 視 活 動 ) 及 び IT( 情 報 技 術 )への 対 応 の6つの 基 本 的 要 素 から 構 成 される 内 部 統 制 は 組 織 の 事 業 活 動 を 支 援 する4つの 目 的 を 達 成 するために 組 織 内 に 構 築 され る 内 部 統 制 は 4つの 目 的 の 達 成 を 絶 対 的 に 保 証 するものではなく 組 織 とりわけ 内 部 統 制 の 構 築 に 責 任 を 有 する 経 営 者 が 4つの 目 的 が 達 成 されないリスクを 一 定 の 水 準 以 下 に 抑 えるという 意 味 での 合 理 的 な 保 証 を 得 ることを 目 的 としている 内 部 統 制 は 組 織 から 独 立 して 日 常 業 務 と 別 に 構 築 されるものではなく 組 織 の 業 務 に 組 み 込 まれて 構 築 され 組 織 内 のすべての 者 により 業 務 の 過 程 で 遂 行 される したがって 正 規 の 従 業 員 のほか 組 織 において 一 定 の 役 割 を 担 って 業 務 を 遂 行 する 短 期 臨 時 雇 用 の 従 業 員 も 内 部 統 制 を 遂 行 する 者 となる 内 部 統 制 は 組 織 内 のすべての 者 が 業 務 の 中 で 遂 行 する 一 連 の 動 的 なプロセスであり 単 に 何 らかの 事 象 又 は 状 況 あるいは 規 定 又 は 機 構 を 意 味 するものではない したがって 内 部 統 制 は 一 旦 構 築 されればそれで 完 成 するというものではなく 変 化 する 組 織 それ 自 体 及 び 組 織 を 取 り 巻 く 環 境 に 対 応 して 運 用 されていく 中 で 常 に 変 動 し 見 直 される なお 具 体 的 に 内 部 統 制 をどのように 整 備 し 運 用 するかについては 個 々の 組 織 が 置 か れた 環 境 や 事 業 の 特 性 等 によって 異 なるものであり 一 律 に 示 すことはできないが 経 営 者 をはじめとする 組 織 内 のすべての 者 が ここに 示 した 内 部 統 制 の 機 能 と 役 割 を 効 果 的 に 達 成 し 得 るよう 工 夫 していくべきものである 内 部 統 制 の 構 築 の 手 法 等 は 個 々の 組 織 が 置 かれた 環 境 や 事 業 の 特 性 等 によって 異 なる ものであり すべての 組 織 に 適 合 するものを 一 律 に 示 すことはできない 経 営 者 は 組 織 を 取 り 巻 く 環 境 や 事 業 の 特 性 規 模 等 に 応 じて 自 らの 組 織 に 適 した 内 部 統 制 を 整 備 し 運 用 することが 求 められる 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 に 当 たって 配 慮 す べき 事 項 として 例 えば 製 品 市 場 の 状 況 製 品 及 び 顧 客 の 特 性 地 理 的 な 活 動 範 囲 組 織 間 の 競 争 の 度 合 い 技 術 革 新 の 速 度 事 業 規 模 労 働 市 場 の 状 況 IT 環 境 自 然 環 境 1 34

への 配 慮 等 が 挙 げられる 一 方 で 内 部 統 制 については 個 々の 組 織 の 規 模 や 形 態 等 を 問 わず 共 通 の 基 本 的 枠 組 みが 考 えられる 本 基 準 における Ⅰ. 内 部 統 制 の 基 本 的 枠 組 み は 金 融 商 品 取 引 法 に 基 づく 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 報 告 並 びに 監 査 の 実 施 に 当 たって 前 提 となる 内 部 統 制 の 基 本 的 な 枠 組 みを 示 したものである (1) 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 とは 事 業 活 動 の 目 的 の 達 成 のため 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 を 高 めることをいう 業 務 とは 組 織 の 事 業 活 動 の 目 的 を 達 成 するため すべての 組 織 内 の 者 が 日 々 継 続 して 取 り 組 む 活 動 をいう 業 務 の 有 効 性 とは 事 業 活 動 や 業 務 の 目 的 が 達 成 される 程 度 をいい 業 務 の 効 率 性 とは 組 織 が 目 的 を 達 成 しようとする 際 に 時 間 人 員 コスト 等 の 組 織 内 外 の 資 源 が 合 理 的 に 使 用 される 程 度 をいう 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 は 組 織 全 体 として 把 握 することもできるが 必 要 に 応 じて 事 業 活 動 を 個 々の 業 務 に 細 分 化 し 細 分 化 した 業 務 ごとに 合 理 的 な 目 的 を 設 定 することが 適 切 である 内 部 統 制 は そうした 個 々の 目 的 の 達 成 を 通 じて 最 終 的 には 組 織 全 体 としての 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 の 達 成 を 支 援 するべく 組 織 内 の 各 業 務 において 整 備 及 び 運 用 さ れる 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 に 関 する 内 部 統 制 は 業 務 の 達 成 度 及 び 資 源 の 合 理 的 な 利 用 度 を 測 定 評 価 し 適 切 な 対 応 を 図 る 体 制 を 設 けることにより 組 織 が 設 定 した 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 に 係 る 目 標 の 達 成 を 支 援 する (2) 財 務 報 告 の 信 頼 性 財 務 報 告 の 信 頼 性 とは 財 務 諸 表 及 び 財 務 諸 表 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 のある 情 報 の 信 頼 性 を 確 保 することをいう 財 務 報 告 は 組 織 の 内 外 の 者 が 当 該 組 織 の 活 動 を 確 認 する 上 で 極 めて 重 要 な 情 報 であ り 財 務 報 告 の 信 頼 性 を 確 保 することは 組 織 に 対 する 社 会 的 な 信 用 の 維 持 向 上 に 資 する ことになる 逆 に 誤 った 財 務 報 告 は 多 くの 利 害 関 係 者 に 対 して 不 測 の 損 害 を 与 えるだ けでなく 組 織 に 対 する 信 頼 を 著 しく 失 墜 させることとなる 財 務 報 告 には 金 融 商 品 取 引 法 や 会 社 法 などの 法 令 等 により 義 務 付 けられるもの 銀 行 2 35

や 取 引 先 との 契 約 等 により 求 められるもの 利 害 関 係 者 等 への 自 主 的 な 開 示 などがあるが 本 基 準 において 財 務 報 告 とは 金 融 商 品 取 引 法 上 の 開 示 書 類 ( 有 価 証 券 報 告 書 及 び 有 価 証 券 届 出 書 )に 記 載 される 財 務 諸 表 及 び 財 務 諸 表 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 のある 情 報 をいう( 詳 細 は Ⅱ. 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 評 価 及 び 報 告 1.1 財 務 報 告 の 範 囲 参 照 ) 財 務 報 告 の 信 頼 性 に 係 る 内 部 統 制 は 財 務 報 告 の 重 要 な 事 項 に 虚 偽 記 載 が 生 じることの ないよう 必 要 な 体 制 を 整 備 し 運 用 することにより 組 織 の 財 務 報 告 に 係 る 信 頼 性 を 支 援 する (3) 事 業 活 動 に 関 わる 法 令 等 の 遵 守 事 業 活 動 に 関 わる 法 令 等 の 遵 守 とは 事 業 活 動 に 関 わる 法 令 その 他 の 規 範 の 遵 守 を 促 進 することをいう 組 織 や 組 織 内 の 者 が 法 令 の 遵 守 を 怠 り 又 は 社 会 規 範 を 無 視 した 行 動 をとれば それに 応 じた 罰 則 批 判 を 受 け 組 織 の 存 続 すら 危 うくしかねない 反 対 に 商 品 の 安 全 基 準 の 遵 守 や 操 業 の 安 全 性 の 確 保 など 法 令 等 の 遵 守 への 真 摯 な 取 組 みが 認 知 された 場 合 には 組 織 の 評 判 や 社 会 的 信 用 の 向 上 を 通 じて 業 績 や 株 価 等 の 向 上 にも 資 することとなる こ のように 組 織 が 存 続 し 発 展 していくためには 事 業 活 動 に 関 し 法 令 等 の 遵 守 体 制 を 適 切 に 整 備 することが 不 可 欠 である 事 業 活 動 に 関 わる 法 令 等 は 以 下 のものから 構 成 される 1 法 令 組 織 が 事 業 活 動 を 行 っていく 上 で 遵 守 することが 求 められる 国 内 外 の 法 律 命 令 条 令 規 則 等 2 基 準 等 法 令 以 外 であって 組 織 の 外 部 からの 強 制 力 をもって 遵 守 が 求 められる 規 範 例 えば 取 引 所 の 規 則 会 計 基 準 等 3 自 社 内 外 の 行 動 規 範 上 記 以 外 の 規 範 で 組 織 が 遵 守 することを 求 められ 又 は 自 主 的 に 遵 守 することを 決 定 したもの 例 えば 組 織 の 定 款 その 他 の 内 部 規 程 業 界 等 の 行 動 規 範 等 法 令 等 の 遵 守 に 係 る 内 部 統 制 は 法 令 等 を 遵 守 して 事 業 活 動 を 営 むための 体 制 を 整 備 し 運 用 することであり これらを 通 じ 組 織 の 存 続 及 び 発 展 が 図 られる 3 36

(4) 資 産 の 保 全 資 産 の 保 全 とは 資 産 の 取 得 使 用 及 び 処 分 が 正 当 な 手 続 及 び 承 認 の 下 に 行 われるよう 資 産 の 保 全 を 図 ることをいう 資 産 が 不 正 に 又 は 誤 って 取 得 使 用 及 び 処 分 された 場 合 組 織 の 財 産 や 社 会 的 信 用 に 大 きな 損 害 や 影 響 を 与 える 可 能 性 がある また 組 織 が 出 資 者 等 から 財 産 の 拠 出 等 を 受 けて 活 動 している 場 合 経 営 者 は これを 適 切 に 保 全 する 責 任 を 負 っている さらに 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 は 会 社 法 の 規 定 上 業 務 及 び 財 産 の 状 況 の 調 査 をすることができるとさ れており 組 織 の 資 産 の 保 全 に 対 して 重 要 な 役 割 責 任 を 担 っている 資 産 には 有 形 の 資 産 のほか 知 的 財 産 顧 客 に 関 する 情 報 など 無 形 の 資 産 も 含 まれる 組 織 においては 資 産 の 取 得 使 用 及 び 処 分 に 係 る 不 正 又 は 誤 謬 を 防 止 するため 資 産 が 正 当 な 手 続 及 び 承 認 の 下 に 取 得 使 用 及 び 処 分 される 体 制 を 整 備 することが 求 められる 仮 に 正 当 な 手 続 及 び 承 認 の 下 に 取 得 使 用 及 び 処 分 が 行 われていない 場 合 には すみやか に 発 見 して 対 応 を 図 る 体 制 を 整 備 し 運 用 することが 求 められる (5)4つの 目 的 の 関 係 内 部 統 制 の 4 つの 目 的 である 業 務 の 有 効 性 及 び 効 率 性 財 務 報 告 の 信 頼 性 事 業 活 動 に 関 わる 法 令 等 の 遵 守 及 び 資 産 の 保 全 は それぞれ 固 有 の 目 的 ではあるが お 互 いに 独 立 し て 存 在 するものではなく 相 互 に 密 接 に 関 連 している 内 部 統 制 は 業 務 に 組 み 込 まれ 組 織 内 のすべての 者 によって 遂 行 されるプロセスであっ て いずれか1つの 目 的 を 達 成 するために 構 築 された 内 部 統 制 であっても 他 の 目 的 のた めに 構 築 された 内 部 統 制 と 共 通 の 体 制 となったり 互 いに 補 完 し 合 う 場 合 もある 金 融 商 品 取 引 法 で 導 入 された 内 部 統 制 報 告 制 度 は 経 営 者 による 評 価 及 び 報 告 と 監 査 人 による 監 査 を 通 じて 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 についての 有 効 性 を 確 保 しようとするもので あり 財 務 報 告 の 信 頼 性 以 外 の 他 の 目 的 を 達 成 するための 内 部 統 制 の 整 備 及 び 運 用 を 直 接 的 に 求 めるものではない しかしながら 財 務 報 告 は 組 織 の 業 務 全 体 に 係 る 財 務 情 報 を 集 約 したものであり 組 織 の 業 務 全 体 と 密 接 不 可 分 の 関 係 にある したがって 経 営 者 が 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 を 有 効 かつ 効 率 的 に 構 築 しようとする 場 合 には 目 的 相 互 間 の 関 連 性 を 理 解 した 上 で 内 部 統 制 を 整 備 し 運 用 することが 望 まれる 4 37

2. 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 内 部 統 制 の 基 本 的 要 素 とは 内 部 統 制 の 目 的 を 達 成 するために 必 要 とされる 内 部 統 制 の 構 成 部 分 をいい 内 部 統 制 の 有 効 性 の 判 断 の 規 準 となる 組 織 において 内 部 統 制 の 目 的 が 達 成 されるためには 6つの 基 本 的 要 素 がすべて 適 切 に 整 備 及 び 運 用 されることが 重 要 である (1) 統 制 環 境 統 制 環 境 とは 組 織 の 気 風 を 決 定 し 組 織 内 のすべての 者 の 統 制 に 対 する 意 識 に 影 響 を 与 えるとともに 他 の 基 本 的 要 素 の 基 礎 をなし リスクの 評 価 と 対 応 統 制 活 動 情 報 と 伝 達 モニタリング 及 びITへの 対 応 に 影 響 を 及 ぼす 基 盤 をいう 統 制 環 境 は 組 織 が 保 有 する 価 値 基 準 及 び 組 織 の 基 本 的 な 人 事 職 務 の 制 度 等 を 総 称 す る 概 念 である 組 織 の 気 風 とは 一 般 に 当 該 組 織 に 見 られる 意 識 やそれに 基 づく 行 動 及 び 当 該 組 織 に 固 有 の 強 みや 特 徴 をいう 組 織 の 気 風 は 組 織 の 最 高 責 任 者 の 意 向 や 姿 勢 を 反 映 したもの となることが 多 い 組 織 が 保 有 する 価 値 基 準 や 基 本 的 な 制 度 等 は 組 織 独 自 の 意 識 や 行 動 を 規 定 し 組 織 内 の 者 の 内 部 統 制 に 対 する 考 え 方 に 影 響 を 与 える 統 制 環 境 は 他 の 基 本 的 要 素 の 前 提 となるとともに 他 の 基 本 的 要 素 に 影 響 を 与 える 最 も 重 要 な 基 本 的 要 素 である 統 制 環 境 に 含 まれる 一 般 的 な 事 項 を 例 示 すると 以 下 のようになる 1 誠 実 性 及 び 倫 理 観 組 織 が 有 する 誠 実 性 及 び 倫 理 観 は 組 織 の 気 風 を 決 定 する 重 要 な 要 因 であり 組 織 内 のすべての 者 の 社 会 道 徳 上 の 判 断 に 大 きな 影 響 を 与 える 誠 実 性 及 び 倫 理 観 について 様 々な 取 組 みが 考 えられるが 例 えば 組 織 の 基 本 的 な 理 念 やそれに 沿 った 倫 理 規 程 行 動 指 針 等 を 作 成 し これらの 遵 守 を 確 保 するた めの 内 部 統 制 を 構 築 し 経 営 者 自 らが 関 与 してその 運 用 の 有 効 性 を 確 保 することが 挙 げられる 2 経 営 者 の 意 向 及 び 姿 勢 経 営 者 の 意 向 や 姿 勢 は 組 織 の 基 本 方 針 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼすとともに 組 織 の 気 風 の 決 定 にも 大 きな 影 響 を 及 ぼす また 経 営 者 の 意 向 や 姿 勢 をどのように 伝 え るかも 組 織 内 の 者 の 行 動 に 影 響 を 与 える 例 えば 財 務 報 告 に 関 して 経 営 者 が 適 正 な 会 計 処 理 や 財 務 報 告 を 尊 重 する 意 向 を 有 し これを 実 現 していくための 方 針 や 原 則 を 明 確 化 し これを 組 織 の 内 外 に 適 切 に 伝 え その 実 現 に 向 けて 適 切 な 体 制 等 5 38

を 整 備 していくことは 財 務 報 告 の 信 頼 性 を 達 成 するための 重 要 な 基 盤 となる 経 営 者 が 組 織 の 内 外 に 示 す 声 明 日 常 の 行 動 予 算 人 事 等 の 方 針 の 決 定 などは 組 織 内 の 者 の 意 識 を 通 して 組 織 の 内 部 統 制 に 影 響 を 及 ぼすものである また 経 営 者 の 意 向 及 び 姿 勢 は 社 訓 社 是 経 営 理 念 経 営 計 画 倫 理 規 程 行 動 指 針 など 社 内 の 諸 規 程 に 直 接 的 又 は 間 接 的 に 反 映 され 組 織 内 では それらの 諸 規 程 の 内 容 を 達 成 又 は 遵 守 すべく 内 部 統 制 が 整 備 及 び 運 用 される 3 経 営 方 針 及 び 経 営 戦 略 組 織 の 目 的 を 達 成 するために 組 織 がどのような 経 営 方 針 及 び 経 営 戦 略 を 取 るか は 組 織 内 の 者 の 価 値 基 準 に 大 きな 影 響 を 与 え かつ 組 織 内 の 各 業 務 への 資 源 配 分 を 決 定 する 要 因 となり 他 の 基 本 的 要 素 に 大 きな 影 響 を 及 ぼす また 経 営 方 針 及 び 経 営 戦 略 に 基 づく 組 織 全 体 の 目 的 は 年 度 別 部 門 別 等 の 予 算 事 業 計 画 等 を 通 して 分 解 具 体 化 され 内 部 統 制 による 管 理 の 対 象 とされることにより 内 部 統 制 の 目 的 の 達 成 に 資 することとなる 4 取 締 役 会 及 び 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 の 有 する 機 能 取 締 役 会 及 び 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 は 取 締 役 の 業 務 を 監 視 する 職 責 を 負 う 機 関 で 会 社 法 上 の 規 定 により 個 々の 企 業 に 設 けられる 制 度 である 例 えば 取 締 役 会 及 び 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 が 実 質 的 に 経 営 者 や 特 定 の 利 害 関 係 者 から 独 立 して 意 見 を 述 べることができるか モニタリングに 必 要 な 正 しい 情 報 を 適 時 かつ 適 切 に 得 ているか 経 営 者 内 部 監 査 人 等 との 間 で 適 時 かつ 適 切 に 意 思 疎 通 が 図 られている か 取 締 役 会 及 び 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 の 行 った 報 告 及 び 指 摘 事 項 が 組 織 において 適 切 に 取 り 扱 われているか 等 取 締 役 会 及 び 監 査 役 又 は 監 査 委 員 会 の 活 動 の 有 効 性 は 組 織 全 般 のモニタリングが 有 効 に 機 能 しているかを 判 断 する 重 要 な 要 因 となる 5 組 織 構 造 及 び 慣 行 組 織 構 造 が 組 織 の 目 的 に 適 合 し 事 業 活 動 を 管 理 する 上 で 必 要 な 情 報 の 流 れを 提 供 できるものとなっていることは 組 織 の 目 的 を 達 成 し 組 織 の 情 報 と 伝 達 の 有 効 性 を 確 保 するために 重 要 である 組 織 は その 規 模 や 業 務 の 内 容 提 供 する 製 品 サービスの 種 類 市 場 の 性 格 地 理 的 分 散 従 業 員 構 成 等 に 従 って 組 織 目 的 に 適 合 した 組 織 形 態 権 限 及 び 職 責 人 事 報 酬 制 度 などの 仕 組 みが 経 営 者 によって 適 切 に 構 築 されていることが 重 要 である 組 織 の 慣 行 は しばしば 組 織 内 における 行 動 の 善 悪 についての 判 断 指 針 となる 例 えば 組 織 内 に 問 題 があっても 指 摘 しにくい 慣 行 が 形 成 されている 場 合 には 統 制 活 動 情 報 と 伝 達 モニタリングの 有 効 性 に 重 大 な 悪 影 響 を 及 ぼすことになる 組 織 の 慣 行 は 組 織 の 歴 史 規 模 業 務 の 内 容 従 業 員 構 成 など 組 織 内 部 の 条 件 や 6 39