品 目 別 事 例 編 39
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畜 産 物 1
第 1 編 冷 蔵 牛 肉
目 次 航 空 輸 出 に 係 る 問 題 点 と 課 題 1-3 Ⅰ. 輸 出 の 動 向 1-4 1. 輸 出 品 目 の 概 要 1) 冷 蔵 牛 肉 の 国 内 生 産 量 2) 冷 蔵 牛 肉 の 輸 送 形 態 別 輸 出 量 3) 冷 蔵 牛 肉 の 輸 出 先 国 地 域 別 税 関 別 輸 出 実 績 2. 輸 出 者 と 生 産 者 の 関 係 1) 輸 出 の 経 緯 と 輸 出 者 とのかかわり 2) 輸 出 の 商 流 と 物 流 サプライチェーン 3) 国 内 出 荷 との 違 い 工 夫 4) 輸 出 への 期 待 と 展 望 3. 輸 出 の 際 の 取 引 条 件 Ⅱ. 輸 出 する 生 鮮 農 林 水 産 物 の 搭 載 形 態 1-10 1. 調 達 方 法 と 鮮 度 1) 調 達 基 準 と 鮮 度 2) 輸 入 国 側 のニーズ 反 映 方 法 3) 生 産 者 への 輸 出 意 向 の 確 認 と 意 思 伝 達 方 法 2. 荷 姿 と 品 質 管 理 手 法 1) 包 装 容 器 とコスト 2) 保 冷 剤 と 保 冷 能 力 3) 出 荷 予 冷 等 品 質 管 理 の 創 意 工 夫 3. 混 載 1) 取 りまとめ 主 体 と 混 載 の 経 緯 2) 需 給 集 荷 日 時 や 積 載 率 等 の 調 整 方 法 Ⅲ. 動 物 検 疫 等 の 状 況 1-12 1. 空 港 検 査 の 状 況 2. 動 物 検 疫 にかかるその 他 条 件 現 状 3. 検 疫 のコストと 時 間 4. HACCP 認 証 の 取 得 状 況 1-1
Ⅳ. 温 度 管 理 の 状 況 1-14 1. 求 められる 温 度 帯 鮮 度 管 理 2. 保 冷 施 設 の 設 置 配 置 状 況 と 課 題 1) 空 港 までの 保 冷 環 境 2) 輸 出 元 空 港 のインフラ 状 況 3) 航 空 会 社 と 機 内 管 理 4) 輸 出 先 空 港 のインフラ 状 況 3. クールチェーン 全 体 でのボトルネックと 課 題 4. クールチェーン 確 保 のための 運 用 手 法 1-2
航 空 輸 出 に 係 る 問 題 点 と 課 題 航 空 輸 出 に 係 る 問 題 点 課 題 今 後 に 向 けた 対 策 を 調 査 対 象 者 の 立 場 別 に 整 理 し 以 下 のとおりまとめた これまで 輸 出 に 取 り 組 んだことのない 理 由 輸 出 対 応 の 加 工 処 理 施 設 が 遠 方 にしかない( 米 国 等 向 けの 牛 肉 加 工 処 理 施 設 は 現 在 群 馬 県 と 九 州 南 部 のみに 立 地 している) 品 質 の 高 い 商 品 を 供 給 できない 輸 出 できない 部 位 を 売 り 切 る 力 がない( 輸 出 用 には 高 級 部 位 のみしか 販 売 できないため 残 りの 部 位 を 自 ら 処 分 する 必 要 がある) 他 品 目 の 輸 出 の 方 が 優 先 順 位 が 高 く 冷 蔵 牛 肉 の 輸 出 は 後 回 しになっている 航 空 輸 出 に 係 る 問 題 点 と 課 題 現 在 航 空 輸 出 に 取 り 組 んでいる 企 業 等 が 直 面 している 航 空 輸 出 特 有 の 問 題 点 乗 り 継 ぎ 便 を 利 用 した 場 合 経 由 地 における 地 上 での 待 機 時 間 の 温 度 管 理 に 不 安 がある 航 空 運 賃 が 高 い 経 由 便 や 貨 物 便 はトランジット 時 の 荷 傷 みやフライトがキャンセルになるリスクがあるた め 品 質 保 持 などの 観 点 で 捉 えると 直 行 旅 客 便 への 搭 載 が 好 ましいが 直 行 旅 客 便 のみに 限 定 すると 航 空 便 の 選 択 肢 が 限 られる 生 鮮 品 の 輸 送 を 断 るフォワーダー( 混 載 業 者 )が 存 在 する 航 空 輸 出 量 の 拡 大 に 向 けた 今 後 の 課 題 利 用 料 金 の 安 い 保 冷 コンテナを 導 入 し 低 温 かつ 定 温 での 物 流 網 を 確 立 する 輸 出 相 手 国 の 動 物 検 疫 における 商 品 の 荷 傷 みに 配 慮 する 安 定 した 輸 出 実 績 を 継 続 して 残 し 航 空 機 の 貨 物 室 に 輸 送 スペースを 確 保 する 生 鮮 品 を 取 り 扱 うフォワーダーを 増 やすための 啓 発 活 動 を 行 う 広 域 エリアを 対 象 とした 輸 出 対 応 加 工 処 理 施 設 を 設 置 する 1-3
Ⅰ. 輸 出 の 動 向 1. 輸 出 品 目 の 概 要 1) 冷 蔵 牛 肉 の 国 内 生 産 量 牛 肉 の 国 内 生 産 量 に 係 るデータとして 図 表 1-1-1に 2007 年 における 肉 用 種 の 飼 養 頭 数 をまとめた 牛 肉 の 主 な 産 地 は 鹿 児 島 県 宮 崎 県 北 海 道 等 であり 九 州 の 生 産 量 が 多 いという 特 徴 を 持 つ 肉 用 種 の 生 産 量 は 年 間 180 万 頭 規 模 に 達 している 図 表 1-1-1 牛 肉 の 都 道 府 県 別 生 産 量 肉 用 種 の 飼 養 頭 数 上 位 都 道 府 県 と 総 飼 育 頭 数 (2007 年 ) 都 道 府 県 頭 数 ( 頭 ) 鹿 児 島 県 333,300 宮 崎 県 251,100 北 海 道 162,200 岩 手 県 94,300 熊 本 県 91,800 その 他 890,300 合 計 1,823,000 ( 出 典 : 農 林 水 産 省 畜 産 統 計 2008 年 7 月 修 正 版 ) 2) 冷 蔵 牛 肉 の 輸 送 形 態 別 輸 出 量 2008 年 の 冷 蔵 牛 肉 ( 関 税 分 類 番 号 :020130000)の 輸 出 量 は 約 22 万 トンであった 輸 出 量 の 7 割 強 が 航 空 輸 送 となっており 輸 出 手 段 として 航 空 輸 送 は 重 要 な 役 割 を 担 っている 真 空 パック 化 し 保 冷 剤 を 入 れた 肉 塊 の 冷 蔵 牛 肉 の 品 質 保 持 期 間 は 45~60 日 となるため 博 多 港 からの ように 海 上 輸 送 での 輸 出 も 見 られるが その 多 くは 比 較 的 安 価 な 部 位 を 輸 出 したものとなっている 海 上 輸 送 の 場 合 1 船 積 みするまでの 港 湾 での 保 管 状 態 の 把 握 が 難 しい 21 回 当 たり 10t 程 度 の 輸 送 量 がないと 採 算 が 合 わないが そこまでの 需 要 が 発 生 していない または 物 量 が 集 められない 3 数 量 を 集 めるために 数 日 に 渡 ってと 畜 加 工 した 牛 肉 をまとめて 輸 出 するとなると 最 初 にと 畜 加 工 した 牛 肉 の 品 質 保 持 期 間 が 短 くなってしまう といったリスクがある 以 上 のリスクを 踏 まえ 冷 蔵 牛 肉 については 少 量 ごとの 輸 出 に 適 した 航 空 輸 送 が 主 に 利 用 されている 3) 冷 蔵 牛 肉 の 輸 出 先 国 地 域 別 税 関 別 輸 出 実 績 2008 年 における 冷 蔵 牛 肉 の 輸 出 先 国 地 域 別 税 関 別 輸 出 実 績 を 図 表 1-1-2にまとめた 冷 蔵 牛 肉 の 航 空 輸 出 量 は 輸 出 全 体 の 9 割 以 上 を 占 め ほぼ 米 国 向 けと 香 港 向 けで 占 められている また 輸 出 元 空 港 では 特 に 発 着 便 の 多 い 成 田 空 港 からの 輸 出 実 績 が 高 い 傾 向 にある 一 方 九 州 には 米 国 等 向 けの 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 が 複 数 存 在 しているため 福 岡 空 港 や 鹿 児 島 空 港 からの 輸 出 が 見 られる 日 本 はBSE 発 生 国 であるため 韓 国 など 日 本 産 牛 肉 の 輸 入 を 禁 止 している 国 がある また 日 本 産 牛 肉 の 輸 入 を 認 めている 国 においても 各 国 の 規 定 に 則 った 処 理 を 行 うことを 条 件 ( 認 定 された 輸 出 用 加 工 処 1-4
理 施 設 でのと 畜 加 工 等 )に 輸 出 可 能 となっている 日 本 と 相 手 国 の 2 国 間 の 協 議 によって 輸 出 用 牛 肉 の 衛 生 が 保 証 されている 国 は 米 国 カナダ 香 港 の 2 カ 国 及 び 1 地 域 であったが 2008 年 2 月 よりアラブ 首 長 国 連 邦 が 新 たに 加 わる 形 となった 米 国 カナダ 香 港 アラブ 首 長 国 連 邦 以 外 の 国 地 域 に 関 しては 2 国 間 ( 日 本 と 相 手 国 )での 取 り 決 めが 特 に 行 われていない つまり 日 本 産 牛 肉 の 輸 入 を 禁 止 することを 公 示 していない 国 に 対 しては 日 本 からの 牛 肉 の 輸 出 が 受 け 入 れられるケースが 見 られる 例 えば ベトナムは 家 畜 衛 生 条 件 ( 指 定 検 疫 物 の 輸 入 に 際 し 動 物 検 疫 上 の 観 点 から 輸 入 国 が 輸 出 国 に 求 める 条 件 )を 結 んでいないため 相 手 国 が 輸 入 を 禁 止 するという 明 文 化 がなされていない つまり 日 本 からの 輸 出 が 禁 止 されてはいない 状 態 である ため 輸 出 が 行 われている 図 表 1-1-2 冷 蔵 牛 肉 の 輸 出 先 国 地 域 別 税 関 別 輸 出 実 績 (2008 年 ) 税 関 名 ( 輸 出 先 国 別 ) 2008 年 輸 出 数 量 2008 年 輸 出 金 額 数 量 (kg) 総 計 対 比 国 別 合 計 対 比 金 額 ( 千 円 ) 総 計 対 比 国 別 合 計 対 比 100 東 京 6,351 2.8% (6.0%) 46,200 2.7% (6.8%) 104 成 田 43,337 19.4% (40.6%) 305,933 18.2% (44.7%) 404 関 西 空 港 3,064 1.4% (2.9%) 25,800 1.5% (3.8%) 604 博 多 30,883 13.8% (28.9%) 139,721 8.3% (20.4%) 605 福 岡 空 港 15,566 7.0% (14.6%) 97,085 5.8% (14.2%) 752 鹿 児 島 空 港 7,534 3.4% (7.1%) 69,654 4.1% (10.2%) (108 香 港 ) 合 計 106,735 47.8% (100.0%) 684,393 40.6% (100.0%) 100 東 京 1,345 0.6% (34.1%) 9,261 0.5% (33.4%) 605 福 岡 空 港 2,599 1.2% (65.9%) 18,466 1.1% (66.6%) (110 ベトナム) 合 計 3,944 1.8% (100.0%) 27,727 1.6% (100.0%) 100 東 京 38 0.0% (100.0%) 245 0.0% (100.0%) (146 レバノン) 合 計 38 0.0% (100.0%) 245 0.0% (100.0%) 104 成 田 1,604 0.7% (62.3%) 14,722 0.9% (55.0%) 605 福 岡 空 港 383 0.2% (14.9%) 4,760 0.3% (17.8%) 752 鹿 児 島 空 港 586 0.3% (22.8%) 7,307 0.4% (27.3%) (302 カナダ) 合 計 2,573 1.2% (100.0%) 26,789 1.6% (100.0%) 104 成 田 73,713 33.0% (67.5%) 684,632 40.6% (73.0%) 400 大 阪 20,979 9.4% (19.2%) 132,439 7.9% (14.1%) 404 関 西 空 港 1,187 0.5% (1.1%) 9,526 0.6% (1.0%) 604 博 多 3,651 1.6% (3.3%) 31,812 1.9% (3.4%) 605 福 岡 空 港 1,511 0.7% (1.4%) 12,196 0.7% (1.3%) 752 鹿 児 島 空 港 8,192 3.7% (7.5%) 67,482 4.0% (7.2%) (304 アメリカ 合 衆 国 ) 合 計 109,233 48.9% (100.0%) 938,087 55.7% (100.0%) 104 成 田 766 0.3% (100.0%) 7,160 0.4% (100.0%) (620 グアム( 米 )) 合 計 766 0.3% (100.0%) 7,160 0.4% (100.0%) (0201.30-000 ) 合 計 223,289 100.0% - 1,684,401 100.0% - ( 出 典 : 財 務 省 貿 易 統 計 をもとに 富 士 経 済 が 作 成 ) 1-5
2. 輸 出 者 と 生 産 者 の 関 係 自 ら 輸 出 に 取 り 組 んでいない 企 業 の 輸 出 に 対 する 見 解 としては 一 つに 商 流 の 項 目 で 述 べるよう に 牛 肉 は 生 牛 をと 畜 加 工 する 処 理 が 必 要 であることが 挙 げられる 相 手 国 は 1 頭 すべての 部 位 の 購 入 を 望 まず 主 にステーキ 用 に 使 用 される 部 位 のみを 購 入 するケースが 大 半 であるため 輸 出 用 以 外 の 余 剰 部 位 の 国 内 販 売 をどう 行 うかが 輸 出 者 にとって 課 題 となる そのため 生 産 者 団 体 が 自 ら 輸 出 するよりも 畜 産 加 工 販 売 企 業 に1 頭 単 位 で 販 売 し 畜 産 加 工 販 売 企 業 が 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 にと 畜 加 工 を 委 託 した 後 輸 出 に 適 した 部 位 の 牛 肉 のみを 輸 出 業 者 に 販 売 する 形 態 が 中 心 となっている 1) 輸 出 の 経 緯 と 輸 出 者 とのかかわり 国 内 の 畜 産 加 工 販 売 業 者 が 当 初 は 日 本 産 牛 肉 を 世 界 に 宣 伝 普 及 させる 意 味 合 いで 輸 出 を 始 めたが 品 質 の 高 さが 現 地 で 支 持 を 集 め 需 要 が 高 まったことから 本 格 的 な 輸 出 につながった また 輸 出 入 商 社 が 日 本 産 牛 肉 の 品 質 の 高 さに 着 目 し 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 などに 働 きかけることで 輸 出 が 開 始 されたケースも 見 られる 2) 輸 出 の 商 流 と 物 流 サプライチェーン (1) 冷 蔵 牛 肉 の 航 空 輸 出 における 商 流 の 実 態 冷 蔵 牛 肉 の 商 流 は 以 下 の 2 ルートに 大 別 される 1 日 本 の 畜 産 加 工 販 売 企 業 が 生 産 者 団 体 から 生 牛 を 購 入 し 購 入 した 生 牛 のと 畜 加 工 を 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 に 委 託 した 後 牛 肉 として 輸 出 業 者 に 販 売 するルート 2 日 本 の 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 が 生 産 者 団 体 から 購 入 した 生 牛 をと 畜 加 工 した 後 に 牛 肉 を 畜 産 加 工 販 売 企 業 に 販 売 する その 後 畜 産 加 工 販 売 企 業 が 輸 出 商 社 に 販 売 するルート なお 生 牛 はと 畜 加 工 して 牛 肉 になるため 生 産 者 団 体 から 畜 産 加 工 販 売 企 業 への 販 売 単 位 は kg ではなく 頭 (1 頭 )となる 生 牛 は 1 頭 単 位 で 購 入 するが 米 国 のようにサーロインなど 特 定 の 部 位 に 注 文 が 偏 る 国 では 1 頭 すべ てが 輸 出 用 に 販 売 できるわけでなく 注 文 以 外 の 余 剰 部 位 が 発 生 する この 余 剰 部 位 は 日 本 国 内 の 量 販 店 に 販 売 するなどの 形 で 調 整 する 必 要 があるため 輸 出 業 者 が 生 産 者 団 体 から 直 接 kg 単 位 で 輸 出 用 の 特 定 の 部 位 のみの 牛 肉 を 購 入 することは 難 しい 1-6
図 表 1-1-3 畜 産 加 工 販 売 企 業 が 生 産 者 団 体 から 生 牛 を 買 い 付 ける 場 合 の 商 流 生 産 者 団 体 畜 産 加 工 販 売 企 業 輸 出 業 者 現 地 輸 入 業 者 仲 卸 業 者 現 地 小 売 店 外 食 店 ( 出 典 : 富 士 経 済 がヒアリング 調 査 をもとに 作 成 ) 図 表 1-1-4 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 が 生 産 者 団 体 から 生 牛 を 買 い 付 け 畜 産 加 工 販 売 企 業 に 販 売 する 場 合 の 商 流 生 産 者 団 体 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 畜 産 加 工 販 売 企 業 輸 出 業 者 現 地 輸 入 業 者 仲 卸 業 者 現 地 小 売 店 外 食 店 ( 出 典 : 富 士 経 済 がヒアリング 調 査 をもとに 作 成 ) (2) 冷 蔵 牛 肉 の 航 空 輸 出 における 物 流 の 実 態 日 本 と 相 手 国 の 2 国 間 での 協 議 の 結 果 日 本 産 牛 肉 の 輸 出 を 認 めている 国 地 域 への 輸 出 については 各 国 の 規 定 に 則 った 加 工 処 理 を 行 うことが 義 務 付 けられている そのため 生 牛 はまず 厚 生 労 働 省 が 公 示 している 対 米 輸 出 食 肉 を 取 り 扱 うと 畜 場 の 認 定 について など 各 国 の 認 定 基 準 を 満 たした 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 に 搬 送 される 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 は 2009 年 1 月 現 在 米 国 香 港 向 けが 4 施 設 ( 群 馬 県 食 肉 卸 売 市 場 : 群 馬 ミヤ チク 高 崎 工 場 : 宮 崎 南 九 州 畜 産 興 業 : 鹿 児 島 サンキョーミート: 鹿 児 島 ) カナダ 向 けが 群 馬 県 食 肉 卸 売 市 場 ミヤチク 高 崎 工 場 サンキョーミートの 3 施 設 (つまり 南 九 州 畜 産 興 業 以 外 の 3 施 設 が 重 複 ) UAE 向 けは 2 施 設 ( 羽 曳 野 市 立 南 食 食 肉 センター: 大 阪 協 業 組 合 本 庄 食 肉 センター: 埼 玉 )となって いる なお 本 調 査 では 冷 蔵 牛 肉 の 航 空 輸 送 の 阻 害 要 因 の 解 明 が 目 的 であるが アラブ 首 長 国 連 邦 向 けの 牛 肉 は 冷 凍 での 加 工 処 理 が 可 能 であるため アラブ 首 長 国 連 邦 向 けの 輸 出 は 長 期 保 存 の 効 く( 同 国 向 けの 冷 凍 牛 肉 の 賞 味 期 限 はと 畜 3 日 後 から 9 ヶ 月 間 ) 冷 凍 牛 肉 の 海 上 輸 送 が 進 むと 推 察 される 物 流 面 では 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 で 生 牛 からと 畜 加 工 された 牛 肉 は 空 港 に 直 送 されるケースと 国 1-7
内 畜 産 加 工 販 売 企 業 または 輸 出 業 者 の 冷 蔵 庫 に 運 ばれたのちに 空 港 に 搬 送 されるケースに 分 けられる その 後 航 空 機 で 相 手 国 空 港 に 到 着 後 現 地 商 社 または 物 流 業 者 の 冷 蔵 庫 に 保 管 される または 空 港 か ら 直 接 エンドユーザーとなるレストラン 及 び 小 売 店 に 配 送 される( 仲 卸 が 配 送 するパターンも 含 む) 航 路 の 面 では 2009 年 1 月 現 在 成 田 空 港 からドバイへの 直 行 便 は 就 航 していないため 同 地 へは 関 西 国 際 空 港 または 中 部 国 際 空 港 を 経 由 する 必 要 がある ただしエミレーツ 航 空 は 2009 年 3 月 末 をもって 中 部 国 際 空 港 -ドバイ 便 を 廃 止 し 替 わって 成 田 空 港 の 平 行 滑 走 路 2,500m の 完 成 後 ( 当 初 計 画 は 2009 年 )に 成 田 -ドバイ 便 を 就 航 する 予 定 である そのため 当 面 は 日 本 とドバイを 結 ぶ 直 行 便 は 関 西 国 際 空 港 のみとなり 日 本 からドバイへの 便 数 が 減 少 することになる 図 表 1-1-5 冷 蔵 牛 肉 の 航 空 輸 出 に 係 る 物 流 生 産 地 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 輸 出 業 者 等 冷 蔵 庫 国 内 空 港 倉 庫 検 疫 通 関 現 地 空 港 内 倉 庫 検 疫 通 関 流 通 業 者 倉 庫 現 地 エ ン ド ユ ー ザ ー ( 出 典 : 富 士 経 済 がヒアリング 調 査 をもとに 作 成 ) 3) 国 内 出 荷 との 違 い 工 夫 日 本 と 相 手 国 の 2 国 間 の 協 議 により 牛 肉 の 輸 出 が 求 められている 国 に 対 しての 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 は 2009 年 1 月 現 在 6 施 設 のみが 認 められており それ 以 外 の 施 設 では 輸 出 用 に 生 牛 のと 畜 加 工 を 行 う ことができない 輸 出 用 の 牛 肉 には 保 冷 剤 を 段 ボール 箱 に 同 梱 するか 段 ボール 箱 の 周 りに 散 りばめてその 周 りを 発 泡 ス チロールや 木 箱 で 再 梱 包 することで 低 温 状 態 を 保 っている なお 保 冷 コンテナは 利 用 料 金 が 高 いことか ら 利 用 されるケースは 少 ない 米 国 カナダ 香 港 向 けの 牛 肉 を 梱 包 する 段 ボール 箱 は 国 内 流 通 用 とは 異 なる 仕 様 の 段 ボール 箱 が 必 要 である 4) 輸 出 への 期 待 と 展 望 米 国 は すでに 主 要 購 買 層 となる 富 裕 層 に 対 して 一 定 の 需 要 を 獲 得 しており 今 後 大 幅 な 需 要 の 拡 大 は 難 しいが 安 定 した 輸 出 が 続 くと 見 込 まれる カナダは 輸 入 の 際 に 高 額 な 関 税 がかかり 関 税 が 付 加 した 高 額 な 最 終 販 売 価 格 を 支 払 ってまで 日 本 産 牛 1-8
肉 を 消 費 するという 需 要 は 限 られており 今 後 の 展 望 は 厳 しいと 思 われる 香 港 は 他 国 がサーロインやヒレなどのステーキ 用 途 に 需 要 が 限 られるのに 対 して 通 常 のステーキ 用 途 に 加 えて しゃぶしゃぶや 焼 肉 などステーキ 以 外 の 部 位 の 需 要 が 見 込 めることや 接 待 の 文 化 があり 接 待 での 需 要 が 見 込 める 点 から 輸 出 の 拡 大 が 見 込 まれる アラブ 首 長 国 連 邦 は 輸 出 可 能 になった 時 期 が 2008 年 2 月 と 他 国 に 比 べて 最 近 である そのため 日 本 産 牛 肉 の 現 地 での 認 知 度 が 低 く 認 知 度 を 向 上 させるための 時 間 を 要 することから 輸 出 量 の 拡 大 には 時 間 がかかると 見 られる 3. 輸 出 の 際 の 取 引 条 件 航 空 運 賃 各 種 手 数 料 及 び 値 決 めについては 通 常 畜 産 加 工 販 売 企 業 (または 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 が 購 入 して 畜 産 加 工 販 売 企 業 に 転 売 するケースも 含 む)が 市 場 価 格 で 牛 肉 を 買 い 付 けた 後 に 輸 出 業 者 に 販 売 し 輸 出 業 者 は 国 内 トラック 配 送 料 や 航 空 運 賃 など 各 種 手 数 料 を 仕 入 価 格 に 上 乗 せする 形 で 現 地 輸 入 商 社 に 見 積 もりを 提 示 する 方 法 が 採 られている 図 表 1-1-5 米 国 カナダ 香 港 向 け 輸 出 販 売 価 格 米 国 カナダ 香 港 向 け 輸 出 国 内 出 荷 価 格 9,000 円 /kg ( 国 内 トラック 配 送 料 など) ( 航 空 運 賃 燃 油 サーチャージ 通 関 手 数 料 など) 米 国 での 現 地 販 売 価 格 カナダでの 現 地 販 売 価 格 60,000~120,000 円 /kg 前 後 140,000 円 /kg 程 度 香 港 での 現 地 販 売 価 格 30,000 円 /kg 程 度 ( 小 売 店 向 けのため 安 い) ( 出 典 : 富 士 経 済 がヒアリング 調 査 をもとに 作 成 ) サンプル 費 等 その 他 費 用 科 目 別 の 負 担 については 通 常 サンプル 負 担 は 輸 出 業 者 が 行 うが 中 にはサン プルを 有 償 とし 実 質 的 にサンプル 負 担 を 行 わない 企 業 も 見 られる 契 約 外 費 用 損 失 の 扱 いとしては 輸 出 先 空 港 での 到 着 温 度 が 冷 蔵 牛 肉 の 保 管 の 目 安 となる 5 を 超 え てしまい 牛 肉 から 臭 気 が 発 生 したため 通 関 が 不 許 可 となり 現 地 で 廃 棄 処 分 となった 事 例 が 過 去 に 見 ら れる 1-9
Ⅱ. 輸 出 する 生 鮮 農 林 水 産 物 の 搭 載 形 態 1. 調 達 方 法 と 鮮 度 1) 調 達 基 準 と 鮮 度 月 1 回 など 定 期 的 に 輸 出 が 行 われているケースでは 国 内 の 畜 産 加 工 販 売 企 業 と 輸 出 業 者 が 輸 出 スケ ジュールを 協 議 して それに 合 わせて 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 に 出 荷 を 要 請 する アラブ 首 長 国 連 邦 向 けは 冷 凍 での 輸 出 が 可 能 であり 賞 味 期 限 が 9 ヶ 月 間 と 長 いことから 長 期 的 な 生 産 計 画 が 可 能 である 2) 輸 入 国 側 のニーズ 反 映 方 法 輸 出 業 者 は 現 地 輸 入 商 社 が 現 地 のエンドユーザーから 集 めた 注 文 の 連 絡 に 対 応 し 商 品 を 輸 出 してい る 3) 生 産 者 団 体 への 輸 出 意 向 の 確 認 と 意 思 伝 達 方 法 輸 出 業 者 と 協 議 した 輸 出 日 に 間 に 合 うように 国 内 の 畜 肉 加 工 販 売 業 者 が 生 産 者 団 体 に 出 荷 を 要 請 する 2. 荷 姿 と 品 質 管 理 手 法 1) 包 装 容 器 とコスト 米 国 香 港 カナダ 向 けの 段 ボール 箱 は 国 内 流 通 用 とは 仕 様 の 異 なるものを 使 用 することで 国 内 流 通 用 との 混 同 を 避 けることにつながっている 一 方 アラブ 首 長 国 連 邦 向 けの 段 ボール 箱 は 国 内 流 通 用 と 変 わらない 2) 保 冷 剤 と 保 冷 能 力 割 高 な 保 冷 コンテナの 利 用 は 見 合 わせ 保 冷 剤 を 段 ボール 箱 に 同 梱 するか または 段 ボール 箱 の 外 に 散 りばめて 外 枠 を 別 の 容 器 で 覆 うケースが 見 られるが この 保 存 方 法 で 温 度 管 理 に 特 に 大 きな 問 題 は 生 じて いない 3) 出 荷 予 冷 等 品 質 管 理 の 創 意 工 夫 米 国 カナダ 香 港 に 関 しては 保 冷 剤 を 入 れているとはいえ 航 空 機 への 荷 物 の 積 み 下 ろしや 地 上 に 待 機 している 時 間 は 常 温 となる そのため 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 や 空 港 内 冷 蔵 庫 などで 入 念 な 冷 やし 込 みを 行 っている アラブ 首 長 国 連 邦 向 けは 冷 凍 での 輸 出 が 可 能 であるため 冷 やし 込 みは 必 要 ない 1-10
3. 混 載 1) 取 りまとめ 主 体 と 混 載 の 経 緯 荷 主 となる 各 生 鮮 企 業 は 航 空 輸 送 を 利 用 する 際 航 空 会 社 や 航 空 貨 物 輸 送 会 社 と 契 約 を 行 っているフ ォワーダー( 混 載 業 者 )に 依 頼 する フォワーダーは 不 特 定 多 数 の 荷 主 から 貨 物 を 集 め 貨 物 を 一 つにま とめる 航 空 貨 物 はパレット コンテナ 一 部 バラで 搭 載 されるが 混 載 を 行 った 場 合 現 地 空 港 に 到 着 後 1 つにまとめた 貨 物 ( 不 特 定 多 数 の 荷 主 の 貨 物 を1つにまとめたもの)を 再 度 荷 主 ごとに 仕 分 ける 作 業 が 発 生 する この 仕 分 け 作 業 に 時 間 がかかるため 品 質 保 持 期 間 の 短 い 生 鮮 品 は 混 載 に 向 かないこと 仕 分 け 作 業 の 場 所 が 常 温 であれば 品 質 劣 化 が 進 むこと 1 回 あたりの 輸 出 量 が 数 百 kg と 少 なく また 単 発 (スポット)であるため 混 載 スケジュールが 組 みにくい などの 理 由 から 航 空 輸 送 における 混 載 の 実 績 は 少 ない フォワーダーは 輸 出 先 国 地 域 に 自 分 の 関 係 者 が 荷 受 人 にならなければ 貨 物 を 受 け 取 ることが 出 来 ない ため 世 界 各 地 に 自 社 の 営 業 所 や 支 店 業 務 提 携 店 を 設 置 しており 到 着 地 における 荷 受 業 務 も 責 任 を 持 って 行 っている なお フォワーダーは 航 空 輸 送 に 係 る 業 務 以 外 にも 陸 上 運 送 や 梱 包 通 関 業 務 なども 行 っていることが 一 般 的 である フォワーダーは 荷 主 への 提 案 として 荷 物 を 取 りまとめて 輸 出 コストを 下 げる 混 載 の 提 案 を 行 っている が 現 状 では 生 鮮 食 品 の 輸 出 量 が 少 ないこともあり 混 載 を 図 って 輸 出 を 行 っている 独 立 系 のフォワーダ ーはほとんど 見 られない 2) 需 給 集 荷 日 時 や 積 載 率 等 の 調 整 方 法 フォワーダーでは 収 益 向 上 策 として 混 載 率 を 高 めることによって 通 常 の 輸 送 料 との 差 を 拡 大 し 荷 主 の 利 益 を 付 加 して 販 売 する 等 により 自 社 の 利 益 を 上 げることを 図 っている そのため 集 荷 日 時 や 積 載 率 等 の 調 整 をフォワーダーが 積 極 的 に 取 り 組 んでいる 実 態 があるが 農 林 水 産 物 は 混 載 する 際 の 温 度 設 定 など 技 術 上 は 可 能 であっても 十 分 な 物 量 が 無 いため 集 荷 日 時 や 積 載 率 等 の 調 整 を 図 った 上 での 輸 出 は 見 られないのが 現 状 である 今 後 農 林 水 産 物 の 輸 出 量 が 拡 大 し 環 境 が 整 えば 積 載 率 の 調 整 を 含 めた 混 載 の 可 能 性 もあると 見 ら れる ただし 牛 肉 の 場 合 は 仮 に 混 載 を 行 えるだけの 生 鮮 の 物 量 が 集 まった 場 合 でも 国 によっては 水 産 物 や 農 産 物 とは 検 疫 条 件 が 異 なり 牛 肉 の 検 疫 は 通 過 しても 他 の 農 水 産 品 の 検 疫 が 通 過 しないなどの 問 題 が 生 じる 可 能 性 があることや 荷 主 の 異 なる 牛 肉 同 士 の 混 載 は 競 合 企 業 に 手 の 内 をさらすリスクがあるため 前 向 きに 行 う 企 業 は 少 ないと 思 われることから 混 載 は 難 しいと 思 われる 1-11
Ⅲ. 動 物 検 疫 等 の 状 況 1. 空 港 検 査 の 状 況 輸 出 用 牛 肉 は 認 可 を 受 けた 国 内 の 加 工 処 理 施 設 でのみ 加 工 されるが これらの 施 設 では 検 査 員 の 立 会 い や 専 属 作 業 員 の 駐 在 など 相 手 国 の 指 定 基 準 に 従 って 加 工 処 理 を 行 う 形 で 稼 動 している 検 疫 地 点 以 外 では 基 本 的 に 輸 出 用 冷 蔵 牛 肉 の 段 ボール 箱 は 開 梱 禁 止 となっており 厳 しい 基 準 をクリアした 処 理 施 設 で 製 造 された 牛 肉 であるため 日 本 国 内 での 動 物 検 疫 は 基 本 的 に 書 類 と 内 容 物 が 一 致 しているかどうかの 視 点 で 実 施 され 特 に 問 題 は 生 じていない 輸 出 先 空 港 での 検 疫 では 香 港 カナダ 及 び 2008 年 2 月 以 降 HALAL 証 明 書 の 添 付 で 輸 出 が 認 めら れるようになったアラブ 首 長 国 連 邦 では 特 に 問 題 は 起 こっていない 米 国 での 検 疫 は 全 ケース 数 のうち 10%~15% 程 度 が 開 梱 されており 開 梱 された 箱 の 中 の 1 ピース( 通 常 1 箱 には 同 一 部 位 が 2 つ 入 っているが これを 2 ピースと 呼 ぶ)が 開 封 されるため 検 疫 通 過 に 最 短 で 2 日 最 長 で 2 週 間 かかる 2. 動 物 検 疫 にかかるその 他 条 件 現 状 1 産 地 登 録 ( 生 産 者 の 登 録 ) 輸 出 用 牛 肉 は 元 となる 生 牛 を 飼 育 する 生 産 者 団 体 ( 農 家 など)が 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 に 生 牛 を 搬 入 し と 畜 を 行 い 各 種 の 審 査 で 問 題 がなければ 以 後 輸 出 用 の 生 牛 を 供 給 する 生 産 者 として 登 録 される 2 現 地 確 認 ( 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 における 確 認 ) 米 国 カナダ 香 港 向 けの 牛 肉 の 加 工 は 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 において 食 肉 衛 生 検 査 員 の 立 会 いの 下 執 行 される 国 内 流 通 向 けは 食 肉 衛 生 検 査 員 が 生 きた 状 態 の 牛 の 病 気 の 有 無 の 確 認 と と 畜 した 枝 肉 の 格 付 けまで 立 ち 会 うだけでよいが 米 国 向 け 輸 出 用 に 関 してはその 後 の 加 工 段 階 まで 検 査 員 が 立 会 うこと が 義 務 となっている と 畜 加 工 が 済 むと 食 肉 衛 生 証 明 書 が1ロットに 付 き1 枚 発 行 される 一 方 アラブ 首 長 国 連 邦 向 けの 牛 肉 輸 出 は HALAL と 呼 ばれるイスラム 教 に 則 った 処 理 方 法 で 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 においてイスラム 教 徒 がと 畜 加 工 を 行 う 必 要 がある と 畜 加 工 が 済 むと HALAL 証 明 書 が 発 行 される 3. 検 疫 のコストと 時 間 米 国 での 検 疫 時 には 検 査 官 が 肉 を 採 取 して 検 査 をするが この 採 取 量 が 時 に 1kg であったり 採 取 の 仕 方 が 悪 い( 牛 肉 の 切 り 方 がスライス 状 ではなく 肉 塊 をえぐるように 切 り 取 る)ため 商 品 として 使 用 で きる 部 分 が 目 減 りしてしまうことがある 最 終 販 売 価 格 には 予 めこの 仕 損 分 を 含 めているため 販 売 価 格 が 割 高 になっている 1-12
4.HACC HACCP 認 証 の 取 得 等 の 状 況 米 国 カナダ 香 港 向 けの 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 は 輸 出 相 手 国 の 求 める 衛 生 条 件 を 満 たし HACCP シ ステムで 管 理 されていることが 必 要 となる 具 体 的 には 厚 生 労 働 省 が 公 示 している 対 米 輸 出 食 肉 を 取 り 扱 うと 畜 場 の 認 定 について 対 カナダ 輸 出 食 肉 を 取 り 扱 うと 畜 場 の 認 定 について 対 香 港 輸 出 食 肉 を 取 り 扱 うと 畜 場 の 認 定 について を 満 たす 必 要 がある この 施 設 の 改 築 に 数 億 円 の 設 備 投 資 がかかること や 求 められる 条 件 を 満 たす 施 設 設 計 が 難 しい 側 面 が 見 られる UAE 向 けには 厚 生 労 働 省 が 公 示 予 定 (2009 年 2 月 20 日 現 在 )の 対 UAE 輸 出 食 肉 を 取 り 扱 うと 畜 場 の 認 定 を 満 たす 必 要 がある 1-13
Ⅳ. 温 度 管 理 の 状 況 1. 求 められる 温 度 帯 鮮 度 管 理 冷 蔵 牛 肉 の 保 管 温 度 帯 は 5 以 下 であれば 問 題 がない ただし 輸 出 用 の 牛 肉 は 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 で 梱 包 された 後 は 動 物 検 疫 所 以 外 では 開 梱 ができないため 例 えば 途 中 で 保 冷 剤 が 溶 けてしまったとし ても 再 度 投 入 することができないリスクが 発 生 する 2. 保 冷 施 設 の 設 置 配 置 状 況 と 課 題 1) 空 港 までの 保 冷 環 境 畜 産 加 工 販 売 企 業 や 輸 出 業 者 または 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 から 冷 蔵 トラックで 空 港 まで 配 送 されてい る 2) 輸 出 元 空 港 のインフラ 状 況 冷 蔵 牛 肉 においては 輸 出 元 空 港 の 航 空 会 社 上 屋 内 の 冷 蔵 庫 を 使 用 して 温 度 管 理 をしているケースが 多 い 国 内 の 主 要 空 港 内 の 航 空 会 社 上 屋 には 冷 蔵 庫 が 設 置 されているケースが 多 いが 航 空 会 社 によっては 冷 蔵 庫 を 設 置 していない 場 合 もあるので 航 空 会 社 の 選 定 段 階 で 留 意 しておく 必 要 がある 3) 航 空 会 社 と 機 内 管 理 上 空 ( 高 度 が 高 い 状 態 )では 気 温 が 低 く 実 質 的 に 低 温 状 態 となっているため 特 に 機 内 での 温 度 管 理 の 面 で 問 題 は 生 じていない ただし 航 空 機 への 貨 物 の 積 み 下 ろしの 際 は 常 温 となるため 保 冷 剤 を 使 用 しないと 品 質 劣 化 のリスクがある 過 去 には 現 地 が 注 文 した 量 を 輸 送 できるだけの 貨 物 スペースを 航 空 機 内 に 確 保 できず 注 文 に 応 えき れないという 問 題 が 見 られた 4) 輸 出 先 空 港 のインフラ 状 況 輸 出 先 空 港 の 上 屋 には 冷 蔵 庫 が 設 置 されており 当 該 冷 蔵 庫 に 保 管 されている 3.クールチェーン 全 体 でのボトルネックと 課 題 ドライアイスなどの 冷 却 剤 の 利 用 によって 低 温 物 流 は 維 持 されており 大 きな 問 題 は 生 じていない 4.クールチェーン 確 保 のための 運 用 手 法 冷 蔵 牛 肉 の 航 空 輸 出 のクールチェーンには 特 に 問 題 点 は 見 られない 米 国 カナダ 香 港 向 けには 冷 蔵 よりもさらに 品 質 保 持 期 間 の 長 い 冷 凍 での 海 上 輸 送 を 求 める 業 者 も 見 られるが 冷 凍 による 品 質 劣 化 や 1-14
冷 凍 牛 肉 の 海 上 輸 送 を 行 う 際 の 物 量 の 確 保 ( 海 上 輸 送 の 場 合 数 トン 程 度 の 物 量 を 集 める 必 要 がある)や 現 地 需 要 の 獲 得 に 難 色 を 示 す 企 業 も 見 られる なお 冷 凍 で 輸 出 を 行 うにあたっては 現 状 では 輸 出 用 加 工 処 理 施 設 の 同 一 施 設 内 に 輸 出 に 適 した 冷 凍 設 備 がない 状 況 となっているため 新 たな 整 備 が 必 要 である 1-15