2021 年 4 月 5 日 ( 月 ) 発行 No.289 - ウィークリー アウトルック 中銀の物価判断に変化はあるか お知らせ : 毎週金曜日に配信してきたウィークリー アウトルック マンスリー アウトルック マネースクエ ア四季報の配信は毎週月曜日に変更となりました 今週のポイント インフレや長期金利に対する金融当局の判断 (ECB と FOMC の議事録 RBA 会合 ) 新興国のインフレ状況 ( トルコやメキシコの CPI) 今週は IMF 世銀総会がバーチャルで開催され (5-11 日 ) 世界経済見通し (WEO) が公表されます 21 年の世界経済は前年の落ち込みから明確に反発しそうです ただし 景気回復をリードする米国や中国 に対して 後れをとる欧州や新興国といった 格差 は大きく それが市場でも意識されそうです 7 日の米 FOMC 議事録 (3/16-17 開催分 ) 8 日の ECB 理事会議事要旨 (3/10-11 開催分 ) が注目されます 市場のインフレ懸念や長期金利の上昇に対して FRB は静観の構え ECB は警戒感を表明しています もっとも それぞれの会合では異なった見解も表明された可能性があり それらがどうだったか興味深いところです 1 MONEY SQUARE, INC.
9 日に発表される 3 月の米 PPI( 生産者物価指数 ) は通常あまり注目されませんが 市場でインフレ懸 念が強まっているだけに上振れした場合は長期金利の上昇要因となりそうです 3 月 31 日にバイデン大統領が発表した長期経済プログラム American Jobs Plan に対して 共和党からの批判の声も聞こえ始めています ヘルスケアや教育などを中心とした第 2 弾も間もなく発表されるとみられ その内容が明らかになれば 市場が反応する可能性があります 例えば 財政赤字拡大懸念からの長期金利上昇や 富裕層増税を嫌気した株安などです 共和党からの反発が一段と強まる可能性もあります < 西田 > RBA( 豪中銀 ) は 6 日に政策会合を開きます 会合では 金融政策の現状維持が決定されるとみられ その場合には声明における雇用情勢に関する見解や フォワードガイダンス ( 将来の金融政策の方針を あらかじめ示したもの ) に変化がみられるかに注目です メキシコの 3 月 CPI( 消費者物価指数 ) が 8 日に発表されます BOM( メキシコ中銀 ) の利下げは今年 2 月で打ち止めとの観測が市場で浮上するなか CPI が強い結果になれば 利下げ打ち止め観測は一段 と高まるとみられます TCMB( トルコ中銀 ) のカブジュオール新総裁は 3 月 30 日に インフレ率が現在のように高水準にある時 は 引き締め的な金融政策が必要だ と語りました 本当に引き締め的な政策を TCMB が続けるのか市 場は疑問視しており 早期に利下げに転じるとの観測もあります 5 日 トルコの 3 月 CPI( 消費者物価指数 ) が発表されます 本稿執筆時点で CPI の結果は判明してい ませんが 市場予想の前年比 16.11% を上回る結果になれば 市場はインフレ圧力の高まりへの TCMB の対応を試す動き ( トルコリラ売り ) になるかもしれません 2 MONEY SQUARE, INC.
トルコリラは エルドアン大統領の言動にも要注意です TCMB の金融政策に介入する姿勢を示した場 合 トルコリラは下押しする可能性があります < 八代 > 今週の注目通貨ペア1:< 米ドル / 円予想レンジ :110.000 円 ~112.000 円 > 過去 2 週間 (3/22-4/2) でみれば 円は豪ドルや NZ ドルに次ぐ弱い通貨です ( データは Bloomberg 以下同じ ) この間 メキシコペソや南アランドの上昇が目立つことから 市場でリスクオンが強まったことが示唆されます ただ 2 日に発表された 3 月の強い雇用統計を受けても 米ドル / 円はほとんど反応しませんでした それまでの上昇ペースがやや速すぎたのかもしれません 年初から 4 月 2 日までの日足データを用いた回帰分析に基づくと 2 日時点の米長期金利 (10 年物国債利回り )1.72% での米ドル / 円の推計値は 109.73 円 実際の米ドル / 円 (110.69 円 ) はそれを上回っています 年初来の関係が続くと仮定すれば 米ドル / 円が 110 円台に定着するためには米長期金利は 1.8% に接近する必要がありそうです 米ドル / 円と米長期金利の関係が変化する可能性も含めて 今後の状況に要注目です < 西田 > 米長期金利 米ドル / 円 (%) 推計値 ( 円 ) 米長期金利を用いた米ドル / 円の推計式 1.50 107.74 1.60 108.64 米ドル / 円 ( 推計値 )=94.31+8.95* 米長期金利 1.70 109.53 決定係数 :0.93 期間 :21 年 1 月 4 日 ~4 月 2 日 1.80 110.43 出所 :Bloombergデータより筆者作成 1.90 111.32 2.00 112.22 今週の注目通貨ペア ➁:< 豪ドル /NZ ドル予想レンジ :1.06000NZ ドル ~1.09500NZ ドル > RBA( 豪中銀 ) が 6 日に政策会合を開きます 会合では金融政策の現状維持が決定されるとみられ 声 明の内容が相場材料になりそうです 声明では 豪雇用情勢についてどのような見解が示されるのか またフォワードガイダンス ( 将来の金融政策の方針をあらかじめ示したもの ) に変化がみられるかに注目 前回会合の声明では後者について インフレ率が 2~3% の目標範囲内に持続的に収まるまでは 利上げをしない とし 少なくとも 2024 年まで利上げはないとの見通しを示しました 豪州の失業率は改善傾向にあるものの 雇用維持給付金が 3 月末で終了しました その影響が今後出てくるとみられ 声明では 雇用情勢の先行きについて慎重な見方が示されるかもしれません また 前回と比べてフォワードガイダンスに変化がなければ 豪ドルは軟調に推移する可能性があります 豪ドル /NZ ドルは弱含むかもしれません 豪ドル /NZ ドルの目先のメドとして 下値が 1.06396NZ ドル (2/26 安値 ) 上値は 1.09415NZ ドル (3/29 高値 ) が挙げられます < 八代 > 3 MONEY SQUARE, INC.
今週の注目通貨ペア 3:< メキシコペソ / 円予想レンジ :5.200 円 ~5.600 円 > BOM( メキシコ中銀 ) は 3 月 25 日の会合で政策金利を 4.00% に据え置きました その決定が 5 人の政 策メンバー全員一致で下されたことで BOM の利下げは今年 2 月で打ち止めとの観測が浮上しました メキシコの 3 月 CPI( 消費者物価指数 ) が 9 日に発表されます 市場予想は前年比 4.67%( 本稿執筆時点 ) と 前月の 3.76% から上昇率が加速して BOM のインフレ目標 (3%) の許容範囲上限である 4% を上回るとみられています CPI が市場予想の通りとなるか あるいはそれを上回れば 利下げ打ち止め観測は市場で一段と高まりそうです その場合 メキシコペソ高材料になる可能性があります メキシコペソについては 原油価格 ( 米 WTI 原油先物など ) の動向にも目を向ける必要がありそうです OPEC( 石油輸出国機構 ) 加盟国と非加盟主要産油国で構成する OPEC プラス は 1 日 協調減産の規 模を 5 月から 7 月に段階的に縮小する (= 産油量を増やす ) ことで合意 減産の規模は 5 月に日量 35 万バレル 6 月に 35 万バレル 7 月に 45 万バレル縮小されます サウジアラビアは同じく 1 日 OPEC プラスの協調減産とは別に実施している自主減産を段階的に終了 させるとの方針を表明 5 月に 25 万バレル 6 月に 35 万バレル 7 月に 40 万バレルと減産の規模を縮 小し 計画通りなら自主減産は 7 月をもって終了します 市場は OPEC プラスやサウジアラビアの減産規模縮小の方針について 原油の需要回復への自信の表れ と受け止めたようです ただ 減産規模の縮小によって原油の供給量が増加することは本来 原油価格の下押し材料と考えられます そのことが市場で意識されれば WTI 原油先物は上値が重くなると考えられ その場合にはメキシコペソは伸び悩む可能性があります < 八代 > BOM 政策金利とメキシコ CPI 出所 : リフィニティブより作成 4 MONEY SQUARE, INC.
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