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論説 グーグル アマゾンの対立と和解に関する考察 Google vs Amazon, consideration of conflict and reconciliation 長谷川雄哉 YUYA HASEGAWA Abstract This paper discusses competition policy from the viewpoint of "free choice of consumers" about the conflict Google vs Amazon. Google is a ICT company that has grown enormously. By incorporating many companies through mergers and conducting diversified management, it became a company that handles not only search engines but also various services and terminals. And Amazon is a book distributor, but in recent years it has expanded its services and is aiming to fuse devices and services. Although Google and Amazon are originally companies belonging to different markets, they are increasingly competing directly as platformers. We have clarified the movements that surround consumers in the smart phone and smart speaker market, and have focused on the disadvantages of consumers. And Google and Amazon have also refused to deal with each other without dealing with rival products. This impairs the consumer's freedom of choice. To discuss this issue, we discussed the need for Google and Amazon to consider improvement guidance or a company split in the light of previous Microsoft cases. And we believe that these companies need to be monitored continuously and quickly, and should be done in accordance with freedom of consumer choice. はじめに 本論は近年の情報産業における新たな対立に注目する グーグルとアマゾンの対立が抱える課題とその解決の経緯をみることで 情報産業ではあるが直接的に競合しないと考えられていた異なる分野を活動対象とする企業が 競争状態になりうることを理解するとともに この対立が消費者に与えるインパクトについての理解を深めるものである これまでグーグルについてはこれを情報産業の企業として取り扱われてきたが アマゾンは流通業界における問題についての注目されることが多く 情報産業の企業として扱われることは多くはなかった これまではグーグルとアマゾンは市場が異なるため競合しえないものであると考えられ それぞれの企業が属する市場における 直接的なライバルとの競争における問題が注目を集めてきた しかしながら現在のアマゾンは単なるインターネット通販サイトとその流通 小売業の立場にとどまらず 自社製品の電子端末や Amazon Web Service などのオンラインサービスの提供を行う れっきとした情報産業の企業であると見ることができる そして現在においてはこの両者は スマートスピーカーやコンテンツ配信 およびそれに 関東学園大学, 2020. 関東学園大学経済学紀要第 46 集 1

付随する端末市場において競争状態にあり 競合関係にある このような両社の対立はプラットフォームにおけるデファクトを掛けた競争であると考えることができ これまで論者が見てきたマイクロソフト事件とプラットフォームの関係の延長線上におくことのできる問題であるといえる 論者はこれまでアップルとグーグルの携帯電話プラットフォーム市場における対立について注目をしてきたが そのような同一業種間における競合のみならず これまで異業種と考えられてきた企業による対立が発生していることが 新たな課題となることに注目した 本論では グーグルおよびアマゾンのこれまでの戦略を整理し 現在この両社がどの市場において対立し また競合しているのかについてこれを整理した なかでも電子端末市場およびコンテンツ配信市場における両社間における これまでに行われてきた排他的取引を中心に 現在係争中のアマゾンでのグーグル製品の取り扱いに係る取引制限の問題も含め 現在進行中の課題としてこれらを問題であると注目した また最新のスマートスピーカー市場における両社の対立は プラットフォームを争う対立であると考え ホームインターフェースのプラットフォーム競争における両社の対立を俯瞰して描くことに取り組んだ また本論がグーグルとアマゾンの対立として注目した 業種業態を跨いでの競合関係はこれまで積極的に検討されてきたとはいえないことを明らかにした 吸収 合併 提携を活用することによる情報産業の他業種への展開は コンピュータとソフトウェアから 音楽配信事業やスマートフォンへ展開したアップルや ソフトウェア企業からハードウェア コンテンツ マルチメディアへの多角的進出を行ったマイクロソフトの例にも見られるように近年急速に進んでおり 業界のバランスはこれまでと比べて大きく変化しているといえる とくにこれからの情報産業における企業の対立は これからの住環境 生活環境の ICT 化におけるプラットフォームの争奪戦であるといえ 注目すべき市場の変化である そのような重要な市場において 消費者がグーグルまたはアマゾンのどちらの製品群に囲い込みを受けるかの選択を迫られている状況にあるといえることを本論では明らかにした このことは 論者の従来の分析の視点から 消費者の選択の自由が制限されているものであると考えることができるため 両社の間の和解をもって解決とはみなさず これからも継続してこの課題への対応が必要であるといえることを明らかにした 1. グーグルと競争政策 1.1 グーグルの成り立ちとその方針グーグルは 1998 年に創業されたソフトウェアベンチャー企業で 一般向けのソフトウェアではなく Web 上のページの重要性を分析するバックリンク検索エンジン 1 を開発していた企業である この検索エンジンが 2000 年 6 月に Yahoo! に採用されたことで注目を集め 2 2001 年には日本法人の開設 2004 年 8 月には初の株式公開を行うなど順調に検索サービス分野での成長を重ねており 検索エンジンこの分野での世界シェアはほぼ 90% と言われている グーグルは強くソフトウェア分野に特化した企業であり ソフトウェアが生み出すサービス 1 バックリンク すなわち参照されているページほど重要なページであるという分析 2 米国 Yahoo! は現在独自エンジン 日本の Yahoo! はグーグル提供 関東学園大学, 2020. 関東学園大学経済学紀要第 46 集 2

を販売する企業である 他の企業がハードウェアメーカーとしての性格を有する またはハードウェアメーカーと密接な関係を保っているのに対し グーグルはどのような形態をなしていない 主な収益源は検索結果や Web サイトに広告を掲載させる広告料収入であるが 検索エンジンのみならず その成長過程で様々なインターネットサービス企業やソフトウェア開発企業を買収し 自社のビジネスに組み入れてきた シリコンバレーにおいて起業されるソフトウェアベンチャー企業の経営者の多くは株式公開で現金収入を得ることを目的とするか あるいは有名企業に提携合併されることを目的とするが グーグルはそのようなベンチャー企業とは異なり 使命は 世界中の情報を整理し 世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること 3 という社是を掲げているように その目標は一般的なベンチャー企業とは異なるものであった このグーグルの革新的な取り組みとして 消費者が特別な費用の負担なしに利用できる各種のサービスが挙げられる とくに Gmail は 2006 年 8 月に一切の招待制度を廃止したことで急激に消費者を増やし 2015 年 5 月にはアクティブユーザー数は 9 億人に達したとされる 他にもオンライン地図の Google Maps 4 動画投稿サイト YouTube 5 といったサービスを利用する消費者の数が多い さらに 2016 年現在において インターネット上でデファクトスタンダードとなっている各種のサービスの提供元はグーグルであり ライバル企業に対して優位に立っている状況にあるといわれている 6 またグーグルはインターネット上にとどまらず 携帯電話端末分野への進出も行っている 2005 年にカリフォルニア州パロアルトのベンチャー企業アンドロイド社を買収することで携帯電話向けオペレーションシステムの技術を手に入れたグーグルは 2008 年 10 月から Android OS を搭載した携帯電話の発売が グーグルおよびその提携する携帯電話メーカーから開始されており Pixel ブランドの確立を進めている このグーグルの動きは先に述べたアップルのスマートフォン市場への進出を意識してのことと言われているが しかし彼らはハードウェアを販売することによる収益の向上を目的とはせず おのずとそのスマートフォン市場における企業活動は ハードウェアからの収益を目的としたアップルとは異なる戦略によるものであったとされる 7 1.2 グーグルに対する競争政策上の課題と注目グーグルはマイクロソフトやアップルと比べると歴史が浅く 市場からの評価は依然として新興企業として扱われる傾向があり 検索エンジンを除くその他の市場においては後発企業であると考えられてきた オペレーションシステム市場においてはマイクロソフトの Windows OS が スマートフォン市場においてはアップルの iphone がそれぞれ先行者であり グーグルのおこなう企業戦略は これらのライバルに対する行動であるとして容認されてきた 特にインターネット上で展開されるオンラインストアやオンラインサービスの市場は成長途上でありかつ これからコンテスタブルな環境になっていくと考えられていたこともあり グーグルに対 3 Google 会社概要 https://www.google.com/about/company/ (2016 年 3 月閲覧 ) 4 2005 年 2 月提供開始 5 2006 年 10 月買収 6 Jarvis (2011) pp.76-81 7 Roberts (2014) pp.499-530 関東学園大学, 2020. 関東学園大学経済学紀要第 46 集 3

するエンフォースメントの検討は重要視されなかった 8 そのような事情もあり 現在のグーグルにとってコア事情である Google Web Platform とそれに関連する Gmail Google Pay Android 等の各種の事業およびその市場においては 競合する他社の製品も市場に存在しているため これを今すぐコントロールする必要があるとの議論には まだいずれの当局も至っていない しかしその一方で グーグルが先行者である市場においてはその限りではなかった グーグルが検索条件を自社にとって有利なものになるように操作し ヤフーや他の検索サイト運営企業の情報が上位に出ないように操作した事件は グーグルが検索サービス市場のシェアの 9 割を有する企業という強い立場を利用した問題として注目を集め グーグルに対して改善の命令がなされている 9 他にも 他社に先駆けてオンライン上に書籍の内容を公開し それに検索エンジン同等の全文検索システムを組み込んだグーグル版オンライン電子図書館ともいえる Google Books の取り扱いについて 著作権侵害の問題が欧州で争点となった この問題については著作権の有効な書籍に対しては全文検索を提供せず プレビューの提供と書籍の販売者のサイトへの誘導を行うとして解決が図られている 10 このように その企業活動の全てが容認されているということはなく グーグルにも競争政策上の課題があることは各国の当局において理解されている しかしながらその注目の多くは 検索エンジンの機能や性質に起因する著作権や知る権利に関わる問題であり 欧州委員会が特にこの問題ではグーグルに対する規制に熱心に取り組んでいるが その注目は グーグルという企業の活動の範囲から見れば限定的なものであるといえる 近年 GAFA 規制としてグーグルが注目されるところはあるが それは競争政策上の注目ではなく グローバルに活動する企業に対する課税のあり方や 倫理的な法感覚とのマッチング上の問題から生じた規制であり 競争政策とは異なる部分が大きい 1.3 当局のへの対応とグーグルの戦略検索エンジン市場における検索結果の順序操作について グーグルは行っていないと述べておりこの問題については改善がみられている ライバル企業の情報を出なくするというグーグル自身による恣意的な検索結果の操作は 当局の対応によって改められたが しかしその一方で 検索結果の評価方法がグーグルによって明らかにされたことによって Search Engine Optimization 対策が浸透し 検索結果に混乱がみられる動きも観測される グーグルはこの問題に対処中である また欧州当局からの命令を受け グーグルは Google Books で収録している著作権が生きているコンテンツの書籍販売者への誘導は 各出版社のサイトやアマゾンへのリンクの提供を行い 著作権問題に対する解決が図られた このリンクの提供はグーグル自身が電子書籍マーケットを構えるようになって以降は自社の Google Play Books への誘導が行われるようになっている またグーグルは Google Books は単なる販売サイトへの誘導ツールの地位に留めることをせず Harvard-Google Project や各地の大学図書館との提携によって獲得した洋書に限らず和書を含む圧倒的な情報量と併せて 書籍販売機能付き電子図書館とし 8 Pisano & Teece (2007) 9 Edelman(2015) 10 Frasea(2010) 関東学園大学, 2020. 関東学園大学経済学紀要第 46 集 4

ての成長を進めている 11 グーグル自身は大学図書館が習俗してきた歴史的な書籍の電子化に取り組んでいることで公共的側面を強調しているが これと競合するサービスの登場は難しくなっている グーグルは当局から指摘 指導 命令を受けた際にはおおむね迅速に対応しているといえ 改善も速やかに行われることが多い マイクロソフトと比較するとグーグルの対応はとてもフレンドリーであると考えられ このようなグーグルの対応を評価する意見も見られる グーグルはその事業においてビジネスだけではなく 公共的な側面を有することを強く意識しており 政府機関とも密接な関係にあることが多いため 一般的な私企業とはやや異なる点を見出すことができると指摘されている しかし そのようにグーグルの当局に対する姿勢が評価される一方で アップルとのスマートフォン市場における対立については現在進行形であり 双方の関係は消費者の利便性を巻き込んで依然として険悪であることには変化は見られない グーグルは当局からエンフォースメント受けた際には迅速に動くかもしれないが いまだエンフォースメントを受けていない市場においては 囲い込みや競合する他社の排除という行為を行っていることが観測されている 12 2. アマゾンと競争政策 2.1 アマゾンの成り立ちと現状アマゾンは 1994 年に創業されたオンライン書店サイトを前身としており Web サイトをアマゾン名義で構えたのは 1995 年からと インターネット黎明期からアメリカで活動を行ってきた企業である 実店舗の書店では店舗の規模と蔵書数が結びつくが オンラインストアと倉庫を連動させた物流管理システムにより 実店舗にない品ぞろえと取り扱いの迅速さを目指したアマゾンの書籍販売方式は 初めはアメリカ 次いで 1998 年にイギリスとドイツに展開され 日本でのサービスインは 2000 年 11 月である アマゾンの特徴はオンラインストアに大量の在庫を置いただけでは検索性が悪く 顧客が欲しい商品を実際に購入に至ることがないという問題に対して ユーザーレビューの投稿機能と強力なレコメンド機能でこれを解決することである 特に過去の検索履歴や購入履歴から顧客の属性を推定し 顧客が欲しいと思う商品を的確に提供機能が アマゾンが他の通販サイトと異なる点であるとして注目されている そしてそれを支えるのが実店舗を構えないことによる倉庫連動型の潤沢な在庫と 倉庫と物流拠点が隣接した配送による 購入から迅速に手元に提供されることによる利便性である アマゾンは書籍の取り扱いからスタートした企業であるが すぐに CD 電子機器 文具などをその流通に乗せ 近年では日常品に加え生鮮食品まで取り扱っており その範囲はアマゾンで扱われていないジャンルを探すほうが難しいと言われるほど多岐にわたる いずれもその流通システムによって担保されるものであるが アマゾンは現物の小売 流通業にとどまらず 1998 年には MP3 データをオンラインで販売するミュージックストア事業をアメリカで開設 2002 年には現在の Amazon Web Service の前身となるレンタルサーバ事業へ参入し 11 Harvard-Google Project http://hul.harvard.edu/hgproject/index.html (2018 年 3 月閲覧 ) 12 Kagan (2010) 関東学園大学, 2020. 関東学園大学経済学紀要第 46 集 5

てクラウト事業へ進出 2007 年に電子書籍マーケットを解説するとともに電子書籍端末 Kindle を発売したのを皮切りに自社ブランドのハードウェアの開発 販売を行っているなど 多種多様な形態にも進出を行っている 13 2.2 アマゾンに対する競争政策上の課題と注目アマゾンの多様な経営はグーグルと同様 ベンチャー企業の買収によって実現されており アマゾンはアメリカ発のインターネットの隆盛とともに成長してきた企業として グーグルと並べ取り扱われることが多い アマゾンブランドでソフトウェアを直接販売することはないが アマゾンが自社の各種のサービスや製品を提供するために抱える技術者の数は他のソフトウェア産業の企業に匹敵ないし上回ると言われており アマゾンは小売業者であるとともにソフトウェア企業であると評価されている 14 しかしアマゾンに対する競争政策上の注目の多くは その小売店としての性質に起因し問題である アマゾンは大規模な倉庫に在庫を持ち これを配送で送り出すシステムを取っているため店舗コストがかからず また集中管理されることによって規模の経済性を活用することができるため 実店舗を構えている企業より安価での商品の販売が可能である このため既存の小売店に対して優位に立つことが可能で そのことが価格競争において実店舗を不利な立場にしていることが問題視されている 特に欧州では実店舗を構えている側からのアマゾンに対する申し立てが多く アマゾンに対して否定的な評価がされることが多い アメリカにおいても小売店とオンラインストアの対立を受けてアマゾンを含むオンライン通販事業者に対する批判的な評価が増えつつある このことはアマゾンに対する売上税の導入と 当該州からのアマゾンの物流拠点の撤収という形で 2011 年頃から問題として表面化しているとされる またこの対立は小規模小売店舗のみならず ウォルマートのような大型小売店舗とアマゾンとの対立としても表面化している 15 2.3 アマゾンに対する当局の対応小売店舗とアマゾンの対立において 当局は多くのケースにおいてアマゾンの行動に対して否定的である アマゾンジャパンにおいても商品納入者に対して他の通販サイトと同等の価格あるいはそれ以下の価格でのみ出品を認める最恵待遇を要求していたことが明らかになり 拘束条件付取引にあたるとして公正取引員会が審査していたことが注目された アマゾンの商品価格は規模の経済性の恩恵を受けての安売りではなく アマゾンから出品者に対する値下げの圧力があったことについて アマゾンマーケットプレイスに共通する問題であるとして各国で認識されている 16 またアマゾンはオンライン上の商取引に関する租税について各国の政府との間に問題を抱えており EU では 2 億 5000 ユーロの追徴課税を受けるに至っている アマゾンの売り上げに対する租税問題は米国においても顕著で 前述のとおり物流センターの撤収を伴う事態となっている さらにアマゾンはその巨大な物流システムにも問題を抱えており 物流セン 13 Linden and Smith (2003) 14 Budzinski and Henrike (2015) 15 原田 (2008) pp3-13. 16 通販通信 Amazon マケプレ 最低価格での出品条件を撤廃 http://ascii.jp/elem/000/001/493/1493741/ (2018 年 2 月閲覧 ) 関東学園大学, 2020. 関東学園大学経済学紀要第 46 集 6

ターでの労働問題や配送システムに掛かる負荷も注目を集めている 17 アマゾンはこのように様々な問題を抱え 訴訟の数も少なくない また訴訟や対立を通じて様々なアマゾンの振る舞いが明らかになるにつれ 各国からアマゾンに対する風当たりが強まっているといえる とくに税法上の対立はアマゾンに関する訴訟の中でも特徴的なものであり アマゾンが他の IT 企業とは異なり コンシューマビジネスであり 流通業であるということを再確認させる しかしその一方で アマゾンがない生活が考えられないともいわれるように アマゾンの企業活動が消費者の利便性を高めているのは事実であり とくに Amazon Web Service は多くの企業が利用している等 産業や社会の基盤的に貢献をしているのも事実であり アマゾンを単なるオンラインストアや小売 流通業として見ることはできないとする評価も見られる 18 そのようなアマゾンに対してはプラットフォーマー規制として GAFA 規制の範疇に含めて取り扱う動きがあるが グーグル アップル フェイスブックがデータの寡占という意味で注目されるものとは異なり より実際の商取引の観点から議論されることが特徴である 3. グーグル アマゾンはなぜ対立する関係になったか 3.1 デファクトスタンダードの獲得のための自社への誘導これまで見てきたようにグーグルとアマゾンはそれぞれの生い立ちが異なり 前者はソフトウェア産業として 後者は小売 流通業として 立ち上げられた企業であるといえる しかしながらこの両社は 企業合併による成長を重ねてきた結果 創業された市場以外にも事業を拡大している グーグルは検索エンジンだけではなく スマートフォンやオンラインストアに事業を拡大し アマゾンも同様に書籍販売だけでなく ハードウェアやコンテンツの販売事業に拡大している このように吸収 合併 提携を活用することによって成長を重ねてきたグーグルやアマゾンは 一般的に理解されるような企業のイメージとは異なり 他業種や他市場への事業展開に取り組んでいる このような企業の動きは コンピュータとソフトウェアから 音楽配信事業やスマートフォンへの展開したアップル 19 や ソフトウェア企業からハードウェア コンテンツ マルチメディアへの多角的進出を試みているマイクロソフトと同様 情報産業ではしばしばみられる動きである そして多くの場合において 市場におけるデファクトスタンダードの獲得を目的として事業の多角化を進め 吸収 合併が重ねられる 20 これはグーグルとアマゾンについても同様であると考えられる 両社は現在進行形で いくつかの市場において直接的に競合 対立の関係にある この対立関係は 両者ともに 自社の提供するサービスへ消費者を誘導する意図を持った 消費者の囲い込みを目論む戦略の上にある 検索や Web サービスで顧客の情報を取り込んできたグーグルと 小売 流通で顧客の情報を集めてきたアマゾンが 消費者に最も身近なデバイスを活用するプラットフォームとなることを目指し またその端末や環境のデファクトスタンダードを獲得することを狙って 消費者の囲い込みを行っているのである 17 Bloomberg アマゾンに 330 億円の追徴税 - 欧州委 優遇税制を違法と判断 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-10-04/oxamsu6k50yh01 (2018 年 2 月閲覧 ) 18 Khan (2017) 19 Hsu (2004) 20 Takigawa (2005) 関東学園大学, 2020. 関東学園大学経済学紀要第 46 集 7

3.2 電子端末市場におけるグーグルとアマゾンの関係ハードウェアを企画開発しこれを販売する電子端末ビジネスという意味ではアマゾンのほうがグーグルより早く 自社のサイトで販売する電子書籍を閲覧するための端末として Kindle の販売を開始したのは 2007 年である グーグルのスマートフォン事業である Android OS が商業ベースに乗ったのは 2009 年からであり 端末事業としてはグーグルがアマゾンに対して後発である アマゾンは Android OS の登場までは Kindle の OS は自社開発としていたが しかしオープンであり自由に利用 参入ができる Android OS の登場をうけて グーグルと提携して自社の製品に Android OS の搭載を行い Kindle 製品群に Fire と名付けたラインナップの追加を行った この提携はアマゾンがグーグルおよび Android OS のグループに加わったことのように見えたが アマゾンは Android OS の仕様で許されているカスタムを独自に加え 21 Fire OS とネーミングを変更した Android OS を利用しているので 直接的には同一のグループに加わったとは言えない状態であり 標準の状態では Fire OS はグーグルのアプリケーションストアやグーグルの提供するフレームワークに乗り入れることができないようにされている しかしながら最新の Android OS のセキュリティパッチは精力的に取り入れており Fire OS のメンテナンスは 実質的にグーグルおよび Android OS のグループによって実施されている状態である これは OS という製品に対するフリーライド行為ではなく Android OS のカスタムはその利用の規約において認められていることであり アマゾンに限らず自社のサービスへ誘導するためにこれらの修正と機能制限を行った Android OS はいくつか作られており Android OS を統括するグーグルとしては 現時点においてこのカスタム行為に対して違反である等のコメントは行っておらず 容認の立場にあると考えられている しかしながら Fire OS 製品を購入して これを改造してグーグルのサービスを利用するユーザーが多いことについては 他の Android OS 搭載端末の製造事業者からは Fire OS 端末の低廉な価格設定が 自社製品の市場を奪っていることが問題視されており それらの他の Android OS 搭載端末の製造者はアマゾン向け製品の製造を請け負っていないという対立がみられ 22 これはグーグルが Pixel シリーズで端末販売に参入したことで特に顕著になっているが それぞれの製品は市場において価格競合的である 3.3 クラウドサービス市場におけるグーグル アマゾンクラウドサービス市場においてもアマゾンが先行企業であり グーグルは後発企業である アマゾンは自社の通販サイトの規模を他のサーバ事業者に委託することで生じる費用を内部化することおよび そのシステムのダウンタイムを低下させることを目的として Web サーバおよびバックグラウンドを処理するデータセンターを自前で保有するということを選択したが 大規模な投資で獲得したセンターが 24 時間フル稼働するわけではないことに注目し これの 21 Google 開発者サービスおよび Google Play が削除されており ロックされた管理者権限を奪取しないかぎりこれらの機能を追加 利用することができないように設定されている 22 Open Handset Alliance - http://www.openhandsetalliance.com/(2018 年 3 月閲覧 ) 加盟企業はカスタムされた Android OS を搭載した端末の製造を請け負わないことを宣言している 関東学園大学, 2020. 関東学園大学経済学紀要第 46 集 8

販売を計画したものである 23 全世界に設置されている自社データセンター機能をサーバの性能 回線利用状況 および求められる品質に応じて段階的な価格設定をおこない 政府機関での利用から個人レベルの利用までカバーできるように設定されている Amazon Web Service は 2006 年からサービス提供が開始されたが その時点において十分に実用的な 企業レベルでの運用を保証できるサービスであった 24 それに対しグーグルは 2008 年 4 月に Web アプリケーションのためのホスティングの提供を開始したが Amazon Web Service と同等の機能を 同等の価格と品質で提供できるようになるには 20014 年まで要することにになった このクラウドサービス市場における両社の関係は実績においてはアマゾンが優位であり 公表に同意している利用企業の他にも Amazon Web Service の顧客が存在することがアナウンスされている それに対してグーグルは 各サービスのネーミングを Google Cloud に一本化してリブランディングを図ってもなお宣伝効果のある公表できる顧客および導入事例において溝を開けられているのが現状である しかしながらアップルが自社のクラウドサービスのバックアップ先をアマゾンからグーグルへ切り替えたことが明らかになっており グーグル自身のサービスの安定性 ダウンタイムの低さに加え グーグルが保有するインフラの信頼性の高さもあり アマゾンとグーグルがそれぞれ提供するサービスの機能や品質においては拮抗していると考えられ 両者は競争的な関係にあるといえる 25 4. グーグル対アマゾン 競争政策上の課題 4.1 オンラインサービスとプラットフォームにおける対立グーグルとアマゾンの両社とも電子端末を販売し 消費者に近い場所に自社の端末を送り出すことに成功している グーグルは Android OS 搭載のスマートフォンにより アマゾンは Fire OS 搭載の電子書籍やタブレット端末により 消費者を自社のサービスに誘導しているといえる またネットワークインフラにおいて両社は拮抗しうる存在であり どちらも十分な設備とバッグボーンを有したサーバ群を保有しているため 自社のオンラインサービスを自由に展開できる力を持つ企業であるといえる このインフラを背景として 両社は消費者に対するサービスを運用しているのである このように両社とも これまで考えられてきた業態とは異なる形へと そのビジネスを変化させていると見ることができる グーグルとアマゾンはともに 消費者に対するオンラインサービスを提供するプラットフォームとしての地位を競争しており 対立が生じているのである 26 この両社の対立は まずはオンラインサービスで提供されるコンテンツへの誘導において表面化した すでに述べたように Fire OS 搭載の端末はアマゾンのサービスへ誘導するため グーグルの提供する Google Play への接続が標準では制限されている 機能制限は前章において述べたとおりグーグルの容認するところであり それにあわせて Fire OS 搭載端末へ 23 AWS Docs https://aws.amazon.com/jp/documentation/?nc2=h_ql_d&awsm=ql-5 (2018 年 3 月閲覧 ) 24 アマゾンによるサーバ機能の貸し出しは 2002 年からすでに行われており アマゾンにはそのノウハウがあった 25 CNBC - Apple confirms it uses Google's cloud for icloud https://www.cnbc.com/2018/02/26/apple-confirms-it-uses-google-cloud-for-icloud.html (2018 年 3 月閲覧 ) 26 Haucap and Heimeshoff (2014) 関東学園大学, 2020. 関東学園大学経済学紀要第 46 集 9

の Chrome Gmail 等のグーグル製アプリケーション搭載の制限されている一方 当初はグーグルが提供する最大手動画サービスである YouTube は利用できる状態にあった そのため多くの消費者が YouTube を視聴するために 廉価な Fire OS 搭載端末を選択するという状況が発生したが このことを受けてグーグルが Fire OS 搭載端末からの YouTube への接続を遮断したのである グーグルは アマゾンがグーグル製品をアマゾンの商品として取り扱わないにも関わらず グーグルのサービスに乗り入れができることを Fire OS 搭載端末の付加価値としていることに不快感を示し この YouTube の遮断はアマゾンの側に非があると主張している さらにアマゾンはグーグル製の端末からアマゾンのサービスへの乗り入れを アマゾンが制限しているために親和性が低下していることに対しても不満を述べた 27 このようなグーグルの対応をうけてアマゾンはグーグル製の端末や機器を 自社のオンラインストアの取り扱い品目から排除し さらにグーグル側が接続を遮断したことを受けて 消費者に Amazon Prime Music や Amazon Prime Video 等の自社サービスへの誘導を強め 対立を深めることとなった 4.2 プラットフォーム事業者としてのグーグル アマゾンの行動消費者に対する戦略という面においては小売業に軸足をおいていたアマゾンに一日の長があり オンラインストアにおける Amazon Prime 等のロイヤルカスタマー向けの優遇サービスと連動した商品展開と 充実したコンテンツの提供により グーグルに先んじて端末のシェアを大きく拡大している 一方グーグルは オンラインサービスにおいては高いシェアを有しているが 消費者向けの戦略においては自社製 Android OS 搭載端末の販売事業の失敗や Google Play の扱うコンテンツの薄さが問題となっており アマゾンほどビジネスが軌道に乗っているとはいえない状況にある そのようなビジネス面での違いはあるが グーグルおよびアマゾンはともに 自社が提供しているサービスやコンテンツに消費者を誘導することを目論んでおり それによって広告料収入や販売 手数料による収益を得ることを意図している そのために必要となるものは 消費者と自社をつなぐ関係であり また消費者だけでなく コンテンツ等の生産者がその環境に乗り入れることを魅力と感じるだけのプラットフォームとして自社が選択されることである 28 消費者と自社をつなぐ仕組みは スマートフォンなどの電子端末であり 検索サイトやオンラインストアといった Web ページが その役割を担うと考えられる またプラットフォームとしての役割は グーグルよびアマゾンの提供するストアと決済システムが担っていると考えられる これまでグーグルはソフトウェア企業 アマゾンは小売 流通業として考えられてきたが 両社が目指しているものはプラットフォーム事業者としての立場であり この点において両社は ともに電子端末や Web ページというフロントエンドから コンテンツと決済システムというバッググラウンドまでを備え持った企業として プラットフォームにおける競争状態にあると考えられる 27 engadget - Google is blocking YouTube on Amazon's Echo Show and Fire TV https://www.engadget.com/2017/12/05/google-blocking-youtube-on-amazon-echo-show-fire-tv/ (2018 年 3 月閲覧 ) 28 アイゼマン他 (2007) 関東学園大学, 2020. 関東学園大学経済学紀要第 46 集 10

4.3 端末による消費者の囲い込みと取引拒絶の問題グーグルとアマゾンの対立は 先に述べた両社が販売する電子端末でのサービスへの乗り入れの遮断や自社製品の取り扱いの有無だけにとどまらず さらに深まることとなった ライバルの提供するサービスや機能への制限 遮断が報復的に重ねられており アマゾン製のスマートスピーカーにおいてはグーグルのサービスへの乗り入れが原則として制限された 29 また同様に グーグル製のスマートスピーカーにおいてもアマゾンから商品を購入することができないという制限が課せられた このことは消費者が 電子端末 スマートスピーカー等の製品を選択するにあたり 囲い込みを生んでいると考えることができる 特にスマートスピーカーは これからにおいて消費者とインターネットをつなぐポータルとしての役割を有する主流の装置となっていくであろうことが予測されているので 家庭に設置されるスマートスピーカー市場において主流になることは プラットフォーム戦略において自社の立場を優位にすることができる 30 ゆえに両社は 消費者の囲い込みを目論むライバルのサービスへの接続制限と併せて 製品の値引き競争を積極的に展開している 31 スマートスピーカーの市場は 新しい製品が継続的にリリースされていることもあり 競争的に見える しかしながらその実態は 消費者の手元に置かれるポータルとしての役割を掛けた競争であるといえ 消費者を自社のサービスへ囲い込みたいがための戦略であると考えられるのである 32 このグーグルのスマートスピーカーやスマートフォンアプリケーション等においてアマゾンのサービスが指定できないこと および同様にアマゾンの端末からグーグルのサービスが利用できない問題は 双方における取引拒絶であるといえ このことは消費者の選択の自由を阻害していると考えられる サービスへの乗り入れを互いに制限していることで 消費者はどちらかの企業の端末を購入することを検討しなければならず とくに一環境に一台の利用が想定されるスマートスピーカーのような製品は スマートフォンと異なり個人が複数台を所有する製品ではないため このように製品の選択の自由が制限されることは 大きな問題であるといえる 5. グーグル アマゾンの今後の課題 5.1 健全なプラットフォーム競争のために求められる対応論者はネットワーク上におけるビジネスでの囲い込みの問題に対しては マイクロソフトの状況を教訓とすることができることに注目してきた なかでもこのような囲い込みの問題に対しては 第一に消費者の選択の自由を確保が重視される必要があるといえ 市場における競争を促進するためには 早期の指導を行う必要があることに注目した 欧州委員会によるマイクロソフトへの取り組みのように 指導によって消費者の選択の自由が実現されることが実現すれば Windows OS 上におけるメディアプレイヤーのように プラットフォームとしての役割 29 検索機能においてはグーグルを利用するが グーグルが提供する Google Play 等のサービスを用いることはない 30 Linden and Smith (2003) 31 Google Home は 2 台購入で 1 台無料 対する Amazon Echo は大幅値下げというように 値下げ競争が続いている 32 多くの消費者を抱えたプラットフォームは ツーサイド戦略において生産者に対しても強い立場を得ることができる 関東学園大学, 2020. 関東学園大学経済学紀要第 46 集 11

を持ちつつ その環境の上で消費者が好みの製品を利用することを実現することができる しかし論者がマイクロソフトのケースにおいて考えたように 取引拒絶が継続され ライバル企業の排除を目的として 囲い込みにつながるような製品を展開する戦略を行うようであれば 第二には多くの役割を取り込んで肥大化した企業の分割を含むより強い対応が求められることについても考えた 33 このグーグルおよびアマゾンの事例に対しても マイクロソフトに対して考えられたことと同じように 消費者の選択の自由の確保が求められると考えられる 互いに取引拒絶といえるような形でオンラインサービスの参照をできなくしている端末を販売していることは 消費者の囲い込みを目的としていることは明らかである グーグルとアマゾンの間においては 提供されるコンテンツの内容や価格で競争を行うような 健全な競争がされているとは言えない ゆえに マイクロソフトに対するケースで見てきたように グーグルおよびアマゾンに対しても 消費者の選択の自由の実現という判断基準において 早急に指導を行う必要があることが考えられる その指導は第一に 取引拒絶ともいえる状況を改善することを目指すことが求められる グーグルはアマゾン製の端末からの自社サービスへの乗り入れを規制するべきではなく またアマゾンはグーグル製の端末の取り扱いを拒否すべきではない 消費者が求めているものは何かを考えれば グーグルおよびアマゾンのこの取引拒絶は何ら消費者に対して利得を生んでおらず 優先して指導を行う必要があるといえる この取り組みにより 両社の競争は 消費者に対するサービスや生産者に対し提供されるインセンティブといった プラットフォーム事業の本質的な部分において行われることになり オンラインストアやコンテンツ販売においても競争が健全に行われることが考えられる また第二には 今後に現れるであろう新しい端末やサービスにおいて 同様の取引拒絶を行うことがないように注視し 継続的に指導を行っていくことも重要である 5.2 競争政策からみた消費者の選択の自由の確保の必要性グーグルとアマゾンに対して求められるものは 消費者の選択の自由の確保であり またプラットフォーム上での競争を促進させることである 製品やサービスで囲い込まれることで 消費者の行動が制限されることがあってはならず そのために必要なものは 消費者の選択の自由を念頭においた 当局による指導であると考えられる しかし指導を行っても改善が見られない場合 マイクロソフトの事例で検討されたように 企業分割を含めたエンフォースメントを検討するべきであるといえる プラットフォームにおける競争を円滑に行うためには プラットフォーム自体の魅力による競争が行われることが重要であり そのためにはオープンであることが求められると考えられている 34 マイクロソフトの事例においては マイクロソフトは Windows OS を 当初はアプリケーション機能を抱き合わせることで高機能化された 競合するライバル製品の乗り入れる余地のない製品として取り扱ってきたが メディアプレイヤーに対する指導を受けて以降 オープンプラットフォームとして OS の位置づけを模索するように変化している 同様のことはグーグル アマゾンに対しても求められるといえ 彼らがプラットフォームとしての役割を目指すの 33 日本経済政策学会第 74 回全国大会自由論題 アップル グーグルによる規制なき抱き合わせへの対応 等 34 Evans (2004) 関東学園大学, 2020. 関東学園大学経済学紀要第 46 集 12

であれば それは製品によって消費者を囲い込んだクローズドなものではなく 消費者から見て多くの選択肢が保証されたあるオープンなものであるべきだと考えられる これまでも見てきたようにグーグルは この種の当局からの指導に対しては 比較的柔軟な対応をとることが予想される グーグルの戦略には常に政府や当局への歩み寄りが見られ 自社がインターネットにおける公共的な機能を担う企業であることを自覚し そのために求められる振る舞いについて理解をしているようにも見える 訴訟が長期化したマイクロソフトに対し グーグルは検索エンジンにおける反競争的な行為や著作権問題においても 当局からの指導に対して 迅速な対応を行い またそれをさらに良い形でビジネスへと展開してくることができた 一方 アマゾンは現在抱えている訴訟の多さから見ても 指導に迅速に対応すると考えることは難しい 事業が多角化したアマゾンは そのそれぞれの市場において問題を抱えており また多くの場合において当局と対立的である このようなアマゾンの振る舞いは これからの指導において問題を生むと考えられ アマゾンの対応が第二のマイクロソフト事件となることは十分に考えられる グーグルやアマゾンが当局からの指導を受け入れ 取引拒絶をやめる形で事業の変化が認められれば その対応は有効であったと考えられ 以降も継続して注視をしていくことでこの問題は改善されると考えられる しかし 万が一指導に従わなかった場合には 次の対応を考えておかなければならない それはマイクロソフトの事例と同様に 企業分割であるといえ グーグルやアマゾンからの端末ビジネスの切り離しや あるいはオンラインストア コンテンツ事業の切り離しといったことを検討する必要があるといえるだろう 5.3 突然の和解と取引拒絶の解消についてこのように対立していたグーグルとアマゾンであるが 2019 年 4 月 突然に和解を発表し アマゾンのオンラインストアでグーグル製品およびその関連製品の取り扱いを容認するとともに グーグルはアマゾン製の一部の端末からの接続を容認するという動きがあった 35 これは何らかの当局による圧力があったことではなく 指導や訴訟に拠らない問題の解決であったが 両者の間の対立関係の緩和につながる出来事であるとして市場からは好意的に捉えられた しかしながらそのプラットフォームの開放はまだ十分であるとは言えない 今回の販売の容認についてはアマゾンのオンラインストアにおいては自社の製品がグーグル製品に対して優位にあることを確認した結果であるとも考えられ それに対してグーグルが YouTube の接続を解禁したことも 新しく開始されたサービスである YouTube TV への接続誘導を目論んだものであると考えられる 事実 アマゾンで取り扱われるグーグル製品は アマゾンの自社製品に比較して値引き率が悪く 実質的には取り扱われているだけであるし また YouTube TV は Hulu や Netflix 等の他の競争相手の提供する動画サービスと比較して 権利やサービス範囲および価格の面から消費者からの評価は低調である Amazon Prime の付帯サービスである Prime Video がここ数年で広く普及し それにあわせて Alexa 搭載のスマートスピーカーの戦略的な低価格による普及が アマゾンの優位を固めたことは間違いなく 結果としてこの和解はプラットフォーマー間の競争における消費者 35 engadget 日本語版 Google と Amazon が和解 https://japanese.engadget.com/2019/04/19/google-amazon-fire-tv-youtube-chromecast/ (2019 年 6 月閲覧 ) 関東学園大学, 2020. 関東学園大学経済学紀要第 46 集 13

囲い込みの問題を解決するものではなく 両者の対立が表面化したことに対する見た目上の融和に過ぎないと考えることができる 取引拒絶については部分的には解消したが 依然として消費者の囲い込みは継続しており 消費者の選択の自由の改善のためにも さらなる指導が必要であると考えられるのである おわりに 本論はグーグルとアマゾンの対立について これまで注目されてこなかった 双方が調節的に対立している市場においての競争に目を向けて 彼らの対立に存在する問題について考えた 本論において整理したようにグーグル アマゾンともに それぞれの企業が属していると従来考えられてきた市場を超える形における競合関係は これまで積極的に分析されてきたとはいえず グーグルに対する規制の多くは検索エンジンおよびそこで扱われる情報に対するもので 同社が行っているオンラインストア マーケットにおける販売は規制の対象としての優先度は低い扱いであった アマゾンにおいても従来型の小売業との対立に焦点が当てられてきたが 同社がオンラインにおいて展開しているビジネスの競合関係についても同様に優先度が低い状況にあったことを明らかにすることができた グーグルとアマゾンは 自社のオンラインストアにおける競合製品を販売しないという取引拒絶を相互に行うことで対立し またオンラインサービスにおいてもそれぞれのサービスの利用を制限することで消費者に不利益を生じさせている状態にあることについて本論は注目した このグーグルとアマゾンの対立は これからの住環境 生活環境の ICT 化におけるプラットフォームの争奪戦であるといえ 注目すべき市場である そのような重要な市場において 利用者がグーグルまたはアマゾンのどちらの製品群に囲い込みを受けるかの選択を迫られている状況にあるといえることを 本論は明らかにした 吸収 合併 提携を活用することによって成長を重ねてきたグーグルやアマゾンは 一般的に理解されるような企業のイメージとは異なり 他業種や他市場への事業展開に取り組んでいる それはコンピュータとソフトウェアから 音楽配信事業やスマートフォンへの展開したアップルや ソフトウェア企業からハードウェア コンテンツ マルチメディアへの多角的進出を試みているマイクロソフトとも同様である そしてこれらの企業はプラットフォームやデファクトスタンダードを獲得する競争するにおいて ライバルに対して取引拒絶を行うことが問題である またその取引拒絶が消費者の囲い込みを進め 市場のバランスを損ねることについて本論は考えた 情報産業の企業の振る舞いに対する論者のこれまでの注目の視点から 健全なプラットフォーム競争のために求められる対応として 取引拒絶と囲い込みは利用者の選択の自由を侵害しているものであるといえる グーグルはアマゾン製の端末からの自社サービスへの乗り入れを規制するべきではなく またアマゾンはグーグル製の端末の取り扱いを拒否すべきではないといえ グーグルおよびアマゾンの取引拒絶は消費者に対して利得を生んでおらず この問題に対する 当局の指導が必要であると考えることができた 表面上は両社は和解した姿勢を見せているが 本質的な問題である消費者の選択の自由を損ねる囲い込みについては解決しておらず 積極的な行政の指導が必要である またこの指導に従わなかった場合には 端末ビジネスの切り離しや あるいはオンラインストア コン 関東学園大学, 2020. 関東学園大学経済学紀要第 46 集 14

テンツ事業の切り離しとして企業分割も検討する必要があることを今後の課題として想定する グーグルとアマゾンの直接的な対立はまだ明らかになったばかりであり これからの問題として 彼らの競争には継続的な注目を要するものであると考えられるのである 参考文献 [1] Buzudenski, O. and Henrike K. (2015) Is Amazon the Next Google? Ilmenau Economics Discussion Papers, Vol. 20, No. 97, pp.3-56. [2] Dempsey, P. (2015) The teardown Amazon echo digital personal assistant, IEEE Engineering & Technology, Vol.10, Issue 2, pp.88-89. [3] Evans, D, S. (2003) The Antitrust Economics of Multi-Sided Platform Markets, Yale Journal on Regulation, Vol. 20, Issue2, pp.326-381. [4] Edelman, B. (2015) Does Google leverage market power through tying and bundling? Journal of Competition Law & Economics, Vol.11, No.2, pp.365-400. [5] Fraser, E. M. (2010) Antitrust and the Google Books Settlement: The Problem of Simultaneity, Stanford Technology Law Review, Vol. 4, pp.1-22. [6] Haucap, J. and Heimeshoff, U. (2014) Google, Facebook, Amazon, ebay: Is the Internet driving competition or market monopolization? International Economics and Economic Policy, Vol.11, Issue1-2, pp.49-61. [7] Hsu, E. (2004) Antitrust Regulation Applied to Problems in Cyberspace: itunes and ipod, Intellectual Property Law Bulletin, Vol.9, pp.117. [8] Jarvis, J. (2011) What Would Google Do? : Reverse-Engineering the Fastest Growing Company in the History of the World (Reprint ed.), New York: Harper Collins. [9] Kagan, J. (2010) Bricks, Mortar, and Google: Defining the Relevant Antitrust Market for Internet-Based Companies, New York Law School Law Review, Vol.55, pp.271-292. [10] Khan, L. M. (2017) Amazon's Antitrust Paradox, Yale Law Journal, Vol.126, No.3, pp.710-805. [11] Linden, G. and Smith, B. (2003) Amazon.com recommendations: item-to-item collaborative filtering, IEEE Internet Computing, Vol.7, Issue 1, pp.76-80. [12] Pisano, G. P. and D. J. Teece (2007) How to Capture Value from Innovation: Shaping Intellectual Property and Industry Architecture, California Management Review, Vol. 50, pp.278-296. [13] Roberts, J. R. (2014) Mobile Tech Report 2014: Technology news from 2013 and predictions and insights about 2014, Oregon: Mindwarm Incorporated. [14] Takigawa, T. (2005) A comparative analysis of U.S., EU, and Japanese Microsoft cases: How to regulate exclusionary conduct by a dominant firm in a network industry, The Antitrust Bulletin, Vol.50, No.2, pp.237-266. [15] トーマス アイゼンマン, ジェフリー パーカー, マーシャル W ヴァン アルスタイン (2007) 市場の二面性のダイナミズムを生かすツー サイド プラットフォーム戦略 松本直子訳 ダイヤモンド バーバード ビジネスレビュー Vol. 225, pp.68-81 関東学園大学, 2020. 関東学園大学経済学紀要第 46 集 15

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