目 次 1. 無 線 LAN の 歴 史... 3 2. 無 線 LAN 物 理 層 の 特 性... 6 主 な 無 線 LAN 関 連 技 術... 9 理 論 上 のデータレートの 計 算... 20 無 線 LAN 計 測 の 計 測 器 構 成... 23 3. 送 信 計 測... 25

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目 次 1. 無 線 LAN の 歴 史... 3 2. 無 線 LAN 物 理 層 の 特 性... 6 主 な 無 線 LAN 関 連 技 術... 9 理 論 上 のデータレートの 計 算... 20 無 線 LAN 計 測 の 計 測 器 構 成... 23 3. 送 信 計 測... 25 最 大 送 信 電 力... 25 変 調 品 質... 29 スペクトル 計 測... 34 4. 受 信 機 計 測... 41 2

1. 無 線 LAN の 歴 史 基 本 の 無 線 ローカルエリアネットワーク(WLAN) 設 計 は アクセスポイントとクライアントという 考 え に 基 づいています アクセスポイントまたはルータは セルラーネットワークにおける 基 地 局 と 同 じ 役 割 を 果 たすもので 有 線 の 基 幹 回 線 と 無 線 のクライアントトラフィックとの 橋 渡 しとなります クライアントデ バイスには デスクトップ PC ノート PC スマートフォン ゲーム 機 プリンタなどがあります 1997 年 には IEEE 802.11 Working Group が IEEE 802.11 を 世 界 初 の 無 線 LAN 規 格 として 承 認 しました この 規 格 では 1 Mb/ 秒 と 2 Mb/ 秒 のデータレートをサポートしていました 1999 年 には 当 初 の 802.11 規 格 に 2 つの 重 大 な 改 正 が 承 認 されました IEEE 802.11a-1999 は 802.11a として 知 られるもので OFDM 技 術 を 利 用 して 5 GHz 帯 域 で 最 大 54 Mb/ 秒 のデータレートを 実 現 できます IEEE 802.11b-1999 は 802.11b として 知 られるもので 直 接 シーケンススペクトラム 拡 散 (DSSS direct sequence spread spectrum) 技 術 の 使 用 を 拡 大 して 2.4 GHz の ISM バンドで 最 大 11 Mb/ 秒 を 実 現 できます 802.11a は 2003 年 にリリースされた 802.11g の 基 となったもので 全 く 同 じ 直 交 周 波 数 分 割 多 重 (OFDM orthogonal frequency division multiplexing) 物 理 層 構 造 を 採 用 していますが 2.4 GHz 帯 となっています 802.11g が 求 められるようになったのは 商 用 のチャンネル 数 が 限 られていた 5 GHz 帯 での 802.11a の 普 及 が 進 まなかったためです 業 界 のトップ 企 業 によるコンソーシアムである Wi-Fi Alliance(WFA)は 多 彩 なベンダが 提 供 する IEEE 802.11 デバイスの 相 互 運 用 性 品 質 操 作 性 を 高 めることを 目 的 として 1999 年 に 設 立 されたものです IEEE 802.11 デバイスのメーカーは 同 団 体 から Wi-Fi 認 定 を 求 めることができます それにより 図 1.1 に 示 すような Wi-Fi ロゴを 無 線 LAN 製 品 に 貼 付 することが 可 能 となります 図 1.1. Wi-Fi ロゴ 3

1990 年 代 後 半 以 来 IEEE 802.11 ファミリの 規 格 は 継 続 的 に 進 化 し データレートの 高 速 化 をもたらしまし た IEEE 802.11n は 2009 年 に 正 式 にリリースされたものですが 暫 定 仕 様 にもとづいた 製 品 は 2006 年 か ら 販 売 されていました この 規 格 では 既 存 の 802.11a b g の 各 規 格 に 比 べ データレートが 大 幅 に 向 上 しています IEEE 802.11n は より 広 いチャンネル 帯 域 幅 に 対 応 し(20 MHz から 40 MHz に 向 上 ) 無 線 LAN 規 格 として 初 めて 最 大 4x4 MIMO(multiple input, multiple output)を 採 用 し 複 数 のアンテナでのデ ータストリームを 定 めました その 結 果 802.11n では 理 論 上 のデータスループットが 20 MHz チャンネル で 54 Mb/ 秒 から 300 Mb/ 秒 に 40 MHz チャンネルでは 600 Mb/ 秒 に 向 上 し 向 上 しました 2012 年 には 802.11n よりデータレートが 大 幅 に 改 善 した 最 終 的 な 802.11ac 暫 定 改 正 案 がリリースされま した 802.11ac では 最 大 160 MHz のチャンネル 帯 域 幅 256-QAM などの 高 次 変 調 方 式 最 大 8x8 の MIMO 構 成 を 使 用 することで 理 論 上 の 最 大 データスループットは 6.93 Gb/ 秒 となっています 表 1.1 は 802.11 規 格 の 進 化 の 概 要 を 説 明 したものです 年 規 格 スループット 1 目 的 1997 802.11 2 Mb/ 秒 最 初 のリリース 物 理 層 (PHY)に 基 づき 2.4 GHz の ISM 帯 域 でデータレートは 1 Mb/ 秒 および 2 Mb/ 秒 1999 802.11a 54 Mb/ 秒 5 GHz 帯 域 で OFDM ベースの PHY を 追 加 1999 802.11b 11 Mb/ 秒 最 初 の 規 格 からの ISM 帯 域 における DSSS PHY を 最 大 11 Mb/ 秒 に 拡 張 2003 802.11g 54 Mb/ 秒 802.11a で 導 入 された OFDM ベースの PHY( 最 大 54 Mb/ 秒 ) を 2.4 GHz の ISM 帯 域 に 実 装 2007 802.11-2007 複 数 の 改 正 規 格 (802.11a,b,g 等 )を 802.11 に 統 合 2009 802.11n 600 Mb/ 秒 2.4 GHzと 5 GHzの 量 帯 域 で MIMO オプションを 追 加 最 大 デ ータレートは 54 Mb/ 秒 ( 必 須 )から 600 Mb/ 秒 ( 任 意 )の 範 囲 2012 802.11-2012 複 数 の 改 正 規 格 (802.11k,r,y 等 )を 802.11 に 統 合 2014 802.11ac 6.93 Gb/ 秒 5 GHz 帯 域 での HT(802.11n) 仕 様 を 拡 張 し より 広 いチャンネル 帯 域 幅 におけるスループットの 向 上 高 密 度 変 調 追 加 の MIMO ス トリームを 実 現 複 数 の 局 と 任 意 の 仕 様 を 合 わせて 使 用 すること で 6.77 Gb/ 秒 という 理 論 上 のスループットを 実 現 可 能 TDB 802.11ad 7 Gb/ 秒 60 GHz 帯 域 で 極 めて 高 い 理 論 上 のスループット(7 Gb/ 秒 )を 実 現 す る 最 新 規 格 表 1.1 無 線 LAN 規 格 リリースの 歴 史 4

802.11 命 名 規 則 802.11a b g ac といった 各 IEEE 802.11 規 格 は 使 用 している 特 定 の 技 術 を 識 別 するものでしたが 802.11 仕 様 の 2012 版 では 各 802.11 規 格 について 特 定 の 命 名 基 準 を 設 けています 表 1.2 は それぞれの 技 術 の 代 替 名 を 示 しています 規 格 代 替 名 実 現 技 術 802.11b DSSS または HR/DSSS DSSS CCK 802.11a OFDM OFDM 802.11g OFDM OFDM 802.11n HT OFDM MIMO 802.11ac VHT OFDM MIMO MU-MIMO 表 1.2. 802.11 規 格 の 代 替 名 表 1.2 に 示 すように 802.11a および 802.11g 修 正 は 集 合 的 に OFDM 修 正 の 一 部 とみなされています 1 記 載 されているスループットは 規 格 では 必 須 でない 任 意 仕 様 を 含 む 最 大 可 能 値 です 5

2. 無 線 LAN 物 理 層 の 特 性 帯 域 とチャンネル 無 線 LAN は 2.4 GHz と 5 GHz 付 近 の ISM(industrial, scientific, medical)バンドで 稼 働 するよう 設 計 され たものです 802.11b 802.11g 802.11n で 使 用 される 2.4 GHz 帯 は 表 2.1 のように 2.412 GHz~2.484 GHzの 14 チャンネルから 構 成 されます 全 ての 地 域 で 全 てのチャンネルが 使 用 されるわけではなく どの チャンネルを 使 用 するかは 各 国 の 規 制 によって 決 まります チャンネル 中 心 周 波 数 1 2.412 GHz 2 2.417 GHz 3 2.422 GHz 4 2.427 GHz 5 2.432 GHz 6 2.437 GHz 7 2.442 GHz 8 2.447 GHz 9 2.452 GHz 10 2.457 GHz 11 2.462 GHz 12 2.467 GHz 13 2.472 GHz 14 2.484 GHz 表 2.1. 802.11 チャンネルの 周 波 数 割 り 当 て 一 方 802.11a 802.11n 802.11ac の 各 規 格 は 全 て 5.15 GHz~5.875 GHzの 5 GHz 帯 を 使 用 しています 5 GHzの 無 線 LAN で 利 用 できる 無 線 帯 域 は ISM バンドと U-NII(Unlicensed National Information Infrastructure) 帯 の 混 合 です 表 2.2 は 5 GHzの 無 線 LAN 帯 域 を 示 しています U-NII U-NII Low (U-NII-1) U-NII Mid (U-NII-2) U-NII Worldwide (U-NII-2e) U-NII Upper (U-NII-3) ISM 帯 域 5.15 5.25 GHz 5.25 5.35 GHz 5.47 5.725 GHz 5.725 5.825 GHz 5.725 5.875 GHz 表 2.2. 無 線 LAN の 5 GHz 帯 2.4 GHz 帯 と 同 様 どの 帯 域 が 利 用 できるかについては 各 国 の 規 制 によって 決 まります ISM バンドと U- NII 帯 には 無 許 可 スペクトラムが 含 まれるため この 帯 域 で 動 作 するデバイスは 他 のデバイスからの 干 渉 信 号 を 許 容 する 必 要 があります 6

帯 域 幅 構 成 最 初 の 802.11 仕 様 で 利 用 可 能 なチャンネル 帯 域 幅 は 20 MHz でしたが 表 2.3 に 示 すとおり 以 降 のレビジ ョンで 40 MHz 80 MHz 160 MHz に 拡 張 されています PHY 規 格 動 作 帯 域 (GHz) チャンネル 帯 域 幅 (MHz) 最 大 MIMO 最 高 次 変 調 方 式 DSSS 802.11 b 2.4 20 N/A DQPSK 11 OFDM 802.11 a/g 5 / 2.4 20 N/A 64 QAM 54 HT 802.11 n 5 / 2.4 20/40 4x4 64 QAM 600 VHT 802.11 ac 5 20/40/80/160 8x8 256 QAM 6933 表 2.3. 802.11 規 格 の 帯 域 幅 構 成 理 論 上 の 最 大 スループット (Mb/ 秒 ) 表 2.3 に 示 すように DSSS 技 術 は 802.11b 規 格 の 一 環 であるため 2.4 GHz 帯 に 限 定 されています さら に VHT 仕 様 は 5 GHz 帯 のみに 対 応 しています 802.11n と 802.11ac の 帯 域 幅 構 成 802.11n では 20 MHz と 40 MHz の 帯 域 幅 が 利 用 できます 802.11ac では 20 MHz 40 MHz 80 MHz 80+80 MHz および 160 MHz の 帯 域 幅 が 利 用 可 能 です 802.11ac では 図 2.1 に 示 すように 広 範 なチャンネル 帯 域 幅 割 り 当 てオプションに 対 応 しています 802.11ac は 5 GHz 帯 のみで 利 用 でき 2.4 GHz 帯 には 対 応 していません 7

5170~5330 MHz 5490~5730 MHz 5735~5835 MHz 20 MHz 40 MHz 80 MHz 160 MHz 不 連 続 図 2.1. 802.11ac と 802.11n の 帯 域 幅 割 り 当 て(20 MHz 40 MHz のみ) 802.11ac では 連 続 および 不 連 続 の 160 MHz 帯 域 幅 が 利 用 できます 不 連 続 の 160 MHz 伝 送 は 一 般 に 80+80 モードと 呼 ばれます 連 続 160 MHz 伝 送 の 信 号 は 2 つの 80 MHz 伝 送 が 隣 接 しており 160 MHz の 連 続 スペクトルを 占 有 しています それを 図 2.2 に 示 します 電 力 周 波 数 図 2.2. 802.11ac の 160 MHz 帯 域 幅 伝 送 のスペクトルシグネチャ 図 2.2 からわかるように 160 MHz 信 号 は 2 つの 80 MHz 搬 送 波 が 合 わさった 構 造 をしています そ のため それぞれの 搬 送 波 は 別 々に 復 調 することができます 802.11ac では 連 続 160 MHz 帯 域 幅 モードに 加 え 80+80 の 不 連 続 160 MHz モードもサポートしています 8

この 帯 域 幅 割 り 当 てを 使 用 する 際 デバイスは 合 わせて 160 MHz の 伝 送 帯 域 幅 になるよう 任 意 の 2 つの 80 MHz チャンネルを 使 用 できます 不 連 続 160 MHz モードでは 図 2.3 に 示 すようにチャンネルを 80 MHz 以 上 離 すことが 可 能 です 80+80 構 成 の 場 合 無 線 LAN デバイスは 通 常 2 つの RF 受 信 機 を 使 用 し ます 電 力 図 2.3. 802.11ac の 80+80 MHz 伝 送 のスペクトルシグネチャ 周 波 数 160 MHz モード 伝 送 は 2 つの 隣 接 する 80 MHz 搬 送 波 を 合 わせた 構 造 となっているため 2 つの 送 受 信 機 を 使 用 して 80+80 オプションをサポートするシステムは 160 MHz モードもデフォルトでサポートしています 主 な 無 線 LAN 関 連 技 術 802.11 仕 様 は スペクトルの 適 度 な 利 用 で 高 データレートを 確 実 に 実 現 できる 様 々な 主 要 技 術 を 使 用 します 例 えば DSSS の 場 合 2.4 GHzスペクトルでは 干 渉 に 対 する 高 い 耐 性 がありますが それは 他 の 無 線 技 術 も 使 用 します また 802.11 規 格 の 802.11a-1999 レビジョンは 商 用 無 線 規 格 として 初 めて OFDM を 採 用 しまし た また 802.11n は 最 大 4x4 MIMO を 可 能 にした 初 の 商 用 規 格 の 1 つです 以 降 のセクションでは 主 な 無 線 LAN 技 術 についてさらに 詳 しく 説 明 し 実 装 について 具 体 的 に 紹 介 します 9

DSSS (direct sequence spread spectrum) 最 初 の 802.11 規 格 (1997)の 開 発 時 には 2.4 GHzのISMスペクトルを 使 用 する 無 線 規 格 が 増 えること への 大 きな 懸 念 がありました 結 果 として IEEE 802.11 委 員 会 は 干 渉 から 守 るため DSSS 技 術 を 採 用 し ました DSSS 伝 送 では 変 調 信 号 が 疑 似 ランダム 拡 散 符 号 によって 乗 算 され 受 信 機 が 信 号 を 復 調 するに は 信 号 の 追 跡 において 同 じ 拡 散 コードを 適 用 する 必 要 があります 拡 散 コードを 使 用 することで 望 まし い 信 号 の 信 号 電 力 が 強 化 され 正 しい 拡 散 コードを 使 用 していない 信 号 の 信 号 電 力 が 減 衰 されます そのた め 受 信 機 は 干 渉 を 無 視 できるようになり 狭 帯 域 および 広 帯 域 の 干 渉 に 対 し 耐 性 を 持 つようになります 図 2.4. 周 波 数 領 域 で DSSS の 画 像 が 表 示 できます 1 Mb/ 秒 および 2 Mb/ 秒 データレートの 拡 散 コードとして 11 ビットのバーカーシーケンス(Barker sequence)を 使 用 しました 5.5 Mb/ 秒 および 11 Mb/ 秒 のデータレートでは 8 ビット 拡 散 コードを 使 用 す る CCK( 相 補 型 符 号 変 調 )を 採 用 しています 現 在 802.11b 規 格 は DSSS HR/DSSS とも 呼 ばれています HR とは 高 レート(high rate)のことで 802.11b では 5.5 Mb/ 秒 と 11 Mb/ 秒 に 相 当 します 10

OFDM (orthogonal frequency division multiplexing) 一 部 の 例 外 を 除 いて ほとんどの 無 線 LAN では OFDM 伝 送 を 利 用 します OFDM は 当 初 802.11a 仕 様 の 一 環 として 採 用 され その 後 802.11g 仕 様 でも 採 用 されました 最 新 の 802.11 規 格 では 802.11a と 802.11g の 改 正 をまとめて OFDM 仕 様 と 呼 んでいます 802.11a/g 以 降 802.11n を 含 む 802.11 規 格 の 全 主 要 レビジョンと 802.11ac は OFDM 技 術 に 基 づいています OFDM の 基 本 設 計 では 広 帯 域 のシングルキャリアではなく 大 量 の 狭 帯 域 直 交 サブキャリアを 使 用 して データ 伝 送 を 個 別 に 並 列 処 理 します OFDM 固 有 の 機 能 として 複 数 の 直 交 サブキャリアを 変 調 するメカ ニズムは 図 2.5 に 示 すように 逆 離 散 フーリエ 変 換 (IDFT)によって 実 現 しています ビット デ シ リ ア ラ イ ザ シンボル マッピング 逆 DFT シ リ ア ラ イ ザ サイクリック プレフィックス 挿 入 IQ 図 2.5. 基 本 的 な OFDM 伝 送 のブロック 図 図 2.5 は 各 サブキャリアが 個 別 に 変 調 されていることを 示 しています OFDM 伝 送 で 各 サブキャリア に 対 し 固 有 の 変 調 方 式 を 使 用 することは 理 論 上 は 可 能 ですが(LTE などのモバイル 通 信 規 格 に 実 装 ) 無 線 LAN 伝 送 では 全 てのサブキャリアに 同 じ 変 調 方 式 を 採 用 する 必 要 があります さらに 図 2.5 では 逆 DFT の 後 にサイクリックプレフィックスが 挿 入 されています サイクリックプレフィックス(CP, cyclic prefix)は 時 間 領 域 でガードインターバル(guard interval)の 役 割 を 果 たします そのため 連 続 する OFDM シンボル 間 に おけるシンボル 間 干 渉 (ISI intersymbol interference)の 影 響 が 最 小 限 に 抑 えられ サブキャリア 間 の 直 交 性 が 維 持 されます OFDM 伝 送 の 逆 DFT は シンボルを 部 分 的 に 重 複 するサブキャリア 上 に 変 調 します ただし 図 2.6 に 示 すとおり 全 てのサブキャリアがデータ 伝 送 に 使 われるわけではありません 多 くのデータサブキ ャリアに 加 え パイロットサブキャリアがチャンネル 全 体 に 配 置 されています パイロットサブキャリアは 同 期 とチャンネル 推 定 に 使 用 します 図 2.6 では チャンネル 内 でサブキャリアが 抑 制 されている 領 域 があることがわかります 通 常 それらの 領 域 はヌルサブキャリアと 呼 ばれます ヌルサブキャリアは チャンネル 間 干 渉 から 保 護 するため チャン ネルのエッジに 配 置 されています 最 も 顕 著 なのが チャンネルの 中 央 でのヌルサブキャリアの 使 用 です これにより その 領 域 での OFDM 変 調 の 質 を 低 下 させている 中 心 周 波 数 関 連 の 問 題 つまり LO リークがミ 11

キサから 除 去 されます ヌルサブキャリア (ガードバンド) パイロット サブキャリア ヌルサブキャリア (LO リーク) データ サブキャリア 周 波 数 図 2.6. 周 波 数 領 域 における OFDM サブキャリア OFDM システムで 複 数 の 狭 帯 域 キャリアを 使 用 すると 1 つの 広 帯 域 キャリアを 使 用 する 場 合 に 比 べいくつ かのメリットがあります 中 でも 最 も 顕 著 なのが ISI の 低 減 で チャンネル 等 化 (channel equalization)が 劇 的 に 簡 素 化 されます シングルキャリア 変 調 方 式 のチャンネル 帯 域 幅 が 増 えると シンボル 周 期 はそれに 伴 って 短 縮 します モバ イル 通 信 環 境 では 低 シンボル 周 期 で ISI が 大 きくなる 可 能 性 があります それは マルチパス 反 射 が 直 接 経 路 からの 信 号 に 対 し 遅 延 して 受 信 機 に 到 着 する 可 能 性 があるためです OFDM では 比 較 的 長 いシンボル 周 期 で 大 量 の 狭 帯 域 サブキャリアを 使 用 することで 広 帯 域 チャンネルの ISI を 軽 減 することができます 図 2.7 に 示 すように 比 較 的 長 いシンボル 周 期 での 伝 送 は 短 いものに 比 べシンボル 間 干 渉 の 影 響 を 受 けにくく なっています 12

電 力 シンボル 間 干 渉 短 いシンボル 周 期 電 力 ISI の 減 少 長 いシンボル 周 期 時 間 図 2.7. 長 いシンボル 周 期 での 伝 送 は ISI の 影 響 を 受 けにくい 時 間 無 線 LAN 伝 送 では OFDM サブキャリアはシンボルレートが 比 較 的 低 く(312.5 khz) シンボル 周 期 が 比 較 的 長 くなっています 長 いシンボル 周 期 とサイクリックプレフィックスの 実 装 という 組 み 合 わせにより 広 帯 域 シングルキャリア 伝 送 と 比 較 して OFDM 伝 送 における ISI が 軽 減 されます 802.11a/g 802.11n 802.11ac など Wi-Fi に 使 用 した 802.11 の 最 も 一 般 的 な 実 装 では OFDM 伝 送 は 全 て の 帯 域 幅 構 成 について 一 定 のシンボルレート(つまり 一 定 のサブキャリア 間 隔 )を 使 用 します 表 2.4 は FFT サイズを 大 きくすることでより 多 くのサブキャリアを 使 用 することにより 広 帯 域 オプションが 実 装 さ れることを 示 しています 帯 域 幅 FFT サイズ データ サブキャリア 20 MHz 64 52 4 40 MHz 128 108 6 80 MHz 256 234 8 (VHT のみ) 160 MHz (VHT のみ) 512 468 16 表 2.4. HT および VHT PHY の 帯 域 幅 構 成 と FFT サイズ パイロット サブキャリア 13

MIMO 受 信 機 と 送 信 機 で 複 数 のアンテナを 使 用 する MIMO 技 術 は 無 線 LAN 規 格 で 採 用 されている 重 要 な 技 術 です MIMO を 使 用 すると 無 線 チャンネル 経 由 での 通 信 の 信 頼 性 とスループットを 向 上 させることができます MIMO は 当 初 802.11n の 一 環 として 無 線 LAN に 採 用 され 次 に 802.11ac に 拡 大 されました 802.11n では SISO(single input, single output)から 4x4 MIMO までのアンテナ 構 成 をサポートしており 802.11ac では それが 8x8 MIMO にまで 拡 大 されています 4x4 や 8x8 などの 高 多 重 MIMO 実 装 は 関 連 コストの 複 雑 さと 物 理 サイズの 制 約 の 両 方 の 理 由 で 通 常 アク セスポイントとして 予 約 されています 携 帯 電 話 やコンピュータ タブレット 端 末 などのエンドデバイスは 当 初 よりアンテナを 1 つしか 実 装 していません ただし 統 合 テクニックの 進 歩 のおかげで 多 くのエンド デバイスは 2x2 や 3x3 といったシンプルな MIMO 構 成 を 使 用 するようになりました PHY 改 正 MIMO 構 成 備 考 DSSS 802.11b SISO OFDM 802.11 a/g SISO HT 802.11n SISO~4x4 MIMO シングルユーザ MIMO VHT 802.11ac SISO~8x8 MIMO シングルユーザ MIMO マルチユーザ MIMO 表 2.5. 802.11 規 格 の 帯 域 幅 構 成 表 2.5 に 示 すように 802.11ac ではシングルユーザとマルチユーザ(MU)の MIMO をサポートしてい ます MU-MIMO では クライアントリストごとに 様 々な 数 の 空 間 ストリームを 使 用 して アクセスポイン トで 複 数 のクライアントに 同 時 にブロードキャストできます Wi-Fi のアクセスポイントとクライアントは MIMO とマルチアンテナ 技 術 を 多 様 な 方 法 で 使 用 します 無 線 LAN における MIMO の 最 も 一 般 的 な 使 い 方 の 1 つとして 複 数 の 空 間 ストリームの 使 用 によるデータレ ートの 向 上 があります このテクニックは 空 間 多 重 化 と 呼 ばれるもので デバイスは 様 々なアンテナ 経 由 で 固 有 のデータストリームを 送 受 信 することができます MIMO 技 術 の 使 い 方 として 次 に 一 般 的 なのが 空 間 ダイバーシティによる 伝 送 の 多 様 性 や 冗 長 性 の 向 上 です Wi-Fi システムは 送 信 機 受 信 機 またはその 両 方 で 複 数 のアンテナを 実 装 することで より 高 い 空 間 ダイ バーシティを 実 現 できます 空 間 ダイバーシティによって 空 間 ストリームが 向 上 することはありませんが 受 信 機 の 有 効 な S/N 比 (SNR)を 上 げることで より 難 度 の 高 い 信 号 伝 搬 環 境 でデータレートを 高 めること ができます 実 用 においては 多 くの Wi-Fi システムは 空 間 多 重 化 と 空 間 多 様 性 を 組 み 合 わせることで 高 データレートと 堅 牢 性 の 向 上 を 両 立 しています 14

空 間 多 重 化 MIMO によって 高 データレートが 実 現 するメカニズムは 空 間 多 重 化 の 原 理 によるものです 空 間 多 重 化 とは 複 数 のデータストリームを 複 数 のアンテナを 使 って 同 じチャンネルに 同 時 に 送 受 信 することです 基 本 概 念 は 図 2.8 に 示 すとおり 受 信 機 は 無 線 伝 送 路 の 特 性 から 各 送 信 ストリームを 再 構 築 できるというも のです 空 間 多 重 化 空 間 非 多 重 化 デシリア ライザ 図 2.8. MIMO システムでは 空 間 多 重 化 によってデータレートを 向 上 図 2.8 では 送 信 機 も 受 信 機 も 複 数 のアンテナを 使 用 しています また 任 意 の 時 点 で 各 送 信 アンテナ は 異 なるシンボルを 生 成 します 各 アンテナからの 伝 送 は 図 2.9 のように 互 いに 干 渉 し 合 っているように 見 えます 送 信 (x 1 ) 受 信 (y 1 ) 復 元 (x 1 ) 空 間 非 多 重 化 復 元 (x 2 ) 送 信 (x 2 ) 受 信 (y 2 ) 図 2.9. MIMO チャンネル[2]のコンスタレーション 図 15

図 2.9 ではまた いずれの 伝 送 も 受 信 機 にて 高 度 な 信 号 処 理 ( 空 間 デマルチプレクサ)を 行 うことで 同 時 に 復 元 できることもわかります そのため 送 信 された 各 ストリームは コンスタレーションプロット 上 の 最 適 なシンボルにマッピングできます 各 送 信 信 号 が 再 構 築 可 能 であるためには 複 数 の 受 信 アンテナを 使 用 す ることで チャンネルを 正 確 に 推 定 する 必 要 があります MIMO システムで 空 間 多 重 化 を 行 うと 複 数 のデータストリームを 並 列 で 送 受 信 できるようになるため 根 本 的 にデータレートが 向 上 します 一 般 に MIMO システムの 理 論 上 の 最 高 データレートを 特 定 するには SISO システムの 最 高 データレートに 空 間 ストリーム 数 を 乗 算 します 例 えば SISO システムで 100 Mb/ 秒 のデータレートを 実 現 できる 場 合 8 個 の 空 間 ストリームを 持 つ 8x8 MIMO システムは 最 大 で 800 Mb/ 秒 の データレートを 実 現 することが 可 能 です MIMO システムを 数 学 的 に 理 解 するためには 各 アンテナで 受 信 した 信 号 が 各 送 信 アンテナを 組 み 合 わせた ものであることをまず 考 慮 します さらに 図 2.10 に 示 すとおり 受 信 信 号 もチャンネル 特 性 の 影 響 を 受 け ます 図 2.10. 受 信 信 号 は 送 信 信 号 とチャンネル 特 性 を 合 わせたものです 16

図 2.10 に 基 づき チャンネルモデルは 式 2.1 および 2.2 に 示 す 式 で 数 学 的 に 表 すことができます y 1 h 11 x 1 + h 21 x 2 + n 1 y 2= h 12 x 1 + x 22 x 2 + n 2 式 2.1 および 2.2 MIMO チャンネルの 式 x i は 送 信 アンテナ i から 送 信 された 信 号 h ij はアンテナ j を 受 信 するための 送 信 アンテナ i からのチャンネル y i は 受 信 アンテナ i で 受 信 した 信 号 n i は 受 信 アンテナ i における 付 加 ノイズ 式 X および Y は 式 2.3 および 2.4 に 示 すように さらに 簡 素 化 して 行 列 形 式 にすることができます y 1 y = h 11 h 21 x 1 2 h 12 h 22 x + n 1 2 n 2 y = H x + n 式 2.3 および 2.4 MIMO チャンネルの 行 列 表 示 上 記 の 一 連 の 式 が 示 すように チャンネル 行 列 [H]が 既 知 であれば 受 信 機 は 送 信 ストリームとチャンネル 特 性 の 両 方 の 関 数 である 信 号 を 復 元 することができます そのため MIMO システムが 動 作 するには 各 チャ ンネルディスクリプタの 位 相 /ゲイン 特 性 を 正 確 に 推 定 する 必 要 があります 実 用 においては まず 既 知 のプリアンブルシーケンスもしくはパイロットサブキャリアを 合 わせたものから チャンネル 行 列 を 推 定 します この 行 列 が 既 知 になれば 以 降 の 伝 送 ではデータサブキャリアに 適 用 するこ とができます 17

空 間 ダイバーシティ MIMO 技 術 を 利 用 するのは データレートの 向 上 だけが 目 的 ではありません 802.11 規 格 では MIMO を 使 用 して 送 信 機 受 信 機 またはその 両 方 で 空 間 ダイバーシティを 実 装 しています 受 信 ダイバーシティのシンプルな 実 装 方 法 として 1x2 の SIMO(single input, multiple output) 構 成 で 最 大 比 合 成 (MCR maximum combining ratio)を 使 用 する 方 法 があります この 方 法 は 図 2.11 に 示 すように 受 信 機 は 各 受 信 アンテナから 集 録 した 信 号 を 単 に 結 合 するのみです 図 2.11. 1x2 SIMO 構 成 の 受 信 多 様 性 各 受 信 アンテナ~の 集 録 信 号 を 結 合 することで 受 信 機 は 受 信 信 号 の 有 効 SNR を 高 めることができます 受 信 ダイバーシティの 実 装 により 信 号 強 度 の 低 い 環 境 で 受 信 機 の 性 能 を 高 めることができます 無 線 LAN システムによく 実 装 されている 空 間 ダイバーシティの 2 つ 目 のテクニックは 時 空 間 ブロック 符 号 化 (STBC space-time block coding)です STBC 伝 送 では 時 間 により 異 なるシンボルを 伝 送 します が 各 シンボルは 複 数 回 送 信 されるよう 各 アンテナを 構 成 します STBC テクニックで 最 もシンプルなのは 1990 年 代 後 半 に Siavash Alamouti 氏 によって 開 発 された Alamouti 符 号 です 図 2.12 に 示 すように 2x1 MIMO 構 成 では 送 信 機 が 各 シンボルを 2 回 生 成 することが 可 能 です 時 間 空 間 図 2.12. Alamouti STBC 図 2.12 では 各 シンボルは 各 送 信 アンテナによって 1 回 送 信 されています 最 初 のタイムスロットで アンテナ Tx1 および Tx2 はそれぞれシンボル a1 および a2 を 送 信 します ただし 2 番 目 のタイムスロットでは アンテナ Tx1 はシンボル a2 の 負 の 複 素 共 役 を 送 信 し Tx2 はシンボル a1 の 複 数 共 役 を 送 信 します このシン プルな 開 ループ 符 号 化 方 式 なら 受 信 アンテナが 1 つしかなくても チャンネルフェーディングへの 抵 抗 力 に 優 れた 堅 牢 な 伝 送 が 可 能 です 18

マルチユーザ(MU)MIMO MU-MIMO は 空 間 多 重 化 での 使 用 に 加 え システムの 使 用 可 能 なリソースを 最 適 化 することができま す 空 間 多 重 化 を 使 用 した 場 合 の 性 能 の 向 上 は 顕 著 ですが アンテナとフィルタという 追 加 のハードウェア が 必 要 になります このハードウェアは 携 帯 電 話 やタブレット 端 末 プリンタ その 他 の Wi-Fi 接 続 型 エ ンドデバイスなど コストが 重 視 される 製 品 には 通 常 搭 載 されていません ただし 基 地 局 やアクセスポ イントはそのようなハードウェアを 搭 載 していることが 多 く 完 全 な MIMO 機 能 を 実 現 できます MU- MIMO なら 基 地 局 で N 個 のアンテナを 動 的 に 使 用 して エンドデバイスのサブセットと 個 別 に 通 信 するこ とが 可 能 です 図 2.13 は アクセスポイントに 8 個 のアンテナを 持 つ MU-MIMO 構 成 を 示 しています アンテナのうち の 2 個 は メディアサーバの 帯 域 幅 のニーズに 対 応 するよう 設 計 されています メディアサーバもスループッ ト 向 上 のため 2 個 のアンテナを 搭 載 しています アクセスポイントのアンテナは それぞれ 1 つのアンテナ のみ 搭 載 したシンプルなデバイス 専 用 とすることができます アクセスポイントからは 複 数 のエンドデバ イスが 1 つのアンテナを 共 有 できます 図 2.13. MU-MIMO 構 成 可 能 な 場 合 は 通 信 を MU-MIMO 伝 送 に 分 けることをお 勧 めします 例 えば 各 ユーザのデータストリー ムを 個 別 にし 電 力 レベルを 個 別 に 管 理 することができます その 結 果 アクセスポイントは 必 要 なデバイ スには 電 力 伝 送 を 高 め 同 時 に 損 失 の 少 ないチャンネルを 使 用 するデバイスでは 送 信 電 力 を 最 小 限 にするこ とが 可 能 となります これによりアクセスポイントの 消 費 電 力 が 低 減 し 放 射 される 総 エネルギー 量 が 削 減 されますので 全 ユーザの 通 信 チャンネルが 改 善 されます 19

理 論 上 のデータレートの 計 算 無 線 LAN 技 術 が 802.11 規 格 から 進 化 したように 以 降 の 改 正 では 高 次 変 調 方 式 や 高 帯 域 幅 MIMO 技 術 な どを 組 み 合 わせてより 高 いデータレートを 実 現 してきました 表 2.6 は 主 な 802.11 規 格 の 最 大 データレ ートを 示 しています 規 格 最 大 データレート 802.11 2 Mb/ 秒 802.11b 33 Mb/ 秒 802.11a 54 Mb/ 秒 802.11g 54 Mb/ 秒 802.11n 600 Mb/ 秒 802.11ac 6.933 Gb/ 秒 表 2.6. 無 線 LAN の 最 大 データレート 802.11a/g は 20 MHz の 帯 域 幅 で SISO リンクをベースに 54 Mb/ 秒 を 実 現 しますが 802.11n と 802.11ac は MIMO 高 次 変 調 方 式 広 いチャンネル 幅 (より 多 くの OFDM サブキャリアを 使 用 )といった 上 級 機 能 を 実 装 することで データスループットを 大 幅 に 高 めることができます 最 大 データレートは 式 2.5 で 特 定 で きます 最 大 データレート = (データキャリア 数 空 間 ストリーム 数 ビット 数 /シンボル コードレート) / シンボルの 持 続 時 間 式 2.5: デジタル 通 信 リンクの 最 大 スループット 命 名 法 について 考 慮 すべきなのは 空 間 ストリーム 数 変 調 タイプ コードレートのそれぞれの 組 み 合 わせ は 802.11 規 格 の 様 々なレビジョン 内 で 異 なる 表 記 となっている 点 です 例 えば 802.11a/b/g の 場 合 表 2.7 のように 変 調 レートと 符 号 化 方 式 のある 特 定 の 組 み 合 わせをデータレートによって 区 別 するのが 普 通 で した 規 格 データレート(MB/ 秒 ) 802.11b 1,2,5.5,11 802.11a/g 6,9,12,18,24,36,48,54 表 2.7. 無 線 LAN 旧 レビジョンのデータレート 理 論 上 のデータレートが 同 じになる 空 間 ストリーム 変 調 タイプ 符 号 化 レートの 組 み 合 わせは 複 数 あるの で 802.11n や 802.11ac といった 比 較 的 新 しい 規 格 では MCS(Modulation and Coding Scheme)という 用 語 を 用 います 20

802.11n の MCS インデックスは MCS0 から MCS76 までの 範 囲 にわたり 大 きい MCS インデックス 値 は 主 に 802.11n でサポートする 付 均 等 変 調 (unequal modulation)によるものです 不 均 等 変 調 の 例 として MSC33 ではストリーム 1 が 16-QAM ストリーム 2 が QPSK 変 調 を 使 用 します 空 間 ストリーム 数 も 802.11n の MCS インデックスと 関 連 付 けられています 802.11ac では 空 間 ストリーム 数 は MCS インデックスには 考 慮 されません そのため 802.11ac の MCS インデックスは MCS0 から MCS9 のみです 空 間 ストリーム 数 を 示 すには 別 の 用 語 が 使 用 されます 不 均 等 変 調 は 802.11ac ではサポートされていません 802.11a/g のデータレート 計 算 802.11a と 802.11g は 信 号 構 造 がほぼ 同 じ( 帯 域 は 異 なる)で データキャリア 数 シンボルレート 符 号 レ ートも 同 じです これらの 規 格 の 理 論 上 のデータレートを 計 算 するには 表 2.8 のパラメータを 使 用 しま す 属 性 値 備 考 データサブキャリア 48 FFT サイズ 64 を 使 用 空 間 ストリーム 1 全 ての SISO リンクに 適 用 ビット 数 /シンボル 6 log 2 64 = 6 符 号 レート ¾ 最 高 次 変 調 方 式 での 符 号 レート シンボル 持 続 時 間 4 µs 800 ns の 保 護 間 隔 を 含 む 表 2.8. 802.11a/g データレートに 影 響 するパラメータ 表 2.8 のデータから 式 2.6 を 用 いて 802.11a/g システムの 最 大 データレートを 求 めることができます 802.11n のデータレート 計 算 802.11a/g の 最 大 データレート = (48 1 6 3 )/4 µs = 54 Mbps 4 式 2.6. 802.11a/g のデータレート 計 算 802.11a/g と 異 なり 802.11n では 40 MHz 帯 域 幅 の 高 スループット(HT)オプションにより より 多 くの サブキャリアを 追 加 できます 20 MHz 帯 域 幅 におけるデータサブキャリアの 数 も 802.11a/g の 48 に 対 し 52 に 増 えています 802.11n は 4x4 MIMO を 実 装 することで 空 間 ストリーム 数 が 1(SISO)から 4 に 拡 張 されています 802.11n のデータスループットは 表 2.9 の 設 定 を 使 用 して 計 算 します 属 性 値 備 考 データサブキャリ 108 FFT サイズ 128 を 使 用 空 間 ストリーム 4 4x4 MIMO と 仮 定 ビット 数 /シンボル 6 log 2 256 = 6 符 号 レート 5/6 最 高 次 変 調 方 式 での 符 号 レート シンボル 持 続 時 間 3.6 µs 400 ns の 保 護 間 隔 を 含 む 表 2.9. 802.11n のデータレートに 影 響 するパラメータ 21

表 2.9 の 属 性 から 式 2.7 を 使 用 して 理 論 上 の 最 大 データレートを 計 算 できます 最 大 データレート = 108 4 6 5 /3.6μs = 600Mbps 6 式 2.7. 802.11n の 最 大 データレートの 計 算 式 2.7 に 示 すとおり 802.11n は 802.11a/g に 比 べスループットがおよそ 1 桁 高 速 になっています 表 2.10 は 802.11n でサポートされる MCS の 範 囲 を 示 しています MCS ストリーム 数 最 大 データレート(40 MHz) 備 考 0-7 1 均 等 150 Mb/ 秒 (MCS 7) BPSK~64-QAM 8-15 2 均 等 300 Mb/ 秒 (MCS 15) BPSK~64-QAM 16-23 3 均 等 450 Mb/ 秒 (MCS 23) BPSK~64-QAM 24-31 4 均 等 600 Mb/ 秒 (MCS 31) BPSK~64-QAM 32 1 均 等 6.7 Mb/ 秒 BPSK および SISO 33-38 2 不 均 等 225 Mb/ 秒 (MCS 38) 39-52 3 不 均 等 360 Mb/ 秒 (MCS 52) 53-76 4 不 均 等 495 Mb/ 秒 (MCS 76) 802.11ac のデータレート 計 算 表 2.10. 無 線 LAN 802.11n データレート 802.11a/g および 802.11n と 異 なり 802.11ac では 160 MHz 帯 域 幅 の 超 高 速 スループット(VHT very high throughput)オプションにより より 多 くのサブキャリアを 追 加 できます 最 大 データスループットには 追 加 の 空 間 ストリーム 256-QAM 変 調 方 式 高 速 符 号 レートも 関 係 します 802.11ac の 最 大 データスルー プットを 計 算 するには 表 2.11 に 示 すとおり 規 格 の 主 要 属 性 を 使 用 します 属 性 値 備 考 データサブキャ 468 FFT サイズ 512 を 使 用 空 間 ストリーム 8 8x8 MIMO と 仮 定 ビット 数 /シンボ 8 log 2 256 = 8 符 号 レート 5/6 最 高 次 変 調 方 式 での 符 号 レート シンボル 持 続 時 3.6 µs 400 ns の 保 護 間 隔 を 含 む 表 2.11. 802.11ac のデータレートに 影 響 するパラメータ 表 2.11 の 設 定 から 式 2.8 を 使 用 して 理 論 上 の 最 大 データレートを 計 算 できます 最 大 データレート= 468 8 8 5 /3.6μs = 6.933 Ggps 6 式 2.8. 802.11ac の 最 大 データレート 計 算 6.933 Gb/ 秒 は 802.11ac の 理 論 上 の 最 大 データレートですが サポートされる 帯 域 幅 と 空 間 ストリーム 数 では 広 範 なデータレートが 実 現 可 能 です 表 2.12 は 802.11ac のそのような 構 成 をいくつか 示 しています 22

チャンネル 空 間 ストリーム 変 調 方 式 コード データ BW レート サブキャリア データレート 20 MHz 1 256 QAM 3/4 52 86.7 Mb/ 秒 40 MHz 2 256 QAM 5/6 108 400 Mb/ 秒 80 MHz 4 256 QAM 5/6 234 1.733 Gb/ 秒 160 MHz 8 256 QAM 5/6 468 6.933 Gb/ 秒 表 2.12. 無 線 LAN 802.11ac データレート 最 大 表 2.12 の 最 大 データレートによって 決 まるのは 理 論 上 の 最 大 データレートのみです 現 実 には パ ケットのオーバーヘッドやメディア 共 有 などの 要 因 により 実 際 のデバイスのレートは 理 論 上 の 最 大 データ レートを 大 幅 に 下 回 ることがあります 無 線 LAN 物 理 層 計 測 物 理 層 計 測 を 理 解 することは デバイスの 製 造 プロセスと 設 計 プロセスの 両 方 にとって 極 めて 重 要 です 無 線 LAN デバイスの 開 発 プロセス 全 般 にわたって 様 々な 物 理 層 計 測 を 行 うことでデバイスの 性 能 を 理 解 し 評 価 します このセクションでは 2 種 類 の 無 線 LAN 計 測 について 説 明 します 1 つは デバイスからの 信 号 出 力 を 特 定 する 送 信 計 測 もう 1 つはデバイスが 受 信 信 号 を 復 調 する 能 力 を 評 価 する 受 信 計 測 です 802.11 デバイスの PHY 層 テストは 802.11 仕 様 で 説 明 されています 802.11 の 各 レビジョンの 計 測 の 多 くは 似 ていますが それぞれの 計 測 は 仕 様 書 の 対 応 するセクションで 個 別 に 定 義 されています 表 2.13 は 802.11 仕 様 書 で 各 技 術 について 無 線 LAN デバイスの 送 信 機 (Tx)/ 受 信 機 (Rx) 仕 様 を 定 義 している セクションを 示 しています 改 正 PHY Tx 仕 様 Rx 仕 様 802.11b DSSS セクション 16.4.7, 17.4.7 セクション 16.4.8, 802.11a OFDM セクション 18.3.9 セクション 18.3.10 802.11g OFDM セクション 18.3.9 セクション 18.3.10 802.11n HT セクション 20.3.20 セクション 20.3.21 802.11ac VHT セクション 22.3.18 セクション 22.3.19 表 2.13. 802.11 仕 様 書 のセクション 表 2.13 に 示 した 802.11ac 送 信 機 / 受 信 機 計 測 のセクションは 802.11 の 2013 D5 レビジョンに 基 づいていま す 無 線 LAN 計 測 の 計 測 器 構 成 完 全 統 合 型 の 無 線 LAN デバイスのテストと 計 測 には 一 般 にベクトル 信 号 発 生 器 (VSG vector signal generator)とベクトル 信 号 アナライザ(VSA vector signal analyzer)を 併 せて 使 用 する 必 要 があります 場 合 によっては 両 製 品 を 無 線 テストセットと 呼 ばれる 1 つの 計 測 器 に 統 合 することもあります ナショナ ルインスツルメンツでは ユーザプログラマブルな FPGA を 搭 載 し VSG と VSA を 統 合 したベクトル 信 号 トランシーバ(VST vector signal tranceiver)を 提 供 しています 23

組 み 立 て 済 みの 無 線 LAN デバイスをテストする 場 合 デバイスの 送 信 機 能 と 受 信 機 能 は 1 つのポートに 統 合 されています そのためテストセットアップでは 図 2.14 に 示 すように 無 線 LAN デバイスを VSG と VSA の 両 方 に 接 続 するために RF スイッチまたは 結 合 器 /スプリッタが 必 要 です VSG VSA 無 線 LAN デバイス 図 2.14. 無 線 LAN デバイスの 一 般 的 なセットアップ 無 線 LAN パワーアンプ(PA)をテストする 場 合 は テスト 構 成 は 図 2.14 に 示 した 例 よりはるかにシンプル になります この 場 合 は 図 2.15 のように VSG は 無 線 LAN 信 号 を 供 給 し VSA は PA の 出 力 に 接 続 され ています VSG VSA 無 線 LAN PA 図 2.15. 無 線 LAN PA の 一 般 的 なセットアップ 一 般 に 送 信 計 測 は 統 合 型 無 線 LAN デバイスや PA や 低 ノイズアンプ(LNA)などの 離 散 コンポーネント に 適 用 されます ただし 受 信 計 測 は 全 受 信 機 を 含 む 統 合 された 無 線 LAN デバイスをテストする 際 にの み 必 要 となります 無 線 LAN テスト 用 に 信 号 アナライザを 選 んだ 場 合 無 線 LAN 送 信 機 計 測 でスペクトルリークと 変 調 品 質 の 測 定 基 準 も 含 まれる 点 にご 注 意 ください したがって 信 号 アナライザが 信 号 を 復 調 するためには 復 調 に 対 応 するベク トル 解 析 機 能 が 必 要 です 24

3. 送 信 計 測 無 線 LAN 送 信 機 計 測 には 電 力 変 調 品 質 スペクトル 品 質 という 3 つのカテゴリがあります 様 々な 802.11 技 術 の 計 測 はほとんどが 似 ていますが 全 ての 計 測 が 全 ての 規 格 に 適 用 できるわけではありません 表 3.1 は それぞれの 計 測 が 適 用 可 能 な 802.11 規 格 と 802.11 の 中 でその 計 測 が 定 義 されているセクション を 示 しています 本 ドキュメントでは 802.11 規 格 (802.11b 802.11a/g 802.11n 802.11ac)の 別 名 (DSSS OFDM HT VHT)も 同 時 に 使 用 しています 計 測 カテゴリ 電 力 変 調 品 質 計 測 送 信 電 力 DSSS (802.11b) OFDM (802.11a/g) HT (802.11n) 各 国 法 令 により 定 義 VHT (802.11ac) 電 源 投 入 時 / 切 断 時 のランプ(DSSS) 16.4.7.8 N/A N/A N/A 変 調 精 度 16.4.7.10 18.3.9.7.4 20.3.20.7.3 22.3.18.4.3 チップクロック 周 波 数 公 差 (DSSS) 16.4.7.7 N/A N/A N/A シンボルクロック 周 波 数 公 差 N/A 18.3.9.6 20.3.20.6 22.3.18.3 (OFDM) 中 心 周 波 数 公 差 16.4.7.6, 18.3.9.5 20.3.20.4 22.3.18.3 スペクトル スペクトルマスク 16.4.7.5, 18.3.9.3 20.3.20.1 22.3.18.1 17.4.7.4 スペクトル 平 坦 性 N/A 18.3.9.7.3 20.3.20.2 22.3.18.2 搬 送 波 抑 圧 (DSSS) 16.4.7.9 N/A N/A N/A 中 心 周 波 数 リーク(OFDM) N/A 18.3.9.7.2 20.3.20.7.2 22.3.18.4.2 表 3.1. 送 信 機 計 測 向 けの 802.11 仕 様 表 3.1 に 示 した 802.11ac 送 信 機 / 受 信 機 計 測 のセクションは 802.11 の 2013 D5 レビジョンに 基 づいていま す 最 大 送 信 電 力 最 大 送 信 電 力 の 値 は 表 3.2 に 示 す 送 信 仕 様 には 含 まれていません それは 無 線 LAN デバイスの 最 大 送 信 電 力 はデバイスが 認 定 される 国 の 政 府 規 制 機 関 によって 定 義 されるためです 最 大 出 力 電 力 は 最 大 の 等 価 等 方 放 射 電 力 (EIRP equivalent isotropically radiated power)として 指 定 され 送 信 機 の 出 力 電 力 とアンテ ナのゲインによって 決 まります 一 般 に 最 大 送 信 出 力 電 力 は ほとんどの 国 で 60 mw~1 W(EIRP)です そのような 制 限 値 は 通 常 帯 域 によって 指 定 され 屋 内 用 と 屋 外 用 のデバイスでも 異 なることがあります 表 3.2 は 一 部 の 国 における 最 大 制 限 値 を 示 しています 25

国 帯 域 最 大 送 信 電 力 mw ( 無 線 Tx+アンテナゲイン=EIRP) 屋 内 用 / 屋 外 用 米 国 a 200 屋 内 用 b/g 1,000 両 用 ブラジル a 200 屋 内 用 b/g 1,000 両 用 南 アフリカ a N/A N/A b/g 1,000 両 用 フランス a 200 屋 内 用 b/g 100 両 用 中 国 a 600 両 用 b/g 600 両 用 表 3.2. 国 別 の 最 大 送 信 電 力 802.11 では 無 線 LAN デバイスの 最 大 電 力 要 件 を 具 体 的 に 指 定 していませんが 電 力 計 測 は 他 の 送 信 計 測 の 指 標 として 重 要 な 特 性 となります 例 えば 変 調 精 度 (EVM error vector magnitude)といった 変 調 品 質 計 測 は 送 信 機 の 線 形 性 の 影 響 を 強 く 受 けることが 多 く 線 形 性 は 出 力 電 力 に 依 存 しています 平 均 電 力 平 均 電 力 は おそらく 最 もよく 使 用 される 電 力 計 測 です 平 均 電 力 とは バーストの 時 間 内 における 802.11 パケットの 時 間 平 均 電 力 レベルです 最 新 のテスト 機 器 は 様 々な 方 法 で 平 均 電 力 レベルを 指 定 する ことができます 中 でも 一 般 的 なのが 時 間 ゲート(time-gated) 平 均 電 力 で バーストにおける 平 均 電 力 を 計 測 するものです またバースト 電 力 と 待 機 時 間 も 含 めた 電 力 を 計 測 することもできます この 計 測 で は バーストのデューティサイクルが 平 均 電 力 に 大 きく 影 響 します 無 線 LAN 伝 送 の 平 均 電 力 は 通 常 ゲート 電 力 計 測 なので この 計 測 には 一 般 に VSA が 必 要 です 平 均 電 力 は 送 信 電 力 とも 呼 ばれ 他 の 全 ての 計 測 の 主 要 な 指 標 となるものです 受 信 機 テストの 際 は 平 均 電 力 が DUT の 入 力 電 力 レベルを 表 します また MIMO 計 測 では 各 物 理 チャンネルの 平 均 電 力 を 計 測 します ピーク 電 力 802.11 信 号 特 に 高 次 OFDM タイプは ピーク 対 平 均 電 力 比 (PAPR peak-to-average-power ratios)が 極 めて 大 きくなることがあります 信 号 の PAPR を 計 測 するには 送 信 信 号 のピーク 電 力 を 平 均 電 力 とともに 計 測 します OFDM 信 号 は 信 号 自 体 の 構 造 により 比 較 的 PAPR が 高 い 特 性 を 持 っています OFDM 伝 送 では 大 量 のサブキャリアが 並 行 して 送 信 されますので それぞれの 時 点 でサブキャリアが 互 いに 加 算 または 減 算 されま す その 結 果 OFDM 伝 送 の 電 力 統 計 はほぼガウス 分 布 となりますので PAPR は 通 常 10 db~12 db の 範 囲 になります 26

伝 送 された 無 線 LAN 信 号 の 実 際 の PAPR は デバイスの 動 作 範 囲 内 で 比 較 的 一 定 になるはずですが 必 ずし もそうとは 限 りません より 高 出 力 の 電 力 レベルの 送 信 機 の 場 合 出 力 PA が 非 線 形 領 域 で 動 作 している 場 合 クリッピングにより PAPR は 減 少 し 始 めます その 結 果 PAPR は 変 調 品 質 の 低 い 送 信 機 のトラブルシ ューティングの 重 要 な 基 準 となります 変 調 の 品 質 ( 変 調 精 度 :EVM)の 低 さが 出 力 PA の 非 線 形 性 による ものなら 通 常 変 調 品 質 は PAPR と 関 連 します また 信 号 の PAPR は 信 号 アナライザの 計 測 設 定 にも 大 きな 影 響 を 及 ぼします 802.11 計 測 を 行 う 際 は VSA の 基 準 レベルを 適 切 に 設 定 して 送 信 パケットの 振 幅 範 囲 内 にする 必 要 があります 通 常 パケット 電 力 レベルは 平 均 電 力 として 指 定 されます この 場 合 基 準 レベルは 平 均 電 力 にパケットの 予 測 PAPR を 加 え たものより 大 きい 値 に 設 定 する 必 要 があります PAPR の 統 計 をより 正 しくグラフ 表 示 するには CCDF 計 測 のセクションを 参 照 してください また MIMO 計 測 では 各 物 理 チャンネルについて 平 均 電 力 を 計 測 します 電 力 対 時 間 電 力 対 時 間 トレース(power versus time trace)とは 時 間 に 対 する 伝 送 信 号 の 瞬 時 電 力 を 表 すものです 電 力 対 時 間 による 信 号 のグラフ 表 示 は 送 信 機 の 性 能 基 準 よりむしろトラブルシューティングの 目 的 に 利 用 で きます 計 測 された 電 力 をバーストの 特 定 の 時 間 部 分 に 相 関 させることで 時 間 に 依 存 する 電 力 の 問 題 を 特 定 することができます 図 3.1. 電 力 対 時 間 トレース 例 えば 電 力 対 時 間 計 測 を 拡 大 してみると バーストの 立 ち 上 がり 時 間 と 立 ち 下 がり 時 間 を 検 出 し 有 効 なバーストが 捉 えられたかどうかを 特 定 することができます 27

クロスパワー(MIMO) クロスパワー 計 測 は MIMO 構 成 に 特 有 のものです クロスパワーとは 1 つのストリームからの 電 力 がどの 程 度 他 のチャンネルに 流 れ 込 んでいるかの 測 定 基 準 です 4x4 MIMO 構 成 でのマッピング 行 列 M を 使 用 したシンプルなダイレクトチャンネルマッピングの 例 を 見 てみます 1 0 0 0 M = 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 1 式 3.1. 4x4 MIMO 構 成 のダイレクトマッピング 行 列 現 実 には M の 対 角 の 外 側 のヌル 要 素 ( 交 差 項 )は 微 小 な 値 になります 交 差 項 が 増 えると 異 なる チャンネルからの 干 渉 による 特 定 のチャンネルの 電 力 は 意 図 した 動 作 の 干 渉 を 始 め チャンネルベースの 測 定 基 準 が 低 下 することがあります 理 想 的 な 交 差 項 (CPid)と 計 測 された 交 差 項 (CPms)を 式 3.2 で 比 較 します NA CP id = NA NA NA CP2,1 CP 3,1 CP 4,1 CP, and CP ms = 1,2 NA CP 3,2 CP 4,2 CP 1,3 CP 2,3 NA CP 4,3 NA CP 1,4 CP 2,4 NA CP 3,4 式 3.2. 4x4 MIMO 構 成 での Cpid と CPms の 比 較 いずれの 場 合 も 対 角 要 素 CPi,i は 未 定 義 で 交 差 要 素 は db で 計 測 します 理 想 的 なケースでは 交 差 要 素 は 全 て db に 等 しくなります これは いずれのストリームからの 電 力 も 意 図 しないチャンネル には 漏 れ 出 してことを 示 します 実 際 に 計 測 したケースでは CPii,j(dB)はストリーム i からチャンネル j に 漏 れ 出 す 相 対 電 力 を 表 します クロスパワーが 低 下 するケースでは DUT のチャンネル 絶 縁 を 行 ってこの 問 題 を 解 決 します パワーの 立 ち 上 がり/ 立 ち 下 がり(Power-On and Powe-Down Ramp) 802.11 仕 様 で 定 義 されている 具 体 的 なダイナミックパワー 特 性 の 1 つに パワーの 立 ち 上 がり/ 立 ち 下 がりが あります 無 線 LAN デバイスは 時 分 割 二 重 (TDD time division duplexed) 方 式 で 動 作 する M ため 送 受 信 を 高 速 化 するには 高 速 のランプアップ/ランプダウンが 必 要 となります 電 源 投 入 時 / 切 断 時 要 件 は DSSS または 802.11b にのみ 適 用 されます 802.11 の 仕 様 によると バーストが 最 大 電 力 の 10%から 90%に 上 がる 時 間 として 定 義 された 送 信 パワーの 立 ち 上 がり(power-on ramp)は 2µ 秒 を 超 えてはなりません 送 信 のパワーの 立 ち 下 がり(power-down ramp)は 信 号 が 最 大 電 力 の 90%から 10%に 低 下 する 時 間 として 定 義 され 2 µ 秒 を 超 えることはありませ ん パワーの 立 ち 上 がり/ 立 ち 下 がりを 計 測 する 際 は 信 号 アナライザの 集 録 長 にはパケット 全 体 を 含 める 必 要 があります 28

変 調 品 質 無 線 LAN 伝 送 の 変 調 品 質 により 大 きなフレームやビット 誤 差 を 発 生 させずに 復 調 できる 可 能 性 が 高 まりま す 変 調 品 質 には 変 調 精 度 (EVM) チップ/シンボルクロック 周 波 数 許 容 度 (symbol clock frequency tolerance) 中 心 周 波 数 許 容 度 (center frequency tolerance)という 3 つのカテゴリがあります エラー ベクトル 振 幅 (EVM Error Vector Magnitude) 変 調 精 度 (EVM)とは 802.11 送 信 機 の 変 調 品 質 を 測 る 主 要 な 指 標 です EVM は 変 調 伝 送 の 広 範 な 障 害 を 捉 えるので 送 信 機 の 性 能 の 測 定 指 標 としても 極 めて 有 用 です EVM のレポートの 際 は RF 信 号 アナライ ザがまず 変 調 シンボルの 位 相 / 振 幅 誤 差 を 計 測 します この 計 測 では エラーベクトルはシンボルの 位 相 と 振 幅 の 理 想 値 と 計 測 値 における 位 相 / 振 幅 誤 差 に 基 づいています EVM を 計 算 するには エラーベクトルを 理 想 的 なシンボルの 振 幅 ベクトルで 除 算 します そうして 求 められた 比 率 が EVM です 図 3.2 は 計 測 された ベクトル 理 想 的 なベクトル そしてエラーベクトルの 関 係 を 示 しています 計 測 されたシンボル 位 置 振 幅 誤 差 エラーベクトル 振 幅 ベクトル 理 想 のシンボル 位 置 位 相 誤 差 図 3.2. エラーベクトルとその 成 分 EVM はエラーベクトルと 振 幅 ベクトルの 比 率 として 表 されますが 結 果 はパーセント(%)または db で 表 記 します 式 3.3 を 使 用 すると EVM の 計 算 をパーセントから db に 変 換 できます 29

EMV db = 20 log(evm % ) 式 3.3. EVM をパーセントから db に 変 換 1 つのキャリア 変 調 を 使 用 した 無 線 規 格 では 通 常 EVM リミットをパーセントで 指 定 しますが OFDM シス テムは 一 般 に EVM リミットを db で 指 定 します EVM は 基 本 的 に 1 シンボルのみの 変 調 品 質 の 測 定 指 標 な ので この 指 標 は 通 常 大 量 のシンボルにおけるピーク 値 または 二 乗 平 均 平 方 根 (RMS)のいずれかで 表 記 し ます DSSS 伝 送 では 最 高 次 変 調 方 式 は DQPSK( 差 動 四 位 相 偏 移 変 調 )です 図 3.3 のコンスタレーション 図 に 示 すように 全 てのシンボルは 原 点 から 同 じ 振 幅 で 互 いに 同 じ 位 相 オフ セットにあります そのため 802.11 では DSSS 伝 送 のピーク EVM リミットを 指 定 しています 図 3.3. DQPSK コンスタレーション DSSS サブセクションは EVM 値 としてシンボルのピーク 誤 差 を 指 定 しますが OFDM HT および VHT 伝 送 は RMS 値 に 基 づく EVM 要 件 を 指 定 します 図 3.4 に 示 すように 64 QAM のような 高 次 変 調 方 式 の 振 幅 ベクトルは シンボルの 位 置 によって 大 きく 異 なります 30

図 3.4. 64 QAM コンスタレーション 図 3.4 で ピーク EVM 計 測 は 振 幅 が 小 さく 原 点 に 近 いシンボルが 大 半 を 占 めています そのため ピーク EVM は RMS EVM ほど 有 用 ではありません したがって 802.11a/g/n/ac のような OFDM ベースの 伝 送 は EVM 要 件 を RMS 値 で 指 定 します さらに 802.11 仕 様 では 送 信 機 が 伝 送 に 使 用 する 各 変 調 方 式 の 様 々な RMS EVM リミット( 制 限 値 )を 指 定 しています 各 801.11 規 格 で 変 調 方 式 やコードレートの 様 々な 組 み 合 わせにおいて EVM 要 件 は 似 通 って いますが 表 3.3 に 示 すように 全 ての 変 調 方 式 とコードレートの 組 み 合 わせがいずれか 1 つの 規 格 でサポ ートされているわけではありません 変 調 方 式 符 号 レート EVM リミット (802.11a/g) EVM リミット (802.11n) EVM リミット (802.11ac) BPSK ½ -5 db - 5 db - 5 db BPSK ¾ -8 db N/A N/A QPSK ½ -10 db -10 db -10 db QPSK ¾ -13 db - 13 db - 13 db 16-QAM ½ -16 db -16 db -16 db 16-QAM ¾ -19 db -19 db -19 db 64-QAM 2/3-22 db -22 db -22 db 64-QAM ¾ -25 db -25 db -25 db 64-QAM 5/6 N/A -27 db -27 db 256-QAM ¾ N/A N/A -30 db 256-QAM 5/6 N/A N/A -32 db 表 3.3. OFDM HT VHT の EVM リミット 31

表 3.3 を 見 ると 伝 送 の 変 調 品 質 と 変 調 方 式 の 複 雑 さに 明 らかな 関 連 性 があります 例 えば 256 QAM な どの 高 次 変 調 方 式 では BPSK のような 低 次 方 式 に 比 べより 高 い 変 調 品 質 が 求 められます 図 3.5 で 256 QAM コードレート 伝 送 のコンスタレーションプロット 上 に 仕 様 の 制 限 値 が 重 ねて 表 示 されています 図 3.5. 802-11ac のコンスタレーションプロット 伝 送 の 変 調 品 質 は 送 信 機 の 精 度 に 関 連 し 伝 送 の 変 調 方 式 とは 通 常 無 関 係 です 例 えば 16 QAM で-36 db の EVM を 提 供 する 送 信 機 は 256 QAM を 使 用 して 信 号 を 送 信 する 際 の EVM 性 能 と 同 じです 256 QAM(802.11ac デバイス) 伝 送 を 生 成 するのに 必 要 な 送 信 機 は 64-QAM(802.11a/g/n)を 生 成 する ための 送 信 機 に 比 べ 変 調 方 式 の 要 件 が 高 くなります コンスタレーション 誤 差 主 EVM 計 測 もシンボルコンスタレーションから 導 き 出 されますが それらは 原 因 となる 全 ての 誤 差 の 一 般 的 集 合 です また コンスタレーションには 誤 差 の 原 因 を 示 す 情 報 も 含 まれます コンスタレーションか ら 得 られるその 他 の 測 定 指 標 として コモンパイロットエラー(common pilot error) IQ ゲイン 不 均 衡 (IQ gain imbalance) 直 交 位 相 スキュー(quadrature skew) タイミングスキュー(timing skew)などがあります 32

タイミングスキュー(OFDM) タイミングスキュー(timing skew)とは 複 合 ベースバンド 信 号 の 位 相 内 (I) 成 分 と 直 交 位 相 (Q) 成 分 のサ ンプリングインスタンスの 差 を 言 います 直 交 位 相 スキュー(Quadrature Skew) 直 交 位 相 スキューとは 位 相 内 (I) 信 号 と 直 交 位 相 (Q) 信 号 の 間 における 90 からの 角 度 偏 差 のこと です I/Q ゲイン 不 均 衡 (I/Q gain imbalance) I/Q ゲイン 不 均 衡 とは 直 交 位 相 (Q) 信 号 の 平 均 振 幅 に 対 する 同 相 (I) 信 号 の 平 均 振 幅 の 比 率 を db で 表 し たものです チップ 周 波 数 公 差 (Chip Frequency Tolerance DSSS)と シンボルクロック 周 波 数 公 差 (Symbol Clock Frequency Tolerance OFDM) この 計 測 は I 信 号 と Q 信 号 を 生 成 している 各 D/A コンバータ(DAC)のサンプルクロック 間 の 差 を 示 すもの です 中 心 周 波 数 許 容 範 囲 (Center Frequency Tolerance) 伝 送 の 変 調 品 質 に 関 連 する 最 後 の 特 性 として 中 心 周 波 数 許 容 範 囲 があります 理 想 では 送 信 機 が 2.412 GHz の 信 号 を 出 力 するよう 設 計 されている 場 合 その 信 号 の 正 確 な 中 心 周 波 数 は 2.412 GHz になりま す ただし 送 信 機 のクロック 回 路 に 障 害 があると 望 ましい 位 置 よりわずかに 周 波 数 がずれた 伝 送 となる 可 能 性 があります 無 線 LAN システムの 送 信 機 と 受 信 機 のいずれかで 周 波 数 の 精 度 が 低 い 場 合 受 信 機 が 無 線 伝 送 を 復 調 できなくなることがあります 802.11 仕 様 では 具 体 的 な 周 波 数 精 度 を PPM(perts per million)で 示 す 必 要 があり この 結 果 は VSA を 使 って 計 測 されます 例 えば キャリア 周 波 数 オフセットが 4 KHz で 中 心 周 波 数 が 2412 MHz の 場 合 これは 1.658 ppm((4 KHz/2,412 MHz)*1*10e6)に 相 当 します 表 3.4 は それぞれの 802.11 PHY について 10~25 ppm の 範 囲 の 周 波 数 精 度 要 件 を 示 しています PHY +/- ppm DSSS 25 OFDM 20 HT 2.4 GHz 帯 域 25 HT 5 GHz 帯 域 20 VHT 20 表 3.4. キャリア 周 波 数 オフセットの 範 囲 33

スペクトル 計 測 無 線 LAN 送 信 機 の 性 能 を 評 価 する 最 後 の 計 測 は スペクトル 計 測 です 対 応 する 受 信 機 が 送 信 信 号 を 正 しく 復 調 できることを 確 認 するための 変 調 精 度 計 測 とは 異 なり 周 波 数 領 域 計 測 は 信 号 が 他 の 信 号 に 干 渉 し ないことを 保 証 するのが 目 的 です 多 くの 周 波 数 領 域 計 測 では 信 号 の 位 相 成 分 は 必 要 としません そ のため VSA が 使 用 できない 場 合 は そのような 計 測 にはスペクトルアナライザを 使 用 できます スペクトルマスク スペクトルマスク 計 測 では 送 信 されたパケットのパワースペクトル 密 度 に 重 ね 合 わされた 一 連 の 制 限 値 を 特 定 します スペクトルマスクとは 隣 接 チャンネルにおける 干 渉 を 測 る 指 標 なので 制 限 値 は 送 信 チャンネ ルの 中 心 から 離 れるにつれてより 厳 しくなります 送 信 された 統 合 電 力 を 特 定 する UMTS や LTE のようなセ ルラー 通 信 と 異 なり 無 線 LAN のスペクトルマスクは 電 力 ピークが 制 限 値 を 超 える 周 波 数 ビンの 評 価 のみ を 目 的 としています スペクトルマスクは マスクを 信 号 のスペクトルと 比 較 する 合 否 テストです DSSS では スペクトルマスク 計 測 は 100 khz の 分 解 能 帯 域 幅 (RBW)と 30 khz のビデオ 帯 域 幅 (VBW) を 使 用 します OFDM 技 術 では スペクトルマスク 計 測 の RBW と VBW はいずれも 100 khz が 必 要 です DSSS スペクトルマスク DSSS 伝 送 におけるスペクトルマスクプロファイルは キャリアから 11 MHz~22 MHz のオフセットと 22 MHz を 超 えるオフセットの 帯 域 幅 における 最 大 放 射 電 力 (maximum emitted power)を 定 義 します 図 3.6 では DSSS マスクは 基 準 点 0 dbr を 特 定 の 基 準 点 に 対 し 0 db と 定 義 しています 基 準 点 は 伝 送 の 最 大 スペクトル 密 度 (maximum spectral density)と 定 義 されます 電 力 送 信 スペクトル マスク フィルタなし (Sin X)/X 図 3.6. DSSS スペクトルマスク 制 限 値 周 波 数 図 3.6 に 示 すように DSSS 伝 送 はキャリアから 11 MHz~22 MHz のオフセットで-30 dbr を 超 えることは できません さらに 伝 送 のパワースペクトル 密 度 は キャリア 周 波 数 から 22 MHz を 超 えるオフセットで -50 dbr を 超 えることもありません 34

OFDM HT VHT スペクトルマスク 802.11a/g/n/ac では スペクトルマスクのプロファイルは 似 ていますが 802.11ac の 広 い 帯 域 幅 または 80+80 帯 域 幅 構 成 により 適 しています OFDM HT VHT のスペクトルマスク の 一 般 的 な 解 説 として ここでは OFDM のスペクトルマスクについて 検 証 します 図 3.7 に 示 すように OFDM 伝 送 の 主 要 なマスク 制 限 値 は -20 dbr -28 dbr -40 dbr です 電 力 送 信 スペクトル マスク 通 常 の スペクトル 周 波 数 (MHz) 図 3.7. 802.11a の OFDM スペクトルマスク 20 MHz 帯 域 幅 信 号 の 主 要 オフセットは 9MHz 11 MHz 20 MHz および 30 MHz です 表 3.5 は 様 々な 帯 域 幅 の 信 号 の 主 要 オフセットを 示 しています 信 号 帯 域 幅 オフセット A オフセット B オフセット C オフセット D 20 MHz ± 9 MHz ± 11 MHz ± 20 MHz ± 30 MHz 40 MHz ± 19 MHz ± 21 MHz ± 40 MHz ± 60 MHz 80 MHz ± 39 MHz ± 41 MHz ± 80 MHz ± 120 MHz 160 MHz ± 79 MHz ± 81 MHz ± 160 MHz ± 240 MHz 表 3.5. 802.11 マスクの 周 波 数 オフセット 802.11 の 各 規 格 を 区 別 する 要 素 として キャリアから 最 も 遠 いオフセットの 外 側 での 最 大 エミッションがあ ります HT 2.4 GHz を 除 く 全 ての 伝 送 で 最 も 遠 いオフセットの 制 限 値 は-40 dbr となります HT 2.4 GHz では 最 も 離 れたオフセットの 外 側 での 伝 送 における 最 大 エミッションは-45 dbr です 35

電 力 電 力 周 波 数 (MHz) 周 波 数 (MHz) 図 3.8. 5 GHz 帯 域 での HT の 20 および 40 MHz エミッションマスク 36

802.11ac の 80+80 モードでは 図 3.9 に 示 すように 伝 送 されたスペクトルマスクは 2 つの 80 MHz マスク の 線 形 和 によって 計 算 します 電 力 電 力 周 波 数 (MHz) 周 波 数 (MHz) 電 力 周 波 数 (MHz) 図 3.9 VHT の 80+80 MHzチャンネルスペクトルマスク 制 限 値 図 3.9 で 80+80 構 成 のスペクトルマスクの 外 側 エッジは 80 MHz の 帯 域 幅 オプションの 外 側 エッジと 一 致 します ただし 重 複 する 部 分 は 2 つの 制 限 値 の 合 計 なので 要 件 がより 厳 しくなります 例 えば -39 MHz と 39 MHz の 周 波 数 オフセットでは 制 限 値 は-28 dbr + -28 dbr = -25 dbr で-25 dbr となります 搬 送 波 抑 圧 (DSSS) 理 想 的 な 直 交 変 調 器 の 内 部 発 振 器 (LO local oscillator)は RF 出 力 で 漏 れは 生 じませんが 現 実 にはそうは いきません 直 交 変 調 器 の DC オフセットにより デバイスの 出 力 でスプリアスがちょうど LO の 周 波 数 で 発 生 します このスプリアスは 中 心 周 波 数 リークまたは LO リークです 802.11b の DSSS 伝 送 の 場 合 LO リークは 搬 送 波 抑 圧 計 測 で 観 測 できます チャンネルの 中 心 周 波 数 で 計 測 した RF 搬 送 波 抑 圧 は ピーク SIN(x)/x パワースペクトルより 少 なくとも 15 db 低 くなります DSSS はシングルキャリア 変 調 方 式 なの で キャリアリークは 送 信 機 が 反 復 的 シンボルパターンを 生 成 している 時 のみ 計 測 できます 37

例 えば スクランブラを 無 効 にして 反 復 的 な 01 データシーケンスを 生 成 するよう 送 信 機 を 設 定 することで 送 信 機 は 同 じシンボルを 繰 り 返 し 生 成 するようになります 周 波 数 領 域 では スペクトルは 伝 送 の 中 心 周 波 数 からオフセットしたシングルトーンのように 表 示 されます そのため LO リークは 中 心 周 波 数 の 放 射 電 力 を 計 測 することで 特 定 できます 中 心 周 波 数 の 放 射 電 力 は 100 khz の 分 解 能 帯 域 幅 を 使 用 して スペクト ルアナライザまたは VSA で 計 測 することができます 中 心 周 波 数 リーク(Carrier Frequency Leakage: OFDM HT VHT) 802.11a/g/n/ac の 伝 送 では OFDM 技 術 が 利 用 され 重 なった 変 調 サブキャリアの 生 成 原 理 に 基 づいています OFDM 技 術 は LO リークの 難 題 を 回 避 するため 中 央 のサブキャリアをヌルに 保 っています そのため 図 3.10 に 示 すように 中 心 サブキャリアの 放 射 電 力 を 計 測 することで 送 信 機 がデータ 生 成 中 でも LO リークを 計 測 することができます 図 3.10. 周 波 数 領 域 における LO リークの 計 測 厳 密 に 定 義 すると キャリア 周 波 数 リークとは 全 サブキャリアの 平 均 電 力 の 総 エネルギーに 対 する DC サブキャリアのエネルギーの 割 合 を db で 表 したものです 20 MHz の 802.11a/g/n 伝 送 では 最 大 LO リークは 送 信 電 力 に 対 し-15 db 同 様 にその 他 のサブキャリアの 平 均 エネルギーに 対 し+2 db を 超 えて はなりません 38

40 MHz の 802.11n 伝 送 では リークは 送 信 電 力 全 体 に 対 し-20 db 同 様 にその 他 のサブキャリアの 平 均 エネ ルギーに 対 し 0 db を 超 えてはなりません VHT の LO リーク 要 件 は 特 有 です 80+80 MHz 伝 送 を 除 く 全 て の VHT 帯 域 幅 構 成 では 最 大 LO リークは 各 サブキャリアの 平 均 電 力 を 下 回 る 必 要 があります 無 線 LAN デバイスは 80+80 MHz 伝 送 を 2 通 りの 方 法 で 実 装 でき LO リーク 要 件 はそれぞれの 方 法 で 異 なり ます 信 号 が 1 つの 変 調 器 から 伝 送 される 場 合 は LO は 伝 送 の 中 心 に 表 示 されます その 状 況 では RBW 312.5 khz を 使 用 して 伝 送 の 中 心 で 計 測 した 電 力 は サブキャリアあたりの 平 均 電 力 を 超 えることはできませ ん 80+80 MHz 伝 送 は 2 つの 送 信 機 で 実 装 することもできます この 場 合 LO リークは 各 送 信 機 の 中 心 周 波 数 に 現 れ チャンネルの 中 心 には 存 在 しません ここで 送 信 帯 域 幅 の 中 心 で 計 測 された 電 力 は 全 送 信 電 力 に 対 し 最 大 で-20 dbm と-32 db を 超 えてはなりません LO リークが 周 波 数 80 MHz の 両 伝 送 から 外 れて いる 場 合 RF LO はスペクトルマスク 計 測 と 同 様 になります スペクトル 平 坦 性 (Spectral Flatness) スペクトル 平 坦 性 は 802.11a/g/n/ac の OFDM ベースの 伝 送 のみに 適 用 されるもので サブキャリアの 様 々な 電 力 レベルを 表 します 各 サブキャリアのコンスタレーションの 平 均 エネルギーは 全 サブキャリア の 平 均 エネルギーから 上 下 のマージンを 超 えてはいけません ワーストケースの 上 マージン(upper margin)と 下 マージン(lower margin)がスペクトル 平 坦 性 のマージンになります 39

形 式 帯 域 幅 (MHz) 平 均 サブキャリア 指 標 ( 包 括 的 ) テスト 済 みのサブキャリア 指 標 ( 包 括 的 ) 最 大 偏 差 (db) VHT 非 HT 重 複 20-16~-1 と+1~+16 40-42~-2 と+2~+42 80-84~-2 と+2~+84 160 40 80-172~-130-126~ -44 +44~+126 +130~+172-42~-33-31~-6 +6~+31 +33~+42-84~-70-58~-33-31 ~-6 +6~+31 +33~ +58 +70~+84-16~-1 と+1~+16 ±4-28~-17 と+17~+28 +4/-6-42~-2 と+2~+42 ±4-58~-43 と+43~+58 +4/-6-84~-2 と+2~+84 ±4-122~-85 と+85~+122 +4/-6-172~-130-126~-44 +44~+126 +130~+172 ±4-250~-173-43~-6 +6~+43 +173~+250 +4/-6-42~-33-31~-6 +6~+31 +33~+42 ±4-58~-43 と+43~+58 +4/-6-84~-70-48~-33-31~-6 +6~+31 +33~+58 +70~ ±4 +122-122~-97-95~-85 と+85~ +95 +97~+122 +4/-6 160-172~-161-159~- 134-122~-97-95~- 70-58~-44 +44~ +58 +70~+95 +97~ +122 +134~+159 +161~+172-172~-161-159~-134-122~-97-95~-70-58~- 44 +44~+58 +70~+95 +97~+122 +134~+159-250~-225-223~-198-186~-173-43~-33-31~- 6 +6~+31 +33~+43 +173~+186 +198~ ±4 +4/-6 2 表 3.6 OFDM HT VHT のスペクトル 平 坦 性 制 限 値 スペクトル 平 坦 性 の 上 マージンとは 上 部 スペクトル 平 坦 性 マスクとチャンネル 周 波 数 応 答 の 相 対 振 幅 の 差 で す スペクトル 平 坦 性 の 下 マージンは 下 部 スペクトル 平 坦 性 マスクとチャンネル 周 波 数 応 答 の 相 対 振 幅 の 差 です チャンネル 周 波 数 応 答 の 相 対 振 幅 は DC サブキャリア 付 近 のいくつかのサブキャリアの 平 均 電 力 に 相 対 的 です 上 表 の 1 行 目 で いくつかのサブキャリアが-16 から-1 までの 16 個 のサブキャリアに 相 当 しま す チャンネル 周 波 数 応 答 の 相 対 振 幅 とは この 平 均 と 各 サブキャリアの 平 均 エネルギーの 差 です 上 記 の 20 MHz チャンネルのリミットは OFDM と HT にも 適 用 されます 上 記 の 40 MHz チャンネルのリミッ トは HT にも 適 用 されます 2 802.11ac 仕 様 の 草 案 5.1 の 表 22-23 から 作 成 40

4. 受 信 機 計 測 無 線 LAN デバイスは 厳 格 な 受 信 機 性 能 特 性 の 対 象 となります それぞれの 受 信 機 計 測 では 低 電 力 高 電 力 干 渉 の 存 在 時 など 様 々な 状 況 下 で 受 信 機 が 送 信 信 号 を 復 調 する 能 力 を 評 価 します 送 信 機 計 測 と 同 様 無 線 LAN 受 信 機 計 測 は 802.11 の 複 数 の 特 定 セクション(セクション 16.4.8 18.3.10 20.3.21 22.3.19)で 定 義 されています 表 4.1 で 802.11 の 2012 レビジョンは 802.11ac を 除 く 全 ての 規 格 に 適 用 されます 802.11ac に 適 用 されるのは 802.11 の 2013 D5 レビジョンです 計 測 DSSS OFDM HT VHT 最 小 入 力 感 度 16.4.8.2, 17.4.8.2 18.3.10.2 20.3.21.1 22.3.19.1 最 大 入 力 レベル 16.4.8.3, 17.4.8.3 18.3.10.5 20.3.21.4 22.3.19.4 隣 接 チャンネル 除 去 16.4.8.4, 17.4.8.4 18.3.10.3 20.3.21.2 22.3.19.2 非 隣 接 チャンネル 除 去 N/A 18.3.10.4 20.3.21.3 22.3.19.3 受 信 チャンネル 電 源 表 示 16.4.8.6, 17.4.8.6 18.3.10.7 20.3.21.6 N/A 表 4.1. 受 信 機 計 測 向 け 802.11 仕 様 最 小 入 力 感 度 (Minimum Input Sensitivity) 最 小 入 力 感 度 は 受 信 信 号 強 度 が 低 い 場 合 の 受 信 機 性 能 を 評 価 するものです 感 度 が 優 れていると 受 信 機 は 送 信 機 から 離 れた 場 所 でも 伝 送 を 正 しく 復 調 することができます 感 度 テストのセットアップ 無 線 LAN 受 信 機 感 度 のテストセットアップでは 既 知 電 力 レベルにおいて 特 定 のデータレートで 無 線 LAN 信 号 を 伝 送 するよう VSG を 構 成 します また 一 般 的 なテスト 構 成 では 計 測 器 と DUT の 間 に 固 定 アッテネ ータも 使 用 します 無 線 LAN デバイス 図 4.1. 無 線 LAN 感 度 のテストセットアップ 固 定 アッテネータを 使 用 すると 計 測 器 の 出 力 ノイズレベルが 受 信 機 のノイズレベルに 影 響 しません また DUT に 供 給 される 電 力 レベルの 精 度 も 向 上 します VSG は 一 般 にパワーメータで 校 正 可 能 な 高 電 力 レベ ルにおいて 優 れた 出 力 電 力 の 精 度 が 実 現 可 能 なので 固 定 アッテネータを 使 用 するとより 高 精 度 の 電 力 範 囲 で VSG を 使 用 することができます さらに VSG と 受 信 機 の 間 にアッテネータを 配 置 することで DUT における インピーダンス 整 合 性 も 向 上 します 感 度 仕 様 (Sensitivity Specification) 無 線 LAN 受 信 機 の 感 度 は デジタルインタフェース 経 由 で DUT によりレポート 出 力 されるパケット 誤 り 率 (PER packet error rate)で 指 定 します 受 信 機 規 格 を 満 たすために 必 要 な 最 小 PER は DSSS では 8% OFDM HT VHT では 10%です 41

最 小 入 力 感 度 を 厳 密 に 定 義 すると 受 信 機 が 指 定 の PER 基 準 を 実 現 できる 最 低 電 力 レベルとなります DSSS の 最 小 要 件 を 表 4.2 に 示 します DSSS タイプ PER しきい 値 (%) 最 小 感 度 (dbm) DSSS 2 Mb/ 秒 8-80 DSSS 11 Mb/ 秒 8-76 表 4.2. DSSS 受 信 機 の 最 小 入 力 感 度 制 限 値 OFDM ベースの 技 術 を 利 用 した 無 線 LAN 規 格 の 場 合 最 小 入 力 感 度 は 変 調 方 式 コードレート 入 力 帯 域 幅 の 組 み 合 わせによって 決 まります 表 4.3 に 示 すように 最 小 要 件 は OFDM HT VHT のどの 仕 様 でも ほぼ 一 定 です 変 調 方 式 コード レート 最 小 感 度 (20 MHz BW) 最 小 感 度 (40 MHz BW) 最 小 感 度 (80 MHz BW) 最 小 感 度 (160 MHz BW) BPSK ½ -82 dbm -79 dbm -76 dbm -73 dbm BPSK 1 ¾ -81 dbm N/A N/A N/A QPSK ½ -79 dbm -76 dbm -73 dbm -70 dbm QPSK ¾ -77 dbm -74 dbm -71 dbm -68 dbm 16-QAM ½ -74 dbm -71 dbm -68 dbm -65 dbm 16-QAM ¾ -70 dbm -67 dbm -64 dbm -61 dbm 64-QAM 2 / 3-66 dbm -63 dbm -60 dbm -57 dbm 64-QAM ¾ -65 dbm -62 dbm -59 dbm -56 dbm 64-QAM 2 5 / 6-64 dbm -61 dbm -58 dbm -55 dbm 256-QAM 3 ¾ -59 dbm -56 dbm -53 dbm -50 dbm 256-QAM 3 5 / 6-57 dbm -54 dbm -51 dbm -48 dbm 1. ¾コードレートの BPSK は OFDM 規 格 のみでサポートされており HT または VHT ではサポートされていません 5 2. /6 コードレートの 64-QAM は HT および VHT 規 格 のみでサポートされており OFDM ではサポートされていません 3. 256-QAM は VHT 規 格 のみでサポートされており OFDM または HT ではサポートされていません 表 4.3. OFDM HT VHT の EVM の 無 線 LAN 受 信 機 感 度 表 4.3 から 変 調 方 式 の 複 雑 さと 求 められる 受 信 機 感 度 に 強 力 な 相 関 関 係 があることがわかります 例 えば 256-QAM のような 高 次 変 調 方 式 の 場 合 受 信 機 の SNR を 高 くして BPSK など 堅 牢 性 の 高 い 方 式 と 同 じフ レーム 誤 り 率 になるようにする 必 要 があります Wi-Fi デバイスは 適 応 変 調 テクニック(adaptive modulation techniques)を 使 用 するよう 設 計 されています 適 応 変 調 テクニックとは SNR が 低 い 環 境 では 堅 牢 な 変 調 方 式 を 用 い チャンネル 環 境 が 良 好 な 状 況 では 高 スループットの 方 式 を 採 用 するものです 最 大 入 力 レベル(Maximum Input Level) 最 大 入 力 レベルとは 受 信 強 度 が 高 い 状 況 での 受 信 機 性 能 を 評 価 するものです この 計 測 により 受 信 機 が 送 信 機 の 近 くにある 場 合 に 受 信 機 が 期 待 通 りに 動 作 することを 確 認 できます そのような 場 合 受 信 信 号 の SNR はかなり 高 くなりますが 受 信 信 号 の 入 力 電 力 が 高 いと 受 信 機 のフロントエンド 成 分 が 飽 和 されて 信 号 が 歪 む 可 能 性 があります デバイス 性 能 の 最 大 入 力 レベルの 計 測 基 準 は 最 小 入 力 感 度 の 計 測 基 準 と 全 く 同 じです 42

最 大 入 力 レベルのテスト 構 成 では 表 4.4 に 示 すように 高 出 力 信 号 を DUT に 供 給 する 必 要 があります PHY PER しきい 値 2.4 GHz 時 の 電 力 5 GHz 時 の 電 力 DSSS 2 Mb/ 秒 8-4 N/A DSSS 11 Mb/s 8-10 N/A OFDM 10-30 -30 HT 10-20 -30 VHT 10 N/A -30 表 4.4. 受 信 機 の 最 大 入 力 レベル 制 限 値 最 大 入 力 レベルを 計 測 するには 受 信 機 に 供 給 する 変 調 信 号 の 電 力 レベルが 必 要 な 入 力 レベルよりわずかに 低 くなるよう VSG を 構 成 します VSG の 電 力 レベルを 既 知 電 力 レベルから PER しきい 値 に 達 するレベル までゆっくりと 上 げます 受 信 機 が PER しきい 値 (8%または 10%)に 到 達 できる 最 高 入 力 電 力 レベルが 受 信 機 の 最 大 入 力 レベルです 受 信 機 のダイナミックレンジを 厳 密 に 定 義 すると 最 小 入 力 感 度 と 最 大 入 力 レベルの 差 となります 隣 接 チャンネル 除 去 (Adjacent Channel Rejection ACR) Wi-Fi 製 品 は 実 用 的 には 無 線 環 境 で 動 作 するよう 設 計 されていますが 無 線 環 境 は 他 の Wi-Fi デバイスを 含 む 多 様 な 無 線 デバイスが 共 有 しています そのため 無 線 LAN 受 信 機 は 隣 接 帯 域 に 信 号 強 度 が 存 在 する 状 況 で 最 小 性 能 基 準 を 実 現 することが 求 められます 隣 接 チャンネル 除 去 (ACR) 計 測 は 基 準 チャンネル に 隣 接 するチャンネルに 比 較 的 高 電 力 信 号 が 存 在 する 状 況 での 受 信 機 性 能 を 評 価 します ACR 計 測 のテストセットアップでは RF VSG 2 つと 電 力 結 合 器 が 必 要 です 図 4.2 に 示 すように プラ イマリ VSG が 無 線 LAN 信 号 を 生 成 し それを 受 信 機 が 復 調 します セカンダリ VSG は 基 準 信 号 より 高 電 力 の 干 渉 信 号 を 生 成 します 無 線 LAN デバイス 図 4.2. ACR 計 測 のハードウェアブロック 図 図 4.3 は 2 つの 無 線 LAN 信 号 を 同 時 に DUT に 供 給 する ACR のテスト 構 成 を 示 しています 43

電 力 干 渉 信 号 主 要 信 号 ( 基 準 ) 周 波 数 図 4.3. DUT に 供 給 される 信 号 のスペクトル 図 ACR をテストするには PER しきい 値 に 達 するまで 干 渉 信 号 の 電 力 レベルをゆっくりと 上 げま す 主 要 信 号 と 干 渉 信 号 の 間 の 電 力 レベル 差 が 受 信 機 の ACR 性 能 となります ACR の 受 信 機 PER 性 能 基 準 は DSSS OFDM HT VHT いずれの 規 格 でも 最 小 入 力 感 度 と 最 大 入 力 レベル の 基 準 と 同 じです DSSS の ACR 計 測 の 場 合 受 信 機 のフレーム 誤 り 率 は 8%に 到 達 する 必 要 があります OFDM HT VHT 伝 送 では 10%のフレーム 誤 り 率 が 必 要 です DSSS 伝 送 で ACR を 計 測 する 際 は 基 準 信 号 を 感 度 制 限 値 の 6 db 高 い 電 力 レベルに 設 定 します この 構 成 では 表 4.5 に 示 すように 受 信 機 の ACR は 35 db を 上 回 る 必 要 があります 伝 送 入 力 基 準 チャンネル 電 力 隣 接 チャンネル 除 去 DSSS 感 度 + 6 db 35 db 表 4.5. DSSS 伝 送 の ACR 要 件 OFDM HT および VHT 規 格 で 必 須 とされる ACR 基 準 は 変 調 方 式 とコードレートの 組 み 合 わせによって 決 まります 表 4.6 は 各 方 式 の 必 要 な 性 能 基 準 を 一 覧 にしたものです 44

変 調 方 式 コード レート 入 力 基 準 チャンネル 電 力 隣 接 チャンネル 除 去 (OFDM) 隣 接 チャンネル 除 去 (HT VHT 80+80 を 除 く) 隣 接 チャンネル 除 去 (VHT 80+80) BPSK 1/2 28 db 16 13 db BPSK 1 3/4 27 db N/A N/A QPSK 1/2 25 db 13 10 db QPSK 3/4 23 db 11 7 db 16-QAM 1/2 20 db 8 5 db 感 度 16-QAM 3/4 16 db 4 1 db 64-QAM 2/3 + 3 db 12 db 0-3 db 64-QAM 3/4 11 db -1-4 db 64-QAM 2 5/6 N/A -2-5 db 256-QAM 3 3/4 N/A -7-10 db 256-QAM 3 5/6 N/A -9-12 db 1. 3/4 コードレートの BPSK は OFDM 規 格 のみでサポートされており HT または VHT ではサポートされていません 2. 5/6 コードレートの 64-QAM は HT および VHT 規 格 のみでサポートされており OFDM ではサポートされていません 3. 256-QAM は VHT 規 格 のみでサポートされており OFDM または HT ではサポートされていません 表 4.6. ACR の 性 能 基 準 表 4.6 を 見 ると 主 要 ( 復 調 済 み) 信 号 の 正 確 な 基 準 チャンネル 電 力 は 変 調 方 式 コードレート 信 号 の 帯 域 幅 によって 決 まります さらに 具 体 的 にいうと この 電 力 レベルは 表 4.3 に 示 す 受 信 機 の 最 小 入 力 感 度 を 3 db 上 回 ります 非 隣 接 チャンネル 除 去 非 隣 接 チャンネル 除 去 は 非 隣 接 チャンネルに 干 渉 信 号 を 配 置 します 非 隣 接 チャンネル 除 去 は OFDM HT VHT 規 格 のみで 指 定 されています DSSS 伝 送 には 非 隣 接 チャンネル 除 去 要 件 はありません より 厳 密 に 定 義 すると 中 央 の 伝 送 から 2 チャンネル 帯 域 幅 以 上 離 れたチャンネルの 除 去 として 定 義 されま す 例 えば 20 MHz チャンネルの 場 合 非 隣 接 チャンネルの 中 心 周 波 数 は 基 準 チャンネルの 中 心 周 波 数 から 少 なくとも 40 MHz 離 れています 同 様 に 40 MHz 伝 送 における 非 隣 接 チャンネルの 中 心 周 波 数 は 基 準 チャンネルの 中 心 周 波 数 から 少 なくとも 80 MHz 離 れています 干 渉 信 号 の 周 波 数 は 基 準 チャンネルにそれほど 近 くないため 非 隣 接 チャンネル 除 去 の 要 件 は ACR に 比 べ 14~16 db 高 くなっています 非 隣 接 チャンネル 除 去 に 使 用 される 主 要 基 準 信 号 は 基 準 チャンネル 電 力 を 3 db 上 回 ります 表 4.7 は 変 調 方 式 とコードレートの 様 々な 組 み 合 わせにおける 具 体 的 な 非 隣 接 チャンネ ル 除 去 要 件 を 示 したものです 45

変 調 方 式 コード レート 入 力 基 準 チャンネル 電 力 非 隣 接 チャンネル 除 去 (OFDM) 非 隣 接 チャンネル 除 去 (HT VHT 80+80 を 除 く) 非 隣 接 チャンネル 除 去 (VHT 80+80) BPSK 42 db 32 db 29 db BPSK 1 3/4 41 db N/A N/A QPSK 1/2 39 db 29 db 26 db QPSK 3/4 37 db 27 db 24 db 16-QAM 1/2 34 db 24 db 21 db 16-QAM 3/4 感 度 + 3 db 30 db 20 db 17 db 64-QAM 2/3 26 db 16 db 13 db 64-QAM 3/4 25 db 15 db 12 db 64-QAM 2 5/6 N/A 14 db 11 db 256-QAM 3 3/4 N/A 9 db 6 db 256-QAM 3 5/6 N/A 7 db 4 db 1. 3/4 コードレートの BPSK は OFDM 規 格 のみでサポートされており HT または VHT ではサポートされていません 2. 5/6 コードレートの 64-QAM は HT および VHT 規 格 のみでサポートされており OFDM ではサポートされていません 3. 256-QAM は VHT 規 格 のみでサポートされており OFDM または HT ではサポートされていません 受 信 チャンネル 電 源 表 示 表 4.7. OFDM HT VHT の 非 隣 接 チャンネル 除 去 要 件 受 信 チャンネル 電 源 表 示 (RCPI)とは 信 号 の 受 信 強 度 のことで 8 ビットレジスタを 使 用 して 受 信 機 によっ てレポートされます 8 ビットレジスタは 0.5 db の 分 解 能 で 0 から 220 までの 数 値 を 生 成 し それによっ て 受 信 機 が-100 dbm(レジスタ 値 0)から 0 dbm(レジスタ 値 220)の 範 囲 で 受 信 強 度 をレポートします RCPI を 計 測 するには 既 知 電 力 レベルの RF 信 号 を 生 成 するよう VSG を 構 成 します 次 に その 電 力 レ ベルを DUT から 返 される RCPI 結 果 と 比 較 します 無 線 LAN デバイスは 表 4.8 に 示 すように 一 般 に 既 知 の VSG 電 力 レベルの 特 定 の+/- db 内 に 収 まる RCPI 値 をレポートする 必 要 があります PHY DSSS OFDM HT VHT RCPI 精 度 ± 5 db ± 5 db ± 5 db N/A 表 4.8. 受 信 チャンネル 電 源 表 示 の 制 限 値 表 4.8 に 示 すように DSSS OFDM HT 伝 送 では 特 定 の RCPI 要 件 があります ただし VHT 仕 様 には RCPI 要 件 はありません 46