第 一 回 数 理 工 学 コンテスト 受 賞 作 品 講 評 奨 励 賞 作 品 一 覧 Science of Destruction ~ 逆 問 題 への 数 学 的 アプローチ~ 兵 庫 県 立 神 戸 高 等 学 校 Excel を 使 ってシミュレーション~ 大 台 ヶ 原 の 森 林 衰 退 ~ ババ 抜 きの 公 平 性 プロ 野 球 から 見 た 部 活 動 におけるソフトボール 解 析 植 林 の 未 来 を 数 学 で 考 える 本 当 にクラスの 中 に 同 じ 誕 生 日 の 人 がいる 確 率 は 90%なのか 台 風 の 上 陸 数 と 漁 獲 高 の 関 係 コンビニエンスストアと 人 口 の 相 関 関 係 及 び 大 手 3 社 の 都 道 府 県 ごとの 店 舗 数 の 相 関 関 係 奈 良 県 立 青 翔 高 等 学 校 桐 蔭 学 園 中 等 教 育 学 校 埼 玉 県 立 熊 谷 女 子 高 等 学 校 福 岡 工 業 大 学 附 属 城 東 高 等 学 校 東 海 学 園 東 海 高 等 学 校 長 野 県 屋 代 高 等 学 校 熊 本 県 立 玉 名 高 等 学 校
兵 庫 県 立 神 戸 高 等 学 校 Kobe Fractal Team Science of Destruction ~ 逆 問 題 への 数 学 的 アプローチ~ 破 壊 によるサイズ 分 布 について 整 数 論 を 用 いたモデル 構 築 ( 分 割 数 と 合 成 数 を 定 義 し てモデルを 構 築 )を 行 い 実 験 とシミュレーションによってモデルの 妥 当 性 を 検 証 したレ ポートである 線 分 あるいは 円 の 破 壊 のモデルとして 切 断 候 補 点 が 等 間 隔 に 分 布 し 破 壊 時 に 等 確 率 で 切 断 されるというモデルを 考 え 破 片 の 長 さあるいは 大 きさの 分 布 として 指 数 分 布 を 導 いている これらのモデルに 対 応 する 実 験 として スパゲッティとビスケット を 用 いた 破 壊 実 験 を 行 った 結 果 ほぼ 指 数 分 布 であることを 確 かめ また ビスケットや パネルのシミュレーションによって 破 壊 断 片 サイズの 指 数 分 布 を 導 いたことを 報 告 して いる 簡 単 なモデル 化 によって 破 壊 断 片 サイズの 指 数 分 布 を 導 き 得 られた 指 数 分 布 を 実 験 と シミュレーションによって 再 現 できたことは 評 価 できる また 破 壊 のサイズ 分 布 に 関 す る 分 野 はこれまでに 多 く 研 究 されている 分 野 であり 本 報 告 のモデル 化 と 結 論 自 体 は 全 く 新 しいというわけではないが 理 論 と 実 験 シミュレーションをバランス 良 く 用 いて 一 つ の 結 論 を 実 証 している 点 は 評 価 できる 破 壊 の 方 法 ( 強 度 )などを 変 えた 時 の 分 布 への 影 響 という 観 点 から 試 みてみたら 興 味 深 い 結 果 が 得 られるかもしれない 今 後 も 課 題 発 見 から 理 論 構 築 実 験 による 検 証 とい う 数 理 工 学 の 基 本 的 なフローに 則 った 質 が 高 く 興 味 深 い 研 究 を 展 開 されていくことを 期 待 する
奈 良 県 立 青 翔 高 等 学 校 辻 本 純 平 中 原 欣 輝 Excel を 使 ってシミュレーション~ 大 台 ヶ 原 の 森 林 衰 退 ~ 奈 良 県 大 台 が 原 のトウヒ 林 のシカの 食 害 による 消 滅 を 防 ぐために トウヒとシカ 及 び シカのエサであるササの 間 の 関 係 をモデル 化 して エクセルを 用 いてシミュレーションを 行 った 論 文 である 動 機 と 発 想 が 地 域 の 特 色 と 問 題 の 解 決 に 根 ざしているところや モデルの 立 て 方 や 解 法 も 試 行 錯 誤 の 上 で 妥 当 なやり 方 を 見 出 しているところ また シカを 減 らすだけの 対 策 よりもトウヒ 保 護 やササ 狩 りを 含 めた 対 策 の 方 がより 効 果 的 であるという 結 論 を 得 ること ができた 点 も 評 価 できる パラメータ 値 については その 値 の 大 きさの 決 定 法 や トウヒ 保 護 のような 条 件 変 化 に 対 応 したパラメータ 値 の 変 更 について もう 少 していねいな 説 明 が 必 要 であると 思 われ る 今 後 も 地 域 に 根 差 した 色 々な 問 題 に 今 回 活 用 した 数 理 工 学 の 方 法 をさらに 修 正 展 開 して 適 用 し 問 題 解 決 に 貢 献 していくことを 期 待 する 桐 蔭 学 園 中 等 教 育 学 校 数 楽 研 究 会 ババ 抜 きの 公 平 性 ババ 抜 きの 公 平 性 に 関 して 調 べる 目 的 で 参 加 者 が 4 人 の 場 合 でシミュレーションを 行 ったレポートである ゲームの 進 行 を 忠 実 に 再 現 するシミュレーションモデルを 作 成 し ゲーム 開 始 を 誰 にするかで 分 けて 100 万 回 の 試 行 を 行 い ジョーカーが 最 初 に 誰 に 配 られ るかで 分 けて 負 けの 割 合 を 調 べた 結 果 以 下 のことを 導 いている 1)ゲーム 開 始 の 順 番 によって 公 平 性 が 変 わり 14 枚 配 布 者 から 最 初 にカードを 引 く 場 合 には 負 けの 割 合 は 4 人 でほぼ 等 しくなり それ 以 外 では 約 10% 程 度 の 不 公 平 性 が 生 じる 2) 最 初 に 配 られたジ ョーカーを 引 く 人 が 負 けやすく 最 初 にジョーカーが 配 られた 人 によって カードを 引 か れる 人 が 負 けにくい 3) 最 初 にカードを 引 くときに 偶 数 枚 のカードを 持 っている 人 は 負 けにくい シミュレーションの 記 述 がしっかりしており 結 果 の 解 釈 も 細 かく 議 論 ができている 点 は 評 価 できる 結 論 は 経 験 的 になんとなく 知 られていたことではあるが 詳 細 なシミュレ ーションによって 定 量 的 な 結 論 を 導 いた 点 は 評 価 できる 今 後 の 課 題 でも 述 べられているが 参 加 人 数 が 4 人 以 外 の 場 合 について 調 べ 参 加 人 数 に 関 わらず 共 通 な 法 則 参 加 人 数 に 依 存 した 法 則 を 追 及 していけば 面 白 いと 思 われる
埼 玉 県 立 熊 谷 女 子 高 等 学 校 SSC プロ 野 球 から 見 た 部 活 動 におけるソフトボール 解 析 プロ 野 球 とソフトボールのチームについて 勝 率 と 打 率 や 防 御 率 などとの 間 で 相 関 係 数 を 求 め 勝 率 に 関 係 する 要 素 が 何 かをプロ 野 球 とソフトボールのチーム 間 で 比 較 したレポ ートである 要 素 としては 打 率 得 点 圏 打 率 被 打 率 防 御 率 出 塁 率 長 打 率 奪 三 振 率 を 調 べ プロ 野 球 は 2008 年 ~2012 年 のデータ ソフトボールは 埼 玉 県 の 二 つの 大 会 のデータを 用 い て 解 析 を 行 った 結 果 プロ 野 球 では 勝 率 は 防 御 率 及 び 被 打 率 との 相 関 が 強 いが ソフト ボールではそれに 加 えて 長 打 率 打 率 出 塁 率 との 相 関 が 強 いことを 見 出 している これ により プロ 野 球 では 守 備 が 勝 率 を 決 定 し ソフトボールでは 攻 撃 が 勝 率 を 決 定 している と 結 論 づけている ソフトボールで 勝 つために 何 が 勝 敗 を 決 めているかをプロ 野 球 とソフトボールで 比 較 しソフトボール 特 有 の 要 因 を 探 すという 発 想 は 面 白 く 結 果 も 興 味 深 い ただ トーナメ ントから 得 られる 勝 率 のデータは 総 当 たりのデータと 比 べて 勝 率 の 高 いほうと 低 い 方 に 偏 る 傾 向 があるのではないかと 考 えられる そのことが 結 果 に 及 ぼす 影 響 について 議 論 が あったほうが 良 かったと 思 われる 今 回 は 埼 玉 県 のソフトボールチーム 全 般 についての 調 査 だったが 熊 谷 女 子 高 校 が 勝 つた めの 方 法 を 検 討 するには 熊 谷 女 子 高 校 の 試 合 の 特 徴 を 掴 む 必 要 がある 今 後 は 個 別 チ ームの 特 徴 に 合 った 勝 つための 方 法 の 探 索 に 展 開 していくのも 興 味 深 いと 思 われる
福 岡 工 業 大 学 附 属 城 東 高 等 学 校 チーム 古 閑 木 下 植 林 の 未 来 を 数 学 で 考 える 植 林 によって 木 の 影 ができるだけ 重 ならないようにして 地 面 を 影 で 覆 い 尽 くすことに より 温 暖 化 防 止 を 最 低 のコストで 行 うことを 目 的 として そのための 植 林 の 方 法 を 提 案 したレポートである 西 サハラにおいて 20m の 高 さで 上 から 10m が 葉 の 部 分 である 木 を 南 北 方 向 に 4m 間 隔 東 西 方 向 には 真 西 から 45 の 方 角 に 一 定 距 離 離 れた 場 所 に 植 林 を 行 うことによって 最 も コストパフォーマンス 良 く 地 面 を 覆 うことができることを 様 々な 方 角 の 太 陽 の 高 さを 考 慮 に 入 れることで 示 している コストパフォーマンスの 良 い 植 林 方 法 を 考 えるという 発 想 は 地 球 環 境 問 題 への 数 理 科 学 からのアプローチという 観 点 で 価 値 があり 具 体 的 に 太 陽 の 影 の 動 きと 高 さを 考 えて 最 適 な 植 林 方 法 に 反 映 させるというアイディアも 優 れている しかし 議 論 の 展 開 や 計 算 に 改 善 の 余 地 があり 計 算 の 過 程 のより 具 体 的 な 説 明 を 示 す ことが 望 ましい 環 境 問 題 においては 本 論 文 のような 最 適 化 の 考 え 方 が 非 常 に 重 要 であ る 今 後 も 最 適 化 の 方 法 をより 洗 練 させて 様 々な 問 題 にアプローチしていくことを 期 待 す る 東 海 学 園 東 海 高 等 学 校 望 月 達 人 本 当 にクラスの 中 に 同 じ 誕 生 日 の 人 がいる 確 率 は 90%なのか 誕 生 日 がクラスで 一 致 する 人 がいる 確 率 は 90% 以 上 という 仮 説 をシミュレーション を 用 いて 検 証 したレポートである 検 証 には 確 率 計 算 と 乱 数 を 用 いたエクセルによるシ ミュレーションを 用 い 誕 生 日 の 発 生 確 率 が 一 様 の 場 合 と 一 様 でない 場 合 でシミュレーシ ョンを 行 っている クラスの 人 数 が 40 人 の 場 合 誕 生 日 の 発 生 確 率 を 一 様 から 一 様 でない 場 合 ( 一 様 乱 数 の 二 乗 を 使 用 )に 変 更 したとき 誕 生 日 が 一 致 する 人 がいる 確 率 が 89.9%から 98.8%へ 上 昇 す ることを 示 している 点 は 評 価 できる また 乱 数 のシミュレーションをエクセルを 工 夫 し て 活 用 することで 実 施 している 点 も 評 価 できる 今 後 の 課 題 でも 述 べられているように 誕 生 日 の 発 生 確 率 のばらつきの 大 きさをいくつ か 変 えて 現 実 的 な 大 きさのばらつきも 含 めてやってみたほうが より 現 実 を 反 映 した 結 果 が 得 られたものと 思 われる 世 の 中 には 確 率 的 な 現 象 が 多 くあり このような 確 率 的 な 計 算 をきちんと 行 うことは 重 要 である 今 後 もより 複 雑 な 問 題 について できるだけ 現 実 を 反 映 させた 形 でモデル 化 にチャレンジしていくことを 期 待 する
長 野 県 屋 代 高 等 学 校 屋 代 数 学 チーム 台 風 の 上 陸 数 と 漁 獲 高 の 関 係 台 風 に 対 して 相 関 があるものを 捜 す 目 的 で 漁 獲 高 に 着 目 し 2001 年 ~2010 年 の 台 風 の 上 陸 数 (10 点 のデータ)と 漁 獲 高 の 間 で 相 関 係 数 を 調 べ 得 られた 相 関 について 考 察 を 行 ったレポートである 結 果 として 台 風 の 上 陸 数 と まあじ さんまの 漁 獲 高 との 間 で それぞれ 正 の 相 関 (0.65) 負 の 相 関 (-0.63)が 得 られたことを 報 告 している まあじに ついては 台 風 との 直 接 的 関 係 によって 正 の 相 関 を 説 明 できたが さんまについては エル ニーニョ 現 象 などとの 関 係 を 考 察 したが 負 の 相 関 を 説 明 できず エルニーニョ 現 象 以 外 の 要 因 が 考 えられた 台 風 と 相 関 のあるものを 網 羅 的 に 探 すというアイディアや 得 られたまあじやさんまの 台 風 上 陸 数 との 相 関 に 基 づき エルニーニョ 現 象 などによって 台 風 とさんまの 関 係 を 追 い かけたところは 評 価 できる ただデータ 数 があまり 多 くなかったので データをより 多 く 取 得 できればより 正 しい 推 論 ができたものと 思 われる 例 えば 台 風 の 上 陸 数 よりも 台 風 の 接 近 数 の 方 がデータ 数 も 増 え より 適 切 かもしれない その 上 で 相 関 のあった 魚 の 産 地 と 漁 獲 時 期 台 風 の 接 近 地 域 と 時 期 などを 考 慮 した 考 察 を 行 っていくことが 一 つの 方 法 であると 考 えられる ある 問 題 に 関 して 網 羅 的 にアプローチし 得 られた 事 項 に 関 して 深 く 追 求 していくという 手 法 は 方 法 論 として 問 題 の 本 質 にせまり 得 る 方 法 なので 今 後 も 上 記 のことに 留 意 しなが ら 様 々な 問 題 に 展 開 していくことを 期 待 する
熊 本 県 立 玉 名 高 等 学 校 チーム5 コンビニエンスストアと 人 口 の 相 関 関 係 及 び 大 手 3 社 の 都 道 府 県 ごとの 店 舗 数 の 相 関 関 係 コンビニエンスストアの 店 舗 数 と 人 口 の 関 係 また 大 手 3 社 (S 社,Ⅼ 社,F 社 )の 店 舗 数 間 の 関 係 を 知 るために 都 道 府 県 ごとの 大 手 3 社 の 店 舗 数 と 人 口 間 の 相 関 と 都 道 府 県 ごとの 人 口 10 万 人 あたりの 店 舗 数 の 大 手 3 社 間 での 相 関 を 調 べたレポートである 都 道 府 県 ごとの 店 舗 数 と 人 口 の 関 係 では 3 社 ともに 強 い 正 の 相 関 ( 相 関 係 数 0.92~0.96) があり さらに 3 社 の 合 計 店 舗 数 と 人 口 との 間 にはさらに 強 い 正 の 相 関 ( 相 関 係 数 0.98) があることを 見 出 している さらに 都 道 府 県 ごとの 人 口 10 万 人 あたりの 店 舗 数 の 大 手 3 社 間 での 相 関 では S 社 とⅬ 社 の 間 には 強 い 負 の 相 関 関 係 ( 0.61)があることを 見 出 し ている コンビニエンスストアの 店 舗 数 と 人 口 との 関 係 は 全 く 新 しい 発 想 ではないが コンビニ エンスストア 大 手 3 社 の 合 計 では それぞれの 会 社 の 店 舗 数 と 人 口 との 相 関 係 数 よりも 大 きな 0.98 という 非 常 に 大 きな 相 関 があり その 上 にS 社 とⅬ 社 の 間 に 強 い 負 の 相 関 がある ことを 見 出 したことは 評 価 できる 相 関 関 係 を 扱 う 際 には 外 れ 値 に 対 する 考 察 も 重 要 である 例 えば S 社 のみ 店 舗 数 が 0 の 県 が 3 つあることなどは 他 の 会 社 ではないことなので その 原 因 に 対 する 考 察 が 望 まれる 今 後 も 身 近 なことの 中 に 潜 む 意 外 な 面 白 い 関 係 を 信 頼 できるデータを 収 集 することで 見 つけていくことを 期 待 する