子 宮 頸 がん 予 防 ワクチンの 状 況 について 1 接 種 費 用 の 公 費 助 成 (1) 県 の 助 成 制 度 子 宮 頸 がん 予 防 ワクチンの 接 種 費 用 は 3 回 の 接 種 で 約 45,000 円 (1 回 当 たり 約 15,000 円 )であり 被 接 種 者 の 経 済 的 負 担 が 大 きいものであった そのため がん 対 策 推 進 の 観 点 から 公 費 助 成 を 求 める 声 が 各 方 面 から 挙 がり これ に 答 える 形 で 山 梨 県 では 平 成 22 年 6 月 から 小 学 校 6 年 生 と 中 学 校 3 年 生 の 女 子 を 対 象 に 市 町 村 が 実 施 する 子 宮 頸 がん 予 防 ワクチン 接 種 に 対 する 助 成 事 業 ( 県 1/3 市 町 村 1/3 自 己 負 担 1/3)を 開 始 した (2) 国 の 基 金 事 業 平 成 22 年 11 月 国 は 子 宮 頸 がん 予 防 ワクチン 等 接 種 費 用 の 公 費 助 成 制 度 として 子 宮 頸 がん 等 ワクチン 接 種 緊 急 促 進 臨 時 特 例 交 付 金 ( 国 の 基 金 事 業 )を 開 始 した 対 象 者 は 中 学 校 1 年 生 (13 歳 相 当 )~ 高 校 1 年 生 (16 歳 相 当 )の 女 子 とし 例 外 として 小 学 校 6 年 生 (12 歳 相 当 )の 女 子 も 対 象 とすることも 可 能 ( 最 大 4 学 年 内 )と された これにより 市 町 村 が 独 自 に 対 象 年 齢 を 設 定 することが 可 能 とされた 県 内 の 市 町 村 は 段 階 的 に 国 の 基 金 事 業 に 移 行 し 平 成 22 年 度 末 までに 移 行 完 了 した 国 の 基 金 事 業 は 平 成 25 年 3 月 まで 継 続 された 1
2 積 極 的 な 接 種 勧 奨 の 差 し 控 え 国 は 平 成 25 年 4 月 から 定 期 接 種 化 したが ワクチン 接 種 との 関 連 を 否 定 できない 持 続 的 な 痛 みなどの 症 状 が 接 種 後 に 見 られたことから 平 成 25 年 6 月 定 期 接 種 としての 位 置 づけは 維 持 するものの 接 種 を 積 極 的 に 勧 めることを 一 時 見 合 わせる 旨 の 勧 告 を 行 った ( 別 紙 ) 3 診 療 体 制 の 整 備 (1) 専 門 医 療 機 関 子 宮 頸 がん 予 防 ワクチン 接 種 後 に 生 じた 症 状 について 被 接 種 者 とその 家 族 に 対 し て 適 切 な 医 療 を 提 供 するため 厚 生 労 働 省 は 厚 生 労 働 科 学 研 究 事 業 として 次 の 研 究 班 により 診 療 研 究 体 制 を 整 備 している A 慢 性 の 痛 み 診 療 教 育 基 盤 となるシステム 構 築 に 関 する 研 究 班 ( 代 表 : 愛 知 医 科 大 学 医 学 部 牛 田 教 授 ) B 子 宮 頸 がんワクチン 接 種 後 の 神 経 障 害 に 関 する 治 療 法 の 確 立 と 情 報 提 供 につい ての 研 究 班 ( 代 表 : 信 州 大 学 医 学 部 池 田 教 授 ) (2) 協 力 医 療 機 関 平 成 26 年 9 月 29 日 厚 生 労 働 省 は 子 宮 頸 がん 予 防 ワクチン 接 種 後 に 広 範 な 疼 痛 又 は 運 動 障 害 を 中 心 とする 多 様 な 症 状 を 呈 する 方 に 対 して より 身 近 な 地 域 において 適 切 な 診 療 を 提 供 するため ヒトパピローマウイルス 感 染 症 の 予 防 接 種 後 に 生 じた 症 状 の 診 療 に 係 る 協 力 医 療 機 関 を 都 道 府 県 単 位 で 選 定 することとした 平 成 26 年 11 月 山 梨 県 では 山 梨 大 学 医 学 部 附 属 病 院 ( 産 婦 人 科 )を 協 力 医 療 機 関 として 選 定 した ( 別 紙 ) (3) 診 療 の 手 引 き 平 成 27 年 8 月 公 益 社 団 法 人 日 本 医 師 会 日 本 医 学 会 は HPVワクチン 接 種 後 に 生 じた 症 状 に 対 する 診 療 の 手 引 き を 発 行 した 本 手 引 きは HPVワクチン 接 種 後 に 生 じた 様 々な 症 状 により 適 切 な 医 療 を 求 めて いる 患 者 及 びその 保 護 者 に 対 する 支 援 体 制 の 充 実 のために 現 場 で 対 応 にあたる 地 域 の 医 療 機 関 や 都 道 府 県 ごとに 選 定 した 協 力 医 療 機 関 の 医 師 等 を 対 象 に 作 成 したもので ある 4 国 による 調 査 (1) 文 部 科 学 省 学 校 を 長 期 休 業 せざるを 得 ない 事 例 もあるとの 指 摘 もあったことから 文 部 科 学 省 は 生 徒 に 対 する 個 別 指 導 等 に 適 切 に 対 応 するため 全 国 の 中 学 校 高 等 学 校 中 等 教 育 学 校 特 別 支 援 学 校 ( 中 高 等 部 )の 児 童 生 徒 を 対 象 として 子 宮 頸 がん 予 防 ワ クチンの 接 種 に 関 連 した 欠 席 等 の 状 況 調 査 を 平 成 25 年 6 月 から 7 月 にかけて 実 施 し た ( 別 紙 )( 山 梨 県 では 該 当 事 例 無 し) (2) 厚 生 労 働 省 厚 生 労 働 省 は 子 宮 頸 がん 予 防 ワクチン 接 種 後 にワクチンとの 因 果 関 係 が 否 定 でき ない 持 続 的 な 疼 痛 等 が 見 られる 事 例 の 報 告 が 相 次 いでいることを 受 けて 平 成 26 年 度 から 27 年 度 にかけて 副 反 応 追 跡 調 査 を 行 った 2
その 結 果 平 成 26 年 11 月 までに 接 種 した 約 338 万 人 のうち 副 反 応 疑 い 報 告 があ ったのは 2,584(0.08%)で 発 症 日 転 帰 等 が 把 握 できた 1,739 人 のうち 未 回 復 の 方 は 186 人 ( 被 接 種 者 の 0.005%)であることが 明 らかとなった ( 別 紙 ) 5 追 跡 調 査 を 踏 まえた 国 の 対 応 平 成 27 年 9 月 17 日 に 開 催 された 国 の 審 議 会 において 副 反 応 追 跡 調 査 結 果 が 報 告 され 審 議 会 の 委 員 の 意 見 を 踏 まえて 厚 生 労 働 省 は 当 面 の 対 応 方 針 を 打 ち 出 した ( 別 紙 ) (1) 相 談 支 援 体 制 の 充 実 国 の 審 議 会 の 委 員 から 患 者 の 学 習 支 援 や 教 育 現 場 との 連 携 等 患 者 の 生 活 を 支 え るための 相 談 体 制 を 拡 充 すべき との 意 見 が 出 されたことを 踏 まえ 国 ( 厚 生 労 働 省 文 部 科 学 省 )は 子 宮 頸 がん 予 防 ワクチン 接 種 後 に 症 状 が 生 じた 方 の 相 談 支 援 体 制 の 充 実 を 図 るため 各 都 道 府 県 の 衛 生 部 局 及 び 教 育 部 局 に 相 談 窓 口 を 設 置 することと した ( 別 紙 ) これを 受 けて 山 梨 県 においては 衛 生 部 局 として 健 康 増 進 課 に 教 育 部 局 として スポーツ 健 康 課 にそれぞれ 相 談 窓 口 を 設 置 し 平 成 27 年 11 月 16 日 から 運 用 を 開 始 し た (2) 診 療 情 報 の 収 集 分 析 子 宮 頸 がん 予 防 ワクチン 接 種 後 に 生 じた 症 状 については その 臨 床 経 過 治 療 が 非 常 に 多 様 であり 現 時 点 ではその 全 体 像 は 明 らかになっていない このことから 厚 生 労 働 省 は 接 種 後 に 症 状 を 生 じた 方 に 対 する 診 療 体 制 の 充 実 の ために 協 力 医 療 機 関 等 を 受 診 している 方 を 対 象 に その 症 状 の 背 景 経 過 治 療 等 に 関 する 実 態 を 分 析 し 予 後 に 関 連 する 因 子 を 検 討 するための 研 究 を 厚 生 労 働 科 学 研 究 事 業 として 平 成 27 年 12 月 から 開 始 した ( 平 成 30 年 3 月 末 まで) 今 後 協 力 医 療 機 関 に 加 え 協 力 医 療 機 関 と 連 携 し 積 極 的 な 診 療 を 行 う 医 療 機 関 に も 拡 大 する 方 針 である (3) 疫 学 調 査 研 究 子 宮 頸 がん 予 防 ワクチン(HPVワクチン)について 国 内 における 安 全 性 及 び 有 効 性 の 疫 学 評 価 が 乏 しいことから 厚 生 労 働 省 は 厚 生 労 働 科 学 研 究 事 業 として H PVワクチンの 有 効 性 及 び 安 全 性 に 関 する 疫 学 研 究 を 複 数 の 専 門 家 によって 構 成 さ れる 共 同 研 究 により 行 うこととした この 疫 学 研 究 は 次 の 3 つの 研 究 から 構 成 され 平 成 27 年 7 月 7 日 から 3 年 計 画 で 進 めていく 予 定 である 疼 痛 並 びに 運 動 障 害 を 中 心 とした 多 様 な 症 状 の 発 現 頻 度 並 びに 関 連 因 子 を 明 らかにすることを 目 的 とした 記 述 疫 学 研 究 HPVワクチン 接 種 後 の 疼 痛 並 びに 運 動 障 害 を 中 心 とした 多 様 な 症 状 に 関 する 追 跡 研 究 子 宮 頸 がん 検 診 受 診 者 におけるHPVワクチンの 有 効 性 に 関 する 疫 学 研 究 本 研 究 班 は 子 宮 頸 がん 予 防 ワクチン 接 種 後 の 症 状 と 同 様 の 症 状 により 医 療 機 関 を 受 診 する 患 者 数 と 臨 床 疫 学 特 性 を 把 握 するための 研 究 として 青 少 年 における 疼 痛 又 は 運 動 障 害 を 中 心 とする 多 様 な 症 状 の 受 療 状 況 に 関 する 全 国 疫 学 調 査 を 平 成 28 年 1 月 から 開 始 した ( 別 紙 ) 3
6 山 梨 県 の 状 況 (1) 県 内 の 接 種 状 況 1 公 費 助 成 による 接 種 県 の 単 独 補 助 事 業 ( 平 成 22 年 6 月 ~ 国 の 基 金 事 業 移 行 の 前 日 ) がん 対 策 推 進 のため 接 種 費 用 の 公 費 助 成 を 求 める 声 に 応 える 形 で 市 町 村 が 行 う 費 用 助 成 に 対 する 県 の 助 成 を 開 始 した 小 学 校 6 年 生 3,118 人 中 学 校 3 年 生 3,456 人 計 6,574 人 国 の 基 金 事 業 ( 平 成 22 年 11 月 ~ 平 成 25 年 3 月 末 ) 国 の 基 金 事 業 は 中 学 校 1 年 生 ~ 高 校 1 年 生 の4 学 年 を 基 本 とし 各 市 町 村 が 独 自 に 対 象 年 齢 を 設 定 するものであり 開 始 時 期 は 市 町 村 によって 異 なる 計 16,463 人 公 費 助 成 (H22~H24 年 度 )の 累 計 23,037 人 2 法 令 による 接 種 定 期 接 種 ( 平 成 25 年 4 月 ~ 平 成 27 年 3 月 末 ) ワクチン 接 種 後 にワクチンとの 因 果 関 係 が 否 定 できない 持 続 的 な 疼 痛 等 が 見 ら れる 事 例 により 平 成 25 年 6 月 国 は 積 極 的 な 接 種 勧 奨 の 差 し 控 えを 勧 告 した 平 成 25 年 度 715 人 平 成 26 年 度 49 人 ( 暫 定 値 ) 計 764 人 全 期 間 (H22~H26 年 度 )の 累 計 23,801 人 (2) 健 康 被 害 が 疑 われる 者 の 把 握 1 副 反 応 報 告 制 度 国 は 副 反 応 疑 い 事 例 の 把 握 によりワクチンの 安 全 性 を 分 析 評 価 しており 県 は 副 反 応 疑 いの 報 告 について 国 から 情 報 提 供 を 受 けている 2 相 談 窓 口 福 祉 保 健 部 健 康 増 進 課 ( 衛 生 部 局 ) 教 育 庁 スポーツ 健 康 課 ( 教 育 部 局 )に 相 談 窓 口 を 設 置 し 平 成 27 年 11 月 16 日 から 運 用 開 始 した これまでに 衛 生 部 局 として 延 べ 9 件 の 相 談 を 受 け 付 けている ワクチン 接 種 と 症 状 との 因 果 関 係 については 医 師 の 判 断 が 不 可 欠 であるため 診 断 が 必 要 と 考 えられる 相 談 者 に 対 しては 医 療 機 関 での 受 診 を 勧 めている ワクチン 接 種 後 に 症 状 が 生 じた 方 からの 生 の 声 を 拝 聴 することで 実 態 の 把 握 及 び 診 断 情 報 の 取 得 に 努 めている (3) 健 康 被 害 者 の 救 済 1 国 の 救 済 制 度 副 反 応 報 告 の 対 象 となった 者 は 必 ずしも 国 の 救 済 制 度 における 健 康 被 害 者 にな るとは 限 らず 国 の 審 議 会 で 因 果 関 係 の 認 定 判 定 が 必 要 である 4
定 期 接 種 ( 平 成 25 年 4 月 1 日 から 対 象 年 齢 ( 小 6~ 高 1 相 当 )への 接 種 )では 健 康 被 害 の 程 度 ( 入 院 通 院 )とは 無 関 係 に 救 済 の 対 象 となっている 一 方 その 他 の 任 意 接 種 では 健 康 被 害 が 入 院 相 当 でない 場 合 救 済 の 対 象 外 と される ただし 平 成 27 年 12 月 1 日 厚 生 労 働 省 は 国 の 基 金 事 業 によりワクチン 接 種 を 受 けた 方 について 定 期 接 種 との 差 が 生 じないよう 入 院 相 当 でない 方 の 救 済 の ために 予 算 措 置 を 講 じ 公 益 財 団 法 人 予 防 接 種 リサーチセンターにおいて 医 療 費 医 療 手 当 相 当 額 を 健 康 管 理 支 援 手 当 として 支 給 する 制 度 を 開 始 した ( 別 紙 ) 接 種 の 種 別 救 済 制 度 の 根 拠 負 担 支 給 要 件 県 単 公 費 無 し PMDA 法 拠 出 金 ( 業 者 ) 因 果 関 係 + 入 院 相 当 国 基 金 (+ 県 単 ) PMDA 法 + 予 算 措 置 拠 出 金 + 国 因 果 関 係 定 期 接 種 予 防 接 種 法 国 / 県 / 市 町 村 因 果 関 係 PMDA 法 : 独 立 行 政 法 人 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 法 (4) 研 修 会 平 成 28 年 1 月 7 日 一 般 社 団 法 人 山 梨 県 医 師 会 は 医 療 従 事 者 市 町 村 その 他 関 係 者 を 対 象 に ヒトパピローマウイルス 感 染 症 の 予 防 接 種 後 に 生 じた 症 状 の 診 療 に 係 る 研 修 会 を 開 催 した 子 宮 頸 がん 検 診 の 受 診 率 向 上 とHPV 併 用 検 診 ( 子 宮 頸 がんに 関 する 基 本 的 知 識 及 び 最 新 の 知 見 ) 山 梨 県 立 中 央 病 院 医 療 局 長 寺 本 勝 寛 氏 慢 性 の 痛 みについて 愛 知 医 科 大 学 医 学 部 学 際 的 痛 みセンター 教 授 牛 田 享 宏 氏 5