IGES Discussion Paper No. 2013 08 March 2014 IGES Brie ing Note on REDD+ Negotiations: 第 19 回 気 候 変 動 枠 組 条 約 締 約 国 会 議 (COP 19) Outcome of the meeting 自 然 資 源 生 態 系 サービス 領 域 森 林 保 全 タスク 山 ノ 下 麻 木 乃 2013 年 11 月 ポーランド ワルシャワにおいて 気 候 変 動 枠 組 条 約 第 19 回 締 約 国 会 議 (COP19)が 開 催 された REDD+( 途 上 国 の 森 林 減 少 劣 化 による 排 出 削 減 )に 関 する 交 渉 では 同 年 6 月 にボンで 開 催 の 補 助 機 関 会 合 に 引 き 続 き これまで 合 意 できなかった 積 み 残 し 事 項 について 議 論 が 行 われた 第 1 週 目 は 第 39 回 実 施 に 関 する 補 助 機 関 会 合 科 学 と 技 術 的 助 言 に 関 する 補 助 機 関 会 合 (SBI/SBSTA39)において 森 林 MRV 等 の 技 術 的 な 課 題 (SBSTA)と 運 営 組 織 に 関 する 議 論 (SBI/SBSTA 共 同 ワークプログラム)が 行 われ 第 2 週 目 は REDD+の 資 金 に 関 する 議 論 が 資 金 に 関 するCOP 作 業 プログラムの 一 部 として 行 われた REDD+の 資 金 やガバナンス( 運 営 組 織 等 )に 関 する 議 題 はこれまで 交 渉 が 難 航 しており 今 回 も 大 きな 進 展 がないのではないかと 懸 念 されていた し かし REDD+のルールの 速 やかな 完 成 を 望 む 多 くの 途 上 国 が 技 術 面 資 金 ガバナンスの 議 題 はそれぞれ 強 く 関 連 しており これらの 議 題 をすべてパッケージとして 今 回 の 会 合 で 合 意 することを 目 指 す と 発 言 したこと や これまで 長 期 間 議 論 されながら 結 論 が 見 られない 議 題 については 今 後 議 題 が 存 続 しない 可 能 性 がある こと が 共 同 議 長 から 告 げられたことなどの 影 響 を 受 け 連 日 長 時 間 にわたり 交 渉 が 行 われた 最 終 的 に 合 計 7つの 文 書 がCOP19で 採 択 され これによってREDD+の 基 本 的 なルールが 完 成 したことになり REDD+ワルシャ ワ フレームワーク と 称 されることとなった REDD+の 交 渉 は COP19において 大 きな 進 展 があった 分 野 の 一 つと 評 価 されている(UNFCCC 2013) 1. ワルシャワ フレームワークの 概 要 COP19では SBSTA38で 合 意 された3つの 議 題 ( 国 家 モニタリングシステム 森 林 減 少 劣 化 の 要 因 セーフ ガードの 情 報 サマリー )に 加 え 今 回 の 会 合 で 合 意 された4つの 議 題 ( 森 林 MRV 森 林 参 照 レベルの 技 術 ア セスメント 支 援 の 調 整 リザルトベースの 資 金 )の 決 議 文 書 が 作 成 された( 表 1) REDD+を 実 施 する 途 上 国 は (a) 国 家 戦 略 行 動 計 画 (b) 森 林 参 照 排 出 レベル/ 森 林 参 照 レベル(REL/RL) (c) 国 家 森 林 モニタリングシ ステム (d)セーフガード 情 報 システムの4つの 要 素 の 開 発 をすることがCOP16で 定 められた(1/CP.16) 以 降 SBSTAでは これらの 要 素 の 開 発 に 必 要 なモダリティやガイダンス 等 に 関 する 議 論 が 行 われてきた 最 近 では MRVとREL/RLについて 途 上 国 と 先 進 国 間 の 主 張 が 異 なり 交 渉 が 長 引 いていたが( 山 ノ 下 2013) 今 回 ようやく COP19では SBSTA38で 合 意 された3つの 議 題 ( 国 家 モニタリングシステム (11/CP.19) 森 林 減 少 劣 化 の 要 因 (15/CP.19) セーフガード 情 報 サマリー 公 開 の 時 期 と 頻 度 (12/CP.19))に 加 え 今 回 の 会 合 で 合 意 された4つの
議 題 ( 森 林 排 出 吸 収 量 の 測 定 報 告 検 証 (MRV) (14/CP.19) 森 林 参 照 排 出 レベル/ 森 林 参 照 レベル(REL/ RL)の 技 術 アセスメント (13/CP.19) 森 林 セクター 緩 和 活 動 実 施 のための 支 援 の 調 整 (10/CP.19) REDD+ 完 全 実 施 促 進 のためのリザルトベースの 資 金 供 給 (9/CP.19)の 決 議 文 書 が 作 成 された( 表 1) REDD+を 実 施 する 途 上 国 は (a) 国 家 戦 略 行 動 計 画 (b)rel/rl (c) 国 家 森 林 モニタリングシステム (d)セーフガード 情 報 システム SBSTA 表 1 2013 年 に 行 われたREDD+ 関 連 の 議 題 と 結 論 議 題 1 国 家 森 林 モニタリングシステムのモダリティ SBSTA38で 合 意 COP19で 決 議 文 採 択 2 森 林 からの 排 出 吸 収 量 のMRV SBSTA39で 合 意 COP19で 決 議 文 採 択 3 森 林 参 照 レベルの 技 術 的 アセスメントのガイダンス SBSTA39で 合 意 COP19で 決 議 文 採 択 4 セーフガード 情 報 サマリー 公 開 の 時 期 と 頻 度 SBSTA38で 合 意 COP19で 決 議 文 採 択 さらなるガイダンスの 必 要 性 の 検 討 に ついては 新 マンデート: SBATA41 5 森 林 減 少 劣 化 ドライバーへの 対 処 SBSTA38で 合 意 COP19で 決 議 文 採 択 結 論 6 非 市 場 ベースアプローチの 開 発 SBSTA38では 意 見 交 換 のみ 新 マンデート:SBATA40 7 カーボン 以 外 のベネフィットにインセンティブを 与 える ための 方 法 論 的 問 題 SBI/SBSITA ジョイントワークプログラム 8 森 林 セクター 緩 和 活 動 実 施 のための 支 援 の 調 整 ( 組 織 アレンジメント 含 む) COP ワークプログラム SBSTA38では 意 見 交 換 のみ 新 マンデート:SBATA40 SBSTA39で 合 意 COP19で 決 議 文 採 択 9 REDD+ 完 全 実 施 促 進 のためのリザルトベースの 資 金 SBSTA39で 合 意 COP19で 決 議 文 採 択 の4つの 要 素 を 策 定 することがCOP16で 定 められた(1/CP.16) 以 降 SBSTAでは これらの 要 素 の 策 定 に 必 要 な モダリティやガイダンス 等 に 関 する 議 論 が 行 われてきた 最 近 では MRVとREL/RLについて 途 上 国 と 先 進 国 間 の 主 張 が 異 なり 交 渉 が 長 引 いていたが( 山 ノ 下 2013) 今 回 ようやくすべての 要 素 に 関 する 技 術 的 文 書 が 合 意 に 至 ったことになる 決 議 文 書 の 中 でも REDD+ 完 全 実 施 促 進 のためのリザルトベースの 資 金 供 給 (9/ CP.19)は REDD+ワルシャワ フレームワークの 中 心 となる 文 書 である ここには REDD+を 実 施 する 途 上 国 が UNFCCCの 下 で リザルトベースで 資 金 を 受 け 取 るために 必 要 な 条 件 が 明 確 に 示 されており それらの 条 件 の 詳 細 は モダリティやガイダンス 等 のこれまでの 決 議 文 書 すべてを 引 用 する 構 成 になっている 1.1 リザルトベースの 支 払 いを 受 ける 条 件 途 上 国 がリザルトベースの 支 払 いを 受 けるためには REDD+ 活 動 のリザルトである 排 出 削 減 量 (t CO2 e/year) に 加 え 上 述 したREDD+ 実 施 のために 策 定 すべき 要 素 に 関 する 情 報 をUNFCCCウェブサイトに 設 置 されている web pla orm 上 の 情 報 ハブ に 公 開 しなければならない( 図 1 表 2) これまでREDD+の 要 素 に 関 する 技 術 的 な 2
図 1 ワルシャワ フレームワークの 決 定 :リザルトベースの 支 払 いを 受 けるための 条 件 表 2 情 報 ハブで 公 開 する 情 報 REDD+ 活 動 のリザルト 国 家 戦 略 行 動 計 画 森 林 参 照 排 出 レベル/ 森 林 参 照 レベル(REL/RL) 国 家 森 林 モニタリングシステム セーフガード 情 報 システム 排 出 削 減 量 (t CO2 e/year) 技 術 レポートのリンク 支 払 いが 行 われたリザルトとその 支 払 元 国 家 戦 略 行 動 計 画 のリンク アセスされたREL/RL (t CO2 e/year) テクニカルアセスメントチームの 最 終 レポートのリンク BURの 技 術 アネックスに 示 されている 国 家 森 林 モニタリング システムに 関 する 情 報 セーフガードがどのように 尊 重 されているかに 関 する 情 報 のサマリー 議 論 は 個 別 に 行 われ 報 告 情 報 の 公 開 もばらばらに 行 われることが 懸 念 されていたが( 山 ノ 下 2013) この 情 報 ハブによって 一 か 所 に 集 約 されることとなった また 情 報 ハブは すべてのデータが 集 積 されるというわけで はなく 該 当 する 情 報 へのリンクを 示 すことを 基 本 としており 情 報 ポータルサイト 的 な 役 割 を 担 う さらに 支 払 いが 実 施 されたリザルトの 量 (t CO2 e/year)とその 支 払 元 の 情 報 も 公 開 することになり 簡 易 なレジストリの 役 割 も 果 たすことになるだろう しかし 支 払 いの 重 複 などを 避 けるためには 各 国 がより 詳 細 なレジストリを 作 成 し 達 成 した 排 出 削 減 量 と 受 け 取 った 支 払 いを 管 理 し 公 開 する 必 要 がある (1) 国 家 戦 略 行 動 計 画 REDD+ 実 施 国 は 森 林 減 少 劣 化 の 要 因 土 地 権 利 問 題 森 林 ガバナンス 問 題 ジェンダーへの 配 慮 等 に 取 り 組 むことが 求 められているが(1/CP.16) 国 家 戦 略 と 行 動 計 画 の 策 定 と 実 施 に 関 するより 具 体 的 な 取 り 決 めは 策 定 されなかった COP19では 森 林 減 少 劣 化 の 要 因 に 関 する 文 書 が 合 意 されたもののガイダンスなどの 重 要 な 決 定 はなされなかったが(15/CP.19) 国 家 戦 略 行 動 計 画 に 関 する 情 報 公 開 がリザルトベースの 支 払 いを 受 ける ための 条 件 として 含 まれることになった(9/CP.19) 3
(2) REL/RLの 技 術 アセスメント REDD+ 活 動 のリザルトは 活 動 実 施 後 に 実 際 にモニタリングした 排 出 量 と 活 動 を 実 施 しなかった 場 合 に 想 定 される 排 出 量 (REL/RL)を 比 較 することで 算 出 されるため どのようなREL/RLを 設 定 するかが 重 要 である REL/RLの 設 定 は 歴 史 的 データに 基 づき 透 明 性 のある 方 法 で 行 われることが 求 められており(4/CP.15) REL/RLのモダリティと 情 報 提 出 のガイドラインが 作 成 されたが(12/CP.17) 各 国 で 入 手 可 能 な 過 去 の 情 報 や 技 術 力 国 情 が 異 なることから 具 体 的 な 策 定 方 法 が 示 されているわけではなく 透 明 性 完 全 性 一 貫 性 正 確 性 を 保 持 するといった 原 則 を 示 すこ とにとどまっていた そのため REL/RLの 設 定 のプロセスを 評 価 する 必 要 性 が 認 識 され(12/CP.17) REL/RLの 技 術 的 アセスメントのガイドラインと 手 順 (13/CP.19)がCOP19で 次 のように 決 議 された 技 術 的 アセスメントでは REL/RLの 設 定 に 使 用 されたデータ 方 法 等 が 評 価 される( 表 3) 技 術 アセスメントチーム はUNFCCCのLULUCF( 土 地 利 用 土 地 利 用 変 化 林 業 ) 専 門 家 登 録 簿 から 途 上 国 先 進 国 より 各 1 名 ずつ 選 ばれ る また LULUCFの 専 門 性 を 有 する 途 上 国 のConsulta ve Group of Expertメンバーがオブザーバーとして 参 加 する ことも 可 能 となっている REL/RLを 提 出 したREDD+ 実 施 国 と 技 術 アセスメントチームの 会 合 であるアセスメントセッ ションは 年 一 回 ボンで 行 われる REDD+ 実 施 国 はアセスメントセッションの10 週 間 前 までにREL/RLを 提 出 し これに 対 しアセスメントチームは 明 確 化 要 求 を 行 う( 図 2) アセスメントセッション 後 1 週 間 以 内 にアセスメントチームは 追 加 的 な 明 確 化 と 技 術 的 なインプットを 行 い REDD+ 実 施 国 はそれらへの 対 応 と 必 要 であればREL/RLの 修 正 を8 週 間 以 内 に 行 う アセスメントチームはアセスメントセッション 後 12 週 間 以 内 にドラフトレポートを 作 成 し REDD+ 実 施 国 の 返 答 (4 週 間 以 内 )を 受 けた 後 12 週 間 以 内 に 最 終 レポートを 作 成 する レポートはUNFCCCの 事 務 局 を 通 じてウェブ プラットフォーム 上 で 公 開 される (3) 国 家 森 林 モニタリングシステムとMRV( 計 測 報 告 検 証 ) REDD+ 活 動 のリザルトを 算 出 するには 実 際 の 森 林 か らの 排 出 量 の 計 測 (M)が 重 要 となる REDD+ 実 施 国 は 透 明 性 時 系 列 的 な 一 貫 性 を 有 したデータや 情 報 を 提 供 する 国 家 森 林 モニタリングシステムを 国 の 状 況 と 能 力 を 図 2 REL/RLの 技 術 アセスメントの 手 続 き 表 3 REL/RLの 技 術 アセスメントの 対 象 (a) REL/RLとNa onal GHGインベントリーとの 整 合 性 (b) 歴 史 的 データがどのように 考 慮 されているか (c) 使 用 されたデータ 方 法 仮 定 等 の 透 明 性 完 全 性 一 貫 性 正 確 性 と 対 象 となるスケール( 国 レベルか 準 国 レ ベルか) (d) 関 連 する 政 策 や 計 画 の 記 述 (e) 前 回 提 出 したREL/RLとの 違 いに 関 する 記 述 ( 段 階 的 な 改 善 のアプローチを 考 慮 ) (f) 対 象 とするプール ガス 活 動 の 記 述 と 除 外 した 場 合 の 理 由 (g) 使 用 した 森 林 の 定 義 とそれを 採 用 した 理 由 (h) 将 来 の 国 内 政 策 の 変 化 に 関 する 仮 定 (i) REL/RLの 値 と 提 供 された 情 報 との 整 合 性 4
考 慮 して 構 築 することが 求 められている(14/ CP.19) リモートセンシングと 地 上 調 査 を 組 み 合 わせ (4/CP.15) 最 新 のIPCCガイダンス ガイドラインに 従 って 森 林 炭 素 蓄 積 森 林 面 積 変 化 森 林 関 連 の 人 為 的 な GHG 排 出 と 吸 収 を 推 定 する(14/CP.19) これらの 情 報 は BUR( 隔 年 更 新 報 告 書 Biennial Update Report)を 通 じて 報 告 されるが リザルトベースの 支 払 いを 受 けるためには BURの 技 術 アネックスにより 詳 細 な 情 報 を 提 供 しなければ ならない( 表 4) 提 出 されたBURは 基 本 的 にUNFCCCに 登 録 された 専 門 家 技 術 チームによるICA ( 国 際 的 協 議 と 分 析 Interna onal Consulta on and Analysis)によって 検 証 (V)されることになっているが リザルトベースの 支 払 いを 受 ける 場 合 には UNFCCCに 登 録 されたLULUCF 専 門 家 を 途 上 国 と 先 進 国 から1 名 ずつ 専 門 家 技 術 チームに 含 め 技 術 アネックスの 技 術 分 析 (technical analysis)を 行 う ここでは (a)rel/rlで 使 用 された 方 法 論 や 定 義 との 一 貫 性 (b) 情 報 の 透 明 性 一 貫 性 完 全 性 正 確 性 (c) 技 術 アネックスに 含 める 要 素 に 関 するガイドライン(Annex, 14/CP.19)に 従 っているかどうか および(d)リザルトの 正 確 性 の 度 合 いについて それぞれ 分 析 する 前 号 で 報 告 したように 検 証 の 方 法 に 関 しては より 簡 易 な 検 証 を 求 める 途 上 国 と クレジット 発 行 が 可 能 となるような 厳 格 な 検 証 を 実 施 したい 先 進 国 との 間 の 意 見 対 立 に よって 交 渉 が 長 引 いていたが( 山 ノ 下 2013) 最 終 的 に 途 上 国 の 要 求 に 即 した 形 で 合 意 された ただ COPの 下 で 将 来 市 場 メカニズムアプローチが 策 定 された 場 合 には 当 該 アプローチに 適 用 するための 検 証 のモダリティ を 開 発 できることは 明 示 された(14/CP.19) 表 4 BURの 技 術 アネックスに 報 告 する 情 報 1. REL/RLの 技 術 アセスメントの 最 終 レポートのサマリー (a) アセスされたREL/RL (t CO2eq/year) (b) REL/RLで 考 慮 したREDD+ 活 動 (c) REL/RLがカバーしている 森 林 エリア (d) REL/RL 提 出 と 技 術 アセスメント 最 終 レポートの 日 時 (e) REL/RLの 対 象 とする 期 間 2. リザルト(t CO2eq/year) 3. リザルトの 計 算 に 使 用 した 方 法 論 がアセスされたREL/ RLで 使 用 された 方 法 論 と 一 貫 性 があることの 証 明 4. 国 家 森 林 モニタリングシステムと 組 織 の 役 割 リザルト のMRVにおける 責 任 に 関 する 記 述 5. リザルトの 再 計 算 に 必 要 な 情 報 6. IPCCの 最 新 ガイダンスとガイドライン 国 の 状 況 と 能 力 (paragraph 1(c) & (d) 4/CP.15)をどのように 考 慮 したか に 関 する 記 述 (4) セーフガード 情 報 システム COP16で REDD+ 活 動 の 実 施 にあたって 注 意 を 払 いさらに 促 進 するべき 事 項 として 先 住 民 の 権 利 生 物 多 様 性 など7つのセーフガード 項 目 が 設 定 された(Appendix, 1/CP.16) COP17では セーフガードに 関 する 情 報 を 提 供 するシステムに 関 するガイダンスが 作 成 され すべてのセーフガード 項 目 がどのように 対 処 されているのか について 透 明 性 と 一 貫 性 のある 情 報 を 公 開 するシステムをREDD+ 実 施 国 が 設 置 することが 示 されるとともに サマリー 情 報 を 定 期 的 に 国 別 報 告 書 (na onal communica on)に 公 開 することになった (12/CP.17) さらに 今 回 のCOP19では サマリー 情 報 提 出 の 時 期 と 頻 度 について 合 意 され REDD+ 活 動 開 始 後 に4 年 ごとに( 国 別 報 告 書 更 新 にあわせて) 更 新 することになった(12/CP.19) また リザルトベースの 支 払 いを 受 けるためには 最 新 のサマリー 情 報 を 事 前 にウェブプラットフォームで 公 開 しなければならない(9/CP.19) COP19 決 定 では セーフガードのサマリー 情 報 の 内 容 やセーフガード 情 報 システムがどのようなものかと 言 った 具 体 的 な 情 報 は 示 されていない 現 在 レディネス 活 動 の 一 環 として 各 REDD+ 実 施 国 において セーフガード 5
項 目 をそれぞれの 国 のコンテクストで 解 釈 し それに 適 合 したシステムを 構 築 する 努 力 がなされている 最 初 から 完 全 なシステムを 構 築 するのは 困 難 であるが RELや 森 林 モニタリングシステムと 同 様 にREDD+の 実 施 とともに 改 善 していくことが 重 要 であり 経 験 の 共 有 が 重 要 になるだろう 2.REDD+の 運 営 組 織 現 在 REDD+ 活 動 実 施 の 支 援 は UN REDDや 世 界 銀 行 のファンドなどの 多 国 間 支 援 や 二 国 間 支 援 さらには 複 数 のボランタリーマーケット( 自 主 的 市 場 )を 通 じて 行 われ それぞれが 異 なるルールを 採 用 しており 支 援 を 受 ける 途 上 国 側 はそれらに 個 別 に 対 応 しなければならない 状 況 にある(Ecosystem Market Place, 2013) パプアニューギニ アをはじめとする 途 上 国 は REDD+ 活 動 に 対 する 様 々な 支 援 を 調 整 するためのREDD+の 運 営 組 織 をUNFCCCの 下 に 設 置 すべきと 主 張 してきた 一 方 先 進 国 は 支 援 の 調 整 の 重 要 性 はすでに 認 識 され ドナー 間 やREDD+パート ナーシップ 会 合 等 条 約 外 の 場 で 解 決 の 取 り 組 みがなされているため 現 時 点 でそのような 組 織 の 設 立 は 不 要 と 主 張 し 明 確 な 結 論 が 出 せないままになっていた COP19でも 両 者 の 主 張 は 対 立 し 明 確 な 結 論 が 出 されたわけで はなく 当 面 の 措 置 として 途 上 国 がREDD+のフォーカルポイントとなる 組 織 を 定 め その 代 表 とREDD+の 資 金 に 関 わる 機 関 国 際 機 関 民 間 セクター 先 住 民 NGO 等 の 代 表 が 毎 年 自 主 的 に 会 合 を 開 き(2014 年 12 月 SBSTA/SBI41 から 開 始 ) 支 援 の 調 整 に 関 する 情 報 交 換 や 議 論 を 継 続 し COP23で 結 論 を 出 すことになった(10/CP.19) さらに 緑 の 気 候 基 金 (GCF)やその 他 のREDD+の 資 金 を 提 供 する 組 織 に 対 し リザルトベースの 支 払 いを 提 供 する 際 は ワル シャワ フレームワークの 方 法 論 的 ガイダンスを 採 用 することを 推 奨 している(10/CP.19) 3. 資 金 これまでAWG LCAで 議 論 されてきたREDD+の 資 金 に 関 する 議 題 は COP19ではCOPの 資 金 関 連 の 議 題 の1つ(ワー クプログラム)として 取 り 扱 われた しかし このワークプログラムは 資 金 に 関 する 実 質 的 な 権 限 を 持 っているわけで はないこともあり 資 金 に 関 する 具 体 的 な 結 論 を 出 すには 至 らずなかった その 代 り 条 約 の 資 金 メカニズムの 運 営 に 関 わる 組 織 である 資 金 に 関 する 常 設 委 員 会 (Standing Commi ee on Finance) に 対 し 早 急 にREDD+のリザル トベースの 支 払 いに 関 する 実 施 の 方 法 や 資 金 源 について 検 討 するよう 求 めている(9/CP.19) また GCFやREDD+に 資 金 を 提 供 する 組 織 に 対 し リザルトベースの 支 払 いを 受 ける 準 備 が 整 っている 国 が 増 えている 状 況 を 考 慮 し 予 測 可 能 な 資 金 を 協 力 して 導 入 することを 奨 励 している(9/CP.19) ワルシャワ フレームワークでは REDD+のリザル トベースの 支 払 いを 受 けるための 基 本 的 なルールが 決 まったものの そのための 資 金 については 何 も 解 決 してい ない(Stolle & Alisjahbana 2013) 現 在 GCFでは ビジネスモデルフレームワークにおいてREDD+も 対 象 とすることが 決 まっているのみである(GCF/B.05/02) 6
Analysis of the negotiation REDD+では 準 備 段 階 実 証 活 動 段 階 を 経 て 完 全 実 施 (リザルトベースの 支 払 い) 段 階 に 至 る フェーズアプローチ が 採 用 されている(1/CP.16) COP13のバリ 行 動 計 画 でREDD+に 関 する 検 討 が 始 まって 以 来 (1/CP.13) 途 上 国 ではリ ザルトベースの 支 払 いを 実 現 するための 準 備 (レディネス) 活 動 が 二 国 間 とUN REDDなどの 多 国 間 の 資 金 を 通 じ て 行 われてきた その 成 果 として いくつかの 国 は REDD+ 実 施 に 必 要 な 要 件 が 完 全 ではないものの 整 いはじめて おり 限 定 された 地 域 や 活 動 の 範 囲 においてリザルトベースの 支 払 いを 試 行 する 実 証 活 動 の 段 階 に 移 行 しつつあ る 今 回 のREDD+ワルシャワ フレームワークの 合 意 は 実 証 活 動 段 階 への 移 行 のためには UNFCCCの 下 でリザ ルトベースの 支 払 いに 関 するルールが 具 体 的 に 明 らかにされる 必 要 があるという 途 上 国 の 強 い 要 望 を 反 映 したも のと 言 え 今 後 の 途 上 国 のREDD+ 実 施 のモチベーションの 維 持 に 貢 献 するだろう 先 進 的 なREDD+ 実 施 国 は これ からはBURでの 報 告 やREL/RLの 技 術 アセスメントなど ワルシャワ フレームワークで 要 求 されている 情 報 を 公 開 す るための 準 備 を 開 始 することになると 考 えられる 途 上 国 は GCFに 大 きな 期 待 を 抱 いており 多 国 間 二 国 間 民 間 セクターからのREDD+への 資 金 を 集 約 するよう な GCFを 中 心 とした 基 金 ベースのREDD+の 資 金 メカニズムをイメージし それを 推 進 していく 方 向 で 交 渉 に 臨 んで きた 一 方 で 資 金 を 提 供 する 側 の 先 進 国 は 条 約 全 体 の 将 来 の 枠 組 みとその 資 金 メカニズムのあり 方 GCFの 役 割 などが 未 だ 不 明 瞭 な 中 で REDD+を 前 進 させることも 考 慮 しながら それぞれの 国 の 思 惑 に 反 しないレベルで 途 上 国 に 妥 協 してきたように 見 える その 結 果 ワルシャワ フレームワークでは 各 途 上 国 が 達 成 した 排 出 削 減 量 を 国 レベルでできる 範 囲 で 報 告 し それに 対 する 支 払 いは 先 進 国 がGCFを 通 じて 行 うという 従 来 の 市 場 メカニズムと は 異 なるスキームであることが 明 らかになった 特 にブラジルは REDD+を 先 進 国 の 排 出 のオフセットに 利 用 するこ とに 強 く 反 対 するとCOPのプレナリーでも 明 確 に 発 言 している しかし オフセットが 認 められず 先 進 国 の 歴 史 的 な 責 任 として の 資 金 拠 出 のみに 頼 るのであれば これまでCDMを 通 じて 行 われてきたような 民 間 を 含 めた 積 極 的 な 投 資 は 見 込 めない かもしれない REDD+を 通 じてより 多 くの 排 出 削 減 を 達 成 するた めには REDD+が 途 上 国 にもたらすインセンティブに 加 えて 先 進 国 と 民 間 セクターがREDD+を 支 援 するモチベーションを 創 出 する 仕 組 みが 必 要 になるだろう UNFCCCにおけるREDD+の 資 金 メカニズムについては 現 在 ダーバンプラットフォーム 特 別 作 業 部 会 (ADP: Ad Hoc Working Group on the Durban Pla orm for Enhanced Ac on)で 行 われている 2020 年 以 降 の 国 際 的 な 枠 組 みや 2020 年 までの 取 り 組 み 強 化 に 関 する 議 論 に 強 く 関 係 していることから 合 意 には 時 間 がかかる 可 能 性 が 高 い ま 図 3 REDD+ 実 施 の 現 状 7
た 今 後 条 約 全 体 の 資 金 メカニズムの 議 論 にREDD+における 決 定 が 影 響 を 及 ぼすかもしれない COP19 期 間 中 土 地 利 用 セクターと 森 林 に 関 するハイレベルパネルのイベントが 開 催 され この 分 野 の 削 減 ポテンシャルの 高 さと 将 来 の 枠 組 みの 中 で 検 討 していく 必 要 性 が 示 されたことから これまでほとんど 行 われてこなかった 将 来 枠 組 みに おける 土 地 利 用 森 林 セクターの 取 り 扱 いに 関 する 議 論 が 今 後 本 格 的 に 開 始 されるかもしれない 現 在 REDD+は 主 にUNFCCCの 枠 外 のREDD+を 対 象 にした 資 金 によって 動 いている( 図 3) UN REDDのような 多 国 間 支 援 二 国 間 のODAは 途 上 国 の 準 備 活 動 を 支 援 している アマゾン 基 金 や 世 界 銀 行 のFCPF(Forest Carbon Partnership Facility)は 準 備 活 動 支 援 に 加 え リザルトベースの 支 払 いも 行 うが 前 者 はREDD+ 活 動 への 寄 付 という 形 を とっており 後 者 はクレジットの 発 行 移 転 を 目 指 している これらがすべて 国 準 国 レベルのREDD+ 活 動 を 対 象 にし ているのに 対 し VCS (Verified Carbon Standard)はプロジェクトレベルのREDD+ 活 動 のカーボンクレジットを 発 行 す るためのスタンダードであり ボランタリー 市 場 で 活 用 されている 今 回 合 意 されたワルシャワ フレームワークで は NAMA (Na onally Appropriate Mi ga on Ac on, 途 上 国 における 適 切 な 緩 和 行 動 )と 同 様 にGCFを 資 金 供 給 の 中 心 に 据 え UNFCCCの 下 での 準 備 活 動 への 資 金 提 供 とリザルトベースの 支 払 いの 両 方 を 対 象 にした 非 市 場 メカ ニズムとして 発 展 する 可 能 性 が 高 い COP19 決 定 においても 今 後 COPの 下 で 市 場 メカニズムが 策 定 された 場 合 は それに 適 用 できるMRVのルールを 再 検 討 することも 明 記 されている(14/CP.19) 一 方 で REDD+の 市 場 メカニズ ムの 活 用 について 今 までの 交 渉 ではほとんど 議 論 がなされていない UNFCCCでは 排 出 削 減 分 野 を 中 心 とし て 新 市 場 メカニズムに 関 する 議 論 が 行 われている 今 後 REDD+に 関 しても 条 約 の 下 での 市 場 メカニズム 活 用 の 可 能 性 について 検 討 していく 必 要 があるだろう 今 後 は 二 国 間 での 合 意 に 基 づいたクレジットの 移 転 を 伴 うリザ ルトベースの 支 払 いに 対 する 支 援 が 活 発 になっていくと 予 想 される このような 取 り 組 みは 将 来 のUNFCCCの 下 で の 市 場 メカニズムの 策 定 に 貢 献 する 情 報 を 提 供 することができるだろう 条 約 の 下 でのREDD+において 市 場 メカ ニズムと 非 市 場 メカニズムの 二 者 択 一 ではなく 両 方 を 並 行 して 活 用 することができるようになれば 双 方 のメカニ ズムのメリットを 生 かすことができ より 多 くの 途 上 国 先 進 国 がREDD+ 参 加 できるようになる 可 能 性 があると 考 えら れる References Ecosystem Market Place (2013) h p://www.ecosystemmarketplace.com/pages/dynamic/ar cle.page.php?page_id=10095&sec on=news_ar cles&eod=1 UNFCCC (2013) h p://unfccc.int/files/press/news_room/press_releases_and_advisories/applica on/pdf/131123_pr_closing_cop19.pdf Stolle F. & Alisjahbana A. (2013) h p://www.wri.org/blog/warsaw climate mee ng makes progress forests redd 山 ノ 下 麻 木 乃 (2013) h p://pub.iges.or.jp/modules/envirolib/view.php?docid=4752 ( 公 財 ) 地 球 環 境 戦 略 研 究 機 関 (IGES) 神 奈 川 県 三 浦 郡 葉 山 町 上 山 口 2108 11 fc info@iges.or.jp Copyright 2014 Ins tute for Global Environmental Strategies. All rights reserved. このブリーフィングノートは 環 境 省 平 成 25 年 度 二 国 間 オフセット クレジット 制 度 の 構 築 に 係 る 途 上 国 等 人 材 育 成 支 援 事 業 の 成 果 の 一 部 です レポートの 内 容 は 執 筆 者 の 見 解 であり IGESの 見 解 を 述 べ たものではありません ご 意 見 ご 質 問 等 は 執 筆 者 にお 問 い 合 わせください