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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1


(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

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為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

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した 開 示 決 定 等 に 当 たっては, 法 11 条 を 適 用 して, 平 成 23 年 5 月 13 日 まで 開 示 決 定 等 の 期 限 を 延 長 し, 同 年 4 月 11 日 付 け 防 官 文 第 号 により,1 枚 目 を 一 部 開 示 した そして, 同 年

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入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

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根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

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定款  変更

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

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ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

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預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

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頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

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その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同

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目 次 第 1 章 総 則 第 1 節 計 画 の 目 的... 1 第 1 計 画 の 目 的 1 第 2 計 画 の 策 定 1 第 3 計 画 の 構 成 2 第 4 用 語 の 意 義 2 第 2 節 計 画 の 前 提 条 件... 3 第 1 自 然 条 件 3 第 2 社 会 条 件

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2 前 項 前 段 の 規 定 にかかわらず 年 俸 制 教 職 員 から 申 し 出 があった 場 合 においては 労 使 協 定 に 基 づき その 者 に 対 する 給 与 の 全 額 又 は 一 部 を 年 俸 制 教 職 員 が 希 望 する 金 融 機 関 等 の 本 人 名 義 の 口

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参 考 改 正 災 害 対 策 基 本 法 1 ( 災 害 時 における 車 両 の 移 動 等 ) 第 七 十 六 条 の 六 道 路 管 理 者 は その 管 理 する 道 路 の 存 する 都 道 府 県 又 はこれに 隣 接 し 若 しくは 近 接 する 都 道 府 県 の 地 域 に 係

Transcription:

平 成 22 年 度 要 望 書 社 団 法 人 隊 友 会

目 次 ( 要 望 項 目 ) ( 頁 ) はじめに 1 1 憲 法 の 改 正 1 (1) 軍 としての 地 位 及 び 役 割 の 明 記 (2) 軍 事 裁 判 所 の 設 置 2 日 米 共 同 防 衛 国 際 共 同 行 動 の 実 効 性 の 確 保 4 (1) 集 団 的 自 衛 権 行 使 の 容 認 (2) 国 際 平 和 協 力 活 動 に 関 する 一 般 法 の 制 定 及 び 武 器 使 用 権 限 の 見 直 し 3 防 衛 体 制 の 整 備 強 化 6 (1) 発 展 的 な 防 衛 省 改 革 の 推 進 (2) 更 なる 実 効 性 ある 有 事 法 制 への 見 直 し (3) 中 長 期 的 視 野 に 立 脚 した 防 衛 力 整 備 (4) 敵 基 地 攻 撃 能 力 の 付 与 (5) 防 衛 産 業 の 維 持 育 成 及 び 武 器 輸 出 3 原 則 の 見 直 し (6) 防 衛 用 偵 察 衛 星 等 の 保 有 (7) 任 務 の 多 様 化 国 際 化 等 に 対 応 する 人 的 防 衛 力 の 確 保 (8) 領 域 警 備 任 務 の 付 与 (9) 島 嶼 部 に 対 する 防 衛 4 自 衛 隊 員 の 処 遇 改 善 等 15 (1) 隊 員 の 再 就 職 に 関 する 施 策 の 推 進 (2) 給 与 制 度 に 関 する 代 償 機 能 の 担 保 (3) 統 合 幕 僚 長 の 安 全 保 障 会 議 構 成 議 員 への 指 定 及 び 認 証 官 としての 位 置 付 け (4) 变 勲 の 位 置 付 け 等 の 改 善 (5) 予 備 自 衛 官 等 の 制 度 の 充 実 5 隊 友 会 への 支 援 協 力 19 おわりに 21

平 成 22 年 度 要 望 書 社 団 法 人 隊 友 会 はじめに 社 団 法 人 隊 友 会 は 昭 和 35 年 に 発 足 して 以 来 50 年 目 の 節 目 を 迎 え この 間 国 民 と 自 衛 隊 とのかけ 橋 として 各 種 の 事 業 及 び 活 動 を 推 進 してきました その 一 環 として 昭 和 47 年 以 降 毎 年 の 情 勢 を 踏 まえて 防 衛 に 関 する 事 項 につ いて 様 々な 観 点 から 要 望 を 行 っています その 内 容 は 安 全 保 障 問 題 は 国 家 存 立 の 基 本 であり その 基 本 政 策 は 中 長 期 的 な 展 望 に 立 脚 するべきものと 考 えて 憲 法 に 関 するものから 防 衛 政 策 防 衛 力 整 備 自 衛 隊 員 の 処 遇 等 に 関 することまで 広 範 な ものとなっています これは わが 国 が 国 際 社 会 において 国 力 に 相 応 した 責 任 を 果 たすことが 不 可 欠 な 情 勢 にあるとの 認 識 に 立 脚 し 現 職 自 衛 隊 員 が 透 徹 した 使 命 観 のもとに 後 顧 の 憂 い なく 高 い 誇 りと 自 信 を 持 って 増 大 する 国 内 外 の 各 種 任 務 遂 行 に 専 念 できるよう そ の 環 境 の 改 善 整 備 に 貢 献 することが 隊 友 会 の 役 割 と 確 信 するからです 以 下 の5 項 目 について 要 望 します 1 憲 法 の 改 正 隊 友 会 は わが 国 が 国 際 社 会 の 中 でその 国 力 に 応 じた 責 任 と 役 割 を 果 たすため 憲 法 上 国 を 防 衛 するための 実 力 組 織 を 明 記 し その 地 位 役 割 を 明 らかにする こと を 目 指 して 全 国 署 名 活 動 を 行 い 78 万 余 の 賛 同 者 を 得 て 平 成 18 年 6 月 衆 参 両 議 院 に 請 願 しました 以 下 署 名 活 動 の 目 標 であった 軍 としての 憲 法 上 の 地 位 確 立 及 びそれに 不 可 分 な 軍 事 裁 判 所 の 設 置 について 述 べます (1) 軍 としての 地 位 及 び 役 割 の 明 記 昭 和 25 年 朝 鮮 戦 争 勃 発 を 契 機 として 国 内 治 安 を 維 持 することを 任 務 とする 警 察 予 備 隊 が 発 足 しました その 警 察 予 備 隊 は 所 謂 ポツダム 政 令 による 警 察 予 備 隊 令 を 創 設 の 根 拠 とし 憲 法 に 明 記 されることなく 発 足 しました その 後 警 備 1

隊 保 安 隊 次 いで 陸 海 空 3 自 衛 隊 へと 任 務 を 拡 大 し 発 展 してきたものの 今 日 に 至 るまで 自 衛 隊 は 違 憲 ではない とする 解 釈 による 自 衛 隊 容 認 のまま 据 え 置 か れてきました しかし 尐 数 意 見 とはいえ 今 の 憲 法 9 条 のままでは 違 憲 という 批 判 は 消 え ることがなく 憲 法 上 自 衛 隊 の 位 置 付 けの 問 題 を 払 拭 することはできないのが 現 実 です 創 隊 以 来 半 世 紀 余 自 衛 隊 は 国 家 の 最 も 基 本 的 な 責 務 である 国 の 防 衛 のための 活 動 を 中 心 として 営 々と 真 摯 に 隊 務 に 励 んできました 他 方 では わが 国 の 国 内 総 生 産 世 界 第 2 位 の 地 位 も 民 間 研 究 機 関 によると 今 年 度 中 国 に 抜 かれて 世 界 第 3 位 となる 予 測 もありますが 2010 年 から2012 年 の 国 連 の 通 常 予 算 の 負 担 割 合 が 米 国 に 次 ぐ 世 界 2 位 であることは 変 らず わが 国 の 国 際 社 会 に 対 する 貢 献 度 の 期 待 は 依 然 高 く 自 国 の 独 立 と 平 和 を 守 る 努 力 はもとより 経 済 大 国 日 本 としてより 発 展 していくためにも 地 球 規 模 での 安 全 保 障 に 関 わる 応 分 の 責 任 分 担 特 に 人 的 な 国 際 貢 献 が 強 く 求 められています この 国 際 社 会 の 期 待 に 応 え るべく 自 衛 隊 は 新 たな 国 際 平 和 協 力 任 務 を 開 始 し わが 国 を 代 表 する 人 的 貢 献 の 尖 兵 としての 諸 活 動 を 現 在 に 至 るまで 成 功 裡 に 実 施 しており 国 際 社 会 からも 高 い 評 価 を 得 ています 今 日 憲 法 公 布 から64 年 目 を 迎 え 国 民 の 憲 法 に 対 する 認 識 は 新 たな 時 代 に 進 みつつあります 日 本 世 論 調 査 会 が 行 った 自 衛 隊 関 連 世 論 調 査 では 憲 法 を 改 正 し 自 衛 隊 の 存 在 を 明 記 すべき とする 意 見 が 概 ね 過 半 数 に 至 っており ま た 内 閣 府 が3 年 毎 に 実 施 している 自 衛 隊 防 衛 問 題 に 関 する 世 論 調 査 結 果 によ る 肯 定 的 意 識 の 向 上 及 び 長 年 の 願 いでありました 防 衛 省 の 発 足 に 見 られるよう に 冷 戦 後 のわが 国 の 安 全 保 障 体 制 や 自 衛 隊 に 関 する 国 民 の 理 解 が 着 実 に 進 んで いるものと 考 えます また 衆 参 両 議 院 の 憲 法 調 査 会 の 数 年 に 及 ぶ 活 動 成 果 の 報 告 並 びに 民 主 党 自 由 民 主 党 及 び 有 識 者 らによる 新 憲 法 草 案 等 の 提 示 提 言 など 嘗 て 憲 法 改 正 に 関 する 論 議 がタブー 視 されていた 時 代 から 改 正 に 向 けた 新 たな 歩 みがここ 数 年 拡 がり 憲 法 の 改 正 手 続 きを 規 定 する 国 民 投 票 法 も 平 成 19 年 に 成 立 し 憲 法 改 正 の 基 盤 は 整 備 されました このような 情 勢 を 受 け 国 を 防 衛 するための 軍 ( 国 軍 又 は 国 防 軍 ) の 存 在 を 2

憲 法 に 明 記 し その 地 位 役 割 を 明 らかにすることこそ 戦 後 日 本 の 国 の 根 幹 に 関 わる 憲 法 上 の 綻 びを 正 して 国 際 化 が 一 段 と 進 んだ 新 たな 時 代 におけるわ が 国 の 在 るべき 姿 になるものと 確 信 します また 自 衛 官 が 国 を 代 表 する 誇 り と 自 信 を 持 って 危 険 を 顧 みず 身 をもって 責 務 を 完 遂 し 国 民 の 負 託 に 応 え ること に 邁 進 するためにも 自 衛 隊 を 軍 として 位 置 付 けるよう 憲 法 の 改 正 を 強 く 要 望 します 今 年 5 月 18 日 には 憲 法 改 正 の 手 続 きを 定 めた 国 民 投 票 法 が 施 行 されました が 国 民 投 票 法 成 立 から 施 行 までの 3 年 間 衆 参 両 院 の 憲 法 審 査 会 は 開 かれること もなく 憲 法 論 議 が 国 会 で 停 滞 している 状 況 は 真 に 残 念 でなりません 民 主 党 の 政 権 公 約 である 国 民 の 自 由 闊 達 な 憲 法 論 議 を 振 作 し 憲 法 審 査 会 の 規 程 制 定 など 憲 法 改 正 に 関 わる 検 討 作 業 を 早 期 に 進 展 させることを 期 待 するものです 併 せて わが 国 の 国 防 に 関 する 諸 問 題 の 解 決 には 何 よりも 国 民 が 自 ら 国 を 守 る 意 識 の 高 さが 求 められます また 国 民 の 国 防 意 識 の 基 本 となる 愛 国 心 の 醸 成 や 自 衛 隊 に 対 する 正 しい 理 解 が 必 要 不 可 欠 であり 究 極 的 には 国 を 守 ることは 国 民 一 人 一 人 の 義 務 であることを 認 識 することが 肝 要 です そのためにも 憲 法 を 改 正 するとともに 戦 後 教 育 から 脱 却 した 変 革 が 重 要 であると 思 料 します (2) 軍 事 裁 判 所 の 設 置 現 在 の 自 衛 隊 に 関 する 司 法 体 制 は 通 常 の 社 会 規 範 とは 全 く 異 なる 武 装 集 団 ( 軍 )として 行 動 する 自 衛 隊 の 特 性 を 考 慮 したものとなっていません この 体 制 下 では 有 事 のみならず 平 時 においても 自 衛 隊 の 行 動 を 律 することに 多 くの 矛 盾 が 生 ずることが 考 えられます 任 務 に 基 づく 各 種 出 動 や 国 際 平 和 協 力 活 動 中 に 例 えば 武 器 を 使 用 した 自 衛 官 の 行 動 の 正 当 性 に 対 し 刑 法 上 の 審 判 を 行 う 場 合 一 般 国 民 を 対 象 とした 法 的 規 範 ではなく 国 際 的 基 準 に 則 った 軍 としての 法 的 規 範 により 公 正 適 切 に 捜 査 検 証 審 判 される 環 境 の 整 備 が 必 要 と 考 えます 現 在 の 武 器 使 用 基 準 では 自 己 等 防 衛 のため 且 つあくまで 正 当 防 衛 や 緊 急 避 難 に 該 当 する 場 合 のみに 認 められてい ますが 他 国 の 軍 隊 等 を 防 衛 するための 武 器 使 用 や 任 務 遂 行 を 妨 害 する 行 為 を 実 力 で 排 除 するための 武 器 使 用 は 認 められていません このような 現 状 においては 現 場 の 予 測 不 能 な 錯 綜 混 乱 状 況 においては 各 級 指 揮 官 や 自 衛 官 が 武 器 を 使 用 3

するに 当 たって 遅 疑 逡 巡 しかねません 国 内 外 における 各 種 の 行 動 時 の 困 難 な 環 境 においては 部 隊 指 揮 に 一 瞬 の 躊 躇 も 許 されません 指 揮 官 の 遅 疑 逡 巡 は 行 動 全 局 面 に 影 響 を 及 ぼすものであり 指 揮 官 の 命 令 に 基 づき 自 らの 生 命 を 賭 して 行 動 する 全 隊 員 が 微 塵 も 懸 念 無 く 任 務 に 邁 進 できる 環 境 造 りこそ 任 務 達 成 の 基 盤 要 件 です 軍 事 裁 判 所 の 設 置 を 憲 法 に 規 定 するとともに 各 種 出 動 時 における 自 衛 隊 自 衛 官 の 行 動 を 厳 格 に 律 する 軍 法 を 制 定 すること 及 び その 際 自 衛 隊 自 衛 官 の 義 務 責 任 に 相 当 する 栄 誉 と 処 遇 に 関 する 諸 規 程 を 同 時 に 整 備 することを 強 く 要 望 します 2 日 米 共 同 防 衛 国 際 共 同 行 動 の 実 効 性 の 確 保 国 際 社 会 は 依 然 として 伝 統 的 な 国 家 間 の 紛 争 から 大 量 破 壊 兵 器 等 の 拡 散 国 際 テロなどの 新 たな 脅 威 や 多 様 な 事 態 に 至 るまで 様 々な 課 題 に 直 面 しています 国 際 間 の 協 調 を 図 るとともに 米 国 との 安 全 保 障 体 制 を 基 調 とするわが 国 の 平 和 と 繁 栄 のためには 今 年 で50 周 年 を 迎 えた 改 定 日 米 安 全 保 障 条 約 の 下 で これまで 築 き 上 げてきた 日 米 の 相 互 信 頼 醸 成 を 維 持 するためにも 日 米 同 盟 の 更 なる 実 効 性 の 向 上 及 び 国 際 社 会 との 連 帯 行 動 が 不 可 欠 です 以 下 わが 国 の 安 全 を 確 かなものとするため 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 を 容 認 し て 日 米 安 保 体 制 を 揺 るぎなきものとし また 国 際 社 会 の 平 和 構 築 のため 国 際 平 和 協 力 活 動 に 関 する 一 般 法 を 制 定 することについて 述 べます (1) 集 団 的 自 衛 権 行 使 の 容 認 わが 国 が 国 際 法 上 集 団 的 自 衛 権 を 有 していることは 主 権 国 家 である 以 上 当 然 であるが 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 は 憲 法 第 9 条 の 下 において 許 容 されている 自 衛 権 行 使 の 範 囲 を 超 えるものであり 憲 法 上 許 されない と 憲 法 解 釈 ( 昭 和 56 年 政 府 答 弁 書 )されているため わが 国 の 集 団 的 自 衛 権 は 権 利 はあるが 行 使 でき ない 現 状 にあります 世 界 情 勢 及 び 安 全 保 障 環 境 は 憲 法 制 定 時 や 冷 戦 終 結 時 と 比 べ 大 きく 変 化 し 今 や 地 域 規 模 の 平 和 や 国 際 規 模 の 平 和 なくして わが 国 の 平 和 は 実 現 不 可 能 と 言 え ましょう アジアの 平 和 と 繁 栄 の 基 盤 強 化 に 繋 がる 日 米 共 同 防 衛 体 制 を より 実 効 4

あらしめるよう 構 築 するために 更 には 国 際 的 な 活 動 において 関 係 諸 国 と 十 分 な 信 頼 関 係 の 下 円 滑 な 連 携 を 行 うためにも 集 団 的 自 衛 権 行 使 について 容 認 するこ とが 必 要 です 安 倍 元 首 相 の 下 に 平 成 19 年 4 月 発 足 した 安 全 保 障 の 法 的 基 盤 の 再 構 築 に 関 す る 懇 談 会 が 平 成 20 年 6 月 に 公 海 上 での 自 衛 艦 による 米 艦 船 の 防 護 や 米 国 向 け 弾 道 ミサイルの 迎 撃 等 これまで 憲 法 との 関 係 で 困 難 とされてきた4 類 型 の 個 別 具 体 的 な 行 動 に 関 する 報 告 書 を 当 時 の 福 田 元 首 相 に 提 出 し 憲 法 解 釈 を 合 理 的 に 見 直 すよう 提 言 しました 特 に 空 自 ペトリオットPAC-3の 首 都 圏 配 備 完 了 や 海 自 イージス 艦 迎 撃 ミサ イルSM3 迎 撃 実 射 試 験 成 功 にみられる 通 り 逐 年 わが 国 のBMD 能 力 が 整 備 向 上 されることに 伴 い 米 国 に 向 かうかもしれない 核 ミサイルをわが 国 が 撃 墜 するか 否 かという 問 題 は 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 に 当 たり 日 米 同 盟 の 根 幹 を 揺 らぎかねない 喫 緊 の 課 題 です 核 ミサイル 登 場 以 前 にできた 現 在 の 法 制 度 や 解 釈 を 前 提 として 無 理 矢 理 現 状 に 合 わせようとすることは 限 界 を 超 えるものと 思 料 します 現 実 問 題 としても 昨 年 4 月 5 日 に 北 朝 鮮 からミサイルが 発 射 され この 事 態 にお ける 対 応 において 日 米 の 緊 密 な 連 携 が 欠 かせないことが 判 明 しています 日 米 同 盟 関 係 を 維 持 し あるいは 国 際 平 和 への 積 極 的 な 貢 献 を 果 たすためには 早 い 時 期 に 政 府 として 憲 法 解 釈 を 変 更 し 国 際 的 な 法 と 慣 例 に 照 らして 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 を 容 認 し 自 衛 隊 法 改 正 などの 法 整 備 をされますよう 強 く 要 望 します (2) 国 際 平 和 協 力 活 動 に 関 する 一 般 法 の 制 定 及 び 武 器 使 用 権 限 の 見 直 し 平 成 19 年 1 月 自 衛 隊 の 国 際 平 和 協 力 活 動 が 本 来 任 務 として 位 置 づけられまし た 今 後 は 自 衛 隊 の 海 外 派 遣 の 要 件 等 を 定 める 一 般 法 所 謂 恒 久 法 の 制 定 に 向 けた 議 論 の 進 展 を 期 待 します 自 衛 隊 の 派 遣 と 活 動 の 基 準 に 関 する 一 般 法 の 制 定 に 当 たっては わが 国 として 官 民 一 体 の 国 際 平 和 協 力 活 動 の 取 り 組 み 方 全 体 を 構 築 してその 理 念 と 活 動 内 容 を 定 め わが 国 が 主 体 的 積 極 的 に 行 う 全 体 像 を 示 すとともに その 中 で 自 衛 隊 がどこ までの 役 割 を 果 たしていくのかについて 議 論 を 展 開 されるよう 望 みます イラク 特 措 法 では 紆 余 曲 折 がありましたが 結 局 国 際 平 和 協 力 法 と 殆 ど 同 じ 5

武 器 使 用 権 限 となり 自 己 等 防 衛 のための 武 器 使 用 且 つあくまでも 警 察 作 用 であ る 正 当 防 衛 又 は 緊 急 避 難 に 該 当 する 場 合 のみ 危 害 射 撃 が 可 能 であると 認 められま した 他 国 の 軍 隊 等 を 防 衛 するための 武 器 使 用 は 認 められておらず また 国 連 平 和 維 持 活 動 の 武 器 使 用 基 準 所 謂 国 際 基 準 では 認 められている 任 務 遂 行 を 妨 害 する 行 為 を 実 力 で 排 除 するための 武 器 使 用 についても 認 められていません 平 成 21 年 3 月 からはソマリア 沖 アデン 湾 における 海 賊 対 処 のため 海 上 自 衛 隊 の 護 衛 艦 部 隊 が 派 遣 され 更 に 5 月 にはジブチへ 海 上 自 衛 隊 P3C 哨 戒 機 部 隊 及 び 基 地 警 備 のため 陸 上 自 衛 隊 中 央 即 応 集 団 の 隊 員 が 派 遣 されました これらの 派 遣 部 隊 の 行 動 基 準 は 当 初 わが 国 周 辺 で 適 応 される 海 上 警 備 行 動 であ り 必 ずしも 現 地 の 行 動 基 準 としては 適 切 ではありませんでした このため 海 賊 対 処 法 が 国 会 に 上 程 され 平 成 21 年 6 月 19 日 に 法 案 が 国 会 を 通 過 し 現 実 の 事 態 に 対 応 する 法 律 が 制 定 されたことは 大 変 喜 ばしいことで 大 きく 考 え 方 が 前 進 し たと 評 価 できます 今 後 海 外 における 自 衛 隊 の 任 務 役 割 が 拡 大 し 治 安 維 持 警 護 あるいは 船 舶 検 査 等 を 実 施 することになれば これまでの 自 己 等 の 生 命 身 体 を 防 衛 するという ことに 加 えて 例 えば 同 盟 国 軍 の 防 衛 自 衛 隊 の 職 務 に 直 接 関 係 のない 者 の 防 護 等 防 衛 対 象 者 の 拡 大 あるいは 拡 大 する 任 務 遂 行 のために 必 要 な 自 己 等 の 防 衛 を 超 えた 武 器 使 用 権 限 の 容 認 についても 検 討 を 深 化 しなければなりません 他 国 の 軍 と 行 動 を 共 にする 場 合 には 国 際 的 な 法 規 と 慣 例 に 準 じたグローバル スタンダー ドな 軍 の 行 動 基 準 と 合 致 させることが 必 要 不 可 欠 です それにより 一 層 効 果 的 な 任 務 遂 行 が 期 待 でき また 国 際 的 な 批 判 を 避 けて 信 頼 が 高 まるものと 確 信 します 自 衛 官 が 現 場 で 過 酷 な 任 務 に 就 くに 当 たり 必 要 不 可 欠 な 武 器 使 用 権 限 を 早 期 に 見 直 し 派 遣 部 隊 の 任 務 のみが 拡 大 されることがないよう 強 く 要 望 します また 万 が 一 に 備 え 派 遣 自 衛 官 の 栄 誉 補 償 慰 霊 についても 遺 漏 なきよう 措 置 され 隊 員 が 後 顧 の 憂 いなく 誇 りと 自 信 を 持 って 任 務 地 に 赴 くことができます よう 強 く 要 望 します 3 防 衛 体 制 の 整 備 強 化 昨 年 9 月 以 降 わが 国 は 日 米 同 盟 を 基 軸 にアジア 外 交 を 重 視 する 姿 勢 を 内 外 に 鮮 明 にしています 一 方 北 東 アジアの 安 全 保 障 環 境 は 中 国 の 国 防 白 書 (2008 6

年 版 )では 潜 水 艦 や 駆 逐 艦 などの 新 型 兵 器 の 装 備 を 拡 充 し 2010 年 までに 軍 近 代 化 の 基 盤 を 作 り その 後 十 年 で 充 実 発 展 させて 機 械 化 情 報 化 を 進 め 21 世 紀 半 ば 頃 には 情 報 化 された 近 代 軍 を 完 成 するとともに 中 国 空 軍 においては 国 土 防 空 型 から 攻 防 兼 備 型 空 軍 に 転 換 することを 明 示 しています 更 には 弾 道 ミサイル の 小 型 軽 量 化 多 弾 頭 化 命 中 精 度 の 向 上 や 巡 航 ミサイルの 大 量 取 得 などの 近 代 化 そして 昨 年 3 月 中 国 の 国 防 部 部 長 による 空 母 建 造 の 方 針 表 明 あるいは 5 世 代 ステ ルス 戦 闘 機 を 開 発 中 との 見 方 もあるなど 不 透 明 さの 中 で 確 実 な 軍 事 力 及 び 軍 事 費 の 拡 大 を 継 続 しています 北 朝 鮮 においては 核 保 有 国 としての 地 位 を 確 保 するため 国 際 世 論 を 無 視 して 核 実 験 や 弾 道 ミサイル 実 験 を 重 ねています 今 年 3 月 には 黄 海 上 で 北 朝 鮮 小 型 潜 水 艇 から 発 射 された 魚 雷 攻 撃 により 韓 国 海 軍 哨 戒 艦 が 沈 没 し 更 に11 月 23 日 には 北 朝 鮮 軍 は 韓 国 延 坪 島 (ヨンピョンド) 内 の 軍 施 設 や 市 街 地 に 無 差 別 砲 撃 し これに 韓 国 軍 は 応 射 し 砲 撃 戦 となった このように 朝 鮮 半 島 を 取 り 巻 く 軍 事 情 勢 は 極 めて 緊 迫 した 状 況 にあります またロシアにおいては 経 済 力 の 回 復 を 基 調 とする 強 い 国 家 施 策 を 進 めています 更 に 軍 事 的 には 今 年 1 月 に 開 発 中 の5 世 代 ステルス 戦 闘 機 の 初 飛 行 に 成 功 し 近 い 将 来 に 実 戦 配 備 が 予 定 される など 冷 戦 終 結 後 に 欧 州 地 域 でみられたような 安 全 保 障 環 境 の 大 きな 変 化 はみられ ず 依 然 として 各 国 地 域 の 対 立 の 構 図 が 残 っており また 国 際 テロ 及 び 大 量 破 壊 兵 器 拡 散 の 脅 威 等 わが 国 を 取 り 巻 く 情 勢 は 引 き 続 き 厳 しく 予 断 を 許 さないもの があります 従 って アジア 外 交 重 視 の 姿 勢 は 重 要 であるものの 現 実 的 なわが 国 の 安 全 保 障 環 境 から 一 層 の 防 衛 努 力 が 求 められるところであると 思 料 しつつ 以 下 主 要 な 事 項 について 申 し 述 べます (1) 発 展 的 な 防 衛 省 改 革 の 推 進 防 衛 庁 自 衛 隊 は 平 成 18 年 3 月 に 移 行 した 統 合 運 用 体 制 を 着 実 に 進 展 させつ つ 平 成 19 年 1 月 に 念 願 であった 防 衛 省 に 移 行 し 政 策 官 庁 にふさわしく 政 策 の 企 画 立 案 機 能 とさまざまな 緊 急 事 態 への 迅 速 的 確 な 対 応 力 が 強 化 されました 統 合 運 用 体 制 移 行 後 の 自 衛 隊 の 活 動 では 平 成 19 年 7 月 の 中 越 沖 地 震 災 害 派 遣 や 平 成 20 年 6 月 の 岩 手 宮 城 内 陸 地 震 災 害 派 遣 またイラク 特 措 法 により 約 5 年 にわたって 活 動 してきた 航 空 自 衛 隊 による 空 輸 支 援 平 成 13 年 12 月 テロ 特 別 7

措 置 法 に 基 づき 開 始 された 海 上 自 衛 隊 によるインド 洋 での 洋 上 給 油 給 水 活 動 も 約 8 年 間 にわたり 国 内 外 から 高 い 評 価 を 受 け 今 年 1 月 に 終 了 しました また 今 年 1 月 に 発 生 したハイチ 大 地 震 に 際 しては 自 衛 隊 から 国 際 緊 急 医 療 援 助 隊 及 び 国 際 緊 急 援 助 空 輸 隊 が 2 月 にはハイチ 派 遣 国 際 救 援 隊 が 国 連 平 和 維 持 活 動 として 派 遣 さ れ 更 に 今 年 7 月 パキスタン 北 西 部 の 豪 雤 による 大 規 模 洪 水 災 害 に 伴 い 8 月 に 自 衛 隊 のヘリコプター 部 隊 及 び 支 援 部 隊 が 国 際 緊 急 援 助 隊 としてパキスタン イスラ ム 共 和 国 に 派 遣 されました しかし 一 方 で 元 事 務 次 官 に 対 する 有 罪 判 決 やイージ ス 艦 あたごと 漁 船 の 衝 突 事 案 等 により 防 衛 省 に 対 し 厳 しい 批 判 が 払 拭 されていな い 状 況 には 隊 友 会 としても 大 変 憂 慮 しているところです 一 連 の 防 衛 省 自 衛 隊 関 連 事 案 の 発 生 を 受 けて 平 成 19 年 12 月 首 相 官 邸 に 設 置 された 防 衛 省 改 革 会 議 が 平 成 20 年 7 月 15 日 不 祥 事 の 分 析 と 改 革 の 方 向 性 と 題 する 報 告 書 を 提 出 しました その 報 告 書 において 示 された 基 本 的 方 向 に 従 い 防 衛 省 としても 平 成 21 年 度 においては 参 事 官 制 度 を 廃 して 防 衛 会 議 を 設 置 する 法 案 を 成 立 させる 等 新 たな 体 制 に 移 行 するものと 期 待 していましたが 昨 年 10 月 防 衛 省 改 革 本 部 会 議 において 防 衛 省 改 革 に 関 する 中 央 組 織 改 革 については 新 たな 視 点 で 検 討 を 行 うこととし 22 年 度 要 求 を 見 送 り 白 紙 としました 今 後 新 たな 視 点 で 検 討 を 行 い 改 革 実 施 するに 当 たっては 事 案 に 対 する 対 処 療 法 にとどまらず 武 力 攻 撃 事 態 及 び 周 辺 事 態 など 有 事 に 真 に 機 能 し 得 るよう 組 織 制 度 等 の 体 制 整 備 を 推 進 するよう 要 望 します また その 組 織 改 編 等 に 際 し 陸 海 空 3 自 衛 隊 の 運 用 を 実 際 的 且 つ 効 果 的 ならし めるよう 人 事 教 育 訓 練 補 給 整 備 等 の 部 隊 管 理 機 能 を 堅 持 するとともに 武 力 組 織 としての 指 揮 統 御 並 びに 隊 員 の 厳 正 な 規 律 維 持 高 揚 された 部 隊 士 気 及 び 強 固 な 部 隊 団 結 を 容 易 ならしめる 多 面 的 な 検 討 も 必 要 であると 思 料 します 警 察 予 備 隊 としての 創 設 から 保 安 庁 を 経 て 防 衛 庁 に 至 るまでの 背 景 や 歴 史 に 遡 って 問 題 点 を 掘 り 起 こし 列 国 の 国 防 省 と 同 じような 役 割 が 果 たせるよう 国 防 政 策 を 統 括 的 に 主 管 する 防 衛 省 ( 国 防 省 )として 各 種 施 策 を 実 効 的 かつ 発 展 的 に 推 進 されることを 要 望 します (2) 更 なる 実 効 性 ある 有 事 法 制 への 見 直 し 長 年 の 懸 案 であった 有 事 法 制 が 関 係 者 の 多 大 な 努 力 により また 国 民 の 多 く 8

から 理 解 と 支 持 を 得 て 平 成 15 年 16 年 にかけて 武 力 攻 撃 事 態 対 処 法 並 び に 国 民 保 護 法 など 一 連 の 法 律 が 制 定 され 有 事 法 制 に 係 わる 法 的 基 盤 は 整 備 さ れ 防 衛 体 制 はより 実 効 性 のあるものへと 進 展 しました しかしながら これらの 有 事 法 制 では 国 家 緊 急 事 態 において 国 民 は 基 本 的 人 権 を 損 なわない 範 囲 で 政 府 の 定 めた 施 策 に 協 力 する との 規 定 になっています 災 害 対 策 基 本 法 における 救 援 活 動 の 援 助 は 国 民 の 責 務 となっており ましてや 国 家 非 常 事 態 における 法 的 規 制 は 平 時 のそれとは 全 く 異 なるため 国 民 の 協 力 以 上 の 強 制 力 を 持 たせることが 必 要 で 更 には 国 家 非 常 事 態 においては 有 事 法 制 の 中 で 一 時 的 にせよ 経 済 産 業 交 通 食 料 医 療 エネルギーなどに 関 して 国 の 統 制 力 を 強 化 できる 法 的 整 備 が 必 要 と 思 料 します そのため 更 なる 実 効 性 のある 有 事 法 制 への 見 直 しを 強 く 要 望 します (3) 中 長 期 的 視 野 に 立 脚 した 防 衛 力 整 備 自 衛 隊 は 創 設 以 来 直 接 侵 略 及 び 間 接 侵 略 に 対 しわが 国 を 防 衛 することを 主 た る 本 来 任 務 所 謂 基 本 任 務 として 防 衛 力 防 衛 体 制 を 整 備 し また 精 到 に 訓 練 を 積 み 上 げてきています 近 年 の 安 全 保 障 環 境 の 変 化 に 伴 い 自 衛 隊 は 更 にその 任 務 が 多 様 化 国 際 化 しています 昨 今 防 衛 関 係 費 は 厳 しい 国 家 財 政 事 情 により 平 成 15 年 度 以 降 7 年 連 続 で 対 前 年 度 比 削 減 されてきました 平 成 22 年 度 防 衛 関 係 予 算 はSACO 関 係 経 費 及 び 米 軍 再 編 関 係 費 のうち 地 元 負 担 軽 減 分 を 除 くと4 兆 6825 億 円 で 前 年 度 比 0. 4% 減 となり 実 質 的 に8 年 連 続 縮 減 されています 一 方 中 国 の 国 防 予 算 は21 年 間 前 年 度 比 二 桁 の 伸 び 率 を 続 けていましたが 22 年 の 予 算 は 全 人 代 予 算 報 告 に よると 前 年 度 実 績 比 9.8% 増 と 変 わらず 高 い 伸 び 率 で 総 額 約 7 兆 2671 億 円 に 上 るとされています この 公 表 された 以 外 に 研 究 開 発 や 外 国 からの 武 器 購 入 費 な どが 別 枠 との 見 方 もあり 実 質 的 な 軍 事 費 は 公 表 の2~3 倍 と 言 われています 現 在 の 防 衛 省 自 衛 隊 を 取 り 巻 く 行 政 環 境 は 全 般 的 な 国 家 財 政 の 逼 迫 に 加 え 省 改 革 会 議 の 議 論 や 総 人 件 費 改 革 公 務 員 制 度 改 革 など 一 段 と 厳 しいものがあり 在 日 米 軍 再 編 事 業 経 費 と 相 俟 って 防 衛 力 整 備 計 画 等 への 深 刻 な 影 響 が 危 惧 される 状 況 にあります しかしながら わが 国 の 周 辺 諸 国 が 大 量 の 通 常 戦 力 及 び 核 戦 力 を 保 有 し 軍 事 力 9

の 近 代 化 を 継 続 している 現 状 にあることからも 所 要 の 防 衛 力 整 備 は 国 家 の 最 重 要 施 策 として 位 置 付 けて 推 進 されるべきものであり 防 衛 の 基 本 任 務 である 武 力 攻 撃 事 態 対 処 の 機 能 に 欠 落 を 生 じさせないよう 努 力 を 継 続 することが 不 可 欠 である と 思 料 します 昨 年 10 月 には 防 衛 計 画 の 大 綱 見 直 し 及 び 中 期 防 衛 力 整 備 計 画 の 策 定 の 一 年 先 送 りが 決 定 され 今 年 度 はそれら 計 画 策 定 の 年 になると 聞 いています 防 衛 力 の 造 成 が 短 期 間 においては 困 難 なことからも 中 長 期 的 視 点 に 立 脚 し 地 に 足 の 着 いた 着 実 的 確 な 防 衛 力 整 備 を 推 進 されることを 強 く 要 望 します (4) 敵 基 地 攻 撃 能 力 の 付 与 昨 年 の 北 朝 鮮 の 弾 道 ミサイル 発 射 核 実 験 報 道 を 受 け 様 々な 分 野 で 敵 基 地 攻 撃 能 力 を 持 つべきだとの 議 論 がなされています 昭 和 31 年 鳩 山 一 郎 内 閣 の 時 に 敵 基 地 攻 撃 についての 議 論 が 起 こり 政 府 統 一 見 解 として わが 国 に 急 迫 不 正 の 侵 略 が 行 われ 誘 導 弾 等 による 攻 撃 が 行 われた 場 合 そのような 攻 撃 を 防 ぐのに 他 に 手 段 がなければ 必 要 最 小 限 度 の 措 置 をとること 例 えば 誘 導 弾 等 の 基 地 をたたくこと は 法 理 的 には 自 衛 の 範 囲 に 含 まれる 座 して 死 を 待 つのが 憲 法 の 趣 旨 ではない と していました しかしながら 昭 和 40 年 代 半 ばから 専 守 防 衛 が 政 府 の 基 本 政 策 に 掲 げられてから 防 衛 上 の 必 要 からも 相 手 の 基 地 を 攻 撃 することなく もっぱらわ が 国 土 およびその 周 辺 において 防 衛 を 行 う との 考 えが 定 着 してきました 昨 今 の 北 朝 鮮 による 核 ミサイルを 持 って 日 本 本 土 を 直 接 攻 撃 するかもしれない 現 実 的 な 脅 威 の 出 現 に 対 して 昭 和 31 年 当 時 の 統 一 見 解 にあるように 相 手 基 地 攻 撃 が 可 能 となる 能 力 の 付 与 について 新 防 衛 計 画 の 大 綱 で 具 体 化 されますよう 強 く 要 望 します (5) 防 衛 産 業 の 維 持 育 成 及 び 武 器 輸 出 3 原 則 の 見 直 し 後 方 分 野 においては 自 衛 隊 創 設 以 来 国 家 施 策 として 防 衛 施 策 は 防 衛 産 業 の 育 成 を 含 むものとして 一 千 社 以 上 に 及 ぶ 民 間 企 業 による 参 入 を 受 けて 防 衛 力 発 揮 基 盤 を 整 備 してきました しかるに 最 近 においては 防 衛 予 算 の 削 減 や 国 家 的 事 業 であ るべき 防 衛 産 業 においても 一 般 競 争 が 絶 対 的 な 価 値 観 として 取 り 入 れられて その ため 企 業 も 利 益 追 求 型 に 偏 重 し 利 益 が 出 なければ 防 衛 分 野 から 撤 退 する 企 業 が 10

部 品 メーカーなど 中 小 企 業 を 中 心 に 大 手 企 業 を 含 めて 約 50 社 を 超 えると 見 られ 防 衛 技 術 基 盤 や 生 産 基 盤 が 維 持 できなくなることを 憂 慮 しています 作 戦 と 後 方 は 表 裏 一 体 化 したものです 一 度 消 失 した 防 衛 産 業 力 の 復 元 には 長 い 年 月 と 多 大 の 経 費 を 要 します 更 に 防 衛 装 備 は 高 度 な 最 先 端 技 術 の 集 積 で 開 発 にも 時 間 がかかり 民 生 技 術 分 野 への 波 及 効 果 も 大 きいものがあります このような 情 勢 の 中 で わが 国 の 産 業 界 においては 所 要 の 国 内 防 衛 産 業 を 育 成 し 防 衛 技 術 基 盤 及 び 生 産 基 盤 の 維 持 を 図 ることについて 早 急 に 検 討 され 施 策 化 され ることを 強 く 要 望 します 代 表 的 な 例 として 最 近 の 航 空 宇 宙 産 業 分 野 では 防 衛 予 算 が 減 尐 傾 向 にあり 自 衛 隊 装 備 品 の 伸 びが 見 込 めないことに 加 え 防 衛 に 係 わる 航 空 宇 宙 産 業 の 各 社 は 収 益 確 保 のため 民 需 の 開 拓 で 官 需 依 存 型 から 民 需 依 存 型 に 構 造 転 換 を 図 っていると ころです さらに 国 家 を 代 表 する 防 衛 装 備 品 の 象 徴 といわれる 戦 闘 機 の 分 野 においては 現 在 生 産 している 日 米 共 同 開 発 の 戦 闘 機 も 来 年 度 には 生 産 が 終 了 します 戦 後 に 戦 闘 機 生 産 を 再 開 して 以 来 初 めて 生 産 が 途 絶 えることとなり すでに 戦 闘 機 関 連 で の 部 品 メーカー20 社 が 撤 退 を 決 めていると 見 られています このように この 分 野 での 開 発 及 び 生 産 が 終 了 することにより 航 空 宇 宙 に 係 わる 技 術 基 盤 及 び 生 産 基 盤 が 失 われ 更 には 自 ら 市 場 開 拓 できないそれらに 関 連 する 中 小 企 業 である 多 数 の 部 品 メーカーでは 撤 退 を 余 儀 なくされることにより この 分 野 の 産 業 が 空 洞 化 する ことを 憂 慮 します このような 状 況 は 陸 上 及 び 海 上 装 備 品 においても 同 様 でありますが これらを 防 ぐためには 防 衛 費 の 削 減 に 歯 止 めをかけ 積 極 的 に 増 額 に 転 じるとともに 単 に 入 札 による 価 格 競 争 ではなく 技 術 開 発 能 力 評 価 を 加 味 した 総 合 評 価 方 式 の 導 入 や 税 制 の 優 遇 などにより 国 内 防 衛 産 業 育 成 策 を 図 ることが 喫 緊 の 課 題 です 将 来 を 見 越 した 安 全 保 障 施 策 のため 防 衛 省 として 格 段 のご 努 力 を 切 にお 願 いするものです その 際 国 内 防 衛 産 業 の 存 続 に 大 きな 影 響 がある 昭 和 51 年 三 木 首 相 の 国 会 答 弁 による 事 実 上 一 切 の 武 器 輸 出 を 禁 じた 武 器 輸 出 3 原 則 は 平 成 16 年 に 日 米 で 共 同 技 術 研 究 を 進 めているミサイル 防 衛 (MD)に 関 する 共 同 開 発 生 産 を3 原 則 の 例 外 と 明 示 するほか 他 の 案 件 については 個 別 に 判 断 する ( 官 房 長 官 談 話 要 旨 )と 一 部 見 直 されました しかしながら それも MD 以 外 の 米 国 との 共 同 開 11

発 生 産 案 件 及 びテロ 海 賊 対 策 への 支 援 という2 点 について 個 別 の 案 件 ごとに 検 討 の 上 結 論 を 得 る に 留 まっています 巨 額 の 開 発 費 用 を 必 要 とする 戦 闘 機 などの 装 備 品 を 各 国 が 独 自 で 開 発 するのは 兵 器 の 高 性 能 化 や 財 政 事 情 などで 困 難 な 状 況 にあり 今 や 国 際 共 同 開 発 の 時 代 が 新 たな 潮 流 とも 言 われています 日 米 共 同 防 衛 及 び 海 外 における 国 際 共 同 行 動 上 の 後 方 分 野 の 実 効 性 の 確 保 並 びに 国 際 的 な 共 同 開 発 生 産 の 推 進 による 先 端 技 術 力 の 維 持 向 上 及 び 安 定 的 な 装 備 品 の 供 給 やコスト 節 減 の 観 点 から 武 器 輸 出 3 原 則 につ いて 上 述 の 国 内 防 衛 産 業 育 成 策 の 議 論 と 併 せて 大 幅 な 見 直 しが 必 要 な 時 期 に 来 ていると 思 料 します (6) 防 衛 用 偵 察 衛 星 等 の 保 有 わが 国 の 宇 宙 開 発 は 平 和 利 用 に 限 るとした 昭 和 44 年 の 国 会 決 議 に 基 づき 防 衛 目 的 の 宇 宙 利 用 を 厳 しく 制 限 してきましたが これを 非 軍 事 から 非 侵 略 に 解 釈 を 変 更 し わが 国 の 安 全 保 障 に 資 する 宇 宙 開 発 利 用 を 認 める 宇 宙 基 本 法 が 平 成 20 年 5 月 に 成 立 しました 侵 略 的 でない 技 術 の 軍 事 利 用 を 認 めている 国 際 社 会 の 潮 流 に 合 致 したものであり 誠 に 喜 ばしい 限 りです 防 衛 省 としてもそれを 受 け 情 報 収 集 警 戒 監 視 情 報 通 信 測 位 等 C4ISR 機 能 の 向 上 に 向 け 鋭 意 検 討 していると 聞 いています 昨 年 6 月 2 日 には 宇 宙 基 本 計 画 も 策 定 されました その 中 で 宇 宙 基 本 計 画 の 推 進 に 当 たっては 防 衛 計 画 の 大 綱 等 とも 連 携 を 図 りつつ と 述 べられています 他 方 わが 国 の 情 報 収 集 衛 星 は 1998 年 北 朝 鮮 によるテポドン ミサイルの 発 射 を 契 機 に 導 入 を 検 討 して2003 年 に 打 ち 上 げられ レーダー 衛 星 2 基 と 光 学 衛 星 2 基 の 計 4 基 で 一 日 一 回 地 球 のどの 部 分 でも 偵 察 できる 体 制 の 構 築 を 目 指 し ています しかしながら これら 情 報 収 集 衛 星 は 災 害 情 報 などの 情 報 収 集 を 目 的 と した 汎 用 の 多 目 的 衛 星 で 純 軍 事 衛 星 の 性 能 と 比 較 すると 分 解 能 で 数 分 の1 程 度 し かないといわれており 現 在 の 軍 事 用 の 緊 要 な 情 報 は 米 軍 に 頼 っているのが 実 情 です したがって 北 朝 鮮 のミサイル 発 射 及 び 中 国 の 軍 備 拡 張 や 海 上 権 益 の 拡 大 など 必 要 な 軍 事 情 報 を 独 力 で 収 集 できる 情 報 体 制 を 整 備 することが 喫 緊 の 課 題 と 思 料 します わが 国 特 有 の 戦 略 的 姿 勢 である 専 守 防 衛 を 実 効 あらしめるためには 当 該 国 の 動 向 を 高 頻 度 に 収 集 することが 可 能 な 高 解 像 度 偵 察 衛 星 や 弾 道 ミサイル 探 知 の 早 期 12

警 戒 衛 星 及 び 防 衛 専 用 通 信 衛 星 の 保 有 など 安 全 保 障 分 野 に 重 要 不 可 欠 なものの 施 策 化 に 関 して 防 衛 省 として 計 画 的 かつ 積 極 的 対 応 を 強 く 要 望 します (7) 任 務 の 多 様 化 国 際 化 等 に 対 応 する 人 的 防 衛 力 の 確 保 自 衛 隊 の 具 体 的 な 体 制 や 主 要 装 備 の 整 備 目 標 を 定 める 防 衛 計 画 の 大 綱 は 最 初 昭 和 51 年 に 国 防 会 議 及 び 閣 議 において 決 定 され その 後 平 成 7 年 同 16 年 と2 度 新 たな 指 針 として 策 定 され 防 衛 力 の 規 模 はその 都 度 縮 減 されました 防 衛 力 の 規 模 が 縮 減 される 中 で 陸 海 空 3 自 衛 隊 は 任 務 の 多 様 化 国 際 化 に 的 確 に 対 応 するべく 一 層 の 隊 務 の 合 理 化 効 率 化 を 図 っていますが わが 国 周 辺 地 域 の 安 全 保 障 環 境 は 厳 しさを 増 す 情 勢 下 にあります このような 環 境 の 中 平 成 18 年 度 の 行 政 改 革 推 進 法 の 施 行 に 伴 い 総 人 件 費 改 革 の 中 で 自 衛 隊 員 に 関 しては 教 育 給 食 整 備 等 の 分 野 において 平 成 18 年 度 から 5 年 間 の 純 削 減 実 員 総 数 を8,685 人 とすることとなりました これは 陸 自 1 個 師 団 の 実 員 数 を 遙 かに 超 えるものです これら 削 減 の 対 象 分 野 は それぞれ 民 間 委 託 を 進 めることにより 補 完 することが 可 能 ですが 特 に 正 面 と 後 方 が 一 体 となっ て 行 動 する 有 事 の 部 隊 運 用 に 際 してはその 及 ぼす 影 響 は 甚 大 なものがあり 総 合 的 な 実 戦 力 の 低 下 となっています また 予 想 される 首 都 直 下 地 震 等 の 未 曾 有 の 大 規 模 災 害 派 遣 においては 機 械 力 では 補 完 できない 膨 大 なマンパワーの 長 期 にわたる 全 国 からの 集 中 が 必 要 になり ますが それも 覚 束 なくなることを 真 に 憂 慮 するところです 特 に 本 年 は 防 衛 計 画 大 綱 の 見 直 しの 年 に 当 たります これを 契 機 として わが 国 を 取 り 巻 く 現 下 の 安 全 保 障 環 境 のもとで 本 来 任 務 である 国 家 防 衛 や 海 外 派 遣 加 えて 大 規 模 災 害 派 遣 等 の 多 種 多 様 な 任 務 を 担 う 自 衛 官 の 任 務 役 割 の 特 殊 性 に 鑑 み て 社 会 情 勢 の 変 化 に 応 じて 柔 軟 に 自 衛 官 の 定 数 を 見 直 し むしろ 増 員 を 含 めた 検 討 をお 願 いするものです 昨 年 11 月 の 行 政 刷 新 会 議 ワーキンググループでの 事 業 仕 分 け において 第 一 線 部 隊 に 限 定 した 自 衛 官 約 3,500 人 の 充 足 率 の 向 上 を 要 求 した 結 果 自 衛 隊 だけの 例 外 は 認 められないとして 見 送 られましたが 一 方 で 地 方 の 安 全 安 心 を 担 う 警 察 庁 都 道 府 県 警 察 においては 21 年 度 及 び22 年 度 予 算 においても 約 1, 000 人 超 の 増 員 が 認 められています この 際 現 場 の 人 的 面 の 過 剰 負 担 を 適 正 化 13

し 部 隊 が 持 つ 本 来 の 機 能 を 十 分 に 発 揮 するため 第 一 線 部 隊 の 自 衛 官 充 足 率 の 向 上 を 図 るよう 強 く 要 望 します 他 方 昨 今 の 不 況 下 においては 若 年 者 の 求 人 数 が 減 尐 し 就 職 難 が 社 会 問 題 にな っています 特 に 今 年 の 高 卒 者 の 就 職 率 が 大 きく 落 ち 込 んでいる 現 状 に 鑑 みて こ の 様 な 時 にこそ 自 衛 官 の 募 集 を 増 大 させ 社 会 における 求 人 数 の 緩 衝 機 能 の 役 割 を 果 たすべきであると 思 料 します また 昨 今 は 核 家 族 化 により 集 団 生 活 を 経 験 し たことの 無 い 若 者 が 多 く 存 在 し 尐 々の 辛 いことにも 我 慢 のできない 若 者 が 多 く 多 くの 職 場 や 社 会 でそのことが 問 題 になっていると 聞 いています 一 度 自 衛 隊 に おいて 集 団 生 活 を 体 験 させ それらの 人 材 を 社 会 に 送 り 出 す 教 育 機 関 としても 自 衛 隊 が 優 れた 機 能 を 有 していることは 国 民 の 間 でも 広 く 認 めるところです 更 には 人 的 基 盤 を 安 定 的 に 維 持 し 国 内 における 災 害 派 遣 や 不 測 事 態 対 処 のた めに 現 在 の 駐 屯 地 基 地 等 の 維 持 はきわめて 重 要 な 問 題 であると 考 えます 北 海 道 や 九 州 の 各 県 からも 駐 屯 地 や 基 地 は 地 域 社 会 の 発 展 や 住 民 との 連 帯 性 確 保 のた め 欠 かせない 存 在 であるとの 意 見 書 が 提 出 されています 駐 屯 地 基 地 の 獲 得 と 維 持 については 先 人 の 並 々ならぬ 努 力 があって 今 日 の 形 となっています 一 度 駐 屯 地 や 基 地 を 縮 小 すれば その 再 取 得 や 拡 張 は 多 大 な 困 難 を 伴 います 一 時 の 財 政 上 の 理 由 で 駐 屯 地 や 基 地 を 削 減 しないよう 要 望 します (8) 領 域 警 備 任 務 の 付 与 平 成 13 年 自 衛 隊 法 が 改 正 され 大 規 模 なテロ 脅 威 に 備 えた 国 内 の 自 衛 隊 施 設 や 在 日 米 軍 施 設 区 域 における 警 護 出 動 任 務 と 治 安 出 動 下 令 前 の 情 報 収 集 任 務 が 付 加 されました しかしながら 今 や 平 時 と 有 事 を 明 確 に 線 引 きすることが 困 難 な 上 緊 急 事 態 の 推 移 は 速 く 治 安 出 動 あるいは 防 衛 出 動 の 適 時 な 発 令 は 至 難 なこと と 考 えられます 即 ち 不 審 船 武 装 工 作 員 等 による 日 本 の 領 域 に 対 する 不 法 行 動 に 直 面 した 際 当 初 からその 脅 威 の 実 体 を 見 極 めることは 困 難 であり 適 切 な 初 動 対 処 が 特 に 重 要 であるゲリラや 特 殊 部 隊 の 侵 攻 の 可 能 性 が 高 いにもかかわらず 現 体 制 では 警 察 や 海 上 保 安 庁 が 対 処 せざるを 得 ない 状 況 にあり 対 応 の 機 を 失 して 我 が 国 の 主 権 が 侵 害 されるとともに 被 害 の 拡 大 が 危 惧 されるところです 外 国 の 特 殊 部 隊 や 工 作 員 によるゲリラやテロ 活 動 に 対 しては 自 衛 隊 が 主 体 的 に 14

対 処 すべきものであり 平 時 から 警 察 や 海 上 保 安 庁 等 の 関 係 諸 機 関 と 協 同 して 事 態 対 処 の 当 初 から 持 てる 防 衛 力 を 適 切 に 運 用 することができるよう 所 要 の 武 器 使 用 権 限 の 他 例 えば 緊 急 通 行 権 や 施 設 の 構 築 物 資 の 収 用 等 の 権 限 など 準 軍 事 的 な 対 応 を 可 能 とする 領 域 警 備 任 務 を 自 衛 隊 に 付 与 することを 要 望 します (9) 島 嶼 部 に 対 する 防 衛 中 国 は 1992 年 に 独 自 の 領 海 法 を 公 布 し 日 本 の 領 土 である 尖 閣 諸 島 を 自 国 の 領 土 として 宣 言 し 日 中 中 間 線 付 近 での 天 然 ガス 採 掘 など 海 底 資 源 開 発 の 活 動 や 自 国 の 海 洋 権 益 を 守 るための 防 衛 線 ( 第 一 列 島 防 衛 線 )を 日 本 本 土 から 南 西 諸 島 に 設 定 し 中 国 海 軍 の 任 務 に 付 け 加 えるなど 活 動 を 活 発 化 させています これらを 裏 付 けるように 中 国 の 国 防 白 書 (2008 年 版 )では 外 洋 での 作 戦 能 力 向 上 を 目 指 す 方 針 を 明 記 し 海 空 及 びミサイル 戦 力 の 増 強 近 代 化 を 進 め 外 洋 型 軍 隊 への 変 革 を 目 指 しています この 状 況 で 推 移 すると 数 年 で 軍 事 的 に 南 西 諸 島 を 含 めた 第 一 列 島 防 衛 線 を 自 国 の 強 い 影 響 下 に 置 くことができることは 明 白 です 他 方 米 国 との 共 同 防 衛 体 制 を 採 ってはいても わが 国 も 独 立 主 権 国 家 として 国 土 防 衛 の 基 幹 となる 防 衛 力 は 自 らが 保 持 することが 必 要 であり 島 嶼 防 衛 に 際 して は 自 主 防 衛 力 の 保 持 のために 沖 縄 を 中 心 とした 南 西 諸 島 の 統 合 防 衛 体 制 を 整 備 す ることが 焦 眉 の 急 であると 思 料 します これら 防 衛 力 強 化 に 特 段 の 配 慮 を 要 望 しま す 4 自 衛 隊 員 の 処 遇 改 善 等 平 成 18 年 9 月 に 防 衛 庁 長 官 を 委 員 長 とする 防 衛 力 の 人 的 側 面 についての 抜 本 的 改 革 に 関 する 検 討 会 が 設 置 され 平 成 19 年 6 月 に 報 告 書 として 検 討 結 果 を 纏 められました 今 後 更 に 具 体 的 検 討 を 深 化 し その 報 告 に 基 づく 着 実 な 施 策 化 を 強 く 期 待 するところです 以 下 5 点 について 要 望 を 申 し 述 べます (1) 隊 員 の 再 就 職 に 関 する 施 策 の 推 進 55 歳 前 後 の 若 年 で 定 年 を 迎 える 自 衛 官 は 退 職 後 から 年 金 生 活 に 入 る 年 齢 まで の 間 の 生 活 を 維 持 するため 再 就 職 が 死 活 的 に 重 要 な 問 題 であります 一 方 国 内 15

経 済 は 景 気 回 復 及 び 雇 用 情 勢 の 改 善 が 足 踏 み 状 態 にあることから 自 衛 隊 退 職 者 にとっては 依 然 として 厳 しい 雇 用 環 境 におかれています 特 に 退 職 隊 員 に 対 す る 就 職 援 護 活 動 は リーマン ショック 以 来 厳 しい 雇 用 情 勢 の 続 く 中 従 前 以 上 に 困 難 な 状 況 にあります 昨 年 9 月 29 日 の 閣 議 において 公 務 員 の 天 下 りに 対 する 国 民 の 厳 しい 批 判 にこ たえ 官 による 就 職 斡 旋 は 実 施 しないことが 決 定 されました 更 に 今 年 2 月 の 国 家 公 務 員 法 改 正 案 によると 国 家 公 務 員 の 再 就 職 については 平 成 20 年 12 月 に 発 足 した 官 民 人 材 交 流 センター が 廃 止 され 職 員 の 再 就 職 や 官 民 人 材 交 流 を 支 援 する 民 間 人 登 用 再 就 職 適 正 化 センター を 設 置 し 制 度 改 革 がなされようと していますが この 制 度 の 適 用 を 受 ける 退 職 予 定 自 衛 隊 員 の 優 れた 識 能 を 引 き 続 き 社 会 で 活 用 できるような 制 度 設 計 を 切 に 望 むものです また その 改 正 案 によると 防 衛 大 臣 は 若 年 定 年 等 隊 員 の 離 職 に 際 しての 離 職 後 の 就 職 の 援 助 を 行 う こととされ それを 根 拠 として 毎 年 数 千 名 に 上 る 自 衛 官 特 有 の 若 年 定 年 制 及 び 任 期 制 の 自 衛 官 の 再 就 職 については 自 衛 隊 の 精 強 性 を 確 保 するとの 観 点 から 各 自 衛 隊 等 の 就 職 援 護 協 力 の 基 で 退 職 予 定 隊 員 に 対 する 無 料 職 業 紹 介 所 である 財 団 法 人 自 衛 隊 援 護 協 会 を 通 じて 再 就 職 する 従 来 の 枠 組 みを 維 持 することが 防 衛 大 臣 通 達 により 認 められました しかしながら 現 在 公 益 法 人 に 対 しては 予 算 及 び 人 員 の 面 で 毎 年 縮 減 の 方 向 にあります 厳 しい 雇 用 情 勢 の 中 で 若 年 定 年 および 任 期 満 了 等 により 退 職 する 自 衛 官 が 安 定 して 再 就 職 ができるためには 無 料 職 業 紹 介 する 法 人 である 自 衛 隊 援 護 協 会 及 び 就 職 援 護 に 関 わる 自 衛 隊 各 部 隊 等 に 対 し 再 就 職 活 動 に 必 要 な 予 算 及 び 人 員 などの 体 制 を 一 層 充 実 させ 退 職 予 定 隊 員 の 期 待 に 応 えられるものとなるようご 尽 力 いただきますことを 強 く 要 望 します (2) 給 与 制 度 に 関 する 代 償 機 能 の 担 保 特 別 職 国 家 公 務 員 である 自 衛 隊 員 には 一 般 職 公 務 員 の 給 与 制 度 に 関 し 人 事 院 が 実 施 しているような 労 働 基 本 権 制 約 の 代 償 としての 機 関 所 謂 代 償 機 関 が 存 在 して いません また 戦 う 武 装 集 団 であるため 自 衛 隊 の 組 織 及 び 隊 員 の 活 動 は 有 事 の 作 戦 行 動 を 基 準 として 律 せられています このため 自 衛 隊 員 の 給 与 制 度 の 改 善 に 関 しては これまで 防 衛 省 ( 庁 ) 独 自 に 大 臣 ( 長 官 ) 等 の 私 的 諮 問 機 関 としての 16

調 査 会 研 究 会 の 答 申 結 果 を 得 る 若 しくは 一 般 職 の 施 策 を 準 用 するといった 形 で 推 進 されてきました 現 行 の 自 衛 官 俸 給 表 は 職 務 内 容 の 比 較 的 類 似 する 行 政 職 俸 給 表 ( 一 )と 公 安 職 俸 給 表 ( 一 )を 基 準 として 決 定 されています しかしながら 自 衛 官 の 階 級 が1 7 区 分 あることから 各 階 級 の 職 階 差 に 見 合 う 適 切 な 給 与 格 差 を 設 定 することがで きず 特 に 幹 部 と 准 尉 曹 の 役 割 の 相 違 を 俸 給 上 明 確 にすることができないなどの 切 実 な 諸 問 題 が 内 在 しています 平 成 19 年 に 纏 められた 報 告 書 に 基 づく 大 きな 前 進 を 担 保 し 更 に 一 般 職 の 俸 給 表 等 に 立 脚 しない 自 衛 官 独 自 の 給 与 体 系 を 新 設 するためには その 合 理 性 等 について 国 民 の 理 解 を 促 進 するための 省 外 の 客 観 的 な 立 場 からの 見 解 が 不 可 欠 で あり 一 般 職 公 務 員 給 与 についての 勧 告 によることなく 主 体 的 な 施 策 を 可 能 とす る 恒 常 的 な 代 償 機 能 の 整 備 が 求 められます 自 衛 隊 員 に 対 し いかなる 困 難 な 状 況 下 においても 崇 高 な 使 命 観 をもって 誇 り 高 く 任 務 遂 行 に 邁 進 する 基 盤 を 付 与 するため 給 与 制 度 に 関 する 代 償 機 能 を 一 般 職 に 対 する 制 度 から 独 立 して 担 保 するよう より 本 質 的 な 課 題 として 報 告 書 関 連 施 策 の 具 体 化 と 並 行 して 検 討 されることを 要 望 します (3) 統 合 幕 僚 長 の 安 全 保 障 会 議 構 成 議 員 への 指 定 及 び 認 証 官 としての 位 置 付 け 国 防 の 基 本 方 針 及 び 防 衛 計 画 の 大 綱 並 びに 武 力 攻 撃 事 態 等 周 辺 事 態 重 大 緊 急 事 態 などについて 審 議 する 安 全 保 障 会 議 において 統 合 幕 僚 長 は 必 要 があると 認 めるときには 会 議 に 出 席 させ 意 見 を 述 べさせることができる となっており 軍 事 の 最 高 専 門 家 として 議 長 ( 首 相 )を 常 時 補 佐 する 役 割 が 与 えられていません 多 種 多 様 な 脅 威 や 事 態 が 複 雑 に 生 起 しかねない 時 代 において 国 家 国 民 の 安 全 を 守 るためには 統 合 幕 僚 長 が 関 係 者 の 出 席 という 立 場 ではなく 構 成 議 員 の 一 員 としての 立 場 から 同 会 議 に 常 時 出 席 することが 今 や 不 可 欠 です また 平 成 18 年 3 月 に 統 合 幕 僚 監 部 が 発 足 し 3 自 衛 隊 統 合 運 用 の 長 として 統 合 幕 僚 長 の 職 責 が 一 段 と 高 まりました 今 後 は 運 用 に 関 しては 一 元 的 に 統 合 幕 僚 長 が 直 接 防 衛 大 臣 を 補 佐 することとなると 聞 いています 自 衛 隊 員 25 万 人 の 実 質 的 な 運 用 の 責 任 者 である 統 合 幕 僚 長 をその 職 責 に 相 応 しい 認 証 官 として 位 置 付 けさ れるよう 強 く 要 望 します 17

(4) 变 勲 の 位 置 付 け 等 の 改 善 防 衛 行 動 の 特 殊 性 から 若 年 定 年 制 を 導 入 せざるを 得 ない 自 衛 官 の 定 年 は 一 般 的 に55 歳 前 後 であり 变 勲 の 対 象 となる 通 算 在 職 年 数 も 60 歳 まで 勤 務 する 一 般 職 公 務 員 と 比 較 して 短 いものとなります この 变 勲 制 度 が60 歳 定 年 の 公 務 員 を 基 準 に 制 定 されているため 結 果 的 に 国 家 国 民 の 安 全 のため 身 命 を 賭 し 危 険 を 顧 みないで 任 務 に 従 事 するといった 過 酷 な 職 務 の 特 性 にも 拘 わらず 自 衛 官 の 变 勲 は 低 い 等 級 に 格 付 けされるとともに 対 象 者 数 も 抑 制 されてきました 国 の 防 衛 という 崇 高 な 使 命 を 担 う 自 衛 官 の 職 責 に 相 応 しい 变 勲 とするため より 上 位 の 等 級 に 位 置 付 けするとともに 長 期 間 にわたる 国 家 に 対 する 献 身 に 国 が 敬 意 を 払 って 報 いるため 死 亡 者 变 勲 を 含 めて 变 勲 対 象 者 を 拡 大 することを 強 く 要 望 し ます 特 に 自 衛 官 が 各 種 出 動 派 遣 等 及 び 国 際 平 和 協 力 活 動 機 雷 不 発 弾 等 処 理 などの 業 務 に 自 らの 危 険 を 顧 みることなく 従 事 し その 職 に 殉 じた 場 合 はもとより 特 に 顕 著 な 功 績 を 挙 げた 場 合 の 緊 急 变 勲 の 適 用 について 明 確 に 定 め 国 家 とし て 速 やかに 栄 誉 を 授 与 されるよう 要 望 します また 付 随 的 任 務 から 本 来 任 務 化 した 国 際 平 和 協 力 活 動 において 経 験 したこと のない 文 化 風 習 や 気 候 風 土 の 環 境 下 で 現 地 の 人 々と 交 わりつつ また 決 して 気 を 抜 くことのできない 大 変 厳 しい 治 安 情 勢 下 国 を 代 表 して 安 全 確 実 に 任 務 を 遂 行 するためには 何 よりも 派 遣 隊 員 が 透 徹 した 使 命 観 と 日 本 の 代 表 者 たる 高 い 誇 りを 持 つことが 必 須 です このため 国 際 平 和 協 力 活 動 等 に 従 事 した 者 に 対 し 勲 章 褒 章 に 準 ずる 栄 誉 として 国 家 が 授 与 する 栄 章 ( 所 謂 従 軍 記 章 ) 制 度 を 新 設 されるよう 要 望 します 一 方 平 成 15 年 秋 から 危 険 業 務 従 事 者 の 变 勲 制 度 が 施 行 され 多 くの 退 職 自 衛 官 が 受 章 し 退 職 自 衛 官 はもとより 現 職 自 衛 官 の 大 きな 誇 り 歓 びとするところ です しかしながら 当 該 受 章 の 栄 に 浴 していない 制 度 開 始 前 の 退 職 者 が 残 されて います 多 くの 者 が 今 日 の 自 衛 隊 を 育 て 上 げた 功 労 者 であり 彼 等 の 永 年 の 功 績 に 対 し 等 しく 危 険 業 務 従 事 者 变 勲 を 授 章 されるよう 柔 軟 な 制 度 の 運 用 を 強 く 要 望 し ます 18

(5) 予 備 自 衛 官 等 の 制 度 の 充 実 予 備 自 衛 官 制 度 は 昭 和 29 年 自 衛 隊 の 発 足 と 同 時 に 導 入 され その 後 即 応 予 備 自 衛 官 及 び 予 備 自 衛 官 補 の 各 制 度 が 整 備 され 有 事 等 における 自 衛 官 所 要 数 を 急 速 か つ 計 画 的 に 確 保 するとともに 防 衛 予 算 の 効 率 的 運 用 及 び 防 衛 基 盤 の 育 成 拡 大 を 狙 いとしており 自 衛 隊 のみならず 世 界 各 国 で 重 視 されている 予 備 役 制 度 でありま す 予 備 自 衛 官 手 当 については 昭 和 62 年 に 改 定 されて 以 来 20 年 余 も 据 え 置 かれ たままとなっています その 増 額 については 訓 練 招 集 時 予 備 自 衛 官 を 支 援 する 県 隊 友 会 等 から 第 一 線 の 声 として 強 い 要 望 が 寄 せられており 早 期 改 善 を 強 く 要 望 し ます また 予 備 自 衛 官 等 の 制 度 を 円 滑 に 運 用 するためには 彼 等 を 雇 用 する 企 業 側 の 理 解 と 協 力 が 不 可 欠 であり 国 として 雇 用 企 業 の 法 人 税 の 税 率 軽 減 をするなど 予 備 自 衛 官 等 の 雇 用 企 業 に 対 する 補 償 措 置 を 検 討 されますよう 併 せて 要 望 します 平 成 9 年 度 に 導 入 された 即 応 予 備 自 衛 官 制 度 は 陸 上 自 衛 隊 の 人 (マンパワー) を 確 保 するために 大 変 重 要 な 施 策 でありますが 自 営 業 を 営 む 即 応 予 備 自 衛 官 に 対 しては 即 応 予 備 自 衛 官 を 雇 用 する 企 業 に 対 し 支 給 されている 雇 用 企 業 給 付 金 の 制 度 の 適 用 が 認 められていません 自 営 業 を 営 む 即 応 予 備 自 衛 官 も 年 間 30 日 の 訓 練 招 集 期 間 中 当 然 その 事 業 所 得 の 損 失 があることを 鑑 みて この 損 失 に 見 合 うよ うな 補 填 措 置 制 度 を 盛 り 込 むよう 要 望 します 予 備 自 衛 官 補 の 導 入 により 今 まで 自 衛 隊 としては 手 薄 な 正 面 にも 数 多 くの 優 れ た 人 材 が 入 隊 するようになりました 最 近 の 国 際 協 力 活 動 においては 今 まで 以 上 に 世 界 各 地 に 自 衛 隊 が 派 遣 される 可 能 性 が 出 てまいりました 従 って 予 備 自 衛 官 補 の 技 能 区 分 の 拡 大 特 に 語 学 職 域 の 種 別 の 拡 大 を 要 望 します 予 備 自 衛 官 や 予 備 自 衛 官 補 の 装 具 は 現 在 現 職 自 衛 官 の 使 用 した 古 品 が 使 用 され ており 予 備 自 衛 官 や 予 備 自 衛 官 補 の 士 気 に 影 響 を 与 えています 彼 らにも 新 しい 装 具 が 充 当 されるようお 願 いします 5 隊 友 会 への 支 援 協 力 公 益 法 人 改 革 に 関 し 平 成 20 年 4 月 内 閣 府 に 公 益 認 定 等 委 員 会 が 発 足 し 12 月 には 公 益 法 人 制 度 改 革 関 連 3 法 が 施 行 され 社 団 法 人 隊 友 会 は 特 例 社 団 法 人 19

隊 友 会 に 移 行 しました そして 今 年 度 中 公 益 社 団 法 人 隊 友 会 としての 移 行 認 定 申 請 を 行 う 予 定 でいます 隊 友 会 は 社 団 法 人 として 昭 和 35 年 に 創 立 して 以 来 半 世 紀 近 くにわたり 国 民 と 自 衛 隊 とのかけ 橋 として 相 互 の 理 解 を 深 めることに 貢 献 する ため 諸 事 業 活 動 を 推 進 し 防 衛 省 自 衛 隊 内 外 から 信 頼 と 評 価 を 得 ていると 自 負 しているとこ ろであります 引 き 続 き かけ 橋 たらんとすることを 自 任 し 確 固 たる 防 衛 基 盤 の 構 築 に 貢 献 するとともに 隊 友 会 の 公 益 法 人 認 定 が 現 職 自 衛 隊 員 の 社 会 的 地 位 の 向 上 にも 繋 がるものと 思 料 し 平 成 22 年 度 の 公 益 社 団 法 人 化 を 目 指 して 昨 年 から 目 的 事 業 等 定 款 の 全 面 見 直 しを 始 め 会 務 全 般 について 鋭 意 検 討 を 行 い 所 要 の 措 置 を 推 進 中 です 特 に 公 益 事 業 拡 大 のため 国 民 の 保 護 及 び 防 災 への 協 力 殉 職 自 衛 隊 員 戦 没 者 の 慰 霊 顕 彰 地 域 社 会 の 健 全 な 発 展 への 貢 献 更 には 各 自 衛 隊 が 隊 友 会 に 期 待 する 支 援 活 動 について 検 討 するとともに 現 に 実 施 している 公 益 性 のある 事 業 の 充 実 を 図 る 所 存 です つきましては 公 益 事 業 に 対 する 格 段 のご 支 援 を お 願 いするものです 隊 友 会 は 自 衛 隊 各 部 隊 等 との 連 携 を 日 頃 から 密 にし 賛 助 会 員 でもある 現 職 自 衛 隊 員 と 価 値 観 を 共 有 するなど 一 体 感 を 醸 成 することを 重 視 するとともに 全 国 各 地 で 地 方 行 政 機 関 を 始 め 関 係 諸 団 体 や 地 域 住 民 と 密 に 連 携 し 諸 活 動 を 行 ってい ます また 国 際 平 和 協 力 活 動 の 海 外 派 遣 のみならず 国 内 災 害 派 遣 等 により 隊 員 が 長 期 間 部 隊 を 不 在 にする 場 合 などの 家 族 支 援 態 勢 の 強 化 を 自 衛 隊 各 部 隊 が 推 進 する に 当 たりましては 隊 友 会 としても 部 隊 と 家 族 との 連 携 に 協 力 し 部 隊 が 行 う 家 族 支 援 の 活 動 に 要 請 があれば 積 極 的 に 参 画 したいと 考 えています このためにも 現 職 自 衛 隊 員 との 心 情 的 繋 がりの 斬 新 な 隊 員 が 退 職 時 に 多 数 即 日 入 会 することを 心 から 願 うものです 併 せて 防 衛 基 盤 の 確 立 拡 充 及 び 部 隊 との 絆 を 深 めることに 直 結 する 会 勢 の 拡 大 について 特 にご 配 意 をいただき 退 職 隊 員 の 正 会 員 への 入 会 促 進 等 に 係 わるご 支 援 を 従 前 以 上 に 宜 しくお 願 いします 20

おわりに 長 年 の 悲 願 である 憲 法 を 改 正 して 自 衛 隊 を 軍 として 明 記 する ことを 始 めとし 集 団 的 自 衛 権 行 使 の 容 認 国 際 平 和 協 力 活 動 に 関 する 一 般 法 の 制 定 防 衛 体 制 の 整 備 強 化 及 び 自 衛 隊 員 の 処 遇 改 善 等 について 要 望 しました 現 職 自 衛 隊 員 が わが 国 周 辺 海 空 域 の 警 戒 監 視 や 災 害 派 遣 等 並 びにインド 洋 での 洋 上 補 給 活 動 ゴラン 高 原 及 びネパールにおけるPKO,ソマリア 沖 での 海 賊 対 処 ス ーダンにおける 司 令 部 活 動 等 国 内 外 で 着 実 に 任 務 を 遂 行 するとともに 本 格 的 な 侵 略 事 態 や 新 たな 脅 威 等 多 様 な 事 態 に 対 し 実 効 性 ある 対 応 をとるべく 訓 練 に 日 々 精 進 さ れていることに 隊 友 会 会 員 一 同 深 甚 なる 敬 意 と 深 い 感 謝 の 意 を 表 するところです これらの 諸 任 務 に 黙 々と 真 摯 に 立 ち 向 かう 隊 員 一 人 一 人 の 姿 こそが 国 民 の 自 衛 隊 に 対 する 信 頼 感 の 醸 成 に 繋 がるものと 信 じます 自 衛 隊 員 が 隊 員 としての 矜 持 を 高 く 保 ち 且 つ 揺 るぎなき 自 信 を 持 って 国 や 国 民 の 平 和 と 安 全 のために 身 を 挺 することが 可 能 となる 防 衛 環 境 の 改 善 のため この 隊 友 会 の 要 望 が 尐 しでも 貢 献 できることを 心 から 切 に 望 むものです 最 後 になりますが 国 の 繁 栄 と 国 民 の 幸 福 は 国 の 安 全 が 確 保 されて 初 めて 享 受 で きるもので そのためには 国 民 一 人 一 人 が 国 を 愛 し 国 を 守 る 気 概 を 持 つことが 最 も 重 要 なことと 考 えます そのために 隊 友 会 は 引 き 続 き 防 衛 省 自 衛 隊 で 長 年 にわ たって 積 み 上 げた 知 見 や 技 能 を 活 かし 国 民 に 対 する 防 衛 意 識 の 普 及 高 揚 や 自 衛 隊 諸 業 務 に 対 する 各 種 協 力 等 に 尽 力 し 国 民 と 自 衛 隊 のかけ 橋 として 国 家 国 民 の 安 泰 に 寄 与 してまいる 所 存 です 防 衛 大 臣 を 始 め 自 衛 隊 員 各 位 が 今 後 益 々ご 活 躍 ご 発 展 され 更 に 深 く 国 民 の 負 託 と 期 待 に 応 えられますよう 隊 友 会 会 員 一 同 心 から 祈 念 い たします 今 後 とも 隊 友 会 に 対 するご 支 援 ご 協 力 を 賜 りますようお 願 い 申 し 上 げ 要 望 書 の 結 びとします H22.12.7 21